(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167915
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】含フッ素ポリマーを含有する組成物、含フッ素ポリマーの製造方法、及び含フッ素ポリマーを含有する紫外光発光素子用レンズ
(51)【国際特許分類】
C08F 24/00 20060101AFI20241127BHJP
C08F 4/34 20060101ALI20241127BHJP
C08K 5/095 20060101ALI20241127BHJP
C08K 5/07 20060101ALI20241127BHJP
C08L 27/12 20060101ALI20241127BHJP
C08F 2/06 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
C08F24/00
C08F4/34
C08K5/095
C08K5/07
C08L27/12
C08F2/06
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024146079
(22)【出願日】2024-08-28
(62)【分割の表示】P 2024079262の分割
【原出願日】2024-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2023083945
(32)【優先日】2023-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真利 大地
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠希
(72)【発明者】
【氏名】白井 淳
(72)【発明者】
【氏名】篠木 紀之
(72)【発明者】
【氏名】岡田 倫明
(72)【発明者】
【氏名】黒木 克親
【テーマコード(参考)】
4J002
4J011
4J015
4J100
【Fターム(参考)】
4J002BD121
4J002EE026
4J002EE036
4J002FD206
4J002GP01
4J011AA05
4J011HA03
4J011HB22
4J015CA07
4J100AU28P
4J100BB07P
4J100BB18P
4J100DA61
4J100DA62
4J100FA03
4J100FA19
4J100FA28
4J100FA29
4J100FA30
4J100JA33
(57)【要約】
【課題】本開示は、紫外光透過性の高い含フッ素ポリマーを含有する組成物、紫外光透過性の高い含フッ素ポリマーを製造する方法、紫外光透過性の高い含フッ素ポリマーを含有する紫外光発光素子用レンズ等の提供を目的とする。
【解決手段】含フッ素ポリマー(A)、並びに、重合開始剤(B)及び重合開始剤(B)の分解物(C)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(BC)を含有する組成物であって、前記化合物(BC)を、組成物質量に対して0.1~100質量ppmで含有し、前記含フッ素ポリマー(A)が、式(A)
[式中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位を主成分として含む、組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含フッ素ポリマー(A)、並びに、重合開始剤(B)及び重合開始剤(B)の分解物(C)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(BC)を含有する組成物であって、
前記化合物(BC)を、組成物質量に対して0.1~100質量ppmで含有し、
前記含フッ素ポリマー(A)が、式(A)
【化1】
[式中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位を主成分として含む、
組成物。
【請求項2】
前記重合開始剤(B)がパーオキサイド類である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記重合開始剤(B)は、
式(B1)
【化2】
[式中、R
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C20のアルキル基、又はC1-C20のフルオロアルキル基を示し、
前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R
11及びR
12は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよく、
R
13及びR
14は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよい。]
で表される化合物、
式(B2)
【化3】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキ
ル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化4】
[式中、R
17及びR
18はそれぞれ独立して、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよい。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記分解物(C)は、
式(C1)
【化5】
[式中、R
41及びR
42はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C20のアルキル基、又はC1-C20のフルオロアルキル基を示し、
前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R
41及びR
42は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよく、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化6】
[式中、R
45は、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化7】
[式中、R
47はC1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、
R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
240nm~340nmの波長における平均透過率が85%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記式(A)で表される構成単位が、式(A1)
【化8】
で表される構成単位である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記重合開始剤(B)が、
式(B1)
【化9】
[式中、R
11及びR
13はフッ素原子であり、
R
12及びR
14はそれぞれ独立して、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)を示す。]
で表される化合物、
式(B2)
【化10】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化11】
[式中、R
17は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
18は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルを示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1、4~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記分解物(C)が、
式(C1)
【化12】
[式中、R
41はフッ素原子を示し、
R
42は、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)
を示し、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化13】
[式中、R
45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化14】
[式中、R
47は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1~3および5~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記式(A)で表される構成単位が、式(A1)
【化15】
で表される構成単位であり、
前記重合開始剤(B)が、
式(B1)
【化16】
[式中、R
11及びR
13はフッ素原子であり、
R
12及びR
14はそれぞれ独立して、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)を示す。]
で表される化合物、
式(B2)
【化17】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化18】
[式中、R
17は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
18は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルを示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記分解物(C)が、
式(C1)
【化19】
[式中、R
41はフッ素原子を示し、
R
42は、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)
を示し、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化20】
[式中、R
45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化21】
[式中、R
47は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1または5に記載の組成物。
【請求項10】
含フッ素ポリマー(A)の製造方法であって、
式(M)
【化22】
[式中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される含フッ素モノマー(M)、重合開始剤(B)、及び溶媒(D)の存在下で前記含フッ素モノマー(M)を重合させて、含フッ素ポリマー(A)を沈殿物として生成させる重合工程を有し、
前記含フッ素ポリマー(A)は、式(A)
【化23】
[式中、R
1~R
4は前記と同じ。]
で表される構成単位を主成分として含み、
前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記含フッ素ポリマー(A)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(R
A))が4以上であり、
前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記重合開始剤(B)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(R
B)が、前記重合開始剤(B)中のフッ素原子の質量割合が50質量%未満の場合において9以下であり、前記質量割合が50質量%以上の場合において6以下であり、
前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記重合開始剤(B)の分解物(C)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(R
C)が、前記分解物(C)中のフッ素原子の質量割合が50質量%未満の場合において9以下であり、前記質量割合が50質量%以上の場合において6以下であり、
前記溶解指標Rは、次の式
R={4×(δD
1-δD
2)
2+(δP
1-δP
2)
2+(δH
1-δH
2)
2}
0.5
[式中、δD
1、δP
1、及びδH
1はそれぞれ要素1のハンセン溶解度パラメータにおける分散項、極性項、及び水素結合項を示し、δD
2、δP
2、δH
2はそれぞれ要素2のハンセン溶解度パラメータにおける分散項、極性項、及び水素結合項を示す。]
から算出される、
製造方法。
【請求項11】
前記重合工程で生成した沈殿物及び重合生成液を濾過することにより重合生成液を除去して、前記含フッ素ポリマー(A)を得る濾過工程をさらに有する、請求項10に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
【請求項12】
前記重合開始剤(B)がパーオキサイド類である、請求項10又は11に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
【請求項13】
前記重合開始剤(B)は、
式(B1)
【化24】
[式中、R
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C20のアルキル基、又はC1-C20のフルオロアルキル基を示し、
前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R
11及びR
12は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは
2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよく、
R
13及びR
14は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよい。]
で表される化合物、
式(B2)
【化25】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化26】
[式中、R
17及びR
18はそれぞれ独立して、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよい。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項10又は11に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
【請求項14】
前記重合開始剤(B)の分解物(C)は、
式(C1)
【化27】
[式中、R
41及びR
42はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C20のアルキル基、又はC1-C20のフルオロアルキル基を示し、
前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R
41及びR
42は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよく、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化28】
[式中、R
45は、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化29】
[式中、R
47はC1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、
R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項10~13のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
【請求項15】
前記含フッ素モノマー(M)は、式(M1)
【化30】
で表される化合物であり、
前記式(A)で表される構成単位が、式(A1)
【化31】
で表される構成単位である、請求項10~14のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
【請求項16】
前記含フッ素モノマー(M)は、化合物(N)を原料モノマーの質量に対し0.0001~10質量%で含有し、
前記化合物(N)は、
式(N)
【化32】
[式中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示し、R
71及びR
72はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を示し、R
71及びR
72のいずれか一方が水素原子の場合、他の一方の基はフッ素原子を示す。]
で表される化合物である、請求項10~15のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
【請求項17】
前記化合物(N)は、
式(N1)
【化33】
で表される化合物、及び
式(N2)
【化34】
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項16に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
【請求項18】
前記重合開始剤(B)が、
式(B1)
【化35】
[式中、R
11及びR
13はフッ素原子であり、
R
12及びR
14はそれぞれ独立して、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)を示す。]
で表される化合物、
式(B2)
【化36】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化37】
[式中、R
17は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
18は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルを示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項10、11、および14~17のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
【請求項19】
前記分解物(C)が、
式(C1)
【化38】
[式中、R
41はフッ素原子を示し、
R
42は、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)
を示し、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化39】
[式中、R
45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化40】
[式中、R
47は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項10~13および15~18のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
【請求項20】
前記溶媒(D)が、ハイドロフルオロエーテル及び含フッ素アルコールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項10~19のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
【請求項21】
前記含フッ素モノマー(M)が、式(M1)
【化41】
で表される化合物であり、
前記含フッ素モノマー(M)は、化合物(N)を原料モノマーの質量に対し0.0001~10質量%で含有し、
前記化合物(N)は、
式(N1)
【化42】
で表される化合物、及び
式(N2)
【化43】
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記式(A)で表される構成単位が、式(A1)
【化44】
で表される構成単位であり、
前記重合開始剤(B)が、
式(B1)
【化45】
[式中、R
11及びR
13はフッ素原子であり、
R
12及びR
14はそれぞれ独立して、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)を示す。]
で表される化合物、
式(B2)
【化46】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化47】
[式中、R
17は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
18は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルを示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記分解物(C)が、
式(C1)
【化48】
[式中、R
41はフッ素原子を示し、
R
42は、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)
を示し、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化49】
[式中、R
45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化50】
[式中、R
47は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記溶媒(D)が、ハイドロフルオロエーテル及び含フッ素アルコールからなる群から選択される少なくとも1種である、
請求項10又は11に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
【請求項22】
含フッ素ポリマー(A)を含有する紫外光発光素子用レンズであって、
前記含フッ素ポリマー(A)が、式(A)
【化51】
[式中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位を主成分として含み、
前記含フッ素ポリマー(A)の240nm~340nmの波長における平均透過率が85%以上である、
紫外光発光素子用レンズ。
【請求項23】
前記式(A)で表される構成単位が、式(A1)
【化52】
で表される構成単位である、請求項22に記載の紫外光発光素子用レンズ。
【請求項24】
式(M1)
【化53】
で表される含フッ素モノマー(M1)、重合開始剤(B)、及び溶媒(D)の存在下で前記含フッ素モノマー(M1)を重合させ、沈殿物として生成する含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物であって、
前記含フッ素ポリマー(A1)は、式(A1)
【化54】
で表される構成単位を主成分として含み、
前記含フッ素モノマー(M1)は、
式(N1)
【化55】
で表される化合物、及び
式(N2)
【化56】
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を、原料モノマーの質量に対し0.0001~10質量%で含有し、
前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記含フッ素ポリマー(A1)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(R
A1))が4以上であり、前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記重合開始剤(B)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(R
B)が、前記重合開始剤(B)中のフッ素原子の質量割合が50質量%未満の場合において9以下であり、前記質量割合が50質量%以上の場合において6以下であり、
前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記重合開始剤(B)の分解物(C)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(R
C)が、前記分解物(C)中のフッ素原子の質量割合が50質量%未満の場合において9以下であり、前記質量割合が50質量%以上の場合において6以下であり、
前記溶解指標Rは、次の式
R={4×(δD
1-δD
2)
2+(δP
1-δP
2)
2+(δH
1-δH
2)
2}
0.5
[式中、δD
1、δP
1、及びδH
1はそれぞれ要素1のハンセン溶解度パラメータにおける分散項、極性項、及び水素結合項を示し、δD
2、δP
2、δH
2はそれぞれ要素2のハンセン溶解度パラメータにおける分散項、極性項、及び水素結合項を示す。]
から算出される、
組成物。
【請求項25】
前記重合開始剤(B)がパーオキサイド類である、請求項24に記載の含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物。
【請求項26】
前記重合開始剤(B)は、
式(B1)
【化57】
[式中、R
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C20のアルキル基、又はC1-C20のフルオロアルキル基を示し、
前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R
11及びR
12は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよく、
R
13及びR
14は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよい。]
で表される化合物、
式(B2)
【化58】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化59】
[式中、R
17及びR
18はそれぞれ独立して、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよい。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、
請求項24に記載の含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物。
【請求項27】
前記重合開始剤(B)の分解物(C)は、
式(C1)
【化60】
[式中、R
41及びR
42はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C20のアルキル基、又はC1-C20のフルオロアルキル基を示し、
前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R
41及びR
42は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよく、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化61】
[式中、R
45は、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又
は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化62】
[式中、R
47はC1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、
R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、
請求項24又は25に記載の含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物。
【請求項28】
前記重合開始剤(B)が、
式(B1)
【化63】
[式中、R
11及びR
13はフッ素原子であり、
R
12及びR
14はそれぞれ独立して、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)を示す。]
で表される化合物、
式(B2)
【化64】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化65】
[式中、R
17は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
18は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルを示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項24に記載の含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物。
【請求項29】
前記分解物(C)が、
式(C1)
【化66】
[式中、R
41はフッ素原子を示し、
R
42は、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)
を示し、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化67】
[式中、R
45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化68】
[式中、R
47は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項24~26および28のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物。
【請求項30】
前記溶媒(D)が、ハイドロフルオロエーテル及び含フッ素アルコールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項24~29のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物。
【請求項31】
前記重合開始剤(B)が、
式(B1)
【化69】
[式中、R
11及びR
13はフッ素原子であり、
R
12及びR
14はそれぞれ独立して、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)を示す。]
で表される化合物、
式(B2)
【化70】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化71】
[式中、R
17は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
18は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルを示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記分解物(C)が、
式(C1)
【化72】
[式中、R
41はフッ素原子を示し、
R
42は、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)
を示し、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化73】
[式中、R
45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化74】
[式中、R
47は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記溶媒(D)が、ハイドロフルオロエーテル及び含フッ素アルコールからなる群から選択される少なくとも1種である、
請求項24に記載の含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、含フッ素ポリマーを含有する組成物、含フッ素ポリマーの製造方法、及び含フッ素ポリマーを含有する紫外光発光素子用レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
オキソラン環を含む含フッ素ポリマーは、透明性が高いことが知られており、光学分野での用途が検討されている。そして、他方、近年では紫外光発光素子の利用が拡大しており、紫外光の透過性が高いポリマーが要望されている。
【0003】
特許文献1及び2には、含フッ素ポリマーの末端部がカルボニル基を含まないことで、含フッ素ポリマーの黄変が抑制され、紫外光の透過性が向上することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-155736号公報
【特許文献2】国際公開第2014/156996号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者は、オキソラン環を含む含フッ素ポリマーが、その末端部にカルボニル基を含まないポリマーであっても、紫外光の透過性が低くなる場合があることに着目した。本開示は、紫外光透過性の高い含フッ素ポリマーを含有する組成物、紫外光透過性の高い含フッ素ポリマーを製造する方法、紫外光透過性の高い含フッ素ポリマーを含有する紫外光発光素子用レンズ等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、含フッ素ポリマー製造に使用される重合開始剤及び/又はその分解物が、製造される含フッ素ポリマーに混入することによって、紫外光を吸収し、含フッ素ポリマーの紫外光透過性を低下させ得ることを知得した。
【0007】
そして、沈殿重合で含フッ素ポリマーを製造する際に、つまり原料モノマーを溶媒中で重合させ、生成した含フッ素ポリマーを溶媒中に沈殿させて製造する場合において、溶質(モノマー、重合開始剤、及び重合開始剤の分解物)及び溶媒が特定の範囲内の溶解指標Rを有すると、含フッ素ポリマーに混入する重合開始剤及び/又はその分解物の量が低減された含フッ素ポリマーを製造できることを見出した。
【0008】
本開示は、代表的には次の態様を包含する。
項1.
含フッ素ポリマー(A)、並びに、重合開始剤(B)及び重合開始剤(B)の分解物(C)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(BC)を含有する組成物であって、
前記化合物(BC)を、組成物質量に対して0.1~100質量ppmで含有し、
前記含フッ素ポリマー(A)が、式(A)
【化1】
[式中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位を主成分として含む、
組成物。
項2.
前記重合開始剤(B)がパーオキサイド類である、項1に記載の組成物。
項3.
前記重合開始剤(B)は、
式(B1)
【化2】
[式中、R
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C20のアルキル基、又はC1-C20のフルオロアルキル基を示し、
前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R
11及びR
12は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよく、
R
13及びR
14は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよい。]
で表される化合物、
式(B2)
【化3】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化4】
[式中、R
17及びR
18はそれぞれ独立して、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよい。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、項1に記載の組成物。
項4.
前記分解物(C)は、
式(C1)
【化5】
[式中、R
41及びR
42はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C20のアルキル基、又はC1-C20のフルオロアルキル基を示し、
前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R
41及びR
42は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよく、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化6】
[式中、R
45は、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化7】
[式中、R
47はC1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、
R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
項5.
240nm~340nmの波長における平均透過率が85%以上である、項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
項6.
前記式(A)で表される構成単位が、式(A1)
【化8】
で表される構成単位である、項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
項7.
前記重合開始剤(B)が、
式(B1)
【化9】
[式中、R
11及びR
13はフッ素原子であり、
R
12及びR
14はそれぞれ独立して、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)を示す。]
で表される化合物、
式(B2)
【化10】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化11】
[式中、R
17は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
18は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルを示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、項1、4~6のいずれか一項に記載の組成物。
項8.
前記分解物(C)が、
式(C1)
【化12】
[式中、R
41はフッ素原子を示し、
R
42は、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)
を示し、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化13】
[式中、R
45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化14】
[式中、R
47は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、項1~3および5~7のいずれか一項に記載の組成物。
項9.
前記式(A)で表される構成単位が、式(A1)
【化15】
で表される構成単位であり、
前記重合開始剤(B)が、
式(B1)
【化16】
[式中、R
11及びR
13はフッ素原子であり、
R
12及びR
14はそれぞれ独立して、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)を示す。]
で表される化合物、
式(B2)
【化17】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化18】
[式中、R
17は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
18は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルを示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記分解物(C)が、
式(C1)
【化19】
[式中、R
41はフッ素原子を示し、
R
42は、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)
を示し、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化20】
[式中、R
45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化21】
[式中、R
47は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、項1または5に記載の組成物。
項10.
含フッ素ポリマー(A)の製造方法であって、
式(M)
【化22】
[式中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される含フッ素モノマー(M)、重合開始剤(B)、及び溶媒(D)の存在下で前記含フッ素モノマー(M)を重合させて、含フッ素ポリマー(A)を沈殿物として生成させる重合工程を有し、
前記含フッ素ポリマー(A)は、式(A)
【化23】
[式中、R
1~R
4は前記と同じ。]
で表される構成単位を主成分として含み、
前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記含フッ素ポリマー(A)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(R
A))が4以上であり、
前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記重合開始剤(B)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(R
B)が、前記重合開始剤(B)中のフッ素原子の質量割合が50質量%未満の場合において9以下であり、前記質量割合が50質量%以上の場合において6以下であり、
前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記重合開始剤(B)の分解物(C)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(R
C)が、前記分解物(C)中のフッ素原子の質量割合が50質量%未満の場合において9以下であり、前記質量割合が50質量%以上の場合において6以下であり、
前記溶解指標Rは、次の式
R={4×(δD
1-δD
2)
2+(δP
1-δP
2)
2+(δH
1-δH
2)
2}
0.5
[式中、δD
1、δP
1、及びδH
1はそれぞれ要素1のハンセン溶解度パラメータにおける分散項、極性項、及び水素結合項を示し、δD
2、δP
2、δH
2はそれぞれ要素2のハンセン溶解度パラメータにおける分散項、極性項、及び水素結合項を示す。]
から算出される、
製造方法。
項11.
前記重合工程で生成した沈殿物及び重合生成液を濾過することにより重合生成液を除去して、前記含フッ素ポリマー(A)を得る濾過工程をさらに有する、項10に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
項12.
前記重合開始剤(B)がパーオキサイド類である、項10又は11に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
項13.
前記重合開始剤(B)は、
式(B1)
【化24】
[式中、R
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C20のアルキル基、又はC1-C20のフルオロアルキル基を示し、
前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R
11及びR
12は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは
2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよく、
R
13及びR
14は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよい。]
で表される化合物、
式(B2)
【化25】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化26】
[式中、R
17及びR
18はそれぞれ独立して、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよい。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、項10又は11に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
項14.
前記重合開始剤(B)の分解物(C)は、
式(C1)
【化27】
[式中、R
41及びR
42はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C20のアルキル基、又はC1-C20のフルオロアルキル基を示し、
前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R
41及びR
42は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよく、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化28】
[式中、R
45は、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化29】
[式中、R
47はC1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、
R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、項10~13のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
項15.
前記含フッ素モノマー(M)は、式(M1)
【化30】
で表される化合物であり、
前記式(A)で表される構成単位が、式(A1)
【化31】
で表される構成単位である、項10~14のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
項16.
前記含フッ素モノマー(M)は、化合物(N)を原料モノマーの質量に対し0.0001~10質量%で含有し、
前記化合物(N)は、
式(N)
【化32】
[式中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示し、R
71及びR
72はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を示し、R
71及びR
72のいずれか一方が水素原子の場合、他の一方の基はフッ素原子を示す。]
で表される化合物である、項10~15のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
項17.
前記化合物(N)は、
式(N1)
【化33】
で表される化合物、及び
式(N2)
【化34】
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、項16に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
項18.
前記重合開始剤(B)が、
式(B1)
【化35】
[式中、R
11及びR
13はフッ素原子であり、
R
12及びR
14はそれぞれ独立して、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)を示す。]
で表される化合物、
式(B2)
【化36】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化37】
[式中、R
17は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
18は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルを示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、項10、11、および14~17のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
項19.
前記分解物(C)が、
式(C1)
【化38】
[式中、R
41はフッ素原子を示し、
R
42は、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)
を示し、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化39】
[式中、R
45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化40】
[式中、R
47は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、項10~13および15~18のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
項20.
前記溶媒(D)が、ハイドロフルオロエーテル及び含フッ素アルコールからなる群から選択される少なくとも1種である、項10~19のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
項21.
前記含フッ素モノマー(M)が、式(M1)
【化41】
で表される化合物であり、
前記含フッ素モノマー(M)は、化合物(N)を原料モノマーの質量に対し0.0001~10質量%で含有し、
前記化合物(N)は、
式(N1)
【化42】
で表される化合物、及び
式(N2)
【化43】
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記式(A)で表される構成単位が、式(A1)
【化44】
で表される構成単位であり、
前記重合開始剤(B)が、
式(B1)
【化45】
[式中、R
11及びR
13はフッ素原子であり、
R
12及びR
14はそれぞれ独立して、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)を示す。]
で表される化合物、
式(B2)
【化46】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化47】
[式中、R
17は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
18は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルを示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記分解物(C)が、
式(C1)
【化48】
[式中、R
41はフッ素原子を示し、
R
42は、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)
を示し、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化49】
[式中、R
45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化50】
[式中、R
47は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記溶媒(D)が、ハイドロフルオロエーテル及び含フッ素アルコールからなる群から選択される少なくとも1種である、
項10又は11に記載の含フッ素ポリマー(A)の製造方法。
項22.
含フッ素ポリマー(A)を含有する紫外光発光素子用レンズであって、
前記含フッ素ポリマー(A)が、式(A)
【化51】
[式中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位を主成分として含み、
前記含フッ素ポリマー(A)の240nm~340nmの波長における平均透過率が85%以上である、
紫外光発光素子用レンズ。
項23.
前記式(A)で表される構成単位が、式(A1)
【化52】
で表される構成単位である、項22に記載の紫外光発光素子用レンズ。
項24.
式(M1)
【化53】
で表される含フッ素モノマー(M1)、重合開始剤(B)、及び溶媒(D)の存在下で前記含フッ素モノマー(M1)を重合させ、沈殿物として生成する含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物であって、
前記含フッ素ポリマー(A1)は、式(A1)
【化54】
で表される構成単位を主成分として含み、
前記含フッ素モノマー(M1)は、
式(N1)
【化55】
で表される化合物、及び
式(N2)
【化56】
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を、原料モノマーの質量に対し0.0001~10質量%で含有し、
前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記含フッ素ポリマー(A1)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(R
A1))が4以上であり、前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記重合開始剤(B)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(R
B)が、前記重合開始剤(B)中のフッ素原子の質量割合が50質量%未満の場合において9以下であり、前記質量割合が50質量%以上の場合において6以下であり、
前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記重合開始剤(B)の分解物(C)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(R
C)が、前記分解物(C)中のフッ素原子の質量割合が50質量%未満の場合において9以下であり、前記質量割合が50質量%以上の場合において6以下であり、
前記溶解指標Rは、次の式
R={4×(δD
1-δD
2)
2+(δP
1-δP
2)
2+(δH
1-δH
2)
2}
0.5
[式中、δD
1、δP
1、及びδH
1はそれぞれ要素1のハンセン溶解度パラメータにおける分散項、極性項、及び水素結合項を示し、δD
2、δP
2、δH
2はそれぞれ要素2のハンセン溶解度パラメータにおける分散項、極性項、及び水素結合項を示す。]
から算出される、
組成物。
項25.
前記重合開始剤(B)がパーオキサイド類である、項24に記載の含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物。
項26.
前記重合開始剤(B)は、
式(B1)
【化57】
[式中、R
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C20のアルキル基、又はC1-C20のフルオロアルキル基を示し、
前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R
11及びR
12は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよく、
R
13及びR
14は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよい。]
で表される化合物、
式(B2)
【化58】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化59】
[式中、R
17及びR
18はそれぞれ独立して、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよい。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、
項24に記載の含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物。
項27.
前記重合開始剤(B)の分解物(C)は、
式(C1)
【化60】
[式中、R
41及びR
42はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C20のアルキル基、又はC1-C20のフルオロアルキル基を示し、
前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R
41及びR
42は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよく、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化61】
[式中、R
45は、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又
は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化62】
[式中、R
47はC1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、
R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、
項24又は25に記載の含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物。
項28.
前記重合開始剤(B)が、
式(B1)
【化63】
[式中、R
11及びR
13はフッ素原子であり、
R
12及びR
14はそれぞれ独立して、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)を示す。]
で表される化合物、
式(B2)
【化64】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化65】
[式中、R
17は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
18は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルを示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、項24に記載の含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物。
項29.
前記分解物(C)が、
式(C1)
【化66】
[式中、R
41はフッ素原子を示し、
R
42は、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)
を示し、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化67】
[式中、R
45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化68】
[式中、R
47は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、項24~26および28のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物。
項30.
前記溶媒(D)が、ハイドロフルオロエーテル及び含フッ素アルコールからなる群から選択される少なくとも1種である、項24~29のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物。
項31.
前記重合開始剤(B)が、
式(B1)
【化69】
[式中、R
11及びR
13はフッ素原子であり、
R
12及びR
14はそれぞれ独立して、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)を示す。]
で表される化合物、
式(B2)
【化70】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示す。]
で表される化合物、及び
式(B3)
【化71】
[式中、R
17は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
18は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルを示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記分解物(C)が、
式(C1)
【化72】
[式中、R
41はフッ素原子を示し、
R
42は、
-(CF
2)
n1CF
3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF
2)
n2CF
2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF
2)
n3CF
3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF
2)
n4CF
2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)
を示し、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、
式(C2)
【化73】
[式中、R
45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物、及び
式(C3)
【化74】
[式中、R
47は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリフルオロメチル
、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルを示し、R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記溶媒(D)が、ハイドロフルオロエーテル及び含フッ素アルコールからなる群から選択される少なくとも1種である、
項24に記載の含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、紫外光透過性の高い含フッ素ポリマーを含有する組成物、紫外光透過性の高い含フッ素ポリマーを製造する方法、紫外光透過性の高い含フッ素ポリマーを含有する紫外光発光素子用レンズ等を提供できる。
本開示の製造方法は、重合後の重合開始剤及び/又はその分解物の除去工程を必要とすることなく、紫外光透過性の高い含フッ素ポリマーを、重合工程及び濾過工程で製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の前記概要は、本開示の各々の開示された実施形態または全ての実装を記述することを意図するものではない。
本開示の後記説明は、実例の実施形態をより具体的に例示する。
本開示のいくつかの箇所では、例示を通してガイダンスが提供され、及びこの例示は、様々な組み合わせにおいて使用できる。
それぞれの場合において、例示の群は、非排他的な、及び代表的な群として機能できる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられる。
【0011】
用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本開示が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
【0012】
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
【0013】
特に断りのない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実
施され得る。
本明細書中、室温は、10~40℃の範囲内の温度を意味することができる。
【0014】
本明細書中、表記「Cn-Cm」(ここで、n、及びmは、それぞれ、数である。)は、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上、且つm以下であることを表す。
【0015】
本明細書中、特に断りのない限り、「アルキル基」は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基である。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル(例:n-プロピル、イソプロピル)、ブチル(例:n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル)、ペンチル(例:n-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等の、直鎖又は分岐鎖状の、C1-C20のアルキル基(例えばC1-C10、好ましくはC1-C7、より好ましくはC1-C6、より一層好ましくはC1-C4、特に好ましくはC1-C3のアルキル基);シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル等の環状のC3-C10のアルキル基(例えば、C3-C6、C4-C6、C3-C5、C5-C6、C4-C8のアルキル基)が挙げられる。
【0016】
本明細書中、特に断りのない限り、「アルコキシ基」は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルコキシ基である。アルコキシ基は、RO-[当該式中、Rはアルキル基(例えばC1-C20アルキル基、C1-C10アルキル基、C1-C7アルキル基、C1-C6アルキル基、C1-C4アルキル基、C1-C3アルキル基)である。]で表される基であることができる。
【0017】
アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例:n-プロポキシ、イソプロポキシ)、ブトキシ(例:n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ)、ペンチルオキシ(例:n-ペンチルオキシ、tert-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、sec-ペンチルオキシ、3-ペンチルオキシ)、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、オクタデシルオキシ、ノナデシルオキシ、イコシルオキシ等の、直鎖又は分岐鎖状の、例えばC1-C20のアルコキシ基(例えばC1-C10、好ましくはC1-C7、より好ましくはC1-C6、より一層好ましくはC1-C4、特に好ましくはC1-C3のアルコキシ基);シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ、アダマンチルオキシ等の環状のC3-C10のアルコキシ基(例えば、C3-C6、C4-C6、C3-C5、C5-C6、C4-C8のアルコキシ基)を包含する。
【0018】
本明細書中、特に断りのない限り、「フルオロアルキル基」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基である。フルオロアルキル基は、アルキル基の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基も包含する。
【0019】
フルオロアルキル基の炭素数は、例えば、1~20、1~10、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、又は1であることができる。
【0020】
フルオロアルキル基の例は、1~3個のフッ素原子を有するメチル、1~5個のフッ素
原子を有するエチル、1~7個のフッ素原子を有するプロピル(例:n-プロピル、イソプロピル)、1~9個のフッ素原子を有するブチル(例:n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル)、1~11個のフッ素原子を有するペンチル(例:n-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル)、1~13個のフッ素原子を有するヘキシル、1~15個のフッ素原子を有するヘプチル、1~17個のフッ素原子を有するオクチル、1~19個のフッ素原子を有するノニル、1~21個のフッ素原子を有するデシル、1~23個のフッ素原子を有するウンデシル、1~25個のフッ素原子を有するドデシル、1~27個のフッ素原子を有するトリデシル、1~29個のフッ素原子を有するテトラデシル、1~31個のフッ素原子を有するペンタデシル、1~33個のフッ素原子を有するヘキサデシル、1~35個のフッ素原子を有するヘプタデシル、1~37個のフッ素原子を有するオクタデシル、1~39個のフッ素原子を有するノナデシル、1~41個のフッ素原子を有するイコシル等の、直鎖又は分岐状の、C1-C20のフルオロアルキル基(例えばC1-C10、C1-C4、C1-C3等、好ましくはC1-C7、より好ましくはC1-C6のフルオロアルキル基(好ましくはパーフルオロアルキル基);シクロフルオロプロピル、シクロフルオロブチル、シクロフルオロペンチル、シクロフルオロヘキシル、シクロフルオロヘプチル、シクロフルオロオクチル、フルオロアダマンチル等の環状のC3-C10のフルオロアルキル基(例えば、C3-C6、C4-C6、C3-C5、C5-C6、C4-C8のフルオロアルキル基)(好ましくはパーフルオロアルキル基)を包含する。
【0021】
フルオロアルキル基に含まれるフッ素原子の数は、1個~置換可能な最大個数であってよく、例えば1~41個、1~21個、1~19個、1~17個、1~15個、1~13個、1~11個、1~9個、1~7個、1~5個、1~3個等とできる。
「フルオロアルキル基」として、具体的には、例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル(CF3-)、2,2,2-トリフルオロエチル、パーフルオロエチル基(C2F5-)、テトラフルオロプロピル基(例:HCF2CF2CH2-)、ヘキサフルオロプロピル(例:(CF3)2CH-)、パーフルオロプロピル(例:CF3CF2CF2-、(CF3)2CF-)、パーフルオロブチル(例:CF3CF2CF2CF2-、(CF3)2CFCF2-、(CF3)3-)、デカフルオロヘキシル(例:HCF2CF2CF2CF2CF2-)、オクタフルオロペンチル(例:HCF2CF2CF2CF2CH2-)、パーフルオロペンチル(例:CF3CF2CF2CF2CF2-、(CF3)2CFCF2CF2-)及びパーフルオロヘキシル(例:CF3CF2CF2CF2CF2CF2-、(CF3)2CFCF2CF2CF2-)、パーフルオロヘプチル(例:CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2-、(CF3)2CFCF2CF2CF2CF2-)、パーフルオロヘキサデシル(例:CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2-)等の、直鎖又は分岐鎖状の、フルオロアルキル基;シクロフルオロプロピル、シクロフルオロブチル、シクロフルオロペンチル、シクロフルオロヘキシル、シクロフルオロヘプチル、シクロフルオロオクチル、フルオロアダマンチル等の環状のC3-C10のフルオロアルキル基(好ましくはパーフルオロアルキル基)が挙げられる。
【0022】
本明細書中、特に断りのない限り、「フルオロアルコキシ基」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルコキシ基である。フルオロアルコキシ基は、アルコキシ基の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたパーフルオロアルコキシ基も包含する。
【0023】
フルオロアルコキシ基の炭素数は、例えば、1~20、1~10、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、又は1であることができる。
【0024】
フルオロアルコキシ基の例は、1~3個のフッ素原子を有するメトキシ、1~5個のフ
ッ素原子を有するエトキシ、1~7個のフッ素原子を有するプロポキシ(例:n-プロポキシ、イソプロポキシ)、1~9個のフッ素原子を有するブトキシ(例:n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ)、1~11個のフッ素原子を有するペンチルオキシ(例:n-ペンチルオキシ、tert-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、sec-ペンチルオキシ、3-ペンチルオキシ)、1~13個のフッ素原子を有するヘキシルオキシ、1~15個のフッ素原子を有するヘプチルオキシ、1~17個のフッ素原子を有するオクチルオキシ、1~19個のフッ素原子を有するノニルオキシ、1~21個のフッ素原子を有するデシルオキシ、1~23個のフッ素原子を有するウンデシルオキシ、1~25個のフッ素原子を有するドデシルオキシ、1~27個のフッ素原子を有するトリデシルオキシ、1~29個のフッ素原子を有するテトラデシルオキシ、1~31個のフッ素原子を有するペンタデシルオキシ、1~33個のフッ素原子を有するヘキサデシルオキシ、1~35個のフッ素原子を有するヘプタデシルオキシ、1~37個のフッ素原子を有するオクタデシルオキシ、1~39個のフッ素原子を有するノナデシルオキシ、1~41個のフッ素原子を有するイコシルオキシ等の、直鎖又は分岐状の、C1-C20のフルオロアルコキシ基(例えばC1-C10、好ましくはC1-C7、より好ましくはC1-C6、より一層好ましくはC1-C4、特に好ましくはC1-C3)のフルオロアルコキシ基(好ましくはパーフルオロアルコキシ基);シクロフルオロプロポキシ、シクロフルオロブトキシ、シクロフルオロペンチルオキシ、シクロフルオロヘキシルオキシ、シクロフルオロヘプチルオキシ、シクロフルオロオクチルオキシ、フルオロアダマンチルオキシ等の環状のC3-C10のフルオロアルコキシ基(例えば、C3-C6、C4-C6、C3-C5、C5-C6、C4-C8のフルオロアルコキシ基)を包含する。
【0025】
フルオロアルコキシ基に含まれるフッ素原子の数は、1個~置換可能な最大個数であってよく、例えば1~41個、1~21個、1~19個、1~17個、1~15個、1~13個、1~11個、1~9個、1~7個、1~5個、1~3個等とできる。
【0026】
「フルオロアルコキシ基」として、具体的には、例えば、モノフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ(CF3O-)、2,2,2-トリフルオロエトキシ、パーフルオロエトキシ(C2F5O-)、テトラフルオロプロポキシ(例:HCF2CF2CH2O-)、ヘキサフルオロプロポキシ基(例:(CF3)2CHO-)、パーフルオロプロポキシ(例:CF3CF2CF2O-、(CF3)2CFO-)、パーフルオロブトキシ(例:CF3CF2CF2CF2O-、(CF3)2CFCF2O-、(CF3)3O-)、デカフルオロヘキシルオキシ(例:HCF2CF2CF2CF2CF2O-)、オクタフルオロペンチルオキシ(例:HCF2CF2CF2CF2CH2O-)、パーフルオロペンチルオキシ(例:CF3CF2CF2CF2CF2O-、(CF3)2CFCF2CF2O-)及びパーフルオロヘキシルオキシ(例:CF3CF2CF2CF2CF2CF2O-、(CF3)2CFCF2CF2CF2O-)、パーフルオロヘプチルオキシ(例:CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2O-、(CF3)2CFCF2CF2CF2CF2O-)、パーフルオロヘキサデシルオキシ(例:CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2O-)等の、直鎖又は分岐鎖状の、フルオロアルコキシ基;シクロフルオロプロポキシ、シクロフルオロブトキシ、シクロフルオロペンチルオキシ、シクロフルオロヘキシルオキシ、シクロフルオロヘプチルオキシ、シクロフルオロオクチルオキシ、フルオロアダマンチルオキシ等の環状のC3-C10のフルオロアルコキシ基(好ましくはパーフルオロアルコキシ基)が挙げられる。
【0027】
本明細書中、特に断りのない限り、「4~20個の炭素原子を環構成原子とした4~20員環」としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、シク
ロウンデカン環、シクロドデカン環等のシクロアルカン環(好ましくはシクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環)、シクロブタジエン環、シクロオクタテトラエン環等の非芳香族性の不飽和炭化水素環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の芳香環などが挙げられる。
【0028】
本明細書中、特に断りのない限り、「3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とした4~22員環」としては、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、オキセパン環、オキソカン環、オキソナン環等の1個の酸素原子を環構成原子とした含酸素飽和複素環、オキセト環、フラン環、ピラン環、オキセピン環、オキソシン環、オキソニン環等の1個の酸素原子を環構成原子とした含酸素不飽和複素環、ジオキセタン環、ジオキソラン環、ジオキサン環、ジオキセパン環、ジオキソカン環等の2個の酸素原子を環構成原子とした含酸素飽和複素環、ジオキセト環、ジオキソレン環、ジヒドロジオキシン環、ジヒドロジオキセピン環、テトラヒドロジオキソシン環等の2個の酸素原子を環構成原子とした含酸素不飽和複素環、チエット環、チオフェン環、チオピラン環、チエピン環、チオシン環、チオニン環等の含硫黄不飽和複素環、チエタン環、テトラヒドロチオフェン環、チアン環、チエパン環、チオカン環、チオナン環等の含硫黄飽和複素環などが挙げられる。
【0029】
本明細書中、特に断りのない限り、「4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環」は、4~20個の炭素原子を環構成原子とした4~20員環の環構成原子に結合する水素原子の少なくとも1個がフッ素原子に置換された環である。当該フッ素原子の数は、1~置換可能な最大個数であり得る。好ましくは、環構成原子に結合する水素原子の全部がフッ素原子に置換された環(いわゆるパーフルオロ環)である。
【0030】
本明細書中、特に断りのない限り、「3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環」は、3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とした4~22員環の環構成原子に結合する水素原子の少なくとも1個がフッ素原子に置換された環である。当該フッ素原子の数は、1~置換可能な最大個数であり得る。好ましくは、環構成原子に結合する水素原子の全部がフッ素原子に置換された環(いわゆるパーフルオロ環)である。
【0031】
本明細書中、特に断りのない限り、「アリール基」は、単環、二環、又は三環のアリールであり得る。アリール基は、C6-C14アリール基、C6-C10アリール基、C6-C9アリール基、C6アリール基であり得る。アリール基としては、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。アリール基は、メチル、エチル、プロピル等を、複数ある時は同一又は異なって、有してもよい。アリール基が有する基の数は6個、5個、4個、3個、2個、1個、0個であり得る。
【0032】
本明細書中、特に断りのない限り、「フッ素原子を有するアリール基」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換されたアリール基であり、アリール基の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたパーフルオロアリール基も包含し、パーフルオロアリール基が好ましい。
【0033】
アリール基が有するフッ素原子の数は、1個~置換可能な最大個数であってよく、例えば1~16個、1~15個、1~14個、1~13個、1~12個、1~11個、1~10個、1~9個、1~5個、1~3個等であり得る。
【0034】
フッ素原子を有するアリール基としては、フッ素原子を有するフェニル、フッ素原子を有する1-ナフチル、フッ素原子を有する2-ナフチル、フッ素原子を有するインデニル、フッ素原子を有するビフェニリル、フッ素原子を有するアントリル、フッ素原子を有するフェナントリル等を挙げることができる。
【0035】
本明細書中、特に断りのない限り、「アルカリ金属」の例は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムを包含し、好適な例は、リチウム、ナトリウム、カリウムを包含し、より好適な例は、ナトリウム、カリウムを包含する。
【0036】
本明細書中、特に断りのない限り、「アルカリ土類金属」の例は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムを包含し、好適な例は、マグネシウム、カルシウムを包含する。
【0037】
含フッ素ポリマー(A)の製造方法
本開示の一実施態様は、含フッ素ポリマー(A)の製造方法である。本開示の製造方法は、紫外光透過性の高い含フッ素ポリマーを製造できる。本開示の製造方法では、重合工程及び濾過工程を含むが、重合開始剤及び/又はその分解物の除去工程は含まれても含まれなくてもよく、したがって簡便な製造方法である。
【0038】
本開示の製造方法は、式(M)
【化75】
[式中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される含フッ素モノマー(M)、重合開始剤(B)、及び溶媒(D)の存在下で前記含フッ素モノマー(M)を重合させて、含フッ素ポリマー(A)を沈殿物として生成させる重合工程を有し、
前記含フッ素ポリマー(A)は、式(A)
【化76】
[式中、R
1~R
4は前記と同じ。]
で表される構成単位(本明細書中、構成単位(A)と称する場合がある。)を主成分として含む。
【0039】
前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記含フッ素ポリマー(A)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(RA))が4以上であり得る。
【0040】
前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記重合開始剤(B)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(RB)が、前記重合開始剤(B)中のフッ素原子の質量割合が50質量%未満の場合において9以下であり得、前記質量割合が50質量%以上の場合において6以下であり得る。
【0041】
前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記重合開始剤(B)の分解物(C)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(RC)が、前記分解物(C)中のフッ素原子の質量割合が50質量%未満の場合において9以下であり得、前記質量割合が50質量%以上の場合において6以下であり得る。
【0042】
前記溶解指標Rは、次の式
R={4×(δD1-δD2)2+(δP1-δP2)2+(δH1-δH2)2}0.5
[式中、δD1、δP1、及びδH1はそれぞれ要素1のハンセン溶解度パラメータにおける分散項、極性項、及び水素結合項を示し、δD2、δP2、δH2はそれぞれ要素2のハンセン溶解度パラメータにおける分散項、極性項、及び水素結合項を示す。]
から算出される。
【0043】
含フッ素ポリマー(A)
含フッ素ポリマー(A)は、式(A)
【化77】
[式中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位を主成分として含む。
【0044】
「構成単位を主成分として含む」とは、含フッ素ポリマー(A)中の全ての構成単位における当該構成単位の割合が50モル%以上であることを意味する。
【0045】
含フッ素ポリマー(A)中の構成単位(A)の割合は、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。
【0046】
構成単位(A)の種類は1種以上であってよく、好ましくは1~3種類、より好ましくは1又は2種類、特に好ましくは1種類である。
【0047】
構成単位(A)において、R1~R4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5の直鎖又は分岐鎖状のパーフルオロアルキル基、又は直鎖又は分岐鎖状のC1-C5のパーフルオロアルコキシ基であり得る。
【0048】
構成単位(A)において、R1~R4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C4の直鎖又は分岐鎖状のパーフルオロアルキル基、又は直鎖又は分岐鎖状のC1-C4のパーフルオロアルコキシ基であり得る。
【0049】
構成単位(A)において、R1~R4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C3の
直鎖又は分岐鎖状のパーフルオロアルキル基、又は直鎖又は分岐鎖状のC1-C3のパーフルオロアルコキシ基であり得る。
【0050】
構成単位(A)において、R1~R4はそれぞれ独立して、フッ素原子、トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、又はトリフルオロメトキシであることが好ましい。
【0051】
構成単位(A)において、R1~R4はそれぞれ独立して、フッ素原子、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシであることがより好ましい。
【0052】
R1~R4は、少なくとも1つの基がフッ素原子であり、残りの基は、当該残りの基が複数あるときは独立して、C1-C2パーフルオロアルキル基又はC1-C2パーフルオロアルコキシ基であってよい。
【0053】
R1~R4は、少なくとも2つの基がフッ素原子であり、残りの基は、当該残りの基が複数あるときは独立して、C1-C2パーフルオロアルキル基又はC1-C2パーフルオロアルコキシ基であってよい。
【0054】
R1~R4は、少なくとも3つの基がフッ素原子であり、残りの基は、C1-C2パーフルオロアルキル基又はC1-C2パーフルオロアルコキシ基であってよい。
【0055】
R1~R4は、少なくとも3つの基がフッ素原子であり、残りの基は、C1-C2パーフルオロアルキル基であってよい。
【0056】
R1~R4は、全てフッ素原子であってよい。
【0057】
構成単位(A)は、下記式(A1)で表される構成単位(本明細書中、構成単位(A1)と称する場合がある。)であってよい。本明細書中、構成単位(A1)を主成分として含む含フッ素ポリマー(A)を、含フッ素ポリマー(A1)と称する場合がある。
【0058】
【0059】
R1~R4のそれぞれにおいて、C1-C5のパーフルオロアルキル基は、例えば直鎖状又は分岐状のC1-C5フルオロアルキル基、直鎖状又は分岐状のC1-C4フルオロアルキル基、直鎖状又は分岐状のC1-C3フルオロアルキル基、C1-C2フルオロアルキル基とできる。
直鎖状又は分岐状のC1-C5フルオロアルキル基としては直鎖状又は分岐状のC1-C5パーフルオロアルキル基が好ましい。
直鎖状又は分岐状のC1-C4フルオロアルキル基としては直鎖状又は分岐状のC1-C4パーフルオロアルキル基が好ましい。
直鎖状又は分岐状のC1-C3フルオロアルキル基としては直鎖状又は分岐状のC1-C3パーフルオロアルキル基が好ましい。
C1-C2フルオロアルキル基としてはC1-C2パーフルオロアルキル基が好ましい。
【0060】
含フッ素ポリマー(A)は、主成分として含まれる構成単位(A)に加えて、フルオロオレフィンに由来する構成単位(本明細書中、フルオロオレフィン単位と称する場合がある。)含むことができる。フルオロオレフィン単位は1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。含フッ素ポリマー(A)中の全ての構成単位におけるフルオロオレフィン単位の割合は50モル%以下とでき、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、0モル%が特に好ましい。
【0061】
フルオロオレフィン単位は、フッ素原子及び炭素-炭素間二重結合を含む単量体が重合後に形成する単量体単位である。
【0062】
フルオロオレフィン単位を構成する原子は、フッ素原子、フッ素原子以外のハロゲン原子、炭素原子、水素原子、及び酸素原子のみであってよい。
【0063】
フルオロオレフィン単位を構成する原子は、フッ素原子、フッ素原子以外のハロゲン原子、炭素原子、及び水素原子のみであってよい。
【0064】
フルオロオレフィン単位を構成する原子は、フッ素原子、炭素原子、及び水素原子のみであってよい。
【0065】
フルオロオレフィン単位を構成する原子は、フッ素原子及び炭素原子のみであってよい。
【0066】
フルオロオレフィン単位は、含フッ素パーハロオレフィン単位、フッ化ビニリデン単位(-CH2-CF2-)、トリフルオロエチレン単位(-CFH-CF2-)、ペンタフルオロプロピレン単位(-CFH-CF(CF3)-、-CF2-CF(CHF2)-)、1,1,1,2-テトラフルオロ-2-プロピレン単位(-CH2-CF(CF3)-)を包含する。
【0067】
含フッ素パーハロオレフィン単位は、フッ素原子及び炭素-炭素間二重結合を含み、フッ素原子以外のハロゲン原子を含んでもよい単量体が、重合後に形成する構成単位である。
【0068】
含フッ素パーハロオレフィン単位は、クロロトリフルオロエチレン単位(-CFCl-CF2-)、テトラフルオロエチレン単位(-CF2-CF2-)、ヘキサフルオロプロピレン単位(-CF2-CF(CF3)-)、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)単位(-CF2-CF(OCF3)-)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)単位(-CF2-CF(OC2F5)-)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)単位(-CF2-CF(OCF2C2F5)-)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)単位(-CF2-CF(O(CF2)2C2F5)-)、及びパーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)単位(-CF-CAF-(式中、Aは、式中に示された隣接炭素原子と共に形成されたパーフルオロジオキソラン環であってジオキソラン環の2位の炭素原子に2個のトリフルオロメチルが結合した構造を示す。))を包含する。
【0069】
フルオロオレフィン単位は、クロロトリフルオロエチレン単位、テトラフルオロエチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)単位、及びパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)単位を包含する。
【0070】
含フッ素ポリマー(A)は、構成単位(A)及びフルオロオレフィン単位に加え、さらに他の構成単位を1種以上含んでもよく、含まないことが好ましい。
このような他の構成単位は、CH2=CHRf(RfはC1-C10フルオロアルキル基を表す)単位、アルキルビニルエーテル単位(例:シクロヘキシルビニルエーテル単位、エチルビニルエーテル単位、ブチルビニルエーテル単位、メチルビニルエーテル単位)、アルケニルビニルエーテル単位(例:ポリオキシエチレンアリルエーテル単位、エチルアリルエーテル単位)、反応性α,β-不飽和基を有する有機ケイ素化合物単位(例:ビニルトリメトキシシラン単位、ビニルトリエトキシシラン単位、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン単位)、アクリル酸エステル単位(例:アクリル酸メチル単位、アクリル酸エチル単位)、メタアクリル酸エステル単位(例:メタアクリル酸メチル単位、メタクリル酸エチル単位)、ビニルエステル単位(例:酢酸ビニル単位、安息香酸ビニル単位、「ベオバ」(シェル社製のビニルエステル)単位)などを包含する。
【0071】
他の構成単位の割合は、全構成単位の、例えば0~20モル%、0~10モル%等とできる。
【0072】
含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量は、例えば、5000~1000000の範囲内、10000~1000000の範囲内、10000~500000の範囲内、90000~350000の範囲内等とでき、10000~750000の範囲内が好ましく、40000~500000の範囲内がより好ましく、70000~350000の範囲内が特に好ましい。
【0073】
含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量の下限は、例えば、5000以上とでき、10000以上が好ましく、40000以上がより好ましく、70000以上が特に好ましい。含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量の上限は、例えば、1000000以下とでき、750000以下が好ましく、500000以下がより好ましく、350000以下が特に好ましい。前記下限と上限とは適宜組み合わせられてよい。
【0074】
含フッ素ポリマー(A)の質量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法(特に、実施例に記載のGPC法)により特定される値である。
【0075】
重合工程
重合工程では、含フッ素モノマー(M)、重合開始剤(B)、及び溶媒(D)の存在下で前記含フッ素モノマー(M)を重合させる。含フッ素ポリマー(A)は生成液中に沈殿物として生成させる。
【0076】
原料モノマー
重合工程で使用される原料モノマーは、少なくとも含フッ素モノマー(M)を含有する。含フッ素モノマー(M)は、含フッ素ポリマー(A)に主成分として含まれる構成単位(A)に対応するモノマーである。含フッ素モノマー(M)は1種単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0077】
製造する含フッ素ポリマー(A)が、構成単位(A)に加えて、フルオロオレフィン単位及び/又は他の構成単位を含むときは、原料モノマーは、モノマー(M)に加え、フルオロオレフィン単位に対応するフルオロオレフィンモノマー及び/又は他の構成単位に対応するモノマー(本明細書中、他のモノマーと称する場合がある。)を含有し得る。
【0078】
当業者は、特定のモノマーを重合反応させることにより、このモノマーに対応した構成単位を有する含フッ素ポリマー(A)が得られることを理解できる。したがって、当業者は、所望の含フッ素ポリマー(A)を製造するために、適切なモノマーを選択できる。このため、当業者は、構成単位(A)に対応するモノマー、フルオロオレフィン単位に対応するフルオロオレフィンモノマー、及び他の構成単位に対応するモノマーを理解できる。
【0079】
例えば、構成単位(A)に対応するモノマーは、式(M)
【化79】
[式中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される含フッ素モノマー(M)である。
【0080】
例えば、構成単位(A1)に対応するモノマーは、式(M1)
【化80】
で表される化合物(本明細書中、含フッ素モノマー(M1)と称する場合がある。)である。
【0081】
含フッ素モノマー(M)には、化合物(N)が混入している場合がある。化合物(N)の量は、原料モノマーの質量に対し、0.0001~10質量%、0.0001~8質量%、0.0001~6質量%であり得る。化合物(N)は1種単独又は2種以上の組み合わせであってよい。
【0082】
前記化合物(N)は、
式(N)
【化81】
[式中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示し、R
71及びR
72はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を示し、R
71及びR
72のいずれか一方が水素原子の場合、他の一方の基はフッ素原子を示す。]
で表される化合物である。
【0083】
R1~R4の詳細は前記の通りである。
R71が水素原子及びR72がフッ素原子であること、並びにR71がフッ素原子及びR72が水素原子であることが好ましい。
【0084】
さらに好ましい化合物(N)は、式(N1)
【化82】
で表される化合物(本明細書中、化合物(N1)と称する場合がある。)、及び
式(N2)
【化83】
で表される化合物(本明細書中、化合物(N2)と称する場合がある。)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
【0085】
原料モノマーにおける含フッ素モノマー(M)、フルオロオレフィンモノマー及び他のモノマーの割合(例;モル比率)は、製造する含フッ素ポリマー(A)を構成する各構成単位の割合(例;モル比率)に応じて適宜選択できる。このため、含フッ素モノマー(M)、フルオロオレフィンモノマー及び他のモノマーに関する詳細については、それぞれ対応する構成単位(A)、フルオロオレフィン単位及び他の構成単位に関する前記記載から当業者が理解できる。
【0086】
フルオロオレフィンモノマーとしては、前記フルオロオレフィン単位に対応するモノマーを使用できる。フルオロオレフィンは、例えば、含フッ素パーハロオレフィン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、及び1,1,1,2-テトラフルオロ-2-プロピレンからなる群から選択される少なくとも1種であってよい。フルオロオレフィンモノマーは、好ましくは、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、及びパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群から選択される少なくとも1種であってよい。
【0087】
前記含フッ素パーハロオレフィンは、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)、及びパーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)からなる群から選択される少なくとも1種であってよい。
【0088】
重合開始剤(B)
重合開始剤(B)は、原料モノマーを重合できるものであればいずれも使用できる。重合開始剤(B)は、パーオキサイド類、アゾ類等であり得、パーオキサイド類が好ましい。重合開始剤(B)は、1種単独又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0089】
パーオキサイド類は、式(B1)
【化84】
[式中、R
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C20のアルキル基、又はC1-C20のフルオロアルキル基を示し、
前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R
11及びR
12は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよく、
R
13及びR
14は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよい。]
で表される化合物(本明細書中、化合物(B1)と称する場合がある。)、
式(B2)
【化85】
[式中、R
15及びR
16はそれぞれ独立して、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示す。]
で表される化合物(本明細書中、化合物(B2)と称する場合がある。)、及び
式(B3)
【化86】
[式中、R
17及びR
18はそれぞれ独立して、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよい。]
で表される化合物(本明細書中、化合物(B3)と称する場合がある。)
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(本明細書中、化合物(B)と称する場合がある。)であり得る。
【0090】
式(B1)において、R11及びR13が同一であり、R12及びR14が同一であること、あるいは、R11及びR12が互いに連結して形成される環構造と、R13及びR14が互いに連結して形成される環構造とが同一であることが好ましい。
【0091】
式(B1)において、R11、R12、R13、及びR14はそれぞれ独立して、
フッ素原子、
-(CF2)n1CF3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF2)n2CF2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF2)n3CF3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF2)n4CF2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)であり得、あるいは、
R11及びR12は互いに連結して4~8員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、パーフルオロナフタレン環、パーフルオロオキソラン環、又はパーフルオロジオキソラン環、及び
R13及びR14は互いに連結して4~8員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、パーフルオロナフタレン環、パーフルオロオキソラン環、又はパーフルオロジオキソラン環、
であり得る。
【0092】
式(B1)において、R11、R12、R13、及びR14はそれぞれ独立して、
フッ素原子、
-(CF2)n1CF3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF2)n2CF2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF2)n3CF3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF2)n4CF2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)であり得、あるいは、
R11及びR12は互いに連結して4~6員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、又はパーフルオロナフタレン環、及び
R13及びR14は互いに連結して4~6員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、又はパーフルオロナフタレン環
であり得る。
【0093】
式(B1)において、R11、R12、R13、及びR14はそれぞれ独立して、
-(CF2)n1CF3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF2)n2CF2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF2)n3CF3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF2)n4CF2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)であり得、あるいは、
R11及びR12は互いに連結して4~6員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、又はパーフルオロナフタレン環、及び
R13及びR14は互いに連結して4~6員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、又はパーフルオロナフタレン環
であり得る。
【0094】
式(B1)において、R11、R12、R13、及びR14はそれぞれ独立して、
フッ素原子、
-(CF2)n1CF3(ここでn1は0~2の整数を示す。)、
-(CF2)n2CF2H(ここでn2は0~2の整数を示す。)、
-O-(CF2)n3CF3(ここでn3は0~2の整数を示す。)、又は
-O-(CF2)n4CF2H(ここでn4は0~2の整数を示す。)であり得、あるいは、
R11及びR12は互いに連結して4~6員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、又はパーフルオロナフタレン環、及び
R13及びR14は互いに連結して4~6員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、又はパーフルオロナフタレン環
であり得る。
【0095】
式(B1)において、R11、R12、R13、及びR14はそれぞれ独立して、
-(CF2)n1CF3(ここでn1は0~2の整数を示す。)、
-(CF2)n2CF2H(ここでn2は0~2の整数を示す。)、
-O-(CF2)n3CF3(ここでn3は0~2の整数を示す。)、又は
-O-(CF2)n4CF2H(ここでn4は0~2の整数を示す。)であり得、あるいは、
R11及びR12は互いに連結して4~6員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、又はパーフルオロナフタレン環、及び
R13及びR14は互いに連結して4~6員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、又はパーフルオロナフタレン環
であり得る。
【0096】
式(B1)において、R11及びR13はフッ素原子であり得、R12及びR14はそれぞれ独立して、
-(CF2)n1CF3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF2)n2CF2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF2)n3CF3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF2)n4CF2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)
であり得る。
【0097】
式(B2)において、R15及びR16が同一であることが好ましい。
式(B2)において、アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していないことが好ましい。
【0098】
式(B2)において、C4-C8の環状アルキル基はシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルであり得る。
式(B2)において、C4-C8の環状フルオロアルキル基はフルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシル、フルオロシクロヘプチル、フルオロシクロオクチルであり得る。
式(B2)において、C4-C8の環状フルオロアルキル基はC4-C6の環状フルオロアルキル基であり得る。C4-C6の環状フルオロアルキル基はフルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシルであり得る。
【0099】
式(B2)において、フッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基は、フッ素原子を有してもよいフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルであり得る。
式(B2)において、フッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基は、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルであり得る。
式(B2)において、フッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基は、フェニル、ナフチルであり得る。
【0100】
式(B2)において、R15及びR16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、あるいはフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基であり得る。前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよい。
【0101】
式(B2)において、R15及びR16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、シクロブチル、
シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、フルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシル、フルオロシクロヘプチル、フルオロシクロオクチル、フッ素原子を有してもよいフェニル、フッ素原子を有してもよい、フッ素原子を有してもよいナフチル、フッ素原子を有してもよいアントリル、あるいはフッ素原子を有してもよいフェナントリルであり得る。
【0102】
式(B2)において、R15及びR16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシル、フェニル、ナフチル、フッ素原子を有するフェニル、あるいはフッ素原子を有するナフチルであり得る。
【0103】
式(B2)において、R15及びR16はそれぞれ独立して、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基であり得る。
【0104】
式(B3)において、R17及びR18が同一でないことが好ましい。
式(B3)において、R17がアルキル基及びフルオロアルキル基であるときは、エーテル性酸素原子を有していないことが好ましい。
【0105】
式(B3)において、C4-C8の環状アルキル基はシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルであり得る。
式(B3)において、C4-C8の環状フルオロアルキル基はフルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシル、フルオロシクロヘプチル、フルオロシクロオクチルであり得る。
式(B3)において、C4-C8の環状フルオロアルキル基はC4-C6の環状フルオロアルキル基であり得る。C4-C6の環状フルオロアルキル基はフルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシルであり得る。
【0106】
式(B3)において、フッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基は、フッ素原子を有してもよいフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルであり得る。
式(B3)において、フッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基は、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルであり得る。
式(B3)において、フッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基は、フッ素原子を有してもよいフェニル、ナフチルであり得る。
式(B3)において、フッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基は、フェニル、ナフチルであり得る。
【0107】
式(B3)において、R17及びR18はそれぞれ独立して、C1-C9の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C9の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、あるいはフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基であり得る。前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよい。
【0108】
式(B3)において、R17及びR18はそれぞれ独立して、C1-C9の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C9の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、フルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシル、フルオロシクロヘプチル、フルオロシクロオクチル、フッ素原子を有してもよいフェニル、フッ素原子を有してもよいナフチル、フッ素原子を有してもよいアントリル、あるいはフッ素原子を有してもよいフ
ェナントリルであり得る。前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよい。
【0109】
式(B3)において、R17及びR18はそれぞれ独立して、C1-C9の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C9の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシル、フェニル、ナフチル、フッ素原子を有するフェニル、あるいはフッ素原子を有するナフチルであり得る。前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよい。
【0110】
式(B3)において、R17は、C1-C6の直鎖状アルキル基、C3-C9の分岐鎖状アルキル基、C1-C6の直鎖状フルオロアルキル基、C3-C6の分岐鎖状フルオロアルキル基、フェニルであり得る。
【0111】
式(B3)において、R17は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリ
フルオロメチル、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルであり得る。
【0112】
式(B3)において、R18は、C1-C6の直鎖状アルキル基、C3-C6の分岐鎖状アルキル基、C1-C6の直鎖状フルオロアルキル基、C3-C6の分岐鎖状フルオロアルキル基、であり得る。前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよい。
【0113】
式(B3)において、R18は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルであり得る。
【0114】
式(B3)において、R17は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリ
フルオロメチル、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルであり得、R18は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルであり得る。
【0115】
化合物(B1)の例は、下記に構造式として示す化合物を包含する。下記構造式中、m1は0~6の整数を示し、m2は0~6の整数を示し、m3は0~2の整数を示し、m4は0~2の整数を示し、m3及びm4は同一であっても異なっていてもよい。
【化87】
【0116】
化合物(B1)の好ましい例は、ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1-オキソヘプチル)パーオキサイド(DHP)、ビス(シクロヘキシルカルボニル)パーオキサイドを包含する。
【0117】
化合物(B2)の例は、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジトリフルオロメチルパーオキシジカーボネート、ジペンタフルオロエチルパーオキシジカーボネート、ジヘプタフルオロ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジヘプタフルオロイソプロピルパーオキシジカーボネートを包含する。
【0118】
化合物(B2)の好ましい例は、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)、ジトリフルオロメチルパーオキシジカーボネートを包含する。
【0119】
化合物(B3)の例は、tert-ブチルパーオキシアセタート(TBPOA)、tert-ブチルパーオキシピバレート、tert-へキシルパーオキシピバレート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロメチルエタンパーオキソエート(CF3COOOCF3)、ヘプタフルオロイソプロピル-2,2,2-トリフルオロメチルエタンパーオキソエート((CF3)2CFCOOOCF3)を包含する。
【0120】
化合物(B3)の好ましい例は、tert-ブチルパーオキシアセタート(TBPOA)、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロメチルエタンパーオキソエート(CF3COOOCF3)を包含する。
【0121】
重合開始剤(B)の分解物(C)
重合開始剤(B)の分解物(C)は、重合開始剤(B)が重合工程において分解されて生成する。分解物(C)は、重合反応後、重合反応液及び沈殿物に含有される。重合反応液中の分解物(C)は、濾過工程で沈殿物から分離される。分解物(C)は、1種単独又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0122】
分解物(C)は、
式(C1)
【化88】
[式中、R
41及びR
42はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C20のアルキル基、又はC1-C20のフルオロアルキル基を示し、
前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R
41及びR
42は互いに連結して、4~20個の炭素原子を環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~20員環、あるいは3~20個の炭素原子と1若しくは2個の酸素原子又は1個の硫黄原子とを環構成原子とし、少なくとも1個のフッ素原子を有する4~22員環を形成してもよく、
R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物(本明細書中、化合物(C1)と称する場合がある。)、
式(C2)
【化89】
[式中、R
45はC1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、R
46はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物(本明細書中、化合物(C2)と称する場合がある。)、及び
式(C3)
【化90】
[式中、R
47はC1-C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C20の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、又はフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基を示し、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、
R
49はフッ素原子又は水酸基を示す。]
で表される化合物(本明細書中、化合物(C3)と称する場合がある。)
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(本明細書中、化合物(C)と称する
場合がある。)であり得る。
【0123】
式(C1)において、R41及びR42はそれぞれ独立して、
フッ素原子、
-(CF2)n1CF3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF2)n2CF2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF2)n3CF3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF2)n4CF2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)であり得、あるいは、
R41及びR42は互いに連結して4~8員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、パーフルオロナフタレン環、パーフルオロオキソラン環、又はパーフルオロジオキソラン環、
であり得、
R43はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0124】
式(C1)において、R41及びR42はそれぞれ独立して、
フッ素原子、
-(CF2)n1CF3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF2)n2CF2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF2)n3CF3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF2)n4CF2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)であり得、あるいは、
R41及びR42は互いに連結して4~6員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、又はパーフルオロナフタレン環
であり得、
R43はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0125】
式(C1)において、R41及びR42はそれぞれ独立して、
-(CF2)n1CF3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF2)n2CF2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF2)n3CF3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF2)n4CF2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)であり得、あるいは、
R41及びR42は互いに連結して4~6員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、又はパーフルオロナフタレン環
であり得、
R43はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0126】
式(C1)において、R41及びR42はそれぞれ独立して、
フッ素原子、
-(CF2)n1CF3(ここでn1は0~2の整数を示す。)、
-(CF2)n2CF2H(ここでn2は0~2の整数を示す。)、
-O-(CF2)n3CF3(ここでn3は0~2の整数を示す。)、又は
-O-(CF2)n4CF2H(ここでn4は0~2の整数を示す。)であり得、あるいは、
R41及びR42は互いに連結して4~6員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、又はパーフルオロナフタレン環
であり得、
R43はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0127】
式(C1)において、R41及びR42はそれぞれ独立して、
-(CF2)n1CF3(ここでn1は0~2の整数を示す。)、
-(CF2)n2CF2H(ここでn2は0~2の整数を示す。)、
-O-(CF2)n3CF3(ここでn3は0~2の整数を示す。)、又は
-O-(CF2)n4CF2H(ここでn4は0~2の整数を示す。)であり得、あるいは、
R41及びR42は互いに連結して4~6員のパーフルオロシクロアルカン環、パーフルオロベンゼン環、又はパーフルオロナフタレン環
であり得、
R43はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0128】
式(C1)において、R41はフッ素原子であり得、
R42は、
-(CF2)n1CF3(ここでn1は0~5の整数を示す。)、
-(CF2)n2CF2H(ここでn2は0~5の整数を示す。)、
-O-(CF2)n3CF3(ここでn3は0~5の整数を示す。)、又は
-O-(CF2)n4CF2H(ここでn4は0~5の整数を示す。)
であり得、
R43はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0129】
式(C2)において、アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していないことが好ましい。
【0130】
式(C2)において、C4-C8の環状アルキル基はシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルであり得る。
式(C2)において、C4-C8の環状フルオロアルキル基はフルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシル、フルオロシクロヘプチル、フルオロシクロオクチルであり得る。
式(C2)において、C4-C8の環状フルオロアルキル基はC4-C6の環状フルオロアルキル基であり得る。C4-C6の環状フルオロアルキル基はフルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシルであり得る。
【0131】
式(C2)において、フッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基は、フッ素原子を有してもよいフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルであり得る。
式(C2)において、フッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基は、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルであり得る。
式(C2)において、フッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基は、フェニル、ナフチルであり得る。
【0132】
式(C2)において、R45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、あるいはフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基であり得、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R46はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0133】
式(C2)において、R45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、フルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシル、フルオロシクロヘプチル、フルオロシクロオクチル、フッ素原子を有してもよいフェニル、フッ素原子を有してもよいナフチル、フッ素原子を有し
てもよいアントリル、あるいはフッ素原子を有してもよいフェナントリルであり得、R46はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0134】
式(C2)において、R45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシル、フェニル、ナフチル、フッ素原子を有するフェニル、あるいはフッ素原子を有するナフチルであり得、R46はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0135】
式(C2)において、R45は、C1-C7の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、あるいはC1-C7の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基であり得、R46はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0136】
式(C3)において、R47がアルキル基及びフルオロアルキル基であるときは、エーテル性酸素原子を有していないことが好ましい。
【0137】
式(C3)において、C4-C8の環状アルキル基はシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルであり得る。
式(C3)において、C4-C8の環状フルオロアルキル基はフルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシル、フルオロシクロヘプチル、フルオロシクロオクチルであり得る。
式(C3)において、C4-C8の環状フルオロアルキル基はC4-C6の環状フルオロアルキル基であり得る。C4-C6の環状フルオロアルキル基はフルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシルであり得る。
【0138】
式(C3)において、フッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基は、フッ素原子を有してもよいフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルであり得る。
式(C3)において、フッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基は、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルであり得る。
式(C3)において、フッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基は、フェニル、ナフチルであり得る。
式(C3)において、フッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基は、フェニル、ナフチルであり得る。
【0139】
式(C3)において、R47は、C1-C9の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C9の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、C4-C8の環状アルキル基、C4-C8の環状フルオロアルキル基、あるいはフッ素原子を有してもよいC4-C14のアリール基であり得、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R49はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0140】
式(C3)において、R47は、C1-C9の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C9の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、フルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシル、フルオロシクロヘプチル、フルオロシクロオクチル、あるいはフッ素原子を有してもよいフェニル、フッ素原子を有してもよいナフチル、フッ素原子を有してもよいアントリル、フッ素原子を有してもよいフェナントリルであり得、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R49はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0141】
式(C3)において、R47は、C1-C9の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、C1-C
9の直鎖又は分岐鎖状フルオロアルキル基、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシル、フェニル、ナフチル、フッ素原子を有するフェニル、フッ素原子を有するナフチルであり得、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R49はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0142】
式(C3)において、R47は、C1-C6の直鎖状アルキル基、C3-C9の分岐鎖状アルキル基、C1-C6の直鎖状フルオロアルキル基、C3-C6の分岐鎖状フルオロアルキル基、フェニルであり得、R49はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0143】
式(C3)において、R47は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリ
フルオロメチル、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルであり得、R49はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0144】
式(C3)において、R49は、C1-C6の直鎖状アルキル基、C3-C6の分岐鎖状アルキル基、C1-C6の直鎖状フルオロアルキル基、C3-C6の分岐鎖状フルオロアルキル基であり得、前記アルキル基及びフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を各々有していてもよく、R49はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0145】
式(C3)において、R49は、tert-ブチル、tert-ヘキシル、又はトリフルオロメチルであり得る。
【0146】
式(C3)において、R47は、メチル、tert-ブチル、tert-ノニル、トリ
フルオロメチル、パーフルオロイソペンチル、又はフェニルであり得、R49はフッ素原子又は水酸基であり得る。
【0147】
化合物(C1)の例は、下記に構造式として示す化合物を包含する。下記構造式中、m1は0~6の整数を示し、m2は0~6の整数を示し、m3は0~2の整数を示し、m4は0~2の整数を示し、m3及びm4は同一であっても異なっていてもよく、R
43はフッ素原子又は水酸基を示す。
【化91】
【0148】
化合物(C1)の好ましい例は、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1-オキソヘプチルカルボン酸、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1-オキソヘプチルフッ化カルボニル、シクロヘキシルカルボン酸、シクロヘキシルフッ化カルボニルを包含する。
【0149】
化合物(C2)の例は、n-プロピルオキシカルボン酸、n-プロピルオキシフッ化カルボニル、sec-ブチルオキシカルボン酸、sec-ブチルオキシフッ化カルボニル、イソプロピルオキシカルボン酸、イソプロピルオキシフッ化カルボニル、2-エチルへキシルオキシカルボン酸、2-エチルへキシルオキシフッ化カルボニル、トリフルオロメチルオキシカルボン酸、トリフルオロメチルオキシフッ化カルボニル、ペンタフルオロエチルオキシカルボン酸、ペンタフルオロエチルオキシフッ化カルボニル、ヘプタフルオロ-n-プロピルオキシカルボン酸、ヘプタフルオロ-n-プロピルオキシフッ化カルボニル、ヘプタフルオロイソプロピルオキシカルボン酸、ヘプタフルオロイソプロピルオキシフッ化カルボニルを包含する。
【0150】
化合物(C2)の好ましい例は、n-プロピルオキシカルボン酸、n-プロピルオキシフッ化カルボニル、イソプロピルオキシカルボン酸、イソプロピルオキシフッ化カルボニル、トリフルオロメチルオキシカルボン酸、トリフルオロメチルオキシフッ化カルボニル
を包含する。
【0151】
化合物(C3)の例は、酢酸、メチルフッ化カルボニルtert-ブチルカルボン酸、tert-ブチルフッ化カルボニル、ネオノニルカルボン酸、ネオノニルフッ化カルボニル、安息香酸、フェニルフッ化カルボニル、ヘプタフルオロイソペンチルカルボン酸、ヘプタフルオロイソペンチルフッ化カルボニル、トリフルオロカルボン酸、トリフルオロフッ化カルボニルを包含する。
【0152】
化合物(C3)の好ましい例は、酢酸、メチルフッ化カルボニル、安息香酸、フェニルフッ化カルボニル、トリフルオロカルボン酸、トリフルオロフッ化カルボニルを包含する。
【0153】
溶媒(D)
含フッ素モノマー(M)は溶媒(D)中で重合する。溶媒は、原料モノマーを溶解でき、含フッ素ポリマー(A)を沈殿できるものであればいずれも使用できる。したがって、溶媒(D)としては、含フッ素ポリマー(A)を沈殿重合で製造する際に使用される公知の溶媒を使用できる。溶媒(D)は、1種単独又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0154】
溶媒(D)は、非プロトン性溶媒であり得る。非プロトン性溶媒としては、非パーフルオロ溶媒を挙げることができる。
非パーフルオロ溶媒は、非プロトン性溶媒のうち、フッ素原子、炭素原子及び水素原子を少なくとも含む溶媒である。非パーフルオロ溶媒としては、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、含フッ素アルコール、及び少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物などが挙げられる。非パーフルオロ溶媒は、1種単独又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0155】
ハイドロフルオロカーボンは、例えば、C3-C8ハイドロフルオロカーボンである。
ハイドロフルオロカーボンの例は、CF3CH2CF2H、CF3CH2CF2CH3、CF3CHFCHFC2F5、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、CF3CF2CF2CF2CH2CH3、CF3CF2CF2CF2CF2CHF2、及びCF3CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH3を包含する。
ハイドロフルオロカーボンの好ましい例は、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを包含する。
【0156】
ハイドロフルオロエーテルは、例えば、フッ素含有エーテルである。
ハイドロフルオロエーテルの地球温暖化係数(GWP)は600以下が好ましく、400以下がより好ましく、300以下が特に好ましい。ハイドロフルオロエーテルの地球温暖化係数(GWP)の下限は1以上であっても5以上であってもよい。
ハイドロフルオロエーテルの例は、CF3CF2CF2CF2OCH3、CF3CF2CF(CF3)OCH3、CF3CF(CF3)CF2OCH3、CF3CF2CF2CF2OC2H5、CF3CH2OCF2CHF2、(CF3)2CHOCH3、(CF3)2CFOCH3、CHF2CF2OCH2CF3、CHF2CF2CH2OCF2CHF2、CF3CHFCF2OCH3、CF3CHFCF2OCF3、トリフルオロメチル1,2,2,2-テトラフルオロエチルエーテル(HFE-227me)、ジフルオロメチル1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチルエーテル(HFE-227mc)、トリフルオロメチル1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル(HFE-227pc)、ジフルオロメチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル(HFE-245mf)、2,2-ジフルオロエチルトリフルオロメチルエーテル(HFE-245pf)、1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル(CF3CHFCF2OCH3)、1,1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル
(CHF2CF2OCH2CF3)、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパン((CF3)2CHOCH3)を含む。
ハイドロフルオロエーテルの好ましい例は、CF3CH2OCF2CHF2、1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル(CF3CHFCF2OCH3;HFE-356mec)、1,1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル(CHF2CF2OCH2CF3)、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパン((CF3)2CHOCH3)を包含する。
【0157】
含フッ素アルコールは、アルコールの少なくとも1個の水素原子がフッ素原子へ置換された化合物である。
含フッ素アルコールの例は、CF3CH2OH、CF3CF2CH2OH、CF3(CF2)2CH2OH、CF3(CF2)3(CH2)2OH、CF3(CF2)3(CH2)3OH、CF3(CF2)5(CH2)2OH、CF3(CF2)5(CH2)3OH、CF2HCF2CH2OH、CF2H(CF2)3CH2OH、CF2H(CF2)5CH2OH、(CF3)2CHOH、CF3CHFCF2CH2OH、HOCH2(CF2)4CH2OH、HOCH2(CF2)6CH2OHを包含する。
含フッ素アルコールの好ましい例は、好ましくは、CF3CF2CH2OH、CF2HCF2CH2OH、CF2H(CF2)3CH2OH、(CF3)2CHOHを包含する。
【0158】
少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物は、その構造中に少なくとも1つの塩素原子を含むC2-C4(好ましくはC2-C3)オレフィン化合物である。少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物は、二重結合を1又は2個(好ましくは1個)有する、炭素数2~4の炭化水素において、炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一つが塩素原子に置換された化合物である。
塩素原子の数は、1~置換可能な最大の数である。塩素原子の数は、例えば、1個、2個、3個、4個、5個等とできる。
少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物は、少なくとも1つ(例えば、1個、2個、3個、4個、5個等)のフッ素原子を含んでもよい。
少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物の例は、CH2=CHCl、CHCl=CHCl、CCl2=CHCl、CCl2=CCl2、CF3CH=CHCl、CHF2CF=CHCl、CFH2CF=CHCl、CF3CCl=CFCl、CF2HCl=CFCl、CFH2Cl=CFClを包含する。
少なくとも一つの塩素原子を含むオレフィン化合物の好ましい例はCHCl=CHCl、CHF2CF=CHCl、CF3CH=CHCl、CF3CCl=CFClを包含する。
【0159】
溶媒(D)としては、使用時の環境負荷が小さく、ポリマーからの留去が容易なことから、ハイドロフルオロエーテル、含フッ素アルコールが好ましい。
【0160】
溶媒(D)の地球温暖化係数(GWP)は600以下、400以下等とでき、375以下が好ましく、350以下がより好ましく、0が特に好ましい。溶媒(D)の地球温暖化係数(GWP)の下限は1以上であっても5以上であってもよい。
【0161】
重合工程で用いる含フッ素モノマー(M)の量は、所望の含フッ素ポリマー(A)における構成単位(A)の割合等に応じて適宜決定できる。例えば、含フッ素モノマー(M)の量は、原料モノマーの総モル数に対し、50モル%以上であり、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。
含フッ素モノマー(M)に加え、フルオロオレフィンモノマー及び/又は他のモノマーを使用する場合、これらのモノマーの量は、所望の含フッ素ポリマー(A)におけるフル
オロオレフィン単位及び他の構成単位の割合等に応じて適宜決定できる。例えば、フルオロオレフィンモノマーの量は、原料モノマーの総モル数に対し、50モル%以下とでき、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、0モル%が特に好ましく、他のモノマーの量は、原料モノマーの総モル数に対し、0~20モル%、0~10モル%等とでき、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
【0162】
重合工程で用いる重合開始剤(B)の量は、例えば、全ての原料モノマーの1gに対して、0.0001g~0.05gの範囲内とでき、好ましくは0.0001g~0.01gの範囲内であり、より好ましくは0.0005g~0.008gの範囲内であってよい。
【0163】
重合工程で用いる溶媒(D)の量は、例えば、全ての原料モノマーの量を100質量%とした場合、20質量%~300質量%の範囲内とでき、好ましくは35質量%~250質量%の範囲内とでき、より好ましくは50質量%~300質量%の範囲内とできる。
【0164】
重合反応の温度は、例えば、-10℃~160℃の範囲内とでき、好ましくは0℃~160℃の範囲内であり、より好ましくは0℃~100℃の範囲内であってよい。
重合反応は、含フッ素モノマー(M)及び溶媒(D)のいずれか低いほうの沸点より20℃高い温度以下、且つ、前記重合開始剤の10時間半減期温度より20℃高い温度以下で行われてもよい。この場合、温度の下限は、例えば-10℃とでき、好ましくは0℃とできる。
【0165】
重合反応の反応時間は、含フッ素ポリマー(A)が生成する限り、特に制限されないが、好ましくは、0.5時間~72時間の範囲内、より好ましくは、1時間~48時間の範囲内、さらに好ましくは3時間~30時間の範囲内であってよい。
【0166】
重合反応は、不活性ガス(例:窒素ガス)の存在下又は不存在下で実施され得、好適には存在下で実施され得る。
【0167】
重合反応は、減圧下、大気圧下、又は加圧条件下にて実施され得る。
【0168】
重合工程において、原料モノマー、重合開始剤(B)及び溶媒(D)の添加及び混合の順序は特に限定されない。例えば、重合開始剤(A)を含む溶媒(D)に原料モノマーを添加することで実施され得、また、原料モノマーを含む溶媒(D)に重合開始剤を添加することで実施され得る。
【0169】
重合反応で生成した含フッ素ポリマー(A)は、所望により、抽出、溶解、濃縮、濾過、析出、脱水、吸着、クロマトグラフィー等の慣用の方法、又はこれらの組み合わせにより単離、又は精製できる。好ましくは、簡便な点で、濾過である。
【0170】
濾過工程
本開示の製造方法においては濾過工程を含み得る。濾過工程では、重合工程で生成した沈殿物及び重合生成液を濾過することにより重合生成液を除去し、含フッ素ポリマー(A)を得ることができる。濾取された固形物は、重合開始剤(B)及び/又はその分解物(C)の混入量が非常に低い含フッ素ポリマー(A)である。当該混入量をさらに低減する場合は、ろ取された固形物を溶媒(例;重合溶媒(B))で洗浄すればよい。このように、本開示の製造方法では、重合工程後は、濾過工程という簡便な工程のみで、あるいは濾過で得られた固形物を溶媒(例;重合溶媒(B))で洗浄する洗浄工程を経て、重合開始剤(B)及び/又はその分解物(C)の混入量が非常に低い含フッ素ポリマー(A)を得ることができる。
【0171】
濾材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂製品、セルロースなどの綿繊維製品、およびSUSなどの金属製品等を使用できる。濾材の孔径としては1μm、10μm、100μm、300μm、500μm、1000μm等であり得る。当該孔径は、これらの数値のうち二つを適宜組み合わせて得られる数値範囲であり得る。当該孔径は、例えば1~1000μm、1~500μm、1~300μm、1~100μm、10~1000μm、100~1000μm、300~1000μmであり得る。濾過工程は、減圧下、大気圧下、又は加圧条件下にて実施され得る。
【0172】
ハンセン(Hansen)溶解度パラメータ
ヒルデブランド(Hildebrand)溶解度パラメータ(δ)は、凝集エネルギー密度の平方根で定義される物性値であり、物質の溶解挙動を示す指標の一つであり、「SP」と表記される。このSPを分散力項(δD)、極性項(δP)、水素結合項(δH)の3成分に分割して物質の極性を考慮したパラメータがハンセン(Hansen)溶解度パラメータであり、「HSP」と表記される。両者の関係は「δ2=δD
2+δP
2+δH
2」で表される。
【0173】
本開示の製造方法では、含フッ素ポリマー(A)、重合開始剤(B)、分解物(C)、及び溶媒(D)のそれぞれについてのハンセン溶解度パラメータ(本明細書中、単に「溶解度パラメータ」又は「HSP」と称する場合がある。)が、特定の関係を有し得る。これにより、重合によって生成する含フッ素ポリマー(A)に混入する重合開始剤(B)及び/又はその分解物(C)の量を低減できる。
【0174】
含フッ素ポリマー(A)、重合開始剤(B)、分解物(C)、及び溶媒(D)のそれぞれについてのHSPは、溶解試験により実験的に特定された値(これには文献値、データベース値が含まれる)、又はHSP特定用のソフトウェア(例;HSPiP)を使用して物質の化学構造から推定される値のいずれであってもよい。
【0175】
溶解指標R
溶解指標Rは、次の式から算出され、要素1のHSPと要素2のHSPの間の距離に相当する。この距離が近いと、つまりRが小さいと、要素1と要素2とは溶解しやすい関係とみなされる。
R={4×(δD1-δD2)2+(δP1-δP2)2+(δH1-δH2)2}0.5
[式中、δD1、δP1、及びδH1はそれぞれ要素1のハンセン溶解度パラメータにおける分散力項、極性項、及び水素結合項を示し、δD2、δP2、δH2はそれぞれ要素2のハンセン溶解度パラメータにおける分散力項、極性項、及び水素結合項を示す。]
【0176】
溶媒(D)のHSP及び含フッ素ポリマー(A)のHSPに基づいて算出される溶解指標Rの値(RA))は4以上であり得る。
【0177】
重合開始剤(B)中のフッ素原子の質量割合が50質量%未満の場合、溶媒(D)のHSP及び重合開始剤(B)のHSPに基づいて算出される溶解指標Rの値(RB)は9以下であり得、好ましくは8以下である。
重合開始剤(B)中のフッ素原子の質量割合が50質量%以上の場合、前記溶媒(D)のHSP及び重合開始剤(B)のHSPに基づいて算出される溶解指標Rの値(RB)は6以下であり得、好ましくは5以下である。
【0178】
分解物(C)中のフッ素原子の質量割合が50質量%未満の場合、溶媒(D)のHSP
及び分解物(C)のHSPに基づいて算出される溶解指標Rの値(RC)は9以下であり得、好ましくは8以下である。
分解物(C)中のフッ素原子の質量割合が50質量%以上の場合、溶媒(D)のHSP及び分解物(C)のHSPに基づいて算出される溶解指標Rの値(RC)は6以下であり得、好ましくは5以下である。
【0179】
物質中のフッ素原子の質量割合(質量%)は、その物質の分子量に占めるフッ素原子(原子量;19.00)の質量の割合である。例えば、テトラフルオロエチレン(分子量100.02
;CF2=CF2)のフッ素原子の質量割合は、75.98%である(75.98=((19.00×4)/100.02)×100)。
【0180】
本開示の製造方法は、後述の組成物(1)及び(2)の製造方法として好適である。
【0181】
組成物(1)
本開示の一実施態様は、含フッ素ポリマー(A)、並びに、重合開始剤(B)及び重合開始剤(B)の分解物(C)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(BC)を含有する組成物(本明細書中、組成物(1)と称する場合がある。)である。組成物(1)において化合物(BC)の含有量が小さいため、組成物(1)は紫外光透明性の高い含フッ素ポリマー(A)の供給源(例えば紫外光が通過する製品(好ましくは紫外光発光素子のレンズ)に使用される含フッ素ポリマー(A)の供給源)として有用である。
【0182】
含フッ素ポリマー(A)は、本開示の含フッ素ポリマー(A)の製造方法により製造することが、重合開始剤及び/又はその分解物の含有量が低くなるので、好適である。また、含フッ素ポリマー(A)は、公知の製造方法で製造されたものであって、重合開始剤及び/又はその分解物の含有量が低くなるように精製されたものであってもよい。公知の製造方法は、例えば、含フッ素ポリマー(A)の構成単位に対応するモノマーを重合することにより合成することができる。重合方法としては、ラジカル重合、バルク重合、沈殿重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等を用いることができる。公知の製造方法としては、含フッ素ポリマー(A)の透過性が高い点で、沈殿重合が好ましい。
【0183】
組成物(1)において、含フッ素ポリマー(A)の含有量は、組成物(1)質量に対し、95質量%以上とできる。好ましくは97~100質量%、より好ましくは98~100質量%、特に好ましくは99~100質量%とできる。
【0184】
組成物(1)において、化合物(BC)の含有量は、組成物(1)質量に対し、0.1~100質量ppmであり得、好ましくは0.1~90質量ppm、より好ましくは0.1~80質量ppm、特に好ましくは0.1~70質量ppmとできる。
【0185】
組成物(1)は、含フッ素ポリマー(A)及び化合物(BC)に加えて他の成分を含有し得るが、含有しないことが好ましい。他の成分としては、Fe、Niなどの金属、残留溶媒等が挙げられる。組成物(1)において、他の成分の含有量は、0~0.1質量%、0~0.01質量%であり得る。
【0186】
組成物(1)は、本開示の製造方法により製造できる。例えば、濾過工程で取得される固形物、またはこれを溶媒で洗浄した被洗浄物が組成物(1)であり得る。また、組成物(1)は、含フッ素ポリマー(A)と化合物(BC)を混合することでも製造できる。
【0187】
組成物(1)は、240nm~340nmの波長における平均透過率が85%以上、86%以上、87%以上、85~95%、86~95%であり得る。当該平均透過率は高い方が良い。本明細書において、平均透過率は次のようにして特定される。
平均透過率
日立分光光度計U-4100を用いてサンプルの所定の波長(例;240nm~340nm)における平均透過率を測定する。サンプルは平均厚み1mmの平板とする。検出器としては積分球検知器を用いる。
【0188】
紫外光発光素子用レンズ
本開示の一実施態様は、式(A)
【化92】
[式中、R
1~R
4はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1-C5のパーフルオロアルキル基、又はC1-C5のパーフルオロアルコキシ基を示す。]
で表される構成単位を主成分として含み、240nm~340nmの波長における平均透過率が85%以上である含フッ素ポリマー(A)を含有する紫外光発光素子用レンズである。
【0189】
含フッ素ポリマー(A)は、240nm~340nmの波長における平均透過率が85%以上と高い。このような含フッ素ポリマー(A)は好適には本開示の製造方法によって製造される。本開示の製造方法によれば、製造される含フッ素ポリマー(A)は、化合物(BC)の含有量が非常に小さい。このため、当該含フッ素ポリマー(A)の240nm~340nmの波長における平均透過率が高くなると推察される。
【0190】
含フッ素ポリマー(A)の240nm~340nmの波長における平均透過率は85%以上、86%以上、87%以上、85~95%、86~95%であり得る。
【0191】
紫外光発光素子用レンズには、高い紫外光透過性を有し、ひっかき傷がつきにくく、割れにくいことが望まれる。本開示の紫外光発光素子用レンズは、原料樹脂(含フッ素ポリマー(A))の表面硬度が高いため、ひっかき傷がつきにくい。本開示の紫外光発光素子用レンズは、原料樹脂の靭性が高いために割れにくい。このため原料樹脂を微細な構造を有するレンズへ成形しても、微細な構造が割れにくく傷つきにくい。例えば、本開示の紫外光発光素子用レンズは、フレネルレンズ等の微細な構造を有するレンズとして適している。
【0192】
紫外光発光素子用レンズは、例えば、フレネルレンズ、マイクロレンズ、曲面レンズ、非曲面レンズ、両凸レンズ、平凸レンズ、凸メニスカスレンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、凹メニスカスレンズ、シリンドリカルレンズ、トロイダルレンズ、放物面レンズ、異形レンズ、回折レンズ、およびそれらのアレイレンズ等であり、好ましくは、フレネルレンズ、マイクロレンズ、両凸レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、異形レンズ、回折レンズ、又はそれらのアレイレンズである。
【0193】
紫外光発光素子用レンズは、含フッ素ポリマー(A)を公知のレンズ成形方法で成形することにより製造できる。成形の条件は、公知の条件を必要に応じて適宜調整することができる。例えば、含フッ素ポリマー(A)を溶融して射出する射出成形法などにより、所望の形状に成形して紫外光発光素子用レンズを製造することが望ましい。含フッ素ポリマー(A)を他の方法、例えば、平板状に加工した含フッ素ポリマー(A)を加熱した金型
に押し当てて成形するプレス成形法などにより所望の形状に成形して紫外光発光素子用レンズを製造してもよい。
【0194】
紫外光発光素子用レンズが適用される紫外光発光素子は、紫外光発光ダイオード(LED)が好ましい。紫外光発光素子は、紫外光、例えば100~400nm(好ましくは240~340nm、より好ましくは250~270nm)の波長の光を主として発する素子である。その波長としては、工業的な価値が高いUV-A、UV-B、UV-C等があり、紫外光発光素子用レンズは、いずれの種類の紫外光発光素子にも適用できるが、UV-C発光素子に適用されるレンズが好ましい。
【0195】
本明細書において、「レンズ」は、発光素子用のいわゆる「封止材」を包含しない。
【0196】
組成物(2)
本開示の一実施態様は、式(M1)
【化93】
で表される含フッ素モノマー(M1)、重合開始剤(B)、及び溶媒(D)の存在下で前記含フッ素モノマー(M1)を重合させ、沈殿物として生成する含フッ素ポリマー(A1)を含有する組成物(本明細書中、組成物(2)と称する場合がある。)である。
【0197】
前記含フッ素ポリマー(A1)は、式(A1)
【化94】
で表される構成単位を主成分として含む。
【0198】
組成物(2)において、前記含フッ素モノマー(M1)は、
式(N1)
【化95】
で表される化合物、及び
式(N2)
【化96】
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する。その含有量は、原料モノマーの質量に対し、0.0001~10質量%で含有し、0.0001~8質量%、0.0001~6質量%であり得る。化合物(N1)及び化合物(N2)は1種単独又は2種以上の組み合わせであってよい。
【0199】
組成物(2)において、前記溶媒(D)のハンセン溶解度パラメータ及び前記含フッ素ポリマー(A1)のハンセン溶解度パラメータに基づいて算出される溶解指標Rの値(RA1))が4以上であり得る。
【0200】
組成物(2)において、重合開始剤(B)中のフッ素原子の質量割合が50質量%未満の場合、溶媒(D)のHSP及び重合開始剤(B)のHSPに基づいて算出される溶解指標Rの値(RB)は9以下であり得、好ましくは8以下である。
組成物(2)において、重合開始剤(B)中のフッ素原子の質量割合が50質量%以上の場合、前記溶媒(D)のHSP及び重合開始剤(B)のHSPに基づいて算出される溶解指標Rの値(RB)は6以下であり得、好ましくは5以下である。
【0201】
組成物(2)において、分解物(C)中のフッ素原子の質量割合が50質量%未満の場合、溶媒(D)のHSP及び分解物(C)のHSPに基づいて算出される溶解指標Rの値(RC)は9以下であり得、好ましくは8以下である。
組成物(2)において、分解物(C)中のフッ素原子の質量割合が50質量%以上の場合、溶媒(D)のHSP及び分解物(C)のHSPに基づいて算出される溶解指標Rの値(RC)は6以下であり得、好ましくは5以下である。
【0202】
組成物(2)において化合物(BC)の含有量が小さいため、組成物(2)は紫外光透明性の高い含フッ素ポリマー(A1)の供給源(例えば紫外光が通過する製品(好ましくは紫外光発光素子のレンズ)に使用される含フッ素ポリマー(A)の供給源)として有用である。
【0203】
含フッ素ポリマー(A1)は、本開示の含フッ素ポリマー(A)の製造方法により製造することが、重合開始剤及び/又はその分解物の含有量が低くなるので、好適である。また、含フッ素ポリマー(A1)は、公知の製造方法で製造されたものであって、重合開始剤及び/又はその分解物の含有量が低くなるように精製されたものであってもよい。公知の製造方法は、例えば、含フッ素ポリマー(A1)の構成単位に対応するモノマーを重合することにより合成することができる。重合方法としては、ラジカル重合、バルク重合、沈殿重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等を用いることができる。公知の製造方法としては、含フッ素ポリマー(A1)の透過性が高い点で、沈殿重合が好ましい。
【0204】
組成物(2)において、含フッ素ポリマー(A1)の含有量は、組成物(2)質量に対し、95質量%以上とできる。好ましくは97~100質量%、より好ましくは98~100質量%、特に好ましくは99~100質量%とできる。
【0205】
組成物(2)において、重合についての詳細は、前記重合工程に記載の詳細が適用できる。
【0206】
組成物(2)は、含フッ素ポリマー(A)に加えて他の成分を含有し得るが、含有しないことが好ましい。他の成分としては、Fe、Niなどの金属、残留溶媒等が挙げられる。組成物(2)において、他の成分の含有量は、0~0.1質量%、0~0.01質量%であり得る。
【0207】
組成物(2)は、本開示の製造方法により製造できる。例えば、濾過工程で取得される固形物、またはこれを溶媒で洗浄した被洗浄物が組成物(2)であり得る。
【0208】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能であることが理解されるであろう。
【実施例0209】
以下、実施例によって本開示の一実施態様を更に詳細に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0210】
実施例中の記号及び略称は、以下の意味で用いられる。
PFMMD:含フッ素モノマー(M1)
HF付加体:化合物(N1)
NPP:ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート 50%メタノール溶液(日油株式会社製)
DHP:ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-
1-オキソヘプチル)パーオキサイド 8%フッ素系溶剤希釈液(日油株式会社製)
TBPOA:tert-ブチルパーオキシアセテート 50%炭化水素系溶剤希釈液(日油株式会社製)
HFE-356mec:1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル
n=2 Alcohol:2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール(ダイキン工業株式会社製)
FC-3283:パーフルオロ-n-トリプロピルアミン(3M社製)
【0211】
重合開始剤とその分解物は次のとおりである。本実施例では、NPPの分解物は-COOH体であり、DHPの分解物は-COOH体及び-COF体であり、TBPOAの分解物は-COOH体であった。
【化97】
【0212】
ハンセン溶解度パラメータは次のとおりである。
【表1】
【0213】
平均透過率
日立分光光度計U-4100を用いてサンプルの所定の波長(例;240nm~340nm)における平均透過率を測定した。サンプルは平均厚み1mmの平板とした。検出器としては積分球検知器を用いた。
【0214】
実施例1
SUS製で容量300mLのオートクレーブに、化合物(N1)を3.6%含有する含フッ素モノマー(M1)(100g)、HFE-356mec(400g;溶媒)を入れ、ついでDHP(0.1g;重合開始剤)を入れた。オートクレーブを-78℃に冷却した後、系内雰囲気を窒素ガスで置換し、内圧が0.1MPaGとなるように窒素ガスを充てんした。15℃で24時間重合反応に付し、生成した含フッ素ポリマー(A1)が溶媒中で沈殿したポリマー-溶媒混合物を得た。この混合物を濾取し、120℃で乾燥し、固形のポリマーを得た。このポリマーは組成物(1)に相当し、組成物(2)にも相当した。
ポリマー1gをヘキサフルオロベンゼン10gに溶解し、ガスクロマトグラフィーによりポリマー中の化合物(BC)を定量したところ20ppmであった。
ポリマーを溶融成形し、平均厚み平均1mmの平板を作製した。この平板の平均透過率(240nm~340nm)は90%であった。
同様の方法で成形した平均厚み1mmの平板を材料として切削加工によりフレネルレンズを作製した。株式会社KEYENCE製のレーザー顕微鏡VKX-1000を使用してフレネルレンズ表面の凹凸構造を観察したところ、面粗さSaは74nm、Sqは118nmであった。
【0215】
実施例2
DHPに代えてNPPを使用し、重合温度を40℃に変更したことを除いて、実施例1と同様にした。得られたポリマー中の化合物(BC)は43ppm、平板の平均透過率(240nm~340nm)は87%であった。
【0216】
実施例3
HFE-356mecに代えてn=2 Alcoholを使用したことを除いて、実施例1と同様にした。得られたポリマー中の化合物(BC)は17ppm、平板の平均透過率(240nm~340nm)は92%であった。
【0217】
実施例4
HFE-356mecに代えてn=2 Alcoholを、DHPに代えてTBPOAを使用し、重合温度を100℃に変更したことを除いて、実施例1と同様にした。得られたポリマー中の化合物(BC)は23ppm、平板の平均透過率(240nm~340nm)は90%であった。
【0218】
比較例1
HFE-356mecに代えてCF3CH2OHを使用したことを除いて、実施例1と同様にした。得られたポリマー中の化合物(BC)は163ppm、平板の平均透過率(240nm~340nm)は81%であった。
【0219】
比較例2
HFE-356mecに代えてCF3CH2OH、DHPに代えてNPPを使用し、重合温度を40℃に変更したことを除いて、実施例1と同様にした。得られたポリマー中の化合物(BC)は155ppm、平板の平均透過率(240nm~340nm)は83%であった。
【0220】
比較例3
HFE-356mecに代えてCHCl3を使用したことを除いて、実施例1と同様にした。得られたポリマー中の化合物(BC)は124ppm、平板の平均透過率(240nm~340nm)は80%であった。
【0221】
比較例4
化合物(N1)を3.6%含有する含フッ素モノマー(M1)に代えて化合物(N1)を17%含有する含フッ素モノマー(M1)を、HFE-356mecに代えてn=2 Alcoholを、DHPに代えてTBPOAを使用し、重合温度を100℃に変更したことを除いて、実施例1と同様にした。得られたポリマー中の化合物(BC)は118ppm、平板の平均透過率(240nm~340nm)は83%であった。
【0222】
比較例5
HFE-356mecに代えてFC-3283を使用したことを除いて、実施例1と同
様にした。重合後の混合物は生成したポリマー(A1)が溶媒に溶解した溶液であった。
【0223】
実施例及び比較例の諸条件、溶解度指数、測定結果等を下表2にまとめた。
【0224】