(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167907
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】洋上構造物監視システム、および洋上構造物監視方法
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
H04N7/18 D
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024109733
(22)【出願日】2024-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】馬場 好孝
(72)【発明者】
【氏名】西田 蓉子
(72)【発明者】
【氏名】飯野 哲平
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CA05
5C054CC02
5C054FC01
5C054FC12
5C054FC13
5C054FC14
5C054FC15
5C054GB02
5C054HA05
5C054HA18
(57)【要約】
【課題】洋上にある構造物の外観点検を、点検作業員が現地に赴いて目視で行う場合に比べて安全安価に行えるようにする。
【解決手段】洋上構造物監視システムを構成するカメラ装置30-1は、洋上の予め定められた領域に設置された洋上構造物であるプラットフォーム70-1に固定され、自機を固定しているプラットフォーム70-1とは異なる他のプラットフォーム70-2に固定された洋上風車50-2の外観の少なくとも一部を撮像し、画像処理装置が、カメラ装置30-1により撮像された撮像画像を、ネットワークを介して取得して表示する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上の予め定められた領域に設置された複数の洋上構造物の各々に固定され、当該複数の洋上構造物のうち、自機を固定している洋上構造物とは異なる他の洋上構造物の外観の少なくとも一部を撮像するカメラ装置と、
前記カメラ装置により撮像された撮像画像を、ネットワークを介して取得して表示する画像処理装置と、
を有することを特徴とする洋上構造物監視システム。
【請求項2】
1の前記他の洋上構造物の外観の少なくとも一部を撮像する複数の前記カメラ装置が、前記複数の洋上構造物のいずれかに固定されていることを特徴とする、
請求項1に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項3】
前記複数の洋上構造物が一列または略一列に設置されており、
前記カメラ装置は、前記自機を固定している洋上構造物の隣に設置されている1の前記他の洋上構造物の外観の少なくとも一部を撮像することを特徴とする、
請求項2に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項4】
一列または略一列に設置された前記複数の洋上構造物のうち、両端部に設置されている洋上構造物が、前記カメラ装置を固定するために当該両端部に設置された、撮像対象にならない洋上構造物であることを特徴とする、
請求項3に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項5】
前記複数の洋上構造物がランダムに設置されており、
前記カメラ装置は、前記自機を固定している洋上構造物に隣接する複数の前記他の洋上構造物の外観の少なくとも一部を撮像することを特徴とする、
請求項2に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項6】
前記カメラ装置は、前記洋上構造物に固定される位置および撮像領域が予め定められた固定カメラであることを特徴とする、
請求項1に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項7】
前記カメラ装置が、前記洋上構造物における天地方向の複数の位置に固定されていることを特徴とする、
請求項6に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項8】
前記カメラ装置が、前記洋上構造物における水平方向の複数の位置に固定されていることを特徴とする、
請求項6に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項9】
前記カメラ装置は、前記撮像に用いられるレンズの表面に、海塩の付着を抑制するための保護部材が形成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項10】
前記保護部材が、撥水性を有する塗料、硝子、または樹脂であることを特徴とする、
請求項9に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項11】
前記カメラ装置は、自機の揺れに応じて前記撮像を開始または停止することを特徴とする、
請求項1に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項12】
前記カメラ装置は、自機の揺れの大きさが予め定められた大きさを超えると前記撮像を行わないことを特徴とする、
請求項11に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項13】
前記洋上構造物が、洋上風力発電に用いられる洋上風車であることを特徴とする、
請求項1に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項14】
前記カメラ装置は、前記自機を固定している洋上構造物を撮像しないことを特徴とする、
請求項1に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項15】
洋上の予め定められた領域に設置された複数の洋上構造物の各々に固定されたカメラ装置により、当該複数の洋上構造物のうち、当該カメラ装置を固定している洋上構造物とは異なる他の洋上構造物の外観の少なくとも一部を撮像するステップと、
撮像された撮像画像を、ネットワークを介して取得して画像処理装置に表示するステップと、
を含むことを特徴とする洋上構造物監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋上構造物監視システム、および洋上構造物監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
陸上風力発電に用いられる陸上風車の外観点検は、ドローンを用いて陸上風車の外観を撮影等する手法が主流になりつつあり、関連する技術も存在する(例えば、特許文献1)。ドローンを用いた風車の外観点検は、洋上風力発電に用いられる洋上風車の外観点検にも採用し得るが、ドローンの継続飛行可能時間には限界があるため、離岸距離が数km乃至数十kmにもなる洋上風車の外観点検をドローンにより行うことは困難である。このため、洋上風車の外観点検は、点検作業員が船舶等で現地に赴き、高所である洋上風車のナセルに登り、ワイヤ等で上から釣り下げられた状態で目視により行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洋上風車などの洋上構造物の高所で行われる目視による点検作業は、安全面や費用面に課題がある。
【0005】
本発明の目的は、洋上にある構造物の外観点検を、点検作業員が現地に赴いて目視で行う場合に比べて安全安価に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、洋上の予め定められた領域に設置された複数の洋上構造物の各々に固定され、当該複数の洋上構造物のうち、自機を固定している洋上構造物とは異なる他の洋上構造物の外観の少なくとも一部を撮像するカメラ装置と、前記カメラ装置により撮像された撮像画像を、ネットワークを介して取得して表示する画像処理装置と、を有することを特徴とする洋上構造物監視システムである。
請求項2に記載された発明は、1の前記他の洋上構造物の外観の少なくとも一部を撮像する複数の前記カメラ装置が、前記複数の洋上構造物のいずれかに固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の洋上構造物監視システムである。
請求項3に記載された発明は、前記複数の洋上構造物が一列または略一列に設置されており、前記カメラ装置は、前記自機を固定している洋上構造物の隣に設置されている1の前記他の洋上構造物の外観の少なくとも一部を撮像することを特徴とする、請求項2に記載の洋上構造物監視システムである。
請求項4に記載された発明は、一列または略一列に設置された前記複数の洋上構造物のうち、両端部に設置されている洋上構造物が、前記カメラ装置を固定するために当該両端部に設置された、撮像対象にならない洋上構造物であることを特徴とする、請求項3に記載の洋上構造物監視システムである。
請求項5に記載された発明は、前記複数の洋上構造物がランダムに設置されており、前記カメラ装置は、前記自機を固定している洋上構造物に隣接する複数の前記他の洋上構造物の外観の少なくとも一部を撮像することを特徴とする、請求項2に記載の洋上構造物監視システムである。
請求項6に記載された発明は、前記カメラ装置は、前記洋上構造物に固定される位置および撮像領域が予め定められた固定カメラであることを特徴とする、請求項1に記載の洋上構造物監視システムである。
請求項7に記載された発明は、前記カメラ装置が、前記洋上構造物における天地方向の複数の位置に固定されていることを特徴とする、請求項6に記載の洋上構造物監視システムである。
請求項8に記載された発明は、前記カメラ装置が、前記洋上構造物における水平方向の複数の位置に固定されていることを特徴とする、請求項6に記載の洋上構造物監視システムである。
請求項9に記載された発明は、前記カメラ装置は、前記撮像に用いられるレンズの表面に、海塩の付着を抑制するための保護部材が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の洋上構造物監視システムである。
請求項10に記載された発明は、前記保護部材が、撥水性を有する塗料、硝子、または樹脂であることを特徴とする、請求項9に記載の洋上構造物監視システムである。
請求項11に記載された発明は、前記カメラ装置は、自機の揺れに応じて前記撮像を開始または停止することを特徴とする、請求項1に記載の洋上構造物監視システムである。
請求項12に記載された発明は、前記カメラ装置は、自機の揺れの大きさが予め定められた大きさを超えると前記撮像を行わないことを特徴とする、請求項11に記載の洋上構造物監視システムである。
請求項13に記載された発明は、前記洋上構造物が、洋上風力発電に用いられる洋上風車であることを特徴とする、請求項1に記載の洋上構造物監視システムである。
請求項14に記載された発明は、前記カメラ装置は、前記自機を固定している洋上構造物を撮像しないことを特徴とする、請求項1に記載の洋上構造物監視システムである。
請求項15に記載された発明は、洋上の予め定められた領域に設置された複数の洋上構造物の各々に固定されたカメラ装置により、当該複数の洋上構造物のうち、当該カメラ装置を固定している洋上構造物とは異なる他の洋上構造物の外観の少なくとも一部を撮像するステップと、撮像された撮像画像を、ネットワークを介して取得して画像処理装置に表示するステップと、を含むことを特徴とする洋上構造物監視方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洋上にある構造物の外観点検を、点検作業員が現地に赴いて目視で行う場合に比べて安全安価に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態が適用される洋上構造物監視システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】カメラ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】画像処理装置の制御部の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】カメラ装置の制御部の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】画像処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】カメラ装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】水平方向に並べられた洋上風車を撮像する手法の具体例を示す図である。
【
図9】水平方向に一列に設置された洋上風車を撮像する手法の具体例を示す図である。
【
図10】水平方向にランダムに設置された洋上風車を撮像する手法の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<洋上構造物監視システム1の構成>
図1は、本実施の形態が適用される洋上構造物監視システム1の全体構成の一例を示す図である。
洋上構造物監視システム1は、画像処理装置10と、カメラ装置30-1乃至30-n(nは1以上の整数値)とがネットワーク90を介して接続されることにより構成されている。ネットワーク90は、例えば、LAN(Local Area Network)、インターネット等である。以下、カメラ装置30-1乃至30-nの各々を個別に説明する必要がない場合には、これらをまとめてカメラ装置30と呼ぶ。
【0010】
(画像処理装置10)
画像処理装置10は、洋上の予め定められた領域に設置された複数の洋上構造物である洋上風車に固定されたカメラ装置30により撮像された撮像画像を、ネットワーク90を介して取得し、ディスプレイに表示する。ここで、「洋上風車に固定される」には、洋上風車を洋上で支持する洋上プラットフォームに固定されることを含む。「洋上風車」とは、洋上風力発電を行うために洋上に設置された構造物のことをいう。洋上風車は、風力タービンを用いて風の運動エネルギーを回転エネルギーに変換し、その回転を直接、または増速機を経た後に発電機に伝送して電気エネルギーに変換する機能を有する。なお、洋上風車の構成については後述する。
【0011】
画像処理装置10は、ディスプレイに表示した撮像画像に含まれる洋上風車を特定する。また、画像処理装置10は、特定した洋上風車の外観上の異常を検知し、その位置を特定する。そして、画像処理装置10は、特定した位置を判別可能な態様で表示する。例えば、画像処理装置10は、「判別可能な態様」として、特定した位置にマーキングを付したり、色を付したりする。なお、撮像画像に含まれる洋上風車を特定して外観上の異常を検知する機能(以下、「画像判定機能」と呼ぶ。)は必須ではない。例えば、画像処理装置10が、洋上風車の撮像画像をディスプレイに表示し、洋上風車の外観上の異常を点検作業員が目視で判定してもよい。なお、画像処理装置10の構成および処理の詳細については後述する。
【0012】
(カメラ装置30)
カメラ装置30は、洋上風車に固定される位置および撮像領域が予め定められた固定カメラを含む装置である。固定カメラは、オートフォーカス機能を有する可視光カメラや赤外線カメラ等で構成される。カメラ装置30は、複数の洋上風車のうち、自機を固定している洋上風車とは異なる他の洋上風車の外観の少なくとも一部を撮像する。カメラ装置30は、撮像した洋上風車の撮像画像を、ネットワーク90を介して画像処理装置10に向けて送信する。
【0013】
カメラ装置30は、撮像に用いられるレンズを有する。レンズの表面には、海塩の付着を抑制するための保護部材が形成されていてもよい。この場合、レンズの表面に形成される保護部材は、例えば、撥水性を有する塗料、硝子、または樹脂であってもよい。
【0014】
カメラ装置30は、自機の揺れに応じて撮像を開始または停止するように制御する。具体的には、例えば、カメラ装置30は、自機の揺れの大きさが予め定められた大きさを超えると撮像を行わないように制御する。なお、カメラ装置30の構成および処理の詳細については後述する。
【0015】
<ハードウェア構成>
(画像処理装置10のハードウェア構成)
図2は、画像処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
画像処理装置10は、制御部11と、メモリ12と、記憶部13と、通信部14と、操作部15と、表示部16とを有している。これらの各部は、データバス、アドレスバス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス等で接続されている。
【0016】
制御部11は、OS(基本ソフトウェア)やアプリケーションソフトウェア(応用ソフトウェア)等の各種ソフトウェアの実行を通じて画像処理装置10の機能の制御を行うプロセッサである。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等で構成される。メモリ12は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、演算に際して作業エリアとして用いられる。メモリ12は、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0017】
記憶部13は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。記憶部13は、例えばプログラムや各種設定データなどの記憶に用いられるHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、半導体メモリ等で構成される。記憶部13には、各種情報を記憶するデータベースが設けられている。記憶部13に設けられているデータベースとしては、例えば、カメラ装置30にて撮像され送信されてきた撮像画像が格納されたデータベースなどが挙げられる。
【0018】
通信部14は、ネットワーク90を介して、カメラ装置30および外部との間でデータの送受信を行う。操作部15は、例えばキーボード、マウス、機械式のボタン、スイッチで構成され、入力操作を受け付ける。操作部15には、表示部16と一体的にタッチパネルを構成するタッチセンサも含まれる。表示部16は、例えば情報の表示に用いられる液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成され、画像やテキストのデータなどを表示する。表示部16にはユーザインターフェース等が表示される。
【0019】
(カメラ装置30のハードウェア構成)
図3は、カメラ装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。
カメラ装置30は、
図2の制御部11、メモリ12、記憶部13、通信部14、操作部15、および表示部16の各々と同様の機能を有する、制御部31、メモリ32、記憶部33、通信部34、操作部35、および表示部36を備えている。さらに、カメラ装置30は、これらの構成に加えて、撮像部37を備えている。撮像部37は、カメラ等で構成され、被写体としての洋上風車を撮像し、その撮像画像をデータとして取得する。これらの各部は、データバス、アドレスバス、PCIバス等で接続されている。
【0020】
<機能構成>
(画像処理装置10の制御部11の機能構成)
図4は、画像処理装置10の制御部11の機能構成の一例を示す図である。
画像処理装置10の制御部11では、取得部111と、管理部112と、表示制御部113と、特定部114とが機能する。
【0021】
取得部111は、通信部14(
図2参照)を介して各種の情報を取得する。例えば、取得部111は、カメラ装置30および外部の各々から送信されてくる各種の情報を、通信部14を介して取得する。例えば、取得部111は、カメラ装置30から送信されてくる、洋上風車の外観の撮像画像を取得する。
【0022】
管理部112は、各種の情報を管理する。例えば、管理部112は、取得部111により取得された、洋上風車の外観の撮像画像を、記憶部13(
図2参照)のデータベースに格納して管理する。
【0023】
表示制御部113は、表示部16(
図2参照)に各種の情報を表示させるための制御を行う。例えば、表示制御部113は、取得部111により取得され、または管理部112により管理されている、洋上風車の外観の撮像画像を表示部16のディスプレイに表示させるための制御を行う。
【0024】
特定部114は、表示部16のディスプレイに表示された撮像画像に含まれる洋上風車を特定し、特定した洋上風車の外観上の異常を検知し、その位置を特定する。特定部114が洋上風車を特定する手法、および異常が生じた位置を特定する手法は特に限定されない。例えば、洋上風車ごとに特有な目印を予めマーキングしておいてもよいし、洋上風車のブレード(例えば、後述する
図8のブレード52)ごとに特有な目印を予めマーキングしておいてもよい。これにより、撮像画像に含まれる目印に基づいて、洋上風車を特定し、また、異常が生じたブレードを特定することができる。
なお、上述のように、画像判定機能は必須な構成ではない。すなわち、点検作業員が、ディスプレイに表示された洋上風車の撮像画像から洋上風車の外観上の異常を目視で判定する場合には、特定部114はなくてもよい。
【0025】
(カメラ装置30の制御部31の機能構成)
図5は、カメラ装置30の制御部31の機能構成の一例を示す図である。
カメラ装置30の制御部31では、取得部311と、管理部312と、判定部313と、撮像制御部314と、送信制御部315とが機能する。
【0026】
取得部311は、各種の情報を取得する。例えば、取得部311は、撮像部37(
図3参照)により撮像された、洋上風車の外観の撮像画像を取得する。
管理部312は、各種の情報を管理する。例えば、管理部312は、取得部311により取得された、洋上風車の外観の撮像画像を記憶部33(
図3参照)のデータベースに格納して管理する。
【0027】
判定部313は、振動センサ等で自機の揺れを検知して、揺れの大きさを判定する。例えば、判定部313は、自機の揺れの大きさが予め定められた大きさを超えたかどうか、または、自機の揺れの大きさが予め定められた大きさを超えていないかどうかを判定する。
【0028】
撮像制御部314は、撮像部37による撮像の制御を行う。例えば、撮像制御部314は、自機の揺れに応じて撮像を開始または停止するように制御する。この場合、例えば、カメラ装置30は、自機の揺れの大きさが予め定められた大きさを超えると撮像を行わないように制御してもよい。言い換えると、カメラ装置30は、自機の揺れの大きさが予め定められた大きさを超えていない場合に撮像を行うように制御してもよい。
【0029】
送信制御部315は、画像処理装置10および外部の各々に向けて、通信部34を介して各種の情報を送信する制御を行う。例えば、送信制御部315は、撮像部37により撮像され、管理部312により管理されている撮像画像を画像処理装置10に向けて送信する制御を行う。
【0030】
<処理の流れ>
(画像処理装置10の処理の流れ)
図6は、画像処理装置10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
画像処理装置10は、カメラ装置30から、洋上風車の外観の撮像画像が送信されてくると(ステップ601でYES)、送信されてきた撮像画像を取得し(ステップ602)、取得した撮像画像をデータベースに格納して管理する(ステップ603)。これに対して、カメラ装置30から洋上風車の外観の撮像画像が送信されてきていない場合(ステップ601でNO)、画像処理装置10は、カメラ装置30から洋上風車の外観の撮像画像が送信されてくるまでステップ601の判断処理を繰り返す。
【0031】
画像処理装置10は、管理している撮像画像をディスプレイに表示して(ステップ604)、表示した撮像画像に含まれる洋上風車を特定する(ステップ605)。また、画像処理装置10は、特定した洋上風車の外観上の異常を検知すると(ステップ606でYES)、外観上の異常が生じている位置を特定し(ステップ607)、特定した位置を判別可能な態様で表示する(ステップ608)。これにより、画像処理装置10は、処理を終了させる(END)。これに対して、洋上風車の外観上の異常を検知しなかった場合(ステップ606でNO)、画像処理装置10は、洋上風車の外観上の異常を検知しなかった旨をディスプレイに表示して(ステップ609)、処理を終了させる(END)。
【0032】
(画像処理装置10の処理の流れ)
図7は、カメラ装置30の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
カメラ装置30は、撮像対象の洋上風車の外観の撮像を行う(ステップ701)。カメラ装置30は、自機の揺れの大きさが予め定められた大きさを超えていない場合(ステップ702でYES)、撮像を継続または再開する(ステップ703)。そして、カメラ装置30は、撮像した洋上風車の撮像画像を記録し(ステップ704)、記録した撮像画像を画像処理装置10に向けて送信する(ステップ705)。その後、カメラ装置30の処理はステップ701に戻る。これに対して、自機の揺れの大きさが予め定められた大きさを超えると(ステップ702でNO)、撮像を停止し(ステップ706)、ステップ702の判断処理に戻る。
【0033】
<具体例>
(洋上風車を撮像する手法の具体例)
図8は、水平方向に並べられた洋上風車を撮像する手法の具体例を示す図である。
図8には、洋上風車50-1および50-2と、カメラ装置30-1および30-2とが示されている。以下、洋上風車50-1乃至50-m(mは1以上の整数値)の各々を個別に説明する必要がない場合には、これらをまとめて洋上風車50と呼ぶ。
【0034】
洋上風車50-1および50-2は、ロータ51と、ブレード52と、ハブ53と、ナセル54と、タワー55とを含むようにそれぞれ構成されている。ロータ51は、ブレード52と、ハブ53とを含むように構成された、洋上風車の回転部分である。このうち、風車の羽の部分となるブレード52には、風力による揚力が発生するため、ロータ51を回転させる。これにより、電力が生み出される。ハブ53は、ブレード52を連結させる回転軸である。ナセル54は、不図示の回転軸、増速機、発電機等の各種の装置を格納する筐体である。タワー55は、ロータ51およびナセル54を支える支柱である。洋上風車50-1および50-2の各々は、洋上の土台となる洋上プラットフォーム70-1および70-2の各々に固定されている。
【0035】
カメラ装置30-1は、洋上風車50-2の外観の少なくとも一部を撮像するカメラ装置である。カメラ装置30-2は、洋上風車50-1の外観の少なくとも一部を撮像するカメラ装置である。すなわち、カメラ装置30-1は、洋上プラットフォーム70-1に固定された状態で、自身を固定する洋上プラットフォーム70-1とは異なる洋上プラットフォーム70-2に固定された洋上風車50-2の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-2は、洋上プラットフォーム70-2に固定された状態で、自身を固定する洋上プラットフォーム70-2とは異なる洋上プラットフォーム70-1に固定された洋上風車50-1の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0036】
(3台以上の洋上風車が水平方向に一列に設置された場合の設置例)
図9は、水平方向に一列に設置された洋上風車を撮像する手法の具体例を示す図である。
図9には、水平方向に一列に設置された洋上風車50-1乃至50-4と、カメラ装置30-1乃至30-16と、カメラ装置30を固定するためのカメラ固定用ポール80-1および80-2とが示されている。なお、洋上風車50-1乃至50-4と、カメラ固定用ポール80-1および80-2とは、不図示の洋上プラットフォームに固定されているものとする。以下、カメラ固定用ポール80-1および80-2の各々を個別に説明する必要がない場合には、これらをまとめてカメラ固定用ポール80と呼ぶ。
【0037】
洋上風車50-1乃至50-4は、その順番で、水平方向に予め定められた間隔をおくように設置されている。隣り合う洋上風車50の間隔は特に限定されない。例えば、数百メートル乃至数キロメートルの間隔がおかれる。洋上風車50-1のタワー55には、カメラ装置30-1および30-2が固定されている。洋上風車50-2のタワー55には、カメラ装置30-3乃至30-6が固定されている。洋上風車50-3のタワー55には、カメラ装置30-7乃至30-10が固定されている。洋上風車50-4のタワー55には、カメラ装置30-11および30-12が固定されている。また、カメラ固定用ポール80-1には、カメラ装置30-13および30-14が固定されている。カメラ固定用ポール80-2には、カメラ装置30-15および30-16が固定されている。すなわち、カメラ装置30は、上述の
図8の例のように、洋上プラットフォーム(例えば、
図8の洋上プラットフォーム70-1および70-2)に固定されてもよいし、
図9の例のように、洋上風車50のタワー55に固定されてもよい。
【0038】
洋上風車50-1に固定されたカメラ装置30-1は、同じく洋上風車50-1に固定されたカメラ装置30-2に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-1は、洋上風車50-2の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-1に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-2も、洋上風車50-2の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0039】
洋上風車50-2に固定されたカメラ装置30-3は、同じく洋上風車50-2に固定されたカメラ装置30-4に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-3は、洋上風車50-1の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-3に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-4も、洋上風車50-1の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0040】
洋上風車50-2に固定されたカメラ装置30-5は、同じく洋上風車50-2に固定されたカメラ装置30-6に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-5は、洋上風車50-3の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-5に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-6も、洋上風車50-3の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0041】
洋上風車50-3に固定されたカメラ装置30-7は、同じく洋上風車50-3に固定されたカメラ装置30-8に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-7は、洋上風車50-2の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-7に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-8も、洋上風車50-2の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0042】
洋上風車50-3に固定されたカメラ装置30-9は、同じく洋上風車50-3に固定されたカメラ装置30-10に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-9は、洋上風車50-4の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-9に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-10も、洋上風車50-4の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0043】
洋上風車50-4に固定されたカメラ装置30-11は、同じく洋上風車50-4に固定されたカメラ装置30-12に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-11は、洋上風車50-3の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-11に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-12も、洋上風車50-3の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0044】
カメラ固定用ポール80-1に固定されたカメラ装置30-13は、同じくカメラ固定用ポール80-1に固定されたカメラ装置30-14に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-13は、洋上風車50-1の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-13に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-14も、洋上風車50-1の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0045】
カメラ固定用ポール80-2に固定されたカメラ装置30-15は、同じくカメラ固定用ポール80-2に固定されたカメラ装置30-16に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-15は、洋上風車50-4の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-15に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-16も、洋上風車50-4の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0046】
図9に示す構成により、洋上風車50-1乃至50-4は、いずれも4台のカメラ装置30により外観が撮像されることになる。これにより、画像処理装置10は、一列または略一列に設置された4台のカメラ装置30の各々により撮像された1台の洋上風車50の外観の撮像画像に基づく異常の検出が可能となる。その結果、洋上風車50の外観の撮像画像に死角が生じることを抑制できるので、洋上風車50の外観の異常の検出の精度を向上させることができる。
【0047】
(3台以上の洋上風車がランダムに設置された場合の設置例)
図10は、水平方向にランダムに設置された洋上風車を撮像する手法の具体例を示す図である。
図10には、水平方向にランダムに設置された洋上風車50-1乃至50-4と、カメラ装置30-1乃至30-16とが示されている。
【0048】
洋上風車50-1乃至50-4は、水平方向に間隔をおくようにランダムに設置されている。洋上風車50-1のタワー55には、カメラ装置30-1乃至30-4が固定されている。洋上風車50-2のタワー55には、カメラ装置30-5乃至30-8が固定されている。洋上風車50-3のタワー55には、カメラ装置30-9乃至30-12が固定されている。洋上風車50-4のタワー55には、カメラ装置30-13乃至30-16が固定されている。なお、洋上風車50-1乃至50-4は、不図示の洋上プラットフォームに固定されているものとする。
【0049】
洋上風車50-1に固定されたカメラ装置30-1は、同じく洋上風車50-1に固定されたカメラ装置30-2に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-1は、洋上風車50-3の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-1に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-2も、洋上風車50-3の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0050】
洋上風車50-1に固定されたカメラ装置30-3は、同じく洋上風車50-1に固定されたカメラ装置30-4に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-3は、洋上風車50-2の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-3に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-4も、洋上風車50-2の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0051】
洋上風車50-2に固定されたカメラ装置30-5は、同じく洋上風車50-2に固定されたカメラ装置30-6に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-5は、洋上風車50-1の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-5に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-6も、洋上風車50-1の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0052】
洋上風車50-2に固定されたカメラ装置30-7は、同じく洋上風車50-2に固定されたカメラ装置30-8に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-7は、洋上風車50-4の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-7に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-8も、洋上風車50-4の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0053】
洋上風車50-3に固定されたカメラ装置30-9は、同じく洋上風車50-3に固定されたカメラ装置30-10に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-9は、洋上風車50-1の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-9に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-10も、洋上風車50-1の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0054】
洋上風車50-3に固定されたカメラ装置30-11は、同じく洋上風車50-3に固定されたカメラ装置30-12に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-11は、洋上風車50-4の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-11に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-12も、洋上風車50-4の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0055】
洋上風車50-4に固定されたカメラ装置30-13は、同じく洋上風車50-4に固定されたカメラ装置30-14に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-13は、洋上風車50-3の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-13に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-14も、洋上風車50-3の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0056】
洋上風車50-4に固定されたカメラ装置30-15は、同じく洋上風車50-4に固定されたカメラ装置30-16に対して天地方向の天側に設置されたカメラ装置である。カメラ装置30-15は、洋上風車50-2の外観の少なくとも一部を撮像する。また、カメラ装置30-15に対して天地方向の地側に設置されたカメラ装置30-16も、洋上風車50-2の外観の少なくとも一部を撮像する。
【0057】
図10に示す構成により、洋上風車50-1乃至50-4は、いずれも4台のカメラ装置30により外観が撮像されることになる。これにより、画像処理装置10は、4台のカメラ装置30の各々により撮像された1台の洋上風車50の外観の撮像画像に基づく異常の検出が可能となる。その結果、洋上風車50の外観の撮像画像に死角が生じることを抑制できるので、洋上風車50の外観の異常の検出の精度を向上させることができる。
【0058】
<他の実施の形態>
以上、本実施の形態について説明したが、本発明は上述した本実施の形態に限るものではない。また、本発明による効果も、上述した本実施の形態に記載されたものに限定されない。例えば、
図1に示す洋上構造物監視システム1の構成、
図2および
図3に示すハードウェア構成、
図4および
図5に示す機能構成は、いずれも本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、上述した処理を全体として実行できる機能を
図1の洋上構造物監視システム1が備えていれば足り、この機能を実現するためにどのようなハードウェア構成および機能構成を用いるかは上述の例に限定されない。
【0059】
例えば、
図1のネットワーク90に、1または複数の点検作業員の各々が使用する情報処理端末が接続されていてもよい。これにより、画像処理装置10から点検作業員が使用する情報処理端末に向けて洋上風車の撮像画像が送信可能となる。その結果、1または複数の点検作業員は、情報処理端末に表示される撮像画像から洋上風車の外観における異常を容易に把握できる。
【0060】
また、
図6および
図7に示す処理のステップの順序も例示に過ぎず、特に限定されない。図示されたステップの順序に沿って時系列的に行われる処理だけではなく、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別的に行われてもよい。また、
図8乃至
図10に示す具体例も一例に過ぎず、特に限定されない。
【0061】
また、上述の実施の形態では、洋上構造物としての洋上風車の外観を撮像することで洋上風車の異常を監視するが、洋上構造物は洋上風車に限定されない。洋上に設置され得るあらゆる構造物を監視の対象とすることができる。
【0062】
また、上述の実施の形態では、カメラ装置30は、自機を固定している洋上構造物とは異なる他の洋上構造物(洋上プラットフォーム)に固定された洋上構造物(洋上風車)の外観の少なくとも一部を撮像する。例えば、
図8のカメラ装置30-1は、自機を固定している洋上プラットフォーム70-1とは異なる洋上プラットフォーム70-2に固定された洋上風車50-2の外観の少なくとも一部を撮像する。ただし、これに限定されない。カメラ装置30は、自機を固定している洋上構造物とは異なる他の洋上構造物(洋上プラットフォーム)に固定された洋上構造物(洋上風車)の外観の少なくとも一部を撮像するともに、自機を固定している洋上構造物に固定された洋上構造物の外観の少なくとも一部を撮像してもよい。すなわち、1台のカメラ装置30が、複数の洋上構造物を撮像してもよい。
【0063】
また、上述の
図9および
図10の各々に示す具体例では、4台の洋上風車50が水平方向に一列またはランダムに設置されているが、洋上風車50の台数は4台に限定されない。例えば、5台以上の洋上風車50が水平方向に一列またはランダムに設置されてもよい。
【0064】
また、上述の実施の形態では、カメラ装置30が、洋上プラットフォームや洋上風車のタワー55に固定されているが、これに限定されない。例えば、洋上風車のナセル54等にカメラ装置30が固定されてもよい。なお、洋上風車のナセル54にカメラ装置30を固定した場合には、風向に応じてナセル54の向きが変わる。このため、カメラ装置30を洋上プラットフォームやタワー55に固定する場合に比べてカメラ装置30の撮像領域が広くなる。
【0065】
以上をまとめると、本発明の洋上構造物監視システム1は、次のような構成をとれば足り、各種各様な実施の形態をとることができる。
すなわち、洋上構造物監視システム1は、洋上の予め定められた領域に設置された複数の洋上構造物である洋上風車50の各々に固定され、複数の洋上風車50のうち、自機を固定している洋上風車50とは異なる他の洋上風車50の外観の少なくとも一部を撮像するカメラ装置30と、カメラ装置30により撮像された撮像画像を、ネットワーク90を介して取得して表示する画像処理装置10と、を有することを特徴とする。
【0066】
これにより、複数の洋上風車50の各々に固定されたカメラ装置30が、自機を固定している洋上風車50とは異なる他の洋上風車50の外観の少なくとも一部を撮像し、その撮像画像がネットワーク90を介して画像処理装置10に取得され表示される。その結果、撮像画像に基づく洋上風車50の外観点検を洋上以外の場所で行うことが可能となるので、洋上風車50の外観点検を、点検作業員が現地に赴いて目視で行う場合に比べて安全安価に行える。
【0067】
ここで、1の他の洋上風車50の外観の少なくとも一部を撮像する複数のカメラ装置30が、複数の洋上風車50のいずれかに固定されていることを特徴としてもよい。
これにより、1の洋上風車50の外観の少なくとも一部を撮像する複数のカメラ装置30が、複数の洋上風車50のいずれかに固定されているので、1の洋上風車50を撮像する複数のカメラ装置30が、撮像領域を互いにフォローし合う。その結果、洋上風車50の撮像画像に死角が生じることを抑制できる。
【0068】
また、複数の洋上風車50が一列または略一列に設置されており、カメラ装置30は、自機を固定している洋上風車50の隣に設置されている1の他の洋上風車の外観の少なくとも一部を撮像することを特徴としてもよい。
これにより、複数の洋上風車50が一列または略一列に設置されている場合には、カメラ装置30が、自機を固定している洋上風車50の隣に設置されている1の洋上風車50の外観の少なくとも一部を撮像する。このため、2つの洋上風車50に挟まれた1の洋上風車50の外観の少なくとも一部が、その2つの洋上風車50の各々に固定された複数のカメラ装置30により撮像される。その結果、1の洋上風車50を撮像する複数のカメラ装置30が、撮像領域を互いにフォローし合うので、洋上風車50の撮像画像に死角が生じることを抑制できる。
【0069】
また、一列または略一列に設置された複数の洋上風車50(例えば、
図9の洋上風車50-1乃至50-4)のうち、両端部に設置されている洋上構造物であるカメラ固定用ポール80(例えば、
図9のカメラ固定用ポール80-1および80-2)が、カメラ装置30(例えば、
図9のカメラ装置30-13乃至30-16)を固定するために両端部に設置された、撮像対象にならない洋上構造物であることを特徴としてもよい。
これにより、一列または略一列に設置された複数の洋上風車50の両端部に、カメラ装置30を固定するための洋上構造物であるカメラ固定用ポール80が設置される。その結果、外観検査の対象となる複数の洋上風車50のすべてについて複数の位置から撮像することが可能となるので、複数の洋上風車50の撮像画像に死角が生じることを抑制できる。
【0070】
また、複数の洋上風車50(例えば、
図10の洋上風車50-1乃至50-4)がランダムに設置されており、カメラ装置30(例えば、
図10のカメラ装置30-1乃至30-16)は、自機を固定している洋上風車50に隣接する複数の他の洋上風車50の外観の少なくとも一部を撮像することを特徴としてもよい。
これにより、複数の洋上風車50がランダムに設置されている場合には、カメラ装置30が、自機を固定している洋上風車50に隣接する複数の他の洋上風車50の外観の少なくとも一部を撮像する。その結果、外観検査の対象となる洋上風車50のすべてについて複数の位置から撮像することが可能となるので、洋上風車50の撮像画像に死角が生じることを抑制できる。
【0071】
また、カメラ装置30は、洋上風車50に固定される位置および撮像領域が予め定められた固定カメラであることを特徴としてもよい。
これにより、カメラ装置30が、洋上風車50に固定される位置および撮像領域が予め定められた固定カメラであるため、洋上風車50の外観の少なくとも一部の撮像画像を、定点観測の結果として経時的に取得できる。その結果、洋上風車50の外観の少なくとも一部における僅かな変化を把握できる。
【0072】
また、カメラ装置30が、洋上風車50における天地方向の複数の位置に固定されていることを特徴としてもよい。
これにより、洋上風車50における天地方向の複数の位置にカメラ装置30が固定されているので、複数の角度から1の洋上風車を撮像することや、カメラ装置30がそれぞれ異なる洋上風車50を撮像することが可能となる。その結果、洋上風車50の撮像画像に天地方向の死角が生じることを抑制できる。
【0073】
また、カメラ装置30が、洋上風車50における水平方向の複数の位置に固定されていることを特徴としてもよい。
これにより、洋上風車50における水平方向の複数の位置にカメラ装置30が固定されているので、複数の角度から1の洋上風車50を撮像することや、カメラ装置30がそれぞれ異なる洋上風車50を撮像することが可能となる。その結果、洋上風車50の撮像画像に水平方向の死角が生じることを抑制できる。
【0074】
また、カメラ装置30は、洋上風車50の撮像に用いられるレンズの表面に、海塩の付着を抑制するための保護部材が形成されていることを特徴としてもよい。
これにより、カメラ装置30のレンズの表面に海塩の付着を抑制するための保護部材が形成されているので、波に含まれる海塩がレンズに付着しても、自然に雨で洗い流すことができる。
【0075】
また、カメラ装置30のレンズの表面に形成された保護部材が、撥水性を有する塗料、硝子、または樹脂であることを特徴としてもよい。
これにより、カメラ装置30のレンズの表面に海塩の付着を抑制するための保護部材として、撥水性を有する塗料、硝子、または樹脂が形成されているので、波に含まれる海塩がレンズに付着しても、自然に雨で洗い流すことができる。
【0076】
また、カメラ装置30は、自機の揺れに応じて風車の外観の撮像を開始または停止することを特徴としてもよい。
これにより、カメラ装置30が自機の揺れに応じて撮像を開始または停止するので、波や強風の影響でカメラ装置30が一定以上の大きさで揺れると撮像が停止される。その結果、カメラ装置30により撮像された風車の外観の撮像画像の質の向上や省エネを図ることができる。
【0077】
また、カメラ装置30は、自機の揺れの大きさが予め定められた大きさを超えると、洋上風車50の外観の撮像を行わないことを特徴としてもよい。
これにより、カメラ装置30が自機の揺れに応じて撮像を開始または停止するので、波や強風の影響でカメラ装置30が一定以上の大きさで揺れると撮像が停止される。その結果、カメラ装置30により撮像された洋上風車50の外観の撮像画像の質の向上や省エネを図ることができる。
【0078】
また、洋上構造物が、洋上風力発電に用いられる洋上風車50であることを特徴としてもよい。
これにより、複数の洋上風車50の各々に固定されたカメラ装置30が、自機を固定している洋上風車50とは異なる他の洋上風車50の外観の少なくとも一部を撮像し、その撮像画像がネットワーク90を介して画像処理装置10に取得され表示される。このため、撮像画像に基づく洋上風車50の外観点検を洋上以外の場所で行うことが可能となる。その結果、洋上風車50の外観点検を、点検作業員が現地に赴いて目視で行う場合に比べて安全安価に行える。
【0079】
また、カメラ装置30は、自機を固定している洋上風車50を撮像しないことを特徴としてもよい。
これにより、複数の洋上風車の各々に固定されたカメラ装置30が、自機を固定している洋上風車50は撮像せず、自機を固定している洋上風車50とは異なる他の洋上風車50の外観の少なくとも一部を撮像する。そして、その撮像画像が、ネットワーク90を介して画像処理装置10に取得され表示される。その結果、撮像画像に基づく洋上風車50の外観点検を洋上以外の場所で行うことが可能となるので、洋上風車50の外観点検を、点検作業員が現地に赴いて目視で行う場合に比べて安全安価に行える。
【0080】
また、本発明の洋上構造物監視方法は、次のような構成をとれば足り、各種各様な実施の形態をとることができる。
すなわち、本発明の洋上構造物監視方法は、洋上の予め定められた領域に設置された複数の洋上構造物である洋上風車50の各々に固定されたカメラ装置30により、複数の洋上風車50のうち、カメラ装置30を固定している洋上風車50とは異なる他の洋上風車50の外観の少なくとも一部を撮像するステップと、撮像された撮像画像を、ネットワーク90を介して取得して表示するステップと、を含むことを特徴とする。
【符号の説明】
【0081】
1…洋上構造物監視システム、10…画像処理装置、11…制御部、30…カメラ装置、31…制御部、37…撮像部、50…洋上風車、80…カメラ固定用ポール、111…取得部、112…管理部、113…表示制御部、114…特定部、311…取得部、312…管理部、313…判定部、314…撮像制御部、315…送信制御部、90…ネットワーク
【手続補正書】
【提出日】2024-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上の予め定められた領域に設置された複数の洋上構造物の各々に固定され、当該複数の洋上構造物のうち、自機を固定している洋上構造物とは異なる他の洋上構造物の外観の少なくとも一部を撮像するカメラ装置と、
前記カメラ装置により撮像された撮像画像を、ネットワークを介して取得して表示する画像処理装置と、
を有し、
前記複数の洋上構造物の各々は、前記領域において、いずれも当該複数の洋上構造物のうち2以上の他の洋上構造物の各々に固定された前記カメラ装置により、外観の少なくとも一部が撮像されるように設置されていることを特徴とする洋上構造物監視システム。
【請求項2】
洋上の予め定められた領域に設置された複数の洋上構造物の各々に固定され、当該複数の洋上構造物のうち、自機を固定している洋上構造物とは異なる他の洋上構造物に固定された第1洋上風車の外観の少なくとも一部を撮像するとともに、当該自機を固定している洋上構造物に固定された第2洋上風車の外観の少なくとも一部を撮像するカメラ装置と、
前記カメラ装置により撮像された、前記第1洋上風車の外観の少なくとも一部と、前記第2洋上風車の外観の少なくとも一部とを含む撮像画像を、ネットワークを介して取得して表示する画像処理装置と、
を有することを特徴とする洋上構造物監視システム。
【請求項3】
前記複数の洋上構造物が一列または略一列に設置されていることを特徴とする、
請求項1または2に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項4】
一列または略一列に設置された前記複数の洋上構造物のうち、両端部に設置されている洋上構造物が、前記カメラ装置を固定するために当該両端部に設置された、撮像対象にならない洋上構造物であることを特徴とする、
請求項3に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項5】
前記複数の洋上構造物がランダムに設置されていることを特徴とする、
請求項1または2に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項6】
前記カメラ装置は、前記洋上構造物に固定される位置および撮像領域が予め定められた固定カメラであることを特徴とする、
請求項1または2に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項7】
前記カメラ装置が、前記洋上構造物における天地方向の複数の位置に固定されていることを特徴とする、
請求項6に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項8】
前記カメラ装置が、前記洋上構造物における水平方向の複数の位置に固定されていることを特徴とする、
請求項6に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項9】
前記カメラ装置は、前記撮像に用いられるレンズの表面に、海塩の付着を抑制するための保護部材が形成されていることを特徴とする、
請求項1または2に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項10】
前記保護部材が、撥水性を有する塗料、硝子、または樹脂であることを特徴とする、
請求項9に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項11】
前記カメラ装置は、自機の揺れに応じて前記撮像を開始または停止することを特徴とする、
請求項1または2に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項12】
前記カメラ装置は、自機の揺れの大きさが予め定められた大きさを超えると前記撮像を行わないことを特徴とする、
請求項11に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項13】
前記洋上構造物が、洋上風力発電に用いられる洋上風車であることを特徴とする、
請求項1に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項14】
前記カメラ装置は、前記自機を固定している洋上構造物を撮像しないことを特徴とする、
請求項1に記載の洋上構造物監視システム。
【請求項15】
洋上の予め定められた領域に設置された複数の洋上構造物の各々に固定されたカメラ装置により、当該複数の洋上構造物のうち、当該カメラ装置を固定している洋上構造物とは異なる他の洋上構造物の外観の少なくとも一部を撮像するステップと、
撮像された撮像画像を、ネットワークを介して取得して画像処理装置に表示するステップと、
を含み、
前記複数の洋上構造物の各々は、前記領域において、いずれも当該複数の洋上構造物のうち2以上の他の洋上構造物の各々に固定された前記カメラ装置により、外観の少なくとも一部が撮像されるように設置されていることを特徴とする洋上構造物監視方法。
【請求項16】
洋上の予め定められた領域に設置された複数の洋上構造物の各々に固定されたカメラ装置により、当該複数の洋上構造物のうち、当該カメラ装置を固定している洋上構造物とは異なる他の洋上構造物に固定された第1洋上風車の外観の少なくとも一部を撮像するとともに、当該カメラ装置を固定している洋上構造物に固定された第2洋上風車の外観の少なくとも一部を撮像するステップと、
撮像された、前記第1洋上風車の外観の少なくとも一部と、前記第2洋上風車の外観の少なくとも一部とを含む撮像画像を、ネットワークを介して取得して画像処理装置に表示するステップと、
を含むことを特徴とする洋上構造物監視方法。