(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167897
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】操作ユニット
(51)【国際特許分類】
G05G 1/02 20060101AFI20241127BHJP
H01H 21/22 20060101ALI20241127BHJP
H01H 21/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
G05G1/02 F
H01H21/22 A
H01H21/00 330A
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024081281
(22)【出願日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】10 2023 113 246.6
(32)【優先日】2023-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】508066083
【氏名又は名称】ベーア-ヘラー サーモコントロール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】ベシュニット,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ケンッピネン,パシ
【テーマコード(参考)】
3J070
5G219
【Fターム(参考)】
3J070AA03
3J070BA15
3J070BA25
3J070BA35
3J070CC71
3J070DA01
5G219FU06
5G219FU13
5G219GS21
5G219HT20
5G219HU61
5G219HW02
5G219KS07
5G219KS09
5G219KY06
5G219QS02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、可動の操作バーの取り付けが容易であり、特に車両の1又は複数の部品を操作するための中央入力装置(CID)等の車両用操作ユニットを提供する。
【解決手段】車両用操作ユニットは、その前面(14)に操作バー(18)を有する筐体(12)を備える。操作バー(18)は、筐体内で支持部材(24)により保持され、支持部材(24)は、その後端及び前方領域において、筐体(12)に弾性的に取り付けられている。このため、支持部材(24)の後端に、弾性的にねじれ可能な支柱(38)を有する後部取り付け部材(30)が設けられている。この支柱(38)は、操作バー(18)の側端部(22)の間の仮想接続線(44)と略平行している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両の1又は複数の部品を操作するための中央入力装置(CID)等の車両用操作ユニットであって、
前面(14)を有する筐体(12)と、
上記前面(14)より突出し、静止位置と作動位置との間で可動の操作バー(18)であって、操作機能を起動するため、上記操作バー(18)の長手方向かつ上記操作バー(18)の2つの側端部(22)の間に並ぶ手動又は作動体により作動可能な複数の操作パネル(20)を含む操作面を有する操作バー(18)と、
上記操作バー(18)の上記操作面における上記作動位置を検出し、上記操作バー(18)の有効な作動を検出するためのセンサシステム(56,58)と、
上記操作バー(18)に接続され、上記操作バー(18)からさらに上記筐体(12)内に延伸する支持部材(24)であって、上記操作バー(18)に対向しない後端(28)と、上記操作バー(18)の上記側端部(22)に隣接する2つの側端(36)とを有する支持部材(24)と、
上記筐体(12)内に配置された取り付け装置(34)であって、上記操作バー(18)が上記静止位置から上記作動位置に移動する際及び戻る際に、上記支持部材(24)を可動に取り付けるための取り付け装置(34)とを備え、
上記支持部材(24)が、上記取り付け装置(34)に復元可能かつ可動に取り付けられており、
上記取り付け装置(34)が、上記支持部材(24)の上記後端(28)用の少なくとも1つの後部取り付け部材(30)と、少なくとも1つの前部取り付け部材(32)とを有し、この前部取り付け部材(32)が、上記支持部材(24)の上記操作バー(18)に対向する端部及び/又は上記操作バー(18)と協働し、弾性的に形成されており、
上記少なくとも1つの又は各後部取り付け部材(30)が、長軸を有する弾性的にねじれ可能な支柱(38)を有し、この支柱(38)が上記筐体(12)内で堅固に固定されている上記後部取り付け部材(30)の固定端(52)と、上記支柱(38)が上記支持部材(24)の上記後端(28)に堅固に接続されている上記後部取り付け部材(30)の接続端(54)との間で、上記支柱(38)が、上記操作バー(18)の上記2つの側端部(22)を結ぶ仮想接続線(44)と略平行に延伸している操作ユニット。
【請求項2】
上記少なくとも1つの又は各後部取り付け部材(30)の上記支柱(38)が、円形状又は多角形状の断面を有するロッドとして形成されていることを特徴とする請求項1に記載の操作ユニット。
【請求項3】
上記少なくとも1つの又は各後部取り付け部材(30)の上記支柱(38)が、2つの主側面(46,48)を有する平面材料片(40)として形成されており、この平面材料片(40)の上記主側面(46,48)が、垂直である又は垂直線に対して45°未満で傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の操作ユニット。
【請求項4】
上記取り付け装置(34)が、2つの後部取り付け部材(30)を有し、その2本の支柱(38)が、共通の固定端(52)から、反対方向にそれぞれの接続端(54)まで延伸しており、この接続端(54)において、上記支柱(38)が、上記支持部材(24)の上記後端(28)に堅固に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の操作ユニット。
【請求項5】
上記2本の支柱(38)が、その固定端(52)において、共通の支柱(38)を構成するため、互いに一体に接続され、上記共通の支柱(38)の中央固定部を画定し、この中央固定部から、上記共通の支柱(38)が、互いに反対方向に、上記支持部材(24)に接続された上記接続端(54)まで延伸していることを特徴とする請求項4に記載の操作ユニット。
【請求項6】
上記取り付け装置(34)が、2つの後部取り付け部材(30)を有し、その2本の支柱(38)が、上記支持部材(24)に接続されている共通の接続端(54)から、反対方向にそれぞれの固定端(52)まで延伸しており、この固定端(52)に、上記支柱(38)が、上記筐体(12)内で直接又は間接的に堅固に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の操作ユニット。
【請求項7】
上記2本の支柱(38)が、その接続端(54)において、共通の支柱(38)を構成するため、互いに一体に接続され、上記共通の支柱(38)の中央接続部を画定し、この中央接続部において、上記共通の支柱(38)が上記支持部材(24)に接続されており、上記中央接続部から、上記共通の支柱(38)が、互いに反対方向に、上記筐体(12)内で直接又は間接的に堅固に固定された上記固定端(52)まで延伸していることを特徴とする請求項6に記載の操作ユニット。
【請求項8】
上記支持部材(24)が、上記操作バー(18)の長手方向について、その中央に配置されている平板として形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の操作ユニット。
【請求項9】
上記支持部材(24)が、上記操作バー(18)に接続された2本の支持アーム(68)を有する、又は上記支持部材(24)の上記後端(28)から、2本の支持アーム(68)が突出し、上記支持アーム(68)が、上記操作バー(18)の延伸方向を横切りその中心を通る仮想対称線について、対称に配置されており、各支持アーム(68)において、上記操作バー(18)に対向しない上記後端(28)に、後部取り付け部材(30)が配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の操作ユニット。
【請求項10】
上記取り付け装置(34)が、2つの前部取り付け部材(32)を有し、この前部取り付け部材(32)が、上記支持部材(24)の上記2つの側端(36)又は上記操作バー(18)の上記2つの側端部(22)において、互いに対向して配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の操作ユニット。
【請求項11】
上記少なくとも1つの又は各後部取り付け部材(30)が、上記支持部材(24)の上記後端(28)の一体部品である、又は上記支持部材(24)が支持アーム(68)を有する場合は、上記支持部材(24)の上記支持アーム(68)の後端の一体部品であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の操作ユニット。
【請求項12】
上記少なくとも1つの又は各後部取り付け部材(30)の上記支柱(38)が、プラスチック又はばね鋼からなる板ばね(42)として形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の操作ユニット。
【請求項13】
上記少なくとも1つの又は各前部取り付け部材(32)が、プラスチック若しくはばね鋼からなる板ばね(55)として、又はプラスチック若しくはばね鋼からなるコイルばねとして形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の操作ユニット。
【請求項14】
上記センサシステムが、上記操作バー(18)の作動時にかかる力及び/又は作動時に上記操作バー(18)が移動する距離を検出するための少なくとも2つの力センサ及び/又は位置センサ(56)と、評価ユニット(60)とを有し、この評価ユニット(60)が、上記センサ(56)から測定信号を受信し、この測定信号を用いて、上記操作バー(18)における上記作動位置を表す信号及び上記操作バー(18)の有効な作動を表す信号を生成することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の操作ユニット。
【請求項15】
上記センサシステムが、上記操作バー(18)内又は上記操作バー(18)上に配置されたタッチ式フィルム(58)であって、上記操作バー(18)の接触及び/又は作動時に上記作動位置を表す信号を出力するタッチ式フィルム(58)と、上記操作バー(18)の作動時にかかる力及び/又は作動時に上記操作バー(18)が移動する距離を検出するための少なくとも1つの力センサ及び/又は位置センサ(56)と、評価ユニット(60)とを有し、この評価ユニット(60)が、上記少なくとも1つのセンサ(56)及び上記タッチ式フィルム(58)から信号を受信し、この信号を用いて、上記操作バー(18)における上記作動位置を表す信号及び上記操作バー(18)の有効な作動を表す信号を生成することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の操作ユニット。
【請求項16】
それぞれの操作パネル(20)に割り当てられた操作機能に関する文字情報及び/又は図形情報を表示するため、上記操作バー(18)の上方及び/又は下方に配置された表示面を有する表示ユニット、
それぞれの操作パネル(20)に割り当てられた操作機能に関する文字情報及び/又は図形情報を表示するため、上記操作バー(18)に一体化された表示面を有する表示ユニット、又は
上記操作バー(18)上に、シンボルやアイコン等の不変の文字情報及び/又は図形情報を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の操作ユニット。
【請求項17】
上記操作バー(18)の有効な作動時に音声及び/又は触覚フィードバックを生成するためのアクチュエータ(64)を有するパッシブ式又はアクティブ式の触覚フィードバックユニットを備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の操作ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両の1又は複数の部品を操作するための中央入力装置(CID)等の車両用操作ユニットに関する。当該操作ユニットは、表示装置を有して構成されていてもよいし、有さずに構成されていてもよい。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、表示ユニットを有する又は有さない車両用中央入力装置が公知である。本発明が関わる種類の操作ユニットは、筐体の前面又は上面より突出する操作バーを備える。そのような操作ユニットの例としては、国際公開第2016/012241号及び国際公開第2016/012243号に記載のものが挙げられる。
【0003】
手動で作動可能な操作バーにより、できるだけ多くの操作機能を実行できるようにするためには、この操作バーは、比較的長いことが求められる。比較的長い操作バーの短所は、どの位置で(押す又は引くことにより)作動されるかによらず、操作バーの運動学的挙動をできるだけ一定にするには、機械的及び構造的な労力を要するという点である。これは、操作バーが有効に押されたこと、すなわち意図した操作機能が起動するように押されたことを、操作バーの作動箇所によらず、センサシステムにより信頼性高く検出できることが求められるからである。
【0004】
操作バーが長い場合、センサシステムが操作バーの有効な作動を感知する程度の強さで、操作バー自体が作動されるより先に、変形してしまう傾向がある。電子ハードウェア及びソフトウェアを追加して、操作バーの長さにわたって分布して配置された複数の力センサ又は位置センサを備えることによって、操作バーの有効な作動が検出されるまで、操作バーが作動箇所によって異なる挙動を示すことは補償できる。しかしながら、これは、構造及び設置の面で少なからず労力がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/012241号
【特許文献2】国際公開第2016/012243号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、可動の操作バーの取り付けが容易であり、特に車両の1又は複数の部品を操作するための中央入力装置(CID)等の車両用操作ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明により、特に車両の1又は複数の部品を操作するための中央入力装置(CID)等の車両用操作ユニットが提案され、この操作ユニットは、
前面を有する筐体と、
上記前面より突出し、静止位置と作動位置との間で可動の操作バーであって、操作機能を起動するため、上記操作バーの長手方向かつ上記操作バーの2つの側端部の間に並ぶ手動又は作動体により作動可能な複数の操作パネルを含む操作面を有する操作バーと、
上記操作バーの有効な作動を検出するためのセンサシステムと、
上記操作バーに接続され、上記操作バーからさらに上記筐体内に延伸する支持部材であって、上記操作バーに対向しない後端と、上記操作バーの上記側端部に隣接する2つの側端とを有する支持部材と、
上記筐体内に配置された取り付け装置であって、上記操作バーが上記静止位置から上記作動位置に移動する際及び戻る際に、上記支持部材を可動に取り付けるための取り付け装置とを備え、
上記支持部材が、上記取り付け装置に復元可能かつ可動に取り付けられており、
上記取り付け装置が、上記支持部材の上記後端用の少なくとも1つの後部取り付け部材と、少なくとも1つの前部取り付け部材とを有し、この前部取り付け部材が、上記支持部材の上記操作バーに対向する端部及び/又は上記操作バーと協働し、弾性的に形成されており、
上記少なくとも1つの又は各後部取り付け部材が、長軸を有する弾性的にねじれ可能な支柱を有し、この支柱が上記筐体内で堅固に固定されている上記後部取り付け部材の固定端と、上記支柱が上記支持部材の上記後端に堅固に接続されている上記後部取り付け部材の接続端との間で、上記支柱が、上記操作バーの上記2つの側端部を結ぶ仮想接続線と略平行に延伸している。
【0008】
本発明に係る操作ユニットは、前面又は上面(以下、常に前面という)を有する筐体を備え、この前面より操作バーが突出しており、操作バーは、操作機能を起動するため、操作バーの長手方向かつ操作バーの2つの側端部の間に並ぶ手動又は作動体により作動可能な複数の操作パネルを含む操作面を有する。操作バーは、静止位置と作動位置との間で、回転軸(仮想でも可)を中心に可動である。操作バーは、支持部材に接続されている、又は操作バーから筐体内に延伸する若しくは筐体内で延伸する支持部材の一部であり、支持部材の後端が、可能な限り操作バーから離れていることが望ましい。筐体内には取り付け装置が設けられており、この取り付け装置により、支持部材が、その静止位置と作動位置との間で可動に取り付けられており、この取り付けは復元可能であるため、操作バーの作動後、操作バーが、その作動位置から静止位置に自動的に戻る。取り付け装置は、支持部材の後端用の少なくとも1つの後部取り付け部材と、少なくとも1つの前部取り付け部材とを有し、この前部取り付け部材は、支持部材の操作バーに対向する(前)端部及び/又は操作バー自体と協働し、後部取り付け部材と同様に弾性的に形成されている。取り付け部材は、支持部材及び/又は操作バーの一体部品であってもよい。
【0009】
後部取り付け部材は、長軸ひいては長手方向を有する少なくとも1つの弾性的にねじれ可能な支柱を有する。少なくとも1つの弾性的にねじれ可能な支柱の長軸は、操作バーの2つの側端部の間の仮想接続線と平行している。この2つの側端部の間において、操作バーは、例えば設計上の理由から、湾曲していてもよいし、直線状であってもよい。筐体内では、支柱が、その一方の端部すなわち固定端において、筐体に堅固に接続され固定されているのに対し、他方の端部すなわち接続端は、支持部材の後端に堅固に接続されている。
【0010】
その静止位置から作動位置に動かすため、操作バーが押される、引かれる、又は押し込まれることで、後部取り付け部材の少なくとも1つの支柱がねじれる。操作バーが静止位置に戻る動作は、同様に弾性的に形成されている少なくとも1つの前部取り付け部材によりサポートすることができる。ねじれ可能な支柱により、操作バーにおける作動箇所によらず、操作バーを一定に枢動又は回転運動させることができる。このとき、回転軸は、支柱内又は少なくとも支柱の近傍に(後者の場合、仮想回転軸として)延在する。
【0011】
操作バーの回転又は枢動運動の安定性を向上させるため、操作バー又は支持部材が、支持部材の側端及び/又は操作バーの側端部の領域に配置されている2つの前部取り付け部材を有していると有益である。
【0012】
支持部材、操作バー及び取り付け装置の運動学的特性を、作動箇所によらず、さらに安定してできるだけ一定にするため、支持部材の後端において、それぞれ1本の弾性的にねじれ可能な支柱を有する少なくとも2つの後部取り付け部材が設けられていると有益である。
【0013】
各後部取り付け部材の弾性的にねじれ可能な支柱は、円形状又は多角形状の断面を有するロッドとして形成されていることが好適である。支持部材の後端全体、有利には支持部材自体が、弾性的に変形可能なプラスチックから構成されていてもよく、このプラスチック構造は、所望の効果、すなわち回転軸を中心とする運動を実現するのに十分に強化されている。各後部取り付け部材又は支持部材の後端をプラスチックにより構成する代わりに、各後部取り付け部材が、金属、好ましくはばね鋼からなる板ばねを有していてもよい。好ましくは、この板ばねが、略垂直に直立しており、その2つの主側面の一方(支持部材に対向する主側面に相当)が操作バーに対向し、他方が操作バーに対向していない。上述の(ばね鋼又はプラスチックからなる)平面材料片として形成された支柱の「垂直」な配置について、本発明においては、垂直線に対して45°未満で傾斜している場合も、「垂直」であると見なす。
【0014】
よって、この点に関し、金属、特にばね鋼又はプラスチックからなる平面材料片の「垂直」な配置は、その2つの端部の間、すなわち筐体側の固定端と支持部材側の接続端との間で歪む。この歪み又はねじれ運動は、平面材料片が水平に配置されている場合の平面材料片の弾性的な変形とは区別される。
【0015】
支柱が垂直な平面材料片として構成されている場合、ねじれ時に、平面材料片内に実質的に1本の軸が存在し、この軸について、平面材料片の一方の面の一部が、平面材料片の反対側の部位の変形方向とは逆の方向に変形される。
【0016】
よって、上述したように、上記少なくとも1つの又は各後部取り付け部材の上記支柱が、2つの主側面を有する平面材料片として形成されており、この平面材料片の上記主側面が、垂直である又は垂直線に対して45°未満で傾斜していると有益である。
【0017】
既に上で述べたように、上記取り付け装置が、2つの後部取り付け部材を有し、その2本の支柱が、共通の固定端から、反対方向にそれぞれの接続端まで延伸しており、この接続端において、上記支柱が、上記支持部材の上記後端に堅固に接続されていると有益となり得る。この場合、2本の支柱は、2本の支柱の略中央に配置された共通の固定端から、反対方向にそれぞれの接続端まで延伸している。ここで、上記2本の支柱が、その固定端において、共通の支柱を構成するため、互いに一体に接続され、上記共通の支柱の中央固定部を画定し、この中央固定部から、上記共通の支柱が、互いに反対方向に、上記支持部材に接続された上記接続端まで延伸していても有益である。上記支柱は、言わば、互いに正反対の向きの2本のアームを有している。
【0018】
この構造は、2つの後部取り付け部材の2本の支柱を、支持部材に接続された接続端で1本にまとめて、この接続端から反対方向にそれぞれの固定端まで延伸させることにより、運動学的及び力学的特性を変化させることなく、反転させることもできる。また、これに関して、上記2本の支柱が、その接続端において、共通の支柱を構成するため、互いに一体に接続され、上記共通の支柱の中央接続部を画定し、この中央接続部において、上記共通の支柱が上記支持部材に接続されており、上記中央接続部から、上記共通の支柱が、互いに反対方向に、上記筐体内で直接又は間接的に堅固に固定された上記固定端まで延伸していると好適である。
【0019】
本発明の別の有用な態様において、上記支持部材が、上記操作バーの長手方向について、その中央に配置されている平板として形成されていてもよい。
【0020】
本発明の上述の態様に代えて、上記支持部材が、上記操作バーに接続された2本の支持アームを有し、上記支持アームが、上記操作バーの延伸方向を横切りその中心を通る仮想対称線について、対称に配置されており、各支持アームにおいて、上記操作バーに対向しない上記後端に、後部取り付け部材が配置されていることも可能である。
【0021】
既に上で述べたように、上記取り付け装置が、2つの前部取り付け部材を有し、この前部取り付け部材が、上記支持部材の上記2つの側端又は上記操作バーの上記2つの側端部において、互いに対向して配置されていると好適となり得る。
【0022】
また、上記少なくとも1つの又は各後部取り付け部材が、上記支持部材の上記後端の一体部品である、又は上記支持部材が支持アームを有する場合は、上記支持部材の上記支持アームの後端の一体部品であると有益となり得る。
【0023】
また、既に説明したように、上記少なくとも1つの又は各後部取り付け部材の上記支柱が、プラスチック、ばね鋼、又は他の弾性材料からなる板ばねとして形成されていると好適かつ有益である。
【0024】
本発明の別の有用な態様において、上記少なくとも1つの又は各前部取り付け部材のばねが、プラスチック若しくはばね鋼からなる板ばねとして、又はプラスチック若しくはばね鋼からなるコイルばねとして形成されていてもよい。
【0025】
既に上で説明したように、操作バーの有効な作動を検出するためには、センサシステムが、静止位置から、このように規定された作動位置までの操作バーの所定の最小移動量を検出する必要がある。このため、上記センサシステムが、上記操作バーの作動時にかかる力及び/又は作動時に上記操作バーが移動する距離を検出するための少なくとも2つの力センサ及び/又は位置センサと、評価ユニットとを有し、この評価ユニットが、上記センサから測定信号を受信し、この測定信号を用いて、上記操作バーにおける上記作動位置を表す信号及び上記操作バーの有効な作動を表す信号を生成しても有益である。少なくとも2つ、好ましくは5つまでのセンサから供給される測定値は、操作バーにおける各作動位置について特徴的であるため、力センサ又は位置センサの「測定値像」から、操作バーがどの位置で作動されたかを読み取ることができる。
【0026】
あるいは、上記操作バーが、位置検出センサシステムとして、上記操作バー内又は上記操作バー上に配置されたタッチ式フィルムであって、上記操作バーの接触及び/又は作動時に上記作動位置を表す信号を出力するタッチ式フィルムと、上記操作バーの作動時にかかる力及び/又は作動時に上記操作バーが移動する距離を検出するための少なくとも1つの力センサ及び/又は位置センサと、評価ユニットとを有し、この評価ユニットが、上記少なくとも1つのセンサ及び上記タッチ式フィルムから信号を受信し、この信号を用いて、上記操作バーにおける上記作動位置を表す信号及び上記操作バーの有効な作動を表す信号を生成してもよい。
【0027】
本発明に係る操作ユニットは、
それぞれの操作パネルに割り当てられた操作機能に関する文字情報及び/又は図形情報を表示するため、上記操作バーの上方及び/又は下方に配置された表示面を有する表示ユニット、
それぞれの操作パネルに割り当てられた操作機能に関する文字情報及び/又は図形情報を表示するため、上記操作バーに一体化された表示面を有する表示ユニット、又は
上記操作バー上に、シンボルやアイコン等の不変の文字情報及び/又は図形情報を備えていても有益である。
【0028】
最後に、上記操作バーの快適な作動のため、上記操作ユニットが、上記操作バーの有効な作動時に音声及び/又は触覚フィードバックを生成するためのパッシブ式又はアクティブ式の触覚フィードバックユニットを備えていると有益である。パッシブ式の触覚フィードバックユニットは、例えば、作動時の触覚機能に加えて、操作バーの有効な作動を伝えるためにも利用できる機械的スイッチにより実現できる。アクティブ式の触覚フィードバックユニットでは、支持部材又は操作バーが機械的かつパルス的に励起されるが、これは、例えば、圧電アクチュエータ又は電磁アクチュエータ等のアクチュエータにより実現できる。
【0029】
以下、複数の実施の形態を用い、図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、複数の実施の形態で本発明を実施可能な操作ユニットの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の平面II-IIに対応する水平断面図であって、支持部材及び操作バーの取り付けの第1の実施の形態を説明するための図である。
【
図3】
図3は、弾性的に取り付けられる支持部材の斜視図である。
【
図4】
図4は、操作バー及び支持部材の変形例を示す、
図2と同様の断面図である。
【
図5-11】
図5から
図11は、プラスチック製の支持部材の特に後部の取り付けのその他の態様を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、前面14を有する筐体12を含む操作ユニット10の斜視図である。筐体12の前面14の開口部16から操作バー18が突出しており、これを押すことにより、
図1に示す静止位置から作動位置に操作バー18を移動させることができる。同様に、持ち上げることによっても、図示する静止位置から作動位置に、操作バー18を移動させることができる。また、押すことと持ち上げることの両方により、中心位置又は静止位置から2つの異なる作動位置に、操作バー18を移動させることも可能である。静止位置と(各)作動位置との間における操作バーの移動量は、通常、ごくわずかである。
【0032】
操作バー18は、操作バー18の2つの側端部22の間に並んだ複数の操作パネル20(本実施の形態では、5つの操作パネル)を有する。
【0033】
図2及び
図3において、操作バー18が、支持部材24により保持されており、支持部材24が、操作バー18からさらに筐体20内に延伸しており、そのため、筐体20が、その前面14において開口部26を有していることがわかる。筐体12内では、支持部材24がその後端28に取り付けられている。このため、本実施の形態では、後述する後部取り付け部材30が用いられる。後部取り付け部材30は、少なくとも1つ(本実施の形態では、2つ)の前部取り付け部材32とともに、取り付け装置34の一部を構成する。前部取り付け部材32は、操作バー18の領域、具体的には操作バー18の側端部22の領域において、支持部材24の側縁36に設けられている。
図2では、さらに別の前部取り付け部材32の位置を破線で示しているが、
図2の実施の形態において、操作バー18の中央の高さに配置された(破線で示す)取り付け部材は、単独の前部取り付け部材であってもよいし、追加の前部取り付け部材であってもよい。
【0034】
本実施の形態では、後部取り付け部材30が、それぞれ、ばね鋼からなる平面材料片40状のねじれ可能な支柱38として、つまり板ばね42として形成されている。各板ばね42の平面材料片40は、垂直に形成され、操作バー18の2つの側端部22の間の仮想接続線44と平行に延伸している。各板ばね42の中央で、その主側面46,48の一方において、板ばね42が、筐体12内の固定ブロック等の固定部材50に堅固に固定されている。この固定部材50の両側に、板ばね42が延伸しており、2本の弾性的にねじれ可能な支柱38を構成している。よって、2本の支柱38が一体に形成されており、板ばね42が、その中央部において、2本の支柱38の固定端を構成する一方、板ばねの反対方向に延伸する部位が、その両端において、支持部材24の後端28との各支柱の接続端54を構成している。接続端54において、支柱38が、支持部材24に堅固に接続されている。支柱38の材料の選択、その幾何学的形状、及び/又は板ばね42の「露出」領域であって、ねじれ可能な領域43の長さにより、支柱38のねじれやすさ及び弾性の度合いが決まる。
【0035】
前部取り付け部材32は、操作バー28又は支持部材24と筐体との間に延伸している。後述するように、(各)後部取り付け部材30に加えて、板ばね55としてばね舌片状に形成された弾性的な前部取り付け部材32が、作動された操作バー18の戻る動作をサポートする。
【0036】
図2からわかるように、板ばね42が、支柱38の接続端54と固定端52との間の領域43において露出しているため、操作バー18が押される又は引かれる(又は持ち上げられる)ことにより作動されると、板ばね42が、この露出領域においてねじれる。この動作中、前部取り付け部材32の板ばね55も変形する。そして、作動力が解除されると、後部取り付け部材30の板ばね42及び前部取り付け部材32の板ばね55により、操作バー18が自動的に静止位置に戻る。
【0037】
図3にも、操作バー18を有する支持部材24、並びに(筐体の固定部材50を有さない)支持部材24の後端及びその側縁における各種板ばね42,55の配置の斜視図を示す。
【0038】
図4は、
図2及び
図3に係る実施の形態の取り付け装置34の変形例を示している。本実施の形態において、操作ユニットの構成要素が、
図2及び
図3に係る操作ユニットの構成要素と構造的又は機能的に同じである場合は、
図4において
図2及び
図3と同一の符号を付している。
【0039】
前部取り付け部材32の板ばね55は、
図2及び
図3に係る実施の形態における向きに対して、90°回転している。支持部材24の後端28に、それぞれ
図2及び
図3と同様に構成されている二対の取り付け部材30が設けられている。
【0040】
図2から
図4には、さらに、それぞれ操作バー18への接触及び操作バー18の有効な作動を検出するために用いられるセンサシステム及び電子機器が示されている。
図2及び
図4によれば、操作バー18は、操作バー18の長さ又は幅にわたって分布して配置されている複数の力センサ又は位置センサ56(本実施の形態では、4つのセンサ)を有する。これらのセンサは、作動時の操作バー18の領域の変形量又は移動量を検出することで、操作バー18の有効な作動を検出する一方、これらのセンサ56の測定値像を用いて、操作バー18がどの位置で作動されたのかを検出することもできる。複数のセンサ56を介した位置検出に代えて、操作バー18が、
図2及び
図4に破線で示すタッチ式フィルム58を有していてもよい。このような位置選択においては、いずれの場合も、操作バー18の有効な作動、すなわち操作機能の起動に必要な操作バー18の最小移動量を検出するために、少なくとも1つの力センサ又は位置センサが必要となる。
【0041】
どちらの場合も、センサシステムの信号が、例えば、対応する周辺機器及び部品(I/Oインターフェース、CPU及びメモリ等)を有するマイクロコントローラを含む評価制御ユニット60に供給される。操作バー18の有効な作動が検出されると、評価制御ユニット60は、例えば、アクチュエータ64に、操作バー18又は支持部材24をパルス的かつ機械的に励起するための制御信号を出力し、このように操作バー18の有効な作動を確認するための触覚フィードバックを出力することができる。このような触覚フィードバックシステムは、先行技術において基本的に公知である。本実施の形態では、このフィードバックシステムはアクティブ式である。しかし、例えば、ボタン等の機械的スイッチを有し、その位置-力特性を触覚フィードバックの生成に利用するパッシブ式のフィードバックシステムとしてもよい。
【0042】
図5から
図11に、後部取り付け部材30のその他の態様を模式的に示す。この後部取り付け部材30は、通常、プラスチックを含む支持部材24と一体に形成されている。
図5から
図11において、支持部材24及び後部取り付け部材30の構成要素が、
図2から
図4の構成要素と構造的又は機能的に同じである場合は、
図5から
図11において
図2から
図4と同一の符号を付している。
【0043】
図5に、2つの後部取り付け部材30の(例えば矩形の断面を有し、例えばプラスチック製の)支柱38が、中央固定部材66から正反対の方向に、2本の支持アーム68の内側の接続端54まで延伸している様子を示す。中央固定部材66は、筐体(図示せず)内で堅固に固定されている。ここで、操作バー18に力が加わると、支柱38が、その固定端52と接続端54との間で弾性的にねじれ、さらに前部取り付け部材32、すなわち、そのばね舌片状の板ばね55により元に戻る。
【0044】
図6に、支持部材24の中央後部延長部69から、2つの後部取り付け部材30の(例えば、同様にプラスチック製かつ断面が矩形の)支柱38が、正反対の方向に側方に突出している実施の形態を示す。外側の固定端52において、2本の支柱38が、筐体内に固着されている固定ブロック70に接続されている。操作バー18がずらされると、支柱38がねじれ、操作バー18への加力が終了すると、再び元に戻る。
【0045】
図7は、
図5と同様の後部取り付け部材30の構成の変形例を示している。中央固定部材66は、
図5に係る実施の形態に対して、90°回転しており、例えば、後部筐体壁(図示せず)に固定されている。
【0046】
図8は、支持部材24の後端の構成を示しており、支持部材24に、その一部が片側で開放された凹部として構成されている開口72が設けられている。これにより、後部取り付け部材30を構成するねじれ可能な支柱38が形成される。筐体内において、この構造物が、中央固定ブロック74に固定されている。操作バー18に力が加わると、支持部材24の後部領域が弾性的に変形する。
【0047】
図9は、
図6と同様の態様を示しているため、構造的又は機能的に同じ部分には、同一の符号を付している。本実施の形態においても、支持部材の後端から、リブ76により補強されている2本の支持アーム68が延伸している。ねじれ可能な支柱38が、支持アーム68の端部から固定ブロック70まで延伸しており、例えば
図6についての説明と同様に挙動する。
【0048】
図10及び
図11に、複数の開口72が設けられた支持部材24の後端の態様を示す。これにより、操作バー18が押される又は持ち上げられると弾性的に変形するねじれ可能な支柱38が形成される。78は、
図10及び
図11において、筐体内で支持部材24の後部構造が固定されている固定点又は固定位置を示す。例えば、
図11の実施の形態において、開口72により弾性的に形成することに加えて、支持部材24自体を相対的に狭くすることにより、弾性的な取り付けがサポートされる。
【符号の説明】
【0049】
10 操作ユニット
12 筐体
14 前面
16 開口部
18 操作バー
20 操作パネル
22 操作バーの側端部
24 操作バー用の支持部材
26 筐体の開口部
28 支持部材の後端
30 後部取り付け部材
32 前部取り付け部材
34 取り付け装置
36 支持部材の側縁
38 後部取り付け部材の支柱
40 平面材料片
42 後部取り付け部材の板ばね
43 板ばねのねじれ可能な領域
44 仮想接続線
46 後部取り付け部材の板ばねの主側面
48 後部取り付け部材の板ばねの主側面
50 後部取り付け部材の板ばね用の固定部材
52 支柱の固定端
54 支柱の接続端
55 前部取り付け部材の板ばね(ばね舌片)
56 位置センサ又は力センサ
58 タッチ式フィルム
60 評価制御ユニット
64 アクチュエータ
66 中央固定部材
68 支持部材の支持アーム
69 支持部材の中央後部延長部
70 固定ブロック
72 開口
74 固定ブロック
76 補強リブ
78 筐体における支持部材の固定点