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特開2024-1679液晶素子、照明装置、車両用灯具システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001679
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】液晶素子、照明装置、車両用灯具システム
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20231227BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20231227BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20231227BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1368
G02F1/1343
B60Q1/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100502
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】都甲 康夫
(72)【発明者】
【氏名】太田 めぐみ
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H192
3K339
【Fターム(参考)】
2H088EA33
2H088HA08
2H088HA28
2H088JA04
2H088KA27
2H092GA13
2H092GA15
2H092GA21
2H092GA26
2H092HA04
2H092JA24
2H092JB04
2H092JB05
2H092JB06
2H092PA13
2H092QA06
2H092RA10
2H192AA24
2H192BA13
2H192BC31
2H192BC42
2H192CB05
2H192CB06
2H192CB36
2H192CC42
2H192CC73
2H192CC75
2H192GD47
2H192GD61
2H192JA13
2H192JB12
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA11
3K339BA18
3K339CA01
3K339GB01
3K339HA01
3K339KA06
3K339LA06
3K339LA33
3K339LA34
3K339MA01
3K339MC14
3K339MC27
3K339MC36
3K339MC77
3K339MC90
(57)【要約】      (修正有)
【課題】液晶素子における暗線等の発生や耐光性の低下を防ぐこと
【解決手段】第1基板、第2基板及び液晶層と、透明導電膜を用いて前記第1基板側に設けられており平面視形状の異なるものを含む複数の画素電極と、前記第1基板側に設けられており各前記画素電極に対して1つずつ対応付けられている複数の薄膜スイッチング素子と、透明導電膜を用いて前記第1基板側に設けられており各前記画素電極と各前記薄膜スイッチング素子との間を接続する複数の第1配線と、前記第2基板側に設けられており各前記画素電極と平面視において重なるように配置されている対向電極と、を含み、各前記画素電極は、画像形成用光が照射される第1領域内に全て配置されており、各前記薄膜スイッチング素子は、平面視において前記第1領域と隣接する領域であって前記画像形成用光が照射されない第2領域に配置されている、液晶素子である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの一面を対向させて配置される第1基板及び第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板間に配置される液晶層と、
透明導電膜を用いて前記第1基板側に設けられており、平面視形状の異なるものを含む複数の画素電極と、
前記第1基板側に設けられており、各前記画素電極に対して1つずつ対応付けられている複数の薄膜スイッチング素子と、
透明導電膜を用いて前記第1基板側に設けられており、各前記画素電極と各前記薄膜スイッチング素子との間を接続する複数の第1配線と、
前記第2基板側に設けられており、各前記画素電極と平面視において重なるように配置されている対向電極と、
を含み、
各前記画素電極は、画像形成用光が照射される第1領域内に全て配置されており、
各前記薄膜スイッチング素子は、平面視において前記第1領域と隣接する領域であって前記画像形成用光が照射されない第2領域に配置されている、
液晶素子。
【請求項2】
互いの一面を対向させて配置される第1基板及び第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板間に配置される液晶層と、
透明導電膜を用いて前記第1基板側に設けられており、平面視形状の異なるものを含む複数の画素電極と、
前記第1基板側に設けられており、各前記画素電極に対して1つずつ対応付けられている複数の薄膜スイッチング素子と、
透明導電膜を用いて前記第1基板側に設けられており、各前記画素電極と各前記薄膜スイッチング素子との間を接続する複数の第1配線と、
前記第2基板側に設けられており、各前記画素電極と平面視において重なるように配置されている対向電極と、
を含み、
各前記薄膜スイッチング素子は、複数の第1薄膜スイッチング素子と複数の第2薄膜スイッチング素子を有し、少なくとも各前記第1薄膜スイッチング素子は、有機半導体を用いて構成されており、
各前記画素電極及び各前記第1スイッチング素子は、画像形成用光が照射される第1領域内に全て配置されており、
各前記第2薄膜スイッチング素子は、平面視において前記第1領域と隣接する領域であって前記画像形成用光が照射されない第2領域に配置されている、
液晶素子。
【請求項3】
各前記第1薄膜スイッチング素子は、各前記画素電極のうち少なくとも1つに設けられた切り欠き部位に配置され、各前記画素電極の何れとも平面視において重ならないように配置されている、
請求項2に記載の液晶素子。
【請求項4】
各前記第1薄膜スイッチング素子は、各前記画素電極のうち少なくとも1つと平面視において重なる位置に設けられている、
請求項2に記載の液晶素子。
【請求項5】
各前記薄膜スイッチング素子の制御電極として機能する部位を含む複数の第2配線と、
各前記薄膜スイッチング素子の入出力電極として機能する部位を含む複数の第3配線と、
を更に含み、
各前記第1配線及び各前記第2配線は、前記第1基板側において相対的に前記第1基板の一面に近い第1層に配置されており、
各前記第3配線及び各前記画素電極は、前記第1基板側において相対的に前記第1基板の一面から遠い第2層に配置されており、
前記第1層と前記第2層の間には絶縁層が設けられている、
請求項1又は2に記載の液晶素子。
【請求項6】
各前記薄膜スイッチング素子の制御電極として機能する部位を含む複数の第2配線と、
各前記薄膜スイッチング素子の入出力端電極として機能する部位を含む複数の第3配線と、
を更に含み、
各前記第1配線及び各前記第2配線は、前記第1基板側において相対的に前記第1基板の一面に近い第1層に配置されており、
各前記第3配線は、前記第1基板側において前記第1層よりも相対的に前記第1基板の一面から遠い第2層に配置されており、
各前記画素電極は、前記第1基板側において前記第2層よりも相対的に前記第1基板の一面から遠い第3層に配置されており、
前記第1層と前記第2層の間及び前記第1層と前記第2層の間の各々には絶縁層が設けられている、
請求項2に記載の液晶素子。
【請求項7】
前記第1基板と前記第2基板の間において前記液晶層を囲んで設けられる封止材を更に含み、
前記封止材は、前記第1領域及び前記第2領域を包含するように配置されている、
請求項1又は2に記載の液晶素子。
【請求項8】
前記第1領域は、相対的に高照度の前記画像形成用光が照射される高照度領域と相対的に低強度の前記画像形成用光が照射される低照度領域を有しており、
各前記第1スイッチング素子は、前記低照度領域に全て配置されている、
請求項2に記載の液晶素子。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の液晶素子と、
光源と、
前記光源から放出される光を集光して前記画像形成用光とし、当該前記画像形成用光を前記液晶素子へ入射させる集光部と、
前記液晶素子を挟んで対向配置される一対の偏光素子と、
前記液晶素子を透過した光を投影するレンズと、
を含む、照明装置。
【請求項10】
請求項9に記載の照明装置を用いて構成される車両用灯具と、
車両周辺に存在する対象物を検出するセンサと、
前記センサによって検出される前記対象物の状況に応じて前記液晶素子の動作を制御するコントローラと、
を含む、車両用灯具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶素子、照明装置、車両用灯具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006-58730号公報(特許文献1)には、直交するゲートラインとデータラインとの交差部のそれぞれに有機TFTを含んだ画素が配置されたアクティブマトリックス駆動の液晶表示装置であって、ソース電極、ドレイン電極及び補助容量電極などを透明導電材料で形成した液晶表示装置が記載されている。
【0003】
しかし、この液晶表示装置では補助容量電極の透明化によりある程度の開口率の向上が図られるが、ソース電極やドレイン電極などの部分については透明化したとしても画像表示には寄与し得ない部分であるため、結局これらの部分は常に暗状態となり得る。このような暗状態を生じる部分は、特に強い光を用いて画像形成を行う用途においては暗線や暗点を顕著に生じさせるために好ましくない。また、各有機TFTが各画素電極に隣り合って配置され、これら有機TFTにも光が照射されるため、特に強い光を用いて画像形成を行う用途においては耐光性が低下する可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-58730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示に係る具体的態様は、強い光を用いて画像形成を行う用途の液晶素子における暗線等の発生や耐光性の低下を防ぐことが可能な技術を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本開示に係る一態様の液晶素子は、(a)互いの一面を対向させて配置される第1基板及び第2基板と、(b)前記第1基板と前記第2基板間に配置される液晶層と、(c)透明導電膜を用いて前記第1基板側に設けられており、平面視形状の異なるものを含む複数の画素電極と、(d)前記第1基板側に設けられており、各前記画素電極に対して1つずつ対応付けられている複数の薄膜スイッチング素子と、(e)透明導電膜を用いて前記第1基板側に設けられており、各前記画素電極と各前記薄膜スイッチング素子との間を接続する複数の第1配線と、(f)前記第2基板側に設けられており、各前記画素電極と平面視において重なるように配置されている対向電極と、を含み、(g)各前記画素電極は、画像形成用光が照射される第1領域内に全て配置されており、(h)各前記薄膜スイッチング素子は、平面視において前記第1領域と隣接する領域であって前記画像形成用光が照射されない第2領域に配置されている、液晶素子である。
[2]本開示に係る一態様の液晶素子は、(a)互いの一面を対向させて配置される第1基板及び第2基板と、(b)前記第1基板と前記第2基板間に配置される液晶層と、(c)透明導電膜を用いて前記第1基板側に設けられており、平面視形状の異なるものを含む複数の画素電極と、(d)前記第1基板側に設けられており、各前記画素電極に対して1つずつ対応付けられている複数の薄膜スイッチング素子と、(e)透明導電膜を用いて前記第1基板側に設けられており、各前記画素電極と各前記薄膜スイッチング素子との間を接続する複数の第1配線と、(f)前記第2基板側に設けられており、各前記画素電極と平面視において重なるように配置されている対向電極と、を含み、(g)各前記薄膜スイッチング素子は、複数の第1薄膜スイッチング素子と複数の第2薄膜スイッチング素子を有し、少なくとも各前記第1薄膜スイッチング素子は、有機半導体を用いて構成されており、(h)各前記画素電極及び各前記第1スイッチング素子は、画像形成用光が照射される第1領域内に全て配置されており、(i)各前記第2薄膜スイッチング素子は、平面視において前記第1領域と隣接する領域であって前記画像形成用光が照射されない第2領域に配置されている、液晶素子である。
[3]本開示に係る一態様の照明装置は、(a)前記1又は2に記載の液晶素子と、(b)光源と、(c)前記光源から放出される光を集光して前記画像形成用光とし、当該前記画像形成用光を前記液晶素子へ入射させる集光部と、(d)前記液晶素子を挟んで対向配置される一対の偏光素子と、(e)前記液晶素子を透過した光を投影するレンズと、を含む、照明装置である。
[4]本開示に係る一態様の車両用灯具システムは、(a)前記3の照明装置を用いて構成される車両用灯具と、(b)車両周辺に存在する対象物を検出するセンサと、(c)前記センサによって検出される前記対象物の状況に応じて前記液晶素子の動作を制御するコントローラと、を含む、車両用灯具システムである。
【0007】
上記構成によれば、強い光を用いて画像形成を行う用途の液晶素子ないしこれを用いる照明装置等における暗線等の発生や耐光性の低下を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(A)~図1(C)は、第1実施形態の液晶素子の構成を示す部分断面図である。
図2図2は、第1実施形態の液晶素子の電極及び配線の構成を示す平面図である。
図3図3は、第1実施形態の液晶素子の配線の構成を示す平面図である。
図4図4は、液晶素子に対して光が照射される領域及び封止材が設けられる位置を説明するための平面図である。
図5図5は、第2実施形態の液晶素子の電極及び配線の構成を示す平面図である。
図6図6(A)~図6(F)は、無機半導体を用いた薄膜トランジスタと有機半導体を用いた薄膜トランジスタとを混在させて形成するための製造方法を説明するための図である。
図7図7は、第3実施形態の液晶素子の電極及び配線の構成を示す平面図である。
図8図8(A)~図8(B)は、第3実施形態の液晶素子の第1基板の構成を示す部分断面図である。
図9図9(A)及び図9(B)は、上記した実施形態の液晶素子を用いて構成される一実施形態の車両用灯具システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1(A)~図1(C)は、第1実施形態の液晶素子の構成を示す部分断面図である。図2は、第1実施形態の液晶素子の電極及び配線の構成を示す平面図である。図3は、第1実施形態の液晶素子の配線の構成を示す平面図である。なお、図1(A)は、図2に示すa-a線断面に対応し、図1(B)は、図2に示すb-b線断面に対応し、図1(C)は、図2に示すc-c線断面に対応している。
【0010】
図1(A)~図1(C)に示す第1実施形態の液晶素子100は、主要な構成要素として、液晶層5を挟んで対向配置される第1基板1及び第2基板2と、第1基板1の液晶層5側の一面に設けられた絶縁層(絶縁膜)3と、第2基板2の液晶層5側の一面に設けられた対向電極4と、第1基板1と第2基板2の各一面の間に配置された液晶層5を備える。
【0011】
第1基板1および第2基板2は、それぞれ、例えば平面視において矩形状の透光性基板であり、互いに対向して配置されている。第1基板1と第2基板2の間には、例えば樹脂膜などからなる球状スペーサー(図示省略)が分散配置されており、それら球状スペーサーによって基板間隙が所望の大きさ(例えば数μm程度)に保たれている。なお、球状スペーサーに代えて、樹脂等からなる柱状体を第1基板1側若しくは第2基板2側に設け、それらをスペーサーとして用いてもよい。
【0012】
絶縁層3は、第1基板1の一面側において、当該一面に設けられた複数の下層配線13a~13c、下層配線14a~14i及び複数の画素間電極15a~15hを覆って配置されている。この絶縁膜3は、各下層配線13a等と画素電極10a~10j及び配線11a~11pとの間の電気的絶縁を図るための膜である。絶縁膜3としては、例えばシロキサン系絶縁膜、アクリル系などの有機絶縁膜、SiNx膜、SiOx膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0013】
対向電極4は、第2基板2の一面側において、少なくとも各画素電極10aと平面視において重なる範囲に設けられている。なお、対向電極4は複数に分割されていてもよい。対向電極4は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。本実施形態では、各画素電極10a等と対向電極4とが向かい合う部分の各々において画素部が構成される。
【0014】
液晶層5は、第1基板1と第2基板2の間に設けられている。液晶層5は、例えば、流動性を有するネマティック液晶材料を用いて構成される。液晶層5は、例えば、負の誘電率異方性を有する液晶材料を用いて構成される。液晶層5の層厚は、例えば4μm程度とすることができる。この液晶層5は、封止材6(図4参照)によって囲まれ、外部から保護されている。なお、図示を省略するが第1基板1と第2基板2には、適宜配向膜が設けられており、これらの配向膜によって液晶層5の初期配向状態が規定されている。
【0015】
なお、第1実施形態においては、複数の下層配線13a~13c、下層配線14a~14i及び複数の画素間電極15a~15hを含んで相対的に第1基板1の一面に近い側に設けられた層が「第1層」に対応し、画素電極10a~10j及び配線11a~11pを含んで相対的に第1基板1の一面から遠い側に設けられた層が「第2層」に対応する。上記した絶縁層3はこれら第1層と第2層の間に設けられている。また、下層配線14a~14iの各々が「第1配線」に対応し、下層配線13a~13cの各々が「第2配線」に対応し、配線11a~11pの各々が「第3配線」に対応する。
【0016】
画素電極10a~10jは、第1基板1の一面側において絶縁層3の一面(液晶層5に近い一面)に設けられている。各画素電極10a等は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。図2に示すように、各画素電極10a~10jは、互いに異なる平面視形状のものを含んでおり、互いに物理的に分離して設けられている。
【0017】
画素電極10aは、平面視において図中X方向(左右方向)に長い矩形状である。各画素電極10b、10cは、それぞれ平面視においてX方向に長い矩形状であり、X方向に隣り合って配置されている。各画素電極10b、10cは、Y方向長さが画素電極10aのY方向長さとほぼ同じであり、平面視において略同形状である。
【0018】
各画素電極10d、10eは、X方向長さが画素電極10aに比べて約1/2の長さであり、平面視において略同形状である。各画素電極10d、10eは、それぞれ平面視においてY方向に長い矩形状であり、各画素電極10b、10cよりも図中上側に配置されており、かつ両者間に他の画素電極10f、10g、10h、10i、10jを挟んで配置されている。
【0019】
各画素電極10f、10gは、それぞれ平面視においてX方向に長い直角三角形状であり、各画素電極10b、10cよりも図中上側に配置されている。各画素電極10f、10gは、X方向長さ及びY方向長さが互いに等しく、平面視において略同形状であり、図中において左右対称な形状である。
【0020】
各画素電極10h、10iは、それぞれ平面視においてX方向に長い五角形状であり、各画素電極10f、10gよりも図中上側に配置されている。各画素電極10h、10iは、X方向長さ及びY方向長さが互いに等しく、平面視において略同形状であり、図中において左右対称な形状である。
【0021】
画素電極10jは、平面視において図中下向きの二等辺三角形状であり、各画素電極10f、10g、10h、10iに囲まれて配置されている。
【0022】
配線11a~11pは、第1基板1の一面側において絶縁層3の一面(液晶層5に近い一面)に設けられている。各配線11a等は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。各配線11a等は、各画素電極10a等と同一層に設けられる。
【0023】
配線11aは、Y方向に延びる平面視形状を有しており、半導体層12a、12b、12cのそれぞれと重なる部位を有する。同様に、配線11eは、Y方向に延びる平面視形状を有しており、半導体層12d、12e、12fのそれぞれと重なる部位を有する。同様に、配線11iは、Y方向に延びる平面視形状を有しており、半導体層12g、12h、12iのそれぞれと重なる部位を有する。同様に、配線11nは、Y方向に延びる平面視形状を有しており、半導体層12jと重なる部位を有する。これらの部位は、薄膜トランジスタにおけるソース/ドレイン電極(入出力電極)として機能する部位である。以下、これらの部位を単に「ソース/ドレイン電極」と称する場合もある。
【0024】
配線11bは、画素電極10aと接続されており、半導体層12aと重なる部位を有する。この部位は、薄膜トランジスタにおけるソース/ドレイン電極として機能する部位である。
【0025】
半導体層12aは、配線11aと配線11bの各々のソース/ドレイン電極と重なるようにして設けられている。これらソース/ドレイン電極及び半導体層12aと、後述する下層配線13aの半導体層12aと重なる部位であるゲート電極と、各配線11a、11bと下層配線13aの間に介在する絶縁層3と、を含んで1つの薄膜トランジスタ7が構成されている。この薄膜トランジスタ7の断面構造は図1(A)に示したものと同様である(以下に説明する他の薄膜トランジスタ7においても同様)。
【0026】
半導体層12aは、他の半導体層12b等よりもチャネル幅(チャネル領域を形成する領域の幅であり、図中Y方向長さ)が相対的に大きく形成されている。これは、半導体層12aを含んで構成される薄膜トランジスタ7と接続されている画素電極10aの面積が他の画素電極10b等よりも大きいので、より高い駆動能力を確保する必要があるからである。
【0027】
半導体層12a、及び他の半導体層12b~12jは、例えば有機半導体を用いて構成することが好ましい。有機半導体は印刷法などの簡便な方法によってパターン形成可能であり、高価なマスクを用いたフォトリソグラフィ工程や真空プロセスが不要であるため、製造コストを低減することができる。
【0028】
配線11cは、後述する下層配線14aを介して画素電極10bと接続されており、半導体層12bと重なる部位(ソース/ドレイン電極)を有する。半導体層12bは、配線11aと配線11cの各々のソース/ドレイン電極と重なるようにして設けられている。これらソース/ドレイン電極及び半導体層12bと、後述する下層配線13bの半導体層12bと重なる部位であるゲート電極と、各配線11a、11cと下層配線13bの間に介在する絶縁層3と、を含んで1つの薄膜トランジスタ7が構成されている。
【0029】
配線11dは、後述する下層配線14bを介して画素電極10dと接続されており、半導体層12cと重なる部位(ソース/ドレイン電極)を有する。半導体層12cは、配線11aと配線11dの各々のソース/ドレイン電極と重なるようにして設けられている。これらソース/ドレイン電極及び半導体層12cと、後述する下層配線13cの半導体層12cと重なる部位であるゲート電極と、各配線11a、11dと下層配線13cの間に介在する絶縁層3と、を含んで1つの薄膜トランジスタ7が構成されている。
【0030】
配線11fは、後述する下層配線14cを介して画素電極10hと接続されており、半導体層12dと重なる部位(ソース/ドレイン電極)を有する。半導体層12dは、配線11eと配線11fの各々のソース/ドレイン電極と重なるようにして設けられている。これらソース/ドレイン電極及び半導体層12dと、下層配線13aの半導体層12dと重なる部位であるゲート電極と、各配線11e、11fと下層配線13aの間に介在する絶縁層3と、を含んで1つの薄膜トランジスタ7が構成されている。
【0031】
配線11gは、後述する下層配線14dを介して画素電極10fと接続されており、半導体層12eと重なる部位(ソース/ドレイン電極)を有する。半導体層12eは、配線11eと配線11gの各々のソース/ドレイン電極と重なるようにして設けられている。これらソース/ドレイン電極及び半導体層12eと、下層配線13bの半導体層12eと重なる部位であるゲート電極と、各配線11e、11gと下層配線13bの間に介在する絶縁層3と、を含んで1つの薄膜トランジスタ7が構成されている。
【0032】
配線11hは、後述する下層配線14eを介して画素電極10jと接続されており、半導体層12fと重なる部位(ソース/ドレイン電極)を有する。半導体層12fは、配線11eと配線11hの各々のソース/ドレイン電極と重なるようにして設けられている。これらソース/ドレイン電極及び半導体層12fと、下層配線13cの半導体層12fと重なる部位であるゲート電極と、各配線11e、11hと下層配線13cの間に介在する絶縁層3と、を含んで1つの薄膜トランジスタ7が構成されている。
【0033】
配線11jは、後述する下層配線14fを介して画素電極10cと接続されており、半導体層12gと重なる部位(ソース/ドレイン電極)を有する。半導体層12gは、配線11iと配線11jの各々のソース/ドレイン電極と重なるようにして設けられている。これらソース/ドレイン電極及び半導体層12gと、下層配線13aの半導体層12gと重なる部位であるゲート電極と、各配線11i、11jと下層配線13aの間に介在する絶縁層3と、を含んで1つの薄膜トランジスタ7が構成されている。
【0034】
配線11kは、後述する下層配線14gを介して画素電極10gと接続されており、半導体層12hと重なる部位(ソース/ドレイン電極)を有する。半導体層12hは、配線11iと配線11kの各々のソース/ドレイン電極と重なるようにして設けられている。これらソース/ドレイン電極及び半導体層12hと、下層配線13bの半導体層12hと重なる部位であるゲート電極と、各配線11i、11kと下層配線13bの間に介在する絶縁層3と、を含んで1つの薄膜トランジスタ7が構成されている。
【0035】
配線11mは、後述する下層配線14hを介して画素電極10iと接続されており、半導体層12iと重なる部位(ソース/ドレイン電極)を有する。半導体層12iは、配線11iと配線11mの各々のソース/ドレイン電極と重なるようにして設けられている。これらソース/ドレイン電極及び半導体層12iと、下層配線13cの半導体層12iと重なる部位であるゲート電極と、各配線11i、11mと下層配線13cの間に介在する絶縁層3と、を含んで1つの薄膜トランジスタ7が構成されている。
【0036】
配線11pは、後述する下層配線14iを介して画素電極10eと接続されており、半導体層12jと重なる部位(ソース/ドレイン電極)を有する。半導体層12jは、配線11nと配線11pの各々のソース/ドレイン電極と重なるようにして設けられている。これらソース/ドレイン電極及び半導体層12jと、下層配線13aの半導体層12jと重なる部位であるゲート電極と、各配線11n、11pと下層配線13aの間に介在する絶縁層3と、を含んで1つの薄膜トランジスタ7が構成されている。
【0037】
下層配線13aは、X方向に延びる平面視形状を有しており、かつそれぞれY方向に延びる4つの部位を有する。これら4つの部位は、それぞれ半導体層12a、12d、12g、12jと平面視で重なるように配置されており、各半導体層12a等を含んで構成される各薄膜トランジスタ7におけるゲート電極(制御電極)として機能する。
【0038】
下層配線13bは、X方向に延びる平面視形状を有しており、かつそれぞれY方向に延びる3つの部位を有する。これら3つの部位は、それぞれ半導体層12b、12e、12hと平面視で重なるように配置されており、各半導体層12b等を含んで構成される各薄膜トランジスタ7におけるゲート電極として機能する。
【0039】
下層配線13cは、X方向に延びる平面視形状を有しており、かつそれぞれY方向に延びる3つの部位を有する。これら3つの部位は、それぞれ半導体層12c、12f、12iと平面視で重なるように配置されており、各半導体層12c等を含んで構成される各薄膜トランジスタ7におけるゲート電極として機能する。
【0040】
下層配線14aは、図中Y方向に延びる平面視形状を有しており、配線11cと画素電極10bとを電気的に接続する。下層配線14aは、絶縁層3に設けられた各コンタクトホール(図中、丸で模式的に示す。以下において同様。)を介して配線11c及び画素電極10bのそれぞれと物理的及び電気的に接続されている。また、本実施形態の下層配線14aは、画素電極10bと画素電極10dとの隙間に重なるように配置され、画素間電極として機能する部位114aを有する。ここでいう「画素間電極」とは、画素電極10bと同電位となって液晶層5への電圧印加を可能とし、実質的に画素部を拡張する機能を奏する電極である(以下においても同様)。
【0041】
下層配線14bは、図中Y方向に延びる平面視形状を有しており、配線11dと画素電極10dとを電気的に接続する。下層配線14bは、絶縁層3に設けられた各コンタクトホールを介して配線11d及び画素電極10dのそれぞれと物理的及び電気的に接続されている。また、本実施形態の下層配線14bは、画素電極10dと画素電極10hとの隙間に重なるように配置されて画素間電極として機能する部位114bを有する。
【0042】
下層配線14cは、図中Y方向に延びる平面視形状を有しており、配線11fと画素電極10hとを電気的に接続する。下層配線14cは、絶縁層3に設けられた各コンタクトホールを介して配線11f及び画素電極10hのそれぞれと物理的及び電気的に接続されている。また、本実施形態の下層配線14cは、画素電極10hと画素電極10f、10i、10jとの隙間に重なるように配置されて画素間電極として機能する部位114cを有する。
【0043】
下層配線14dは、図中Y方向に延びる平面視形状を有しており、配線11gと画素電極10fとを電気的に接続する。下層配線14dは、絶縁層3に設けられた各コンタクトホールを介して配線11g及び画素電極10fのそれぞれと物理的及び電気的に接続されている。また、本実施形態の下層配線14dは、画素電極10fと画素電極10jとの隙間に重なるように配置されて画素間電極として機能する部位114dを有する。
【0044】
下層配線14eは、図中Y方向に延びる平面視形状を有しており、配線11hと画素電極10jとを電気的に接続する。下層配線14eは、絶縁層3に設けられた各コンタクトホールを介して配線11h及び画素電極10jのそれぞれと物理的及び電気的に接続されている。また、本実施形態の下層配線14eは、画素電極10jと画素電極10f、10gとの隙間に重なるように配置されて画素間電極として機能する部位114eを有する。
【0045】
下層配線14fは、図中Y方向に延びる平面視形状を有しており、配線11jと画素電極10cとを電気的に接続する。下層配線14fは、絶縁層3に設けられた各コンタクトホールを介して配線11j及び画素電極10cのそれぞれと物理的及び電気的に接続されている。
【0046】
下層配線14gは、図中Y方向に延びる平面視形状を有しており、配線11kと画素電極10gとを電気的に接続する。下層配線14gは、絶縁層3に設けられた各コンタクトホールを介して配線11k及び画素電極10gのそれぞれと物理的及び電気的に接続されている。また、本実施形態の下層配線14gは、画素電極10gと画素電極10cとの隙間に重なるように配置されて画素間電極として機能する部位114gを有する。
【0047】
下層配線14hは、図中Y方向に延びる平面視形状を有しており、配線11mと画素電極10iとを電気的に接続する。下層配線14gは、絶縁層3に設けられた各コンタクトホールを介して配線11m及び画素電極10iのそれぞれと物理的及び電気的に接続されている。また、本実施形態の下層配線14hは、画素電極10iと画素電極10g、10jとの隙間に重なるように配置されて画素間電極として機能する部位114hを有する。
【0048】
下層配線14iは、図中Y方向に延びる平面視形状を有しており、配線11pと画素電極10eとを電気的に接続する。下層配線14gは、絶縁層3に設けられた各コンタクトホールを介して配線11p及び画素電極10eのそれぞれと物理的及び電気的に接続されている。また、本実施形態の下層配線14iは、画素電極10cと画素電極10eとの隙間に重なるように配置されて画素間電極として機能する部位114iを有する。
【0049】
画素間電極15aは、絶縁層3のコンタクトホールを介して画素電極10eと物理的及び電気的に接続されており、画素電極10eと画素電極10g、10iとの間の隙間に重なるように設けられている。この画素間電極15は、画素電極10eへの電圧印加に伴って画素電極10eと同電位になることで、画素部を実質的に拡張する機能を奏するものである(以下に説明する他の画素間電極においても同様)。
【0050】
画素間電極15bは、絶縁層3のコンタクトホールを介して画素電極10aと物理的及び電気的に接続されており、画素電極10aと画素電極10cとの間の隙間に重なるように設けられている。
【0051】
画素間電極15cは、絶縁層3のコンタクトホールを介して画素電極10cと物理的及び電気的に接続されており、画素電極10cと画素電極10e、10gとの間の隙間に重なるように設けられている。
【0052】
画素間電極15dは、絶縁層3のコンタクトホールを介して画素電極10bと物理的及び電気的に接続されており、画素電極10bと画素電極10f、10jとの間の隙間に重なるように設けられている。
【0053】
画素間電極15eは、絶縁層3のコンタクトホールを介して画素電極10aと物理的及び電気的に接続されており、画素電極10aと画素電極10b、10cとの間の隙間に重なるように設けられている。
【0054】
画素間電極15fは、絶縁層3のコンタクトホールを介して画素電極10bと物理的及び電気的に接続されており、画素電極10bと画素電極10fとの間の隙間に重なるように設けられている。
【0055】
画素間電極15gは、絶縁層3のコンタクトホールを介して画素電極10aと物理的及び電気的に接続されており、画素電極10aと画素電極10bとの間の隙間に重なるように設けられている。
【0056】
画素間電極15hは、絶縁層3のコンタクトホールを介して画素電極10aと物理的及び電気的に接続されており、画素電極10aと画素電極10bとの間の隙間に重なるように設けられている。
【0057】
画素間電極15b、15cと画素間電極15d、15eとの間には上記した下層配線14f、14g、14hが配置されている。画素間電極15d、15eと画素間電極15f、15gとの間には上記した下層配線14d、14eが配置されている。画素間電極15f、15gと画素間電極15hとの間には上記した下層配線14a、14b、14cが配置されている。
【0058】
第1実施形態の液晶素子100では、各下層配線13a~13cを介して各薄膜トランジスタ7へ電圧(走査信号)を印加し、かつ各配線11a、11e、11i、11nを介して電圧(データ信号)を与えることにより、各画素電極10a等に対してそれぞれ個別に駆動電圧を供給することができる。それにより、各画素電極10a等のそれぞれに応じて画定される画素部における光の透過状態を個別に制御して透過光による像を形成することができる。
【0059】
第1実施形態の液晶素子100では、下層配線13a等を用いることで各画素電極10a等の相互間には配線を設ける必要がなくなるので、各画素電極10aの平面視における相互間の隙間をより狭くすることができる。それにより、光利用効率も高まり、かつ画素間が暗くなるダークグリッドの問題を抑制できる。これは、例えば液晶素子100を車両用灯具に組み込んで用いる場合など強い光が液晶素子100に入射する状況において特に有益である。また、画素間電極を設けていることで上記のダークグリッドの問題がさらに抑えられ、かつ光利用効率も向上する。
【0060】
図4は、液晶素子に対して光が照射される領域及び封止材が設けられる位置を説明するための平面図である。第1実施形態の液晶素子100は、後述する照明装置に組み込まれた際に、平面視において各画素電極10a~10jを含み、かつ各薄膜トランジスタ7が含まれない領域(図中、一点鎖線で示す)が光を照射させる領域である被照射領域8として設定されている。このため、被照射領域8には透明なもの(透光性を有するもの)である各配線、各下層配線及び各画素電極だけが含まれるようになる。なお、被照射領域8が「第1領域」に対応し、封止材6に囲まれた領域内であって被照射領域8以外の領域が「第2領域」に対応する。
【0061】
従前の液晶素子においては各画素電極に隣接させて一対一に対応付けて各薄膜トランジスタが設けられていたので、各薄膜トランジスタへの光入射を防ぐための遮光膜や、各薄膜トランジスタのゲート電極等を構成するための金属膜を必要とする場合が多いのに対して、本実施形態の液晶素子100ではそのような遮光膜等を被照射領域8内に設ける必要がない。このため、例えば照明装置の一種である車両用灯具に液晶素子100を組み込んで用いる場合のように強い光が液晶素子100へ入射する状況においても、被照射領域8内の液晶層5が高温化して相転移温度を超えることによる動作不具合を防ぐことができる。被照射領域8内に、遮光膜や金属膜といった光照射によって発熱を生じるものが存在しないからである。また、各薄膜トランジスタ7を被照射領域8の外側に配置していることで、強い光が照射されることによる各薄膜トランジスタ7の劣化を防ぐことができる。
【0062】
また、第1実施形態の液晶素子100では、少なくとも被照射領域8内において各下層配線13a等がほぼ全て各画素電極10aと平面視で重なるように配置されている。これにより、各下層配線13aの電圧が液晶層5に印加されることによる誤動作をほとんど生じないようにすることができる。
【0063】
また、封止材6については、平面視において各画素電極10a~10jを含み、かつ各薄膜トランジスタ7も含まれるようにして設けられる。別言すれば、封止材6は、被照射領域8(第1領域)及びその周囲に隣接する領域(第2領域)を含むように設けられている。それにより、各薄膜トランジスタ7は液晶層5によって覆われる状態となるので、液晶層5が保護層として機能することで各薄膜トランジスタ7の劣化が抑制される。特に有機半導体を用いて各半導体層12a等を形成した場合には、各半導体層12a等が空気に触れることによる劣化が生じ得るところ、液晶層5による保護効果によりそのような劣化が抑制される。なお、薄膜トランジスタ7は、必ずしも有機半導体を用いたものでなくてよい。その場合、各薄膜トランジスタ7を封止材6の外側に配置し、液晶層7に覆われない構成としてもよい。
【0064】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の液晶素子の電極及び配線の構成を示す平面図である。なお、第2実施形態の液晶素子100aの基本的な構成は上記した第1実施形態の液晶素子100と共通であるので、以下では主に相違する構成について説明する。なお、ここでは画素間電極を省略して示しているが、第2実施形態の液晶素子100aにおいても第1実施形態の液晶素子100と同様にして画素間電極が設けられていてもよい。
【0065】
図5に示すように、第2実施形態の液晶素子100aは、画素電極20a~20jを備える。これらの画素電極20a~20jの構成及び機能は第1実施形態の液晶素子100における画素電極10a~10jと同等である。各画素電極20a、20c、20e、20hには、それぞれ1つの薄膜トランジスタ7aが対応付けられている。第1実施形態の液晶素子100と同様に、各薄膜トランジスタ7aと各画素電極20a、20c、20e、20hとの間はそれぞれ配線及び下層配線を用いて電気的に接続されている。同様に、各画素電極20b、20d、20f、20g、20i、20jには、それぞれ1つの薄膜トランジスタ7bが対応付けられている。第1実施形態の液晶素子100と同様に、各薄膜トランジスタ7bと各画素電極20b、20d、20f、20g、20i、20jとの間はそれぞれ配線及び下層配線を用いて電気的に接続されている。
【0066】
第2実施形態の液晶素子100aでは、平面視において画素電極20aの図中下側に3つの切り欠き部位が設けられており、各切り欠き部位に1つないし2つの薄膜トランジスタ7aが配置されている。そして、被照射領域8は、各画素電極20a~20jと各薄膜トランジスタ7aを含み、各薄膜トランジスタ7bは含まない範囲に設定されている。このため、被照射領域8に含まれる各薄膜トランジスタ7aとしては、光が照射されることによる影響を受けにくい有機半導体を用いた薄膜トランジスタが用いられる。他方で、被照射領域8に含まれない薄膜トランジスタ7bについては、光照射による影響がないので、有機半導体を用いたものでもよいし、無機半導体を用いたものでもよい。
【0067】
ここで、被照射領域8は、相対的に高照度の光(画像形成用光)が照射される高照度領域8aと、相対的に低照度の光が照射される低照度領域8bを含んでいる。図5に示す様に、第2実施形態の液晶素子100aにおける高照度領域8aは、画素電極20b~20iを含む領域であり、低照度領域8bは、画素電極20aを含む領域である。また、有機半導体を用いた薄膜トランジスタ7aは、低照度領域8bに形成されている。高照度領域8aに配置される画素電極20c、20e、20hに接続される薄膜トランジスタ7aが低照度領域8bに形成されている。例えば、照明装置の一種としての車両用灯具に液晶素子100aが組み込まれる場合(第4実施形態参照)であれば、高照度領域8aは相対的に高い照度が必要なハイビームの形成に用いられ、低照度領域8bは相対的に低い照度でよいロービームの形成に用いることができる。また、被照射領域8に含まれる薄膜トランジスタ7aは有機半導体を用いた薄膜トランジスタ、被照射領域8の外に配置される薄膜トランジスタ7bは無機半導体を用いたトランジスタとすることもできる。
【0068】
また、第2実施形態の液晶素子100aでは、各薄膜トランジスタ7aのゲート電極として機能する部位を有する配線23dについては、被照射領域8に含まれるため、ITOなどの透明導電膜を用いて形成されている。他方、被照射領域8に含まれない部分であって配線23dと接続される配線23aや、被照射領域8に含まれない配線23b、23cについては金属膜を用いて形成されている。これにより、被照射領域8に含まれる配線については光照射による配線の加熱を防ぎ、かつ被照射領域8に含まれない配線については金属膜を用いることで低抵抗化を図ることができる。
【0069】
さらに第2実施形態の液晶素子100aでは、各薄膜トランジスタ7a、7bのソース/ドレイン電極として機能する部位を有する各配線21a、21e、21i、21nに対して、絶縁膜3を介して各配線21a等の下層側に金属膜からなる下層配線24a~24jが設けられている。これらの下層配線24a等は、配線23a~23cを形成する際に同時に形成することができる。
【0070】
下層配線24aは、配線23dと配線23bとの間であって配線21aと平面視で重なる位置に設けられており、絶縁膜3に設けられた2箇所のコンタクトホールを介して配線21aと物理的及び電気的に接続されている。同様に、下層配線24bは、配線23bと配線23cとの間であって配線21aと平面視で重なる位置に設けられており、絶縁膜3に設けられた2箇所のコンタクトホールを介して配線21aと物理的及び電気的に接続されている。同様に、下層配線24cは、配線23cよりも図中下側であって配線21aと平面視で重なる位置に設けられており、絶縁膜3に設けられた1箇所のコンタクトホールを介して配線21aと物理的及び電気的に接続されている。これらの下層配線24a~24cにより、配線21aの低抵抗化が図られる。
【0071】
下層配線24d、24e、24fは、それぞれ配線21eに対してその下層側に設けられている。下層配線24g、24h、24iは、それぞれ配線21iに対してその下層側に設けられている。下層配線24jは、配線21nに対してその下層側に設けられている。これらの下層配線24d等の具体的な設け方は下層側24a~24cと同様であるので説明を省略する。
【0072】
なお、図示を省略するが封止材6については各画素電極20a等及び各薄膜トランジスタ7a、7bを全て含む範囲に設けてもよい。また、各薄膜トランジスタ7bが無機半導体を用いて構成されている場合には、これら薄膜トランジスタ7bについては封止材6の外側に配置されてもよい。
【0073】
図6(A)~図6(F)は、無機半導体を用いた薄膜トランジスタと有機半導体を用いた薄膜トランジスタとを混在させて形成するための製造方法を説明するための図である。ここでは一例として、無機半導体を用いた薄膜トランジスタ7bとして逆コプラナ型の薄膜トランジスタを形成し、かつ有機半導体を用いた薄膜トランジスタ7aを逆スタガ型の薄膜トランジスタを形成する方法を説明する。
【0074】
基板200の一面側にゲート電極201a、201bとして機能する部位を有する配線を形成する(図6(A))。具体的には、例えば、Ta、Mo、Cr、Al、Cuなどの金属膜またはITOなどの導電膜を成膜し、パターニングを行う。成膜方法としては公知のスパッタリング法、プラズマCVD法などを用いることができる。パターニングについては、例えば公知のドライエッチング法ないしウェットエッチング法を用いることができる。
【0075】
次に、基板200の一面側にゲート電極201a、201bとして機能する部位を有する配線を覆うように絶縁膜202を形成する(図6(B))。例えばスパッタリング法やプラズマCVD法により、SiOx膜、SiNx膜などの無機絶縁膜を成膜する。
【0076】
次に、絶縁膜202の上面に半導体層203及びキャリア注入層204を形成する(図6(C))。半導体層203としては、例えばアモルファスSi膜を形成する。図示のように半導体層203及びキャリア注入層204はゲート電極201bと平面視で重なる位置に形成される。
【0077】
次に、半導体層203及びキャリア注入層204の位置に対応してソース/ドレイン電極205bとなる部位を有する配線を形成する(図6(D))。キャリア注入層204が部分的に除去されて半導体層203が露出するようにして、ソース/ドレイン電極205bが形成される。具体的には、例えば、Cu、Al、Moなどの金属膜またはITOなどの導電膜を成膜し、パターニングを行う。成膜方法としては公知のスパッタリング法、プラズマCVD法などを用いることができる。パターニングについては、例えば公知のドライエッチング法ないしウェットエッチング法を用いることができる。
【0078】
次に、ゲート電極201aの位置に対応してソース/ドレイン電極205aとなる部位を有する配線を形成する(図6(D))。ここではITOなどの透明導電膜を用いてソース/ドレイン電極205aを有する配線が形成される。成膜法、パターニング法については上記した公知方法を用いることができる。なお、ソース/ドレイン電極205bについてもITOを用いて形成してもよく、その場合には本工程においてソース/ドレイン電極205aとソース/ドレイン電極205bを同時に形成することができる。
【0079】
次に、半導体層203及び各ソース/ドレイン電極205bを覆うようにしてパッシベーション膜206を形成する(図6(E))。例えば、マスクスパッタ法などの公知方法によりSiOx膜、SiNx膜などの無機絶縁膜がパッシベーション膜206として形成される。さらに、このパッシベーション膜206の上側であって半導体層203と平面視で重なる位置にCr膜あるいはカーボンブラックなどからなる遮光膜207が設けられてもよい。
【0080】
次に、ゲート電極201aと平面視で重なる位置において、各ソース/ドレイン電極205aと接するようにして有機半導体層208が形成される(図6(E))。例えば、インクジェット法などの液滴吐出法を用いて半導体層208となる材料が塗布される。なお、本工程の前に、基板200の一面に配向膜がパターン形成されてもよい。
【0081】
以上の各工程を経ることで、1つの基板200に有機半導体を用いた薄膜トランジスタ7aと無機半導体を用いた薄膜トランジスタ7bを形成することができる。
【0082】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の液晶素子の電極及び配線の構成を示す平面図である。図8(A)~図8(B)は、第3実施形態の液晶素子の第1基板の構成を示す部分断面図である。なお、図8(A)は、図7に示すd-d線断面に対応し、図8(B)は、図7に示すe-e線断面に対応している。第3実施形態の液晶素子100bの基本的な構成は上記した第1実施形態の液晶素子100や第2実施形態の液晶素子100aと共通であり、主な相違点は、図8(A)等に示すように各画素電極30a等が絶縁層9を介して配線及び下層配線よりも上層側に設けられた点である。以下、共通する構成要素については詳細な説明は省略する。なお、各画素電極30a等の設けられた層が「第3層」に対応する。
【0083】
図7に示すように、第3実施形態の液晶素子100bは、画素電極30a~30jを備える。これらの画素電極30a~30jの構成及び機能は第1実施形態の液晶素子100における画素電極10a~10jと同様である。また、第2実施形態と同様に、第3実施形態の液晶素子100bにおける被照射領域8では、画素電極30b~30iを含む領域に照度領域8aが設定され、画素電極30aを含む領域に低照度領域8bが設定されている。
【0084】
各画素電極30a、30c、30e、30hには、それぞれ1つの薄膜トランジスタ7aが対応付けられている。第1実施形態の液晶素子100と同様に、各薄膜トランジスタ7aと各画素電極30a、30c、30e、30hとの間はそれぞれ配線及び下層配線を用いて電気的に接続されている。同様に、各画素電極30b、30d、30f、30g、30i、30jには、それぞれ1つの薄膜トランジスタ7bが対応付けられている。第1実施形態の液晶素子100と同様に、各薄膜トランジスタ7bと各画素電極30b、30d、30f、30g、30i、30jとの間はそれぞれ配線及び下層配線を用いて電気的に接続されている。また本実施形態では、各薄膜トランジスタ7aは、画素電極30aと重なる位置に設けられている。このため、各薄膜トランジスタ7aは、有機半導体を用いて構成される。他方で、画素電極と重ならない位置にある各薄膜トランジスタ7bについては、有機半導体を用いて構成されてもよいし無機半導体を用いて構成されてもよい。
【0085】
図8(A)に示すように、各画素電極30a、30c、30eは、絶縁層3を覆って設けられた絶縁層9の上層側に設けられている。図示しない他の画素電極30b等も同様である。半導体層12pは、画素電極30aの一部を開口させた部分に設けられている。この半導体層12pと、第1基板1の一面側に設けられた配線23dのゲート電極として機能する部位と、絶縁層3の上層の配線21j、21kとを含んで1つの薄膜トランジスタ7aが構成されている。この薄膜トランジスタ7aは、第1基板1の一面の下層配線24m及び絶縁層3の一面の配線21mを介して画素電極30eと接続されている。下層配線24mと配線21mとの間は絶縁層3に設けられたコンタクトホールを介して接続されている。画素電極30eと配線21mとの間は絶縁層9に設けられたコンタクトホールを介して接続されている。また、配線21mの一部分は、画素電極30cと画素電極30eとの隙間に重なるように配置されており、画素間電極としての機能を果たす。
【0086】
なお、画素電極30dについても同様の構成により、配線21d、21n及び下層配線24nを介して薄膜トランジスタ7bと接続されている(図8(B)参照)。配線21nの一部が画素電極30d、30fの隙間に重なるように配置され、画素間電極として機能する点も同様である。また、詳細な説明を省略するが画素電極30f、30g、30h、30i、30jについても同様の構成により何れかの薄膜トランジスタ7a又は7bと接続されている。他方で、画素電極30a、30b、30cについては、下層配線を介さず、絶縁層3の上層に設けられた各配線を介して何れかの薄膜トランジスタ7a又は7bと接続されている。
【0087】
図8(B)に示すように、各画素電極30a、30b、30d、30fは、絶縁層3を覆って設けられた絶縁層9の上層側に設けられている。図示しない他の画素電極も同様である。半導体層12qは、配線21aと配線21dに接するように設けられている。この半導体層12qと、第1基板1の一面側に設けられた下層配線23cのゲート電極として機能する部位と、絶縁層3の上層の配線21a、21dとを含んで1つの薄膜トランジスタ7bが構成されている。下層配線23a、23bは、部分的に配線21dと平面視で重なるようにして、配線21dと交差して配置されている。また、これら下層配線23a、23bと各配線21h、21iとの配置関係も同様である。また、薄膜トランジスタ7bを構成する部分には絶縁層9が設けられていない。
【0088】
このように、一部の画素電極と薄膜トランジスタを平面視で重ねて配置することで、画素電極の面積を確保しつつ液晶素子100b全体の大きさをよりコンパクト化することができる。さらに、例えば、画素電極30eと接続された薄膜トランジスタ7aとの間に配置される画素電極30aと30cとの間隙に重なるように、ゲート電極の引き回し線である下層配線24m上の絶縁膜3上に、画素電極30aまたは30cのいずれかと電気的に接続される補助的な電極を形成してもよい。また、例えば、画素電極30dと接続された薄膜トランジスタ7bとの間に配置される画素電極30aと30bとの間隙、画素電極30bと30fとの間隙に重なるように、ドレイン電極の引き回し線である下層配線24n上の絶縁膜3上に画素電極30a、30bのいずれかと電気的に接続される補助的な電極を形成してもよい。下層配線24mは画素電極30eに接続されるドレイン電極であり、画素電極30aと30cの間隔では下層配線24mにかかっている電圧が絶縁膜3及び絶縁膜9を介して液晶層に印加されるため電極間の誤動作として観察され得る。同様に下層配線24nは画素電極30dに接続されるドレイン電極であり、画素電極30aと30cの間隔では下層配線24nにかかっている電圧が絶縁膜3及び絶縁膜9を介して液晶層に印加されるため電極間の誤動作として観察され得る。この誤動作を防止するために前記の補助的な電極を画素電極の間隙に形成することが望ましい。ここでは画素電極の間隙に引き回される下層配線としてドレイン電極の場合について説明したが、本開示では画素電極の間隙に引き回される下層配線としてゲート電極やソース電極である場合も取り得る。その場合も画素電極の間隙に補助的な電極を形成することで誤動作を防ぐことができる。
【0089】
(第4実施形態)
図9(A)は、上記した実施形態の液晶素子を用いて構成される一実施形態の車両用灯具システムの構成を示す図である。図9(A)に示す車両用灯具システムは、車両用灯具(照明装置)301と、コントローラ302と、カメラ303を含んで構成されている。この車両用前照灯システムは、カメラ303によって撮影される車両周辺の画像に基づいて車両の周囲に存在する前方車両や歩行者の顔等の位置を検出し、前方車両等の位置を含む一定範囲を減光範囲(ないし非照射範囲)に設定し、それ以外の範囲を光照射範囲に設定して選択的な光照射を行うとともに、路面上へ種々形状の光照射を行うものである。
【0090】
車両用灯具301は、例えば車両前部の所定位置に配置されており、車両前方を照明するための照射光を形成する。なお、車両用灯具301は車両の左右それぞれに1つずつ設けられるがここでは1つのみ図示する。
【0091】
コントローラ302は、車両用灯具301の光源310や液晶素子315の動作制御を行うものである。このコントローラ302は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するコンピュータシステムを用い、このコンピュータシステムにおいて所定の動作プログラムを実行させることによって実現される。本実施形態のコントローラ302は、運転席に設置されたライトスイッチ(図示せず)の操作状態に応じて光源310を点灯させるとともに、カメラ303によって検出される前方車両(対向車両、先行車両)、歩行者、道路標識、路上白線などの対象体に応じた配光パターンを設定し、この配光パターンに対応する像を形成するための制御信号を液晶素子315へ供給する。
【0092】
カメラ303は、車両の前方空間を撮影して画像を生成し、この画像に対して所定の画像認識処理を行って上記した前方車両等の対象体の位置、範囲、大きさ、種別などを検出する。画像認識処理による検出結果は、カメラ303と接続されているコントローラ302へ供給される。カメラ303は、車両の車室内の所定位置(例えば、フロントガラス上部)に設置されるか、または車両の車室外の所定位置(例えば、フロントバンパー内)に設置される。車両に他の用途(例えば、自動ブレーキシステム等)のためのカメラが備わっている場合にはそのカメラを共用してもよい。
【0093】
なお、カメラ303における画像認識処理の機能をコントローラ302にて代替してもよい。その場合には、カメラ303は、生成した画像をコントローラ302へ出力、この画像に基づいてコントローラ302側で画像認識処理が行われる。あるいは、カメラ303から画像とそれに基づく画像認処理の結果の双方がコントローラ302へ供給されてもよい。その場合に、コントローラ302は、カメラ303から得た画像を用いてさらに独自の画像認識処理を行ってもよい。
【0094】
図9(A)に示す車両用灯具301は、光源310、リフレクタ(反射部材)311、313、偏光ビームスプリッタ(第1偏光素子)312、1/4波長板314、液晶素子315、光学補償板316、偏光板(第2偏光素子)317、投影レンズ318を含んで構成されている。これらの各要素は、例えば1つのハウジング(筐体)に収容されて一体化されている。また、光源310と液晶素子315は、それぞれコントローラ302と接続されている。
【0095】
光源310は、駆動回路を含んでおり、コントローラ302による制御を受けて光を放出する。この光源310は、上記した検証用光源と同様に、青色LEDと青色LEDの発光が入射する位置に配置された黄色蛍光体とを備えた白色LEDであり、青色LEDにて黄色蛍光体を励起し、青色と黄色の混色によって白色を得るものである。
【0096】
リフレクタ311は、光源310に対応づけて配置されており、光源310から放出される光が液晶素子315の位置(一例として液晶素子315の厚さ方向の略中央)で焦点を結ぶように反射および集光して偏光ビームスプリッタ12の方向へ導き、液晶素子315へ入射させる。リフレクタ311は、例えば楕円面状の反射面を有する反射鏡である。この場合、光源310は、リフレクタ311の反射面の焦点付近に配置することができる。なお、リフレクタ311に代えて集光部としてレンズを用いてもよい。
【0097】
偏光ビームスプリッタ12は、入射光のうち特定方向の偏光を透過し、これと直交方向の偏光を反射させる透過反射型偏光素子であり、液晶素子315の光入射面側においてこの光入射面に対して斜めに配置されている。このような偏光ビームスプリッタ12としては、例えばワイヤーグリッド型偏光素子や多層膜偏光素子などを用いることができる。
【0098】
リフレクタ313は、偏光ビームスプリッタ12によって反射される光が入射し得る位置に設けられており、入射した光が液晶素子315の位置で焦点を結ぶように反射および集光して偏光ビームスプリッタ12へ入射させる。
【0099】
1/4波長板314は、偏光ビームスプリッタ12とリフレクタ313の間の光経路上に配置されており、入射する光に位相差を与える。本実施形態では、偏光ビームスプリッタ12によって反射された光は、1/4波長板314を透過し、リフレクタ313で反射されて再度1/4波長板314を透過することで偏光方向が90°回転して偏光ビームスプリッタ312へ再入射する。それにより、再入射した光は偏光ビームスプリッタ312をより透過しやすい状態となるので光の利用効率が向上する。
【0100】
なお、図9(B)に示す変形実施例の車両用灯具301aのように、1/4波長板314に代えて、1/2波長板314aを用いることもできる。この場合には、1/2波長板314aは、偏光ビームスプリッタ12によって反射された光は入射せず、この光がリフレクタ313で反射された光が入射する位置に配置される。
【0101】
液晶素子315は、リフレクタ311、313のそれぞれにより反射および集光された光の焦点を含む位置に配置され、当該光が入射するように配置されている。液晶素子315は、互いに独立に制御可能な複数の画素部(光変調部)を備えている。本実施形態では、液晶素子315は、各画素部に駆動電圧を与えるためのドライバ(図示せず)を有している。ドライバは、コントローラ302から供給される制御信号に基づいて、液晶素子315に対して、各画素部を個別に駆動するための駆動電圧を与える。図示のように液晶素子315に入射する光は、液晶素子315の光入射面に対して広角に入射する。具体的には、光入射面の法線方向に対して40°~60°くらいの広角に光が入射する。
【0102】
光学補償板316は、液晶素子315を透過した光の位相差を補償し、偏光度を高めるためのものであり、液晶素子315の光出射面側に配置されている。具体的には、光学補償板316は、液晶層315の位相差と合算した位相差が0またはそれに近い値となるようにその位相差が設定される。なお、光学補償板316は省略されてもよい。
【0103】
偏光板317は、液晶素子315の光出射面側に配置されている。偏光ビームスプリッタ12、偏光板317とこれらの間に配置された液晶素子315によって、車両の前方へ照射する光の配光パターンに対応した像が形成される。偏光板317の透過軸は、偏光ビームスプリッタ312の透過軸に対して略直交する方向となるように配置される。また、偏光板317と偏光ビームスプリッタ312の各透過軸は、液晶素子315の液晶層の層厚方向の略中央における電圧無印加時の配向方向に対して平面視で略45°の角度をなす方向となるようにそれぞれ配置される。
【0104】
投影レンズ318は、リフレクタ311、313により反射および集光され、液晶素子315を透過した光が入射し得る位置に配置されており、この入射した光を車両の前方へ投影する。投影レンズ318は、その焦点が液晶素子315の液晶層に結ばれるように配置されている。投影レンズ318の光軸は図中において一点鎖線で示されるように、図中の左右方向に沿っている。
【0105】
(変形実施例)
なお、本開示は上記した各実施形態の内容に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態では液晶素子を用いて構成される照明装置の例として車両用灯具を例示していたが照明装置はこれに限定されない。また、上記した実施形態では薄膜スイッチング素子の一例として薄膜トランジスタを説明したが、薄膜トランジスタに代えてMIM(Metal Insulator Metal)素子などの薄膜スイッチング素子を用いてもよい。また、液晶層の動作モード(配向モード)については上記した垂直配向モードに限定されない。
【0106】
本開示は、以下に付記する特徴を有する。
【0107】
(付記1)
互いの一面を対向させて配置される第1基板及び第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板間に配置される液晶層と、
透明導電膜を用いて前記第1基板側に設けられており、平面視形状の異なるものを含む複数の画素電極と、
前記第1基板側に設けられており、各前記画素電極に対して1つずつ対応付けられている複数の薄膜スイッチング素子と、
透明導電膜を用いて前記第1基板側に設けられており、各前記画素電極と各前記薄膜スイッチング素子との間を接続する複数の第1配線と、
前記第2基板側に設けられており、各前記画素電極と平面視において重なるように配置されている対向電極と、
を含み、
各前記画素電極は、画像形成用光が照射される第1領域内に全て配置されており、
各前記薄膜スイッチング素子は、平面視において前記第1領域と隣接する領域であって前記画像形成用光が照射されない第2領域に配置されている、
液晶素子。
(付記2)
互いの一面を対向させて配置される第1基板及び第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板間に配置される液晶層と、
透明導電膜を用いて前記第1基板側に設けられており、平面視形状の異なるものを含む複数の画素電極と、
前記第1基板側に設けられており、各前記画素電極に対して1つずつ対応付けられている複数の薄膜スイッチング素子と、
透明導電膜を用いて前記第1基板側に設けられており、各前記画素電極と各前記薄膜スイッチング素子との間を接続する複数の第1配線と、
前記第2基板側に設けられており、各前記画素電極と平面視において重なるように配置されている対向電極と、
を含み、
各前記薄膜スイッチング素子は、複数の第1薄膜スイッチング素子と複数の第2薄膜スイッチング素子を有し、少なくとも各前記第1薄膜スイッチング素子は、有機半導体を用いて構成されており、
各前記画素電極及び各前記第1スイッチング素子は、画像形成用光が照射される第1領域内に全て配置されており、
各前記第2薄膜スイッチング素子は、平面視において前記第1領域と隣接する領域であって前記画像形成用光が照射されない第2領域に配置されている、
液晶素子。
(付記3)
各前記第1薄膜スイッチング素子は、各前記画素電極のうち少なくとも1つに設けられた切り欠き部位に配置され、各前記画素電極の何れとも平面視において重ならないように配置されている、
付記2に記載の液晶素子。
(付記4)
各前記第1薄膜スイッチング素子は、各前記画素電極のうち少なくとも1つと平面視において重なる位置に設けられている、
付記2に記載の液晶素子。
(付記5)
各前記薄膜スイッチング素子の制御電極として機能する部位を含む複数の第2配線と、
各前記薄膜スイッチング素子の入出力電極として機能する部位を含む複数の第3配線と、
を更に含み、
各前記第1配線及び各前記第2配線は、前記第1基板側において相対的に前記第1基板の一面に近い第1層に配置されており、
各前記第3配線及び各前記画素電極は、前記第1基板側において相対的に前記第1基板の一面から遠い第2層に配置されており、
前記第1層と前記第2層の間には絶縁層が設けられている、
付記1~3の何れかに記載の液晶素子。
(付記6)
各前記薄膜スイッチング素子の制御電極として機能する部位を含む複数の第2配線と、
各前記薄膜スイッチング素子の入出力端電極として機能する部位を含む複数の第3配線と、
を更に含み、
各前記第1配線及び各前記第2配線は、前記第1基板側において相対的に前記第1基板の一面に近い第1層に配置されており、
各前記第3配線は、前記第1基板側において前記第1層よりも相対的に前記第1基板の一面から遠い第2層に配置されており、
各前記画素電極は、前記第1基板側において前記第2層よりも相対的に前記第1基板の一面から遠い第3層に配置されており、
前記第1層と前記第2層の間及び前記第1層と前記第2層の間の各々には絶縁層が設けられている、
付記2又は4に記載の液晶素子。
(付記7)
前記第1基板と前記第2基板の間において前記液晶層を囲んで設けられる封止材を更に含み、
前記封止材は、前記第1領域及び前記第2領域を包含するように配置されている、
付記1~6の何れかに記載の液晶素子。
(付記8)
前記第1領域は、相対的に高照度の前記画像形成用光が照射される高照度領域と相対的に低強度の前記画像形成用光が照射される低照度領域を有しており、
各前記第1スイッチング素子は、前記低照度領域に全て配置されている、
付記2~4又は6の何れかに記載の液晶素子。
(付記9)
付記1~8の何れかに記載の液晶素子と、
光源と、
前記光源から放出される光を集光して前記画像形成用光とし、当該前記画像形成用光を前記液晶素子へ入射させる集光部と、
前記液晶素子を挟んで対向配置される一対の偏光素子と、
前記液晶素子を透過した光を投影するレンズと、
を含む、照明装置。
(付記10)
付記9に記載の照明装置を用いて構成される車両用灯具と、
車両周辺に存在する対象物を検出するセンサと、
前記センサによって検出される前記対象物の状況に応じて前記液晶素子の動作を制御するコントローラと、
を含む、車両用灯具システム。
【符号の説明】
【0108】
1:第1基板、2:第2基板、3:絶縁層、4:対向電極、5:液晶層、6:封止材、7:薄膜トランジスタ、8:被照射領域、10a~10j:画素電極、11a~11p:配線、12a~12j:半導体層、13a~13c:下層配線、14a~14i:下層配線、15a~15h:画素間電極、100:液晶素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9