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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167842
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】路面排水用装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/24 20060101AFI20241127BHJP
   E03F 1/00 20060101ALI20241127BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
E01C11/24
E03F1/00 Z
E03F3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084200
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】502045884
【氏名又は名称】株式会社赤羽コンクリート
(74)【代理人】
【識別番号】110003111
【氏名又は名称】あいそう弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 悟
【テーマコード(参考)】
2D051
2D063
【Fターム(参考)】
2D051AA03
2D051AF12
2D051AG03
2D051AG15
2D051AG19
2D063AA00
(57)【要約】
【課題】未舗装道路の洗掘防止のための路面排水用装置であって、大量の流水に対しても、路面の洗掘を抑制ないしは防止できる路面排水用装置を提供する。
【解決手段】上面部11が露出した状態で未舗装道路を横切るように埋設される長尺の支持部材10と、支持部材10の長手方向に延びる側面部12に取り付けられ、未舗装道路の路面上に突出する弾性を有する長尺の止水板部30とを備える路面排水用装置1であって、支持部材10は、中空であり、内部に長手方向の両端において開口する内部流路13を備え、かつ、支持部材10の上面部11に、内部流路13と外部とを連通する複数の上面取水孔14が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面部が露出した状態で未舗装道路を横切るように埋設される長尺の支持部材と、前記支持部材の長手方向に延びる側面部に取り付けられ、前記未舗装道路の路面上に突出する弾性を有する長尺の止水板部とを備える路面排水用装置であって、
前記支持部材は、中空であり、内部に長手方向の両端において開口する内部流路を備え、かつ、前記支持部材の上面部に、前記内部流路と外部とを連通する複数の上面取水孔が設けられていることを特徴とする路面排水用装置。
【請求項2】
前記支持部材は、長手方向に直交する面における断面が略長方形である鋼管であり、前記断面における上下方向寸法が、前記断面における幅方向寸法よりも大きくなっている請求項1に記載の路面排水用装置。
【請求項3】
前記複数の上面取水孔は、前記支持部材の長手方向に直交する方向に延びる略長円孔である請求項1または2に記載の路面排水用装置。
【請求項4】
前記支持部材の前記止水板部が取り付けられた前記側面部に対向する第2の側面部に、前記内部流路と外部とを連通する複数の側面取水孔が設けられている請求項1または2に記載の路面排水用装置。
【請求項5】
前記複数の側面取水孔は、前記支持部材の上下方向に延びる略長円孔である請求項4に記載の路面排水用装置。
【請求項6】
前記複数の側面取水孔を覆うように、前記第2の側面部に網状部材が取り付けられている請求項4に記載の路面排水用装置。
【請求項7】
前記複数の側面取水孔は、前記第2の側面部の上半分部分に設けられている請求項4に記載の路面排水用装置。
【請求項8】
前記止水板部は、前記止水板部の上下方向略中央部において、前記支持部材に取り付けられている請求項1または2に記載の路面排水用装置。
【請求項9】
前記支持部材の下部に取り付けられる基礎部材をさらに備える請求項1または2に記載の路面排水用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未舗装道路の洗掘防止のための路面排水用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、未舗装道路(特に傾斜のある林道や、山間部の作業用道路等)では、降雨時等に大量の水が路面上を流れることにより、路面の土砂が流失し、路面の損傷を生じる(所謂洗掘が生じる)ことが知られている。
これに対し、未舗装道路の洗掘防止のための構成が種々開示されている。
例えば、特許文献1(実公平7-043247)には、上面が地面より突出しない状態で、道路を横切る方向に地中に埋設される長尺の補強部3と、この補強部3から立ち上がり、地上に突出する長尺の弾性材料からなる板状部4とからなる路面排水帯1が開示されている。これにより、道路上を流れ下る雨水を板状部4にて止め、道路が雨水によりえぐられるのを防止することが可能になる。また、特許文献2(特許第4187781号)には、弾性部4と、弾性部4を路面に突出させる支持部5と、支持部5の底面に取り付けられる長尺の支持強化部12とを備える路面排水帯10が開示されており、支持強化部12によって支持部5の回転及び沈みを防止し、路上の流水を有効に止水することができることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7-043247
【特許文献2】特許第4187781号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、局地的に短時間で激しい雨が降ること(所謂ゲリラ豪雨の発生)が増えている。このようなゲリラ豪雨に対して、従来の路面排水帯では、極めて大量の流水が止水のための板状部(止水板部)を乗り越えてしまい、路面の洗掘が生じてしまう。また、そのように極めて大量の流水を止めるために、止水板部の突出量を大きくすると、車両の走行の妨げとなったり、止水板部の損傷が早まって、かえって洗掘防止効果が低下してしまうこともある。
そこで、本発明の目的は、未舗装道路の洗掘防止のための路面排水用装置であって、大量の流水に対しても、路面の洗掘を抑制ないしは防止できる路面排水用装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 上面部が露出した状態で未舗装道路を横切るように埋設される長尺の支持部材と、前記支持部材の長手方向に延びる側面部に取り付けられ、前記未舗装道路の路面上に突出する弾性を有する長尺の止水板部とを備える路面排水用装置であって、
前記支持部材は、中空であり、内部に長手方向の両端において開口する内部流路を備え、かつ、前記支持部材の上面部に、前記内部流路と外部とを連通する複数の上面取水孔が設けられている路面排水用装置。
【0006】
(2) 前記支持部材は、長手方向に直交する面における断面が略長方形である鋼管であり、前記断面における上下方向寸法が、前記断面における幅方向寸法よりも大きくなっている上記(1)に記載の路面排水用装置。
(3) 前記複数の上面取水孔は、前記支持部材の長手方向に直交する方向に延びる略長円孔である上記(1)または(2)に記載の路面排水用装置。
(4) 前記支持部材の前記止水板部が取り付けられた前記側面部に対向する第2の側面部に、前記内部流路と外部とを連通する複数の側面取水孔が設けられている上記(1)から(3)のいずれかに記載の路面排水用装置。
(5) 前記複数の側面取水孔は、前記支持部材の上下方向に延びる略長円孔である上記(4)に記載の路面排水用装置。
(6) 前記複数の側面取水孔を覆うように、前記第2の側面部に網状部材が取り付けられている上記(4)または(5)に記載の路面排水用装置。
(7) 前記複数の側面取水孔は、前記第2の側面部の上半分部分に設けられている上記(4)から(6)のいずれかに記載の路面排水用装置。
(8) 前記止水板部は、前記止水板部の上下方向略中央部において、前記支持部材に取り付けられている上記(1)から(7)のいずれかに記載の路面排水用装置。
(9) 前記支持部材の下部に取り付けられる基礎部材をさらに備える上記(1)から(8)のいずれかに記載の路面排水用装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の路面排水用装置は、上面部が露出した状態で未舗装道路を横切るように埋設される長尺の支持部材と、支持部材の長手方向に延びる側面部に取り付けられ、未舗装道路の路面上に突出する弾性を有する長尺の止水板部とを備える路面排水用装置であって、支持部材は、中空であり、内部に長手方向の両端において開口する内部流路を備え、かつ、支持部材の上面部に、内部流路と外部とを連通する複数の上面取水孔が設けられている。これにより、路面排水用装置の近傍に存在する水を支持部材の内部流路を通じて排水することができ、従来の路面排水用装置に比べて、大量の流水に対しても、未舗装道路の路面の洗掘を抑制または防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施例の路面排水用装置を示す正面図である。
図2図2は、図1に示す路面排水用装置の平面図である。
図3図3は、図1のA-A断面拡大図である。
図4図4は、図2のC部拡大図である。
図5図5は、図1のB部拡大図である。
図6図6は、図1に示す路面排水用装置に基礎部材としての基礎体を取り付けた状態を示す、図3に対応する断面拡大図である。
図7図7は、図1に示す路面排水用装置を未舗装道路に設置した状態を説明するための平面説明図である。
図8図8は、図7のD-D断面拡大説明図である。
図9図9は、路面排水用装置の機能を説明するための、図8に対応する断面拡大説明図である。
図10図10は、本発明の他の実施例の路面排水用装置を示す断面図である。
図11図11は、本発明の他の実施例の路面排水用装置を示す正面図である。
図12図12は、本発明の他の実施例の路面排水用装置を示す断面図である。
図13図13は、本発明の他の実施例の路面排水用装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の路面排水用装置を図面に示した実施例を用いて説明する。本発明の路面排水用装置1は、図1から図6に示すように、上面部11が露出した状態で未舗装道路を横切るように埋設される長尺の支持部材10と、支持部材10の長手方向(図1における左右方向)に延びる側面部12(ここでは、未舗装道路に設置された状態において、未舗装道路を流れる水の下流側(未舗装道路の傾斜方向下側)となる下流側側面部12)に取り付けられ、未舗装道路の路面上に突出する弾性を有する長尺の止水板部30とを備える路面排水用装置1である。支持部材10は、中空であり、内部に長手方向の両端において開口する(支持部材10を長手方向に貫通する)内部流路13を備え、かつ、支持部材10の上面部11に、内部流路13と外部とを連通する複数の上面取水孔14が設けられている。
【0010】
図1から図6に示す実施例の路面排水用装置1は、長尺の支持部材10と、未舗装道路の路面上に突出する弾性を有する長尺の止水板部30と、支持部材の下部に取り付けられる基礎部材としての基礎板17とを備える。なお、路面排水用装置は、そのような基礎板を備えることが好ましいが、備えないものであってもよい。
【0011】
本実施例では、支持部材10は、長手方向に直交する面における断面が略長方形である鋼管である。支持部材10の内部には支持部材10を長手方向に貫通する内部流路13が形成されており、両端に開口部15が形成されている。
【0012】
図3に示すように、支持部材10(支持部材10を構成する鋼管)は、断面における上下方向寸法(図3における上下方向寸法)が、断面における幅方向寸法(図3における左右方向寸法)よりも大きくなっていることが好ましい。言い換えれば、中空の支持部材10の内部に形成される内部流路13は、上下方向寸法Hが、幅方向寸法Wよりも大きくなっていることが好ましい。これにより、内部流路13に流入した土砂等による内部流路13の閉塞を抑制または阻止することができる。
【0013】
なお、支持部材10(内部流路13)の材質および形態は上述のものに限られるものではない。例えば、図10に示す路面排水用装置1aのように、断面において、支持部材10aの下面部16の幅方向寸法が、上面部11の幅方向寸法よりも大きくなっていてもよい。これにより、土砂等により内部流路13が下部において閉塞する恐れを低減できる。また、下面部16を大きくすることにより、支持部材の下部に取り付けられる基礎部材(基礎板や基礎体)を設けなくても、路面排水用装置1a上を車両が通行する際に加わる荷重を支えることができる。
【0014】
図3に示すように、路面排水用装置1の内部流路13の上下方向寸法Hは、125~150mm程度であることが好ましく、幅方向寸法Wは、75~90mm程度であることが好ましい。また、内部流路13の上下方向寸法Hは、幅方向寸法Wの1.5~2倍であることが好ましい。
【0015】
図2から図4に示すように、支持部材10の上面部11には、内部流路13と外部とを連通する複数(ここでは、10個)の上面取水孔14が設けられている。本実施例では、各上面取水孔14は、支持部材10の長手方向に直交する方向(幅方向)に延びる略長円孔である。言い換えれば、本実施例では、各上面取水孔14が、未舗装道路を流れる水の流れ方向(未舗装道路の傾斜方向)に沿って延びる略長円孔となっている。これにより、未舗装道路を流れる水を、上面取水孔14から内部流路13に効率的に取り入れることができる。
【0016】
図4に示すように、上面取水孔14の最小開口幅W1(ここでは、長円孔である上面取水孔14の短手方向の開口幅W1)は、6~9mm程度であることが好ましい。これにより、上面取水孔14を形成する際の作業性を確保しつつ、比較的粒径の大きい岩石片(例えば、比較的大きな礫や小石。なお、地質学用語において、一般的には、粒径が2mm以上の砕屑物は礫(れき)と呼ばれ、砂や泥(粒径が2mm以下の砕屑物)とは区別される。)が、上面取水孔14を通じて内部流路13に流入することを阻止することができる。なお、さらにそれよりも粒径の小さい岩石片の流入を阻止するために、支持部材10の上面部11に、複数の上面取水孔14を覆うように、後述するような網状部材(50)を取り付けてもよい。また、長円孔である上面取水孔14の長径方向寸法L1は、30~40mm程度であることが好ましい。
【0017】
図1図3、および図5に示すように、支持部材10の、後述する止水板部(30)が取り付けられた側面部(下流側側面部)12に対向する第2の側面部(上流側側面部)18には、内部流路13と外部とを連通する複数(ここでは、10個)の側面取水孔19が設けられている。本実施例では、各側面取水孔19は、支持部材10の上下方向に延びる略長円孔である。言い換えれば、本実施例では、各側面取水孔19が、路面排水用装置1の上流側において、未舗装道路の路面(表面)から水が染み込む方向に沿って延びる略長円孔となっている。これにより、未舗装道路に染み込む水を、側面取水孔19から内部流路13に効率的に取り入れることができ、路面排水用装置1の上流側における水の滞留を防止できる。
【0018】
側面取水孔19の最小開口幅W2(ここでは、長円孔である側面取水孔19の短手方向の開口幅W2)は、6~9mm程度であることが好ましい。これにより、側面取水孔19を形成する際の作業性を確保しつつ、比較的粒径の大きい岩石片(例えば、上述したような比較的大きな礫や小石。)が、内部流路13に流入することを阻止することができる。また、長円孔である側面取水孔19の長径方向寸法L2は、30~40mm程度であることが好ましい。なお、本実施例では、側面取水孔19の長径方向寸法L2が、上面取水孔14の長径方向寸法L1よりも大きくなっている。
【0019】
なお、未舗装道路に設置された状態において、第2の側面部18は、地中に配置される。これに対し、図11に示す路面排水用装置1bのように、複数の側面取水孔19を覆うように、第2の側面部(上流側側面部)18に網状部材50が取り付けられていてもよい。これにより、側面取水孔19の最小開口幅よりも粒径の小さい岩石片が側面取水孔19から内部流路13へ流入することを抑制または阻止することができる。なお、そのような網状部材50の目開き(網目の隙間部分の寸法を示すものであって、「1インチ(約25.4mm)÷メッシュ(1インチ(約25.4mm)間にある線の数)-線径(mm)=目開き(mm)」である)は、側面取水孔19の最小開口幅(W2)よりも小さいものであることが好ましく、具体的には、3~5mm程度であることが好ましい。これにより、側面取水孔19からの水の取り入れを阻害することなく、所定の岩石片の内部流路13への流入を抑制または防止することができる。
【0020】
本実施例では、図1および図3に示すように、複数の側面取水孔19は、第2の側面部(上流側側面部)18の上半分部分(上下方向中央よりも上側の部分)に設けられている。これにより、未舗装道路の路面(表面)から染み込む水を、側面取水孔19から内部流路13に効率的に取り入れることができる一方、内部流路13の下部に土砂等が直接流入することを防止することができる。
【0021】
図2および図3に示すように、支持部材10の長手方向に延びる側面部(下流側側面部)12には、未舗装道路の路面上に突出する弾性を有する長尺の止水板部30が取り付けられている。具体的には、止水板部30は、路面排水用装置1が未舗装道路に設置された状態において、未舗装道路を流れる水の下流側(未舗装道路の傾斜方向下側)となる側面部(下流側側面部)12に取り付けられている。
【0022】
止水板部30は、弾性を有し、路面排水用装置1上を車両が通行する際には、車輪に踏み付けられて曲がることで車両の走行の妨げにならず、車両の通過後、再び元の状態(路面上に突出した状態)に戻るものであることが好ましい。止水板部30としては、弾性を有し、かつ耐久性に優れたものであることが好ましく、例えば、ゴム層と布帛層により形成された板状の部材を用いることができる。布帛層としては、合成樹脂製繊維(ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン等)により形成された織布(例えば、帆布)、不織布などが用いられる。止水板部としては、ゴム層と布帛層とが積層されたもの、ゴム層内に布帛層が埋め込まれた板状の部材などが使用できる。
【0023】
図3に示すように、止水板部30は、止水板部30の上下方向略中央部において、支持部材10に取り付けられていることが好ましい。本実施例では、止水板部30は、止水板部30を貫通するボルト20およびナット21によって支持部材10に取り付けられており、当該ボルト20の中心軸と止水板部30の上端の間の距離d1と、下端の間の距離d2とが略同じとなるようになっている。これにより、車両の通行等により止水板部30の上部(未舗装道路の路面上に突出している部分)が破損等した場合であっても、止水板部30を上下反転させて使用することができる。
【0024】
本実施例では、止水板部30は、支持部材10(側面部12)と補助板部22とに挟まれた状態で支持部材10に取り付けられている。補助板部22は、金属製の板材であり、支持部材10の側面部(下流側側面部)12と略同一の大きさとなっている。図3に示すように、支持部材10と止水板部30と補助板部22とは、それらを貫通するボルト20およびナット21により一体的に固定されている。
【0025】
補助板部22は、止水板部30に取付荷重(ボルト20およびナット21による締結力)が直接掛からないようにして、止水板部30を保護する。また、補助板部22は、止水板部30の支持部材10(側面部12)側とは反対側の面を覆って保護する。また、補助板部22があることで、路面排水用装置1を設置(埋設)した状態で、上述したように止水板部30を上下反転させる際に、一度取り外した止水板部30を再び取り付ける際のスペースを確保することができる。なお、補助板部22は、支持部材10に直接または間接的に一体化されていてもよい。本実施例では、補助板部22は、基礎板17に溶接等で固定されており、基礎板17を介して支持部材10に間接的に一体化されている。
【0026】
図1から図3に示すように、支持部材10の下部には、基礎部材としての2つの基礎板17,17が一体的に取り付けられている。基礎板17は、金属製の厚板であり、支持部材10の短手方向(図3における左右方向)両側に突出するように、支持部材10に溶接等によって固定されている。基礎板17には、後述する基礎体(40)を取り付けるためのボルト(23)を挿通するための孔24が設けられている。基礎板17と支持部材10との間には、補強用リブ25が設けられていてもよい。
【0027】
基礎板17は、路面排水用装置1(支持部材10)に、後述する基礎体(40)を固定する際にも利用することができる。また、路面排水用装置1(支持部材10)に基礎体(40)を固定しない場合であっても、基礎板17の存在により、路面排水用装置1上を車両が通行する際に加わる荷重を支えることができる。また、本実施例では、上述したように、基礎板17に補助板部22が溶接等で固定されている。
【0028】
図1から図3に示すように、支持部材10の長手方向両端部には、隣り合って配置される2つの路面排水用装置1,1を連結するための連結用フランジ部材26が、各端部に2つずつ、一体的に設けられている。連結用フランジ部材26は、金属製の厚板である。本実施例では、連結用フランジ部材26は、支持部材10の側面部(下流側側面部)12および第2の側面部(上流側側面部)18から、それぞれ、略垂直に立ち上がるように固定されている。連結用フランジ部材26は、中央部分に連結用ボルト28を挿通するための孔27が設けられており、当該孔27に挿通される連結用ボルト28およびナット29により、隣り合って配置される2つの路面排水用装置1,1が連結される。
【0029】
図6に示すように、路面排水用装置1は、支持部材10の下部に取り付けられる基礎部材としての基礎体40をさらに備えていてもよい。これにより、路面排水用装置1の設置状態を安定させることができる。本実施例では、基礎体40は、コンクリート製のブロックであり、その重量により路面排水用装置1を設置状態を安定させることができる。なお、基礎体40は、木材等により形成されていてもよい。基礎体40を間伐材や廃棄予定の木材により形成することで、環境に配慮することができる。路面排水用装置1では、上述した基礎板17の孔24に挿通されるボルト23によって、基礎体40が一体的に取り付けられており、基礎板17と基礎体40とで基礎部材が構成されている。
【0030】
次いで、本実施例の路面排水用装置1を未舗装道路に設置した状態、および未舗装道路に設置された路面排水用装置1の機能について、図7から図9を用いて説明する。なお、本実施例では、図7に示すように、3つの路面排水用装置1,1,1が長手方向において連結され、未舗装道路60を横切るように設置されている。また、本実施例では、未舗装道路60には勾配があり、図7における左方向から右方向(図7中、白抜き矢印の方向)に向かって下るように傾斜しているものとする。なお、図8および図9においては、そのような未舗装道路60の勾配の図示は省略する。
【0031】
図7に示すように、路面排水用装置1は、未舗装道路60の延びる方向(ここでは、未舗装道路60は、図7において左右方向に延びる)に対する傾斜角度θが、55~75°程度となるように設置することが好ましい。これにより、上述した未舗装道路60の勾配と合わせて、流水を未舗装道路60の一方の側部(ここでは、図7における上側の側部)に導くことができる。なお、そのような未舗装道路60の一方の側部または両方の側部に、排水のための側溝を設けてもよい。
【0032】
また、路面排水用装置1は未舗装道路60の幅方向(上述した未舗装道路60の延びる方向に直交する方向)に傾斜させて設置してもよい。この場合、当該幅方向の傾斜の下り方向に水を導くように、路面排水用装置1を未舗装道路60の延びる方向に対して傾斜させることが好ましい。言い換えれば、図7においては、未舗装道路60は、図7の上方側に向かって下るように幅方向に傾斜していることが好ましい。また、未舗装道路60にこのような幅方向の傾斜がない場合、路面排水用装置1の内部流路13内に、水を導くための傾斜を設けてもよい。
【0033】
図8に示すように、未舗装道路60への設置(埋設)状態において、路面排水用装置1の上面部11は路面に露出しており、上面部11に形成された上面取水孔14により内部流路13と外部とが連通している。また、止水板部30の上部が、未舗装道路60の路面61上に突出している。
【0034】
次いで、降雨時等の水の流れについて、図9を用いて説明する。降雨時等には、水62は未舗装道路60の勾配に沿って(図9において左から右へ(図9中の白抜き矢印参照))路面61上を流れる。そのような水(流水)62は、路面61上に突出する止水板部30によって堰き止められる。止水板部30によって堰き止められた水62は、止水板部30に沿って未舗装道路60の側部に導かれる。
【0035】
また、路面排水用装置1においては、止水板部30によって堰き止められた水62が、止水板部30の上流側に配設された支持部材10の上面取水孔14を通じて、支持部材10の内部流路13に取り込まれる(図9中、太線矢印参照)。そして、内部流路13に取り込まれた水62は、支持部材10(内部流路13)の端部に形成された開口部15から排出されることとなる。
【0036】
このように、路面排水用装置1は、未舗装道路60の路面上に突出した止水板部30で水(流水)62を堰き止め、流水を未舗装道路60の側部に導くことで、未舗装道路60の洗掘を防止することができる。さらに、路面排水用装置1は、止水板部30の上流側に、内部流路13を備え、かつ上面部11に複数の上面取水孔14を有する支持部材10を備える。これにより、止水板部30にて堰き止めた水62を内部流路13を通じて排水することができ、大量の流水に対しても、水62が止水板部30を乗り越えることによる未舗装道路60の路面61の洗掘を抑制または防止できる。また、そのような排水機能により、路面排水用装置1の近傍に水62が停滞することで生じる路面61の軟化や侵食等を防ぐこともできる。
【0037】
また、路面排水用装置1は、上面取水孔14から内部流路13に、比較的粒径の小さい岩石片(例えば、砂や泥(粒径が2mm以下の砕屑物)。)を取り込み、水62とともに排出することができる。これにより、止水板部30の上流側(支持部材10上)に、所定の岩石片が堆積することを防止でき、水62が止水板部30を乗り越えることによる未舗装道路60の路面61の洗掘を効果的に抑制ないしは防止できる。
【0038】
また、本実施例の路面排水用装置1は、複数の側面取水孔19を備える。これにより路面排水用装置1の上流側において路面61から浸透した水62を、内部流路13に取り込み、排出することができる(図9中、太線矢印参照)。これにより、止水板部30の上流側における水62の滞留を低減し、水62が止水板部30を乗り越えることによる未舗装道路60の路面61の洗掘をより効果的に抑制ないしは防止できる。
【0039】
なお、図12に示す路面排水用装置1cのように、支持部材10cの上部であって止水板部30が取り付けられる側(側面部12側)の角部に、他の角部よりも大きなR形状を設けることもできる。これにより、止水板部30を保護することができる。また、補助板部22cの上部にR形状を設けることもできる。これにより、止水板部30を保護することができる。
【0040】
また、図13に示す路面排水用装置1dのように、止水板部30の下流側に第2の支持部材10dを設けてもよい。第2の支持部材10dは、支持部材10と同じく、中空であり、内部に長手方向の両端において開口する(開口部15dを有する)内部流路13dを備え、かつ、第2の支持部材10dの上面部11dには、内部流路13dと外部とを連通する複数の上面取水孔14dが設けられている。これにより、流水が止水板部30を乗り越えた場合であっても、そのような流水を第2の支持部材10dの内部流路13dを通じて排水することができ、未舗装道路の路面の洗掘をより効果的に抑制または防止できる。なお、本実施例の路面排水用装置1dは、上述した補助板部(22)を備えておらず、支持部材10(側面部(下流側側面部)12)と第2の支持部材10d(側面部(上流側側面部)12d)とに挟まれるようにして、止水板部30が取り付けられている。また、本実施例の路面排水用装置10dでは、第2の支持部材10dの第2の側面部(ここでは、止水板部30側とは反対側の側面部であって、下流側側面部)18dには、上述のような側面取水孔(19)は設けられていないが、そのような側面取水孔(19)を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 路面排水用装置
10 支持部材
11 上面部
12 側面部(下流側側面部)
13 内部流路
14 上面取水孔
17 基礎板(基礎部材)
18 第2の側面部(上流側側面部)
19 側面取水孔
30 止水板部
40 基礎体(基礎部材)
50 網状部材
60 未舗装道路
61 路面
62 水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
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図12
図13