(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001678
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】方法、プロセッサ、プログラム、及び表示システム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/22 20060101AFI20231227BHJP
G06F 40/151 20200101ALI20231227BHJP
G06F 40/103 20200101ALI20231227BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20231227BHJP
G09G 5/24 20060101ALI20231227BHJP
G09G 5/26 20060101ALI20231227BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G09G5/22 630Z
G06F40/151
G06F40/103
G09G5/00 510B
G09G5/24 610Z
G09G5/26 630
G09G5/36 520P
G09G5/36 530Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100499
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 康司
(72)【発明者】
【氏名】山田 英功
(72)【発明者】
【氏名】溝口 櫻子
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 亮
【テーマコード(参考)】
5B109
5C182
【Fターム(参考)】
5B109RA06
5B109RA07
5B109RA18
5B109RB32
5B109TA11
5C182AA04
5C182AB11
5C182AC02
5C182AC37
5C182AC39
5C182BA03
5C182BA06
5C182CA32
5C182CB13
5C182CB44
5C182DA18
5C182DA69
5C182FA01
5C182FA61
5C182FA68
(57)【要約】
【課題】 従来の表示システムにおいて、ユーザの認識能力に応じた表示態様で文字や画像等が表示されることが求められていた。
【解決手段】 表示システム1は、投影装置200と、投影装置200に、画像を投影させるための表示制御部150と、取得部120と、を備える。取得部120は、視覚機能に関する情報及び脳機能に関する情報のうち少なくとも一つを含むユーザの認識能力を示す情報を取得する。表示制御部150は、取得部120から取得したユーザの認識能力を示す情報に基づいて、前記画像の表示態様を決定し、前記画像を投影させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの認識能力を示す情報に基づいて、画像の表示態様を決定し、
決定した表示態様で前記画像を投影装置に投影させる、方法。
【請求項2】
前記認識能力を示す情報は、視覚機能に関する情報及び脳機能に関する情報のうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記画像は、文字情報を含み、
前記視覚機能に関する情報は、色覚の異常を示す情報を含み、
前記色覚の異常を示す情報に基づいて、前記文字情報に含まれる少なくとも一つの文字及び前記少なくとも一つの文字の背景のうち、少なくとも一方の色を前記ユーザが認識可能な色として前記画像を投影させる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記画像は、文字情報を含み、
前記視覚機能に関する情報は、近視又は老視を示す情報を含み、
前記近視又は老視を示す情報に基づいて、前記文字情報に含まれる少なくとも一つの文字のサイズを決定する、請求項2に方法。
【請求項5】
前記画像は、文字情報を含み、
前記視覚機能に関する情報は、視力を示す情報を含み、
前記視力に基づいて、前記文字情報に含まれる少なくとも一つの文字の大きさを決定する、請求項2に方法。
【請求項6】
前記視覚機能に関する情報は、視野が狭いことを示す情報を含み、
前記視野が狭いことを示す情報に基づいて、前記画像の大きさを決定する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記画像は、文字情報を含み、
前記脳機能に関する情報は、特定の文字種が認識し難い症状を示す情報であり、
前記特定の文字種が認識し難い症状を示す情報に基づいて、前記文字情報に含まれる少なくとも一つの文字の文字種を、前記ユーザが認識可能な文字種にする、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記脳機能に関する情報は、文字の位置を正しく理解し難い症状を示す情報であり、
前記文字の位置を正しく理解し難い症状を示す情報に基づいて、前記画像の少なくとも一部を囲む枠を前記投影装置に投影させる、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記認識能力を示す情報は、前記ユーザを特定するためのIDを更に含み、
前記画像の表示態様を第1態様に決定すると、前記IDと前記第1態様とを対応付け、
前記IDと前記第1態様とを対応付けた後、前記IDに基づいて、前記画像の表示態様を前記第1態様に決定する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記認識能力を示す情報は、前記ユーザを特定するためのIDを更に含み、
前記画像の表示態様を第1態様に決定した後に、操作部から入力されたユーザの操作に応じて前記画像の表示態様を第2態様に決定すると、前記IDと前記第2態様とを対応付け、
前記IDと前記第2態様とを対応付けた後、前記IDに基づいて、前記画像の表示態様を前記第2態様に決定する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ユーザの認識能力を示す情報を取得すると、前記ユーザの認識能力を示す情報に基づいて、画像の表示態様を決定し、前記画像を投影装置に投影させる、プロセッサ。
【請求項12】
プロセッサに、
ユーザの認識能力を示す情報を取得すると、前記ユーザの認識能力を示す情報に基づいて、画像の表示態様を決定し、前記画像を投影装置に投影させるプログラム。
【請求項13】
投影装置と、
前記投影装置に、画像を投影させるための表示制御部と、
取得部と、を備え、
前記表示制御部は、前記取得部から取得したユーザの認識能力を示す情報に基づいて、前記画像の表示態様を決定し、前記画像を前記投影装置に投影させる、表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、方法、プロセッサ、プログラム、及び表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
話し手の音声を自動でテキスト変換し、聴覚障害者である聞き手との間に設置した透明ディスプレイに字幕をリアルタイムに表示する表示システムが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この表示システムは、透明ディスプレイ上部に聞き手側の正文字、透明ディスプレイ下部に話し手側の正文字が表示される。透明ディスプレイ下部の文字は、話し手が自動音声認識の誤変換を確認するために表示される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Kenta Yamamoto, Ippei Suzuki, Akihisa Shitara, and Yoichi Ochiai, 2021. "See-Through Captions: Real-Time Captioning on Transparent Display for Deaf and Hard-of-Hearing People", [online],27 Jan 2021,In arXiv e-prints. 5 pages,インターネット<URL: https://arxiv.org/abs/2101.11326>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の表示システムにおいて、ユーザ(例えば、上述の話し手又は聞き手)の認識能力に応じた表示態様で文字や画像等が表示されることが求められていた。
【0005】
従って、これらの点に着目してなされた本開示の目的は、ユーザの認識能力を示す情報に基づいて表示態様を変更した画像を投影装置に投影させる、方法、プロセッサ、プログラム、及び表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、(1)方法は、ユーザの認識能力を示す情報に基づいて、画像の
表示態様を決定し、決定した表示態様で前記画像を投影装置に投影させることを特徴とするものである。
【0007】
(2)上記(1)の方法は、前記認識能力を示す情報は、視覚機能に関する情報及び脳機能に関する情報のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0008】
(3)上記(2)の方法は、前記画像が、文字情報を含む、ことができる。
【0009】
(4)上記(3)の方法は、前記視覚機能に関する情報が、色覚の異常を示す情報を含み、前記色覚の異常を示す情報に基づいて、前記文字情報に含まれる少なくとも一つの文字及び前記少なくとも一つの文字の背景のうち、少なくとも一方の色を前記ユーザが認識可能な色として前記画像を投影させることができる。
【0010】
(5)上記(3)又は(4)の方法は、前記視覚機能に関する情報が、近視又は老視を示す情報を含み、前記近視又は老視を示す情報に基づいて、前記文字情報に含まれる少なくとも一つの文字のサイズを決定することができる。
【0011】
(6)上記(3)から(5)の何れかの方法は、前記視覚機能に関する情報が、視力を示す情報を含み、前記視力に基づいて、前記文字情報に含まれる少なくとも一つの文字の
大きさを決定することができる。
【0012】
(7)上記(2)から(6)の何れかの方法は、前記視覚機能に関する情報は、視野が狭いことを示す情報を含み、前記視野が狭いことを示す情報に基づいて、前記画像の大きさを決定することができる。
【0013】
(8)上記(3)から(7)の何れかの方法は、前記脳機能に関する情報は、特定の文字種が認識し難い症状を示す情報であり、前記特定の文字種が認識し難い症状を示す情報に基づいて、前記文字情報に含まれる少なくとも一つの文字の文字種を前記ユーザが認識可能な文字種にすることができる。
【0014】
(9)上記(2)から(8)の何れかの方法は、前記脳機能に関する情報が、文字の位置を正しく理解し難い症状を示す情報であり、前記文字の位置を正しく理解し難い症状を示す情報に基づいて、前記画像を囲む枠を前記投影装置に投影させることができる。
【0015】
(10)上記(1)から(9)の何れかの方法は、前記認識能力を示す情報が、前記ユーザを特定するためのIDを更に含み、前記表示制御部が、前記画像の表示態様を第1態様に決定すると、前記IDと前記第1態様とを対応付け、前記IDと前記第1態様とを対応付けた後、前記IDに基づいて、前記画像の表示態様を前記第1態様に決定することができる。
【0016】
(11)上記(1)から(10)の何れかの方法は、前記認識能力を示す情報が、前記ユーザの操作に応じて前記画像の表示態様を第2態様に決定すると、前記IDと前記第2態様とを対応付け、前記IDと前記第2態様とを対応付けた後、前記IDに基づいて、前記画像の表示態様を前記第2態様に決定することができる。
【0017】
一実施形態において、(12)プロセッサは、ユーザの認識能力を示す情報を取得すると、前記ユーザの認識能力を示す情報に基づいて、画像の表示態様を決定し、前記画像を投影装置に投影させることができる。
【0018】
一実施形態において、(13)プログラムは、プロセッサにユーザの認識能力を示す情報を取得すると、前記ユーザの認識能力を示す情報に基づいて、画像の表示態様を決定し、前記画像を投影装置に投影させることができる。
【0019】
一実施形態において、(14)表示システムは、投影装置と、前記投影装置に、画像を投影させるための表示制御部と、取得部と、を備え、前記表示制御部は、前記取得部から取得したユーザの認識能力を示す情報に基づいて、前記画像の表示態様を決定し、前記画像を投影させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本開示の一実施形態によれば、個人の認識能力に応じた表示態様で表示しうる方法、プロセッサ、プログラム、及び表示システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る表示システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る表示システムにおける、画像の縮小制御の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明で用いられる図は模式的な物である。図面上の寸法及び比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0023】
一実施形態において、表示システムは、投影装置と、前記投影装置に、画像を投影させるための表示制御部と、を備える。表示制御部は、取得部から取得したユーザの認識能力を示す情報に基づいて、表示画像の表示態様を変更する。
【0024】
図1は、一実施形態に係る表示システムの構成の一例を示す図である。
【0025】
図1に示すように、表示システム1は、表示制御装置100と、投影装置200と、を有する。以下の説明においては、同様の構成要素に同一の符号を付すことがある。さらに、重複する説明は省略することがある。
【0026】
表示制御装置100は、通信部110、取得部120、操作部130、記憶部140、及び表示制御部150を含んで構成される。
【0027】
通信部110は、公衆セルラ通信網やローカルセルラ通信網等のネットワークを介して各種データの送受信を行うように構成される。通信部110による通信は有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。通信部110は、1以上の通信プロトコルを用いることができる。
【0028】
取得部120は、ユーザの認識能力に関する情報を取得し、取得した情報を表示制御部150に送出する。取得部120は、近距離通信インターフェース及び物理入力インターフェースの少なくとも何れかを含んでよい。近距離通信インターフェースは、例えば、NFC(Near Field Communication)リーダ等が含まれる。物理入力インターフェースは、例えば、操作部130のようなインターフェースである。操作部130の詳細は後述する。
【0029】
操作部130は、ユーザの操作を受け付けて、受け付けた操作に応じた信号を表示制御部150に送出する。操作部130は、例えば、利用者の操作を受け付けるための1乃至複数のデバイスを有して構成される。デバイスには、例えば、キー、ボタン、タッチスクリーン等が含まれる。
【0030】
記憶部140は、表示制御部150が実行するプログラム、表示制御部150が実行する処理に必要な情報、及び、表示制御部150が実行した結果得られた情報を記憶するように構成される。記憶部140は、例えば、視力の値と文字のサイズとを紐づけたサイズテーブルを記憶してよい。記憶部140は、半導体記憶装置、磁気記憶装置、光記憶装置の少なくとも何れかを含んでよい。半導体記憶装置は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)及びSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリ、ならびに、ROM(Read
Only Memory)及びフラシュメモリ等の不揮発性メモリを含んでよい。半導体記憶装置には、フラッシュメモリを用いたSSD(Solid State Driv
e)が含まれる。磁気記憶装置は、例えば、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等が含まれる。光記憶装置は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、及びブルーレイ(Blu-ray(登録商標))等が含まれる。記憶部140は、制御プログラム141等を記憶する。
【0031】
制御プログラム141は、表示制御装置100を構成するデバイス、例えば、表示制御部150等の制御に基づき、表示態様を変更する機能を提供する。表示態様を変更する機能は、画像に含まれる少なくとも一つの文字の色を変更する機能、該少なくとも一つの文字の周辺の色(いわゆる背景色。以下、背景色という。)を変更する機能、該少なくとも一つの文字のサイズを変更する機能、該少なくとも一つの文字の文字種を変更する機能、該画像のサイズを変更する機能、該画像を取り囲む枠の表示の有無を切り替える機能、又は、該少なくとも一つの文字を取り囲む枠の表示の有無を切り替える機能のうち少なくとも一つの機能である。
【0032】
表示制御部150は、演算処理装置である。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、SoC(System-on-Chip)、MCU(Micro Control Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、及びコアプロセッサを含むが、これらに限定されない。また、表示制御部150は、GPU(Graphics Processing Unit)、VRAM(Video RAM)等を含む。表示制御部150は、複数の演算処理装置から構成されてよく、複数の演算処理装置の協働により、各種の制御を実行してもよい。
【0033】
表示制御部150は、表示制御装置100の動作を統括的に制御して各種の機能を実現する。表示制御部150は、取得部120が取得した情報に基づいて、各種操作を実行する。表示制御部150は、取得部120が取得した情報に応じた出力を通信部110等によって行ってもよい。
【0034】
表示制御部150は、制御プログラム141を実行することにより、制御プログラム141により提供される機能を、表示制御部150による処理として実現する。
【0035】
投影装置200は、テキスト、静止画像及び動画像等の画像を投射スクリーン等の平面に投影する。投影装置200は、例えば、映写機又はプロジェクター等のディスプレイ装置であってよい。
【0036】
表示システム1は、政府、自治体、又は、公的機関の窓口、金融機関、医療機関、公共交通機関等の窓口、民間事業者の営業店舗、ならびに、オフィス内の会議室等において、種々の情報を含む画像を投影装置に投影させるシステムである。
【0037】
以下では表示システム1の実施形態をいくつか説明する。例示する表示システム1は、公的機関の窓口に設置されたシステムであって、窓口に設置された投射スクリーンに対し、公的機関に係る各種手続き方法を説明する画像等を投影装置200に投影させる。表示システム1の取得部120としてNFC(Near Field Communication)リーダが窓口に置いてある。ユーザ(例えば、公的機関の窓口に手続きにきた人)は、ユーザの認識能力を示す情報を記憶させたIC(Integrated Circ
uit)カード、或いはスマートフォンをNFCリーダにかざすことで、ユーザの認識能力を示す情報を表示システム1に近距離通信により入力することができる。なお、取得部120として物理入力インターフェースを備える入力装置を窓口に置いて、ユーザは物理入力インターフェースを介してユーザの認識能力を示す情報を表示システム1に入力させ
るようにしてもよい。
【0038】
表示システム1の表示制御部150は、取得部120が取得したユーザの認識能力を示す情報に基づいて、表示する画像の表示態様を決定し、画像を投影させる。
【0039】
ユーザの認識能力を示す情報は、例えば、視覚機能に関する情報、又は脳機能に関する情報である。またユーザの認識能力を示す情報は、ユーザを特定するためのIDを含んでいてもよい。
【0040】
一実施形態において、表示システムの表示制御部は、認識能力を示す情報であるユーザの視覚機能に関する情報に基づいて、投影装置に投影させる画像の表示態様を変更してもよい。表示制御部は、取得部から取得したユーザの視覚機能に関する情報である色覚の異常を示す情報に基づいて、画像に含まれる文字及び文字の背景のうち、少なくとも一方をユーザが認識しにくい色以外の色に決定してよい。
【0041】
図2は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【0042】
図2に示すように、表示システム1は、ステップS101において、取得部120がユーザの認識能力を示す情報を取得する。
【0043】
ステップS102において、表示制御部150は、取得したユーザの視覚機能に関する情報が、色覚の異常を示す情報であると、ステップS103に処理を進める。具体的に、色覚の異常を示す情報は、例えばユーザが認識しにくい色を示す情報であってもよい。例えば、色覚の異常を示す情報として、赤、緑、及び青のうち少なくとも一つを示す情報が含まれている。色覚の異常を示す情報は、RGB表色系、XYZ表色系、又はL*a*b*表色系等の色空間において座標を示すパラメータで、ユーザにとって見えない、或いは、見辛い色を示したものであってもよい。
【0044】
ステップS103において、表示制御部150は、色覚の異常を示す情報にユーザが認識しにくい色が含まれている場合、ステップS104に処理を進める。
【0045】
ステップS104において、表示制御部150は、画像に含まれる文字及び文字の背景のうち、少なくとも一方をユーザが認識しにくい色以外の色に変更する。例えば、表示制御部150は、色覚の異常を示す情報に赤色を示す情報が含まれるとき、投影装置200に投影させる画像に含まれる文字の表示色として青色に決定する。
【0046】
以上のように、本実施形態において、表示システム1は、ユーザの認識能力を示す情報に色覚の異常を示す情報に基づいて、画像に含まれる文字及び文字の背景のうち少なくとも一部をユーザが認識し易い色にするため、ユーザの色覚に応じた適切な配色で画像を表示しうる。
【0047】
また、一実施形態において、表示システムに含まれる表示制御部は、ユーザの視覚機能に関する情報である近視又は老視を示す情報に基づいて、文字情報に含まれる少なくとも1つの文字のサイズを決定してよい。
【0048】
図3は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【0049】
なお
図3において、
図2の動作の一例と重複するステップの説明は省略する。
【0050】
ステップS110において、表示制御部150は、ユーザの視覚機能に関する情報に近
視又は老視を示す情報が含まれている場合、ステップS111に処理を進める。なお、近視又は老視を示す情報は、例えば、コンタクトレンズや眼鏡の度数を示す値であってもよい、或いは、ユーザが近視又は老視であること示す情報であってもよい。
【0051】
ステップS111において、表示制御部150は、画像に含まれる文字のサイズを、近視又は遠視を示す情報を取得する前に表示していた文字のサイズより大きくする。なお表示制御部150は、コンタクトレンズや眼鏡の度数を示す値に応じて、段階的に大きくしてもよい。つまり表示制御部150は、取得したコンタクトレンズや眼鏡の度数が近視又は老視の強度が高くなる方向に大きいほど、拡大する文字のサイズをより大きくしてもよい。
【0052】
以上のように、本実施形態において、表示システム1は、ユーザの認識能力を示す情報に近視又は老視を示す情報が含まれている場合、画像に含まれる少なくとも一つの文字のサイズを大きくする。すなわち、表示制御部150は近視又は老視のユーザに応じた適切な表示態様で画像を表示しうる。
【0053】
また、一実施形態の表示システムの表示制御部は、ユーザの視覚機能に関する情報である視力を示す情報に基づいて、画像に含まれる少なくとも一つの文字のサイズを大きくしてもよい。
【0054】
図4は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【0055】
なお
図4において、
図2の動作の一例と重複するステップの説明は省略する。
【0056】
ステップS120において、表示制御部150は、ユーザの視覚機能に関する情報に視力を示す情報が含まれているとステップS121に処理を進める。具体的に、視力を示す情報は、視力を示す数値であってもよい。例えば、視力を示す情報は、ランドルト環を用いた視力測定により示される視力の数値でもよい。例えば、視力を示す情報は、ユーザが使用しているコンタクトレンズ、或いは眼鏡の度数を示す数値でもよい。
【0057】
ステップS121において、表示制御部150は、視力が特定の閾値よりも低いか否か判定する。ステップS121において、表示制御部150は、視力が特定の閾値よりも低い場合、ステップS122に処理を進める。ここで、閾値は、例えば、ユーザが近視である可能性の高い数値とすればよい。視力測定により示される視力の数値であれば、例えば、閾値を0.1とすればよいし、コンタクトレンズ、或いは眼鏡の度数であれば、例えば、閾値を-3.00D(ディオプトリ)とすればよい。一方でステップS121において、表示制御部150は、視力が特定の閾値よりも高い場合、処理を終了する。
【0058】
ステップS122において、表示制御部150は、画像に含まれる少なくとも一つの文字のサイズを大きくする。具体的に、表示制御部150は、記憶部140に予め記憶させたサイズテーブルを参照し、取得した視力を示す数値に対応するサイズに文字のサイズを変更する。
【0059】
また、一実施形態の表示システムに含まれる表示制御部は、ユーザの視覚機能に関する情報である視野が狭いことを示す情報に基づいて、画像を縮小してもよい。
【0060】
図5は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【0061】
なお
図5において、
図2の動作の一例と重複するステップの説明は省略する。
【0062】
ステップS130において、表示制御部150は、ユーザの視覚機能に関する情報に視野が狭いことを示す情報が含まれている場合、ステップS131に処理を進める。ここで、視野が狭いことを示す情報は、例えば、ユーザが、視野の一部が欠けている、或いは、視野角が狭い障碍を有することを示す情報であってもよい。
【0063】
ステップS131において、表示制御部150は画像を縮小させる。例えば、表示制御部150は
図6に示すように画像を縮小してもよい。すなわち、
図6(1)は、ステップS131においてユーザの視覚機能に関する情報を表示制御部150が取得する前に、投影装置200に投影させていた画像である。表示制御部150は、ステップS131において、
図6(1)の画像を
図6(2)の画像のように画像を縮小させて投影する。また、
図6(2)では、
図6(1)に示す画像の全体的に縮小しているが、画像に含まれる文字以外を縮小して表示してもよい。言い換えると、表示制御部150は、ステップS131において、画像に含まれる文字の大きさは維持して、画像の文字以外の部分を縮小させてもよい。
【0064】
以上のように、本実施形態において、表示システム1は、ユーザの視野の狭さに合わせて画像を縮小するので、ユーザは画像の全体像を把握し易い。
【0065】
また、一実施形態において、表示システムの表示制御部は、認識能力を示す情報であるユーザの脳機能に関する情報に基づいて、投影装置に投影させる画像の表示態様を変更してもよい。ユーザの脳機能に関する情報は、特定の文字種が認識し難い症状(例えば、失語症と呼ばれる症状)を示す情報を含む。
【0066】
図7は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【0067】
ステップS141において、表示システム1は、ステップS141において、取得部120がユーザの認識能力を示す情報を取得する。
【0068】
ステップS142において、表示制御部150は、ユーザの脳機能に関する情報として特定の文字種が認識し難い症状を示す情報が含まれているとステップS143に処理を進める。本実施例では、特定の文字種が認識し難い症状を示す情報として、漢字を示す情報が含まれる。
【0069】
ステップS143において、表示制御部150は、画像に含まれる文字をユーザが認識し易い文字種に変更する。例えば、表示制御部150は、画像に含まれる文字に漢字が含まれるとき、当該漢字表記を止めてひらがな表記に変更する。なお、表示制御部150は、画像に含まれる漢字の近傍、例えば、漢字の上部にふりがなを併記して投影させてもよい。
【0070】
以上のように、本実施形態において、表示システム1は、特定の文字種が認識し難い症状を示す情報に基づいて投影する文字種を変更するため、ユーザの症状に応じた適切な文字種で投影しうる。
【0071】
また、一実施形態において、ユーザの脳機能に関する情報は、文字の位置を正しく認識し難い症状(例えば、ディスレクシアと呼ばれる症状)を示す情報であってよい。
【0072】
図8は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【0073】
ステップS150において、表示制御部150は、ユーザの脳機能に関する情報として文字の位置を正しく認識し難い症状を示す情報が含まれているとステップS151に処理
を進める。
【0074】
ステップS151において、表示制御部150は、
図9に示すように画像に含まれる文字を囲む枠301を投影装置200に投影させる。
図9(1)に示すように、枠300は画像に含まれる文字全体を囲んでいてもよいし、
図9(2)に示すように、枠300は画像に含まれる文字のうち一部を囲んでいてもよい。なお、枠の描写方法は
図9(1)又は
図9(2)のように実線で構成されていてもよいし、或いは、破線で構成されていてもよい。具体的には、当該枠は、表示制御部150が投影させる画像に含まれる文字、或いは文字の一部の領域を明示するために設けた画像であればよい。
【0075】
ここで、文字の位置を正しく認識し難い症状を有する人は、文字が投射スクリーンに投影されていたとしても、文字が表示されている位置を認知することが難しい場合がある。また、発明者らは、投射スクリーンが透光性のあるスクリーン(例えば、アクリル板やガラス板等)に文字を投影する場合において、そのような症状を有する人は文字を認知することがより困難になりやすい知見を得た。上述した表示システム1のように、文字を枠で取り囲むようにすることで、文字の位置を正しく認識し難い症状を有する人であっても文字が存在すること認知させやすくなる。
【0076】
以上のように、本実施形態において、表示システム1は、画像に含まれる文字を囲む枠を表示するので、ユーザが文字を認識しやすくなるようにできる。
【0077】
また、一実施形態において、表示システムは、表示制御部が表示態様をユーザの認識能力を示す情報に基づいて第1態様に決定し、第1態様とユーザを特定するためのID(以下、単にIDともいう)を紐付けて記憶し、IDに基づいて表示態様を決定してもよい。
【0078】
図10は、一実施形態に係る表示システムの動作の一例を示す図である。
【0079】
本例の表示システム1を利用するユーザは、ユーザの認識能力を示す情報に紐づくIDをICカード、或いはスマートフォンに記憶させている。
【0080】
ステップS201において、表示制御部150は、認識能力を示す情報及びユーザを特定するためのIDを取得部120から取得する。IDは、名前、住所、識別番号、電話番号、メールアドレス、又はこれらの組み合わせであってよい。
【0081】
ステップS202において、表示制御部150は、IDに対応する所定の表示態様(以下、第1態様ともいう)が記憶部140にされているか判定する。ステップS202において、IDに対応する第1態様が記憶部140に記憶されている場合、ステップS203に処理を進める。一方で、ユーザを特定するためのIDに対応する第1態様が記憶部140に記憶されていない場合、ステップ204に処理を進める。
【0082】
ステップS204において、表示制御部150は、ユーザの認識能力を示す情報に基づいて、画像の表示態様を決定する。表示制御部150は、決定した表示態様で投影装置200に画像を投影させ、ステップS205に処理を進める。ここで、ユーザの認識能力を示す情報に基づいて、画像の表示態様を決定するとは、上述の実施形態で説明したように、例えば、ユーザの認識能力を示す情報に応じて文字のサイズ、色、又は種類を決定したり、文字を囲む枠を追加すること決定したり、等を示す。
【0083】
ステップS205において、表示制御部150は、ステップS204において決定した表示態様を第1態様としてユーザを特定するためのIDと紐づけて記憶部140に記憶させ、処理を終了する。
【0084】
ステップS203において、表示制御部150は、IDに基づいて記憶部140を参照し、当該IDに対応する第1態様を画像の表示態様として決定し、決定した表示態様で投影装置200に画像を投影させる。
【0085】
以上のように、本実施形態において、表示システム1は、ユーザを特定するためのIDと、ユーザの認識能力を示す情報に基づいた第1態様と、を紐づける。すなわち、本実施形態の表示システム1をユーザが過去に利用していれば、IDの情報さえ表示システム1に入力すれば、ユーザに適した表示態様で画像を投影させることができる。例えば、ユーザが過去に表示システム1を利用していれば、ICカード、或いはスマートフォンをユーザが所有していなくとも、操作部130を介してIDを表示制御部150に入力すれば、表示制御部150は画像の表示態様をユーザに適した態様(第1態様)に変更させることができる。
【0086】
また、一実施形態において、表示システムの表示制御部は、画像の表示態様を第1態様に決定した後に、操作部から入力されたユーザの操作に応じて画像の表示態様を第2態様に決定すると、IDと第2態様とを対応付け、IDと第2態様とを対応付けた後、IDに基づいて、画像の表示態様を第2態様に決定してもよい。
【0087】
表示制御部150は、
図10のステップ203又はステップ205の後に、ユーザから画像の表示態様の変更を指示する操作(以下、単にユーザ操作ともいう)が操作部130を介して入力されると、当該操作に応じた表示態様で画像を投影させる。ここでユーザ操作とは、例えば、画像に含まれる文字の大きさを変更する操作、文字の色を変更する操作、文字を囲む枠の位置、色、種類、又は大きさ等を変更する操作である。すなわち、ユーザ操作とは、画像の表示態様である第1態様に対してユーザが手入力により表示態様を自身にとってより最適に調整する操作を示す。
【0088】
そして、表示制御部150は、ユーザ操作が操作部130を介して入力されると、ユーザ操作により変更された画像の表示態様を第2態様として、第1態様の替わりにIDと紐づけて記憶部140に記憶させる。
【0089】
IDと第2態様とを対応付けた後、表示制御部150は、例えば、
図10のS203において、IDに基づいて記憶部140を参照し、画像の表示態様を第1態様の替わりに第2態様に決定する。
【0090】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0091】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態について装置を中心に説明してきたが、本開示に係る実施形態は装置の各構成部が実行するステップを含む方法としても実現し得るものである。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0092】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1表示物は、第2表示物と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【0093】
本開示の各実施形態の通信部、取得部、操作部、記憶部、及び表示制御部の一部、或いは全部は、投影装置にハードウェアとして、或いはソフトウェアとして含まれてよい。
【0094】
表示制御装置100が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0095】
100 :表示制御装置
110 :通信部
120 :取得部
130 :操作部
140 :記憶部
141 :制御プログラム
150 :表示制御部
200 :投影装置
300 :枠