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特開2024-167933ミキサーセトラー、ミキサーセトラーにおける界面位置の制御方法、界面制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167933
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ミキサーセトラー、ミキサーセトラーにおける界面位置の制御方法、界面制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B01D 11/04 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B01D11/04 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084255
(22)【出願日】2023-05-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年2月17日から2月18日にかけて開催されたポリテックビジョン2023において、ミキサーセトラーとミキサーセトラーの分離槽における界面位置をポンプの流量により自動制御する方法とを発表した。 令和5年3月3日に、令和4年度総合制作発表会において、ミキサーセトラーとミキサーセトラーの分離槽における界面位置をポンプの流量により自動制御する方法とを発表した。 令和5年4月14日に、Youtubeにおいて、ミキサーセトラーとミキサーセトラーの分離槽における界面位置をポンプの流量により自動制御する方法とを発表した。
(71)【出願人】
【識別番号】515358023
【氏名又は名称】マックエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小谷 功
(72)【発明者】
【氏名】小谷 研太朗
(72)【発明者】
【氏名】柳 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】下瀬 定
(72)【発明者】
【氏名】宮本 聡史
【テーマコード(参考)】
4D056
【Fターム(参考)】
4D056BA04
4D056CA13
4D056CA33
4D056CA34
4D056CA40
4D056DA04
4D056DA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】分離槽における一方の液体と他方の液体との界面位置の最適化を自動で実施することが可能なミキサーセトラーを提供する。
【解決手段】複数の液体を混合する混合部と、前記混合部で混合された複数の液体を貯留して分離させる分離槽と、前記分離槽における一方の液体と他方の液体との界面の位置を制御する制御部4とを備えたミキサーセトラー1aであり、前記ミキサーセトラーは、前記界面の位置を検出する検知部6と、前記分離槽から前記一方の液体を排出する第1排出経路71と、前記分離槽から前記他方の液体を排出する第2排出経路73と、前記第1排出経路に設けられる第1弁72と、前記第2排出経路に設けられる第2弁74とを有しており、前記検知部で検出した界面の位置情報に基づいて第1弁及び/又は第2弁の開弁量を制御する、ミキサーセトラー、界面位置の制御方法、並びに界面位置の制御プログラムを提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液体を混合する混合部と、前記混合部で混合された複数の液体を貯留して分離させる分離槽と、前記分離槽における一方の液体と前記一方の液体に比して密度の大きい他方の液体との界面の位置を制御する制御部とを備えたミキサーセトラーであり、
前記ミキサーセトラーは、前記界面の位置を検出する検知部と、前記分離槽から前記一方の液体を排出する第1排出経路と、前記分離槽から前記他方の液体を排出する第2排出経路と、前記第1排出経路に設けられる第1弁と、前記第2排出経路に設けられる第2弁とを有しており、
前記検知部で検出した界面の位置情報を制御部に記憶し、
前記制御部は、前記位置情報に基づいて第1弁及び/又は第2弁の開弁量を制御するミキサーセトラー。
【請求項2】
前記ミキサーセトラーは、ミキサーセトラーの混合部に第1液を供給する第1供給経路と、ミキサーセトラーの混合部に第2液を供給する第2供給経路と、第1液を圧送する第1ポンプと、第2液を圧送する第2ポンプとをさらに有しており、
前記制御部は、前記位置情報に基づいて第1ポンプ及び/又は第2ポンプの流量を制御するものである請求項1に記載のミキサーセトラー。
【請求項3】
前記第1弁及び前記第2弁のうちの一方は、ユーザーが任意に開弁量を変更できるものであるか、開弁量が固定されたものであり、
前記第1弁及び前記第2弁のうちの他方は、前記検知部で検出した界面の位置情報に基づいて、前記制御部により開弁量が制御されるものである請求項1又は2に記載のミキサーセトラー。
【請求項4】
第1ポンプ及び第2ポンプのうちの一方は、ユーザーが任意に流量を変更できるものであるか、流量が固定されたものであり、
第1ポンプ及び第2ポンプのうちの他方は、前記検知部で検出した界面の位置情報に基づいて、前記制御部により流量が制御されるものである請求項2に記載のミキサーセトラー。
【請求項5】
前記流量の制御の有無をユーザーに設定させて、前記制御部に記憶し、
前記制御部は、前記制御部に記憶された前記設定に基づいて、前記開弁量の制御単独、又は前記流量の制御と前記開弁量の制御との併用により、前記界面の位置を制御する請求項2に記載のミキサーセトラー。
【請求項6】
前記ミキサーセトラーは、ミキサーセトラーの混合部に第1液を供給する第1供給経路と、ミキサーセトラーの混合部に第2液を供給する第2供給経路と、第1液を圧送する第1ポンプと、第2液を圧送する第2ポンプとをさらに有しており、
第1ポンプ及び第2ポンプを稼働させる時間をユーザーに設定させて、前記制御部に記憶し、
前記制御部に記憶された前記時間の設定に基づいて、設定した時間が経過すると第1ポンプ及び第2ポンプを停止させる請求項1に記載のミキサーセトラー。
【請求項7】
複数の液体を混合する混合部と、前記混合部で混合された複数の液体を貯留して分離させる分離槽と、前記分離槽における一方の液体と前記一方の液体に比して密度の大きい他方の液体との界面の位置を制御する方法であり、
前記ミキサーセトラーは、前記界面の位置を検出する検知部と、前記一方の液体を前記分離槽から排出する第1排出経路と、前記他方の液体を前記分離槽から排出する第2排出経路と、前記第1排出経路に設けられる第1弁と、前記第2排出経路に設けられる第2弁とを有しており、
前記検知部で検出した界面の位置情報を制御部に記憶し、
前記制御部は、前記位置情報に基づいて第1弁及び/又は第2弁の開弁量を制御するミキサーセトラーにおける界面位置の制御方法。
【請求項8】
複数の液体を混合する混合部と、前記混合部で混合された複数の液体を貯留して分離させる分離槽と、前記分離槽における一方の液体と前記一方の液体に比して密度の大きい他方の液体との界面の位置を制御するためのプログラムであり、
前記ミキサーセトラーは、前記界面の位置を検出する検知部と、前記分離槽から前記一方の液体を排出する第1排出経路と、前記分離槽から前記他方の液体を排出する第2排出経路と、前記第1排出経路に設けられる第1弁と、前記第2排出経路に設けられる第2弁とを有しており、
前記検知部で検出させた界面の位置情報に基づいて、第1弁及び/又は第2弁の開弁量を制御させる界面位置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキサーセトラー、ミキサーセトラーにおける界面位置の制御方法、及び界面位置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1に示すように、混合部と、分離槽とを備えるミキサーセトラーが知られている。第1の液体と第2の液体とを混合部に供給して混合し、混合した液体を分離槽で分離する。分離槽では、密度の大きい液体が下層に溜まり、密度の小さい液体が上層に溜まる。密度の大きい液体と、密度の小さい液体は、別々の排出経路から装置外へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-41098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなミキサーセトラーは、例えば、溶媒抽出に用いられる。溶媒抽出では、互いに溶け合わない2種の液体を混合部で混ぜ合わせて接触させて、分離槽で2種の液体を分離させる。2種の液体の一方に含まれる対象物質が他方の液体に対して溶けやすい場合、対象物質は他方の液体に移動する。溶媒抽出では、互いに溶け合わない2種の液体への溶解度の差異を利用して、対象物質を抽出する。
【0005】
前記対象物質が一方の液体から他方の液体に移動するに伴って、一方の液体の体積が減少し、他方の液体の体積が増大する。例えば、一方の液体と他方の液体とを同じ体積比で混合部に供給しても、分離槽では一方の液体と他方の液体との体積比が等量とならずに、体積比が崩れることがある。
【0006】
また、一方の液体と他方の液体とを混合部に供給する際には、ポンプを利用する。一方の液体を供給するポンプの流量と、他方の液体を供給するポンプの流量とを一致させても、流量に誤差が生じて、時間の経過とともに、分離槽における一方の液体と他方の液体との体積比が崩れることがある。体積比が大きく崩れると、本来は、分離槽の一方の排出経路から一方の液体が排出され、分離槽の他方の液体から他方の液体が排出されるべきところ、例えば、一方の排出経路から排出される一方の液体に他方の液体が混入することとなる。
【0007】
分離槽における一方の液体と他方の液体との体積比が大きく崩れないようにするには、一方の液体を供給するポンプの流量と、他方の液体を供給するポンプの流量との比率を手動で調節する方法が想定される。しかしながら、流量を手動で調節するのは煩雑である。また、本発明者が検討を行ったところ、ポンプの流量を増大させようとしても、分離槽の排出経路の内径、混合部に液体を送る供給経路の内径、液体の流量、及び混合部に供給する液体の粘度によっては、流量の制御だけでは界面位置の制御に限界があることが明らかとなった。
【0008】
本発明は、分離槽における一方の液体と他方の液体との界面位置の最適化を自動で実施することが可能であり、界面位置の最適化に当たり、分離槽から排出される液体の流量を調整することにより、分離槽における界面の位置を調節するミキサーセトラー、ミキサーセトラーにおける界面位置の制御方法、及び界面位置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
複数の液体を混合する混合部と、前記混合部で混合された複数の液体を貯留して分離させる分離槽と、前記分離槽における一方の液体と前記一方の液体に比して密度の大きい他方の液体との界面の位置を制御する制御部とを備えたミキサーセトラーであり、前記ミキサーセトラーは、前記界面の位置を検出する検知部と、前記分離槽から前記一方の液体を排出する第1排出経路と、前記分離槽から前記他方の液体を排出する第2排出経路と、前記第1排出経路に設けられる第1弁と、前記第2排出経路に設けられる第2弁とを有しており、前記検知部で検出した界面の位置情報を制御部に記憶し、前記制御部は、前記位置情報に基づいて第1弁及び/又は第2弁の開弁量を制御するミキサーセトラーにより、上記の課題を解決する。
【0010】
複数の液体を混合する混合部と、前記混合部で混合された複数の液体を貯留して分離させる分離槽と、前記分離槽における一方の液体と前記一方の液体に比して密度の大きい他方の液体との界面の位置を制御する方法であり、前記ミキサーセトラーは、前記界面の位置を検出する検知部と、前記一方の液体を前記分離槽から排出する第1排出経路と、前記他方の液体を前記分離槽から排出する第2排出経路と、前記第1排出経路に設けられる第1弁と、前記第2排出経路に設けられる第2弁とを有しており、前記検知部で検出した界面の位置情報を制御部に記憶し、前記制御部は、前記位置情報に基づいて第1弁及び/又は第2弁の開弁量を制御するミキサーセトラーにおける界面位置の制御方法により、上記の課題を解決する。
【0011】
複数の液体を混合する混合部と、前記混合部で混合された複数の液体を貯留して分離させる分離槽と、前記分離槽における一方の液体と前記一方の液体に比して密度の大きい他方の液体との界面の位置を制御するためのプログラムであり、前記ミキサーセトラーは、前記界面の位置を検出する検知部と、前記分離槽から前記一方の液体を排出する第1排出経路と、前記分離槽から前記他方の液体を排出する第2排出経路と、前記第1排出経路に設けられる第1弁と、前記第2排出経路に設けられる第2弁とを有しており、前記検知部で検出させた界面の位置情報に基づいて、第1弁及び/又は第2弁の開弁量を制御させる界面位置の制御プログラムにより、上記の課題を解決する。
【0012】
前記ミキサーセトラー、前記制御方法、制御プログラムにおいては、検知部で分離槽における一方の液体と他方の液体との界面の位置を検知する。検知部で検知した界面の位置情報に基づいて、分離槽に接続される排出経路に設けられた弁の開弁量を制御する。ポンプによる流量を制御する場合は、混合部へ液体を供給する経路、分離槽から液体を排出する経路の内径、又は搬送する液体の粘度によって、界面の位置を安定して制御できないことがある。一方、分離槽の排出経路に設けられる弁の開弁量を制御する場合は、ポンプの流量を制御する場合に比して、より安定した状態で制御することが可能になる。
【0013】
前記ミキサーセトラー、前記制御方法、制御プログラムにおいて、前記ミキサーセトラーは、ミキサーセトラーの混合部に第1液を供給する第1供給経路と、ミキサーセトラーの混合部に第2液を供給する第2供給経路と、第1液を圧送する第1ポンプと、第2液を圧送する第2ポンプとをさらに有しており、前記制御部は、前記位置情報に基づいて第1ポンプ及び/又は第2ポンプの流量を制御することが好ましい。分離槽の排出経路に設けられる弁の開弁量の制御に加えて、混合部に液体を供給するポンプの流量の制御を併用することにより、界面の位置が適正範囲から外れた際に、より迅速に適正範囲に復帰させることができる。また、例えば、弁が破損又は消耗により弁の開弁量による界面位置の補正能力が低下した際には、ポンプの流量制御によって、前記能力の低下を補うことができる。
【0014】
前記ミキサーセトラー、前記制御方法、制御プログラムにおいて、前記第1弁及び前記第2弁のうちの一方は、ユーザーが任意に開弁量を変更できるものであるか、開弁量が固定されたものであり、前記第1弁及び前記第2弁のうちの他方は、前記検知部で検出した界面の位置情報に基づいて、前記制御部により開弁量が制御されるものとすることが好ましい。開弁量を制御する対象を第1弁及び第2弁のうちのいずれかとすることにより、装置の構成、及び制御の処理を簡素化することができる。これにより、制御部に含まれる演算部や記憶部の負荷を低減することができる。また、低コスト化にも資する。また、複数台のミキサーセトラーを接続して、個々のミキサーセトラーの分離槽における界面の位置を最適化する構成において、効率的に界面位置を最適化することができる。
【0015】
前記ミキサーセトラー、前記制御方法、制御プログラムにおいて、第1ポンプ及び第2ポンプのうちの一方は、ユーザーが任意に流量を変更できるものであるか、流量が固定されたものであり、第1ポンプ及び第2ポンプのうちの他方は、前記検知部で検出した界面の位置情報に基づいて、前記制御部により流量が制御されるものとすることが好ましい。流量を制御する対象を第1ポンプ及び第2ポンプのうちのいずれかとすることにより、装置の構成、及び制御の処理を簡素化することができる。これにより、制御部に含まれる演算部や記憶部の負荷を低減することができる。また、低コスト化にも資する。
【0016】
前記ミキサーセトラー、前記制御方法、制御プログラムにおいて、前記流量の制御の有無をユーザーに設定させて、前記制御部に記憶し、前記制御部は、前記制御部に記憶された前記設定に基づいて、前記開弁量の制御単独、又は前記流量の制御と前記開弁量の制御との併用により、前記界面の位置を制御するものとすることが好ましい。この構成によれば、ミキサーセトラーに供給する第1液、及び第2液の特性、ユーザーのニーズに基づいて、開弁量の制御単独、又は前記流量の制御と前記開弁量の制御との併用を任意に切り替えることができる。
【0017】
前記ミキサーセトラー、前記制御方法、制御プログラムにおいて、前記ミキサーセトラーは、ミキサーセトラーの混合部に第1液を供給する第1供給経路と、ミキサーセトラーの混合部に第2液を供給する第2供給経路と、第1液を圧送する第1ポンプと、第2液を圧送する第2ポンプとをさらに有しており、第1ポンプ及び第2ポンプを稼働させる時間をユーザーに設定させて、前記制御部に記憶し、前記制御部に記憶された前記時間の設定に基づいて、設定した時間が経過すると第1ポンプ及び第2ポンプを停止させるようにすることが好ましい。この構成によれば、分離槽における第1液と第2液との界面位置の最適化と反応時間の管理とを装置に任せて自動化し、ユーザーの負担を低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、分離槽における一方の液体と他方の液体との界面位置の最適化を自動で実施することが可能であり、界面位置の最適化に当たり、分離槽から排出される液体の流量を調整することにより、分離槽における界面の位置を調節するミキサーセトラー、ミキサーセトラーにおける界面位置の制御方法、及び界面位置の制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ミキサーセトラー本体の一例を示す分解斜視図である。
図2図1のミキサーセトラー本体の斜視図である。
図3図1のミキサーセトラー本体の正面図である。
図4】ミキサーセトラー本体に制御部等を組付けたミキサーセトラーの構成図である。
図5】ミキサーセトラーの他の構成図である。
図6】界面制御の流れを示すフローチャートである。
図7】初期設定の流れを示すフローチャートである。
図8】バルブ制御の流れを示すフローチャートである。
図9】ポンプ制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のミキサーセトラー、ミキサーセトラーにおける界面位置の制御方法(以下、単に制御方法と称する。)、及び界面位置の制御プログラム(以下、単に制御プログラムと称する。)の一実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の限られた例に過ぎず、本発明の技術的範囲は例示した実施形態に限定されるものではない。
【0021】
[ミキサーセトラー]
ミキサーセトラーの一例を図1ないし図4に示す。本実施例のミキサーセトラー1aは、複数の液体を混合する混合部11と、混合部11で混合された複数の液体を貯留して分離させる分離槽12と、分離槽12における一方の液体91と他方の液体92との界面93の位置を制御する制御部4とを備える。一方の液体91は他方の液体92に比して密度が小さく、他方の液体92は一方の液体91に比して密度が大きい。このため、分離槽12においては、密度の差にしたがって、一方の液体91が上層となり、他方の液体92が下層となる。ミキサーセトラー1aは、さらに、前記界面93の位置を検出する検知部6と、前記分離槽12から一方の液体を排出する第1排出経路71と、前記分離槽12から他方の液体を排出する第2排出経路73と、前記第1排出経路71に設けられる第1弁72と、前記第2排出経路73に設けられる第2弁74とを有する。本実施例のミキサーセトラーでは、一台のミキサーセトラー本体100を制御部4で制御する。
【0022】
前記検知部6で検出した界面の位置情報を制御部4に記憶し、前記制御部4は、前記位置情報に基づいて第2弁74の開弁量を制御する。第2弁74を閉じると、密度の大きい他方の液体92の排出流量が小さくなり、前記界面93が上昇する。第2弁74を開けると、密度の大きい他方の液体92の排出流量が大きくなり、前記界面が下降する。本実施例では、第2弁74の開弁量を制御する構成としたが、第1弁72の開弁量を制御する構成としてもよいし、第1弁72及び第2弁74の開弁量の両方を制御する構成としてもよい。制御部と情報交換を行うポンプ、弁等の対象物とは図4において線で結ぶ。図5においても同様である。
【0023】
ミキサーセトラー1aは、ミキサーセトラー1aの混合部11に第1液を供給する第1供給経路81と、ミキサーセトラー1aの混合部11に第2液を供給する第2供給経路83と、第1液を圧送する第1ポンプ82と、第2液を圧送する第2ポンプ84とをさらに有する。制御部4は、前記位置情報に基づいて第2ポンプ84の流量を制御する。本実施例では、第2ポンプ84の流量を制御する構成としたが、第1ポンプ82の開弁量を制御する構成としてもよいし、第1ポンプ82の流量及び第2ポンプ84の流用の両方を制御する構成としてもよい。
【0024】
ミキサーセトラー1aにおいては、前記第1弁72は、ユーザーが任意に開弁量を変更できるものとしている。具体的には、第1弁72として、開弁量を手動で調整することで流量を変更することができる手動弁を使用している。第1弁としては、流量が一定値に固定された弁を使用してもよい。前記第2弁74は、前記検知部6で検出した界面93の位置情報に基づいて、前記制御部4により開弁量が制御される。本実施例では、第2弁74として、制御部4の信号を受けて電動モーターを駆動させて、開方向又は閉方向に回転する弁を利用している。この場合、第1弁と第2弁との関係は、相互に入れ替えて、第1弁を制御部で制御するようにしてもよい。
【0025】
ミキサーセトラー1aにおいては、第1ポンプ82は、ユーザーが任意に流量を変更できるものである。具体的には、第1ポンプ82として、卓上サイズのダイアフラム式ポンプを使用している。その他、第2ポンプ、第1弁、及び第2弁を含む装置全体の寸法は、研究室などの卓上に乗せることができるサイズとされている。ダイアフラム式ポンプは、吐出と吸込とのピッチを指定することにより、任意に流量を変更することができる。第1ポンプ82としては、流量が一定値に固定されたポンプを使用してもよい。第2ポンプ84は、前記検知部6で検出した界面93の位置情報に基づいて、制御部4により流量が制御される。第2ポンプもダイアフラム式ポンプを使用しているが、制御部4の電子信号により、吐出と吸込とのピッチを変更させることができる点で異なる。この場合、第1弁と第2弁との関係は、相互に入れ替えて、第1弁を制御部で制御するようにしてもよい。
【0026】
図1ないし図3に、ミキサーセトラー本体100の一例を示す。ミキサーセトラー本体100は、第1基材17、第2基材16、第3基材13、第4基材14、及び第5基材15を、記載した順に下から上に積層した状態で固定される。各基材は平面視において方形状の板状材で構成されるが、その形状は方形状又は板状に限定されない。各基材は、ブロック状、又は円形状など適宜の形状にすることができる。ミキサーセトラー本体を構成する基材の数も5枚に限定されない。
【0027】
第1基材17は、各基材に設けられた複数の貫通孔に挿通される複数の螺子181に螺合する螺子孔182を有する。第1基材17は、例えば、螺合に耐える強度を有するステンレス鋼などの素材で構成される。第2基材、第3基材、第4基材、及び第5基材も同様に、螺子孔182を有する。第5基材の螺子孔の内周面には螺子溝が切られており、第1基材等の螺子孔は螺子を挿通させるだけである。
【0028】
第2基材16は、一方の面が第3基材13の他方の面に密着し、第3基材13に設けられた貫通孔からなる分離槽12の開口部と、第3基材13に設けられたスリット状の貫通孔からなる混合部11の開口部とを塞ぐ。第4基材14は、他方の面が第3基材13の一方の面に密着し、第3基材13に設けられた貫通孔からなる分離槽12の開口部と、第3基材に設けられたスリット状の貫通孔からなる混合部11の開口部とを塞ぐ。第2基材16、及び第3基材13は、例えば、耐食性に優れるPTFE、又はPEEKなどの素材で構成される。第4基材14は、耐食性に優れ、透明なガラスなどの素材で構成される。基材には、検知部6を挿入固定するための貫通孔61が設けられる。
【0029】
第5基材15は、他方の面が第4基材14の一方の面に密着するように配置され、複数の螺子181の頭部が掛止する。第5基材15は、例えば、複数の螺子181によって破損しない程度の強度を有するステンレス鋼などの金属素材で構成される。第5基材15には、分離槽12の位置と、混合部11の位置には、貫通孔121、114が配されており、混合部11と分離槽12との内部の様子を観察するための覗き窓を構成する。
【0030】
混合部11は、第1流路111と第2流路112と第3流路113とを有する。第1流路111を搬送された液体と第2流路112を搬送された液体とは、合流して混合され、第3流路113へと流入する。第1流路111の上流側の端部は、第1供給経路81の端部に接続される。第2流路112の上流側の端部は、第2供給経路83の端部に接続される。第3流路113の下流側の端部は、分離槽12と接続される搬送経路85の上流側の端部に接続される。混合部11では、互いに溶け合わない一方の液体と他方の液体により、スラグ流が発生する。
【0031】
第5基材15は、第1供給経路81の下流側の端部に設けられたフェラルの雄螺子部を螺合する雌螺子孔151と、第2供給経路83の下流側の端部に設けられたフェラルの雄螺子部を螺合する雌螺子孔152と、搬送経路85の上流側の端部に設けられたフェラルの雄螺子部を螺合する雌螺子孔153と、搬送経路85の下流側の端部に設けられたフェラルの雄螺子部を螺合する雌螺子孔154とを有する。第1供給経路81の下流側の端部と、第1流路111の上流側の端部とは、第4基材14に設けられた貫通孔184により連通する。第2供給経路83の下流側の端部と、第2流路112の上流側の端部とは、第4基材14に設けられた貫通孔185により連通する。搬送経路85の上流側の端部と第3流路113の下流側の端部とは、第4基材14に設けられた貫通孔186により連通する。搬送経路85の下流側の端部と分離槽12とは、第4基材14に設けられた貫通孔189により連通する。
【0032】
分離槽12は、混合部11で混合された複数の液体を一時的に貯留し、複数の液体の密度に応じて液体を分離する。分離槽では密度の差により密度の小さい一方の液体が上層となり、前記一方の液体に比して密度の大きい他方の液体が下層となる。例えば、水系の溶媒と油系の溶媒とを混合部で混合した場合には、水系の溶媒が上層となり、油系の溶媒が下層となる。
【0033】
分離槽12は、第4基材14に設けられた貫通孔189を介して、前記搬送経路85の下流側の端部と連通する。混合部11で混合された複数の液体は、搬送経路85を通って分離槽12に流入し、密度の差異により分離する。
【0034】
分離槽12の上端部は、第4基材14設けられた貫通孔187を介して、第1排出経路71と連通する。分離槽12の下端部は、第4基材14設けられた貫通孔188を介して、第1排出経路71と連通する。第5基材15には、第1排出経路71の上流側の端部に設けられたフェラルの雄螺子部と螺合する雌螺子孔が設けられる。第5基材15には、第2排出経路73の上流側の端部に設けられたフェラルの雄螺子部と螺合する雌螺子孔が設けられる。
【0035】
密度により分離した一方の液体は第1排出経路71を介して系外に排出される。図4に示したように、第2排出経路には前記第2弁74が設けられる。第1排出経路71から排出された一方の液体は第1容器85で受ける。
【0036】
密度により分離した他方の液体は第2排出経路73を介して系外に排出される。図4に示したように、第2排出経路73には前記第2弁74が設けられる。第2排出経路73から排出された他方の液体は第2容器86で受ける。
【0037】
前記第1供給経路81には第1ポンプ82が設けられており、第3容器87に貯留された反応前の液体である第1の液体を前記混合部11に供給する。前記第2供給経路83には第2ポンプ84が設けられており、第4容器88に貯留された反応前の液体である第2の液体を混合部11に供給する。
【0038】
第1の液体、及び第2の液体としては、互いに溶け合わない液体を使用する。例えば、水のような極性の高い液体と、油のような極性の低い液体とを使用することができる。
【0039】
検知部6としては、分離槽における一方の液体と他方の液体の界面の位置を検知することができるセンサを使用する。検知部としては、例えば、静電容量センサを好適に使用することができる。
【0040】
制御部4は、中央演算処理装置(CPU)と、メインメモリなどの主記憶装置、ハードディスクなどの補助記憶装置を含む記憶装置とを備える。制御部4の記憶装置には、前記プログラムを格納する。前記プログラムにより、分離槽12における界面位置を自動的に制御する。
【0041】
また、制御部4に予め、前記流量の制御の有無をユーザーに設定させて、前記制御部に記憶させておくこともできる。前記制御部4は、前記制御部4に記憶された前記設定に基づいて、前記開弁量の制御単独、又は前記流量の制御と前記開弁量の制御との併用を切り替えることができる。
【0042】
また、第1ポンプ及び第2ポンプを稼働させる時間をユーザーに設定させて、前記制御部4に記憶させておくこともできる。前記制御部4に記憶された前記時間の設定に基づいて、設定した時間が経過すると第1ポンプ82及び第2ポンプ84を停止させることができる。
【0043】
制御部4による制御内容や各種設定をユーザーに設定させる目的で、タッチパネル、キーボードなどの入力装置、ディスプレイなどの画像表示部などの出力装置を設けてもよい。
【0044】
制御部の例としては、パーソナルコンピュータ、マイクロコントローラーなどが挙げられる。
【0045】
[プログラム]
図5に界面制御のプロセスの全体の流れを示すフローチャートを示す。図6に、初期設定のプロセスの流れを示すフローチャートを示す。図7に、バルブ制御のプロセスの流れを示すフローチャートを示す。図8に、ポンプ制御のプロセスの流れを示すフローチャートを示す。
【0046】
図5及び図6に示したように、プログラムは、初期設定のプロセスとして、画像表示部に初期設定用の画像を表示させる(s1)。プログラムは、図7に示したように、ユーザーにポンプの流量と、ポンプ制御の有無と、ポンプを稼働させる時間、すなわちタイマーの時間をユーザーに設定させる。前記初期設定用の画像には、これらの項目を入力するフィールドが設けられている。
【0047】
なお、図4に示した例においては、第1ポンプ82及び第2ポンプ84の初期流量を、ユーザーに入力部を用いて入力させる。ポンプの流量は、例えば、「ml/分」などの単位で入力させることができる。ポンプ制御の有無は、例えば、「有り」/「無し」といったテキストで選択させることができる。タイマーは、ポンプが稼働する時間を、例えば、「秒」、「分」、又は「時間」などの単位で入力させる。入力された初期設定は、記憶装置に記録する。
【0048】
プログラムは、予め設定され、制御部4の記憶装置に記録された開弁量までバルブを開く(s2)。図4の例では、制御部4から送られた電子信号に基づいて、第1弁72及び第2弁74の動力源を作動させて、バルブを初期値となるように開く。
【0049】
プログラムは、ポンプをスタートさせて混合部11に液体の供給を開始する(s3)。図4の例では、制御部4から送られた電子信号により、第1ポンプ82、及び第2ポンプ84を稼働させる。
【0050】
プログラムは、バルブ制御を開始する(s4)。図4の例では、制御部4から送られた電子信号に基づいて第2弁74の動力源を駆動させて開弁量を制御する。図8にバルブ制御の詳細を示す。第1弁72の開弁量は、ユーザーが弁を手動で開閉させることにより、流量を任意に設定及び固定できる構成とされている。
【0051】
バルブ制御のプロセスにおいては、図8に示したように、プログラムは、検知部6により界面93の位置情報を取得させる(s5)。取得させた位置情報は記憶装置に保存する。プログラムは、取得した界面93の位置が、予め定めた基準x1よりも小さいか否かを判断させる(s6-1)。基準x1よりも界面の位置が小さい場合、すなわち「はい」の場合には、制御部4から電気信号を送り、バルブを閉めさせる(s7-1)。図4の例では、制御対象のバルブは、密度の大きい他方の液体を排出する第2排出経路に設けられる第2弁74である。第1弁72は、初期設定された流量に固定し、界面93の位置によって流量を制御しない。
【0052】
界面の位置が基準x1以上の場合、すなわち「いいえ」の場合には、プログラムは、取得した界面の位置が、予め定めた基準x2よりも大きいか否かを判断させる(s6-2)。基準x2よりも界面の位置が大きい場合、すなわち「はい」の場合には、制御部4から電気信号を送り、バルブ(第2弁74)を開けさせる(s7-2)。
【0053】
ステップs6-2において、界面93の位置が基準x2以下の場合、すなわち「いいえ」の場合には、バルブの開閉は行わない(s7-3)。
【0054】
上記の基準x1、及び基準x2は、例えば、分離槽12における液位の下限を0%とし、分離槽12における液位の上限を100%とした場合に、検知部6で検知された一方の液体と他方の液体との界面93の位置が何%の位置にあるかに基づいて定める。x1は特に限定されないが、例えば、20%、30%、40%、又は48%など、適宜の数値にすることができる。x2は特に限定されないが、例えば、80%、70%、60%、又は52%など、適宜の数値にすることができる。ただし、x2は、x1よりも大きい値とする。
【0055】
上記のs7-1、s7-2、又はs7-3のステップ終了後、プログラムはバルブの回転量を検知し、バルブの回転が上限又は下限に達したか判断させる(s8-1)。なお、バルブの回転量の上限又は下限は、バルブ初期値(初期角度)を基準とする所定の回転角度を限界角度として予め設定しておく。前記限界角度と、バルブ初期値を基準とするバルブの現在の回転角度とを比較することにより行うことができる。バルブの回転が上限又は下限に達した場合、すなわち、「はい」の場合は、記憶装置にエラーが生じたことをログとして記録する。バルブの回転が上限又は下限に達していない場合、すなわち、「いいえ」の場合は、バルブの制御を終了する。このステップにより、界面93の制御が、弁の回転量の限界により、不能になった場合には、装置を停止させることができる。
【0056】
バルブ制御においては、界面93の上限値と下限値とを定めておき、界面の位置が上限値又は下限値を逸脱した際には、バルブの回転量を制御することにより、界面の位置を最適化する。
【0057】
図6に示したように、バルブ制御が終了すると、プログラムは、記憶装置に記録された初期設定に基づいて、ポンプ制御の有無を判断させる(s9)。ポンプ制御が有りに設定されている場合、すなわち「はい」の場合には、ポンプ制御を実施させる(s10)。ポンプ制御が無しに設定されている場合、すなわち「いいえ」の場合には、次のステップs16に進む。
【0058】
ポンプ制御が有りに設定されている場合、プログラムは、図9に示したポンプ制御を実行させる。プログラムは、検知部6にプログラムは、検知部6により界面の位置情報を取得させる(s11)。取得させた位置情報は記憶装置に保存する。プログラムは、取得した界面の位置が、予め設定した基準x3以上、かつx4以下にあるか判断させる。
【0059】
界面の位置がx3~x4の範囲にある場合、すなわち「はい」の場合には、制御部4から電気信号を送り、ポンプの流量を初期設定で定めた流量に設定し、ポンプ制御を終了する(s13-1)。なお、図4の例では、制御対象のポンプは密度の小さい一方の液体を供給する第2供給経路に設けられる第2ポンプ84である。第1ポンプ82については、初期設定された流量に固定し、界面93の位置によって流量を制御しない。
【0060】
界面の位置がx3~x4の範囲にない場合、すなわち「いいえ」の場合には、プログラムは、取得した界面の位置が、予め定めた基準x4よりも大きいか否かを判断させる(s12-2)。基準x4よりも界面の位置が大きい場合、すなわち「はい」の場合には、制御部4から電気信号を送り、ポンプの流量を上昇させる(s14-1)。なお、図4の例では、制御対象のポンプは密度の小さい液体を供給する第2ポンプ84である。
【0061】
ステップ14-1終了後、プログラムは、前記界面の位置が予め定めた上限位置を越えたか否かを判断させる(s14-1)。上限を超えた場合、すなわち「はい」の場合は、記憶装置にエラーが生じたことをログとして記録して、ポンプ制御を終了する。バルブの回転が上限に達していない場合、すなわち、「いいえ」の場合は、ポンプの制御を終了する。これにより、ポンプ制御の限界を超えて不能になった際に、装置を停止させることができる。
【0062】
前記ステップs12-2において、界面の位置が基準x4以下の場合、すなわち「いいえ」の場合には、プログラムは、取得した界面の位置が、予め定めた基準x3よりも小さいか否かを判断させる(s12-3)。基準x3よりも界面の位置が小さい場合、すなわち「はい」の場合には、制御部4から電気信号を送り、ポンプの流量を低下させる(s13-3)。
【0063】
前記ステップ13-3終了後、プログラムは、前記界面の位置が予め定めた下限位置を越えたか否かを判断させる(s14-2)。下限を超えた場合、すなわち「はい」の場合は、記憶装置にエラーが生じたことをログとして記録する。バルブの回転が下限に達していない場合、すなわち、「いいえ」の場合は、ポンプの制御を終了する。これにより、ポンプ制御の限界を超えて不能になった際に、装置を停止させることができる。
【0064】
前記ステップs12-3において、界面の位置が基準x3以上の場合、すなわち「いいえ」の場合には、ポンプの制御を終了する。
【0065】
ポンプ制御においては、界面93の上限値と下限値とを定めて置き、界面の位置が上限値又は下限値を逸脱した際には、ポンプの流量を制御することにより、界面の位置を最適化する。
【0066】
上記の基準x3、及び基準x4は、例えば、分離槽12の下端部を0%とし、分離槽12の上端部を100%とした場合に、検知部で検知された一方の液体と他方の液体との界面の位置が何%の位置にあるかに基づいて定める。x3は特に限定されないが、例えば、20%、30%、40%、又は48%など、適宜の数値にすることができる。x4は特に限定されないが、例えば、80%、70%、60%、又は52%など、適宜の数値にすることができる。ただし、x4は、x3よりも大きい値とする。
【0067】
図9に示したポンプ制御が終了するか、前記ステップs9において、ポンプ制御が無しに設定されている場合は、図6に示したように、エラーがログとして残されているかどうかを判断させる(s16)。エラーが記録されている場合は、制御部4から電子信号を送信させて、ポンプの稼働を停止させる(s17)。停止させるポンプは、図4の例では、第1ポンプ82、及び第2ポンプ84である。
【0068】
前記ステップs16において、エラーが記録されていない場合、すなわち「いいえ」の場合は、初期設定で設定したタイマー値になったか、すなわちポンプの駆動開始後の経過した時間が予め設定した時間を経過したかどうか判断させる(s18)。タイマー値になった場合は、ポンプを停止させる(s19)。停止させるポンプは、図4の例では、第1ポンプ82、及び第2ポンプ84である。
【0069】
前記ステップ18において、タイマー値になっていない場合、すなわち「いいえ」の場合には、前記s4からs18までのステップを繰り返す。
【0070】
[他の実施例]
分離槽12からの排液経路に配された弁の開弁量を制御部4で制御し、第1ポンプ82の流量、第2ポンプ84の流量は、制御部4では制御しない装置構成としてもよい。
【0071】
また、図5に示したように、複数のミキサーセトラー本体100を接続してもよい。図5に示したミキサーセトラー1bは、複数の液体を混合する混合部11と、混合部11で混合された複数の液体を貯留して分離させる分離槽12とを有するミキサーセトラーの分離槽における一方の液体91と他方の液体92との界面93の位置を制御する制御部4とを備えており、前記界面93の位置を検出する検知部6と、前記分離槽12から一方の液体を排出する第1排出経路71と、前記分離槽12から他方の液体を排出する第2排出経路73と、前記第1排出経路71に設けられる第1弁72と、前記第2排出経路73に設けられる第2弁74とを有しており、前記検知部6で検出した界面の位置情報を制御部4に記憶し、前記制御部4は、前記位置情報に基づいて第1弁72及び/又は第2弁74の開弁量を制御する。なお、図5におけるミキサーセトラー本体100の構成は、図1等に示したものと同様である。
【0072】
前記ミキサーセトラー1bは、混合部11に第1液を供給する第1供給経路81と、混合部11に第2液を供給する第2供給経路83と、第1液を圧送する第1ポンプ82と、第2液を圧送する第2ポンプ84とをさらに有する。前記制御部4は、前記位置情報に基づいて第1ポンプ及び/又は第2ポンプの流量を制御する。
【0073】
最上流のミキサーセトラー本体100の分離槽12と、2番目のミキサーセトラー本体100の混合部11の第1流路111とは、第1連絡経路85により、連通する。同様に、2番目のミキサーセトラー本体100の分離槽12と、最下流の3番目のミキサーセトラー本体100の混合部11の第1流路111とは、第2連絡経路86により、連通する。
【0074】
最上流のミキサーセトラー本体100の分離槽12の下端部には、第3弁75を有する第3排出経路75が設けられる。同様に、2番目のミキサーセトラー本体100の分離槽12の下端部には、第4弁78を有する第4排出経路77が設けられる。
【0075】
2番目のミキサーセトラー本体100の混合部11の第2流路112には、第3ポンプ97を有する第3供給経路98が接続される。同様に、3番目のミキサーセトラー本体100の混合部11の第2流路112には、第4ポンプ99を有する第4供給経路98が接続される。第3供給経路97は、反応前の第3液を供給する。第4供給経路98は、反応前の第4液を供給する。第3液、及び第4液には、所望の液体を使用することができる。
【0076】
1番目のミキサーセトラー本体100、2番目のミキサーセトラー本体100、及び3番目のミキサーセトラー本体100には、それぞれ、検知部6が設けられる。各検知部6で検知した界面位置の情報を基に、制御部4は、第3ポンプ97、第4ポンプ99、第3弁76、及び第4弁78を制御して、1番目のミキサーセトラー本体100、2番目のミキサーセトラー本体100、及び3番目のミキサーセトラー本体100の分離槽12における界面位置を最適化することができる。
【0077】
制御部4による制御の対象は、第1弁72又は第2弁74、第3弁76、及び第4弁78にすると、制御が簡便になるので好ましい。ポンプの流量による界面位置の調整も併用する場合は、第1弁72又は第2弁73、第3弁76、及び第4弁78に加えて、第1ポンプ82、第2ポンプ84、第3ポンプ97、及び第4ポンプ99の制御を実施することが好ましい。制御部4においては、各検知部6に界面の位置情報を取得し、分離槽毎に前記プログラムを実行すれば、簡便である。
【0078】
上記のミキサーセトラーは、液体抽出、複数の液体の混合、複数の液体と乳化剤を用いた乳化、乳化による合成樹脂の合成などに用いることができる。
【0079】
第1排出経路、第2排出経路、第3排出経路、第4排出経路、第1供給経路、第2供給経路、第3供給経路、第4供給経路、搬送経路、第1連絡経路、第2連絡経路は、適宜の素材で構成することができる。例えば、耐食性に優れる金属又は合成樹脂素材が挙げられる。前記金属としては、例えば、ステンレス鋼、ハステロイが挙げられる。前記合成樹脂素材としては、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)などが挙げられる。各径路の内径は、例えば、0.3~2.2mm、又は0.3~1.5mmにすることができる。流路の断面形状は、例えば、円形にすることができる。
【実施例0080】
図4に記載の装置を用いて、第1供給経路から水を供給し、第2供給経路からドデカンを供給した。第1ポンプ、及び第2ポンプの初期流量は、3ml/分に設定した。図8に記載のバルブ制御は実施せず、図9に記載のポンプ制御のみにより、水とドデカンの界面位置の制御を行った。第1排出経路、第2排出経路の内径に比して、初期設定の流量が大きすぎたため、この方法では界面位置をうまく制御することができなかった。一方、図9に記載のポンプ制御は実施せず、図8に記載のバルブ制御のみにより、水とドデカンの界面位置の制御を行った場合は、流量が3ml/分であっても、界面の位置を50%の位置に収束させることができた。
【符号の説明】
【0081】
1a ミキサーセトラー
1b ミキサーセトラー
100 ミキサーセトラー本体
11 混合部
12 分離槽
4 制御部
6 検知部
71 第1排出経路
73 第2排出経路
72 第1弁
74 第2弁

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9