(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167926
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】空間内の床の溝をまたいで自律移動する移動体およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B62D 53/00 20060101AFI20241128BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20241128BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20241128BHJP
B62D 57/00 20060101ALI20241128BHJP
B62D 61/12 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B62D53/00 A
G05D1/02 H
B25J5/00 E
B25J5/00 A
B62D57/00
B62D61/12
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084240
(22)【出願日】2023-05-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000207872
【氏名又は名称】大末建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸澤 浩則
(72)【発明者】
【氏名】田中 基康
(72)【発明者】
【氏名】高津 茂明
【テーマコード(参考)】
3C707
5H301
【Fターム(参考)】
3C707BS19
3C707BS20
3C707CS08
3C707CX01
3C707KS16
3C707KT01
3C707KT05
3C707LT06
3C707WA05
3C707WA16
3C707WA24
3C707WA28
3C707WL04
5H301AA01
5H301BB10
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG09
5H301HH15
(57)【要約】
【課題】建物地下ピットのような排水溝が掘られた施設内を自律型で走行して、人間による立ち入り作業が困難な場所での検査を実現することが可能なヘビ型ロボット(移動体)および、そのためのシステムを提供する。
【解決手段】姿勢制御手段は、移動体の複数の本体部の一部を姿勢制御及び駆動の対象外とし、残る本体部で姿勢制御と駆動を行い、姿勢制御手段は、前記移動体が進行方向に存在する溝上を通過するとき、前記進入禁止領域情報に基づき溝に対して正対して直進しながら、移動体の溝上に差し掛かる部分の溝の底方向への下降に対しても脱輪及び自己位置認識乱れを防止する上下方向の関節制御を行い、前記溝への脱輪及び自己位置認識の乱れを起こさず前記経由地点に到達することを特徴とする、移動体を提供する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に溝が存在する所定の空間内を溝をまたいで自律移動する移動体であって、
複数の本体部と、
当該本体部を接続する複数の関節とから構成される多連結の機構からなる駆動手段と、
記憶手段であって、
二次元地図の地図情報であって、前記移動体が二次元移動する経由地点及び停止して点検動作を行う点検地点の位置情報を含む地図情報と、
前記地図情報に前記経由地点を重ね合わせた情報内で前記経由地点間の実環境に溝が存在する場合には前記移動体が溝に対して正対して通過できる経路以外の溝を前記地図情報内に進入禁止領域を設定した進入禁止領域情報として含む走行可能領域地図情報と、
を記憶する記憶手段と、
前記走行可能領域地図情報と前記移動体自身の現在地から前記移動体の自己位置を推定する自己位置推定手段と、
前記移動体の先頭部が溝上の前記経路の中央に正対して通過を開始する姿勢を取り、前記進入禁止領域間を通過する前記移動体の後続部が前記進入禁止領域に接触しないよう各関節の左右方向の姿勢制御を行う姿勢制御手段と、
を備え、
前記姿勢制御手段は、前記移動体の複数の本体部の一部を姿勢制御及び駆動の対象外とし、残る本体部で姿勢制御と駆動を行い、
前記姿勢制御手段は、前記移動体が溝上の前記経路を通過するとき、溝に対して正対して直進しながら、前記移動体の溝上に差し掛かる部分の溝の底方向への下降に対しても脱輪及び自己位置認識乱れを防止する上下方向の関節制御を行い、前記溝への脱輪及び自己位置認識の乱れを起こさず前記経由地点に到達することを特徴とする移動体。
【請求項2】
前記地図情報と進入禁止領域情報を重ね合わせて走行可能領域を特定し、前記溝に正対しての直進及び溝方向への下降による脱輪及び自己位置認識の乱れを防止する経路計算を行うことを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記二次元地図に沿って全ての点検地点を、前記移動体自身の先頭部と後続部分とが干渉せずに通過する姿勢制御指示情報を加味した走行ルート設定を行い、前記移動体が、前記点検地点で、当該検査地点周辺の環境情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項4】
一定時間経過しても次の経由地点への到達が不可能である場合は帰還ルートを生成して帰還することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項5】
前記走行経路の走行中に溝検知手段により前記地図情報に存在しない溝を検知した場合には、前記溝検知手段により得た奥行き情報と前記移動体の全長と自重の情報をもとに溝上を通過可能かどうか判断し、通過不可能である場合には、次の到達目標地点への走行ルートまたは帰還ルートを次の点検地点とする経路計算を行うことを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項6】
前記走行可能地図情報を作成するにあたり、
釜場、溝合流部を進入禁止領域に指定し、
溝領域を通過可能な範囲で高コストに指定して、グローバルコストマップより経路を作成する。その際には、低コストとなる様、溝に対して垂直に近い経路を生成し、その後、経路以外の溝を侵入禁止領域に指定することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項7】
床に溝が存在する所定の空間内を溝をまたいで自律移動する移動体をプロセッサによって動作させるためのプログラムであって、
当該本体部を接続する複数の関節とから構成される多連結の機構からなる駆動手段と、
記憶手段であって、
二次元地図の地図情報であって、前記移動体が二次元移動する経由地点及び停止して点検動作を行う点検地点の位置情報を含む地図情報と、
前記地図情報に前記経由地点を重ね合わせた情報内で前記経由地点間の実環境に溝が存在する場合には前記移動体が溝に対して正対して通過できる経路以外の溝を前記地図情報内に進入禁止領域を設定した進入禁止領域情報として含む走行可能領域地図情報と、
を記憶する記憶手段と、
前記走行可能領域地図情報と前記移動体自身の現在地から前記移動体の自己位置を推定する自己位置推定手段と、
前記移動体の先頭部が溝上の前記経路の中央に正対して通過を開始する姿勢を取り、前記進入禁止領域間を通過する前記移動体の後続部が前記進入禁止領域に接触しないよう各関節の左右方向の姿勢制御を行う姿勢制御手段と、
を備え、
前記姿勢制御手段は、前記移動体の複数の本体部の一部を姿勢制御及び駆動の対象外とし、残る本体部で姿勢制御と駆動を行い、
前記姿勢制御手段は、前記移動体が溝上の前記経路を通過するとき、前記進入禁止領域情報に基づき溝に対して正対して直進しながら、前記移動体の溝上に差し掛かる部分の溝の底方向への下降に対しても脱輪及び自己位置認識乱れを防止する上下方向の関節制御を行い、前記溝への脱輪及び自己位置認識の乱れを起こさず前記経由地点に到達することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律型ロボット、自律型ロボットの制御方法、および自律型ロボットを用いた検査システムに関するものであり、特に、ヘビ型の形状を有する自律型ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビルなどの建造物は電気、ガス、水道の配管と地下水くみ上げ用ポンプを有しており、これらの設備は主に建物の地下スペース(地下ピットとも称される)に設置される。ビルの新築時及びメンテナンス時には、これら地下設備が正常に設置、稼働していることや地下スペース自体のコンクリートの劣化状況などを検査している。具体的には、点検者が区画された小部屋に入り込み、配管の状況を目視または写真等を撮像したり、人間の五感に基づいたりして、検査している。また、無線などによる遠隔制御が難しい場合もある。ここで、配管されているところは非常に狭い区画内であり、十分な照明器具も常設されていない。また二酸化炭素濃度が高く、労働安全衛生法他において酸素欠乏危険場所として指定されており、点検者にとっては危険にさらされる可能性の高い場所となっている。
【0003】
上述した問題の解決のひとつとして、ロボットの活用が期待されている。例えば、ヘビのように細長い形状をもつヘビ型の形状を有する自律型ロボット(以下、単に、「ヘビ型ロボット」とも称する)の活用が考えられる(特許文献1を参照)。ヘビ型ロボットは、生物のヘビを模倣したロボットであり、ヘビのように関節を多様に動かし、点検や災害現場での被災者探索を行うことができる。また、ヘビ型ロボットは、自らの形状を自在に動かして様々な動作をすることができる。特に、ヘビ型ロボットは、災害現場やプラント設備のような狭く複雑な領域に進入するのに適した形状であり、倒壊した家屋内などでの被災者探索などの救助活動のほか、狭い場所での配管の検査などに有効である。
【0004】
ここで、ヘビ型ロボットを用いて検査をする際の問題のひとつが、ヘビ型ロボットの制御(操作)の難しさである。例えば、ヘビ型ロボットは、一般に数十個もの関節を有しており、人間の操作者が遠隔操作をして、ヘビ型ロボットの全ての関節を制御するのは困難である。この点について、特許文献2では、配管内部を走行して検査を行うヘビ型ロボットについて開示されている。ただし、特許文献2では、ヘビ型ロボット自身の直径とおおよそ同程度の直径を有する配管内部で走行することを前提としている。特許文献2のようにヘビ型ロボットの走行範囲を事前に限定してあげることにより、ヘビ型ロボット自身の制御は比較的容易となるが、点検や災害現場のような作業困難な場所を含む空間での活用は難しい。また、建物点検用の地下スペースや災害現場のように電波状況が悪く操作者とロボットの間の通信が不能、または不安定な地下自由区間での制御を容易にするためには、人間による遠隔操作(遠隔型)よりも自律型のヘビ型ロボットであることが望ましいが、特許文献2では検討されていない。また、特許文献3では二次元空間情報に基づいて移動体の姿勢を制御する手法が開示されているが、平坦な床面での走行を前提としている。上記の建物の地下スペース内には、地中からコンクリートを通過して浸出する地下水を排水ポンプに流入させるための排水溝が床面に縦横に張り巡らされているため、ヘビ型ロボットが溝に侵入する際の侵入角度が大きい場合にはスタックが生じる。そのため車輪は溝に対して垂直に近い角度で侵入する必要があるが、特許文献3の手法は平坦な床面を前提としており、排水溝をスタックせず通過するための姿勢制御については検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-084665号公報
【特許文献2】特開2020-507486号公報
【特許文献3】特許7194955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一態様によれば、排水溝などの溝が縦横に掘られた床面を自律型で走行して、作業困難な場所での検査を実現することが可能なヘビ型ロボットや、そのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、
所定の空間内を自律移動する移動体であって、
複数の本体部と、
当該本体部を接続する複数の関節とから構成される多連結の機構からなる駆動手段と、
記憶手段であって、
二次元地図の地図情報であって、前記移動体が二次元移動する経由地点及び停止して点検動作を行う点検地点の位置情報を含む地図情報と、
前記地図情報に前記経由地点を重ね合わせた情報内で前記経由地点間の実環境に溝が存在する場合には前記移動体が溝に対して正対して通過できる経路以外の溝を前記地図情報内に進入禁止領域を設定した進入禁止領域情報として含む走行可能領域地図情報と、
を記憶する記憶手段と、
前記走行可能領域地図情報と前記移動体自身の現在地から前記移動体の自己位置を推定する自己位置推定手段と、
前記移動体の先頭部が溝上の前記経路の中央に正対して通過を開始する姿勢を取り、前記進入禁止領域間を通過する前記移動体の後続部が前記進入禁止領域に接触しないよう各関節の左右方向の姿勢制御を行う姿勢制御手段と、
を備え、
前記姿勢制御手段は、前記移動体の複数の本体部の一部を姿勢制御及び駆動の対象外とし、残る本体部で姿勢制御と駆動を行い、
前記姿勢制御手段は、前記移動体が溝上の前記経路を通過するとき、前記進入禁止領域情報に基づき溝に対して正対して直進しながら、前記移動体の溝上に差し掛かる部分の溝の底方向への下降に対しても脱輪及び自己位置認識乱れを防止する上下方向の関節制御を行い、前記溝への脱輪及び自己位置認識の乱れを起こさず前記経由地点に到達することを特徴とする、移動体を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、排水溝のような溝を含む床面を自律型で走行して、作業困難な場所での検査を実現することが可能なヘビ型ロボットや、そのシステムを提供することを可能とする。
【0009】
本発明の他の目的、特徴及び利点は添付図面に関する以下の本発明の実施例の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例によるロボットシステムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、ロボットの姿勢と基準姿勢とが一致している場合におけるロボットの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、ロボットの姿勢が持上姿勢である場合におけるロボットの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明が適用される建築物の地下ピット内床面の平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例が適用される建築物の基礎梁の内部梁の側面図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例が適用されるロボット制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施例が適用されるロボット制御装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例が適用される本発明の一実施例が適用されるロボット制御装置がロボットを動作させる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、ロボット制御装置がロボットを動作させる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の一実施例が適用されるロボット動作の一例を示す図である。本発明の一実施例が適用されるシステムにおいて、地下ピットにおける移動体地図の例を示す。
【
図11】
図11は、本発明の一実施例が適用されるロボット動作の一例を示す図である。本発明の一実施例が適用されるシステムにおいて、移動体の先頭部のナビゲーション、進入禁止領域と溝への進入角度を示す。
【
図12】
図12は、本発明の一実施例が適用されるロボット動作の一例を示す図である。本発明の一実施例が適用されるシステムにおいて、姿勢が崩れる車輪の持ち上げの例を示す。
【
図13】
図13は、本発明の一実施例が適用されるロボット動作の一例を示す図である。制御上と実際の接地点切り替えタイミングの不一致を示す。
【
図14】
図14は、ロボット制御装置がロボットを動作させる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した一実施例について説明する。
【0012】
<ロボットシステムの構成>
以下、ロボットシステム1の構成について説明する。
【0013】
図1は、実施形態に係るロボットシステム1の構成の一例を示す図である。ロボットシステム1は、ロボット10と、ロボット制御装置20とを備える。なお、ロボットシステム1では、ロボット10と、ロボット制御装置20とのうちの一部又は全部が一体に構成されてもよい。
【0014】
ロボット10は、ヘビの頭に相当する部位であるカメラやセンサなどを備えた先頭部Eと、ヘビの尾の部分に相当する部位である最後尾部Zと、複数の関節を備える本体部Mを備えるヘビ型ロボットである。なお、ロボット10では、先頭部Eは、本体部Mと一体に構成されてもよい。
【0015】
先頭部Eは、本体部Mによって支持されており、本体部Mの動きに応じて動く。なお、先頭部Eは、本体部Mの動きに応じて動く構成に代えて、本体部Mの動きと独立に動くことが可能な構成であってもよい。
【0016】
先頭部Eは、この一例において、1つの車輪部Wを備える。車輪部Wは、横滑り動作が可能なように、プラスチックなどの滑りやすい樹脂で覆われる。なお、先頭部Eは、車輪部Wを備えない構成であってもよい。また、先頭部Eは、2以上の車輪部Wを備える構成であってもよい。車輪部Wは、1対の車輪を有する。なお、車輪部Wは、1対の車輪を備える構成に代えて、1つの車輪を備える構成であってもよく、3つ以上の車輪を備える構成であってもよい。以下では、説明の便宜上、ロボット10が備えるある部位の車輪と称した場合、当該部位が備える車輪部Wが有する車輪を示す。すなわち、ロボット10のある部位が1つの車輪部Wを備えている場合、当該部位の車輪の数は、2である。また、ロボット10のある部位が2つの車輪部Wを備えている場合、当該部位の車輪の数は、4である。
【0017】
また、先頭部Eは、本体部Mが有する2つの端部のうちユーザにより先頭側として選択された端部である第1端部に接続される。先頭部Eと本体部Mとは、如何なる方法によって接続されてもよく、例えば、何らかのリンク部材によって接続される。なお、以下では、説明の便宜上、本体部Mが有する2つの端部のうち第1端部と反対側の端部を第2端部と称して説明する。
【0018】
先頭部Eが備えるカメラやセンサなどは、無線によってロボット制御装置20と通信可能に接続されている。これにより、当該カメラやセンサなどは、ロボット制御装置20から取得される制御信号に基づく動作を行う。ここで、無線による通信は、例えば、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格によって行われる。なお、当該カメラやセンサなどは、ケーブルを介してイーサネット(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)等の規格によって行われる有線通信によってロボット制御装置20と接続される構成であってもよい。
【0019】
最後尾部Zは、この一例において、ロボット10が有する部位のうち1つの車輪部Wを備えた部位のことである。なお、最後尾部Zは、車輪部Wを備えない構成であってもよい。また、最後尾部Zは、2以上の車輪部Wを備える構成であってもよい。また、最後尾部Zは、本体部Mによって支持されており、本体部Mの動きに応じて動く。なお、最後尾部Zは、本体部Mの動きに応じて動く構成に代えて、本体部Mの動きと独立に動くことが可能な構成であってもよい。
【0020】
また、最後尾部Zは、本体部Mが有する2つの端部のうち前述の第2端部に接続される。最後尾部Zと本体部Mとは、如何なる方法によって接続されてもよく、例えば、何らかのリンク部材によって接続される。
【0021】
本体部Mは、n個の第1関節J1と(n-1)個の第2関節J2とを、ロボット10が備える複数の関節として備えるヘビ型のマニピュレーター(本実施例では、「複数の本体部と、当該本体部を接続する複数の関節とから構成される多連結の機構を有する移動体」、または「ヘビ型ロボット」等と称する。)である。なお、本体部Mは、第1関節J1の個数と同じ個数の第2関節J2を備える構成であってもよく、第1関節J1の個数よりも多い個数の第2関節J2を備える構成であってもよい。また、本体部Mは、(n-1)個より少ない個数の第2関節J2を備える構成であってもよく、(n-1)個よりも多い個数の第2関節J2を備える構成であってもよい。
【0022】
また、本体部Mは、当該複数の関節間を繋ぐリンク部材Lを備える。以下では、一例として、リンク部材Lが、第1関節J1と第2関節J2との間を繋ぐリンク部材である場合について説明する。すなわち、この一例において、本体部Mには、第1関節J1と第2関節J2とが、第1端部から第2端部に向かって第1関節J1、第2関節J2、第1関節J1、第2関節J2、・・・、第1関節J1、という順に第1関節J1と第2関節J2とが交互に配置されている(備えられている)。すなわち、本体部Mは、2(n-1)個のリンク部材Lを有する。なお、本体部Mにおいて、第1関節J1と第2関節J2とが配置される順は、他の順であってもよい。
【0023】
また、本体部Mは、(n-1)個の車輪部Wを備える。なお、本体部Mは、(n-1)個よりも少ない車輪部Wを備える構成であってもよい。また、本体部Mは、何らかの方法によってロボット10の動きを妨げないように車輪部Wを取り付けることが可能な場合、(n-1)個よりも多い車輪部Wを備える構成であってもよい。また、本体部Mは、車輪部Wを備えない構成であってもよい。
【0024】
また、本体部Mには、(n-1)個の第2関節J2のそれぞれについて、第2関節J2の回動軸と車輪部Wが有する車輪の車軸(回動軸)とが一致するように車輪部Wが第2関節J2に設けられている。すなわち、本体部Mは、2(n-1)個の車輪(すなわち、(n-1)対の車輪)を有する。また、本体部Mには、ロボット10の姿勢と後述する基準姿勢とが一致している場合において、先頭部Eが有する2個の車輪と、最後尾部Zが有する2個の車輪と、本体部Mが有する2(n-1)個の車輪とを合わせた2(n+1)個の車輪の全部が、ある1つの平面に接地可能なように、当該(n-1)個の車輪部Wが設けられる。すなわち、当該場合において、ロボット10をある平面に載置した場合、ロボット10の車輪は、全て当該平面に接地する。なお、当該2(n+1)個の車輪のうち、先頭部Eを除く車輪のそれぞれの円周面の材質は、横滑りしないように摩擦係数が高い材質(例えば、ゴム等)であることが望ましく、先頭部Eの円周面の材質は方向転換時に横滑りさせるため、摩擦係数の低い材質(例えば、プラスチック樹脂等)が望ましい。
【0025】
以下では、一例として、先頭部Eが備える1個の車輪部Wと、最後尾部Zが有する1個の車輪部Wと、本体部Mが有する(n-1)個の車輪部Wとを合わせた(n+1)個の車輪部Wの全部が、互いに同じ構成である場合について説明する。なお、本体部Mは、(n-1)個の第2関節J2のうちの一部又は全部のそれぞれについて、第2関節J2の回動軸と車輪部Wが有する車輪の車軸(回動軸)とが一致しないように車輪部Wが第2関節J2に設けられる構成であってもよい。また、当該(n+1)個の車輪部Wの一部又は全部は、互いに異なる構成であってもよい。
【0026】
ここで、第1関節J1は、ロボット10の姿勢と基準姿勢とが一致している場合において第1方向と平行な回動軸を有する関節のことである。なお、第1関節J1は、当該場合において第1方向と非平行な回動軸を有する関節であってもよい。ここで、ロボット10の姿勢は、この一例において、ロボット10が備える複数の関節それぞれの回動角によって表される。なお、ロボット10の姿勢は、ロボット10に応じた他の量によって表される構成であってもよい。
【0027】
基準姿勢は、ロボット10の姿勢のうちの基準となる姿勢のことである。基準姿勢は、この一例において、ロボット10の姿勢のうち、ロボット10が備える複数の関節(すなわち、n個の第1関節J1及び(n-1)個の第2関節J2)の全てが1直線上に並ぶ姿勢のことである。より具体的には、基準姿勢は、ロボット10の姿勢のうち、当該複数の関節それぞれの位置が1直線上に並ぶ姿勢のことである。この一例において、第1関節J1の位置は、第1関節J1の重心の位置によって表される。この一例において、第2関節J2の位置は、第2関節J2の重心の位置によって表される。以下では、説明の便宜上、ロボット10の姿勢と基準状態とが一致している場合において、当該複数の関節それぞれの位置を通る仮想的な直線を直線CLと称して説明する。また、以下では、一例として、ロボット10の姿勢と基準姿勢とが一致している場合において、ロボット10が備える複数の関節それぞれの回動角は、全て0である場合について説明する。すなわち、この一例において、当該複数の関節のそれぞれは、0を基準の回動角として関節の可動範囲における上限又は下限の角度まで回動可能な関節である。なお、第1関節J1の位置は、第1関節J1に応じた他の位置によって表される構成であってもよい。また、第2関節J2の位置は、第2関節J2に応じた他の位置によって表される構成であってもよい。また、ロボット10の基準姿勢は、当該姿勢に代えて、ロボット10の他の姿勢であってもよい。
【0028】
第1方向は、ロボット10の姿勢と基準姿勢とが一致している場合において、直線CLと直交する方向のうちの1つである。以下では、一例として、第1方向が、当該場合におけるロボット10を接地面に載置した場合において、接地面と直交する方向(すなわち、接地面の法線方向)と一致する場合について説明する。なお、第1方向は、当該場合において接地面と直交する方向と一致しない構成であってもよい。
【0029】
接地面は、ロボット10を載置可能な平面のことである。接地面は、例えば、屋内の床面、屋外の地面等の平面であるが、これらに限られず、他の平面であってもよい。前述した通り、ロボット10の姿勢と基準姿勢とが一致している場合、ロボット10が有する2(n+1)個の車輪は、全てある1つの平面に接地可能である。すなわち、当該場合、ロボット10を接地面に載置すると、当該全ての車輪は、接地面に接地する。また、当該場合、この一例において全ての車輪部Wが互いに同じ構成であるため、直線CLは、接地面と平行な直線である。
【0030】
また、第2関節J2は、ロボット10の姿勢と基準姿勢とが一致している場合において、第2方向と平行な回動軸を有する関節のことである。第2方向は、当該場合において、直線CLと直交する方向のうち第1方向と異なる方向のことである。以下では、一例として、第2方向が、当該場合において直線CL及び第1方向のそれぞれと直交する方向である場合について説明する。すなわち、当該場合において、ロボット10を接地面に載置すると、第2関節J2の回動軸は、接地面と平行になる。
【0031】
ここで、
図2を参照し、ロボット10の基準姿勢と、第1関節J1と、第2関節J2とのそれぞれについて説明する。
図2は、ロボット10の姿勢と基準姿勢とが一致している場合におけるロボット10の一例を示す図である。
図2に示したように、ロボット10の姿勢と基準姿勢とが一致している場合、ロボット10が備える複数の関節(すなわち、n個の第1関節J1及び(n-1)個の第2関節J2)それぞれの位置は、1直線(
図2に示した仮想的な直線CL)上に並ぶ。
【0032】
また、
図2に示した例では、ロボット10は、面MNに載置されている。すなわち、
図2に示した面MNは、前述の接地面の一例である。当該例では、ロボット10の姿勢と基準姿勢とが一致しているため、ロボット10が有する複数の車輪は、全て面MNに接地している。
【0033】
また、
図2に示した例では、第1方向は、
図2において矢印ANによって示した方向であって面MNと直交する方向(すなわち、面MNの法線方向)である。従って、
図2に示したロボット10が備えるn個の第1関節J1それぞれの回動軸であって
図2において点線A1によって示されている回動軸は、当該方向と平行である。また、
図2に示した例では、第2方向は、直線CL及び当該方向と直交する方向である。従って、
図2に示したロボット10が備える(n-1)個の第2関節J2それぞれの回動軸であって
図2において点線A2によって示されている回動軸は、当該方向と平行である。
【0034】
図1に戻る。ロボット10が備えるn個の第1関節J1のそれぞれは、図示しないアクチュエーターを備える。また、ロボット10が備える(n-1)個の第2関節J2のそれぞれは、図示しないアクチュエーターを備える。n個の第1関節J1のそれぞれが備えるアクチュエーター、及び(n-1)個の第2関節J2のそれぞれが備えるアクチュエーターは、無線によってロボット制御装置20と通信可能に接続されている。これにより、n個の第1関節J1のそれぞれが備えるアクチュエーター、及び(n-1)個の第2関節J2のそれぞれが備えるアクチュエーターは、ロボット制御装置20から取得される制御信号に基づいて、ロボット10を動作させる。ここで、無線による通信は、例えば、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格によって行われる。なお、n個の第1関節J1のそれぞれが備えるアクチュエーターのうちの一部又は全部は、ケーブルを介してイーサネット(登録商標)やUSB等の規格によって行われる有線通信によってロボット制御装置20と接続される構成であってもよい。また、(n-1)個の第2関節J2のそれぞれが備えるアクチュエーターのうちの一部又は全部は、ケーブルを介してイーサネット(登録商標)やUSB等の規格によって行われる有線通信によってロボット制御装置20と接続される構成であってもよい。
【0035】
また、ロボット10が備える(n+1)個の車輪部W(すなわち、先頭部Eが備える1個の車輪部W、最後尾部Zが備える1個の車輪部W、及び本体部Mが備える(n-1)個の車輪部W)のうちの少なくとも一部には、各車輪を回動させる図示しないアクチュエーターが備えられている。すなわち、この一例において、当該(n+1)個の車輪部Wのうちの少なくとも一部が有する車輪は、アクチュエーターによって回動する能動輪である。また、当該(n+1)個の車輪部Wのうち能動輪を有する車輪部W以外の車輪部Wが有する車輪は、アクチュエーターによって回動しない受動輪である。なお、ロボット10が備える(n+1)個の車輪部Wは、1対の能動輪を有する車輪部Wと、1対の受動輪を有する車輪部Wと、能動輪及び受動輪の両方を1対の車輪として有する車輪部Wとのうちの少なくとも一部によって構成される。以下では、一例として、ロボット10が備える(n+1)個の車輪部Wが、1対の能動輪を有する車輪部Wと、1対の受動輪を有する車輪部Wとによって構成される場合について説明する。ロボット10が備えるアクチュエーターであってロボット10が有する能動輪を回動させるアクチュエーターは、無線によってロボット制御装置20と通信可能に接続されている。これにより、当該アクチュエーターは、ロボット制御装置20から取得される制御信号に基づいて、能動輪を回動させる。ここで、無線による通信は、例えば、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格によって行われる。なお、当該アクチュエーターのうちの一部又は全部は、ケーブルを介してイーサネット(登録商標)やUSB等の規格によって行われる有線通信によってロボット制御装置20と接続される構成であってもよい。
【0036】
ロボット制御装置20は、この一例において、ロボット10を制御する(動作させる)制御装置である。ロボット制御装置20は、取得した操作情報に応じてロボット10が自律移動するような制御をする。
【0037】
より具体的には、ロボット制御装置20は、ロボット10が有する部位のうち予め決められた部位とともに動く仮想的な点である制御点Tをロボット10に設定する。当該予め決められた部位は、例えば、先頭部Eが備えるカメラやセンサなどの重心である。なお、当該予め決められた部位は、当該重心に代えて、ロボット10が有する他の部位であってもよい。制御点Tは、例えば、TCP(Tool Center Point)である。なお、制御点Tは、TCPに代えて、仮想的な他の点であってもよい。
【0038】
また、ロボット制御装置20は、ロボット10に設定した制御点Tとともに動く仮想的な三次元直交座標系である制御点座標系を対応付ける。制御点Tの位置は、基準となる三次元直交座標系である基準座標系における原点に対する制御点座標系における原点の相対的な位置によって表される。また、制御点Tの姿勢は、基準座標系における各座標軸の方向に対する制御点座標系における各座標軸の相対的な方向によって表される。なお、制御点Tの位置は、制御点Tに応じた他の位置によって表される構成であってもよい。また、制御点Tの姿勢は、制御点Tに応じた他の方向によって表される構成であってもよい。
【0039】
基準座標系は、制御点座標系に対して相対的に静止している慣性系である。例えば、ロボット制御装置20は、ロボット制御装置20がロボット10を動かし始める前のタイミングであってロボット制御装置20がユーザから基準座標系を設定する操作を受け付けたタイミングにおける制御点座標系と一致する三次元座標系を基準座標系として特定する。なお、ロボット制御装置20は、これに代えて、ユーザにより予め決められた位置に設定された三次元座標系等の他の三次元座標系を基準座標系として特定する構成であってもよい。また、ロボット制御装置20は、他のタイミングにおける制御点座標系と一致する三次元座標系を基準座標系として特定する構成であってもよい。
【0040】
ロボット制御装置20は、後述する閉ループシステムに基づいて、制御点Tの速度が、当該操作情報が示す目標速度に一致するように、ロボット10が備える複数の関節のそれぞれを回動させる。これにより、ロボット制御装置20は、ロボット10にユーザが所望する動作を行わせることができる。すなわち、制御点Tの速度は、当該閉ループシステムにおける被制御量である。
【0041】
制御点Tの速度は、制御点Tの位置が並進する速度である制御点並進速度と、制御点Tの姿勢が回動する制御点回動速度とのそれぞれを含んでいる。また、当該並進速度には、当該位置が制御点座標系におけるX軸に沿って並進する速度であるX軸並進速度と、当該位置が制御点座標系におけるY軸に沿って並進する速度であるY軸並進速度と、当該位置が制御点座標系におけるZ軸に沿って並進する速度であるZ軸並進速度とのそれぞれを含んでいる。また、当該回動速度には、当該姿勢が当該X軸周りに回動する速度であるX軸回動速度と、当該姿勢が当該Y軸周りに回動する速度であるY軸回動速度と、当該姿勢が当該Z軸周りに回動する速度であるZ軸回動速度とのそれぞれを含んでいる。
【0042】
目標速度は、制御点並進速度を一致させる目標となる目標並進速度と、制御点回動速度を一致させる目標となる目標回動速度とが含まれている。また、目標並進速度には、X軸並進速度を一致させる目標となるX軸目標並進速度、Y軸並進速度を一致させる目標となるY軸目標並進速度、Z軸並進速度を一致させる目標となるZ軸目標並進速度のそれぞれが含まれている。また、目標回動速度には、X軸回動速度を一致させる目標となるX軸目標回動速度、Y軸回動速度を一致させる目標となるY軸目標回動速度、Z軸回動速度を一致させる目標となるZ軸目標回動速度のそれぞれが含まれている。
【0043】
また、ロボット制御装置20は、以下において説明する閉ループシステムに基づくロボット10の制御によって、制御点Tの速度を目標速度と一致させながら、ロボット10が備える複数の関節のうちのユーザが所望する1以上の関節それぞれの回動角を、ユーザが所望する回動角と一致させることができる。これにより、ロボット制御装置20は、ロボット10を動作させ、ロボット10が有する車輪の少なくとも一部が接地している面MNからロボット10の少なくとも一部を持ち上げた状態において、制御点Tの速度を目標速度と一致させることができる。また、ロボット制御装置20は、ロボット10を動作させ、状態において、制御点Tの位置及び姿勢を動かさずに、ロボット10が有する部位のうち面MNから持ち上げられていない部位を動かすことができる。これらの結果、ロボット制御装置20は、ロボット10にユーザが所望する動作を行わせることができる。
【0044】
なお、ロボット制御装置20は、ロボット制御装置20に予め記憶された動作プログラムに応じてロボット10を動作させる構成であってもよい。
【0045】
ロボット制御装置20は、例えば、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC、タブレットPC、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置である。なお、ロボット制御装置20は、これらの情報処理装置に代えて、他の情報処理装置であってもよい。
【0046】
なお、ロボット制御装置20は、無線によって、外部から手動操作が可能な装置と通信可能に接続されていてもよい。
【0047】
<ロボットが通過する排水溝を含む床面の説明>
図4は、本発明が適用される建築物の地下ピット内床面の平面図である。
本実施例の地下ピットは、基礎梁6で区画8が区切られている。区画8間には人通口などの貫通孔が設けられている。区画8内には排水溝9が設けられており、幅は、例えば、150mm程度、深さは30~50mm程度である。ここで、排水溝9の幅は、例えば、本実施例の移動体の複数の本体のひとつの長さよりも長くなるように構成されている。また、区画8内にはわずかに勾配が付けられており、コンクリートを通じて浸出する地下水や雨水を各区画内の排水溝9に集め、外部排水管に向け流す構造となっている。
【0048】
<ロボット制御装置のハードウェア構成>
以下、
図6を参照し、ロボット制御装置20のハードウェア構成について説明する。
図6は、ロボット制御装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0049】
ロボット制御装置20は、例えば、プロセッサまたはCPU(Central Processing Unit)21と、記憶部22と、通信部24を備える。これらの構成要素は、バスBSを介して相互に通信可能に接続されている。また、ロボット制御装置20は、通信部24を介してロボット10と通信を行う。
【0050】
CPU21は、記憶部22に格納された各種プログラムを実行する。記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read- Only Memory)、ROM(Read-OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部22は、ロボット制御装置20に内蔵されるものに代えて、USB等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置であってもよい。記憶部22は、ロボット制御装置20が処理する各種の情報、各種のプログラム等を格納する。また、ロボットが通過する段差上の経路に関する情報なども格納してもよい。通信部24は、例えば、USB等のデジタル入出力ポートやイーサネット(登録商標)ポート等を含んで構成される。
【0051】
<ロボット制御装置の機能構成>
以下、
図7を参照し、ロボット制御装置20の機能構成について説明する。
図7のソフトウェアの機能構成20とデータ構成22は、
図6のロボット制御装置20のハードウェア構成上で適用可能な機能構成の一例を示している。
多連結移動ロボット10は、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)11、点検用カメラ12を備えている。
【0052】
ロボット制御装置20は、統括部22と、自己位置推定部24と、ロボット制御部26を備える。さらに、撮影部28を備えてもよい。また、任意のデータを記憶する記憶部22を備える。
【0053】
記憶部22は、動作指示リスト221、障害物地
図222、進入禁止領域地
図223、溝地
図224、点検画像群225に関するデータを記憶している。なお、本実施例では、記憶部22が全てのデータを記憶しているものとして説明するが、別の実施例として、複数の記憶部を設けて、任意のデータを記憶するように構成されてもよい。
【0054】
統括部22は、動作指示リスト221に記録されているロボット動作指令を基に、自己位置推定部24、ロボット制御部26と、撮影部28の動作全体を制御する。使用者によって投入される走行ルート情報及び所定位置での撮像などの動作指示情報は統括部によって自己位置推定部24と、ロボット制御部26と、撮影部28に分割した指示として与えられる。ロボットの動作時においては、統括部22は自己位置推定部24と、ロボット制御部26と、撮影部28からの情報を常時集約して監視し、動作指示情報に沿った動作となるように各部位に対して動作の実行、待機を指示する。事前にユーザが作成した動作指示リストにしたがって、統括部が人通口通過部、ナビゲーション部、撮影部を実行する。本実施例では、自己位置推定部24は、任意の手法を用いて、環境地図とLiDARの点群をもとに自己位置推定を行う。推定した自己位置は、ナビゲーション部261、平面移動部262へ送信される。
【0055】
環境地図(障害物地
図222、溝地
図224など)は、地下ピットの建築図面をもとに環境地図を作成する。そして、二次元図面をもとに環境地図を事前に手作業で作成してロボットに与える.具体例として、
図10(a)の矢印のような経路を移動する場合には、障害物点群とのマッチング用の障害物地図では
図10(b)のように障害物が存在する領域を黒、障害物が存在しない領域を白で示し、溝地図では
図10(c)のように溝である領域を黒、溝でない領域を白で示す。
【0056】
ロボット制御部26は、統括部22から与えられた指示に従い、ロボット制御装置20の全体を制御する。制御部26は、ナビゲーション部261、平面移動部262を備える。なお、人通口を通過する必要があるときには、人通口通過部263を備えてもよい。制御部26が備えるこれらの機能部は、例えば、
図6におけるCPU21が、記憶部22に記憶された各種のプログラムを実行することにより実現される。また、当該機能部のうちの一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0057】
ナビゲーション部261は、統括部22から与えられた目標地点及び目標とする先頭位置姿勢をもとにロボットの先頭速度を算出する。ロボットの先頭部の速度指令値は、平面移動部に送信される。ナビゲーション部261は、統括部22から与えられる先頭位置姿勢と、ロボットの走行前及び走行中に取得されるロボットの現在位置姿勢とに従い、ロボットが現在姿勢から目標姿勢に到達するために出すべき先頭速度(XY軸の並進速度及びZ軸の回転速度)を逐次算出し、ロボットへ走行速度、角度の指示として伝達する。
【0058】
溝が存在する環境においては、溝を越える場合を除いて溝上の領域に進入すると、スタックのリスクが生じるため、経路となる箇所を除いて溝上の領域には進入しないようにする必要がある.そこで、本システムでは、進入禁止領域地図を用意し、障害物が存在する領域と経路とならない溝上の領域を進入禁止領域として指定する.この地図を用いて経路計画を行うことで進入禁止領域を避けて経路を生成する。このとき、
図11のように先頭部の溝への進入角度が垂直な経路が生成されるため、先頭部の溝への進入角度が大きくならないことも達成される.具体例として、
図10(a)のような想定環境と経路において矢印のような経路を移動する場合には、
図10(d)のような進入禁止領域地図を準備する。ここで、進入禁止領域を黒、移動可能な領域を白で示す。
【0059】
平面移動部262は、平面移動部は、ロボットが平面(床面など)を自律移動するときに、ロボットの先頭部は予め決められた目標通りに動き、後続は進入禁止領域の回避、関節の可動限界回避、自己衝突回避をするように動くことができるように、ロボットのそれぞれの関節角を計算する処理部である。平面移動部262は、平面移動時の関節速度を多連結移動ロボットに送信する。
【0060】
平面移動部262は、ロボットが溝を含む平面をスタック回避しながら自律走行するためのロボット制御に必要な処理部である。
【0061】
人通口通過部263は、ロボットが人通口を通過するときに、ロボットの制御に必要な処理部である。人通口通過部263は、人通口通過時の関節角度を多連結移動ロボットに送信する。
【0062】
本実施例では、車輪のすべりが生じないものとして、多連結移動ロポットの運動学モデルを検討する。この制御においては、メインタスクとして頭部の目標の並進・回転速度を実現し、残った冗長性を利用してサプタスクとして進入禁止領域の回避、関節の可動限界回避、自己衝突回避を実現する。車輪の溝への進入角度を垂直とすることは、
図11のように進入禁止領域の回避によって達成される。
【0063】
接地車輪と非接地車輪の配置に固有の番号を割り当て、モードと呼ぶ。溝が存在しない平面では、車輪の持ち上げによってモードを自由に切り替えられる。しかし、溝が存在する場合には、溝上の車輪は非接地となるため、モードは環境に依存する。そこで、溝上の車輪を非接地とするモードを選択する。このとき、本来は溝上で浮く車輪は車輪句束がないため持ち上げる必要はない。しかし、実際の制御では、溝上で浮上する車輪が溝を越えて平面と接地してから、次のモードの切り替えまでの間、その車輪は車輪拘束を有するが、制御上では車輪拘束がないものとして扱われる。そこで、これを避けるために溝上の車輪は持ち上げる。ただし、低摩擦受動輪は常に車輪拘束がないため持ち上げない。車輪を持ち上げる際に、支点となる車輪が溝上にある場合には、その車輪は支点となれずに姿勢が崩れて、スタックしたり、浮上させる車輪が接地したりする恐れがある。そのため、このような車輪の持ち上げを行うようなモードが選択されないようにする必要がある。先述の溝上の車輪の持ち上げを前提とすると、
図12のように端部が溝上にあり、端部から最も近い溝上にある車輪を持ち上げるモードを選択しないようにする。本実施例では、溝上にある車輪は、推定された自己位置と溝地図から特定する。ただし、車輪は溝に対して垂直に近い角度で進入させるため、車軸の中心が溝上にある場合、左右両方の車輪が溝上にあるとみなす。
【0064】
本実施例では、排水溝を有する地下ピット内での自律点検のための溝越え制御手法を提案し、この制御手法で排水溝を越えて自律移動し、モード制限によって姿勢の崩れを防止できることを確認した.今後は、自己位置推定精度の向上と溝の通過位置を自動的に決定する機能の検討を行う。
【0065】
<ロボット制御装置がロボットを動作させる処理>
以下、ロボット制御装置がロボットを動作させる処理について説明する。なお、本実施例の説明において、ロボット制御装置が動作主体になったり、ロボットが動作主体(自律制御)になったりすることがあるが、どちらを動作主体にするかは当業者であれば自由に設計変更できることに留意されたい。
【0066】
<排水溝越えのための制御設計>
排水溝越えのための制御設計について説明する。地下ピット内の排水溝を乗り越えられる先頭部位置姿勢制御手法を提案する。
【0067】
<モデル>
接地車輪と非接地車輪の配置に固有の番号σを割り当て、この番号をモードと呼ぶ。ロボットのリンク数をn、能動輪の数をn
w、モードσのときの非接地車輪の車輪軸の数をm
σ、モードσのときの非接地となる能動輪の数をa
σ、i番目のヨー関節角度を
【数1】
、i番目の能動輪の回転角度をρ
i、xy平面上での頭部の位置・姿勢をw=[x
h、y
h、θ
h]
Tと表す。制御入力は、
【数2】
を用いて
【数3】
と表す。また、モードの切り替え周期を
【数4】
とし、モード切り替えを行う時刻は
【数5】
と表す。車輪のすべりを無視する場合、モードσにおける運動学モデルは、次のように表される.
【数6】
【0068】
<制御入力>
メインタスクとして先頭部の軌道追従の実現し、残った冗長性を利用してサブタスクを実現する.サブタスクの評価関数をV(q)と定義し、Vが小さくなるように制御する.ただし、
【数7】
である.このとき、上述した<モデル>に対する制御入力は、次のように表す。
【数8】
ただし、
【数9】
は制御入力のメインタスクの項、u
σは制御入力のサブタスクの項、B†
σはB
σの疑似逆行列、w
dはwの目標値、K>0はメインタスクのフィードバックゲイン、κはサブタスクのフィードバックゲインである。
(4.4)、(4.1)、(4.5)、B
σu
σ=0より、閉ループ系は次のように表される。
【数10】
よって、A
σが列フルランクであれば、(4.8)の解は一意に定まり、t→∞で、w→w
dに収束する.そのため、wがw
dに収束するためには、次式を満たす必要がある。
【数11】
(4.4)、(4.6)、(4.7) より、
【数12】
は次のように表される。
【数13】
(4.10)の右辺について、第一項と第二項はメインタスクに依存し、第三項は運動学的冗長性に関連する項である。
【数14】
であるから、κ<0であれば、(4.10)の右辺の第三項はVの減少に寄与する。
【0069】
<サブタスク>
サブタスクとして、進入禁止領域の回避、関節の可動限界回避、自己衝突回避を行う。これらのそれぞれの評価関数をV
o(q)、V
l(q)、V
s(q)とし、重みをa
o、a
l、a
sとすると、サブタスクの評価関数は次のように表せる。
【数15】
【0070】
<進入禁止領域の回避>
進入禁止領域を回避するために評価関数を設定する.すべてのヨー関節と車輪軸の中心のxy平面上での位置に1から2nまでの番号を割り当て、i番目の位置と進入禁止領域との最短距離をd
iとする.d
iの閾値をd
0とすると、V
o(q)は次のように表せる。
【数16】
【0071】
<関節の可動限界回避>
ヨー関節の角度が可動限界を超えないようにするために評価関数を設定する.関節角の可動限界回避の閾値を
【数17】
とすると、V
l(q)は次のように表せる。
【数18】
【0072】
<自己衝突回避>
自己衝突を回避するために評価関数を設定する.自己衝突が生じないリンク数をn
sとする。xy平面上での頭部の位置に0、xy平面上での車輪軸の中心の位置に1からnまでの番号を割り当て、i番目の位置とj番目の位置との距離をd
ijとする.d
ijの距離の閾値をd
00とすると、V
s(q)は次のように表せる。
【数19】
この進入禁止領域の回避によって、溝への進入角度を垂直にすることは、
図8のように達成される。
【0073】
<モード選択>
本実施例では、以下の溝上の非接地車輪によるモード制限および車輪持ち上げによるモード制限で述べる溝越えのための制限を満たすモードの中からランダムに変更する。
【0074】
<溝上の非接地車輪によるモード制限>
溝が存在しない平面では、車輪の持ち上げによってモードを自由に切り替えられる。しかし、溝が存在する場合には、溝上の車輪は非接地となるため、モードは環境に依存する。そこで、選択可能なモードを溝上の車輪を非接地とするモードに制限する。
【0075】
<車輪持ち上げによるモード制限>
車輪を持ち上げる際に、支点となる車輪が溝上にある場合には、その車輪は支点となれずに姿勢が崩れて、スタックのリスクが生じたり、浮上させる車輪が接地したりする恐れがある.そのため、このような車輪の持ち上げを行うようなモードが選択されないように制限する。
【0076】
<制御上と実際の接地点切り替えタイミングの不一致>
本来は溝上で浮く車輪は車輪拘束がないため持ち上げる必要はない。しかし、実際の制御では、溝上で浮上する車輪が溝を越えて平面と接地してから、次のモードの切り替えまでの間、その車輪は車輪拘束を有するが、制御上では車輪拘束がないものとして扱われる(
図13:制御上と実際の接地点切り替えタイミングの不一致)。そこで、これを避けるために非接地として扱う車輪は持ち上げる。ただし、低摩擦車輪は常に車輪拘束がないため持ち上げない。
その一方で、溝上で浮上する車輪が溝に進入してから、次のモードの切り替えまでの間、その車輪は車輪拘束をもたないが、制御上では車輪拘束があるものとして扱われる。この場合、溝上車輪の冗長性を利用できないが、溝上の車輪拘束を満たした上でメインタスクとサブタスクは達成される。
【0077】
<溝上の車輪の検出>
溝上にある車輪は、推定された自己位置と溝地図から特定する。ただし、車輪は溝に対して垂直に近い角度で進入させることから、車輪軸の中心が溝上にある場合、左右両方の車輪が溝上にあるとみなす。
【0078】
本実施例のロボットは、一例として、二次元空間情報に含まれる全ての点検地点を通過でき、かつ点検地点間に排水溝が存在する場合は排水溝でスタックすることなく点検ルートを通過するように制御され、二次元情報上の全ての点検地点を、移動体自身の頭部と後続部分とが干渉せず、かつ、排水溝の直前において排水溝に正対して通過動作を開始するための姿勢となることを考慮した走行ルート設定を行い、ロボットは、二次元空間情報上に含まれる障害物を回避するように制御され、点検地点で、当該検査地点周辺の環境情報を取得するような動作をする。
【0079】
以下、
図8を参照し、ロボット制御装置20がロボット10を動作させる処理について説明する。
図8は、ロボット制御装置20がロボット10を動作させる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0080】
S8010では、ロボットを点検入口に投入する。
S8020では、移動体が自己位置を推定する。自己位置の推定手法については、任意の手法が用いられてよい。
【0081】
S8030では、部屋の点検を行う。ここでは、指示者によって事前指定された点検位置情報に従い、1つまたは複数の場所(waypoint)を点検する。複数の場所を点検する場合には、点検順及び点検経路は、指示者によって事前指定される。S8030の動作中は、ロボットの自己位置推定と自己位置推定結果に基づく二次元姿勢制御が常時行われる。自己位置推定は、ロボットの自己位置と移動予定位置及び移動先で取るべき姿勢に関する情報と、LiDAR情報と事前地図とのマッチングにより行われる。複数の指定の場所がある場合に、経路の途中に何らかの障害物や溝がある場合には、センサが検知し、ロボットが、適宜、障害物や溝を回避しながら、次の指定の場所に移動する。二次元情報に基づく点検制御モードで、障害物回避の制御を行う。点検位置情報に指定された排水溝などの溝に到達した場合、S8030の排水溝の通過動作に移行する。
【0082】
S8040では、排水溝などの溝の通過を行う。排水溝などの溝の通過の際には、事前に位置を指定された排水溝などの溝のうちwaypoint間を結ぶ走行経路でありロボット自身が溝に対して正対して通過できる経路以外の溝を進入禁止場所とした走行経路情報と、ロボットの複数の車輪部のうち溝に差し掛かった車輪部の前後の車輪部を結ぶ線分の情報を用いてロボットの先頭が溝に対して正対した向きで通過を開始し、ロボットの先頭部と後続部が進入禁止領域に接触しないよう通過姿勢を逐次制御して通過する。ロボットがS8040の動作により排水溝などの溝を通過した後、次のwaypointに向けて走行を継続する。waipoint間に排水溝などの溝が存在する場合はS8040の排水溝の通過動作を行いながら、すべてのwaypointへの到達が完了するまで走行を継続する。
【0083】
S8050では、帰還を行う。帰還経路はS8030、S8040と同様、指示者によって点検開始前に指定され、ロボットはS8030、S8040と同様に動作する。
【0084】
図9は、ロボット制御装置がロボットを動作させる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0085】
S10010では、ロボットに測定させたいポイントを含んだマップを選択したり外部から入力したりする。ロボットは、赤外線センサやLiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)などの任意の環境認識手段を用いて環境情報を取得する処理を行う。
【0086】
S10020では、マップ上に、ひとつまたは複数の測定ポイント(WayPoint)を入力する。例えば、設計図面などの二次元情報からデータを読み込み、ユーザが任意に指定した測定ポイントを基に、ロボットが自動的に複数の測定ポイントを経由する経路(ルート)を計算してもよいし、ユーザが任意に指定してもよい。また、測定ポイントと別の測定ポイントの間で経由したいポイント(経由ポイント)があれば必要に応じて設定する。経由ポイントを設定する理由の一例は、障害物や溝などの走行困難なところを避けて、ロボットが円滑に移動できるようにするためである。本実施例においては、走行開始地点から、排水溝上を通過して排水溝の先のwaypointに向かうように経路が設定される。
【0087】
S10030では、赤外線センサ等の環境認識手段を用いて、ロボット周辺のサーチを行う。これにより、自己位置推定と環境地図作成ができる。ここで、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping、自己位置推定と環境地図作成の同時実行)を用いてもよい。ここで、SLAMとは、移動体の自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術の総称であり、SLAMを活用することで、移動体が未知の環境下で環境地図を作成することができる。構築した地図情報を使って障害物などを回避しつつ、特定のタスクを遂行します。
【0088】
S10040では、作成された環境地図に基づいて、測定ポイントまで、ロボットを移動させる。ロボットの頭部が測定ポイントに到達すると、ロボットは移動を停止する。ロボットを移動する際には、障害物を避けつつ、後続制御する。
【0089】
S10050では、測定ポイントに到達すると、ロボットは部屋の点検をする。例えば、ロボットは、頭部に取り付けられている撮像部を使って、測定ポイントの周辺を撮影したり、温度計やガス漏れセンサなどから情報を取得したりする。
【0090】
S10060では、測定ポイントデータを全て取得したかを判断する。次の測定ポイントがあれば、移動する。測定ポイントを全て周回したのであれば、帰還する。
【0091】
S10070では、ロボットが帰還する。帰還する際には、今までに通ってきた経路に沿って帰還してもよい。その場で旋回が可能なのであれば、旋回をして帰還してもよい。
【0092】
S10080では、点検した部屋で取得した情報を回収する。
【0093】
<ロボットが経路上の溝を通過するための処理>
図14に示すように、本実施例では、ロボットが排水溝などの溝を通過するべき経路を事前に定め、これに正確に追従する動作方法について説明する。本実施例では、通過制御モードとも称する。本実施例では、更に、経路への正確な追従に加えて、目標角度や角速度がハードウェアの制約を超過しないよう速度の調整も行われてもよい。
【0094】
S14010では、二次元地図情報であり移動体が二次元移動する経由地点及び停止して点検動作を行う点検地点の情報と、地図情報に経由地点を重ね合わせた情報内で経由地点間の実環境に存在する溝に対して移動体が正対して通過できる経路以外の溝を地図情報内に侵入禁止領域情報として含む走行可能領域地図情報とを記憶する。
【0095】
S14020では、走行可能領域地図情報と移動体自身の現在地から移動体の自己位置を推定する。
【0096】
S14030では、移動体の先頭部が溝上の前記経路の中央に正対して通過を開始する姿勢を取る。
【0097】
S14040では、進入禁止領域間を通過する移動体の後続部が進入禁止領域に接触しないよう各関節の左右方向の姿勢制御を行う。
【0098】
S14050では、移動体の複数の本体部の一部を姿勢制御及び駆動の対象外とし、残る本体部で姿勢制御と駆動を行う。
【0099】
S14060では、移動体が溝上の経路を通過するとき、進入禁止領域情報に基づき溝に対して正対して直進しながら、移動体の溝上に差し掛かる部分の溝の底方向への下降に対しても脱輪及び自己位置認識乱れを防止する上下方向の関節制御を行い、溝への脱輪及び自己位置認識の乱れを起こさず経由地点に到達する。
【0100】
S14020へ戻り、本体部のすべてが溝を通過するまで制御する。なお、説明の便宜上、S14020からS14060までの処理が順に制御されるように説明をしたが、これらの処理は、異なる順序で制御されてもよいし、任意の複数の処理が並列に処理されてもよい。
【0101】
また、地図情報と進入禁止領域情報を重ね合わせて走行可能領域を特定し、溝に正対しての直進及び溝方向への下降による脱輪及び自己位置認識の乱れを防止する経路計算を行うように構成されてもよい。
【0102】
また、二次元地図に沿って全ての点検地点を、移動体自身の先頭部と後続部分とが干渉せずに通過する姿勢制御指示情報を加味した走行ルート設定を行い、移動体が、点検地点で、当該検査地点周辺の環境情報を取得するように構成されてもよい。
【0103】
また、一定時間経過しても次の経由地点への到達が不可能である場合は帰還ルートを生成して帰還するように構成されてもよい。経由地点への到達の都度、自己位置推定と地図情報との不整合を検出し次の経由地点への到達が不可能である場合は帰還ルートを生成して帰還するように構成されてもよい。
【0104】
また、走行経路の走行中に溝検知手段により地図情報に存在しない溝を検知した場合には、溝検知手段により得た奥行き情報と移動体の全長と自重の情報をもとに溝上を通過可能かどうか判断し、通過不可能である場合には、次の到達目標地点への走行ルートまたは帰還ルートを次の点検地点とする経路計算を行うように構成されてもよい。
【0105】
本実施例では単一の溝越えについてのみ説明した。実際の地下ピットでは、T字路や十字路のようになった排水溝合流部付近で複数の人通口を同時に越えることが想定される.この場合は、本実施例で説明したような単一の溝越えの手法を複数の観点で組み合わせればよい。
【0106】
追加的な実施例として、走行可能地図情報を作成するにあたり、釜場、溝合流部を進入禁止領域に指定し、溝領域を通過可能な範囲で高コストに指定して、グローバルコストマップより経路を作成する。その際には、低コストとなる様、溝に対して垂直に近い経路を生成し、その後、経路以外の溝を侵入禁止領域に指定するように構成されてもよい。ここで、グローバルコストマップは、任意の記憶手段にされてもよい。また、高コストや低コストの基準については、所定の閾値を設けて、閾値よりも高いところを高コストとし、閾値よりも低いところを低コストとしてもよい。
【0107】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に溝が存在する所定の空間内を溝をまたいで自律移動する移動体であって、
複数の本体部であって、先頭部と少なくとも1つの後続部とからなる本体部と、
当該本体部を接続する複数の関節とから構成される多連結の機構からなる駆動手段と、
記憶手段であって、
二次元地図の地図情報であって、前記移動体が二次元移動する経由地点及び停止して点検動作を行う点検地点の位置情報を含む地図情報と、
前記地図情報内の前記溝を進入禁止領域として設定した進入禁止領域情報を含む走行可能領域地図情報であって、さらに、前記地図情報に前記経由地点を重ね合わせた情報内で前記経由地点間の実環境に溝が存在する場合には前記移動体が溝に対して正対して通過できる前記進入禁止領域上の経路を走行可能領域として設定した前記走行可能領域地図情報と、
を記憶する記憶手段と、
前記走行可能領域地図情報と前記移動体自身の現在地から前記移動体の自己位置を推定する自己位置推定手段と、
前記移動体の前記先頭部が溝上の前記走行可能領域上の前記経路の中央に正対して通過を開始する姿勢を取り、前記進入禁止領域間を通過する前記移動体の前記後続部が前記進入禁止領域に接触しないよう各関節の左右方向の姿勢制御を行う姿勢制御手段と、
を備え、
前記姿勢制御手段は、前記移動体の複数の本体部の一部を姿勢制御及び駆動の対象外とし、残る本体部で姿勢制御と駆動を行い、
前記姿勢制御手段は、前記移動体の前記先頭部が溝上の前記走行可能領域上の前記経路を通過するとき、前記移動体の前記後続部が、前記先頭部に続いて前記溝に対して正対して直進しながら、前記移動体の溝上に差し掛かる部分の前記溝の底方向への下降に対しても脱輪及び自己位置認識乱れを防止するように、上下方向の関節制御を行い、前記溝への脱輪及び自己位置認識の乱れを起こさず前記経由地点に到達し、前記溝に正対しての直進及び溝方向への下降による脱輪及び自己位置認識の乱れを防止するために、サブタスクの評価関数に基づいて前記後続部の進入禁止領域の回避、関節の可動限界回避、自己衝突回避を行うことを特徴とする移動体。
【請求項2】
前記サブタスクの評価関数は、進入禁止領域の回避の評価関数、関節の可動限界回避の評価関数、自己衝突回避の評価関数の合計であり、
前記進入禁止領域の回避の評価関数をV
o(q)、前記進入禁止領域の回避の評価関数をV
l(q)、前記自己衝突回避の評価関数をV
s(q)とし、
前記進入禁止領域の回避の評価関数の重みをa
o、前記進入禁止領域の回避の評価関数の重みをa
l、前記自己衝突回避の評価関数の重みをa
sとし、
前記進入禁止領域の回避の評価関数は、
で示され、ここで、前記移動体のヨー関節と車輪軸の中心のxy平面上での位置に1から2nまでの番号を割り当て、i番目の位置と進入禁止領域との最短距離をd
iとし、d
iの閾値をd
0とし、
前記進入禁止領域の回避の評価関数は、
で示され、ここで、前記移動体の関節角の可動限界回避の閾値を
とし、
前記自己衝突回避の評価関数は、
で示され、ここで、自己衝突が生じないリンク数をn
sとし、xy平面上での頭部の位置に0、xy平面上での車輪軸の中心の位置に1からnまでの番号を割り当て、i番目の位置とj番目の位置との距離をd
ijとし、d
ijの距離の閾値をd
00とすることを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記二次元地図に沿って全ての点検地点を、前記移動体自身の先頭部と後続部分とが干渉せずに通過する姿勢制御指示情報を加味した走行ルート設定を行い、前記移動体が、前記点検地点で、当該点検地点周辺の環境情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項4】
一定時間経過しても次の経由地点への到達が不可能である場合は帰還ルートを生成して帰還することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項5】
前記走行可能領域上の前記経路の走行中に溝検知手段により前記地図情報に存在しない溝を検知した場合には、前記溝検知手段により得た奥行き情報と前記移動体の全長と自重の情報をもとに溝上を通過可能かどうか判断し、通過不可能である場合には、次の到達目標地点への走行ルートまたは帰還ルートを次の点検地点とする経路計算を行うことを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項6】
前記走行可能領域地図情報を作成するにあたり、
釜場、溝合流部を進入禁止領域に指定し、
溝領域を通過可能な範囲で高コストに指定して、グローバルコストマップより経路を作成する。その際には、低コストとなる様、溝に対して垂直に近い経路を生成し、その後、経路以外の溝を侵入禁止領域に指定することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項7】
床に溝が存在する所定の空間内を溝をまたいで自律移動するために、先頭部と少なくとも1つの後続部とからなる複数の本体部を備えた移動体をプロセッサによって動作させるためのプログラムであって、
当該本体部を接続する複数の関節とから構成される多連結の機構からなる駆動手段と、
記憶手段であって、
二次元地図の地図情報であって、前記移動体が二次元移動する経由地点及び停止して点検動作を行う点検地点の位置情報を含む地図情報と、
前記地図情報内の前記溝を進入禁止領域として設定した進入禁止領域情報を含む走行可能領域地図情報であって、さらに、前記地図情報に前記経由地点を重ね合わせた情報内で前記経由地点間の実環境に溝が存在する場合には前記移動体が溝に対して正対して通過できる前記進入禁止領域上の経路を走行可能領域として設定した走行可能領域地図情報と、
を記憶する記憶手段と、
前記走行可能領域地図情報と前記移動体自身の現在地から前記移動体の自己位置を推定する自己位置推定手段と、
前記移動体の前記先頭部が溝上の前記走行可能領域上の前記経路の中央に正対して通過を開始する姿勢を取り、前記進入禁止領域間を通過する前記移動体の前記後続部が前記進入禁止領域に接触しないよう各関節の左右方向の姿勢制御を行う姿勢制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記姿勢制御手段は、前記移動体の複数の本体部の一部を姿勢制御及び駆動の対象外とし、残る本体部で姿勢制御と駆動を行い、
前記姿勢制御手段は、前記移動体の前記先頭部が溝上の前記走行可能領域上の前記経路を通過するとき、前記移動体の前記後続部が、前記先頭部に続いて前記進入禁止領域情報に基づき前記溝に対して正対して直進しながら、前記移動体の溝上に差し掛かる部分の前記溝の底方向への下降に対しても脱輪及び自己位置認識乱れを防止するように、上下方向の関節制御を行い、前記溝への脱輪及び自己位置認識の乱れを起こさず前記経由地点に到達するために、前記溝に正対しての直進及び溝方向への下降による脱輪及び自己位置認識の乱れを防止するために、サブタスクの評価関数に基づいて前記後続部の進入禁止領域の回避、関節の可動限界回避、自己衝突回避を行うことを特徴とするプログラム。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に溝が存在する所定の空間内を溝をまたいで自律移動する移動体であって、
複数の本体部であって、先頭部と少なくとも1つの後続部とからなる本体部と、
当該本体部を接続する複数の関節とから構成される多連結の機構からなる駆動手段と、
記憶手段であって、
二次元地図の地図情報であって、前記移動体が二次元移動する経由地点及び停止して点検動作を行う点検地点の位置情報を含む地図情報と、
前記地図情報内の前記溝
に対して前記移動体が正対して通過できる経路以外の領域であって、当該経路とならない前記溝上の前記領域を進入禁止領域として設定した進入禁止領域情報を含む走行可能領域地図情
報と、
を記憶する記憶手段と、
前記走行可能領域地図情報と前記移動体自身の現在地から前記移動体の自己位置を推定する自己位置推定手段と、
前記移動体の前記先頭部が溝上の前記走行可能領域
地図情報の前記経路の中央に正対して通過を開始する姿勢を取り、前記進入禁止領域間を通過する前記移動体の前記後続部が前記進入禁止領域に接触しないよう各関節の左右方向の姿勢制御を行う姿勢制御手段と、
を備え、
前記姿勢制御手段は、前記移動体の複数の本体部の一部を姿勢制御及び駆動の対象外とし、残る本体部で姿勢制御と駆動を行い、
前記姿勢制御手段は、前記移動体の前記先頭部が溝上の前記走行可能領域
地図情報の前記経路を通過するとき、前記移動体の前記後続部が、前記先頭部に続いて前記溝に対して正対して直進しながら、前記移動体の溝上に差し掛かる部分の前記溝の底方向への下降に対しても脱輪及び自己位置認識乱れを防止するように、上下方向の関節制御を行い、前記溝への脱輪及び自己位置認識の乱れを起こさず前記経由地点に到達し、前記溝に正対しての直進及び溝方向への下降による脱輪及び自己位置認識の乱れを防止するために、サブタスクの評価関数に基づいて前記後続部の進入禁止領域の回避、関節の可動限界回避、自己衝突回避を行
い、
前記サブタスクの評価関数は、進入禁止領域の回避の評価関数、関節の可動限界回避の評価関数、自己衝突回避の評価関数の合計であり、
前記進入禁止領域の回避の評価関数をV
o
(q)、前記関節の可動限界回避の評価関数をV
l
(q)、前記自己衝突回避の評価関数をV
s
(q)とし、
前記進入禁止領域の回避の評価関数の重みをa
o
、前記関節の可動限界回避の評価関数の重みをa
l
、前記自己衝突回避の評価関数の重みをa
s
とし、
前記進入禁止領域の回避の評価関数は、
で示され、ここで、前記移動体のヨー関節と車輪軸の中心のxy平面上での位置に1から2nまでの番号を割り当て、i番目の位置と進入禁止領域との最短距離をd
i
とし、d
i
の閾値をd
0
とし、
前記関節の可動限界回避の評価関数は、
で示され、ここで、前記移動体の関節角の可動限界回避の閾値を
とし、
前記自己衝突回避の評価関数は、
で示され、ここで、自己衝突が生じないリンク数をn
s
とし、xy平面上での頭部の位置に0、xy平面上での車輪軸の中心の位置に1からnまでの番号を割り当て、i番目の位置とj番目の位置との距離をd
ij
とし、d
ij
の距離の閾値をd
00
とすることを特徴とする移動体。
【請求項2】
前記二次元地図に沿って全ての点検地点を、前記移動体自身の先頭部と後続部分とが干渉せずに通過する姿勢制御指示情報を加味した走行ルート設定を行い、前記移動体が、前記点検地点で、当該点検地点周辺の環境情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
一定時間経過しても次の経由地点への到達が不可能である場合は帰還ルートを生成して帰還することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項4】
前記走行可能領域地図情報の前記経路の走行中に溝検知手段により前記地図情報に存在しない溝を検知した場合には、前記溝検知手段により得た奥行き情報と前記移動体の全長と自重の情報をもとに溝上を通過可能かどうか判断し、通過不可能である場合には、次の到達目標地点への走行ルートまたは帰還ルートを次の点検地点とする経路計算を行うことを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項5】
前記走行可能領域地図情報を作成するにあたり、
釜場、溝合流部を進入禁止領域に指定し、
溝領域を通過可能な範囲で高コストに指定して、グローバルコストマップより経路を作成する。その際には、低コストとなる様、溝に対して垂直に近い経路を生成し、その後、経路以外の溝を侵入禁止領域に指定することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項6】
床に溝が存在する所定の空間内を溝をまたいで自律移動するために、先頭部と少なくとも1つの後続部とからなる複数の本体部を備えた移動体をプロセッサによって動作させるためのプログラムであって、
当該本体部を接続する複数の関節とから構成される多連結の機構からなる駆動手段と、
記憶手段であって、
二次元地図の地図情報であって、前記移動体が二次元移動する経由地点及び停止して点検動作を行う点検地点の位置情報を含む地図情報と、
前記地図情報内の前記溝
に対して前記移動体が正対して通過できる経路以外の領域であって、当該経路とならない前記溝上の前記領域を進入禁止領域として設定した進入禁止領域情報を含む走行可能領域地図情
報と、
を記憶する記憶手段と、
前記走行可能領域地図情報と前記移動体自身の現在地から前記移動体の自己位置を推定する自己位置推定手段と、
前記移動体の前記先頭部が溝上の前記走行可能領域
地図情報の前記経路の中央に正対して通過を開始する姿勢を取り、前記進入禁止領域間を通過する前記移動体の前記後続部が前記進入禁止領域に接触しないよう各関節の左右方向の姿勢制御を行う姿勢制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記姿勢制御手段は、前記移動体の複数の本体部の一部を姿勢制御及び駆動の対象外とし、残る本体部で姿勢制御と駆動を行い、
前記姿勢制御手段は、前記移動体の前記先頭部が溝上の前記走行可能領域
地図情報の前記経路を通過するとき、前記移動体の前記後続部が、前記先頭部に続いて前記進入禁止領域情報に基づき前記溝に対して正対して直進しながら、前記移動体の溝上に差し掛かる部分の前記溝の底方向への下降に対しても脱輪及び自己位置認識乱れを防止するように、上下方向の関節制御を行い、前記溝への脱輪及び自己位置認識の乱れを起こさず前記経由地点に到達するために、前記溝に正対しての直進及び溝方向への下降による脱輪及び自己位置認識の乱れを防止するために、サブタスクの評価関数に基づいて前記後続部の進入禁止領域の回避、関節の可動限界回避、自己衝突回避を行い、
前記サブタスクの評価関数は、進入禁止領域の回避の評価関数、関節の可動限界回避の評価関数、自己衝突回避の評価関数の合計であり、
前記進入禁止領域の回避の評価関数をV
o
(q)、前記関節の可動限界回避の評価関数をV
l
(q)、前記自己衝突回避の評価関数をV
s
(q)とし、
前記進入禁止領域の回避の評価関数の重みをa
o
、前記関節の可動限界回避の評価関数の重みをa
l
、前記自己衝突回避の評価関数の重みをa
s
とし、
前記進入禁止領域の回避の評価関数は、
で示され、ここで、前記移動体のヨー関節と車輪軸の中心のxy平面上での位置に1から2nまでの番号を割り当て、i番目の位置と進入禁止領域との最短距離をd
i
とし、d
i
の閾値をd
0
とし、
前記関節の可動限界回避の評価関数は、
で示され、ここで、前記移動体の関節角の可動限界回避の閾値を
とし、
前記自己衝突回避の評価関数は、
で示され、ここで、自己衝突が生じないリンク数をn
s
とし、xy平面上での頭部の位置に0、xy平面上での車輪軸の中心の位置に1からnまでの番号を割り当て、i番目の位置とj番目の位置との距離をd
ij
とし、d
ij
の距離の閾値をd
00
とすることを特徴とするプログラム。