(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167866
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】肝線維症の治療及び/又は予防におけるイオンチャネル遮断薬の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20241127BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20241127BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20241127BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241127BHJP
A61K 31/403 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P1/16
A61P37/06
A61P43/00 111
A61K31/403
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195477
(22)【出願日】2023-11-16
(31)【優先権主張番号】202310579552.1
(32)【優先日】2023-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520422566
【氏名又は名称】遵義医科大学附属医院
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】徐 靖宇
(72)【発明者】
【氏名】謝 睿
(72)【発明者】
【氏名】杜 倩
(72)【発明者】
【氏名】胡 艶霞
(72)【発明者】
【氏名】丁 建紅
(72)【発明者】
【氏名】呉 先麗
(72)【発明者】
【氏名】楊 暁旭
(72)【発明者】
【氏名】婁 俊
(72)【発明者】
【氏名】劉 奇
(72)【発明者】
【氏名】李 卓
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZC411
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC10
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB08
4C086ZC41
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より効果的な肝線維症の治療及び/又は予防のための医薬品を提供する。
【解決手段】肝線維症を治療及び/又は予防するための医薬品の製造におけるイオンチャネル遮断薬の使用を提供する。前記イオンチャネル遮断薬は、カリウムイオンチャネル遮断薬であり、具体的にはグリクラジドの使用である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝線維症を治療及び/又は予防するための医薬品の製造におけるイオンチャネル遮断薬の使用。
【請求項2】
前記イオンチャネル遮断薬は、カリウムイオンチャネル遮断薬であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記カリウムイオンチャネル遮断薬は、グリクラジドを含むことを特徴とする、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
請求項1に記載の使用であって、その特徴は、前記肝線維症がCCl4により誘導された肝線維症を含むことである。
【請求項5】
肝臓組織のオートファージーを抑制するための医薬品の製造におけるグリクラジドの使用。
【請求項6】
肝星細胞の増殖を抑制するための医薬品の製造におけるグリクラジドの使用。
【請求項7】
前記肝星細胞は、HSC-T6細胞を含むことを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
肝細胞α-SMAをダウンレギュレートするための医薬品の製造におけるグリクラジドの使用。
【請求項9】
肝細胞LC3をダウンレギュレートするための医薬品の製造におけるグリクラジドの使用。
【請求項10】
肝細胞P62をアップレギュレートするための医薬品の製造におけるグリクラジドの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンチャネルと肝線維症の技術分野に関し、特に、肝線維症の治療及び/又は予防におけるイオンチャネル遮断薬の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中で慢性肝疾患患者は8億人以上に達し、そのうち、毎年様々な肝疾患による死亡者数は200万に達している。肝線維症(Hepatic Fibrosis、HF)段階は、全ての慢性肝疾患の共通の病理学的基礎であるだけでなく、さらに肝硬変及び肝がんへの進行の重要な部分である。研究では、肝線維症、さらには初期の肝硬変さえも、回復可能であることが示されている。しかし、現在の抗線維化対策は、主に抗ウイルス治療、禁酒及び食事管理などによる肝線維症病因の除去であり、これらの対策には、一般的に治療期間が長く、治療効果が低く、副作用が多く、患者のコンプライアンスが低いなどの欠点が存在する。そのため、肝線維症を顕著に回復できる方法を探してきた。
【0003】
現在、肝線維症の病理生理的変化において、肝星細胞(hepatic stellate cell、HSC)の活性化及び肝細胞外マトリックス(extracellular matrix、ECM)の過剰な沈着は、重要な部分であると考えられている。肝星細胞(HSC)は、最初にvon Kupfferにより1876年に発見され、Disseの内皮下空間に存在し、肝類洞内皮細胞(LSECs)と肝細胞との間に位置し、それらは全ての常在肝細胞の約10%を占める。正常な肝臓では、肝星細胞は、非増殖、静止表現型を維持する。肝損傷又はインビトロ培養後、肝星細胞は、活性化されてビタミンA貯蔵細胞から筋線維母細胞へ転換し、増殖、収縮、炎症及び走化し、細胞外マトリックス(ECM)産生の増加を特徴とする。HSCの活性化は、様々な制御メカニズムに関し、オートファージー、小胞体ストレス、酸化ストレス、レチノール及びコレステロール代謝、エピジェネティクス及び受容体媒介のシグナルを含み、HSC活性化の複雑さを示している。現在、形質転換成長因子β(TGF-β)、血小板由来成長因子(PDGF)など、HSC活性化につながるいくつかの重要な分子チャネル障害の標的化メカニズムが見出されており、HSC活性化に関与するメカニズムの一部も、既に明らかになっている。しかし、残念なことに、今までのところ、臨床的にHSCを標的とする抗線維化の治療方法は依然として不足している。したがって、HSC活性化を引き起こす他の経路を探索することにより、より効果的な抗線維化の治療標的を見出す可能性がある。
【0004】
イオンチャネルは、近年注目されている研究分野であり、いくつかのイオンチャネルは、胃がん、肝がんなどの消化管がんの発生、移動、湿潤及び転移において重要な役割を果たすと考えられている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、肝線維症の治療及び/又は予防におけるイオンチャネル遮断薬の使用を提供することにより、従来技術に存在する上記の問題を解決することである。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、肝線維症を治療及び/又は予防するための医薬品の製造におけるイオンチャネル遮断薬の使用を提供する。
【0007】
好ましくは、前記イオンチャネル遮断薬は、カリウムイオンチャネル遮断薬である。
【0008】
好ましくは、前記カリウムイオンチャネル遮断薬は、グリクラジドを含む。
【0009】
好ましくは、前記肝線維症は、CCl4により誘発された肝線維症を含む。
【0010】
本発明は、肝臓組織のオートファージーを抑制するための医薬品の製造におけるグリクラジドの使用をさらに提供する。
【0011】
本発明は、肝星細胞の増殖を抑制するための医薬品の製造におけるグリクラジドの使用をさらに提供する。
【0012】
好ましくは、前記肝星細胞は、HSC-T6細胞を含む。
【0013】
本発明は、肝細胞α-SMAをダウンレギュレートするための医薬品の製造におけるグリクラジドの使用をさらに提供する。
【0014】
本発明は、肝細胞LC3をダウンレギュレートするための医薬品の製造におけるグリクラジドの使用をさらに提供する。
【0015】
本発明は、肝細胞P62をアップレギュレートするための医薬品の製造におけるグリクラジドの使用を提供する。
【0016】
本発明は、以下の技術的効果を開示する。
本発明は、肝星細胞の活性化が抗肝線維症の重要な部分であることに基づいており、インビボ及びインビトロの実験により、グリクラジドが肝星細胞の活性化を抑制する作用を有することが判明した。さらに、グリクラジドが、主にオートファージー経路を抑制することにより肝星細胞の活性化を抑制することにより、グリクラジドが肝線維症を治療及び/又は予防するための医薬品の製造に使用できることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決策をより明確に説明するために、以下、実施例に必要な図面を簡単に紹介する。明らかに、以下に説明する図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な努力なしでこれらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1】実施例1におけるHE染色及びピクロシリウスレッド染色法により観察された肝臓組織の線維化の程度を示す図である。
【
図2】実施例1において検出された血清中のAST(A)、ALT(B)のレベル変化及び統計図である、
【
図3】実施例2において免疫組織化学により検出された肝臓組織中のα-SMAの発現変化(A)及び統計図(B)である。
【
図4】実施例3においてWestern-blotにより検出された肝臓組織中のα-SMAの発現変化(A)及び統計図(B)である。
【
図5】実施例3においてWestern-blotにより検出されたマウス肝臓組織中のLC3の発現変化(A)及び統計図(B)である。
【
図6】実施例3においてWestern-blotにより検出された肝臓組織中のP62の発現変化(A)及び統計図(B)である。
【
図7】実施例4においてCCK8により検出されたグリクラジドとTGF-β1の共培養のHSCs細胞増殖への影響及び統計図である、
【
図8】実施例5においてWestern-blotにより検出されたHSCs細胞中のα-SMAのタンパク質の発現レベルの変化(A)及び統計図(B)である。
【
図9】実施例5においてWestern-blotにより検出されたHSCs細胞中のLC3の発現変化(A)及び統計図(B)である。
【
図10】実施例5においてWestern-blotにより検出されたHSCs細胞中のP62の発現変化(A)及び統計図(B)である。
【
図11】実施例6においてWestern-blotにより検出されたRapamycin添加後のHSCs細胞中のα-SMAの発現変化(A)及び統計図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の様々な例示的な実施形態を詳細に説明するが、以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではなく、本発明のいくつかの態様、特性及び実施形態をより詳細に説明するものと理解すべきである。
【0019】
本発明の前記技術的解決策は、特に説明しない限り、いずれも当該技術分野の一般的な解決手段であり、使用される試薬又は原料は、特に説明しない限り、いずれも市販品又は既存のものである。
【0020】
実施例1:四塩化炭素(CCl4)により誘発されたマウス肝線維症
実験材料
60匹の健康な雄C57マウス(20-25g/匹、重慶騰シン生物技術有限会社から購入)、強制経口投与針、1mL注射器、CCl4溶液、オリーブ油、グリクラジド容液。
【0021】
実験方法
CCl4溶液:CCl4をオリーブ油溶液(CCl4:オリーブ油=1:4)に溶解し、使用時に調製した。グリクラジド容液:グリクラジド容液を生理食塩水に溶解し、使用時に調製した。濃度は500μmである。
【0022】
マウスを以下の4群にランダムに分けた。
a.正常対照群、
b.モデル群:マウスにCCl4溶液を0.1mL/20gで強制経口投与した(週に2回、合計8週間)。
c.CCl4+グリブシスト群:マウスにCCl4溶液単独を0.1mL/20gで強制経口投与し(週に2回、合計2週間)、次に、グリブシスト溶液及びCCl4溶液を6週間共投与した。グリブシスト溶液の投与方法は、0.2mL/20g、1日1回の腹腔内注射である。
d.グリクラジド群:グリクラジドを8週間腹腔内注射した。投与方法は、0.2mL/20gで、1日1回の腹腔内注射である。
【0023】
マウスはモデル確立後の2、4、6、8週目にそれぞれ順に安楽死させ、各群について毎回1匹安楽死させた。肝臓サンプルを取り出して-80℃の液体窒素に入れて急速冷凍して保存し、他の肝臓を4%のパラホルムアルデヒドに入れて24時間固定した後、パラフィンに包埋した。外観、ピクロシリウスレッド染色、HE染色により肝臓線維症の重症度を観察し、染色結果が肝臓線維症を示す場合、モデル確立に成功したものとみなし、次に、全てのマウスを安楽死させ、眼球血を採取して肝臓機能指標(ALT、AST)を測定し、肝臓組織をホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋して使用に備えた。
【0024】
実験結果
図1-2に示すように、8週目にモデル群から眼球血を採取して検出した結果、ALT、ASTはいずれも顕著に上昇した。HE染色の結果として、正常群では、肝臓組織の構造は明らかで、肝小葉の構造は正常で、肝細胞は完全で、模様は明確であった。モデル群では、肝臓組織が損傷し、線維組織が顕著に増殖した。四塩化炭素+グリクラジド群では、肝臓組織の損傷及び線維組織の増殖の程度はいずれも顕著に軽減した。ピクロシリウスレッド染色結果から分かるように、モデル群では、赤色のコラーゲン線維は、太く長くなり、一部は偽小葉を形成し、マウス肝線維症モデルの確立に成功したことを示している。グリクラジド群では、明らかなコラーゲン線維は見られず、500μmの濃度では、グリクラジドはマウスの肝線維症を引き起こすことができないことを示している。
【0025】
実施例2:異なる群間の肝線維症指標であるα-SMAのタンパク質発現レベルの免疫組織化学検出
実験材料:C57マウス、α-SMA一次抗体、免疫組織化学キット、PBS溶液、クエン酸ナトリウム溶液など
【0026】
実験方法:実施例1のパラフィンブロックを取り、切片を作成した後に手順に従って免疫組織化学操作を行い、順に100%、95%、80%、75%のエタノールに5min浸漬し、さらにPBSで洗浄し、過酸化水素水でカタラーゼを除去し、クエン酸ナトリウム修復液で抗原を修復し、冷却した後にPBSで洗浄し、室温で30minブロッキングした後に一次抗体を添加し、4℃で一晩インキュベートし、翌日、二次抗体で室温で1hインキュベートし、さらにDBAで染色し、ヘマトキシリンで再染色し、塩酸アルコールで分化し、脱水し、密封し、最後に顕微鏡で観察し、撮影した。
【0027】
実験結果:
図3に示すように、グリクラジドは四塩化炭素誘発肝線維化マウス中のα-SMAの発現をダウンレギュレートすることができる。
【0028】
実施例3:Western-blot技術による異なる実験群の肝線維化指標α-SMA及びオートファージー関連指標(LC3、P62)などの発現状況の検出
実験材料:マウス肝臓組織、ピンセット、ハサミ、2mm鋼球、磁石、細胞溶解液、PBS液、BCAタンパク質定量キット、脱脂粉乳、αSMA、LC3及びP62一次抗体及び対応する二次抗体など
【0029】
実験方法:実施例1の肝臓組織を取り、ピンセット及びハサミで米粒程度の大きさを切り出し、マークを付けた1.5mLのEPチューブ内に添加し、各EPチューブ内に2つの2mm鋼球を入れ、200-250μLの細胞溶解液を添加し、パラメータを設定した後に粉砕機に入れて十分に粉砕し、その後、磁石で鋼球を吸引して取り出し、氷上で30min作用させた後に12000rpm、30分間、4℃で遠心分離した。標準曲線を作成し、96ウェルプレートの各ウェルにタンパク質サンプル1μL、PBS液19μL、BCA作動液200μL(50:1)を添加し、各ウェルにさらに2つの付加ウェルを追加した。37℃の乾燥オーブンに30min入れた。ELISAを使用して560nmでのOD値を測定し、タンパク質濃度を計算し、沸騰水でタンパク質を5分間煮沸した後にサンプルをローディングし、さらにゲル電気泳動、転写、密封を順に行い、一次抗体及び二次抗体をインキュベートした後に露光した。
【0030】
実験結果:
図4-6に示すように、グリクラジドは、肝臓組織中のαSMA、LC3の発現を顕著に減少させ、肝臓組織中のオートファージー基質P62の発現レベルを顕著に増加させることができる。
【0031】
実施例4:CCK8によるグリクラジドとTGF-β1の共培養のHSCs細胞増殖に対する影響の検出
実験材料:HSC-T6細胞、DMEM完全培地、96ウェルプレート、カウントプレート、CCK-8作動液など
【0032】
実験方法:まず、HSC-T6肝星細胞の培養を行い、10%ウシ胎児血清、1%二重抗体(ペニシリン-ストレプトマイシン溶液)及び1%非必須アミノ酸(NEAA)を含有するDMEM培養液において、培養条件37℃、5%CO2で、細胞コンフルエンスが80%~90%に達した後にトリプシンで消化して継代した。次に、プレートに播種し、密度が7×106個/Lの細胞懸濁液を取り、100μL/ウェルで96ウェル培養プレートに添加した。各群6個のウェルである。実験は、対照群、TGF-β1群、TGF-β1+異なる濃度(50μM、100μM、150μM、200μM)のグリクラジドの医薬品群に分けた。細胞が壁に付着した後、対照群及びTGF-β1群以外に、残りの各群に対応する濃度のグリクラジドを添加し、3h後に対応する群にTGFβ1(10ng/mL)を添加してマウスの肝星細胞を刺激した。48hインキュベートした後、各ウェルに「10%のCCK8+90%培地」混合溶液100μLを添加し、37℃で1-4hインキュベートし、波長を450nmに設定し、全自動マイクロプレートリーダーにより、対応する波長で吸光度値を読み取って記録した。CCK8実験によりグリクラジドの細胞増殖への影響を検出し、最適な作用時点及び医薬品濃度をスクリーニングした。
【0033】
実験結果:
図7に示すように、正常値と比較して、TGF-β1で刺激した後にHSC-T6細胞の増殖を顕著に誘導することができ、100μM、150μM、200μM濃度のグリクラジド及びTGF-β1を用いた共培養により、TGF-β1誘導での増殖傾向が抑制され、結果の差は、統計学的に有意であった(P<0.05)。
【0034】
実施例5:Western-blot技術によるHSCs細胞中のα-SMA及びオートファージー関連指標(LC3、P62)などの発現状況の検出
実験材料:HSC-T6細胞、DMEM完全培地、細胞培養皿、細胞溶解液、PBS液、BCAタンパク質定量キット、脱脂粉乳、αSMA、LC3及びP62一次抗体及び対応する二次抗体など
【0035】
実験方法:まず、正常群、TGF-β1群、グリクラジド+TGF-β1群、及びグリクラジドグループ群に分けた。ここで、TGF-β1刺激濃度は10ng/mLであり、グリクラジド濃度は100μmであった。細胞培養皿を用いてHSC-T6細胞を培養し、実施例4に記載の条件で培養し、医薬品を添加し、TGF-β1を添加した。48h後にインキュベートされた細胞を予冷したPBSで3-4回洗浄した後、濾紙で残りのPBS液体を吸引して乾燥し、50mL培養フラスコに50μLのRIPA及び100mol/LのPMSF0.5μL(100:1)を添加し、氷上で30分間作用させた後、セルスクレーパーでタンパク質を掻き取り、タンパク質をEPチューブに吸引し、12000rpm、30分間、4℃で遠心分離した。標準曲線を作成し、96ウェルプレートの各ウェルにタンパク質サンプル1μL、PBS液19μL、BCA作動液200μL(50:1)を添加し、各ウェルにさらに2つの付加ウェルを追加した。37℃の乾燥オーブンに30min入れた。ELISAを使用して560nmでのOD値を測定し、タンパク質濃度を計算し、沸騰水でタンパク質を5分間煮沸した後にサンプルをローディングし、さらにゲル電気泳動、転写、密封を順に行い、一次抗体及び二次抗体をインキュベートした後に露光した。
【0036】
実験結果:
図8-10に示すように、グリクラジドは、HSCs細胞中のαSMA、LC3の発現を顕著に減少させ、HSCs細胞中のオートファージー基質P62の発現レベルを顕著に増加させることができる。
【0037】
実施例6:Western-blot技術によるオートファージーアゴニスト(Rapamycin)添加後のHSCs細胞中のα-SMAの発現レベルの検出
実験材料:HSC-T6細胞、Rapamycin、DMEM完全培地、細胞培養皿、細胞溶解液、PBS液、BCAタンパク質定量キット、脱脂粉乳、αSMA、LC3及びP62一次抗体及び対応する二次抗体など
【0038】
実験方法:こちらも同様に、まず、正常群、TGF-β1群、グリクラジド+TGF-β1群、グリクラジド+TGF-β1+Rapamycin群に分けた。ここで、TGF-β1刺激濃度は10ng/mLであり、グリクラジド濃度は100μmであり、Rapamycin濃度は100nmであった。TGF-β1の添加時間は実施例5に記載のとおりであり、Rapamycinとグリクラジドを同時に添加した。48hインキュベートした後にタンパク質定量、Western-blot技術により検出した。
【0039】
実験結果:
図11に示すように、共培養群(TGFβ1+グリクラジド)では、TGFβ1単独群と比較して、α-SMAタンパク質の発現レベルは顕著に減少し、別の共培養群(TGFβ1+グリクラジド+Rapamycin)と比較して、α-SMAタンパク質の発現レベルは顕著に上昇し、その差は統計学的に有意であった(P<0.05)。
【0040】
上述の実施例は、本発明の好ましい形態を説明するものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の設計思想から逸脱しない前提で、当業者が本発明の技術的解決策に対してなされる各種の変形及び改善は、いずれも本発明の特許請求の範囲によって確定される保護範囲内に含まれるべきである。