(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167802
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】フレキシブル表示装置用金属支持体及びフレキシブル表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20241127BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20241127BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20241127BHJP
【FI】
G09F9/30 310
G09F9/30 308Z
H10K77/10
H10K59/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084141
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅允
(72)【発明者】
【氏名】飯岡 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】藤田 善博
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸一郎
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107CC43
3K107DD17
3K107EE63
3K107FF15
5C094AA31
5C094AA36
5C094BA23
5C094BA27
5C094BA43
5C094DA06
5C094FA01
5C094FA02
5C094FA04
5C094FB02
5C094HA10
5C094JA01
5C094JA08
(57)【要約】
【課題】フレキシブル表示装置の屈曲部分の屈曲耐性を向上させることが可能な、フレキシブル表示装置用金属支持体及びフレキシブル表示装置を提供する。
【解決手段】フレキシブル表示装置用金属支持体10の基材20は、第1面21と、第1面21の反対側の第2面22と、第2面22に形成された凹部23と、を備える。第1面21及び第2面22は、それぞれ第1方向D軸と第2方向D2軸とによって形成される平面に平行である。凹部23は、底部23aを有し、凹部23の底部23aに、応力緩和パターン30が形成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を備えたフレキシブル表示装置用金属支持体において、
前記基材は、
第1面と、
前記第1面の反対側の第2面と、
前記第2面に形成された凹部と、を備え、
前記第1面及び前記第2面は、それぞれ第1方向と第2方向とによって形成される平面に平行であり、
前記凹部は、底部を有し、
前記凹部の前記底部に、応力緩和パターンが形成されている、フレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項2】
前記応力緩和パターンは、前記凹部の前記底部から前記第2面側に向けて突出する隆起部を含む、請求項1に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項3】
前記凹部の長手方向に垂直な断面において、前記凹部の最深部の深さに対する、前記隆起部の高さの割合は、1%以上10%以下である、請求項2に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項4】
前記凹部の長手方向に垂直な断面において、前記凹部の最深部の深さは、前記基材の厚みの30%以上90%以下であり、前記隆起部の高さは、1μm以上10μm以下である、請求項2に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項5】
前記隆起部は、1つの前記凹部に対して複数存在し、複数の前記隆起部が、前記凹部の長手方向に沿って間隔を空けて配置されている、請求項2に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項6】
前記隆起部の前記第1方向に沿う長さは、20μm以上300μm以下である、請求項2に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項7】
前記隆起部は、前記凹部の長手方向の全域に沿って延びている、請求項2に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項8】
基材を備えたフレキシブル表示装置用金属支持体において、
前記基材は、
第1面と、
前記第1面の反対側の第2面と、
前記第2面に形成された凹部と、を備え、
前記第1面及び前記第2面は、それぞれ第1方向と第2方向とによって形成される平面に平行であり、
前記凹部は、底部を有し、
前記凹部の前記底部から前記第2面側に向けて突出する隆起部が形成されている、フレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項9】
表示部材と、
前記表示部材を支持する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体と、を備えた、フレキシブル表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレキシブル表示装置用金属支持体及びフレキシブル表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばスマートフォン、タブレット等の表示装置において、折り畳み可能なものが知られている。このような表示装置としては、その一部分に屈曲可能な屈曲部分を有する、フレキシブル表示装置が存在する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、フレキシブル表示装置を折り畳んだときの屈曲部分の形状をより小さくすることが求められている。すなわち、屈曲部分の曲率半径をより小さくすることが求められている。
【0005】
屈曲部分の曲率半径を小さくするために、屈曲部分に凹部等のパターンを形成することが考えられる。しかしながら、屈曲部分に凹部を設ける場合、凹部が存在する薄い部分に応力が集中し、この部分が破断しやすくなるおそれがある。
【0006】
本開示は、フレキシブル表示装置の屈曲部分の屈曲耐性を向上させることが可能な、フレキシブル表示装置用金属支持体及びフレキシブル表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施の形態は、以下の[1]~[9]に関する。
【0008】
[1]基材を備えたフレキシブル表示装置用金属支持体において、前記基材は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第2面に形成された凹部と、を備え、前記第1面及び前記第2面は、それぞれ第1方向と第2方向とによって形成される平面に平行であり、前記凹部は、底部を有し、前記凹部の前記底部に、応力緩和パターンが形成されている、フレキシブル表示装置用金属支持体。
【0009】
[2]前記応力緩和パターンは、前記凹部の前記底部から前記第2面側に向けて突出する隆起部を含む、[1]に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0010】
[3]前記凹部の長手方向に垂直な断面において、前記凹部の最深部の深さに対する、前記隆起部の高さの割合は、1%以上10%以下である、[2]に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0011】
[4]前記凹部の長手方向に垂直な断面において、前記凹部の最深部の深さは、前記基材の厚みの30%以上90%以下であり、前記隆起部の高さは、1μm以上10μm以下である、[2]又は[3]のいずれか1つに記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0012】
[5]前記隆起部は、1つの前記凹部に対して複数存在し、複数の前記隆起部が、前記凹部の長手方向に沿って間隔を空けて配置されている、[2]乃至[4]のいずれか1つに記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0013】
[6]前記隆起部の前記第1方向に沿う長さは、20μm以上300μm以下である、[2]乃至[5]のいずれか1つに記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0014】
[7]前記隆起部は、前記凹部の長手方向の全域に沿って延びている、[2]に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0015】
[8]基材を備えたフレキシブル表示装置用金属支持体において、前記基材は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第2面に形成された凹部と、を備え、前記第1面及び前記第2面は、それぞれ第1方向と第2方向とによって形成される平面に平行であり、前記凹部は、底部を有し、前記凹部の前記底部から前記第2面側に向けて突出する隆起部が形成されている、フレキシブル表示装置用金属支持体。
【0016】
[9]表示部材と、前記表示部材を支持する、[1]乃至[8]のいずれか1つに記載のフレキシブル表示装置用金属支持体、を備えた、フレキシブル表示装置。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、フレキシブル表示装置の屈曲部分の屈曲耐性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置を示す斜視図。
【
図2】
図2は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置を示す平面図。
【
図3】
図3は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置(展開状態)を示す断面図(
図2のIII-III線断面図)。
【
図4】
図4は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置(折畳状態)を示す断面図。
【
図5】
図5は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す平面図。
【
図6】
図6は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す部分断面図(
図5のVI-VI線断面図)。
【
図7】
図7は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す部分拡大断面図(
図6のVII部拡大図)。
【
図8】
図8は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体を基材の第2面側から見た部分拡大斜視図。
【
図9】
図9(a)-(d)は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法を示す断面図。
【
図10】
図10は、フレキシブル表示装置用金属支持体を屈曲させた状態を示す断面図。
【
図11】
図11は、変形例によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の実施の形態について、
図1乃至
図10を参照して説明する。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
【0020】
本明細書中、第1方向D1とは、フレキシブル表示装置用金属支持体10又はフレキシブル表示装置70の主たる面に平行な平面上に位置し、かつ折り曲げ中心線FLに対して垂直な方向をいう。第2方向D2とは、フレキシブル表示装置用金属支持体10又はフレキシブル表示装置70の主たる面に平行な平面上に位置し、かつ折り曲げ中心線FLに対して平行な方向をいう。第1方向D1及び第2方向D2は、それぞれフレキシブル表示装置用金属支持体10又はフレキシブル表示装置70の各辺に平行な方向であっても良い。また第1方向D1と第2方向D2とは互いに直交する。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2の両方に対して垂直な方向であり、フレキシブル表示装置用金属支持体10又はフレキシブル表示装置70の厚み方向に平行な方向をいう。
【0021】
(フレキシブル表示装置用金属支持体の構成)
図1乃至
図4により、本実施の形態によるフレキシブル表示装置の概略について説明する。
図1乃至
図4は、本実施の形態によるフレキシブル表示装置を示す図である。
【0022】
図1及び
図2に示すフレキシブル表示装置70は、例えば有機EL表示装置であっても良い。フレキシブル表示装置70は、フレキシブルであり、折り曲げ可能な構造となっている。フレキシブル表示装置70は、折り曲げた状態の折曲状態(
図4参照)と、開いた状態の展開状態(
図2及び
図3参照)とをとることができる。折曲状態とは、フレキシブル表示装置70を、折り曲げ中心線FLを中心に折り曲げた状態である。折曲状態において、表示部材71の外面同士が接近する方向に折り曲げられる。なお、これに限らず、筐体78の外面同士が接近する方向に折り曲げられても良い。展開状態とは、フレキシブル表示装置70を、折り曲げることなく、開いた状態である。展開状態において、表示部材71の面は、その全体が実質的に同一平面上に位置する。フレキシブル表示装置70は、画像を表示する部分を有する薄型の電子機器であっても良い。このような電子機器は、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯端末機器であっても良い。
【0023】
図3に示すように、フレキシブル表示装置70は、表示部材71と、フレキシブル表示装置用金属支持体10と、を備える。以下、フレキシブル表示装置用金属支持体10を、単に金属支持体10ともいう。金属支持体10は、表示部材71を支持する。表示部材71と金属支持体10との間には、クッションシート等の緩衝層76が設けられる。金属支持体10は、接着層79を介して緩衝層76に接着される。金属支持体10の、表示部材71の反対側の面には、放熱層77が配置される。さらに、表示部材71、緩衝層76、接着層79、金属支持体10及び放熱層77は、筐体78に支持される。
【0024】
表示部材71は、支持基材72と、薄膜トランジスタ(TFT)73と、有機EL素子74と、封止樹脂75とを有する。薄膜トランジスタ73は、支持基材72上に配置される。有機EL素子74は、薄膜トランジスタ73上に配置される。封止樹脂75は、有機EL素子74上に配置される。
【0025】
支持基材72は、表示部材71の全体を支持するものであり、可撓性を有するフィルムであっても良い。支持基材72としては、例えばポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂材料を用いても良い。薄膜トランジスタ73は、有機EL素子74を駆動するためのものであり、有機EL素子74の電極に印加される電圧を制御する。有機EL素子74は、それ自体が発光することにより画像等を表示する。有機EL素子74は、薄膜トランジスタ73に電気的に接続されている。有機EL素子74は、発光部と称しても良い。有機EL素子74は、図示しない反射電極と、有機発光層と、透明電極とを有しても良い。封止樹脂75は、有機EL素子74を封止し、有機EL素子74を保護するためのものである。表示部材71は、有機EL表示装置に限られるものではない。例えば、表示部材71は、それ自体が発光する機能をもつ他の表示装置であっても良い。表示部材71は、マイクロLED素子(発光体)を含むマイクロLED表示装置であっても良い。
【0026】
緩衝層76は、フレキシブル表示装置70を折り曲げたときに表示部材71へ加わる応力を緩和する層である。緩衝層76は、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ系樹脂等の弾力性をもつ樹脂材料の層であっても良い。金属支持体10は、フレキシブル表示装置70を折り曲げるときの屈曲強度を高める部材である。なお、金属支持体10の構成については後述する。
【0027】
放熱層77は、表示部材71からの熱を外部へ放出するための層である。放熱層77は、銅、ニッケル等の金属層であっても良い。放熱層77は、電解めっきにより作製されためっき層であっても良い。筐体78は、表示部材71、緩衝層76、金属支持体10及び放熱層77を収容して保護する。筐体78は、折り曲げ中心線FLを中心に折り曲げ可能な構造を有する。
【0028】
接着層79は、金属支持体10を表示部材71に直接的又は間接的に接着する層である。接着層79は、光学透明性を有していても良い。接着層79は、OCA(Optical Clear Adhesive)層であっても良い。OCA層は、例えば以下のようにして作製された層である。まずポリエチレンテレフタレート(PET)等の離型フィルム上に、重合性化合物を含む液状の硬化性接着層用組成物を塗布する。次に、硬化性接着層用組成物を例えば紫外線(UV)等を用いて硬化し、OCAシートを得る。このOCAシートを対象物に貼合した後、離型フィルムを剥離除去することにより、上記OCA層を得る。
【0029】
フレキシブル表示装置70は、屈曲領域BAと、非屈曲領域NAとを含む。屈曲領域BAは、フレキシブル表示装置70が折曲状態(
図4参照)をとるときに、物理的に変形する領域である。折り曲げ中心線FLは、屈曲領域BAの略中心に位置する。非屈曲領域NAは、フレキシブル表示装置70が折曲状態(
図4参照)をとるときに、実質的に変形しない領域である。第1方向D1において、屈曲領域BAの両側にそれぞれ非屈曲領域NAが存在する。2つの非屈曲領域NAの、第1方向D1に沿う長さは互いに略同一であっても良い。これに限らず、2つの非屈曲領域NAの、第1方向D1に沿う長さは互いに異なっても良い。また屈曲領域BAは、フレキシブル表示装置70の第1方向D1の中央に存在する。これに限らず、屈曲領域BAは、フレキシブル表示装置70の第1方向D1の中央以外の位置にあっても良い。
【0030】
(フレキシブル表示装置用金属支持体の構成)
図5乃至
図8により、本実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体の概略について説明する。
図5及び
図6は、本実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す図である。
図7は、
図6の部分拡大図である。
図8は、フレキシブル表示装置用金属支持体を基材の第2面側から見た部分拡大斜視図である。
【0031】
図5及び
図6に示すように、金属支持体10は、基材20を備える。基材20は、第1面21と、第2面22と、凹部23とを有する。第1面21は、フレキシブル表示装置70の表示部材71側を向く面である。第2面22は、フレキシブル表示装置70の放熱層77側を向く面である。第2面22は、第1面21の反対側に位置する。第1面21及び第2面22は、それぞれ第1方向D1軸と第2方向D2軸とによって形成される平面に平行である。凹部23は、第2面22に形成されている。凹部23は、底部23aを有する。凹部23の底部23aに、応力緩和パターン30が形成されている。応力緩和パターン30は、凹部23の底部23aから第2面22側に向けて突出する隆起部28を含む。
【0032】
金属支持体10は、屈曲領域BAと、非屈曲領域NAとを含む。屈曲領域BAは、フレキシブル表示装置70が折曲状態(
図4参照)をとるときに物理的に変形する領域である。折り曲げ中心線FLは、屈曲領域BAの略中心に位置する。非屈曲領域NAは、フレキシブル表示装置70が折曲状態(
図4参照)をとるときに、実質的に変形しない領域である。屈曲領域BA及び非屈曲領域NAは、それぞれ上述したフレキシブル表示装置70の屈曲領域BA及び非屈曲領域NAに対応する。
【0033】
基材20は、フレキシブル表示装置70を折り曲げるときの屈曲強度を高める部材である。基材20は、平面視で長方形形状を有している。この長方形は、一対の長辺が第1方向D1に平行であり、一対の短辺が第2方向D2に平行である。なお、これに限らず、一対の短辺が第1方向D1に平行であり、一対の長辺が第2方向D2に平行であっても良い。長方形の各角部は丸みを帯びていても良い。基材20は、平面視で正方形、多角形、又は円形であっても良い。基材20の平面形状は、フレキシブル表示装置70の平面形状に対応していても良い。この場合、基材20の平面形状は、フレキシブル表示装置70の平面形状と同一であっても良い。あるいは、基材20の平面形状は、フレキシブル表示装置70の平面形状よりも小さくても良い。
【0034】
基材20は、フレキシブルで屈曲可能な薄板の形状を有する。なお、本明細書中、「フレキシブル」とは、「曲率半径を少なくとも5.0mm以下、好ましくは3.0mm以下に曲げることが可能であること」をいう。
【0035】
基材20の第1方向D1に沿う長さL1は、100mm以上としても良く、200mm以上としても良い。基材20の第1方向D1に沿う長さL1は、500mm以下としても良く、400mm以下としても良い。基材20の第2方向D2に沿う長さL2は、50mm以上としても良く、150mm以上としても良い。基材20の第2方向D2に沿う長さL2は、400mm以下としても良く、350mm以下としても良い。
【0036】
基材20の厚みT1は、50μm以上としても良く、75μm以上としても良い。基材20の厚みT1を50μm以上とすることにより、基材20の強度が弱く支持体として成り立たなくなることを抑制できる。基材20の厚みT1は、150μm以下としても良い。基材20の厚みT1を150μm以下とするにより、屈曲領域BAの曲率半径を小さくし、屈曲耐性を向上できる。また金属支持体10が過度に重くなることを抑制できる。
【0037】
基材20は、金属から構成される。基材20は、主たる金属材料を含む。基材20の主たる金属材料としては、ステンレス等の鉄合金、チタン、アルミニウム合金、又はマグネシウム合金を用いても良い。基材20の主たる金属材料としてステンレスを用いた場合、基材20が良好なバネ性を持つため、基材20を屈曲させ易い。本明細書中、「主たる金属材料」とは、ある部材に50質量%超、好ましくは80質量%超含まれる金属材料をいう。
【0038】
基材20は、複数の凹部23を有する。複数の凹部23は、屈曲領域BAに設けられている。複数の凹部23は、ライン状に形成されても良い。複数の凹部23は、互いに平行に配置されても良い。複数の凹部23の平面形状は互いに同一であっても良く、互いに異なっても良い。複数の凹部23の深さd1は互いに同一であっても良く、互いに異なっても良い。各凹部23は、それぞれ第2方向D2に沿って直線状に延びる。各凹部23は、平面視で長方形状であっても良い。これに限らず、各凹部23は、平面視で例えば多角形形状又は円形形状を有していても良い。各凹部23は、平面視で角部が丸められた長方形形状を有していても良い。各凹部23は、基材20の第2方向D2の全体にわたって延びているが、基材20の第2方向D2の一部のみに存在しても良い。
【0039】
各凹部23は、基材20を第2面22側から薄肉化することにより形成されている。各凹部23は、第1面21までは達していない。すなわち各凹部23は、基材20を厚み方向に貫通しない非貫通孔である。各凹部23は、ハーフエッチングにより形成されたものであっても良い。本明細書中、「ハーフエッチング」とは、被エッチング材料をその厚み方向に途中までエッチングすることをいう。ハーフエッチング後の被エッチング材料の厚みは、ハーフエッチング前の被エッチング材料の厚みの例えば30%以上90%以下、好ましくは40%以上80%以下となる。本実施の形態において、第1面21には、凹部が形成されていないが、第1面21に凹部が形成されていても良い。
【0040】
各凹部23の第1方向D1に沿う長さL3は、50μm以上としても良く、100μm以上としても良い。各凹部23の第1方向D1に沿う長さL3は、1000μm以下としても良く、500μm以下としても良い。各凹部23の第1方向D1に沿う長さL3は、各凹部23の幅と称しても良い。各凹部23の第2方向D2に沿う長さL4は、50mm以上としても良く、100mm以上としても良い。各凹部23の第2方向D2に沿う長さL4は、400mm以下としても良く、300mm以下としても良い。各凹部23の第2方向D2に沿う長さL4は、基材20の第2方向D2に沿う長さL2と同一としても良い。なお、長さL3及び長さL4は、それぞれ第2面22における距離をいう。
【0041】
各凹部23の深さd1は、基材20の厚みT1の30%以上としても良く、50%以上としても良く、70%以上としても良い。各凹部23の深さd1は、基材20の厚みT1の90%以下としても良く、87%以下としても良く、85%以下としても良い。凹部23の深さd1は、凹部23の最深部23c(
図7)の深さである。凹部23の深さd1は、凹部23の最深部23cと第2面22との、第3方向D3に沿う距離をいう。各凹部23の深さd1は、25μm以上としても良く、50μm以上としても良く、70μm以上としても良い。各凹部23の深さd1は、135μm以下としても良く、120μm以下としても良く、100μm以下としても良い。また、凹部23の最深部23cにおける基材20の厚みT2は、基材20の厚みT1の5%以上としても良く、10%以上としても良く、15%以上としても良い。凹部23の最深部23cにおける基材20の厚みT2は、基材20の厚みT1の50%以下としても良く、40%以下としても良く、30%以下としても良い。なお、凹部23の最深部23cにおける基材20の厚みT2とは、凹部23の最深部23cと第1面21との第3方向D3に沿う距離をいう。
【0042】
基材20は、屈曲領域BAにおいて複数の土手部25を有する。各土手部25は、それぞれ第2方向D2に沿って直線状に延びる。複数の土手部25は、第1方向D1に互いに間隔を空けて配置されている。複数の土手部25の間には、それぞれ凹部23が形成される。すなわち凹部23と土手部25とは、第1方向D1に沿って交互に形成される。この場合、凹部23と土手部25とが互い違いに配置されるので、フレキシブル表示装置70を折り曲げたときに屈曲領域BAの特定の箇所に応力が集中することを緩和できる。
【0043】
複数の土手部25は、互いに平行に配置される。複数の土手部25の形状は互いに同一であっても良く、異なっても良い。各土手部25は、それぞれ第2方向D2に沿って直線状に延びる。各土手部25は、平面視で長方形状であっても良い。これに限らず、各土手部25は、平面視で凹部23の周囲を取り囲む形状を有していても良い。各土手部25は、基材20の第2方向D2の全体にわたって延びているが、基材20の第2方向D2の一部のみに存在しても良い。各土手部25は、少なくとも第2面22側からは薄肉化されていない。土手部25の厚みは、基材20の厚みT1と同一である。
【0044】
各土手部25の第1方向D1に沿う長さL5は、50μm以上としても良く、100μm以上としても良い。各土手部25の第1方向D1に沿う長さL5は、400μm以下としても良く、200μm以下としても良い。なお、長さL5は、第2面22における距離をいう。各土手部25の第2方向D2に沿う長さは、基材20の第2方向D2に沿う長さL2と同一としても良い。
【0045】
各土手部25の第1方向D1に沿う長さL5は、互いに同一であっても良い。あるいは、各土手部25の第1方向D1に沿う長さL5は、土手部25の場所によって変更しても良い。例えば、折り曲げ中心線FLに近い位置の土手部25の第1方向D1に沿う長さL5を、折り曲げ中心線FLから離れた位置の土手部25の第1方向D1に沿う長さL5よりも広くしても良い。これにより、金属支持体10を折り畳んだ際、屈曲領域BAのうち、折り曲げ中心線FLに近く、曲率半径が小さくなりやすい部分に負荷が加わることを抑制できる。
【0046】
図7を参照して、凹部23の断面形状について更に説明する。凹部23は、底部23aを有する。各底部23aには、応力緩和パターン30が形成されている。応力緩和パターン30は、金属支持体10を折り曲げた際、基材20の、凹部23が存在する部分に加わる応力を緩和する機能をもつパターンである。応力緩和パターン30は、補強部又は補強パターンと称しても良い。応力緩和パターン30は、平面視で所定のパターン状に形成されても良い。例えば、応力緩和パターン30は、平面視で規則性を持つ繰り返しのパターン形状を有しても良い(
図8参照)。
【0047】
本実施の形態において、応力緩和パターン30は、隆起部28を含む。隆起部28は、凹部23の底部23aから第2面22側に向けて突出する。各底部23aには、それぞれ複数の隆起部28が形成されている。隆起部28は、それぞれ底部23aから第2面22側に向けて突出する。凹部23に隆起部28が設けられていることにより、基材20の、凹部23が存在する部分に加わる応力を隆起部28及びその周辺に広く分散でき、基材20の屈曲耐性を高められる。
【0048】
各隆起部28は、ドット状に形成されても良い。複数の隆起部28は、凹部23の長手方向である第2方向D2に沿って互いに間隔を空けて配置されていても良い。複数の隆起部28の平面形状は互いに同一であっても良く、互いに異なっても良い。各隆起部28は、平面視で角部が丸められた長方形形状を有する。これに限らず、各隆起部28は、平面視で長方形状であっても良い。各隆起部28は、平面視で例えば正方形、長方形、菱形等の多角形形状、楕円形状、又は円形形状を有していても良い。第2方向D2に沿う複数の隆起部28のピッチP1(
図5参照)は、60μm以上としても良く、100μm以上としても良い。第2方向D2に沿う複数の隆起部28のピッチP1は、500μm以下としても良く、200μm以下としても良い。第2方向D2に沿う複数の隆起部28のピッチP1とは、第2方向D2において互いに隣接する隆起部28の隆起部表面28a(後述)の中心間距離をいう。
【0049】
第1方向D1に沿う各隆起部28の長さL6(
図5、
図7参照)は、20μm以上としても良く、50μm以上としても良い。第1方向D1に沿う各隆起部28の長さL6は、500μm以下としても良く、300μm以下としても良い。第2方向D2に沿う各隆起部28の長さL7は、20μm以上としても良く、50μm以上としても良い。第2方向D2に沿う各隆起部28の長さL7(
図5参照)は、500μm以下としても良く、300μm以下としても良い。ここで、第1方向D1に沿う各隆起部28の長さL6とは、隆起部28を通過しかつ第1方向D1に沿う断面において、凹部23に対して第1方向D1の両側に位置する一対の深部23d、23e(後述)間の、第1方向D1に沿う距離をいう。同様に、第2方向D2に沿う各隆起部28の長さL7とは、隆起部28を通過しかつ第2方向D2に沿う断面において、凹部23に対して第2方向D2の両側に位置する一対の深部間の、第2方向D2に沿う距離をいう。
【0050】
図7に示すように、凹部23は、底部23aと、側部23bとを有する。底部23aとは、凹部23の最深部23cからの第3方向D3に沿う距離が、凹部23の深さd1の10%以下となる領域をいう。底部23aは、凹部23の開口が位置する第2面22よりも第1面21側に位置しており、凹部23の上下関係は問わない。側部23bとは、凹部23の最深部23cからの第3方向D3に沿う距離が、凹部23の深さd1の10%超となる領域をいう。側部23bは、底部23aに対して第1方向D1の両側にそれぞれ位置する。側部23bは、底部23aから第2面22まで延びる。底部23a及び側部23bは、それぞれ断面視で第1面21側に向けて湾曲した曲線から構成されていても良い。
【0051】
隆起部28は、底部23aから第2面22側に向けて突出する。隆起部28は、隆起部表面28aと、隆起部周縁部28bとを有する。隆起部表面28aには、頂部28cが存在する。頂部28cとは、隆起部28のうち第2面22に最も近い位置をいう。隆起部表面28aとは、隆起部28のうち、頂部28cからの第3方向D3に沿う距離が隆起部28の高さH1(後述)の10%以内となる領域をいう。隆起部周縁部28bは、隆起部表面28aの周囲に位置する。隆起部周縁部28bは、隆起部表面28aから深部23d、23e側に傾斜して延びても良い。隆起部周縁部28bとは、隆起部28のうち、頂部28cからの第3方向D3に沿う距離が隆起部28の高さH1(後述)の10%超となる領域をいう。
【0052】
隆起部28に対して第1方向D1の両側には、一対の深部23d、23eが位置する。一方の深部23dは、隆起部28に対して第1方向D1の一方の側における最も深い箇所であり、第2面22からの距離が最も遠い箇所である。他方の深部23eは、隆起部28に対して第1方向D1の他方の側における最も深い箇所であり、第2面22からの距離が最も遠い箇所である。最深部23cは、隆起部28を通過しかつ凹部23の長手方向に垂直な断面において、凹部23の最も深い箇所であり、第2面22からの距離が最も遠い箇所である。一方の深部23d及び他方の深部23eの一方が最深部23cであっても良く、一方の深部23d及び他方の深部23eの両方が最深部23cであっても良い。
【0053】
凹部23の長手方向に垂直な断面において、隆起部28の高さH1は、0.5μm以上としても良く、2μm以上としても良く、4μm以上としても良い。隆起部28の高さH1は、10μm以下としても良く、8μm以下としても良く、6μm以下としても良い。本実施の形態において、凹部23の長手方向に垂直な断面とは、第1方向D1に沿う断面である。隆起部28の高さH1とは、凹部23の最深部23cから頂部28cまでの第3方向D3に沿う距離をいう。隆起部28の高さH1を1μm以上とすることにより、凹部23の位置で基材20に加わる応力を隆起部28及びその周辺に広く分散でき、基材20の屈曲耐性を高められる。隆起部28の高さH1を10μm以下とすることにより、凹部23の両側に位置する一対の深部23d、23e付近に応力が集中することを抑え、基材20の屈曲耐性を高められる。
【0054】
凹部23の長手方向に垂直な断面において、凹部23の最深部23cの深さd1に対する、隆起部28の高さH1の割合((d1/H1)×100(%))は、1%以上としても良く、3%以上としても良い。凹部23の最深部23cの深さd1に対する、隆起部28の高さH1の割合は、10%以下としても良く、7%以下としても良い。上記割合を1%以上とすることにより、凹部23の位置で基材20に加わる応力を隆起部28及びその周辺に広く分散でき、基材20の屈曲耐性を高められる。上記割合を10%以下とすることにより、凹部23の両側に位置する一対の深部23d、23e付近に応力が集中することを抑え、基材20の屈曲耐性を高められる。
【0055】
凹部23の長手方向に垂直な断面において、隆起部28の頂部28cと第2面22との距離d2(=d1-H1)は、15μm以上としても良く、42μm以上としても良く、64μm以上としても良い。隆起部28の頂部28cと第2面22との距離d2は、134μm以下としても良く、118μm以下としても良く、96μm以下としても良い。上記距離d2は、隆起部28の深さと称しても良い。
【0056】
本実施の形態において、1つの凹部23内で、複数の隆起部28が、凹部23の長手方向に沿って一列に配置されている。また、隆起部28は、第1方向D1における凹部23の中心位置に存在する。これに限らず、1つの凹部23内で、複数の隆起部28が、凹部23の長手方向に沿って複数列に配置されていても良い。この場合、各隆起部28は、第1方向D1における凹部23の中心位置に存在しても良く、第1方向D1における凹部23の中心位置に存在しなくても良い。
【0057】
(フレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法)
次に、
図5及び
図6に示す金属支持体10の製造方法について、
図9(a)-(d)を用いて説明する。
【0058】
まず
図9(a)に示すように、エッチングされていない平板状の基材20Aを準備する。この基材20Aとしては、ステンレス等の鉄合金又はチタンを用いても良い。基材20Aは、第1面21と第2面22とを有する。なお基材20Aは、第1面21及び第2面22に対して脱脂等を行い、洗浄処理を施したものを使用することが好ましい。
【0059】
次に、
図9(b)に示すように、基材20A上に第1保護層51及び第2保護層52を設ける。具体的には、基材20Aの第1面21上に第1保護層51を設け、基材20Aの第2面22上に第2保護層開口52aを有する第2保護層52を設ける。第1保護層51は開口を有していなくても良い。第1保護層51及び第2保護層52は、それぞれレジスト層であっても良い。この際、まず基材20Aの第1面21及び第2面22の全体にそれぞれ感光性レジストを塗布し、乾燥する。続いて、基材20Aの第1面21及び第2面22上の感光性レジストに対してそれぞれフォトマスクを介して露光し、現像する。これにより、基材20Aの第1面21上に第1保護層51を形成し、第2面22上に第2保護層開口52aを有する第2保護層52を形成する。
【0060】
次いで、
図9(c)に示すように、第1保護層51及び第2保護層52を耐腐蝕膜として基材20Aの第2面22に腐蝕液でエッチングを施す。腐蝕液は、基材20Aの材質に応じて適宜選択できる。例えば、基材20Aとしてステンレスを用いる場合、腐蝕液として塩化第二鉄を主成分とする塩酸との混合液、またはこれに硝酸を加えた混合液を用いてもよい。上記腐蝕液は、基材20Aに対してスプレーエッチングしても良い。これにより、第2面22側から基材20Aがエッチングされ、基材20Aを貫通しない凹部23が形成される。このとき、例えば第2保護層開口52aのパターン形状を適宜調整することにより、凹部23の底部23aに、応力緩和パターン30が形成される。具体的には、凹部23に、底部23aから第2面22側に向けて突出する隆起部28が形成される。なお、第1保護層51に覆われた第1面21はエッチングされなくても良い。
【0061】
その後、
図9(d)に示すように、基材20Aの第1面21上の第1保護層51と、基材20Aの第2面22上の第2保護層52とをそれぞれ剥離除去する。このようにして、
図5及び
図6に示す金属支持体10が得られる。
【0062】
このように本実施の形態によれば、基材20が凹部23を有する。これにより、金属支持体10をフレキシブル表示装置70に組み込んだ際、フレキシブル表示装置70の屈曲領域BAの屈曲性を高めることができる。この結果、
図10に示すように、フレキシブル表示装置70を折り畳んだときに屈曲領域BAの曲率半径をより小さくできる。
【0063】
フレキシブル表示装置70においては、屈曲領域BAが繰り返し折り曲げられたとき、基材20の最も薄い箇所、すなわち凹部23の幅方向中心付近(
図10の丸囲み部分)に応力が集中しやすい。このため、屈曲領域BAを繰り返し折り曲げることにより、基材20の最も薄い箇所が劣化し、破断するおそれがある。これに対して本実施の形態によれば、凹部23の底部23aに応力緩和パターン30が形成されている。具体的には、凹部23の底部23aから第2面22側に向けて突出する隆起部28が形成されている。これにより、フレキシブル表示装置70を繰り返し折り曲げたとき、基材20の最も薄い箇所に生じる応力を分散できる。具体的には、凹部23の位置で基材20に加わる応力を、隆起部28及びその周辺に広く分散できる。この結果、屈曲領域BAを繰り返し折り曲げたときに、基材20の最も薄い箇所が劣化することを抑え、この部分の破断を抑制できる。
【0064】
また本実施の形態によれば、複数の隆起部28が、1つの凹部23の長手方向に沿って間隔を空けて配置されている。これにより、フレキシブル表示装置70を繰り返し折り曲げたとき、基材20に加わる応力を凹部23の長手方向に沿って分散できる。この結果、屈曲領域BAを繰り返し折り曲げたときに、基材20の最も薄い箇所が劣化することを抑え、この部分の破断を抑制できる。
【0065】
また本実施の形態によれば、凹部23は第2面22に形成され、第1面21には形成されていない。この場合、第1面21の凹部によって生じる凹凸が表示部材71に影響を及ぼすことを抑制できる。これにより、フレキシブル表示装置70の平坦性を維持できる。
【0066】
また本実施の形態によれば、凹部23は、平面視でライン状に配置される。これにより、フレキシブル表示装置70を折り曲げたときの屈曲性を向上できる。
【0067】
また本実施の形態によれば、基材20が凹部23を有することにより、金属支持体10を軽量化できる。
【0068】
(変形例)
次に、
図11を参照して、本実施の形態の変形例について説明する。
図11は、本実施の形態の変形例を示す図である。
図11において、
図1乃至
図10に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
図11に示すように、凹部23の底部23aに、応力緩和パターン30が形成されている。応力緩和パターン30は、凹部23の底部23aから第2面22側に向けて突出する隆起部28を含む。この場合、隆起部28は、凹部23の長手方向の全域に沿って延びている。第2方向D2に沿う各隆起部28の長さL8は、基材20の第2方向D2に沿う長さL2と同一としても良い。本変形例において、1つの凹部23内で、1つの隆起部28が、凹部23の長手方向に沿って配置されている。また、隆起部28は、第1方向D1における凹部23の中心位置に存在する。これに限らず、1つの凹部23内で、複数の隆起部28が、凹部23の長手方向に沿って複数配置されていても良い。この場合、隆起部28は、第1方向D1における凹部23の中心位置に存在しても良く、第1方向D1における凹部23の中心位置に存在しなくても良い。このほかの構成は、
図1乃至
図10に示す形態と略同一としても良い。
【0070】
本変形例によれば、フレキシブル表示装置70を繰り返し折り曲げたとき、基材20の最も薄い箇所に生じる応力を分散でき、基材20の屈曲領域BAの屈曲耐性を向上できる。
【0071】
[実施例]
次に、本実施の形態における具体的実施例について説明する。
【0072】
(実施例1)
ステンレス鋼製の金属支持体を作製した。この金属支持体は、各辺の長さが150mm×120mmの長方形状であった。金属支持体を構成する基材の厚みは、100μmであった。この金属支持体の第2面に1つの凹部を形成した。凹部の底部には、第2面側に向けて突出する隆起部を形成した。このとき、凹部の最深部の深さは、82μmであり、隆起部の高さは1μmであった。隆起部の頂部と第2面との距離(以下、隆起部の深さともいう)は、81μmであった。金属支持体(実施例1)において、最深部の深さに対する隆起部の高さの割合(%)は、1.22%であった。
【0073】
(実施例2)
凹部の最深部の深さが83μmであり、隆起部の高さが3μmであり、隆起部の深さが80μmであったこと、以外は上記実施例1と同様にして、金属支持体(実施例2)を作製した。金属支持体(実施例2)において、最深部の深さに対する隆起部の高さの割合(%)は、3.61%であった。
【0074】
(実施例3)
凹部の最深部の深さが79μmであり、隆起部の高さが5μmであり、隆起部の深さが74μmであったこと、以外は上記実施例1と同様にして、金属支持体(実施例3)を作製した。金属支持体(実施例3)において、最深部の深さに対する隆起部の高さの割合(%)は、6.33%であった。
【0075】
(実施例4)
凹部の最深部の深さが75μmであり、隆起部の高さが7μmであり、隆起部の深さが68μmであったこと、以外は上記実施例1と同様にして、金属支持体(実施例4)を作製した。金属支持体(実施例4)において、最深部の深さに対する隆起部の高さの割合(%)は、9.33%であった。
【0076】
(比較例1)
隆起部を形成しなかったこと、以外は上記実施例1と同様にして、金属支持体(比較例1)を作製した。金属支持体(比較例1)において、凹部の最深部の深さは80μmであった。
【0077】
[屈曲耐性の評価]
各金属支持体(実施例1-4及び比較例1)について、繰返し屈曲破断回数を測定することにより屈曲耐性を評価した。繰返し屈曲破断回数は、クラムシェル型屈曲試験機(ユアサシステム機器株式会社製:DR11MR4)を用いて測定した。具体的には、各金属支持体を、曲率半径がR=1.5mmになるまで折り曲げた状態とし、次いで、開いた状態に戻すというサイクルを繰り返した。各金属支持体が破断したときのサイクル数を、繰返し屈曲破断回数とした。各金属支持体は、凹部を中心として、第1面が接近する方向に折り曲げた。
【0078】
このときの評価結果を以下に示す。繰返し屈曲破断回数が3000回以下の例を「不可」と評価し、3001回以上10000回以下の例を「可」と評価した。繰返し屈曲破断回数が10001回以上20000回以下の例を「良」と評価し、20001回以上の例を「優」と評価した。
【0079】
【0080】
このように、実施例1-4の金属支持体は、いずれも繰返し屈曲破断回数が3001回以上となり、十分な屈曲耐性を有していた。比較例1の金属支持体は、繰返し屈曲破断回数が3000回以下であり、屈曲耐性が不十分であった。
【0081】
上記各実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 フレキシブル表示装置用金属支持体
20 基材
21 第1面
22 第2面
23 凹部
23a 底部
23c 最深部
25 土手部
28 隆起部
30 応力緩和パターン
70 フレキシブル表示装置