(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167889
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】データプロセッサコア、データプロセッサ、データプロセッサ装置、データ処理方法、電子機器、コンピュータプログラムおよび記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 9/38 20180101AFI20241127BHJP
G06F 15/80 20060101ALI20241127BHJP
G06F 7/57 20060101ALI20241127BHJP
G06F 1/3206 20190101ALI20241127BHJP
G06F 1/3287 20190101ALI20241127BHJP
G06F 1/3296 20190101ALI20241127BHJP
【FI】
G06F9/38 370A
G06F9/38 310G
G06F15/80
G06F7/57 204
G06F1/3206
G06F1/3287
G06F1/3296
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024077371
(22)【出願日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】202310582913.8
(32)【優先日】2023-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521457387
【氏名又は名称】クンルンシン テクノロジー (ベイジン) カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Kunlunxin Technology (Beijing) Company Limited
【住所又は居所原語表記】CW Section, F/4, Building 1, No.10, Shangdi 10th Street, Haidian District, 100101, Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】張 輝
(72)【発明者】
【氏名】王 京
(72)【発明者】
【氏名】欧陽 剣
(72)【発明者】
【氏名】李 慧敏
(72)【発明者】
【氏名】顧 滄海
(72)【発明者】
【氏名】張 心怡
【テーマコード(参考)】
5B011
5B013
【Fターム(参考)】
5B011DA00
5B011EA02
5B011LL11
5B013AA14
5B013DD01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】強いマトリックス計算能力を有するデータプロセッサコア、データプロセッサ、データプロセッサ装置、データ処理方法、電子機器、コンピュータプログラム及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】プロセッサコアは、処理すべき計算指令を検出したことに応答して、予熱指令を生成するように配置される制御手段と、少なくとも1つの計算手段サブアレイを含む計算手段アレイと、を含み、計算手段サブアレイは、計算手段サブアレイがリード操作及び計算操作を実行するように指示する予熱指令を受信し、予熱指令に基づいて、予熱状態に入り、処理すべき計算指令に対応する目標指令を受信したことに応答して、予熱状態から計算状態に切り替える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データプロセッサコアであって、
処理すべき計算指令を検出したことに応答して、予熱指令を生成するように配置される制御手段と、
少なくとも1つの計算手段サブアレイを含む計算手段アレイと、を含み、
前記計算手段サブアレイは、
前記計算手段サブアレイがリード操作と計算操作を実行するように指示する前記予熱指令を受信し、
前記予熱指令に基づいて、予熱状態に入り、
前記処理すべき計算指令に対応する目標指令を受信したことに応答して、前記予熱状態から計算状態に切り替える、ように配置されている
プロセッサコア。
【請求項2】
前記予熱指令は、第1データに対応する
請求項1に記載のプロセッサコア。
【請求項3】
前記計算手段サブアレイは、さらに、
前記第1データを読み取り、前記予熱状態に入り、
第1データに基づいて計算操作を実行する、ように配置されている
請求項2に記載のプロセッサコア。
【請求項4】
前記目標指令は第2データに対応し、
前記目標指令は、前記計算手段サブアレイがリード操作、計算操作及びライト操作を実行するように指示する
請求項1に記載のプロセッサコア。
【請求項5】
前記計算手段サブアレイは、さらに、
前記第2データを読み取り、前記予熱状態から前記計算状態に切り替え、
前記第2データに基づいて計算操作を実行し、目標計算結果を取得し、
前記目標計算結果を前記目標指令に対応するアドレス空間に書き込む、ように配置されている
請求項4に記載のプロセッサコア。
【請求項6】
前記計算手段サブアレイは、さらに、
前記目標指令に対応する第2データに基づいて、前記第1データに基づいて計算操作を実行して得られた結果を上書きするように配置されている
請求項2に記載のプロセッサコア。
【請求項7】
前記制御手段は、さらに、
前記予熱状態にある前記計算手段サブアレイの数が所定の数の閾値以上であると決定したことに応答して、前記目標指令を少なくとも1つの前記予熱状態にある前記計算手段サブアレイにおける目標計算手段サブアレイに出力するように配置されている
請求項1に記載のプロセッサコア。
【請求項8】
前記計算手段アレイは、M(Mは1以上の整数である)個の計算手段群を含み、前記計算手段群は、少なくとも1つの前記計算手段サブアレイを含み、
前記制御手段は、さらに、
前記予熱指令をM個の前記計算手段群の第m(mは1以上M未満の整数である)計算手段群に出力し、
前記第m計算手段群におけるN個の前記計算手段サブアレイが前記予熱状態に入ると決定したことに応答して、前記予熱指令をM個の前記計算手段群の第m+1計算手段群に出力するように配置されている、
請求項1に記載のプロセッサコア。
【請求項9】
前記予熱状態に対応する第1消費電力と前記計算状態に対応する第2消費電力との間の消費電力差は、所定の消費電力差閾値以下である
請求項1に記載のプロセッサコア。
【請求項10】
前記予熱指令は、第1データに対応し、
前記目標指令は、第2データに対応し、
前記第1データのデータタイプと前記第2データのデータタイプと一致し、
前記第1データと前記第2データとの間の規模差は、所定の規模差閾値以下である
請求項1に記載のプロセッサコア。
【請求項11】
前記制御手段は複数であり、
前記計算手段アレイは複数であり、前記制御手段は1つの前記計算手段アレイに対応する
請求項1に記載のプロセッサコア。
【請求項12】
少なくとも1つの請求項1~11のいずれか一項に記載のデータプロセッサコアを含む
データプロセッサ。
【請求項13】
請求項12に記載のデータプロセッサを含む
データ処理装置。
【請求項14】
請求項13に記載のデータ処理装置を含む
電子機器。
【請求項15】
処理すべき計算指令を検出した場合に生成され、計算手段サブアレイがリード操作と計算操作を実行するように指示する予熱指令を受信することと、
前記予熱指令に基づいて、予熱状態に入ることと、
前記処理すべき計算指令に対応する目標指令を受信したことに応答して、前記予熱状態から計算状態に切り替えることと、を含む
データ処理方法。
【請求項16】
前記予熱指令は、第1データに対応する
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記予熱指令に基づいて、予熱状態に入ることは、
前記第1データを読み取り、前記予熱状態に入ることと、
第1データに基づいて計算操作を実行することと、を含む
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記目標指令は、第2データに対応し、前記目標指令は、前記計算手段サブアレイがリード操作、計算操作及びライト操作を実行するように指示する
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記予熱状態から計算状態に切り替えることは、
前記第2データを読み取り、前記予熱状態から前記計算状態に切り替えることと、
前記第2データに基づいて計算操作を実行し、目標計算結果を取得することと、
前記目標計算結果を前記目標指令に対応するアドレス空間に書き込むことと、を含む
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記目標指令に対応する第2データに基づいて、前記第1データに基づいて計算操作を実行して得られた結果を上書きすることをさらに含む
請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記目標指令は、前記予熱状態にある前記計算手段サブアレイの数が所定の数の閾値以上であると決定した場合に、少なくとも1つの前記予熱状態にある前記計算手段サブアレイにおける目標計算手段サブアレイに出力される
請求項15に記載の方法。
【請求項22】
計算手段アレイは、M(Mは1以上の整数である)個の計算手段群を含み、前記計算手段群は、少なくとも1つの前記計算手段サブアレイを含み、
前記方法は、
前記予熱指令をM個の前記計算手段群の第m(mは1以上M未満の整数である)計算手段群に出力することと、
前記第m計算手段群におけるN個の前記計算手段サブアレイが前記予熱状態に入ると決定したことに応答して、前記予熱指令をM個の前記計算手段群の第m+1計算手段群に出力することと、を含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記予熱状態に対応する第1消費電力と前記計算状態に対応する第2消費電力との間の消費電力差は、所定の消費電力差閾値以下である
請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記予熱指令は、第1データに対応し、
前記目標指令は、第2データに対応し、
前記第1データのデータタイプと前記第2データのデータタイプとは一致し、
前記第1データと前記第2データとの間の規模差は、所定の規模差閾値以下である
請求項15に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続されたメモリと、を含み、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な指令が記憶され、前記少なくとも1つのプロセッサが請求項15~24のいずれか一項に記載の方法を実行できるように、前記指令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される
電子機器。
【請求項26】
コンピュータ指令が記憶されている非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ指令は、コンピュータに請求項15~24のいずれか一項に記載の方法を実行させる
コンピュータ指令が記憶されている非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項27】
プロセッサによって実行されると、請求項15~24のいずれか一項に記載の方法を実現するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人工知能技術分野に関し、特に、集積回路技術分野及びチップ技術分野に関する。より具体的には、本開示は、データプロセッサコア、データプロセッサ、データプロセッサ装置、データ処理方法、電子機器、コンピュータプログラム及び記憶媒体を提供する。
【背景技術】
【0002】
人工知能技術の発展に伴い、人工知能チップの応用シーンが増加している。人工知能チップは、多くの積和計算手段(Multiply Accumulate、MAC)アレイを有し、強いマトリックス計算能力を有する。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、データプロセッサコア、データプロセッサ、データプロセッサ装置、データ処理方法、電子機器及び記憶媒体を提供する。
【0004】
本開示の一態様によれば、データプロセッサコアを提供し、当該データプロセッサコアは、処理すべき計算指令を検出したことに応答して、予熱指令を生成するように配置される制御手段と、少なくとも1つの計算手段サブアレイを含む計算手段アレイと、を含み、計算手段サブアレイは、計算手段サブアレイがリード操作と計算操作を実行するように指示する予熱指令を受信し、予熱指令に基づいて、予熱状態に入り、処理すべき計算指令に対応する目標指令を受信したことに応答して、予熱状態から計算状態に切り替える、ように配置される。
【0005】
本開示の別の態様によれば、少なくとも1つの本開示に提供のデータプロセッサコアを含むデータプロセッサを提供する。
【0006】
本開示の別の態様によれば、本開示に提供のデータプロセッサを含むデータ処理装置を提供する。
【0007】
本開示の別の態様によれば、本開示に提供のデータ処理装置を含む電子機器を提供する。
【0008】
本開示の一態様によればデータ処理方法を提供し、当該方法は、処理すべき計算指令を検出した場合に生成され、計算手段サブアレイがリード操作と計算操作を実行するように指示する予熱指令を受信することと、予熱指令に基づいて、予熱状態に入ることと、処理すべき計算指令に対応する目標指令を受信したことに応答して、予熱状態から計算状態に切り替えることと、を含む。
【0009】
本開示の別の態様によれば、電子機器を提供し、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサと通信接続されたメモリと、を含み、メモリには、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な指令が記憶され、少なくとも1つのプロセッサが本開示に提供の方法を実行できるように、指令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行される。
【0010】
本開示の別の態様によれば、コンピュータ指令が記憶されている非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を提供し、当該コンピュータ指令は、コンピュータに本開示に提供の方法を実行させる。
【0011】
本開示の別の態様によれば、コンピュータプログラムを提供し、プロセッサによって実行されると、本開示に提供の方法を実現する。
【0012】
本部分に記載された内容は、本開示の実施例の重要な特徴を識別するためのものではなく、本開示の範囲を制限するものでもないことを理解されたい。本開示のその他の特徴は、以下の明細書によって容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面は、本発明をより良く理解するためのものであり、本開示を限定するものではない。
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の一実施例に係る人工知能チップの電流及び電圧の模式図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施例に係るデータプロセッサコアの概略ブロック図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示の一実施例に係る予熱状態にある計算手段サブアレイの模式図である。
【
図3B】
図3Bは、本開示の一実施例に係る計算状態にある計算手段サブアレイの模式図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示の一実施例に係る計算手段アレイの模式図である。
【
図4B】
図4Bは、本開示の一実施例に係る予熱状態にある計算手段群の模式図である。
【
図4C】
図4Cは、本開示の一実施例に係る予熱状態にある計算手段群の模式図である。
【
図4D】
図4Dは、本開示の一実施例に係る予熱状態にある計算手段群の模式図である。
【
図4E】
図4Eは、本開示の一実施例に係る予熱状態にある計算手段群の模式図である。
【
図4F】
図4Fは、本開示の一実施例に係る計算状態にある計算手段アレイの模式図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施例に係るデータプロセッサコアを含むチップの電圧及び電流の模式図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施例に係るデータプロセッサの模式図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施例に係るデータ処理装置の模式図である。
【
図8】
図8は、本開示の一実施例に係る電子機器の模式図である、
【
図9】
図9は、本開示の一実施例に係るデータ処理方法の概略フローチャートである。
【
図10】
図10は、本開示の一実施例に係るデータ処理方法を適用可能な電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本開示の例示的な実施例を説明し、理解を容易にするために、本開示の実施例の様々な詳細を含み、これらは例示的なものに過ぎない。したがって、当業者が理解できるように、ここに記載された実施例に対して、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができる。同様に、明確かつ簡潔にするために、以下の説明では、公知の機能及び構造についての説明を省略する。
【0016】
人工知能チップの計算力は、計算手段アレイのリソース数と比例してもよい。チップの計算力が高いほど、必要な計算リソースも高くなる。これにより、計算力の高いチップの駆動電流、消費電力が共に大きい。また、チップの動作周波数は速く、1ギガヘルツ(GHz)よりも大きくてもよい。チップは、短時間でピーク消費電力またはピーク電流に達することができる。しかしながら、チップの電源の駆動電流応答速度が比較的遅いため、以下では、
図1を参照してさらに説明する。
【0017】
図1は、本開示の一実施例に係る人工知能チップの電流及び電圧の模式図である。
【0018】
図1に示すように、チップのピーク消費電力が決定した場合、アイドル電流から速やかに動作電流に切り替える際に、チップの計算力がピーク計算力に近づく又は達したが、チップ電源の給電電圧が急激に減少する(例えば電圧VL11に減少する)。動作電流から速やかにアイドル電流に切り替わる際に、チップの計算力はほぼゼロになるが、チップ電源の給電電圧は急激に増大する(例えば電圧VH11に増大する)。給電電圧が急激に増加または減少すると、いずれもチップの回路に悪影響を及ぼす。例えば、給電電圧が急激に増大すると、回路が破壊されるおそれがある。給電電圧が急激に低下すると、回路が十分な電圧を取得できず、回路が正常に動作できなくなり、誤った計算結果が出力される可能性がある。
【0019】
いくつかの実施例において、電圧が急激に増大または急激に減少することを避けるために、チップのすべての計算手段をブロック化し、複数の計算手段アレイを得ることができる。計算手段は、積和計算手段であってもよい。計算手段アレイは、パルス信号を受信したことに応答して計算を行うように配置されてもよい。パルス信号を受信していない場合、計算手段アレイはアイドル状態であってもよい。アイドル状態において、計算手段アレイは、リード操作、計算操作又はライト操作を実行しない。計算手段アレイの消費電力は、待機消費電力であってもよい。待機消費電力は小さい値であり、ピーク消費電力より小さい。これにより、ブロックごとに起動することを実現することができ、チップの計算力が速やかにピーク計算力に達することを回避する。しかしながら、ブロックごとに起動すれば、チップの計算力に影響を与える。それは、チップの複数の計算手段アレイが、ブロックごとに起動し、起動過程において、複数の計算手段アレイが順次起動され、計算力が制限され、チップ全体の計算時間が長くなり、性能が低下するからである。
【0020】
これに基づいて、チップの寿命を提供し、チップの計算力を高く維持するために、本開示は、データプロセッサコアを提供し、以下では、さらに説明する。
【0021】
図2は、本開示の一実施例に係るデータプロセッサコアの概略ブロック図である。
【0022】
図2に示すように、データプロセッサコア20は、制御手段201及び計算手段アレイ202を含んでもよい。
【0023】
制御手段201は、処理すべき計算指令を検出したことに応答して、予熱指令を生成するように配置されてもよい。本開示の実施例において、処理すべき計算指令は、深層学習モデルに関する指令であってもよく、マトリクス計算に関連する。例えば、制御手段は、処理すべき計算指令を受信した後、予熱指令を生成する。
【0024】
計算手段アレイ202は、少なくとも1つの計算手段サブアレイを含んでもよい。計算手段サブアレイは、予熱指令を受信するように配置されてもよい。予熱指令に応じて、予熱状態に入る。処理すべき計算指令に対応する目標指令を受信したことに応答して、予熱状態から計算状態に切り替える。
【0025】
本開示の実施例において、計算手段アレイは、積和手段アレイ、乗算手段アレイ又は畳み込み手段アレイなどの様々な計算手段アレイであってもよい。
【0026】
本開示の実施例において、予熱指令は、計算手段サブアレイがリード操作及び計算操作を実行するように指示することができる。例えば、予熱指令は、計算手段サブアレイがリード操作および計算操作を実行するように指示してもよく、計算手段サブアレイがライト操作を行わないように指示してもよい。
【0027】
本開示の実施例において、処理すべき指令に基づいて、目標指令を決定することができる。例えば、処理すべき指令は、プロセッサコア又は計算手段アレイに対応することができる。目標指令は、計算手段サブアレイに対応することができる。処理すべき指令に対応するアレイを分割し、目標指令に対応するサブアレイを決定することができる。
【0028】
本開示の実施例によれば、予熱指令に基づいて計算手段サブアレイが予熱状態に入り、チップ全体の計算コアが徐々にピーク消費電力に達す又は近づける。これにより、計算指令を処理する際に、チップでの消費電力の突然変化を減少させることができ、大きな消費電力を急激に増加させることなく、電圧が急激に低下することもなく、チップの性能及び寿命の向上に役立つ。また、目標指令を受信する前に、チップの電圧が比較的安定し、計算の精度を向上させることができ、これにより、チップの計算力を高いレベルに維持し、計算結果の正確性の向上に役立つ。
【0029】
理解できるように、上記では、本開示のプロセッサコアについて説明したが、以下では、本開示の予熱状態及び計算状態について更に説明する。
【0030】
本開示の実施例において、制御手段が処理すべき計算指令を検出しない場合、計算手段サブアレイはアイドル状態にある。アイドル状態において、計算手段サブアレイは、リード操作及び計算操作を行わない。
【0031】
本開示の実施例において、制御手段が処理すべき計算指令を検出しない場合、計算手段は、制御手段により生成した予熱指令を受信することができる。予熱指令は、第1データに対応してもよい。以下、
図3Aと組み合わせてさらに説明する。
【0032】
図3Aは、本開示の一実施例に係る予熱状態にある計算手段サブアレイの模式図である。
【0033】
本開示の実施例において、計算手段サブアレイは、第1データを読み取り、予熱状態に入るように配置されてもよい。第1データに基づいて計算操作を実行する。
図3Aに示すように、計算手段サブアレイ3021は、第1データを読み取ることができる。第1データD31に基づいて、計算手段サブアレイ3021は、計算操作を実行して、予熱指令に対応する第1計算結果を得ることができる。第1計算結果は、レジスタやアドレス空間に書き込まれなくてもよい。リード操作及び計算操作を実行する過程において、計算手段サブアレイ3021は予熱状態にあってもよい。理解できるように、計算手段サブアレイの状態はアイドル状態と動作状態を含んでもよい。本開示の実施例において、動作状態は、予熱状態を含んでもよい。予熱状態は、第1データに基づいてリード操作及び計算操作を実行する動作状態であってもよい。本開示の実施例によれば、第1データに基づいてリード操作及び計算操作を実行し、これにより、チップの消費電力を徐々に上昇させることができ、予熱状態の実現にも便利である。
【0034】
理解できるように、以上では、本開示の予熱状態について説明したが、以下では、本開示の計算状態についてさらに説明する。
【0035】
図3Bは、本開示の一実施例に係る計算状態にある計算手段サブアレイの模式図である。
【0036】
本開示の実施例において、目標指令は第2データに対応し、目標指令は、計算手段サブアレイがリード操作、計算操作及びライト操作を実行するように指示する。例えば、第2データは、処理すべき計算指令に関連するサブアレイであってもよい。
【0037】
本開示の実施例において、計算手段サブアレイは、第2データを読み取るように配置されてもよい。
図3Bに示すように、予熱状態にある計算手段サブアレイ3021は、第2データD32を読み取ることができる。
【0038】
本開示の実施例において、計算手段サブアレイは、さらに、目標指令に対応する第2データを用いて、第1データに基づいて計算操作を実行して得られた結果を上書きするように配置されてもよい。例えば、第2データD32によって上述した第1算出結果を上書きしてもよい。本開示の実施例によれば、第2データによって、予熱指令に対応する第1計算結果を上書きし、目標指令を効率的に処理し、プロセッサコアの計算リソースを節約する。
【0039】
本開示の実施例において、計算手段サブアレイは、さらに、第2データに基づいて計算操作を実行し、目標計算結果を得るように配置されてもよい。例えば、第2データD32に基づいて、計算手段サブアレイ3021は計算操作を実行して、目標指令に対応する第2計算結果を目標計算結果として得ることができる。
【0040】
本開示の実施例において、計算手段サブアレイは、さらに、目標計算結果を目標指令に対応するアドレス空間に書き込み、予熱状態から計算状態に切り替えるように配置されてもよい。例えば、目標指令は、アドレス空間Addr31に対応してもよい。目標計算結果をアドレス空間Addr31に書き込んでもよい。リード操作、計算操作及びライト操作を実行する過程において、計算手段サブアレイ3021は計算状態にあってもよい。理解できるように、計算手段サブアレイの状態はアイドル状態と動作状態を含んでもよい。本開示の実施例において、動作状態は、計算状態をさらに含んでもよい。計算状態は、第2データに基づいてリード操作、計算操作及びライト操作という動作状態を実行してもよい。
【0041】
理解できるように、以上では、本開示の予熱状態及び動作状態の算出手段サブアレイについて説明したが、以下では、本開示の第1データ及び第2データについて更に説明する。
【0042】
本開示の実施例において、第1データのデータタイプと第2データのデータタイプとは一致してもよい。例えば、第2データが浮動少数点型データであれば、第1データは浮動少数点型データであってもよい。また例えば、第2データが固定小数点型データであれば、第1データは固定小数点型データであってもよい。
【0043】
本開示の実施例において、第1データと第2データとの間の規模差は、所定の規模差閾値以下である。例えば、第2データの規模が[n、c、h、w]であれば、第1データの規模は[n、c、h、w]であってもよい。n、c、h及びwは正の整数であってもよい。本開示の実施例によれば、第1データと第2データとのタイプ、規模が同一又は類似することにより、計算手段サブアレイが実際の計算指令のデータタイプに速やかに適応することができ、チップの計算力をさらに向上させ、計算効率を向上させることができる。
【0044】
理解できるように、以上では、本開示の第1データ及び第2データについて説明したが、以下では、本開示の制御手段及び計算手段サブアレイについて更に説明する。
【0045】
本開示の実施例において、計算手段アレイは、M個の計算手段群を含んでもよい。計算手段群は、少なくとも1つの計算手段サブアレイを含んでもよい。Mは1以上の整数であってもよい。以下、
図4Aを参照して説明する。
【0046】
図4Aは、本開示の一実施例に係る計算手段アレイの模式図である。
【0047】
図4Aに示すように、計算手段アレイ402は、計算手段サブアレイ40201、計算手段サブアレイ40202、計算手段サブアレイ40203、計算手段サブアレイ40204、計算手段サブアレイ40205、計算手段サブアレイ40206、計算手段サブアレイ40207、計算手段サブアレイ40208、計算手段サブアレイ40209、計算手段サブアレイ40210、計算手段サブアレイ40211、計算手段サブアレイ40212、計算手段サブアレイ40213、計算手段サブアレイ40214、計算手段サブアレイ40215及び計算手段サブアレイ40216を含んでもよい。理解できるように、計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40216についての詳細な説明は、上述した計算手段サブアレイ3021を参照することができ、本開示では詳細な説明を省略する。
【0048】
図4Aに示すように、計算手段アレイは、4つの計算手段群を含んでもよい。第1計算手段群は、計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40204を含んでもよい。第2計算手段群は、計算手段サブアレイ40205~計算手段サブアレイ40208を含んでもよい。第3計算手段群は、計算手段サブアレイ40209~計算手段サブアレイ40212を含んでもよい。第4計算手段群は、計算手段サブアレイ40213~計算手段サブアレイ40216を含んでもよい。理解できるように、本実施例において、M=4である。
【0049】
図4Aに示すように、計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40216はアイドル状態にあってもよい。
【0050】
本開示の実施例において、制御手段は、処理すべき計算指令を検出したことに応答して、予熱指令を生成するように配置されてもよい。次に、制御手段は、予熱指令を少なくとも1つの計算手段サブアレイに出力するように配置されてもよく、以下、
図4Bから
図4Eを参照してさらに説明する。
【0051】
図4B~
図4Eは、本開示の一実施例に係る予熱状態にある計算手段群の模式図である。
【0052】
本開示の実施例において、制御手段は、予熱指令をM個の計算手段群の第m計算手段群に出力するように配置されてもよい。例えば、4つの予熱指令をそれぞれ第1計算手段群の4つの計算手段サブアレイに出力してもよい。計算手段サブアレイ40201から計算手段サブアレイ40204は、それぞれ予熱指令を受信し、それぞれ予熱指令に基づいて予熱状態に入ることができる。予熱状態にある計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40204は、
図4Bに示される。
【0053】
予熱状態において、計算手段サブアレイ40201から計算手段サブアレイ40204について、第1消費電力の和は、例えば、計算手段アレイ402のピーク消費電力の20%であってもよい。
【0054】
本開示の実施例において、制御手段は、さらに、第m計算手段群におけるN個の計算手段サブアレイが予熱状態に入ると決定したことに応答して、予熱指令をM個の計算手段群の第m+1計算手段群に出力するように配置されてもよい。mは1以上M未満の整数であってもよい。例えば、第1計算手段群の4つの計算手段サブアレイが予熱状態に入ったと決定した後、予熱指令を第2計算手段群の4つの計算手段サブアレイに出力してもよい。計算手段サブアレイ40205~計算手段サブアレイ40208は、それぞれ予熱指令を受信し、それぞれ予熱指令に基づいて予熱状態に入る。予熱状態にある計算手段サブアレイ40205~計算手段サブアレイ40208は、
図4Cに示される。本開示の実施例によれば、予熱指令を異なる計算手段サブアレイに順次提供することができ、これにより、消費電力の増加を実現し、消費電力の急変を回避し、電圧が低すぎることを回避することができる。
【0055】
予熱状態において、計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40208について、第1消費電力の和は、例えば、計算手段アレイ402のピーク消費電力の40%であってもよい。
【0056】
次に、制御手段は、第2計算手段群の4つの計算手段サブアレイが予熱状態に入ったと決定した後、予熱指令を第3計算手段群の4つの計算手段サブアレイに出力してもよい。計算手段サブアレイ40209~計算手段サブアレイ40212は、それぞれ予熱指令を受信し、それぞれ予熱指令に基づいて予熱状態に入る。予熱状態にある計算手段サブアレイ40209~計算手段サブアレイ40212は、
図4Dに示される。
【0057】
予熱状態において、計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40212について、第1消費電力の和は、例えば、計算手段アレイ402のピーク消費電力の60%であってもよい。
【0058】
次に、制御手段は、第3計算手段群の4つの計算手段サブアレイが予熱状態に入ったと決定した後、予熱指令を第4計算手段群の4つの計算手段サブアレイに出力してもよい。計算手段サブアレイ40213~計算手段サブアレイ40216は、それぞれ予熱指令を受信し、それぞれ予熱指令に基づいて予熱状態に入る。予熱状態にある計算手段サブアレイ40213~計算手段サブアレイ40216は、
図4Eに示される。
【0059】
予熱状態において、計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40216について、第1消費電力の和は、例えば、計算手段アレイ402のピーク消費電力の80%であってもよい。理解できるように、第1消費電力の和は例示であり、他のいくつかの実施例において、予熱状態において、計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40216について、第1消費電力の和は、例えば計算手段アレイ402のピーク消費電力と一致してもよい。
【0060】
理解できるように、以上では、予熱状態に入る複数の計算手段サブアレイについて説明し、以下では、計算状態に切り替えるいくつかの形態について説明する。
【0061】
図4Fは、本開示の一実施例に係る計算状態にある計算手段アレイの模式図である。
【0062】
本開示の実施例において、制御手段は、さらに、予熱状態にある計算手段サブアレイの数が所定の数の閾値以上であると決定したことに応答して、目標指令を少なくとも1つの予熱状態にある計算手段サブアレイにおける目標計算手段サブアレイに出力するように配置されてもよい。例えば、所定の数の閾値は、例えば、計算手段アレイにおける計算手段サブアレイの数に関連してもよい。
図4Eに示すように、計算手段アレイ402は、16個の計算手段サブアレイを含む。所定の数の閾値は、例えば12又は16であってもよい。所定の数の閾値が16であることを例として、計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40216がいずれも予熱状態に入った後、制御手段は、目標指令を計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40216にそれぞれ出力し、計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40216は、それぞれの目標指令に基づいて、それぞれ第2データを読み取り、さらに計算操作、ライト操作をそれぞれ実行し、計算状態に入る。計算状態にある計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40216は、
図4Fに示される。
【0063】
本開示の実施例において、予熱状態に対応する第1消費電力と計算状態に対応する第2消費電力との間の消費電力差は、所定の消費電力差閾値以下である。例えば、計算状態において、計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40216について、第2消費電力の和は、例えば、計算手段アレイ402のピーク消費電力の100%であってもよい。所定の消費電力差閾値は、例えば、25%であってもよく、第2消費電力の和と第1消費電力との和との間の消費電力差(20%)は、所定の消費電力差閾値(25%)より小さい。
【0064】
理解できるように、上記では、制御手段201及び計算手段アレイ202を例として、本開示を説明した。本開示はこれに限定されず、制御手段は少なくとも1つであってもよく、計算手段アレイは少なくとも1つであってもよく、以下、さらに説明する。
【0065】
本開示の実施例において、制御手段は複数であってもよく、計算手段アレイは複数であってもよく、制御手段は1つの計算手段アレイに対応してもよい。例えば、複数の制御手段は、第1制御手段と第2制御手段とを含んでもよい。複数の計算手段アレイは、第1計算手段アレイと第2計算手段アレイとを含んでもよい。第1制御手段は、第1計算手段アレイに対応し、第1計算手段アレイに対する予熱指令を生成してもよい。第2制御手段は、第2計算手段アレイに対応し、第2計算手段アレイに対する予熱指令を生成してもよい。
【0066】
本開示の他のいくつかの実施例において、制御手段は、複数の計算手段アレイに対応してもよく、複数の制御手段は1つの計算手段アレイに対応してもよく、本開示はこれを限定しない。
【0067】
理解できるように、以上では、本開示の制御手段及び計算手段アレイについて説明したが、以下では、本開示の制御手段について更に説明する。
【0068】
本開示の実施例において、制御手段は、さらに、目標指令が実行されたと決定したことに応答して、予熱指令を少なくとも1つの計算状態にある計算手段サブアレイにおける目標計算手段サブアレイに出力するように配置されてもよい。例えば、計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40216がそれぞれ計算状態から予熱状態に切り替えられるように、予熱指令を上記の計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40216に出力してもよい。
【0069】
本開示の実施例において、制御手段は、さらに、所定の指令をM個の計算手段群の第m計算手段群に出力するように配置されてもよい。例えば、4つの所定の指令をそれぞれ第1計算手段群の4つの計算手段サブアレイに出力してもよい。計算手段サブアレイ40201~計算手段サブアレイ40204は、それぞれ所定の指令を受信し、それぞれ所定の指令に基づいて予熱状態からアイドル状態に切り替えることができる。
【0070】
本開示の実施例において、制御手段は、さらに、第m計算手段群におけるN個の計算手段サブアレイがアイドル状態に切り替えられたと決定したことに応答して、所定の指令をM個の計算手段群の第m+1計算手段群に出力するように配置されてもよい。例えば、第1計算手段群の4つの計算手段サブアレイがアイドル状態に切り替えられたと決定された後、所定の指令を第2計算手段群の4つの計算手段サブアレイに出力することができる。計算手段サブアレイ40205~計算手段サブアレイ40208は、それぞれ所定の指令を受信し、それぞれ所定の指令に基づいてアイドル状態に切り替えることができる。
【0071】
次に、制御手段は、第2計算手段群の4つの計算手段サブアレイがアイドル状態に切り替えられたと決定した後、所定の指令を第3計算手段群の4つの計算手段サブアレイに出力してもよい。計算手段サブアレイ40209~計算手段サブアレイ40212は、それぞれ所定の指令を受信し、それぞれ所定の指令に基づいてアイドル状態に切り替える。
【0072】
次に、制御手段は、第3計算手段群の4つの計算手段サブアレイがアイドル状態に切り替えられたと決定した後、所定の指令を第4計算手段群の4つの計算手段サブアレイに出力してもよい。計算手段サブアレイ40213~計算手段サブアレイ40216は、それぞれ所定の指令を受信し、それぞれ予熱指令に基づいてアイドル状態に切り替える。本開示の実施例によれば、計算手段アレイを所定の消費電力値から待機消費電力に徐々に低下させるように制御することができる。これにより、計算を完成した後、チップの消費電力の急変をさらに低減することができ、大きな消費電力を急激に低下させることなく、電圧が急激に増加することもなく、チップの性能及び寿命の更なる向上に役立つ。
【0073】
理解できるように、以上では、本開示の予熱指令について更に説明したが、以下では、本開示のデータプロセッサコアを含むチップの電圧及び電流について説明する。
【0074】
図5は、本開示の一実施例に係るデータプロセッサコアを含むチップの電圧及び電流の模式図である。
【0075】
上述したように、チップのピーク消費電力が決定した場合、アイドル電流から速やかに動作電流に切り替える際に、チップの計算力がピーク計算力に近づいたり到達したりするが、チップ電源の給電電圧が急激に電圧VL51まで低下する。
【0076】
図5に示すように、上記の例えばプロセッサコア20を含むチップのピーク消費電力が決定された場合、予熱指令に基づいて、チップはアイドル電流から徐々に動作電流に切り替えられる。チップの計算力がピーク計算力に近づいたり到達したりする際に、チップ電源の給電電圧が急激に電圧VL52に低下する。
【0077】
図5に示すように、電圧VL52は、電圧VL51よりも大きい。これにより、チップが予熱指令に基づいてアイドル電流から動作電流に徐々に切り替える場合、チップの電圧変動幅が大幅に低下し、チップの性能及び寿命の向上に役立つ。
【0078】
また、上述したように、動作電流から速やかにアイドル電流に切り替える際に、チップの計算力はほぼゼロとなるが、チップ電源の給電電圧は急激にVH51まで増大する。
【0079】
図5に示すように、上記の例えばプロセッサコア20を含むチップのピーク消費電力が決定された場合、予熱指令に基づいて、チップは動作電流からアイドル電流に徐々に切り替える。チップの計算力がほぼゼロである際に、チップ電源の給電電圧も急激に電圧VH52まで増大する。
【0080】
図5に示すように、電圧VH52は、電圧VH51よりも小さい。これにより、チップが予熱指令及び上記所定の指令に基づいて動作電流から徐々にアイドル電流に切り替える場合、チップの電圧変動幅が大幅に減少し、チップの性能及び寿命の向上に役立つ。
【0081】
理解できるように、以上では、本開示のデータプロセッサコアについて説明したが、以下では、データプロセッサコアを含むデータプロセッサについて説明する。
【0082】
図6は、本開示の一実施例に係るデータプロセッサの模式図である。
【0083】
図6に示すように、データプロセッサP600は、少なくとも1つのデータプロセッサコア60を含んでもよい。データプロセッサコア60は、例えば、上述したデータプロセッサコア20であってよい。
【0084】
理解できるように、以上では、本開示のデータプロセッサについて説明したが、以下では、データプロセッサを含むデータ処理装置について説明する。
【0085】
図7は、本開示の一実施例に係るデータ処理装置の模式図である。
【0086】
図7に示すように、データ処理装置700は、データプロセッサP700を含んでもよい。データプロセッサP700は、例えば、上述したデータプロセッサP600であってよい。
【0087】
理解できるように、以上では、本開示のデータ処理装置について説明したが、以下では、データ処理装置を含む電子機器について説明する。
【0088】
図8は、本開示の一実施例に係る電子機器の模式図である。
【0089】
図8に示すように、電子機器8000は、データ処理装置800を含んでもよい。データ処理装置800は、例えば、上述したデータ処理装置700であってよい。
【0090】
理解できるように、以上では、本開示の電子機器について説明したが、以下では、本開示のデータ処理方法について説明する。
【0091】
図9は、本開示の一実施例に係るデータ処理方法の概略フローチャートである。
【0092】
図9に示すように、方法900は、操作S910~操作S930を含んでもよい。
【0093】
操作S910において、予熱指令を受信する。本開示の実施例において、予熱指令は、処理すべき計算指令を検出した場合に生成される。
【0094】
操作S920において、予熱指令に基づいて、予熱状態に入る。
【0095】
操作S930において、処理すべき計算指令に対応する目標指令を受信したことに応答して、予熱状態から計算状態に切り替える。
【0096】
本開示の実施例において、上記の計算手段サブアレイを利用して方法900を実現することができる。
【0097】
本開示の実施例において、予熱指令は、計算手段サブアレイがリード操作及び計算操作を実行するように指示する。例えば、予熱指令は、上述の制御手段によって生成されてもよい。
【0098】
いくつかの実施例において、予熱指令は、第1データに対応する。
【0099】
いくつかの実施例において、予熱指令に基づいて、予熱状態に入ることは、第1データを読み取って、予熱状態に入ることを含む。第1データに基づいて計算操作を実行する。
【0100】
いくつかの実施例において、目標指令は、第2データに対応し、目標指令は、計算手段サブアレイがリード操作、計算操作及びライト操作を実行するように指示する。
【0101】
いくつかの実施例において、予熱状態から計算状態に切り替えることは、第2データを読み取り、予熱状態から計算状態に切り替えることを含む。第2データに基づいて計算操作を実行し、目標計算結果を得る。目標計算結果は、目標指令に対応するアドレス空間に書き込まれる。
【0102】
いくつかの実施例において、方法900は、目標指令に対応する第2データを用いて、第1データに基づいて計算操作を実行して得られた結果を上書きすることをさらに含む。
【0103】
いくつかの実施例において、目標指令は、予熱状態にある計算手段サブアレイの数が所定の数の閾値以上であると決定した場合に、少なくとも1つの予熱状態にある計算手段サブアレイにおける目標計算手段サブアレイに出力される。
【0104】
いくつかの実施例において、計算手段アレイは、M個の計算手段群を含み、計算手段群は、少なくとも1つの計算手段サブアレイを含み、Mは1以上の整数である。
【0105】
いくつかの実施例において、方法900は、予熱指令をM個の計算手段群の第m計算手段群に出力することをさらに含む。第m計算手段群におけるN個の計算手段サブアレイが予熱状態に入ると決定したことに応答して、予熱指令をM個の計算手段群の第m+1計算手段群に出力する。mは1以上M未満の整数である。
【0106】
いくつかの実施例において、予熱状態に対応する第1消費電力と計算状態に対応する第2消費電力との間の消費電力差は、所定の消費電力差閾値以下である。
【0107】
いくつかの実施例において、予熱指令は第1データに対応し、目標指令は第2データに対応し、第1データのデータタイプと第2データのデータタイプとは一致する。第1データと第2データとの間の規模差は、所定の規模差閾値以下である。
【0108】
本開示の技術案において、かかるユーザ個人情報の収集、記憶、使用、加工、伝送、提供、公開および適用などの処理は、いずれも関連法規制の規定に適合し、必要な秘密保持を採用し、公序良俗に反しない。
【0109】
本開示の実施例によれば、本開示は、電子機器、可読記憶媒体及びコンピュータプログラム製品をさらに提供する。
【0110】
図10は、本開示の実施例の例示電子機器1000を実施するための例示的なブロック図を示す。電子機器は、例えば、ラップトップ型コンピュータ、デスクトップコンピュータ、作業台、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、大型コンピュータ、及び他の適切なコンピュータという様々な形式のデジタルコンピュータを表示することを意図する。電子機器は、さらに、例えば、パーソナルデジタルアシスタント、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブルデバイス及び他の類似の計算装置という様々な形式の移動装置を表示してもよい。本明細書に示された部材、それらの接続及び関係、及びそれらの機能は例示に過ぎず、本明細書に記載された及び/又は要求された本開示の実現を限定するものではない。
【0111】
図10に示すように、電子機器1000は、計算手段1001を含み、それはリードオンリーメモリ(ROM)1002に記憶されたコンピュータプログラム又は記憶手段1008からランダムアクセスメモリ(RAM)1003にロードされたコンピュータプログラムに基づいて、様々な適切な動作及び処理を実行することができる。RAM1003には、さらに電子機器1000の操作に必要な様々なプログラム及びデータを記憶することができる。計算手段1001、ROM1002、およびRAM1003は、バス1004を介して相互に接続されている。バス1004には、入出力(I/O)インタフェース1005も接続されている。
【0112】
電子機器1000における複数の部品は、I/Oインタフェース1005に接続され、例えばキーボード、マウス等の入力手段1006と、例えば様々な種別のディスプレイ、スピーカ等の出力手段1007と、例えば磁気ディスク、光ディスク等の記憶手段1008と、例えばネットワークカード、モデム、無線通信トランシーバ等の通信手段1009とを含む。通信手段1009は、電子機器1000がインターネット等のコンピュータネットワーク及び/又は各種の電気通信網を介して他のデバイスと情報/データをやり取りすることを可能にする。
【0113】
計算手段1001は、処理及び計算能力を有する各種の汎用及び/又は専用の処理モジュールであってもよい。計算手段1001の幾つかの例としては、中央処理装置(CPU)、GPU(Graphics Processing Unit)、各種専用の人工知能(AI)演算チップ、各種機械学習モデルアルゴリズムの計算手段、DSP(Digital Signal Processor)、並びに任意の適切なプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等が挙げられるが、これらに限定されない。計算手段1001は、例えばデータ処理方法のような前記記載された各方法と処理を実行する。例えば、いくつかの実施例において、データ処理方法は、例えば記憶手段1008のような機械可読媒体に有形的に含まれるコンピュータソフトウェアプログラムとして実現されてもよい。いくつかの実施例において、コンピュータプログラムの一部又は全部は、ROM1002及び/又は通信手段1009を介して電子機器1000にロード及び/又はインストールされてもよい。コンピュータプログラムがRAM1003にロードされて計算手段1001により実行される場合、前記記載されたデータ処理方法の1つ又は複数のステップを実行してもよい。代替的に、別の実施例において、計算手段1001は、他の任意の適切な形態(例えば、ファームウェアを介する)によりデータ処理方法を実行するように構成されてもよい。
【0114】
本明細書で説明されたシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせにおいて実現されてもよい。これらの様々な実施形態は、1つ又は複数のコンピュータプログラムにおいて実施され、該1つ又は複数のコンピュータプログラムは、少なくとも1つのプログラムブルプロセッサを含むプログラムブルシステムで実行され及び/又は解釈されることが可能であり、該プログラムブルプロセッサは、専用又は汎用のプログラムブルプロセッサであってもよく、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信し、かつデータ及び命令を該記憶システム、該少なくとも1つの入力装置、及び該少なくとも1つの出力装置に伝送することができることを含んでもよい。
【0115】
本開示の方法を実施するためのプログラムコードは、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成されてもよい。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラムブルデータ処理装置のプロセッサ又はコントローラに提供されてもよく、それによって、プログラムコードがプロセッサ又はコントローラにより実行される時に、フローチャート及び/又はブロック図に規定された機能/操作が実施される。プログラムコードは、機器に完全に実行されてもよく、部分的に機器で実行されてもよく、独立したソフトウェアパッケージとして部分的に機器で実行され、かつ部分的に遠隔機器で実行されるか又は完全に遠隔機器又はサーバで実行されてもよい。
【0116】
本開示のコンテキストにおいて、機械可読媒体は、有形の媒体であってもよく、命令実行システム、装置又は電子デバイスに使用され、又は命令実行システム、装置又は機器と組み合わせて使用されるプログラムを含んで又は記憶してもよい。機械可読媒体は、機械可読信号媒体又は機械可読記憶媒体であってもよい。機械可読媒体は、電子の、磁気的、光学的、電磁的、赤外線の、又は半導体システム、装置又は電子デバイス、又は前記内容の任意の適切な組み合わせを含んでもよいが、それらに限定されない。機械可読記憶媒体のより具体的な例としては、1つ以上の線による電気的接続、携帯式コンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、又は前記内容の任意の適切な組み合わせを含む。
【0117】
ユーザとのインタラクションを提供するために、コンピュータにここで説明されたシステム及び技術を実施させてもよく、該コンピュータは、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(陰極線管)ディスプレイ又はLCD(液晶ディスプレイ))と、キーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)とを備え、ユーザは、該キーボード及び該ポインティングデバイスを介して入力をコンピュータに提供することができる。他の種別の装置は、さらにユーザとのインタラクションを提供してもよく、例えば、ユーザに提供されたフィードバックは、いかなる形式のセンシングフィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であってもよく、かついかなる形式(音声入力、語音入力又は触覚入力を含む)でユーザからの入力を受信してもよい。
【0118】
理解されるべきこととして、以上に示された様々な形式のフローを使用してもよく、ステップを改めてソーティングしたり、付加したり又は削除してもよい。例えば、本発明に記載の各ステップは、並列的に実行されたり、順次に実行されたり、又は異なる順序で実行されてもよく、本開示の技術案の所望の結果を実現することができれば、本明細書はここで限定されない。
【0119】
前記具体的な実施形態は、本開示の保護範囲を限定するものではない。当業者であれば、設計要件及び他の要因に応じて、様々な修正、組み合わせ、サブコンビネーション及び代替を行うことが可能であると理解すべきである。本開示の精神と原則内で行われた任意の修正、均等置換及び改良などは、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。