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特開2024-167843マスキング音選択装置、プログラム、およびマスキング音の選択方法
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  • 特開-マスキング音選択装置、プログラム、およびマスキング音の選択方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167843
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】マスキング音選択装置、プログラム、およびマスキング音の選択方法
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/175 20060101AFI20241127BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
G10K11/175
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084201
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】309039716
【氏名又は名称】株式会社ディーアンドエムホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】野崎 徹
【テーマコード(参考)】
5D061
5D220
【Fターム(参考)】
5D061FF02
5D220AA02
5D220AB01
(57)【要約】
【課題】周囲の騒音等に対してマスキング効果の高いマスキング音を自動的に選択することができる技術を提供する。
【解決手段】ワイヤレススピーカ1は、騒音種別毎にマスキング音の名称が記憶されたマスキング音情報記憶部15と、周囲音を集音する集音部16と、集音部16により集音された周囲音のオーディオデータの周波数特性を解析する周波数特性解析部17と、周波数特性解析部17により解析された周波数特性に基づいて周囲音の騒音種別を特定するマスキング音選択部18と、を備えている。マスキング音選択部18は、特定した騒音種別に紐付けられてマスキング音情報記憶部15に記憶されている名称により特定されるマスキング音を、周囲音に重ねるマスキング音として選択する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲音に重ねるマスキング音を選択するマスキング音選択装置であって、
騒音種別毎に、マスキング音に関する情報が記憶されたマスキング音情報記憶手段と、
前記周囲音を集音する集音手段と、
前記集音手段により集音された前記周囲音のオーディオデータの周波数特性を解析する周波数特性解析手段と、
前記周波数特性解析手段により解析された周波数特性に基づいて前記周囲音の騒音種別を特定し、当該騒音種別に紐付けられて前記マスキング音情報記憶手段に記憶されている情報により特定されるマスキング音を、前記周囲音に重ねるマスキング音として選択するマスキング音選択手段と、を備える
ことを特徴とするマスキング音選択装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマスキング音選択装置であって、
前記マスキング音選択手段により選択された前記マスキング音のオーディオデータを再生する再生手段と、
前記再生手段により再生された前記マスキング音のオーディオデータを出力する出力手段と、をさらに備える
ことを特徴とするマスキング音選択装置。
【請求項3】
請求項2に記載のマスキング音選択装置であって、
前記周波数特性解析手段は、
前記再生手段が前記マスキング音を再生中の場合、前記集音手段により集音された前記周囲音のオーディオデータと当該再生中のマスキング音のオーディオデータとの差分データの周波数特性を解析する
ことを特徴とするマスキング音選択装置。
【請求項4】
請求項1に記載のマスキング音選択装置であって、
前記マスキング音選択手段により選択された前記マスキング音の指定を伴う再生指示をオーディオ装置に通知する再生指示手段をさらに備える
ことを特徴とするマスキング音選択装置。
【請求項5】
請求項1に記載のマスキング音選択装置であって、
前記マスキング音選択手段により選択されたマスキング音のオーディオデータをオーディオ装置に送信するマスキング音送信手段をさらに備える
ことを特徴とするマスキング音選択装置。
【請求項6】
請求項5に記載のマスキング音選択装置であって、
前記周波数特性解析手段は、
前記オーディオ装置が前記マスキング送信手段により送信されたマスキング音のオーディオデータを再生中の場合、前記集音手段により集音された前記周囲音のオーディオデータと当該再生中のマスキング音のオーディオデータとの差分データの周波数特性を解析する
ことを特徴とするマスキング音選択装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載のマスキング音選択装置であって、
前記マスキング音情報記憶手段は、
騒音種別毎に、複数のマスキング音に関する情報を。それぞれ再生時間帯とともに記憶しており、
前記マスキング音選択手段は、
前記周囲音の騒音種別および現在時刻を含む再生時間帯に紐付けられて前記マスキング音情報記憶手段に記憶されている情報により特定されるマスキング音を、前記周囲音に重ねるマスキング音として選択する
ことを特徴とするマスキング音選択装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載のマスキング音選択装置であって、
ユーザの生体情報を取得する生体情報取得手段をさらに備え、
前記マスキング音情報記憶手段は、
騒音種別毎に、複数のマスキング音に関する情報を、それぞれユーザの心身状態とともに記憶しており、
前記マスキング音選択手段は、
前記周囲音の騒音種別および前記生体情報取得手段により取得された前記生体情報が示す前記ユーザの心身状態に紐付けられて前記マスキング音情報記憶手段に記憶されている情報により特定されるマスキング音を、前記周囲音に重ねるマスキング音として選択する
ことを特徴とするマスキング音選択装置。
【請求項9】
周囲音に重ねるマスキング音を選択するマスキング音選択装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
騒音種別毎に、マスキング音に関する情報が記憶されたマスキング音情報記憶手段、
前記周囲音を集音する集音手段、
前記集音手段により集音された前記周囲音のオーディオデータの周波数特性を解析する周波数特性解析手段、および
前記周波数特性解析手段により解析された周波数特性に基づいて前記周囲音の騒音種別を特定し、当該騒音種別に紐付けられて前記マスキング音情報記憶手段に記憶されている情報により特定されるマスキング音を、前記周囲音に重ねるマスキング音として選択するマスキング音選択手段として、前記コンピュータを機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
マスキング音選択装置による、周囲音に重ねるマスキング音の選択方法であって、
前記マスキング音選択装置は、
前記周囲音を集音して、当該周囲音のオーディオデータの周波数特性を解析し、
前記解析された周波数特性に基づいて前記周囲音の騒音種別を特定し、
前記特定された騒音種別に紐付けられて予め登録されている情報により特定されるマスキング音を、前記周囲音に重ねるマスキング音として選択する
ことを特徴とするマスキング音の選択方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の走行音、工場の稼働音、他人の会話等、騒音や雑音に対するマスキング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の走行音、工場の稼働音、他人の会話等の、不快な騒音や雑音(騒音等)に対して、この騒音等の周波数に近い周波数の音(マスキング音)を重ねることにより、この騒音等を聞こえ難くするマスキング効果が知られている。周囲の騒音等に対してマスキング効果を発揮するマスキング音を出力することで、ユーザは、周囲の騒音等を気にすることなく、リラックスした状態で過ごすことができる(特許文献1、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-57621号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“テクセルSAINT COLUMN 音のマスキングとは?概要や効果、使用する場面などを知ろう”,[online],岐阜プラスチック工業株式会社,[令和5年4月11日検索],インターネット,<URL:http://teccell.co.jp/saint/column/sound-masking/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、マスキング効果の高いマスキング音は、騒音等の種類によって異なる。ユーザが周囲の騒音等に応じて、マスキング効果の高いマスキング音を探し出すことは、とても面倒である。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、周囲の騒音等に対してマスキング効果の高いマスキング音を自動的に選択することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、マスキング効果の高いマスキング音に関する情報を騒音種別毎に予め登録しておく。そして、集音した周囲音のオーディオデータの周波数特性に基づいて周囲音の騒音種別を特定し、特定した騒音種別に紐付けられて予め登録された情報により特定されるマスキング音を、周囲音に重ねるマスキング音として選択する。
【0008】
例えば、本発明は、
周囲音に重ねるマスキング音を選択するマスキング音選択装置であって、
騒音種別毎に、マスキング音に関する情報が記憶されたマスキング音情報記憶手段と、
前記周囲音を集音する集音手段と、
前記集音手段により集音された前記周囲音のオーディオデータの周波数特性を解析する周波数特性解析手段と、
前記周波数特性解析手段により解析された周波数特性に基づいて前記周囲音の騒音種別を特定し、当該騒音種別に紐付けられて前記マスキング音情報記憶手段に記憶されている情報により特定されるマスキング音を、前記周囲音に重ねるマスキング音として選択するマスキング音選択手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、集音した周囲音のオーディオデータの周波数特性に基づいて周囲音の騒音種別を特定し、特定した騒音種別に紐付けられて予め登録されている情報により特定されるマスキング音を選択する。したがって、本発明によれば、騒音種別毎に、マスキング効果の高いマスキング音に関する情報を予め登録しておくことにより、周囲の騒音等に対してマスキング効果の高いマスキング音が自動的に選択される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係るオーディオシステムの概略構成図である。
図2図2は、ワイヤレススピーカ1の概略機能構成図である。
図3図3は、マスキング音情報記憶部15の登録内容例を模式的に表した図である。
図4図4は、ワイヤレススピーカ1のマスキング音再生動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係るオーディオシステムの概略構成図である。
【0013】
図示するように、本実施の形態に係るオーディオシステムは、ワイヤレススピーカ1と、リモートコントローラ2と、マスキング音を含むオーディオデータを配信するメディアサーバ3と、を備えて構成されている。
【0014】
ワイヤレススピーカ1およびリモートコントローラ2は、アクセスポイント5を介して、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等のネットワーク4に接続されている。また、メディアサーバ3は、ネットワーク4に接続されている。
【0015】
ワイヤレススピーカ1は、楽曲の指定を伴う再生指示を、アクセスポイント5を介してリモートコントローラ2から受信すると、アクセスポイント5およびネットワーク4を介してメディアサーバ3にアクセスし、再生指示で指定された楽曲のオーディオデータをメディアサーバ3からダウンロードして再生・出力する。また、ワイヤレススピーカ1は、アクセスポイント5を介してリモートコントローラ2からリラックスモード移行指示を受信すると、騒音や雑音(騒音等)を含む周囲音に対してマスキング効果の高いマスキング音を選択する。そして、アクセスポイント5およびネットワーク4を介してメディアサーバ3にアクセスし、選択したマスキング音のオーディオデータをメディアサーバ3からダウンロードして再生・出力する。
【0016】
つぎに、本実施の形態に係るオーディオシステムを構成するワイヤレススピーカ1の詳細を説明する。
【0017】
なお、リモートコントローラ2には、スマートホン、タブレットPC(Personal Computer)等の既存のワイヤレス端末を用いることができ、メディアサーバ3には、要求されたオーディオデータを要求元に配信する既存のメディアサーバを用いることができる。そこで、リモートコントローラ2およびメディアサーバ3の詳細な説明を省略する。
【0018】
図2は、ワイヤレススピーカ1の概略機能構成図である。
【0019】
図示するように、ワイヤレススピーカ1は、無線インターフェース部10と、指示受付部11と、オーディオ取得部12と、オーディオ再生部13と、オーディオ出力部14と、マスキング音情報記憶部15と、集音部16と、周波数特性解析部17と、マスキング音選択部18と、を備えている。
【0020】
無線インターフェース部10は、アクセスポイント5に接続するためのインターフェースである。
【0021】
指示受付部11は、無線インターフェース部10を介してリモートコントローラ2から各種指示を受け付ける。
【0022】
オーディオ取得部12は、無線インターフェース部10を介してメディアサーバ3にアクセスし、指示受付部11より指定された楽曲のオーディオデータ、あるいはマスキング音選択部18より指定されたマスキング音のオーディオデータをメディアサーバ3から取得する。
【0023】
オーディオ再生部13は、オーディオ取得部12により取得されたオーディオデータを再生する。
【0024】
オーディオ出力部14は、オーディオ再生部13により再生されたオーディオデータを不図示の内蔵あるいは外付けのスピーカから出力する。
【0025】
マスキング音情報記憶部15には、騒音等の種別(騒音種別)毎に、1以上のマスキング音に関する情報がその再生時間帯に紐付けられて記憶されている。
【0026】
図3は、マスキング音情報記憶部15の登録内容例を模式的に表した図である。
【0027】
図示するように、マスキング音情報記憶部15には、騒音種別毎にマスキング音情報のレコード150が記憶されている。このレコード150は、騒音種別が登録されたフィールド151と、この騒音種別に属する騒音等に対してマスキング効果の高いマスキング音の名称が記憶された1以上のフィールドと、を有している。本実施形態では、各レコード150は、マスキング音の名称が記憶された2つのフィールド152、153を有しており、一方のフィールド152には、日中(再生時間帯5:00~18:00)に聞かせるのに適したマスキング音の名称が記憶され、他方のフィールド153には、夜間(再生時間帯18:00~5:00)に聞かせるのに適したマスキング音の名称が記憶されている。なお、本実施の形態では、1日を2つの時間帯(日中、夜間)に分割し、それぞれの時間帯に適したマスキング音の名称をレコード150に登録しているが、1日を3つ以上の時間帯(朝、昼、夕方、夜等)に分割し、それぞれの時間帯に適したマスキング音の名称をレコード150に登録してもよい。
【0028】
集音部16は、マスキング音選択部18の指示に従い、不図示の内蔵あるいは外付けのマイクによって周囲音を集音し、集音した周囲音のオーディオデータを周波数特性解析部17に出力する。
【0029】
周波数特性解析部17は、集音部16により集音された周囲音のオーディオデータの周波数特性を解析する。ここで、オーディオ再生部13がマスキング音のオーディオデータを再生中である場合、集音部16により集音された周囲音のオーディオデータと再生中のマスキング音のオーディオデータとの差分データを抽出し、抽出した差分データの周波数特性を解析する。
【0030】
マスキング音選択部18は、周波数特性解析部17により解析された周波数特性に基づいて周囲音が属する騒音種別を特定する。例えば、マスキング音選択部18は、マスキング音情報記憶部15に記憶されている各騒音種別の騒音等の典型的な周波数特性を記憶しており、これらの周波数特性のなかから、周波数特性解析部17により解析された周波数特性に最も近似する周波数特性を検索する。そして、検索した周波数特性に紐付けられた騒音種別を、周囲音の騒音種別として特定する。また、マスキング音選択部18は、特定した周囲音の騒音種別および現在時刻を含む再生時間帯(日中または夜間)に紐付けられてマスキング音情報記憶部15に記憶されたマスキング音の名称を、周囲音に重ねるマスキング音の名称として選択する。そして、オーディオ取得部12に、選択したマスキング音の名称を通知してマスキング音の再生を指示する。
【0031】
なお、図2に示すワイヤレススピーカ1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)等の計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置と、無線LANアダプタ等の無線通信装置と、内蔵または外付けのオーディオデバイス(マイク、スピーカー)と、を備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプロsystemグラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することによりプロセスとして実現されるものでもよい。
【0032】
図4は、ワイヤレススピーカ1のマスキング音再生動作を説明するためのフロー図である。
【0033】
このフローは、指示受付部11が、無線インターフェース部10を介してリモートコントローラ2からリラックスモード移行指示を受け付けることにより開始される。
【0034】
まず、指示受付部11は、リラックスモードへの移行をオーディオ取得部12に指示する。これを受けて、オーディオ取得部12は、オーディオ再生部13が楽曲のオーディオデータを再生中ならば(S100でYES)、この楽曲のオーディオデータの再生を停止させ(S101)、それからS102に進む。一方、オーディオ再生部13が楽曲のオーディオデータを再生中でないならば(S100でNO)、直ちにS102に進む。
【0035】
つぎに、S102において、指示受付部11は、リラックスモードへの移行をマスキング音選択部18に指示する。これを受けて、マスキング音選択部18は、集音開始を集音部16に指示する。これを受けて、集音部16は周囲音を集音する(S102)。そして、集音した周囲音のオーディオデータを周波数特性解析部17に渡す。
【0036】
つぎに、周波数特性解析部17は、集音部16より受け取った周囲音のオーディオデータの周波数特性を解析し(S103)、解析結果をマスキング音選択部18に渡す。これを受けて、マスキング音選択部18は、騒音種別毎に予め登録されている騒音等の典型的な周波数特性のなかから、周波数特性解析部17から受け取った周波数特性に最も近似する周波数特性を検索する。そして、検索した周波数特性に紐付けられた騒音種別を周囲音の騒音種別として特定する(S104)。
【0037】
つぎに、マスキング音選択部18は、特定した周囲音の騒音種別および現在時刻を含む再生時間帯に紐付けられてマスキング音情報記憶部15に記憶されたマスキング音の名称を、周囲音に重ねるマスキング音の名称として選択する。そして、オーディオ取得部12に、選択したマスキング音の名称を通知してマスキング音の再生を指示する。これを受けて、オーディオ取得部12は、無線インターフェース部10を介してメディアサーバ3にアクセスして、マスキング音選択部18より通知された名称のマスキング音のオーディオデータをメディアサーバ3から取得する(S105)。そして、取得したマスキング音のオーディオデータをオーディオ再生部13に出力する。
【0038】
つぎに、オーディオ再生部13は。オーディオ取得部12から受け取ったマスキング音のオーディオデータの再生を開始して、オーディオ出力部14からマスキング音を出力する(S106)。
【0039】
その後、マスキング音選択部18は、マスキング音のオーディオデータの再生開始から所定時間(例えば5分)が経過すると(S107でYES)、S102に戻る。なお、以降のS103において、周波数特性解析部17は、集音部16より受け取った周囲音のオーディオデータとオーディオ再生部13により再生中のマスキング音のオーディオデータとの差分データを抽出し、抽出した差分データの周波数特性を解析し、解析結果をマスキング音選択部18に渡す。
【0040】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0041】
本実施の形態では、集音した周囲音のオーディオデータの周波数特性に基づいて周囲音の騒音種別を特定し、特定した騒音種別に紐付けられている名称のマスキング音をメディアサーバ3から取得して再生・出力する。したがって、本実施の形態によれば、騒音種別毎に、マスキング効果の高いマスキング音の名称を予め登録しておくことにより、周囲の騒音等に対してマスキング効果の高いマスキング音を自動的に選択して出力することができる。
【0042】
また、本実施の形態では、マスキング音のオーディオデータを再生中である場合、集音した周囲音のオーディオデータと再生中のマスキング音のオーディオデータとの差分データを抽出し、抽出した差分データの周波数特性に基づいて周囲音の騒音種別を特定する。したがって、本実施の形態によれば、マスキング音の再生中に周囲の騒音等が変化した場合には、再生中のマスキング音が、変化後の周囲の騒音等に対してマスキング効果の高いマスキング音に自動的に変更される。このため、周囲の騒音等が変化しても、常に、マスキング効果の高いマスキング音を出力することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、騒音種別毎に、複数のマスキング音の名称をそれぞれ再生時間帯(日中または夜間)に紐付けて記憶しており、周囲音の騒音種別および現在時刻を含む再生時間帯に紐付けられて記憶されている名称のマスキング音をメディアサーバ3から取得して再生・出力する。したがって、マスキング音をその再生時間帯に応じて変化させることができ、これにより、周囲の騒音に対してマスキング効果の高いマスキング音のうち、例えばそれぞれの時間帯に好まれるマスキング音を自動的に選択・出力することができる。
【0044】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0045】
例えば、上記の実施の形態において、ワイヤレススピーカ1は、周囲音の騒音種別に紐付けられている名称のマスキング音をメディアサーバ3から取得して再生・出力している。しかし、本発明はこれに限定されない。1以上のマスキング音が記憶されたマスキング音記憶部をワイヤレススピーカ1に設けるとともに、マスキング音記憶部のマスキング音の名称を騒音種別に紐付けてマスキング音情報記憶部15に登録しておくことにより、ワイヤレススピーカ1が、周囲音の騒音種別に紐付けられている名称のマスキング音をマスキング音記憶部から読み出して再生・出力するようにしてもよい。
【0046】
また、上記の実施の形態において、ワイヤレススピーカ1は、騒音種別毎に複数のマスキング音の名称をそれぞれ再生時間帯に紐付けて記憶している。しかし、本発明はこれに限定されない。ワイヤレススピーカ1は、周囲音の騒音種別に紐付けられたマスキング音の名称を1つ選択し、選択した名称のマスキング音を再生して出力するものであればよい。
【0047】
例えば、マスキング音情報記憶部15に騒音種別毎にマスキング音の名称を1つずつ記憶させてもよい。この場合、ワイヤレススピーカ1は、時間帯によらず、周囲音の騒音種別に紐付けられた1種類のマスキング音を再生して出力する。
【0048】
また、マスキング音情報記憶部15に騒音種別毎に複数のマスキング音の名称をそれぞれユーザの心身状態(活発、冷静等)に紐付けて記憶しておき、ワイヤレススピーカ1が、心拍数、血圧を含む生体情報の計測機能を有するウェアラブル端末からユーザの生体情報を取得して、この生体情報からユーザの心身状態を特定し、周囲音の騒音種別および特定したユーザの心身状態に紐付けられた名称のマスキング音を再生・出力するようにしてもよい。このようにすることにより、周囲の騒音に対してマスキング効果が高く、かつ、ユーザの心身状態に適したマスキング音をワイヤレススピーカ1から出力することができる。ここで、ウェアラブル端末は、ワイヤレス端末(例えばリモートコントローラ2として利用されているワイヤレス端末)であってもよい。
【0049】
また、上記の実施の形態では、ワイヤレススピーカ1が、周囲音を集音し、その集音データの周波数特性の解析により周囲音の騒音種別を特定し、特定した騒音種別に紐付けられた名称のマスキング音のオーディオデータを再生・出力している。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、リモートコントローラ2が、周囲音を集音して、その周囲音のオーディオデータの周波数特性の解析により周囲音の騒音種別を特定し、この騒音種別に紐付けられたマスキング音の名称の指定を伴う再生指示をワイヤレススピーカ1に通知することにより、または、このマスキング音のオーディオデータをメディアサーバ3から取得あるいは予め登録されたマスキング音のオーディオデータのなかから読み出してワイヤレススピーカ1に送信することにより、ワイヤレススピーカ1にマスキング音を再生および出力させてもよい。
【0050】
この場合、図2に示すマスキング音情報記憶部15、集音部16、周波数特性解析部17、およびマスキング音選択部18はリモートコントローラ2に設けられ、ワイヤレススピーカ1には不要である。さらに、リモートコントローラ2には、マスキング音の名称の指定を伴う再生指示をワイヤレススピーカ1に通知する再生指示部、または、マスキング音のオーディオデータ(メディアサーバ3から取得したマスキング音のオーディオデータ、あるいは予め登録されたマスキング音のオーディオデータのなかから読み出したマスキング音のオーディオデータ)をワイヤレススピーカ1に送信するマスキング音送信部が設けられる。
【0051】
なお、マスキング音情報記憶部15、集音部16、周波数特性解析部17、およびマスキング音選択部18とともにマスキング音送信部をリモートコントローラ2に設けた場合、ワイヤレススピーカ1によるマスキング音の再生中、リモートコントローラ2は、マスキング音の再生開始から所定時間経過後に周囲音を集音して、その周囲音のオーディオデータとマスキング音送信部がワイヤレススピーカ1に送信した再生中のマスキング音のオーディオデータとの差分データを抽出し、この差分データの周波数特性に基づいて周囲音の騒音種別を特定する。そして、特定した騒音種別に紐付けられたマスキング音の名称の指定を伴う再生指示をワイヤレススピーカ1に通知、または、特定した騒音種別に紐付けられたマスキング音のオーディオデータをメディアサーバ3から取得あるいは予め登録されたマスキング音のオーディオデータのなかから読み出してワイヤレススピーカ1に送信する。これにより、ワイヤレススピーカ1に、変化後の周囲の騒音等に対してマスキング効果の高いマスキング音を再生および出力させる。このため、ワイヤレススピーカ1によるマスキング音の再生中に周囲の騒音等が変化しても、常に、周囲の騒音等に対してマスキング効果の高いマスキング音をワイヤレススピーカ1に再生および出力させることができる。
【0052】
また、本発明は、周囲の騒音等にマスキング音を重ねる装置およびシステムに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1:ワイヤレススピーカ 2:リモートコントローラ
3:メディアサーバ 4:ネットワーク
5:アクセスポイント 10:無線インターフェース部
11:指示受付部 12:オーディオ取得部
13:オーディオ再生部 14:オーディオ出力部
15:マスキング音情報記憶部 16:集音部
17:周波数特性解析部 18:マスキング音選択部
図1
図2
図3
図4