(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167806
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04886 20220101AFI20241127BHJP
G06F 3/023 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
G06F3/04886
G06F3/023 470
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084148
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】仲西 眞一
【テーマコード(参考)】
5B020
5E555
【Fターム(参考)】
5B020DD30
5E555BA02
5E555BA09
5E555BA10
5E555BA12
5E555BA27
5E555BB02
5E555BB09
5E555BB10
5E555BB12
5E555BB27
5E555CA12
5E555CA17
5E555CA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 ユーザーがソフトウェアキーボードに対して比較的短時間で所望の文字列の入力を行うことができる電子機器を得る。
【解決手段】 入力処理部21は、(a)ソフトウェアキーボードにおける複数のソフトキーによって文字入力操作が検出された場合に、特定した複数のソフトキーのそれぞれについての接触面積に基づいて、その複数のソフトキーに対応する複数の文字から第1候補文字および第2候補文字を特定し、(b)複数回の文字入力操作に対応する第1候補文字および第2候補文字を組み合わせて複数の候補文字列を生成し、候補文字列に基づいて単語検索を行い、(c)単語検索で発見された単語を候補単語とし、(d)その候補単語を表示装置11に表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアキーボードを表示する表示装置と、
前記ソフトウェアキーボードに対する文字入力操作を検出する入力装置と、
前記文字入力操作に基づいて、ユーザーにより入力された文字列を特定する入力処理部とを備え、
前記入力処理部は、(a)前記ソフトウェアキーボードにおける複数のソフトキーによって前記文字入力操作が検出された場合に、特定した前記複数のソフトキーのそれぞれについての接触面積に基づいて、前記複数のソフトキーに対応する複数の文字から第1候補文字および第2候補文字を特定し、(b)複数回の前記文字入力操作に対応する前記第1候補文字および前記第2候補文字を組み合わせて複数の候補文字列を生成し、候補文字列に基づいて単語検索を行い、(c)前記単語検索で発見された単語を候補単語とし、(d)前記候補単語を前記表示装置に表示すること、
を特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記入力処理部は、前記複数の候補文字列の一部または全部並びに前記候補単語を前記表示装置に表示することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記入力処理部は、前記複数のソフトキーのうち、前記接触面積が最も大きいソフトキーに対応する文字を前記第1候補文字とし、前記接触面積が2番目に大きいソフトキーに対応する文字を前記第2候補文字とすることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記入力処理部は、前記複数回の文字入力操作の各回について前記第1候補文字および前記第2候補文字の一方を選択文字として選択し、前記文字入力操作の回数に沿って順番に前記選択文字を配列して、前記候補文字列を生成することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記入力処理部は、(a)前記ソフトウェアキーボードにおける単一のソフトキーによって前記文字入力操作が検出された場合は、前記単一のソフトキーに対応する文字を前記第1候補文字および前記第2候補文字とすることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小さいソフトウェアキーボードの場合、1回の接触操作で複数のキーへの接触が発生することがある。ある入力受付装置は、タッチパネルディスプレイでソフトウェアキーボードを表示し、ソフトウェアキーボード内のソフトキーに対する接触操作が検出されると、接触操作が検出された複数のソフトキーのそれぞれについての接触面積に対応する表示態様に、その複数のソフトキーの表示態様を切り替え、切替後の操作に基づいて入力文字を特定している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の入力受付装置では、表示態様の切替後に行われる操作に基づいて入力文字が特定されるため、1文字ごとに入力文字の特定のための操作が必要になり文字列の入力に時間がかかってしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ユーザーがソフトウェアキーボードに対して比較的短時間で所望の文字列の入力を行うことができる電子機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子機器は、ソフトウェアキーボードを表示する表示装置と、前記ソフトウェアキーボードに対する文字入力操作を検出する入力装置と、前記文字入力操作に基づいて、ユーザーにより入力された文字列を特定する入力処理部とを備える。そして、前記入力処理部は、(a)前記ソフトウェアキーボードにおける複数のソフトキーによって前記文字入力操作が検出された場合に、特定した前記複数のソフトキーのそれぞれについての接触面積に基づいて、前記複数のソフトキーに対応する複数の文字から第1候補文字および第2候補文字を特定し、(b)複数回の前記文字入力操作に対応する前記第1候補文字および前記第2候補文字を組み合わせて複数の候補文字列を生成し、候補文字列に基づいて単語検索を行い、(c)前記単語検索で発見された単語を候補単語とし、(d)前記候補単語を前記表示装置に表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザーがソフトウェアキーボードに対して比較的短時間で所望の文字列の入力を行うことができる電子機器が得られる。
【0008】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1における操作パネル4の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す操作パネル4に表示されるソフトウェアキーボードおよび候補文字列および候補単語の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す電子機器の動作について説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図1に示す電子機器において特定される候補文字列および候補単語について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器の構成を示すブロック図である。
図1に示す電子機器は、複合機であるが、プリンター、スキャナー、コピー機、ファクシミリ機などといった画像形成装置でもよいし、パーソナルコンピューターなどといった情報処理装置でもよい。
【0012】
図1に示す電子機器は、プリント装置1、画像読取装置2、ネットワーク通信装置3、操作パネル4、記憶装置5、およびコントローラー6を備える。
【0013】
プリント装置1は、原稿画像をプリント用紙にプリントする内部装置である。画像読取装置2は、原稿から原稿画像を光学的に読み取る内部装置である。ネットワーク通信装置3は、ネットワークを介して外部装置との間でデータ通信を行う内部装置である。
【0014】
操作パネル4は、当該電子機器の筺体に設置されたユーザーインターフェイスであって、表示装置11および入力装置12を備える。
図2は、
図1における操作パネル4の一例を示す図である。表示装置11は、ユーザーに対して各種情報を含む画面を表示する、液晶ディスプレイなどの装置である。入力装置12は、当該画像形成装置に指令を入力するためのユーザー操作を受け付ける、ハードキー12a、ソフトキーのためのタッチパネル12bなどの装置である。なお、表示装置11および入力装置12は、電子機器の本体とは別体の装置として本体に接続されていてもよい。
【0015】
表示装置11は、ソフトウェアキーボードを表示し、入力装置12のタッチパネル12bは、そのソフトウェアキーボードに対する文字入力操作(ユーザーの指先による接触など)を検出する。
【0016】
記憶装置5は、不揮発性の記憶装置であって、ユーザーデータなどを格納する。
【0017】
コントローラー6は、プログラムを実行するプロセッサーなどを備え、マイクロプロセッサーなどで、上述の内部装置を制御するとともに、各種処理を実行する。ここでは、コントローラー6は、入力処理部21として動作する。
【0018】
入力処理部21は、検出された文字入力操作に基づいて、ユーザーにより入力された文字列を特定する。
【0019】
図3は、
図2に示す操作パネル4に表示されるソフトウェアキーボードおよび候補文字列および候補単語の一例を示す図である。入力処理部21は、操作画面を表示装置11に表示し、操作画面において、入力フィールド31およびソフトキー32を表示し、ソフトキー32が操作されると、ソフトウェアキーボード33を表示装置11に表示する。
【0020】
そして、入力処理部21は、1回の文字入力操作について、ソフトウェアキーボード33における複数のソフトキーによって文字入力操作が同時に検出された場合に、特定した複数のソフトキーのそれぞれについての接触面積を導出し、それらの接触面積に基づいて、その複数のソフトキーに対応する複数の文字から第1候補文字および第2候補文字を特定する。
【0021】
この実施の形態では、入力処理部21は、上述の複数のソフトキーのうち、接触面積が最も大きいソフトキーに対応する文字を第1候補文字とし、接触面積が2番目に大きいソフトキーに対応する文字を第2候補文字とする。
【0022】
文字入力操作が複数回行われると、入力処理部21は、複数回(N回)の文字入力操作に対応するN個の第1候補文字C1(i)(i=1,・・・,N)およびN個の第2候補文字C2(i)を組み合わせて複数の候補文字列Sjを生成し、候補文字列Sjに基づいて所定の辞書にて単語検索を行い、(c)その単語検索で発見された単語を候補単語とし、(d)その候補単語を表示装置11に表示する。
【0023】
なお、辞書データに基づく辞書に登録されている単語のうち、各候補文字列Sjに対して前方一致する単語が候補単語として検出される。検出された単語が複数ある場合には、例えば、入力頻度の最も高い単語が選択される。なお、辞書データは、例えば記憶装置5に予め記憶されている。
【0024】
この実施の形態では、
図3に示すように、入力処理部21は、上述の複数の候補文字列の一部または全部(ここでは、第1候補文字列41および第2候補文字列42)、並びに候補単語43を表示装置11に表示する。
【0025】
また、この実施の形態では、入力処理部21は、上述の複数回の文字入力操作の各回について第1候補文字および第2候補文字の一方を選択文字として選択し、文字入力操作の回数に沿って順番に選択文字を配列して、候補文字列を生成する。
【0026】
例えば、1文字目の文字入力操作での第1候補文字および第2候補文字が、fおよびgであり、2文字目の文字入力操作での第1候補文字および第2候補文字が、oおよびiであり、3文字目の文字入力操作での第1候補文字および第2候補文字が、lおよびoである場合、候補文字列として、fol(第1候補文字列)、gio(第2候補文字列)、fil、fio、gol、およびgooが生成される。そして、例えば、文字列filに前方一致する単語fileが候補単語43として選択され
図3に示すように表示される。
【0027】
なお、入力処理部21は、(a)ソフトウェアキーボード33における単一のソフトキーによって文字入力操作が検出された場合(つまり、1回の文字入力操作において1つのソフトキーのみで文字入力操作が検出された場合)は、その単一のソフトキーに対応する文字を第1候補文字および第2候補文字とするようにしてもよい。
【0028】
次に、上記電子機器の動作について説明する。
図4は、
図1に示す電子機器の動作について説明するフローチャートである。
【0029】
入力フィールド31を含む操作画面においてソフトキー32が操作されると、入力処理部21は、表示装置11にソフトウェアキーボード33を表示する。その後、入力処理部21は、タッチパネル12bで文字入力操作(接触)が検出されたか否かを監視するとともに(ステップS1)、文字列の確定操作が検出されたか否かを監視する(ステップS2)。例えば、文字列の確定操作は、矢印キー61で表示されている第1候補文字列41、第2候補文字列42、および候補単語43のいずれかを選択し、リターンキー62で、選択中のものを入力文字列として確定する操作である。
【0030】
文字入力操作が検出されると、入力処理部21は、上述のようにして、当該文字入力操作についての第1候補文字および第2候補文字を特定し(ステップS3)、現時点までの1または複数の文字入力操作についての第1候補文字および第2候補文字で複数の候補文字列を生成し(ステップS4)、複数の候補文字列について単語検索を行い、候補単語が発見されたか否かを判定する(ステップS5)。
【0031】
候補単語が発見された場合、入力処理部21は、第1候補文字列、第2候補文字列、および候補単語を表示装置11(入力フィールド31)に表示する(ステップS6)。一方、候補単語が発見されなかった場合、入力処理部21は、候補単語は表示されず、第1候補文字列、および第2候補文字列を表示装置11(入力フィールド31)に表示する(ステップS7)。なお、候補文字列の文字数が1である場合も、候補単語は表示されない。
【0032】
このようにして、文字入力操作が検出されるたびに1文字ずつ候補文字列の文字数を増加させつつ候補文字列(および候補単語)が更新されていく。
【0033】
そして、ユーザーは、表示されている候補文字列および候補単語に所望の文字列が現れた場合、文字列の確定操作を行う。文字列の確定操作が検出された場合、入力処理部21は、ユーザーの確定操作によって、表示されている候補文字列および候補単語から選択された文字列を特定し、その文字列を、ユーザーが入力した入力文字列として確定する(ステップS8)。これにより、表示されている候補文字列および候補単語が消去され、その代わりに、確定して入力文字列が表示される。
【0034】
ここで、具体的な例について説明する。
図5は、
図1に示す電子機器において特定される候補文字列および候補単語について説明する図である。
【0035】
例えば
図5に示すように、1文字目の文字入力操作によって、第1候補文字としてfが特定され、第2候補文字としてgが特定された場合、第1候補文字列がfとされ、第2候補文字列がgとされ、第1候補文字列、第2候補文字列および候補単語を含む表示文字列としてf/gが表示される。このように、第1候補文字列および第2候補文字列はデリミター(/)によって区切られて表示される。なお、ここでは、候補文字列の文字数が1であるため、表示文字列に候補単語は含まれない。
【0036】
次に、2文字目の文字入力操作によって、第1候補文字としてoが特定され、第2候補文字としてiが特定された場合、第1候補文字列がfoとされ、第2候補文字列がgiとされ、候補単語としてfireが検出され、第1候補文字列、表示文字列としてfo/gi(fire)が表示される。このように、候補単語は括弧付きで表示される。
【0037】
次に、3文字目の文字入力操作によって、第1候補文字としてlが特定され、第2候補文字としてoが特定された場合、第1候補文字列がfolとされ、第2候補文字列がgioとされ、候補単語としてfileが検出され、第1候補文字列、表示文字列としてfol/gio(file)が表示される。
【0038】
ここで、ユーザーが入力したい文字列がfileである場合には、ユーザーは、上述の確定操作を行うことで、入力文字列を候補単語fileに確定させることができる。また、ユーザーは、確定操作を行わずに後続の文字についての文字入力操作を行うようにしてもよい。
【0039】
4文字目の文字入力操作が行われた場合において、その文字入力操作によって、第1候補文字としてeが特定され、第2候補文字としてrが特定されたときには、第1候補文字列がfoleとされ、第2候補文字列がgiorとされ、候補単語としてfileが検出され、第1候補文字列、表示文字列としてfole/gior(file)が表示される。この時点で、ユーザーは、確定操作を行ってもよい。
【0040】
このようにして、ユーザーが入力したい文字列がfileである場合において、正しいソフトキーとともに誤ったソフトキーに接触があったときでも、正しく所望の文字列が入力される。また、表示されている候補文字列が、ユーザーが入力したい文字列に一致していなくても、文字入力を進めることで、最終的には、候補単語に基づいて所望の文字列が正しく入力される。そのため、ユーザーの操作において、正しいソフトキーとともに誤ったソフトキーに接触があったか否かに拘わらず、文字列の入力に要する時間はほとんど変わらない。
【0041】
以上のように、上記実施の形態によれば、入力処理部21は、(a)ソフトウェアキーボード33における複数のソフトキーによって文字入力操作が検出された場合に、特定した複数のソフトキーのそれぞれについての接触面積に基づいて、その複数のソフトキーに対応する複数の文字から第1候補文字および第2候補文字を特定し、(b)複数回の文字入力操作に対応する第1候補文字および第2候補文字を組み合わせて複数の候補文字列を生成し、候補文字列に基づいて単語検索を行い、(c)単語検索で発見された単語を候補単語とし、(d)その候補単語を表示装置11に表示する。
【0042】
これにより、ユーザーがソフトウェアキーボード33に対して比較的短時間で所望の文字列の入力を行うことができる。
【0043】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、例えば、ソフトウェアキーボードで文字入力が可能な電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
11 表示装置
12 入力装置
21 入力処理部