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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167808
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】引き戸用施解錠システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 47/00 20060101AFI20241127BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20241127BHJP
   E05B 65/08 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
E05B47/00 U
E05B49/00 J
E05B65/08 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084152
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】523169257
【氏名又は名称】マクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100133271
【弁理士】
【氏名又は名称】東 和博
(72)【発明者】
【氏名】松下 紅璃
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250FF27
2E250FF36
(57)【要約】
【課題】電気錠タイプの施解錠装置を引き戸に後付けし易く、引き戸における施解錠の利便性の向上と施解錠の管理を図れ、引き戸に対する電気錠の普及の促進を図ることが可能な引き戸用施解錠システムを提供する。
【解決手段】引き戸1に取付けられる施解錠装置10と、施解錠装置10の施錠および解錠を制御する制御部30を有する。施解錠装置10は上下の枠間を横行可能な引き戸1の室内側に取り付けられる装置本体20と、引き戸1の端面に対向する柱5に取り付けられる受け座40と、引き戸1の室外側に取り付けられる室外機50を備える。制御部30は認証を取得したユーザ端末100との間で通信可能とされ、ユーザ端末100からの操作に基づき施解錠装置10の施錠および解錠を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き戸に取付けられる施解錠装置と、当該施解錠装置の施錠および解錠を制御する制御部を有し、
前記施解錠装置は、上下の枠間を横行可能な引き戸の室内側に取り付けられる装置本体と、前記引き戸の端面に対向する柱または壁面に取り付けられる受け座と、前記引き戸の室外側に取り付けられる室外機を備え、
前記制御部は、認証を取得したユーザ端末との間で通信可能とされ、当該ユーザ端末からの操作に基づき前記施解錠装置の施錠および解錠を行うことを特徴とする引き戸用施解錠システム。
【請求項2】
前記装置本体は、ケースと、施錠および解錠の操作を手動で行う手動操作部と、前記受け座のフック部に係合するロック部材と、当該ロック部材を作動させる作動機構を備え、
前記制御部は、認証を取得したユーザ端末からの施錠信号を受けて前記ロック部材が前記フック部に係合するように前記作動機構を制御し、認証を取得したユーザ端末からの解錠信号を受けて前記ロック部材が前記フック部の係合から解除されるように前記作動機構を制御することを特徴とする請求項1記載の引き戸用施解錠システム。
【請求項3】
前記作動機構が、前記手動操作部によって回動操作される回動操作軸と、当該回動操作軸と協働して前記ロック部材を前記フック部に対し施錠方向または解錠方向に作動させる作動片を備えており、当該作動片は前記ユーザ端末からの施錠または解錠の信号を受けて前記通信制御部により駆動される駆動手段と協働して前記ロック部材を前記フック部に対し施錠方向または解錠方向に作動させることを特徴とする請求項2記載の引き戸用施解錠システム。
【請求項4】
前記回動操作軸が、前記ケースの背面カバーに穿孔された貫通孔を通して外部から補助キーにより回動操作可能とされていることを特徴とする請求項3記載の引き戸用施解錠システム。
【請求項5】
前記制御部に施錠および解錠の履歴データが保存され、前記制御部と認証を取得した前記ユーザ端末が通信で接続されたとき、前記制御部が、保存された前記各履歴データを前記ユーザ端末に送信し、当該ユーザ端末に保存されることを特徴とする請求項1記載の引き戸用施解錠システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き戸用の施解錠システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物に用いる扉は開き戸と引き戸の2種類がある。開き戸は蝶番を軸にして扉(戸)を前後に開閉させるもので、扉に開閉用のノブやハンドルが付属しており、新築住宅の玄関に増えている。引き戸は扉をレールや溝の上を横にスライドさせて開閉させるもので、扉に引き手やノブが付属しており、従来の住宅、特に在来工法や地方における住宅の玄関では引き戸がまだまだ多く見られる。
【0003】
建物の玄関や出入口に用いる扉には錠が取り付けられている。錠は防犯や入退室管理の目的で取り付けられるもので、従来からのシリンダー錠(例えば特許文献1、2)や、近年増えつつある電気錠(例えば特許文献3、4)等が知られている。
【0004】
その他、引き戸用の施解錠装置(特許文献5)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-247364号公報
【特許文献2】特開2018-104916号公報
【特許文献3】特開2019-157413号公報
【特許文献4】特開2021-110117号公報
【特許文献5】特開2007-107379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来からの住宅においては、玄関などの引き戸の錠は鍵穴に鍵をさして施解錠を行うシリンダー錠が多く、電子錠に取り替えようとしても難しい場合が多く、引き戸への電子錠の普及が容易でなかった。また、シリンダー錠の場合、高齢者世帯の増加などによって、施解錠の管理が難しいという別の問題もあった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、電気錠タイプの施解錠装置を引き戸に後付けし易く、引き戸における施解錠の利便性の向上と施解錠の管理を図れ、もって引き戸に対する電気錠の普及の促進を図ることが可能な引き戸用施解錠システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る引き戸用施解錠システムは、
引き戸に取付けられる施解錠装置と、当該施解錠装置の施錠および解錠を制御する制御部を有し、
前記施解錠装置は、上下の枠間を横行可能な引き戸の室内側に取り付けられる装置本体と、前記引き戸の端面に対向する柱または壁面に取り付けられる受け座と、前記引き戸の室外側に取り付けられる室外機を備え、
前記制御部は、認証を取得したユーザ端末との間で通信可能とされ、当該ユーザ端末からの操作に基づき前記施解錠装置の施錠および解錠を行うことを主要な特徴とする。
【0009】
前記装置本体は、ケースと、施錠および解錠の操作を手動で行う手動操作部と、前記受け座のフック部に係合するロック部材と、当該ロック部材を作動させる作動機構を備え、
前記制御部は、認証を取得したユーザ端末からの施錠信号を受けて前記ロック部材が前記フック部に係合するように前記作動機構を制御し、認証を取得したユーザ端末からの解錠信号を受けて前記ロック部材が前記フック部の係合から解除されるように前記作動機構を制御することを第2の特徴とする。
【0010】
本発明に係る引き戸用施解錠システムは、
前記作動機構が、前記手動操作部によって回動操作される回動操作軸と、当該回動操作軸と協働して前記ロック部材を前記フック部に対し施錠方向または解錠方向に作動させる作動片を備えており、当該作動片は前記ユーザ端末からの施錠または解錠の信号を受けて前記通信制御部により駆動される駆動手段と協働して前記ロック部材を前記フック部に対し施錠方向または解錠方向に作動させることを第3の特徴とする。
【0011】
本発明に係る引き戸用施解錠システムは、
前記回動操作軸が、前記ケースの背面カバーに穿孔された貫通孔を通して外部から補助キーにより回動操作可能とされていることを第4の特徴とする。
【0012】
本発明に係る引き戸用施解錠システムは、
前記制御部に施錠および解錠の履歴データが保存され、前記制御部と認証を取得した前記ユーザ端末が通信で接続されたとき、前記制御部が、保存された前記各履歴データを前記ユーザ端末に送信し、当該ユーザ端末に保存されることを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の引き戸用施解錠システムによると、電気錠タイプの施解錠装置を引き戸に容易に後付けすることができ、また、認証を取得したユーザ端末から引き戸の施解錠の操作を可能としたので、引き戸における施解錠の利便性が向上し、引き戸への電気錠の普及の促進を図れるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明の引き戸用施解錠システムによると、引き戸の施解錠の履歴を保存可能としたので、在室の管理、入退室の管理を含め、ユーザ端末上で施解錠の管理を行えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の施解錠システムが引き戸に取付けられた状態を示す図で、(A)は室内から見た状態、(B)は屋外から見た状態を示す図、
図2】引き戸用施解錠システムの全体構成を示す図、
図3】施解錠システムの作用を示す図で、(A)は施錠前、(B)は施錠後を示す図、
図4】施解錠システムの作用を示す図で、(A)は施錠後、(B)は解錠後を示す図、
図5】(A)は装置本体の背面側、(B)は取付けプレートの内面側を示す図、
図6】(A)(B)は手動式の作動機構を示す説明図、
図7】(A)(B)は電動式の作動機構を示す説明図、
図8】(A)は室外機、(B)はリモコンを示す図、
図9】(A)はユーザ端末のログイン画面、(B)はユーザ端末の操作画面を示す図、
図10】引き戸用施解錠システムの取付け状態を示す側面図、
図11】(A)は図8の取付け状態から室外機を外した状態を示す要部断面図、(B)は(A)の状態を屋外から見た状態を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1(A)(B)はそれぞれ玄関における引き戸の室内側と屋外側を示している。図中、符号1は引き戸、符号10は施解錠装置、符号Sは引き戸用施解錠システムを示している。
【0018】
最初に引き戸1について説明すると、引き戸1は上枠2と下枠3の間、左右の柱4、5の間に配置されており、下枠3の上面のレール6の上を横行できるようになっている。引き戸1の端部付近にはハンドル(取手)7が取付けられている。
【0019】
施解錠装置10は、図1に示すように、引き戸1の室内側に取り付けられた装置本体20と、装置本体20に対向して柱5の内側面に取り付けられた金属製の受け座40と、引き戸1の室外側に取り付けられた室外機50を備えている。
【0020】
引き戸用施解錠システムSは、引き戸1に取付けられる施解錠装置10と、施解錠装置10の施錠および解錠を制御する制御部30を有し、引き戸1に取付けられた施解錠装置10に対し、図2に示すように、認証を取得したスマートフォンなどのユーザ端末100から無線通信で接続し、ユーザ端末100から施錠または解錠の操作を行えるようになっている。
【0021】
図3は引き戸1が開いた状態から施錠されるまでの動作、図4は引き戸1が施錠された状態から開かれるまでの動作を示している。
【0022】
施解錠装置10において、装置本体20の構造を説明すると、装置本体20は、ケース21Aを備え、ケース21Aに手動で施錠(Lock)および解錠(Un-Lock)の操作を行うつまみ22A付きの手動操作部22と、電動で解錠(OPEN)の操作を行う解錠釦23が取付けられている。
【0023】
装置本体20のケース21Aには蓋24が設けられ、蓋24の直下に解錠釦23の電源となる乾電池を複数個収容する収容室が設けられている。ケース21Aの内部には制御部(制御基板)30(図2参照)が設けられている。
【0024】
装置本体20のケース21Aの側端部には、上下2か所に施錠用の切欠き部25、25が設けられている。この切欠き部25、25には、手動操作部22の施錠操作により、上下2つのロック部材26、26が施錠方向に下降するようになっている。
【0025】
受け座40の構造を説明すると、受け座40は、柱5の内側面に取り付けられる板状の本体部41と、本体部41の前面に略直角に突設された上下2つのフック部42、42を備えている。
【0026】
フック部42、42には貫通穴43、43が設けられ、貫通穴43、43には施錠後のガタつき防止用の弾性リング44、44が取り付けられている。
【0027】
図3(A)に示すように、引き戸1を閉方向に移動させると、柱5側の受け座40の上下2つのフック部42、42が引き戸1側の装置本体20の切欠き部25、25に進入し配置されるようになっている。
【0028】
引き戸1が閉まった状態で、室内から手動操作部22を手動で時計回りに回動させて施錠操作すると、図3(B)に示すように、装置本体20側の上下2つのロック部材26、26が下降し、受け座40のフック部42、42の貫通穴43、43に進入するので、施錠することができる。
【0029】
一方、図4(A)に示すように、引き戸1の施錠状態から、室内から手動操作部22を手動で反時計回りに回動させて解錠操作すると、装置本体20側の上下2つのロック部材26、26が、受け座40のフック部42、42の貫通穴43、43から上昇して解錠されるので、図4(B)に示すように、引き戸1を開方向に移動させることができる。
【0030】
同様に、引き戸1の施錠状態から、解除釦23を押すと、解錠信号が制御部30に送信され、制御部30がモータ31(後述する)を駆動し、電動により装置本体20側の上下2つのロック部材26、26が上昇して解錠されるので、図4(B)に示すように、引き戸1を開方向に移動させることができる。
【0031】
図5(A)は装置本体20の背面を示している。装置本体20の背面カバー21Bには、装置本体2の手動操作部22の回動操作軸27に対応する位置に貫通孔33が設けられている。
【0032】
図5(A)において、符号27cは回動操作軸27の頭部、符号27dは外部から専用キーを挿して回動操作軸27を回動操作可能な凹部を示している。
【0033】
図5(B)は取付けプレート70の内面を示している。取付けプレート70は、装置本体20を引き戸1の室内側内面に取付けるもので、金属製であり、板状の本体部71と上下の側板部72、72から構成されている。本体部71には、装置20の手動操作部22の回動操作軸27に対応する位置に貫通孔73が設けられている。
【0034】
取付けプレート70の本体部71には、取付けプレート70を引き戸1の室内側内面に固定するための取付け孔74が複数設けられ、取付けプレート70の側板部72、72には装置本体20を保持するための取付け孔(図示せず)が複数設けられている。
【0035】
図6(A)(B)は装置本体20における手動式の施解錠用の作動機構(内部機構)を示している。
【0036】
図6(A)に示すように、円板状の手動操作部22に軸受27aを介して回動軸27の一端が同一軸線上に固定され、回動軸27の中間に第1歯車28が固定されている。回動軸27の他端には軸受27bを介して円板状の頭部27cが取付けられている。頭部27cには専用キーや後述する連結軸34の先端凸部34aと係合する凹部27dが設けられている。
【0037】
手動操作部22を閉方向(時計回り)に回すと、第1歯車28が同一方向に回動し、図6(B)に示すように、第1歯車28に係合する第1ラック29aを閉方向に移動させるので、第1ラック29aを備えるスライド片29が閉方向に移動し、スライド片29の保持片29bに保持された上下2つのロック部材26、26が同時に閉方向に下降して切欠き部25、25に同時に進入するようになっている。
【0038】
これによって、上下2つのロック部材26、26が受け座40のフック部42、42の貫通穴43、43に進入し、施錠できるようになっている。
【0039】
一方、手動操作部22を開方向(反時計回り)に回すと、第1歯車28が同一方向に回動し、図6(B)に示すように、第1歯車28に係合する第1ラック列29aを開方向に移動させるので、第1ラック列29aを備えるスライド片29が開方向に移動し、スライド片29の保持片29bに保持された上下2つのロック部材26、26が同時に開方向に上昇して切欠き部25、25から離れるようになっている。
【0040】
これによって、上下2つのロック部材26、26が受け座40のフック部42、42の貫通穴43、43から離れ、解錠できるようになっている。
【0041】
図7(A)(B)は装置本体20における電動式の施解錠用の作動機構(内部機構)を示している。
【0042】
室外機50またはリモコン60からの施錠操作により、また認証を取得したユーザ端末100からの施錠操作により、施錠信号が制御部30に送信されると、制御部30がモータ31を駆動し、第2歯車32を閉方向(時計回り)に回動させ、第2歯車32に係合する第2ラック29cを閉方向に移動させるように制御する。
【0043】
その結果、第2ラック29cと一体なスライド片29が閉方向に移動するので、スライド片29の保持片29bに保持された上下2つのロック部材26、26が同時に閉方向に下降して切欠き部25、25に同時に進入するようになっている。
【0044】
これによって、上下2つのロック部材26、26が受け座40のフック部42、42の貫通穴43、43に進入し、施錠できるようになっている。
【0045】
一方、解除釦23、室外機50、リモコン60からの解除操作により、また認証を取得したユーザ端末100からの解錠操作により、解錠信号が制御部30に入力されると、制御部30がモータ31を逆に駆動し、第2歯車32を開方向(反時計回り)に回動させ、第2歯車32に係合する第2ラック29cを開方向に移動させるように制御する。
【0046】
その結果、第2ラック29cと一体なスライド片29が開方向に移動するので、スライド片29の保持片29bに保持された上下2つのロック部材26、26が同時に開方向に上昇して切欠き部25、25から離間するようになっている。
【0047】
これによって、上下2つのロック部材26、26が受け座40のフック部42、42の貫通穴43、43から離れ、解錠できるようになっている。
【0048】
図8(A)は室外機50の操作面を示している。
【0049】
室外機50の操作面には1~0の数字ないし記号が表示された多数の釦51が配置されており、数字および記号を組み合わせて施錠用、解錠用の暗証番号を設定することができる。
【0050】
解錠用に設定された暗証番号(例えば1234#)を押すと、解錠信号が制御部30に送信され、制御部30が解錠の制御を行う。施錠用の暗証番号は必ずしも設定する必要はなく、引き戸1を閉めると、制御部30がセンサーによって自動施錠するように設定することもできる。カードにより施錠および解錠を行うように設定することもできる。
【0051】
図8(B)は施解錠操作用のリモコン60を示している。
【0052】
リモコン60には、施錠釦61と解錠釦62が設けられている。施錠釦61を押すと施錠信号が制御部30に送信され、解錠釦62を押すと解錠信号が装置本体10の制御部30に送信され、施錠あるいは解錠の操作が行えるようになっている。リモコン60は施解錠装置10の管理者が管理し、管理者が使用するか、管理者から管理者の家族やゲストなどのユーザに貸与される。
【0053】
図9(A)(B)はユーザ端末100の画面を示している。ユーザ端末100から施解錠装置10の施解錠の操作を行うにあたり、認証を取得し、施解錠の操作に用いるコンピュータ・プログラムを導入する必要がある。
【0054】
まず、ユーザが管理者である場合、施解錠装置10の固有番号とともに施解錠装置10に設定された認証番号(パスコード)を取得する。固有番号と認証番号は、通常、施解錠装置10の購入時、取付け時に、サーバー200やインターネット300などを経由して管理者に提示される。
【0055】
ユーザが管理者から許可された者(管理者の家族やゲストなど)である場合、管理者の端末からメールやショートメッセージなどを経由して前記の固有番号とともに認証番号を取得する。
【0056】
次に、認証を取得したユーザ(管理者、管理者から許可された者)は、図2を参照して、ユーザ端末100からインターネット300を経由してサーバー200にアクセスし、サーバー200から施解錠の操作に用いるコンピュータ・プログラム(アプリケーションソフト)をユーザ端末100にダウンロードする。
【0057】
図9(A)は上記コンピュータ・プログラムのログイン画面G0を示している。ユーザは、ユーザ端末100上のログイン画面G0からユーザIDとパスワードを入力し、アカウントを取得する。アカウントを取得すると、ダウンロードした上記コンピュータ・プログラムを利用することができる。
【0058】
次ぎに、引き戸1の近くにおいて、認証を取得したユーザ端末100上で上記コンピュータ・プログラムを起動すると、ユーザ端末100からの無線通信によりネットワーク上の近くにある電子錠が探索され、ユーザ端末100のプログラム画面上に固有番号とともに電子錠の絵記号が表示されるので、該当する固有番号の電子錠の絵記号を選択しタップすると、図9(B)に示すように、施解錠操作用の電子キーekをユーザ端末100の操作画面G1に追加することができる。
【0059】
次いで、ユーザ端末100の操作画面G1に追加された電子キーekについて、取得した認証番号(パスコード)を入力してペアリングを実行すると、固有番号の電子錠に対応する施解錠装置10とユーザ端末100の連携(無線による接続)が完了し、ユーザ端末100から施解錠装置10の施解錠操作を行えるようになる。
【0060】
ユーザがユーザ端末100の操作画面G1から解錠操作する場合は、操作画面G1に表示された電子キーekをタップする。電気キーekをタップすると、ユーザ端末100から解錠信号が施解錠装置10の制御部30に送信され、制御部30はモータ31を駆動し、ロック部材26、26を解錠方向(開方向)に移動させるので、施解錠装置10が解錠される。
【0061】
ユーザがユーザ端末100の操作画面G1から施錠操作する場合は、操作画面G1に表示された電子キーekを長押しする。電子キーekを長押しすると、ユーザ端末100から施錠信号が施解錠装置10の制御部30に送信され、制御部30はモータ31を逆に駆動し、ロック部材26、26を施錠方向(閉方向)に移動させるので、施解錠装置10が施錠される。
【0062】
電子キーekの解錠操作には解錠用のパスコードを設定可能である。操作画面G1にはパスコード入力部aが設けられている。パスコード入力部aをタップして解錠用のパスコード(例えば0128)を入力し、設定することができる。パスコードは各種設定部cから設定可能である。
【0063】
ユーザ端末100の操作画面G1には操作履歴部bが設けられている。操作履歴部bをタップすると解錠および施錠の過去の操作履歴が表示され、操作履歴を確認することができる。
【0064】
室外機50、リモコン60、ユーザ端末100からの操作による解錠および施錠の履歴データ(日付と時刻、ユーザ端末100はユーザ名を含む)は制御部30に逐次保存される。ユーザ端末100が制御部30に接続されると、最新の履歴データがユーザ端末100に送信され、保存される。
【0065】
ユーザ、特に管理者は、ユーザ端末100上で、だれが、いつ、何時に施錠したか、あるいは解錠したか、遠方においてもネットワークを経由して管理することができ、在室の管理、外出の管理、入退室の管理などを適切に行えるようになる。
【0066】
図10は引き戸1に対する装置本体20と室外機50の取付け状態図、図11(A)は室外機を外した状態を示す要部断面図、(B)は室外機を外した状態を屋外から見た図を示している。
【0067】
図10および図11に示すように、引き戸1には板厚方向に貫通孔8が設けられている。この貫通孔8の位置に取付けプレート70の貫通孔73の位置および装置本体20の貫通孔33の位置がそれぞれ合うように、引き戸1の内面に取付けプレート70、装置本体20が取付けられている。
【0068】
引き戸1の貫通孔8にはシリンダー35が配置されている。シリンダー35は貫通孔8に配置されなくてもよい。
【0069】
シリンダー35は内筒36を備え、専用キー37を用いて内筒36を施錠方向または解錠方向に回動させることができる。内筒36は先端凸部36aが連結軸34の後端凹部34bに嵌合されている。
【0070】
内筒36には鍵穴36bが設けられ、専用キー37を鍵穴36bに挿入し、専用キー37を回すと、連結軸34を介して回動操作軸27を回動させ、非常時に施錠操作および解錠操作が行えるようになっている。
【0071】
通常使用時は引き戸1の貫通孔8および鍵穴36bは室外機50によって隠れている。
【0072】
本実施形態の施解錠装置10は、室外から室外機50、リモコン60による操作ができない場合、室外機50を外して、専用キー37を用いて回動操作軸27を回動させ、引き戸1を解錠あるいは施錠することができる。
【0073】
専用キーは回動操作軸27を回動操作できるものであればよく、シリンダー35の配置は必須ではない。回動操作軸27の凹部27dを専用キーに適合し、専用キーでのみ回動できる内部構造とすることでもよい。
【0074】
本実施形態の施解錠装置10によると、引き戸1の室内側に装置本体20を取り付け、柱5の内側面に受け座40を取り付け、引き戸1の室外側に室外機50を取り付けたので、引き戸1への後付けを容易に行える。
【0075】
引き戸1に穿孔する貫通孔8は、非常時に回動操作軸27を屋外から回動操作する専用キーを挿入できる大きさ(例えばドライバータイプの専用キーを挿入できる位の大きさ)であればよく、通常使用時は貫通孔8が室外機50で隠れるので引き戸1の意匠を損なうことがない。
【0076】
受け座40のフック部43、43は、弾性リング44がそれぞれ設けられているので、施錠後にガタつきを防止できる。弾性リング44の内径はロック部材26の外径にあわせて、ロック部材26が進入可能でガタつき防止可能に設定される。
【0077】
本実施形態では、玄関用の引き戸の例を挙げたが、両開き戸にも適用可能である。両開き戸の場合、一方の開き戸に施解錠装置を取り付け、他方の開き戸は常時閉じるようにしてよい。室内用の引き戸に適用可能であることは勿論である。
【0078】
ユーザ端末100は、1つに限らず、複数であってよい。管理者から許可を受けた複数のユーザによって施解錠装置10の施解錠の操作を行えるようにしてよい。また、ユーザ端末100は、管理者の設定によって、認証の期間を一定の期間に制限することができる。
【0079】
かくして、本発明の引き戸用施解錠システムによると、引き戸における施解錠の利便性の向上が図れ、また、施解錠の管理も非常に容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る引き戸用施解錠システムは、引き戸に取付けられる施解錠装置の施解錠操作をユーザ端末から行える施解錠システムとして利用できる。
【符号の説明】
【0081】
1 引き戸
2 上枠
3 下枠
4、5 柱
6 ハンドル
8、33、73 貫通孔
10 施解錠装置
20 装置本体
21A ケース
21B 背面カバー
22 手動操作部
22A つまみ
23 解錠釦
24 蓋
25 切欠き部
26 ロック部材
27 回動操作軸
27a、27b 軸受
27c 頭部
27d 凹部
28 第1歯車
29 スライド片
29a 第1ラック
29b 保持片
29c 第2ラック
30 制御部
31 モータ(駆動手段)
32 第2歯車
34 連結軸
34a、36a 先端凸部
34b 後端凹部
35 シリンダー
36 内筒
36b 鍵穴
37 鍵
40 受け座
41、71 本体部
42 フック部
43 貫通穴
44 弾性リング
50 室外機
51 釦
60 リモコン
61 施錠釦
62 解錠釦
70 取付けプレート
72 側板部
74 取付け孔
100 ユーザ端末
200 サーバー
300 インターネット
S 施解錠システム
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