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特開2024-167948データ通信システム、送信回路及び表示装置
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  • 特開-データ通信システム、送信回路及び表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167948
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】データ通信システム、送信回路及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/033 20060101AFI20241128BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20241128BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241128BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H04L7/033
G09G3/36
G09G3/20 632A
G09G3/20 633B
G09G3/20 633E
H04N5/66 B
H04N5/66 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084287
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平間 厚志
(72)【発明者】
【氏名】樋口 鋼児
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 秀明
【テーマコード(参考)】
5C006
5C058
5C080
5K047
【Fターム(参考)】
5C006AA22
5C006BB15
5C006BC16
5C006BF25
5C006BF28
5C006FA51
5C058AA05
5C058AA06
5C058AB02
5C058BA35
5C058BB08
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD27
5C080GG10
5C080GG11
5C080JJ02
5C080JJ04
5C080KK47
5K047DD02
5K047GG24
5K047MM46
(57)【要約】
【目的】通信効率の高いデータ通信システム、送信回路、データ通信システムを含む表示装置を提供することを目的とする。
【構成】本発明は、N(Nは2以上の整数)ビットからなる情報データ片を受け、この情報データ片で表される値に1を加算して得られた値を表す第1~第Nのビットからなるシリアル形態の変換情報データ片を生成するエンコーダを含み、当該変換情報データ片を含む情報データ信号を送信する送信回路と、送信回路から送信された情報データ信号を受け情報データ信号の立ち上がりエッジ又は立下りエッジに位相同期したクロック信号を生成するPLL回路、及びこの情報データ信号に含まれる変換情報データ片で表される値から1を減算することで情報データ片を復元するデコーダを含む受信回路と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N(Nは2以上の整数)ビットからなる情報データ片を受け、前記情報データ片で表される値に1を加算して得られた値を表す第1~第Nのビットからなるシリアル形態の変換情報データ片を生成するエンコーダを含み、前記変換情報データ片を含む情報データ信号を送信する送信回路と、
前記情報データ信号を受け前記情報データ信号の立ち上がりエッジ又は立下りエッジに位相同期したクロック信号を生成するPLL回路、及び前記情報データ信号を受け前記情報データ信号に含まれる前記変換情報データ片で表される値から1を減算することで前記情報データ片を復元するデコーダを含む受信回路と、を有することを特徴とするデータ通信システム。
【請求項2】
前記情報データ片は、前記Nビットが全て論理レベル0となるデータパターンから前記Nビットが全て論理レベル1となるデータパターンの範囲のうちで、前記Nビットが全て論理レベル1となるデータパターン、及び最下位ビットのみが論理レベル0となるデータパターンを除くデータパターンからなることを特徴とする請求項1に記載のデータ通信システム。
【請求項3】
N(Nは2以上の整数)ビットからなる情報データ片を受け、前記情報データ片で表される値から1を減算して得られた値を表す第1~第Nのビットからなるシリアル形態の変換情報データ片を生成するエンコーダを含み、前記変換情報データ片を含む情報データ信号を送信する送信回路と、
前記情報データ信号を受け前記情報データ信号の立ち上がりエッジ又は立下りエッジに位相同期したクロック信号を生成するPLL回路、及び前記情報データ信号を受け前記情報データ信号に含まれる前記変換情報データ片で表される値に1を加算することで前記情報データ片を復元するデコーダを含む受信回路と、を有することを特徴とするデータ通信システム。
【請求項4】
前記情報データ片は、前記Nビットが全て論理レベル0となるデータパターンから前記Nビットが全て論理レベル1となるデータパターンの範囲のうちで、前記Nビットが全て論理レベル0となるデータパターン、及び最下位ビットのみが論理レベル1となるデータパターンを除くデータパターンからなることを特徴とする請求項3に記載のデータ通信システム。
【請求項5】
N(Nは2以上の整数)ビットからなる情報データ片を受け、前記情報データ片で表される値に1を加算又は減算して得られた値を表す第1~第Nのビットからなるシリアル形態の変換情報データ片を生成するエンコーダと、
前記変換情報データ片を含む情報データ信号を送信する送信アンプと、を含み、
前記情報データ片は、前記Nビットが全て論理レベル0となるデータパターンから前記Nビットが全て論理レベル1となるデータパターンの範囲のうちで、前記Nビットが全て論理レベル1となるデータパターン及び最下位ビットのみが論理レベル0となるデータパターン、又は、前記Nビットが全て論理レベル0となるデータパターン及び最下位ビットのみが論理レベル1となるデータパターンを除くデータパターンからなることを特徴とする送信回路。
【請求項6】
複数の表示セルが夫々に接続されているn(nは2以上の整数)本のデータ線を有する表示パネルと、
前記表示パネルを駆動するデータドライバと、
映像信号に基づく前記表示セル各々の輝度レベルをK(Kは2以上の整数)ビットで表す表示データ片の各々に対して色深度を拡張する色深度拡張処理を施したN(NはKより大きい整数)ビットの情報データ片の各々に対して、前記情報データ片で表される値に1を加算することで得た値を、第1~第Nのビットのシリアルビットの形態で表す変換情報データ片の系列として生成するエンコーダを含み、前記変換情報データ片の系列を含む情報データ信号を前記データドライバに送信する送信回路を有するタイミングコントローラと、を含み、
前記データドライバは、
前記情報データ信号を受け前記情報データ信号の立ち上がりエッジ又は立下りエッジに位相同期したクロック信号を生成するPLL回路、及び前記情報データ信号を受け前記情報データ信号に含まれる前記変換情報データ片の各々に対して前記変換情報データ片で表される値から1を減算することで前記情報データ片の系列を復元するデコーダを含む受信回路と、
前記クロック信号に応じて前記情報データ片の系列中のn個の情報データ片を取り込んで出力するデータ取込部と、
前記データ取込部から出力された前記n個の情報データ片の各々をアナログの電圧値を有するn個の階調電圧に変換する階調電圧生成部と、
前記n個の階調電圧を夫々増幅したn個の駆動電圧を前記表示パネルの前記n本のデータ線に供給する出力部と、を有することを表示装置。
【請求項7】
前記情報データ片は、前記Nビットが全て論理レベル0となるデータパターンから前記Nビットが全て論理レベル1となるデータパターンの範囲のうちで、前記Nビットが全て論理レベル1となるデータパターン、及び最下位ビットのみが論理レベル0となるデータパターンを除くデータパターンからなることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データブロック毎にデジタルデータの送信及び受信を行うデータ通信システム、送信回路及び当該データ通信システムを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置としての液晶表示装置は、複数のゲート線及び複数のデータ線が交叉して配置されており各ゲート線とデータ線との交叉部に画素が形成されている表示パネルと、表示パネルを駆動する駆動回路と、を備える(例えば、特許文献1参照)。 駆動回路は、複数のゲート線を駆動するためのゲートドライバと、複数のデータ線を駆動するためのソースドライバと、これらゲートドライバ及びソースドライバを制御するためのタイミングコントローラと、を含む。タイミングコントローラは、映像信号を受け、当該映像信号に基づく映像データのビット系列に、水平及び垂直同期信号やクロックビット等の制御信号を付加したシリアル形態の映像データ信号をソースドライバに送信する。
【0003】
かかる映像データ信号を受信したソースドライバは、この映像データ信号からクロックビットを抽出し、PLL(Phase locked loop)回路によって当該クロックビットに位相同期した内部クロック信号を生成する。そして、ソースドライバは、受信した映像データ信号に含まれる映像データビットの系列を、上記した内部クロック信号に同期して取り込み、取り込んだ映像データビットの系列を各画素単位でアナログのデータ電圧に変換して表示パネルの複数のデータ線に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-231939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、特許文献1に記載の液晶表示装置では、タイミングコントローラが映像データ信号をソースドライバに送信するにあたり、当該映像データ信号にクロックビットを付加しているので、このクロックビットの分だけ通信効率が低くなるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、通信効率の高いデータ通信システム、送信回路、データ通信システムを含む表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るデータ通信システムは、N(Nは2以上の整数)ビットからなる情報データ片を受け、前記情報データ片で表される値に1を加算して得られた値を表す第1~第Nのビットからなるシリアル形態の変換情報データ片を生成するエンコーダを含み、前記変換情報データ片を含む情報データ信号を送信する送信回路と、前記情報データ信号を受け前記情報データ信号の立ち上がりエッジ又は立下りエッジに位相同期したクロック信号を生成するPLL回路、及び前記情報データ信号を受け前記情報データ信号に含まれる前記変換情報データ片で表される値から1を減算することで前記情報データ片を復元するデコーダを含む受信回路と、を有する。
【0008】
また、本発明に係るデータ通信システムは、N(Nは2以上の整数)ビットからなる情報データ片を受け、前記情報データ片で表される値から1を減算して得られた値を表す第1~第Nのビットからなるシリアル形態の変換情報データ片を生成するエンコーダを含み、前記変換情報データ片を含む情報データ信号を送信する送信回路と、前記情報データ信号を受け前記情報データ信号の立ち上がりエッジ又は立下りエッジに位相同期したクロック信号を生成するPLL回路、及び前記情報データ信号を受け前記情報データ信号に含まれる前記変換情報データ片で表される値に1を加算することで前記情報データ片を復元するデコーダを含む受信回路と、を有する。
【0009】
本発明に係る送信回路は、N(Nは2以上の整数)ビットからなる情報データ片を受け、前記情報データ片で表される値に1を加算又は減算して得られた値を表す第1~第Nのビットからなるシリアル形態の変換情報データ片を生成するエンコーダと、前記変換情報データ片を含む情報データ信号を送信する送信アンプと、を含み、前記情報データ片は、前記Nビットが全て論理レベル0となるデータパターンから前記Nビットが全て論理レベル1となるデータパターンの範囲のうちで、前記Nビットが全て論理レベル1となるデータパターン及び最下位ビットのみが論理レベル0となるデータパターン、又は、前記Nビットが全て論理レベル0となるデータパターン及び最下位ビットのみが論理レベル1となるデータパターンを除くデータパターンからなることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る表示装置は、複数の表示セルが夫々に接続されているn(nは2以上の整数)本のデータ線を有する表示パネルと、前記表示パネルを駆動するデータドライバと、映像信号に基づく前記表示セル各々の輝度レベルをK(Kは2以上の整数)ビットで表す表示データ片の各々に対して色深度を拡張する色深度拡張処理を施したN(NはKより大きい整数)ビットの情報データ片の各々に対して、前記情報データ片で表される値に1を加算することで得た値を、第1~第Nのビットのシリアルビットの形態で表す変換情報データ片の系列として生成するエンコーダを含み、前記変換情報データ片の系列を含む情報データ信号を前記データドライバに送信する送信回路を有するタイミングコントローラと、を含み、前記データドライバは、前記情報データ信号を受け前記情報データ信号の立ち上がりエッジ又は立下りエッジに位相同期したクロック信号を生成するPLL回路、及び前記情報データ信号を受け前記情報データ信号に含まれる前記変換情報データ片の各々に対して前記変換情報データ片で表される値から1を減算することで前記情報データ片の系列を復元するデコーダを含む受信回路と、前記クロック信号に応じて前記情報データ片の系列中のn個の情報データ片を取り込んで出力するデータ取込部と、前記データ取込部から出力された前記n個の情報データ片の各々をアナログの電圧値を有するn個の階調電圧に変換する階調電圧生成部と、前記n個の階調電圧を夫々増幅したn個の駆動電圧を前記表示パネルの前記n本のデータ線に供給する出力部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るデータ通信システムでは、送信回路は、N(Nは2以上の整数)ビットの情報データ片に「1」を加算又は減算した変換情報データ片を含むシリアル信号形態の情報データ信号を送信する。尚、Nビットの情報データ片として、最下位ビットのみが論理レベル0、それ以外のビット各々が論理レベル1となるデータパターン、及び全ビットが論理レベル1となるデータパターンを除くNビットデータを採用する。これにより、送信する変換情報データ片のNビットのシリアルビットの系列中には、少なくとも1回、論理レベル0から1、或いは論理レベル1から0に推移する立上り又は立下りエッジ部が現れる。
【0012】
受信回路は、送信回路から送信された情報データ信号を受け、当該情報データ信号に含まれる情報データ片のNビットのシリアルビット系列中に現われるビットの立上り又は立下りエッジ部のタイミングに位相同期したクロック信号を生成する。更に、受信回路は、受信した情報データ信号に含まれるNビットの変換情報データ片から「1」を減算又は加算することで元の情報データを復元する。
【0013】
よって、本発明に係るデータ通信システムによれば、送信する情報データ信号に含まれるNビットの情報データ片に、クロック信号を生成する為のクロックビット等の付加情報を加えることなく、受信回路側のPLL回路でクロック信号を生成することができるので、通信効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るデータ通信システムとしてのデータ通信システム300の構成を示すブロック図である。
図2A】情報データ系列CDS、情報データ信号SS及びPDX各々のフォーマットの一部を示す図である。
図2B】情報データ系列CDS、情報データ信号SS及びPDX各々のフォーマットの一部を示す図である。
図3】本発明に係るデータ通信システムの他の一例としてのデータ通信システム300A構成を示すブロック図である。
図4】本発明に係るデータ通信システムを搭載した表示装置200の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例0016】
図1は、本発明に係るデータ通信システム300の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、データ通信システム300は、送信回路110及び受信回路130を含む。
【0018】
送信回路110は、エンコーダ1101及び送信アンプ1102を含み、例えば図2A又は図2Bに示すように、夫々が10ビット(f9~f0)のシリアル信号の形態を有する情報データDTの系列からなる情報データ系列CDSを受ける。
【0019】
エンコーダ1101は、加算回路AD1を含み、情報データ系列CDSに含まれる情報データDT毎に、その10ビットのビット系列中において少なくとも1回、論理レベルの反転を生じさせるデータ変換を行う。
【0020】
具体的には、エンコーダ1101は、加算回路AD1により、各情報データDTの10ビット(f9~f0)で表される値に「1」を加算する。つまり、加算回路AD1は、最下位ビット(LSB:least significant bit)のみが論理レベル1、他のビットが全て論理レベル0となる10ビットデータ[0000000001]を、情報データDTの10ビット(f9~f0)に加算する。
【0021】
そして、加算回路AD1は、各情報データDTに「1」を加算して得た、夫々が図2A又は図2Bに示すような10ビットのシリアル形態の変換情報データDBの系列を含む情報データ信号SSを、送信アンプ1102に供給する。
【0022】
送信アンプ1102は、かかる情報データ信号SSを増幅した信号を情報データ信号PDXとして、これを伝送ラインL1を介して受信回路130に送信する。
【0023】
尚、データ通信システム300では、送信対象となる情報データDTとして受付可能な10ビットの範囲を[0000000000]~[1111111101]と規定する。
【0024】
つまり、データ通信システム300では、情報データDTとして、全ビットが論理レベル0となるデータパターン[0000000000]から全ビットが論理レベル1となるデータパターン[1111111111]のうちで、全ビットが論理レベル1となるデータパターン[1111111111]、及び最下位ビットのみが論理レベル0となるデータパターン[1111111110]を除くデータパターンを使用することを規定している。
【0025】
これにより、図2A又は図2Bに示すように、情報データ信号PDXに含まれる変換情報示データDB各々の10ビットのビット系列(d9~d0)中には、隣接するビット同士の境界の時点t1~t9のうちの少なくとも1の時点で論理レベル0から1又は論理レベル1から0に遷移する立ち上がり又は立ち下りエッジedが現れることになる。
【0026】
受信回路130は、受信アンプ1301、PLL(Phase locked loop)回路1302、及びデコーダ1303を含む。
【0027】
受信アンプ1301は、送信回路110から送信された情報データ信号PDXを受け、当該情報データ信号PDXを増幅した信号を受信情報データ信号PDJとして、PLL回路1302及びデコーダ1303に供給する。
【0028】
PLL回路1302は、受信情報データ信号PDJに含まれる、図2A又は図2Bに示す変換情報データDB各々の10ビットのビット系列(d9~d0)中に現われる立ち上がり又は立ち下りエッジedの位相に同期した発振信号を生成し、これをクロック信号CLKとして出力する。
【0029】
デコーダ1303は、減算回路SD1を含み、受信情報データ信号PDJに対して、送信回路110のエンコーダ1101で変換された各変換情報データDBを元の情報データDTに戻す処理を施す。
【0030】
具体的には、デコーダ1303は、減算回路SD1により、上記した加算回路AD1で加算された「1」の分を、受信情報データ信号PDJに含まれる各変換表示データDBの10ビット(d9~d0)で表される値から減算する。つまり、減算回路SD1は、変換表示データDBの10ビット(f9~f0)から、最下位ビットのみが論理レベル1、他のビットが全て論理レベル0となる10ビットデータ[0000000001]を減算する。
【0031】
これにより、情報データ系列CDSに含まれる、夫々が10ビットの情報データDTの各々が復元され、減算回路SD1は、この復元した情報データDTの系列を含む信号を情報データ信号PDとして出力する。
【0032】
よって、図1に示すデータ通信システム300によれば、送信回路110が送信する情報データ信号PDXに含まれる、各変換情報データDBの10ビット(d9~d0)のシリアルビットの系列中には、少なくとも1回、論理レベル0から1又は論理レベル1から0に遷移する立上り又は立下りエッジが現れる。これにより、各変換情報データDB中に、クロック信号を生成する為のクロックビット等の情報を付加しなくても、受信回路130に含まれているPLL回路1302により、各ビットに位相同期した良好なクロック信号CLKを生成することができる。
【0033】
したがって、図1に示すデータ通信システム300によれば、伝送ラインL1を介して送信される情報データ信号PDX中にクロック信号を生成する為の情報が不要となる分、通信効率を高めることが可能となる。
【0034】
尚、図1に示すデータ通信システム300では、送信回路110が、加算回路AD1を用いて情報データ系列CDSに含まれる各情報データDTの各々に「1」を加算し、受信回路130では、減算回路SD1を用いて、受信した情報データ信号PDX(PDJ)に含まれる変換情報データDBの各々から「1」を減算しているが、かかる構成に限定されない。また、加算回路AD1及び減算回路SD1で加算及び減算する値としては「1」以外の値であっても良い。つまり、加算回路AD1が情報データDTに「X」(Xは1以外の値)を加算した場合、減算回路SD1では変換情報データDBからこの「X」を減算すれば良い。
【実施例0035】
図3は、データ通信システムの他の一例としてのデータ通信システム300Aの構成を示すブロック図である。
【0036】
尚、データ通信システム300Aでは、送信回路110に代えて送信回路110Aを採用し、受信回路130に代えて受信回路130Aを採用したものである。
【0037】
図3において、送信回路110Aでは、エンコーダ1101に含まれる処理回路として図1に示す加算回路AD1に代えて減算回路SD2を採用し、受信回路130Aでは、デコーダ1303に含まれる処理回路として図1に示す減算回路SD1に代えて加算回路AD2を採用した点を除く他の構成は図1に示すものと同一である。
【0038】
ここで、図3に示す減算回路SD2は、情報データ系列CDSに含まれる各表示データ片から「1」、つまり10ビットの[0000000001]を減算したものを情報データ信号SSとして送信アンプ1102に供給する。また、図3に示す加算回路AD2は、上記した減算回路SD2で減算した「1」の分を、受信情報データ信号PDJに含まれる各変換表示データDBに加算することで、情報データ系列CDSに含まれる情報データDTの各々を復元し、復元した情報データDTの系列を含む信号を情報データ信号PDとして出力する。
【0039】
ただし、データ通信システム300Aでは、送信対象となる情報データDTとして受付可能な10ビットの範囲を[0000000010]~[1111111111]と規定する。つまり、データ通信システム300Aでは、情報データDTとして、全ビットが論理レベル0となるデータパターン[0000000000]から全ビットが論理レベル1となるデータパターン[1111111111]のうちで、全ビットが論理レベル0となるデータパターン[0000000000]、及び最下位ビットのみが論理レベル1となるデータパターン[0000000001]を除くデータパターンを使用することを規定している。
【0040】
尚、上記したデータ通信システム300又は300Aでは、送信回路110又は110Aが送信する情報データ(DT、DB)のビット数を10ビットとしているが、そのビット数は10ビットに限定されず、2ビット以上の複数であれば良い。
【0041】
要するに、本発明に係るデータ通信システムとしては、以下の送信回路、及び受信回路を有するものであれば良い。
【0042】
送信回路(110)は、N(Nは2以上の整数)ビットからなる情報データ片(DT)を受け、この情報データ片で表される値に1を加算(又は減算)して得られた値を表す第1~第Nのビットからなるシリアル形態の変換情報データ片(DB)を生成するエンコーダ(1101)を含み、この変換情報データ片を含む情報データ信号(PDX)を送信する。
【0043】
受信回路(130)は、情報データ信号(PDX)を受けこの情報データ信号の立ち上がりエッジ又は立ち下りエッジに位相同期したクロック信号(CLK)を生成するPLL回路(1302)と、情報データ信号(PDX)を受けこの情報データ信号に含まれる変換情報データ片(DB)で表される値から1を減算することで情報データ片(DT)を復元するデコーダ(1303)を含む。
【実施例0044】
図4は、本発明に係るデータ通信システムを搭載した表示装置200の構成を示すブロック図である。
【0045】
図4に示すように、表示装置200は、タイミングコントローラ10、走査ドライバ12、データドライバ13、及び表示パネル20を含む。
【0046】
表示パネル20には、夫々が2次元画面の水平方向に伸張する水平走査ラインS1~Sm(mは2以上の整数)と、夫々が2次元画面の垂直方向に伸張するデータラインD1~Dn(nは2以上の整数)とが交叉して配置されている。各水平走査ラインとデータラインとの交叉部には、例えば液晶表示素子としての表示セルdcが形成されている。
【0047】
タイミングコントローラ10は、映像信号VSを受け、当該映像信号VSから水平同期信号を検出して走査ドライバ12に供給する。走査ドライバ12は、当該水平同期信号に同期した走査パルス信号を表示パネル20の水平走査ラインS1~Smの各々に順次印加する。
【0048】
また、タイミングコントローラ10は、当該映像信号VSに基づく各表示セルの輝度レベルを例えば8ビットで表す表示データ片に対して、その色深度を10ビットに拡張する色深度拡張処理を施す。タイミングコントローラ10は、送信回路110を含み、当該送信回路110により、上記した色深度拡張処理が施された10ビットシリアルの表示データ片の各々に対して、その10ビット分のビット系列中において少なくとも1回論理レベルの反転を生じさせるデータ変換処理を施す。そして、タイミングコントローラ10は、かかるデータ変換処理後の変換表示データ片の各々をシリアル形態にて連結した信号を、映像データ信号PDXとしてデータドライバ13に送信する。
【0049】
データドライバ13は、映像データ信号PDXを受信する受信回路(RX)130と、データ取込部131、階調電圧生成部132及び出力部133を含む。
【0050】
受信回路130は、受信した映像データ信号PDXに位相同期したクロック信号を生成し、これをクロック信号CLKとしてデータ取込部131に供給する。更に、受信回路130は、受信した映像データ信号PDXに含まれる変換表示データ片の各々を、デコーダ1303によって元の表示データ片に復元し、当該表示データ片の系列を含む映像データ信号PDをデータ取込部131に供給する。
【0051】
データ取込部131は、受信回路130から、上記したクロック信号CLK及び映像データ信号PDを受け、クロック信号CLKに応じて、映像データ信号PDに含まれる表示データ片を1水平走査ライン分ずつ、つまりn個毎取り込む。データ取込部131は、取り込んだn個の表示データ片を表示データP1~Pnとし、夫々を階調電圧生成部132に供給する。階調電圧生成部132は、データ取込部131から供給された表示データP1~Pnを、夫々の輝度レベルに対応した電圧値を有する階調電圧V1~Vnに変換して出力部133に供給する。出力部133は、階調電圧V1~Vnを夫々個別に増幅して得た駆動電圧G1~Gnを表示パネル20のデータラインD1~Dnに供給する。
【0052】
尚、表示装置200は、タイミングコントローラ10に含まれる送信回路110、及びデータドライバ13に含まれる受信回路130として、図1又は図3に示されるデータ通信システムを搭載している。
【0053】
すなわち、データ通信システム300(300A)を採用する場合、タイミングコントローラ10は、入力された映像信号VSに基づく各表示セルの輝度レベルを8ビットで表す表示データ片の各々に対して、前述した色深度拡張処理を施してそのビット数を10ビットに拡張した表示データ片の系列を、情報データ系列CDSとして送信回路110(110A)に供給する。ここで、送信回路110(110A)は、エンコーダ1101により、情報データ系列CDS中の各情報データ片に対して、その情報データ片で表される値に1を加算(又は減算)して得られた値を10ビットのシリアル形態で表す変換情報データ片として生成する。そして、送信回路110(110A)は、当該変換情報データ片の系列を含む情報データ信号SSを送信アンプ1102で増幅した情報データ信号を映像データ信号PDXとして、伝送ラインL1を介してデータドライバ13の受信回路130に送信する。
【0054】
データドライバ13に含まれる受信回路130は、タイミングコントローラ10の送信回路110から送信された映像データ信号PDXを受け、当該映像データ信号PDXを受信アンプ1301を介して受信情報データ信号PDJとして取り込む。この際、受信回路130に含まれるデコーダ1303は、受信情報データ信号PDJに含まれる各変換表示データDBの10ビット(d9~d0)で表される値から「1」を減算(又は加算)することで、上記した情報データ系列CDSに含まれる、夫々が10ビットの表示データ片の各々が復元され、この復元した表示データ片の系列を含む信号を映像データ信号PDとしてデータ取込部131に供給する。更に、データドライバ13に含まれる受信回路130は、受信情報データ信号PDJに応じてPLL回路1302が出力したクロック信号CLKをデータ取込部131に供給する。
【0055】
尚、表示装置200において、データ通信システム300(300A)を採用する場合、色深度を10ビットに拡張した表示データ片については、10ビットデータとして[0000000000]~[1111111101]又は[0000000010]~[1111111111]の範囲で、最低輝度レベル~最高輝度レベルを表現するように規定する。
【符号の説明】
【0056】
10 タイミングコントローラ
13 データドライバ
110 送信回路
130 受信回路
200 表示装置
300、300A データ通信システム
1101 エンコーダ
1302 PLL回路
1303 デコーダ
AD1、AD2 加算回路
SD1、SD2 減算回路

図1
図2A
図2B
図3
図4