(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167836
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】ロック装置
(51)【国際特許分類】
E05B 77/36 20140101AFI20241127BHJP
E05B 85/24 20140101ALI20241127BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20241127BHJP
B60N 2/68 20060101ALN20241127BHJP
【FI】
E05B77/36
E05B85/24
B60J5/00 M
B60N2/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084191
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大木 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】上木 昌徳
【テーマコード(参考)】
2E250
3B087
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ09
2E250LL01
2E250LL20
2E250PP02
2E250PP04
2E250PP05
2E250PP08
2E250QQ05
3B087DB10
(57)【要約】
【課題】ロック状態におけるロック対象部のガタつきを抑制する。
【解決手段】ロック装置10は、ストライカ12が出入りする進入部14Cを有する筐体14、ラッチ16、ポール18及びカム20を備えている。ラッチ16は、ロック位置に位置している状態ではストライカ12の進入部14Cからの抜け出しを制限し、ロック解除位置に位置している状態ではストライカ12の進入部14Cからの抜け出しを許容する。ポール18は、回転許容位置に位置している状態ではラッチ16の回転を許容し、回転制限位置に位置している状態ではラッチ16のロック位置からロック解除位置側への回転を制限する。カム20は、ポール18に支持されており、ラッチ16がロック位置に位置している状態かつポール18が回転制限位置に位置している状態でトーションバネ22の付勢力によってストライカ12に当接して、進入部14C内におけるストライカ12のガタつきを制限する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック対象部が出入りする進入部を有するベース部材と、
ロック位置とロック解除位置との間において回転可能に支持され、前記ロック位置に位置している状態では前記ロック対象部の前記進入部からの抜け出しを制限し、前記ロック解除位置に位置している状態では前記ロック対象部の前記進入部からの抜け出しを許容する第1ロック部材と、
回転許容位置と回転制限位置との間において回転可能に支持され、前記回転許容位置に位置している状態では前記第1ロック部材の回転を許容し、前記回転制限位置に位置している状態では前記第1ロック部材の前記ロック位置から前記ロック解除位置側への回転を制限する第2ロック部材と、
前記第2ロック部材に支持されていると共に前記第2ロック部材に対して変位可能とされかつ第1付勢部材を介して一方側へ付勢され、前記第1ロック部材が前記ロック位置に位置している状態かつ前記第2ロック部材が前記回転制限位置に位置している状態で前記第1付勢部材の付勢力によって前記ロック対象部に当接して、前記進入部内における前記ロック対象部のガタつきを制限する当接部材と、
を備えたロック装置。
【請求項2】
前記当接部材は、前記第2ロック部材に設けられた回転軸まわりに回転変位可能となっている請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記回転軸と前記第1ロック部材との間には、前記第1ロック部材をロック解除位置側へ向けて付勢すると共に前記第2ロック部材を前記回転制限位置側へ向けて付勢する第2付勢部材が掛け渡されている請求項2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記ベース部材及び前記当接部材の一方には、前記ベース部材及び前記当接部材の他方が係合することで前記当接部材が変位できる範囲を制限するガイド部が形成されている請求項1に記載のロック装置。
【請求項5】
前記第1ロック部材が前記ロック解除位置に位置している状態では、前記当接部材の一方側への変位が前記ガイド部によって制限される請求項4に記載のロック装置。
【請求項6】
前記第1ロック部材が前記ロック位置に位置している状態かつ前記第2ロック部材が前記回転制限位置に位置している状態では、前記当接部材の一方側への変位が前記ガイド部によって許容される請求項5に記載のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両のシートやドアに用いられるロック装置が開示されている。このロック装置は、ストライカが出入可能なストライカ進入凹部を有するベースプレートと、ストライカ進入凹部に進入したストライカを保持する位置と解放する位置に回動可能なストライカ保持部材と、を備えている。また、ロック装置は、ストライカ保持位置にあるストライカ保持部材に係合してストライカ保持部材の回動を制限するロック保持部材を備えている。さらに、ロック装置は、ストライカ進入凹部に進入したストライカがストライカ保持部材によって保持された状態かつストライカ保持部材の回動がロック保持部材によって制限された状態で、ストライカに当接する緩衝部材を備えている。また、ロック装置は、ロック保持部材の回動に連動して、ストライカ進入凹部内への緩衝部材の突出量を変化させる連動駆動手段を備えている。これにより、ロック状態におけるストライカのガタつきを抑制することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、ロック状態におけるロック対象部のガタつきを抑制することができるロック装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様のロック装置は、ロック対象部が出入りする進入部を有するベース部材と、ロック位置とロック解除位置との間において回転可能に支持され、前記ロック位置に位置している状態では前記ロック対象部の前記進入部からの抜け出しを制限し、前記ロック解除位置に位置している状態では前記ロック対象部の前記進入部からの抜け出しを許容する第1ロック部材と、回転許容位置と回転制限位置との間において回転可能に支持され、前記回転許容位置に位置している状態では前記第1ロック部材の回転を許容し、前記回転制限位置に位置している状態では前記第1ロック部材の前記ロック位置から前記ロック解除位置側への回転を制限する第2ロック部材と、前記第2ロック部材に支持されていると共に前記第2ロック部材に対して変位可能とされかつ第1付勢部材を介して一方側へ付勢され、前記第1ロック部材が前記ロック位置に位置している状態かつ前記第2ロック部材が前記回転制限位置に位置している状態で前記第1付勢部材の付勢力によって前記ロック対象部に当接して、前記進入部内における前記ロック対象部のガタつきを制限する当接部材と、を備えている。
【0006】
第1の態様のロック装置では、ロック対象部がベース部材の進入部内に位置している状態かつ第1ロック部材がロック位置に位置している状態では、ロック対象部の進入部からの抜け出しが第1ロック部材によって制限される。また、第1ロック部材がロック位置に位置している状態かつ第2ロック部材が回転制限位置に位置している状態では、第1ロック部材のロック位置からロック解除位置側への回転が第2ロック部材によって制限される。すなわち、ロック装置がロック対象部にロックした状態となる。ここで、ロック装置がロック対象部にロックした状態では、当接部材が第1付勢部材の付勢力によってロック対象部に当接している。これにより、進入部内におけるロック対象部のガタつきが当接部材によって抑制される。このように、第1の態様のロック装置では、ロック状態におけるロック対象部のガタつきを抑制することができる。
【0007】
第2の態様のロック装置は、第1の態様のロック装置において、前記当接部材は、前記第2ロック部材に設けられた回転軸まわりに回転変位可能となっている。
【0008】
第2の態様のロック装置では、当接部材は第2ロック部材に設けられた回転軸まわりに回転変位可能とすることができる。
【0009】
第3の態様のロック装置は、第2の態様のロック装置において、前記回転軸と前記第1ロック部材との間には、前記第1ロック部材をロック解除位置側へ向けて付勢すると共に前記第2ロック部材を前記回転制限位置側へ向けて付勢する第2付勢部材が掛け渡されている。
【0010】
第3の態様のロック装置では、第2付勢部材が回転軸と第1ロック部材との間に掛け渡されている。この構成では、第2付勢部材が係合することのみに用いられる部分を第2ロック部材に設けることを不要にすることができる。
【0011】
第4の態様のロック装置は、第1の態様~第3の態様のいずれか1つの態様のロック装置において、前記ベース部材及び前記当接部材の一方には、前記ベース部材及び前記当接部材の他方が係合することで前記当接部材が変位できる範囲を制限するガイド部が形成されている。
【0012】
第4の態様のロック装置では、ベース部材及び当接部材の一方に設けられたガイド部にベース部材及び当接部材の他方を係合させることで、当接部材が変位できる範囲を制限することができる。
【0013】
第5の態様のロック装置は、第4の態様のロック装置において、前記第1ロック部材が前記ロック解除位置に位置している状態では、前記当接部材の一方側への変位が前記ガイド部によって制限される。
【0014】
第5の態様のロック装置では、第1ロック部材がロック解除位置に位置している状態において、当接部材の一方側への変位をガイド部によって制限することができる。
【0015】
第6の態様のロック装置は、第5の態様のロック装置において、前記第1ロック部材が前記ロック位置に位置している状態かつ前記第2ロック部材が前記回転制限位置に位置している状態では、前記当接部材の一方側への変位が前記ガイド部によって許容される。
【0016】
第4の態様のロック装置では、第1ロック部材がロック位置に位置している状態かつ第2ロック部材が回転制限位置に位置している状態において、当接部材の一方側への変位をガイド部によって許容することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るロック装置は、ロック状態におけるロック対象部のガタつきを抑制することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態のロック装置を分解して示す分解斜視図である。
【
図2】ロック装置を示す側面図であり、ストライカが係合する前の状態を示している。
【
図3】ロック装置を示す側面図であり、ストライカへの係合が完了した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、本発明の実施形態に係るロック装置10が示されている。このロック装置10は、例えば車両のシートや車両のドアに設けることができる。そして、このロック装置10がロック対象部としてのストライカ12(
図2参照)に係合することで、車両のシートや車両のドアが定められた位置に配置された状態が保たれるようになっている。なお、ロック装置10の用途はこれに限定されない。
【0020】
ロック装置10は、ベース部材としての筐体14と、筐体14に支持された第1ロック部材としてのラッチ16及び第2ロック部材としてのポール18と、ポール18に支持された当接部材としてのカム20と、を備えている。また、ロック装置10は、ポール18とカム20との間に設けられた第1付勢部材としてのトーションバネ22と、ポール18及びカム20に係合している操作部材としてのリリースワイヤ24と、ラッチ16とリリースワイヤ24との間に掛け渡された第2付勢部材としてのコイルバネ26と、を備えている。
【0021】
筐体14は、一例として樹脂材料を用いて形成されていると共に、ラッチ16及びポール18側(矢印A1方向側)が開放された箱状に形成されている。この筐体14は、当該筐体14の底部分を構成する底壁部14Aと、当該筐体14の外周部分を構成する周壁部14Bと、を備えている。底壁部14Aの一部分及び周壁部14Bの一部分は、ストライカ(
図2参照)が出入りする進入部14Cを構成している。この進入部14Cを筐体14の開放方向から見た形状は、一方側(矢印A2方向側)が開放されたU字状に形成されている。なお、以下の説明において矢印A2方向を「抜け出し方向」と呼ぶ場合がある。また、筐体14は、底壁部14Aにおける進入部14Cの両側から筐体14の開放方向側へ向けてそれぞれ突出する第1軸部14D及び第2軸部14Eを備えている。第1軸部14D及び第2軸部14Eは、それぞれ筐体14の開放方向を軸方向とする円筒状に形成されている。底壁部14Aにおいて進入部14Cの閉止端と隣接する部分には、底壁部14Aを貫通するガイド部としてのガイド孔14Fが形成されている。このガイド孔14Fを筐体14の開放方向から見た形状は、角部分が緩やかに湾曲している三角形状となっている。
【0022】
ラッチ16は、一例として金属板が打ち抜かれること等により形成されている。このラッチ16には、筐体14の第1軸部14Dが挿入される第1軸支孔16Aが形成されている。そして、第1軸部14Dが第1軸支孔16Aに挿入されることで、ラッチ16が第1軸部14Dに回転可能に支持される。なお、ラッチ16の回転方向一方側を矢印A3で示している。また、以下の説明においては、ラッチ16の回転方向一方側(矢印A3方向側)を「ロック位置方向」と呼び、ラッチ16の回転方向他方側(矢印A3方向とは反対側)を「ロック解除位置方向」と呼ぶ場合がある。また、ラッチ16には、当該ラッチ16の回転径方向外側が開放されたロック凹部16Bが形成されている。また、ラッチ16においてロック凹部16Bが形成された部分に対してロック位置方向側の部分は、ポール係合部16Cとなっている。このポール係合部16Cにおけるラッチ16の回転径方向外側の面は、ポール係合面16Dとなっている。このポール係合面16Dは、ラッチ16の回転周方向に沿って湾曲された円筒面状に形成されている。また、ラッチ16においてポール係合部16Cとなっている部分に対してロック位置方向側の部分には、コイルバネ26が係止されるコイルバネ係止部16Eが形成されている。
【0023】
ポール18は、一例として金属板が打ち抜かれること等により形成されている。このポール18には、筐体14の第2軸部14Eが挿入される第2軸支孔18Aが形成されている。そして、第2軸部14Eが第2軸支孔18Aに挿入されることで、ポール18が第2軸部14Eに回転可能に支持される。なお、ポール18の回転方向一方側を矢印A4で示している。また、以下の説明においては、ポール18の回転方向一方側(矢印A4方向側)を「回転制限位置方向」と呼び、ポール18の回転方向他方側(矢印A4方向とは反対側)を「回転許容位置方向」と呼ぶ場合がある。また、ポール18の外周面の一部分は、ラッチ16のポール係合面16Dと係合するラッチ係合面18Bとなっている。このラッチ係合面18Bは、ポール係合面16Dと対応する円筒面状に湾曲した面となっている。また、ポール18においてラッチ係合面18Bを有する部分に対して回転許容位置方向側の部分には、段差状の回転制限部18Cが形成されている。また、ポール18において回転制限部18Cが形成された部分に対して回転許容位置方向側の部分には、トーションバネ22が係止されるトーションバネ係止孔18Dが形成されている。また、ポール18においてトーションバネ係止孔18Dが形成された部分に対して回転許容位置方向側の部分には、リリースワイヤ24が挿入されるリリースワイヤ挿入孔18Eが形成されている。
【0024】
カム20は、一例として樹脂材料を用いて矩形ブロック状に形成されている。このカム20の長手方向一方側の端部には、リリースワイヤ24が挿入されるリリースワイヤ挿入孔20Aが形成されている。また、カム20の長手方向他方側の端部は、ストライカ12に当接する当接部20Bとなっている。カム20の長手方向一方側には、ポール18側が開放された窪み20Cが形成されている。また、カム20は、窪み20Cの底からポール18側へ向けて突出する筒状部20Dを備えている。この筒状部20Dは、筐体14の開放方向を軸方向とする円筒状に形成されている。また、この筒状部20Dの内周部は、リリースワイヤ挿入孔20Aを構成している。
図2に示されるように、カム20は、当接部20Bから筐体14の底壁部14A側へ向けて突出するガイド軸20Eを備えている。このガイド軸20Eは、筐体14の開放方向を軸方向とする円柱状に形成されており、筐体14の底壁部14Aに形成されたガイド孔14Fに挿入される。これにより、カム20のポール18に対する回転範囲が所定の範囲に制限されている。
【0025】
図1に示されるように、トーションバネ22は、一例として線状に形成された鋼材によって形成されている。このトーションバネ22は、環状に巻かれた巻回部22Aを備えている。また、トーションバネ22は、巻回部22Aからそれぞれ突出する第1係止部22B及び第2係止部22Cを備えている。そして、トーションバネ22の巻回部22Aは、カム20の筒状部20Dの外周側に配置される。また、第1係止部22Bは、カム20の窪み20C内において当該カム20に係止される。また、第2係止部22Cの先端部は、ポール18のトーションバネ係止孔18Dに係止される。これにより、カム20がトーションバネ22によってストライカ12(
図3参照)側へ向けて回転付勢されるようになっている。
【0026】
リリースワイヤ24は、一例として棒状に形成された金属材が曲げられること等により形成されている。このリリースワイヤ24の先端部は、ポール18側へ向けて伸びる回転軸としての軸部24Aとなっている。この軸部24Aは、ポール18のリリースワイヤ挿入孔18E及びカム20のリリースワイヤ挿入孔20Aにそれぞれ挿入されている。これにより、リリースワイヤ24がポール18に係止されると共に、カム20がポール18にリリースワイヤ24を介して回転可能に支持されるようになっている。
【0027】
コイルバネ26は、引張コイルバネである。このコイルバネ26の一方側の端部は、U字状に曲げられたラッチ側係止部26Aとなっている。このラッチ側係止部26Aは、ラッチ16のコイルバネ係止部16Eに係止される。その一方で、コイルバネ26の他方側の端部は、環状に曲げられたリリースワイヤ側係止部26Bとなっている。このリリースワイヤ側係止部26Bには、リリースワイヤ24の軸部24Aが挿入される。これにより、リリースワイヤ側係止部26Bは、リリースワイヤ24の軸部24Aに係止される。その結果、コイルバネ26がラッチ16とリリースワイヤ24との間に掛け渡された状態となる。コイルバネ26がラッチ16とリリースワイヤ24との間に掛け渡された状態では、ラッチ16がロック解除位置方向側へ回転付勢され、ポール18が回転制限位置方向側へ回転付勢される。
【0028】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0029】
図2には、ストライカ12に係合する前の状態のロック装置10が示されている。
図1及び
図2に示されるように、ストライカ12に係合する前の状態では、ラッチ16のポール係合面16Dとポール18のラッチ係合面18Bとが接触している。なお、
図2に示された状態のラッチ16の位置を「ロック解除位置」と呼ぶことにする。ラッチ16がロック解除位置に位置している状態では、ロック装置10の側面視において、ラッチ16のポール係合部16Cと筐体14の進入部14Cとが重なっている。
【0030】
図2及び
図3に示されるように、ロック装置10をストライカ12側へ向けて移動させると、ストライカ12とラッチ16のポール係合部16Cとが接触して、ラッチ16がストライカ12によってロック位置方向側へ向けて回転させられる。この時、
図3に示されるように、ストライカ12は、筐体14の進入部14C内に進入すると共にラッチ16のロック凹部16B内に進入する。ここで、ストライカ12が筐体14の進入部14C内に進入していると共にラッチ16のロック凹部16B内に進入している状態では、進入部14Cの開放方向とロック凹部16Bの開放方向とが互いに交差している。そのため、進入部14Cに進入したストライカ12の抜け出し方向への移動がラッチ16によって妨げられる。なお、
図3に示された状態のラッチ16の位置を「ロック位置」と呼ぶことにする。
【0031】
図1及び
図3に示されるように、ラッチ16がロック解除位置からロック位置側へ回転させられる際においては、ラッチ16のポール係合面16Dとポール18のラッチ係合面18Bとが摺動して、ラッチ16のポール係合部16Cがポール18の回転制限部18C側へ移動する。そして、ラッチ16のポール係合部16Cがポール18の回転制限部18Cに嵌まり込んだ状態となる。なお、コイルバネ26の付勢力によって、ラッチ16のポール係合部16Cがポール18の回転制限部18Cに嵌まり込んだ状態が保たれる。また、ラッチ16のポール係合部16Cがポール18の回転制限部18Cに嵌まり込んだ状態では、ラッチ16はロック位置に位置している。また、ラッチ16のポール係合部16Cがポール18の回転制限部18Cに嵌まり込んだ状態におけるポール18の位置を「回転制限位置」と呼ぶことにする。ポール18が回転制限位置に位置している状態では、ラッチ16のロック解除位置側への回転がポール18によって制限される。ここで、ストライカ12が筐体14の進入部14C内に進入していると共にラッチ16のロック凹部16B内に進入している状態かつラッチ16がロック位置に位置していると共にポール18が回転制限位置に位置している状態を「ロック状態」と呼ぶことにする。
【0032】
図1、
図3及び
図4に示されるように、カム20はトーションバネ22によって実線で示された位置から一点鎖線で示された位置側へ向けて回転付勢されている。そのため、ロック状態においては、カム20の当接部20Bがストライカ12に当接する。また、トーションバネ22の付勢力によって、カム20の当接部20Bがストライカ12を抜け出し方向側へ向けて押圧する。これにより、ストライカ12がカム20の当接部20Bとラッチ16のロック凹部16Bの内面との間に挟まれた状態となる。その結果、ロック状態におけるストライカ12のガタつきを抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態では、リリースワイヤ24の軸部24Aが、ポール18のリリースワイヤ挿入孔18E及びカム20のリリースワイヤ挿入孔20Aにそれぞれ挿入されている。これにより、リリースワイヤ24がポール18に係止されると共に、カム20がポール18にリリースワイヤ24を介して回転可能に支持されている。このように、本実施形態では、リリースワイヤ24の一部をカム20の回転軸として機能させることができる。
【0034】
また、本実施形態では、コイルバネ26がラッチ16とリリースワイヤ24との間に掛け渡される構成となっている。この構成では、コイルバネ26が係合する部分をポール18に設けることを不要にすることができる。
【0035】
また、本実施形態では、カム20のガイド軸20Eが筐体14のガイド孔14Fに挿入されることで、カム20の回転範囲が所定の範囲に制限される。詳述すると、
図2に示されるように、ラッチ16がロック解除位置に位置している状態では、ガイド軸20Eが三角形状のガイド孔14F内の角部分に配置された状態でガイド孔14F内の2つの辺に当接している。これにより、カム20の回転が制限される。その結果、カム20の当接部20Bは抜け出し方向側へ移動することはできない。これに対して、
図3に示されるように、ラッチ16がロック位置に位置している状態かつポール18が回転制限位置に位置している状態では、ガイド軸20Eが三角形状のガイド孔14F内の2つの辺の間を移動可能な位置に配置されている。これにより、トーションバネ22の付勢力によるカム20の回転が許容されると共にトーションバネ22の付勢力によるカム20の回転範囲が定められた範囲に制限される。この状態では、カム20の当接部20Bは抜け出し方向側へ移動することができる。
【0036】
なお、図面を用いた詳細な説明は省略するが、リリースワイヤ24を操作することにより、ポール18を回転制限位置から回転許容位置側へ回転させると、ラッチ16のポール係合部16Cがポール18の回転制限部18Cから抜け出す。ラッチ16のポール係合部16Cがポール18の回転制限部18Cから抜け出した位置におけるポール18の位置を「回転許容位置」と呼ぶことにする。ポール18が回転許容位置に位置している状態では、ラッチ16のロック解除位置側への回転が許容される。また、ポール18が回転許容位置に位置している状態で、ロック装置10をストライカ12とは反対側へ向けて移動させると、ストライカ12がラッチ16におけるロック凹部16Bの内面を押圧して、ラッチ16がストライカ12によってロック解除位置方向側へ向けて回転させられる。この時、ストライカ12は、ラッチ16のロック凹部16B内から抜け出すと共に筐体14の進入部14Cからに抜け出す。これにより、ロック装置10とストライカ12との係合状態が解除される。
【0037】
なお、以上説明した本実施形態では、コイルバネ26がラッチ16とリリースワイヤ24との間に掛け渡される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、コイルバネ26がラッチ16とポール18との間に掛け渡される構成としてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、カム20がポール18にリリースワイヤ24を介して回転可能に支持されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、カム20をポール18に直接支持させた構成としてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、カム20のガイド軸20Eが筐体14のガイド孔14Fに挿入されることで、カム20の回転範囲が所定の範囲に制限されるようにした例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ガイド軸20Eに対応する部分を筐体14側に設け、ガイド孔14Fに対応する部分をカム20側に設けた構成としてもよい。また、本実施形態では、ガイド孔14Fの形状を三角形状に形成した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ガイド孔14Fの形状は、カム20の制限及び許容する範囲やタイミング等を考慮して適宜設定すればよい。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
10 ロック装置
12 ストライカ(ロック対象部)
14 筐体(ベース部材)
14C 進入部
16 ラッチ(第1ロック部材)
18 ポール(第2ロック部材)
20 カム(当接部材)
22 トーションバネ(第1付勢部材)
24 リリースワイヤ(操作部材)
24A 軸部(回転軸)
26 コイルバネ(第2付勢部材)