(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167950
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】透明吸湿シーラントフィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/18 20060101AFI20241128BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20241128BHJP
B65D 81/26 20060101ALI20241128BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241128BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20241128BHJP
【FI】
B32B27/18 Z
B65D65/40 D
B65D81/26 L
B32B27/00 B
B32B7/023
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084292
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】田所 達郎
(72)【発明者】
【氏名】大塚 康司
(72)【発明者】
【氏名】高杉 祐也
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB81
3E067BA12A
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3E086CA01
3E086CA28
4F100AA01
4F100AA01A
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4F100AC03A
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4F100AK01A
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4F100JN18
4F100JN18A
4F100JN18B
(57)【要約】
【課題】本発明は、製造適性に優れ、簡易な層構成でありながら、吸湿性と、吸湿前及び吸湿後の透明性とに優れ、内容物を視認でき、包装された内容物収容部の水分を吸収して、輸送中及び長期間の保管中に、内容物が水分によって劣化することを抑制することができる透明吸湿シーラントフィルム、及び該透明吸湿シーラントフィルムを用いて作製した、透明吸湿積層体、透明吸湿包装材料、透明吸湿包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】少なくとも、無機吸湿剤とバインダー樹脂とを含有する吸湿層を含み、該無機吸湿剤と該バインダー樹脂との屈折率の差は、0以上、0.05以下である透明吸湿シーラントフィルム。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも吸湿層を備える透明吸湿シーラントフィルムであって
該吸湿層が、少なくとも無機吸湿剤とバインダー樹脂とを含有し、
該吸湿層中の、該無機吸湿剤の含有量は、0.5質量%以上、70質量%以下であり、
該無機吸湿剤と該バインダー樹脂との屈折率の差は、0以上、0.05以下であることを特徴とする、透明吸湿シーラントフィルム。
【請求項2】
前記透明吸湿シーラントフィルムは、更にヒートシール層を含み、
該ヒートシール層は、ヒートシール性樹脂を含有し、前記無機吸湿剤を含有しない層であり、かつ該透明吸湿シーラントフィルムの片表面または両表面に積層されている層であり、
該ヒートシール性樹脂と前記バインダー樹脂との屈折率の差は、0以上、0.05以下である
ことを特徴とする、請求項1に記載の透明吸湿シーラントフィルム。
【請求項3】
温度25℃、湿度50%RHの環境下に11日間静置した後の、吸湿量が3g/m2以上であり、
吸湿前及び吸湿後の、全光線透過度が60%以上、99%以下であり、
吸湿前及び吸湿後の、ヘイズが0%以上、70%以下である
ことを特徴とする、請求項1に記載の、透明吸湿シーラントフィルム。
【請求項4】
前記無機吸湿剤が、ハイドロタルサイトを含有することを特徴とする、請求項1に記載の、透明吸湿シーラントフィルム。
【請求項5】
リン系酸化防止剤、および/またはチオエーテル系酸化防止剤を、含有することを特徴とする、請求項1に記載の、透明吸湿シーラントフィルム。
【請求項6】
前記バインダー樹脂および/または前記ヒートシール性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする、請求項2に記載の、透明吸湿シーラントフィルム。
【請求項7】
前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂を含有することを特徴とする、請求項6に記載の透明吸湿シーラントフィルム。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の透明吸湿シーラントフィルムから作成された、透明吸湿積層体。
【請求項9】
請求項8に記載の透明吸湿積層体から作成された、透明吸湿包装材料。
【請求項10】
請求項9に記載の透明吸湿包装材料から作成された、透明吸湿包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明であり、包装された内容物が吸湿することを抑制するための、吸湿性を有する透明吸湿シーラントフィルム、及び該透明吸湿シーラントフィルムを用いて作製した、透明吸湿積層体、透明吸湿包装材料、透明吸湿包装袋に関する。
本発明の透明吸湿シーラントフィルムは、湿気を嫌う様々な分野の製品に適用することができ、例えば、車載用のネジ、シャフト、金属板等の金属製品、及び電気部品等を防錆する為の包装材料や、食品や医薬品等の水分による劣化を抑制する為の包装材料に好適に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
湿気を嫌う医薬品や食品の包装には、PTP包装、SP包装、ブリスター包装等が広く使われているが、従来品は防湿性が不十分なものが多く、それを補うためにアルミニウム箔ピロー袋を外袋として用い、更に乾燥剤を同梱している。
しかしながら、外袋開封後の防湿性が不十分であり、また乾燥剤の誤飲事故が多発している。
そこで、医薬品や食品の輸送、あるいは長期保管を目的とした包装袋が開発されており、さらに、内容物である医薬品や食品の品質を維持できるように、より安定した防湿防水性やバリア性を有し、且つシンプルな層構成で工程数の少ない製造工程によって製造し得る包装材料が求められている。
金属製品内容物への防錆を目的として、常温で揮発して防錆効果を発揮する気化性の高い防錆剤を樹脂に含有させた包装用積層体が、特許文献1~3で提案されている。
しかしながら、外装による密閉が必要であったり、気化した防錆剤が内容物に付着した場合に内容物が劣化したり、機能的障害を生じたり等、防錆効果以外の影響が懸念され、除去するにも手間が煩雑であるために用途が限定されていることから、揮発性の防錆剤を用いない防錆積層体が望まれている。
PTPまたはブリスター包装材料の防湿性を改良する為に、包装材料に乾燥剤やバリア層を含ませることが、特許文献4で提案されているが、包装材料の透明性が不十分であり、内容物の変質状態を確認するための視認性に劣るものであった。
また、100nm程度の微粒の吸湿剤を包装材料に含有して透明度を高めることが引用文献5で提案されているが、吸湿剤が二次凝集を生じて高い透明度を得ることが困難であり、また透明性を高める為に吸湿剤の含有量を低くせざるを得ず、十分な吸湿能力を有することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-254350号公報
【特許文献2】特開2007-308726号公報
【特許文献3】特開2010-052751号公報
【特許文献4】特許5429948号公報
【特許文献5】特開2021-147086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題を解決し、製造適性に優れ、シンプルな層構成でありながら、吸湿性に優れ、吸湿前及び吸湿後においても透明性に優れていることから内容物を視認でき、包装された内容物収容部の水分を吸収して、輸送中及び長期間の保管中に、内容物が水分によって劣化することを抑制することができる透明吸湿シーラントフィルム、及び該透
明吸湿シーラントフィルムを用いて作製した、透明吸湿積層体、透明吸湿包装材料、透明吸湿包装袋を提供することを課題とする発明である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、種々検討の結果、少なくとも、無機吸湿剤とバインダー樹脂とを含有する吸湿層を含み、該無機吸湿剤と該バインダー樹脂との屈折率の差は、0以上、0.05以下である透明吸湿シーラントフィルムが、上記の目的を達成することを見出した。
すなわち、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくとも吸湿層を備える透明吸湿シーラントフィルムであって、該吸湿層が、少なくとも無機吸湿剤とバインダー樹脂とを含有し、該吸湿層中の、該無機吸湿剤の含有量は、0.5質量%以上、70質量%以下であり、該無機吸湿剤と該バインダー樹脂との屈折率の差は、0以上、0.05以下であることを特徴とする、透明吸湿シーラントフィルム。
2.前記透明吸湿シーラントフィルムは、更にヒートシール層を含み、
該ヒートシール層は、ヒートシール性樹脂を含有し、前記無機吸湿剤を含有しない層であり、かつ該透明吸湿シーラントフィルムの片表面または両表面に積層されている層であり、
該ヒートシール性樹脂と前記バインダー樹脂との屈折率の差は、0以上、0.05以下である
ことを特徴とする、上記1に記載の透明吸湿シーラントフィルム。
3.23℃50%11日間での吸湿処理において、
吸湿量が3g/m2以上であり、
吸湿前及び吸湿後の、全光線透過度が60%以上、99%以下であり、
吸湿前及び吸湿後の、ヘイズが0%以上、70%以下であることを特徴とする、上記1または2に記載の、透明吸湿シーラントフィルム。
4.前記無機吸湿剤が、ハイドロタルサイトを含有することを特徴とする、上記1~3の何れかに記載の、透明吸湿シーラントフィルム。
5.リン系酸化防止剤、および/またはチオエーテル系酸化防止剤を含有することを特徴とする、上記1~4の何れかに記載の、透明吸湿シーラントフィルム。
6.前記バインダー樹脂および/または前記ヒートシール性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする、上記2~5の何れかに記載の、透明吸湿シーラントフィルム。
7.前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂を含有することを特徴とする、上記6に記載の透明吸湿シーラントフィルム。
8.上記1~7の何れかに記載の透明吸湿シーラントフィルムから作成された、透明吸湿積層体。
9.上記8に記載の透明吸湿積層体から作成された、透明吸湿包装材料。
10.上記9に記載の透明吸湿包装材料から作成された、透明吸湿包装袋。
【発明の効果】
【0006】
本発明の透明吸湿シーラントフィルム及び該透明吸湿シーラントフィルムを用いて作製した透明吸湿積層体、透明吸湿包装材料、透明吸湿包装袋は、製造適性に優れ、簡易な層構成でありながら、透明で内容物を視認でき、外部からの水分を遮蔽し、包装された内部空間の水分を吸着して、輸送中及び長期間の保管中に、内容物に水分によって劣化することを抑制できる。
そして、本発明の透明吸湿包装袋を、薬剤用のPTP包装、SP包装、ブリスター包装に用いることで、薬剤の劣化や変色を抑制できる。また、シリカゲル等が入った吸湿小袋を同梱する必要がなく、該吸湿小袋を誤飲する危険性を回避できる。さらに、錠剤の紛失、落薬、割れの判別によるリスクを軽減することができる。
また、内容物が金属機器等の金属製品である場合には、金属製品の錆を防止することが
でき、従来から用いられていた油紙等により保護する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の透明吸湿シーラントフィルムの層構成の一例を示す概略的断面図である。
【
図2】本発明の透明吸湿シーラントフィルムの層構成の別態様の一例を示す概略的断面図である。
【
図3】本発明の透明吸湿シーラントフィルムの層構成のまた別態様の一例を示す概略的断面図である。
【0008】
各図においては、解り易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見易さの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
また、各図においては省略されているが、各層の間に接着剤層を設けることもできる。
さらに、必要に応じて、各層間の接着強度(密着強度)を強固にするために、各層の積層面に、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、グロー放電処理、サンドブラスト処理等のなどの物理的な表面処理や、化学薬品を用いた酸化処理などの化学的な表面処理を予め施しておくこともできる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の透明吸湿シーラントフィルム、透明吸湿積層体、透明吸湿包装材料、透明吸湿包装袋について、以下に更に詳しく説明する。具体例を示しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、本発明においては、フィルムとシートとは同義として扱い、吸水または吸湿は、気体および/または液体の水を吸収することを指す。
【0010】
I.透明吸湿シーラントフィルム
本発明の透明吸湿シーラントフィルムは、無機吸湿剤およびバインダー樹脂を含有する吸質層の1層のみで構成されていてもよく、吸湿層と、ヒートシール性樹脂を含有してヒートシール性に優れるヒートシール層との多層で構成されていてもよい。
また、吸質層やヒートシール層は、それぞれが多層でも良い。
【0011】
本発明の透明吸湿シーラントフィルムは、無機吸湿剤とバインダー樹脂との屈折率の差が小さいことによって、透明性を示すことができる。
また、本発明の透明吸湿シーラントフィルムは、温度25℃、湿度50%RH、または温度40℃、湿度90%RHの環境下に11日間静置して吸湿させた後等の吸湿後においても、無機吸湿剤とバインダー樹脂との屈折率の差が小さいことによって、透明性を示すことができる。
【0012】
無機吸湿剤とバインダー樹脂との屈折率の差は、吸湿前および吸湿後において、0以上、0.05以下が好ましく、0以上、0.01以下がより好ましく、0が更に好ましい。上記範囲よりも屈折率の差が大きいと、無機吸湿剤とバインダー樹脂との界面で光の散乱が生じて、透明性が低下し易い。
尚、本発明において、屈折率は、JIS K 7142:2008に従って、フィルム化しAbbe屈折計を使って、波長589nmの光で測定した値である。
【0013】
本発明の透明吸湿シーラントフィルムの吸湿量は、例えば、23℃50%11日間という環境下において、3g/m2以上であることが好ましい。上記範囲よりも吸湿量が小さいと、内容物の劣化を抑制することが困難になり易く、上記範囲よりも吸湿量が大きいものを得ることは実質的に困難である。
【0014】
また、隣接する層間、例えば吸湿層に含有されるバインダー樹脂と、ヒートシール層に含有されるヒートシール性樹脂との屈折率の差は、吸湿前および吸湿後において、0以上0.05以下が好ましく、0以上、0.01以下がより好ましく、0が更に好ましい。屈折率の差が上記範囲よりも大きいと、層間での界面反射が多くなり過ぎて、透明吸湿シーラントフィルム全体の透明性が劣る傾向になり、内容物の視認が困難になり易い。
【0015】
本発明の透明吸湿シーラントフィルムは、酸化防止剤を含有することができる。
含有する酸化防止剤としてはリン系酸化防止剤、および/またはチオエーテル系酸化防止剤が好ましい。
フェノール系酸化防止剤は、透明吸湿シーラントフィルムを黄変させ易い為、好ましくない。
【0016】
本発明の透明吸湿シーラントフィルムの全光線透過度は、吸湿前において、60%以上、99%以下が好ましく、80%以上、99%以下がより好ましい。また、吸湿後において、60%以上、99%以下が好ましく、80%以上、99%以下がより好ましい。上記範囲よりも全光線透過度が小さいと、透明性が低下し易い。
ここで、全光線透過度とは、JISK7361(プラスチックの光学的特性試験法)に規定された方法によって、色彩情報測定機器等を用いて測定する、光線の透過率のことである。
【0017】
本発明の透明吸湿シーラントフィルムのヘイズは、吸湿前において0%以上、70%以下が好ましく、0%以上、30%以下がより好ましい。また、吸湿後において、0%以上、70%以下が好ましく、0%以上、30%以下がより好ましい。上記範囲よりもヘイズが大きい場合は透明性が低下し易くなる。
【0018】
透明吸湿シーラントフィルムは、支持性(剛性)が不足している場合には、補強層をさらに含むことができる。
【0019】
透明吸湿シーラントフィルムは、片面または両面がヒートシール性を有することが好ましく、その為には、シーラントフィルムの片面表面にヒートシール層が積層されていてもよく、両面表面にヒートシール層が積層されていてもよい。
透明吸湿シーラントフィルムの表面にヒートシール性があれば、他の層と積層する際の界面接着性が高くなり、ヒートシール性を高くすることができる。
【0020】
透明吸湿シーラントフィルムの厚みに特に制限は無いが、20μm以上、200μm以下が好ましく、50μm以上、150μm以下がより好ましい。上記範囲よりも薄いと吸湿効果を充分に発揮し難く、上記範囲よりも厚くても吸湿効果やヒートシール性はそれほど向上せず、透明吸湿シーラントフィルムの剛性が強くなりすぎて、包装材料の用途としての使い勝手が悪くなり易く、透明性が低下し易い。
そして、透明吸湿シーラントフィルムを構成する各層は、接着剤層を介して積層されていてもよい。
【0021】
<透明吸湿シーラントフィルムの製造方法>
透明吸湿シーラントフィルムを製造する方法について説明する。下記に示す透明吸湿シーラントフィルムの作製方法は1例であって、本発明を限定するものではない。
透明吸湿シーラントフィルムを構成する各層の製膜、積層は、例えば、ウェットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ共押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、その他等の任意の方法で行うことができる。
そして、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理を各層の表面に施すことができる。また、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等のラミネート用接着剤等のアンカーコート剤等を任意に使用することができる。
【0022】
例えば、ヒートシール層1/吸湿層/ヒートシール層2という層構成を有する透明吸湿シーラントフィルムを作製する場合、ヒートシール層1用の樹脂と、吸湿層用の樹脂組成物と、ヒートシール層2用の樹脂とを、インフレーション製膜によって製膜及び積層して作製することができる。
得られた透明吸湿シーラントフィルムには、透明性及び吸湿性を維持できる範囲内で、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、二次加工を施すことも可能である。
【0023】
二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング、等)等が挙げられる。また、透明吸湿シーラントフィルムに、ラミネート加工(ドライラミネートや押し出しラミネート)、製袋加工、およびその他の後処理加工を施すこともできる。
【0024】
I-1.吸湿層
吸湿層は、無機吸湿剤およびバインダー樹脂を含有する層であり、無機吸湿剤がバインダー樹脂中に分散している。
バインダー樹脂はヒートシール性を有していてもよく、他のヒートシール性を有する熱可塑性樹脂を、透明性を損なわない範囲で含有してもよい。
吸湿層が十分なヒートシール性を有していれば、同時にヒートシール層にもなり得る。
【0025】
吸湿層の厚みに特に制限は無いが、30μm以上、150μm以下が好ましく、50μm以上、130μm以下がより好ましい。上記範囲よりも薄いと吸湿効果を充分に発揮し難く、上記範囲よりも厚くても吸湿効果はそれほど向上せず、透明吸湿シーラントフィルムの剛性が強くなりすぎて、包装材料の用途としての使い勝手が悪くなり易い。
【0026】
無機吸湿剤は、熱可塑性樹脂とメルトブレンドしたマスターバッチを経て、吸湿層に含有されることが好ましい。
具体的には、無機吸湿剤を熱可塑性樹脂に相対的に高濃度でメルトブレンドしてマスターバッチを調整し、次いで、所望の吸湿層中の濃度になるように、マスターバッチとバインダー樹脂とをドライブレンドして用いることが好ましい。
メルトブレンドされる熱可塑性樹脂は、1種であっても2種以上であってもよい。
【0027】
無機吸湿剤のマスターバッチ中の含有量は、20質量%以上、90質量%以下が好ましく、30質量%以上、70質量%以下がより好ましい。上記の範囲であれば、吸湿層中に必要かつ十分な量の無機吸湿剤を分散した状態で含有させることが容易である。
【0028】
吸湿層中の無機吸湿剤の含有量は、0.5質量%以上、70質量%以下が好ましい。上記範囲よりも少ないと、吸湿効果が不十分になり易く、上記範囲よりも多いと、製膜性やヒートシール性が劣り易い。
【0029】
[無機吸湿剤]
無機吸湿剤の屈折率に特に制限は無く、組み合わせて用いられるバインダー樹脂との屈折率の差が0.05以下になるように選ばれる。
しかしながら、一般的なバインダー樹脂と組み合わせて用いる為には、無機吸湿剤の屈折率は、1.3以上、2.0以下が好ましく、1.4以上、1.7以下がより好ましい。無機吸湿剤の屈折率が上記範囲より高くても低くても、バインダー樹脂との屈折率差を上記範囲内にすることが困難になり易い。
【0030】
組み合わせて用いられるバインダー樹脂との屈折率の差が0.05以下であれば、無機吸湿剤の一次粒子径または二次粒子径が可視光波長以上の大きさであっても、透明性の高い透明吸湿シーラントフィルムを得ることができる。
屈折率の差が上記範囲よりも大きいと、無機吸湿剤とバインダー樹脂との界面で反射が多くなり、透明性が低下する。
【0031】
透明性の高い透明吸湿シーラントフィルムを得る為には、無機吸湿剤の数平均粒子径に特に制限は無い。しかしながら、安定した製膜性を得る為には、無機吸湿剤の数平均粒子径は、6μm以下が好ましい。上記範囲よりも大きいと、製膜性が低下し易い。
また、無機吸湿剤の数平均粒子径は、0.1μm以上が好ましい。上記範囲よりも小さな無機吸湿剤を安定的に得ることは困難である。
【0032】
無機吸湿剤は、ハイドロタルサイトを含有することが好ましい。
【0033】
(ハイドロタルサイト)
本発明で用いられるハイドロタルサイトは、焼成タイプのハイドロタルサイトと、焼成タイプのハイドロタルサイトをさらに加熱分解させた酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体とがある。
焼成タイプのハイドロタルサイトは、次式で示される化合物であり、結合水をさらに含んでいてもよい。屈折率は1.51程度である。
Mg1-xAlx(OH)2(CO3)x/2
上式において、xは、0.1~0.4の数である。
酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体は、次式で示される化合物である。屈折率は1.57程度であり、焼成タイプのハイドロタルサイトよりも吸湿性は高い。
Mg0.7Al0.3O1.15
【0034】
例えば、バインダー樹脂としてポリエチレン(屈折率1.50)を用いた場合、焼成タイプのハイドロタルサイトとは屈折率差が0.01なので透明性の高い透明吸湿シーラントフィルムを得ることができるが、酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体とは、屈折率差が0.07になってしまう為、透明性の高い透明吸湿シーラントフィルムを得ることが困難である。
酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体を用いて、透明性の高い透明吸湿シーラントフィルムを得るには、例えば、ポリスチレン(屈折率1.59)等をバインダーとして用いて組み合わせて用いて、屈折率差を小さくすることが必要である。
【0035】
[バインダー樹脂]
バインダー樹脂は、無機吸湿剤を分散させることができる樹脂であることが必要であり、ヒートシール性を有していることがより好ましい。
バインダー樹脂は、具体的には、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、ポリエチレン系樹脂、ポリメチルペンテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等及びこれらの樹脂の混合物が挙げられる。
例えば、各種ポリエチレン系樹脂の屈折率は約1.5であり、ポリメチルペンテンの屈折率は約1.46であり、各種(メタ)アクリル系樹脂の屈折率は約1.5であり、各種PET系樹脂の屈折率は約1.5~約1.7である。
【0036】
ポリオレフィン系樹脂の中でも、ポリエチレン系樹脂およびポリメチルペンテンがより好ましい。
ポリエチレン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、汎用PE、PE系共重合体等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂の中でも、LDPE、LLDPE、汎用PE、PE系共重合体等がより好ましく、LLDPEが更に好ましい。
【0037】
(熱可塑性樹脂)
吸湿層中に含有されるバインダー樹脂以外の熱可塑性樹脂は、無機吸湿剤の分散性に優れ、透明吸湿シーラントフィルムの吸湿性や透明性を大きく低下させず、包装材料の用途に耐え得る樹脂が好ましく、また、ヒートシール性樹脂であってもよい。
吸湿層中に含有されるバインダー樹脂以外の熱可塑性樹脂は、無機吸湿剤やバインダー樹脂と近い屈折率を有していることが好ましく、無機吸湿剤および/またはバインダー樹脂との屈折率の差は、0以上、0.05以下が好ましく、0以上、0.01以下がより好ましく、0が更に好ましい。上記範囲よりも屈折率の差が大きいと、熱可塑性樹脂と、無機吸湿剤やバインダー樹脂との界面で光の散乱が生じて、透明性が低下し易い。
【0038】
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂を含有することが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂の中でも、ポリエチレン系樹脂およびポリメチルペンテンがより好ましい。
ポリエチレン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、汎用PE、PE系共重合体等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂の中でも、LDPE、LLDPE、汎用PE、PE系共重合体等がより好ましく、LLDPEが更に好ましい。
【0039】
(酸化防止剤)
本発明の透明吸湿シーラントフィルムは、リン系酸化防止剤、および/またはチオエーテル系酸化防止剤を含有することができる。
フェノール系酸化防止剤は、透明吸湿シーラントフィルムを黄変させ易い為、好ましくない。
リン系酸化防止剤の具体例としては、アデカスタブPEP-8(ADEKA)、アデカスタブPEP-36(ADEKA)、アデカスタブHP-10(ADEKA)、アデカスタブ2112(ADEKA)、アデカスタブ1178(ADEKA)、アデカスタブ1500(ADEKA)、Irgafos168(BASF)等が挙げられる。
チオエーテル系酸化防止剤の具体例としては、アデカスタブAO-412S(ADEKA)、アデカスタブAO-26(ADEKA)、KEMINOX PLS(ケミプロ化成)、RIANOX(Rianlin)等が挙げられる。
【0040】
I-2.ヒートシール層
ヒートシール層は、ヒートシール性樹脂を含有することで、優れたヒートシール性を有する層である。
ヒートシール層は無機吸湿剤を含有していてもよく、含有していなくてもよいが、無機吸湿剤を含有しない方がヒートシール性が高く、好ましい。
【0041】
(ヒートシール性樹脂)
ヒートシール性樹脂は、通常のヒートシール条件(150~200℃、1~5kgf/cm2、0.5~3秒)によって溶融して融着し得る樹脂であり、150~200℃において、MFR1~10g/10分のものが扱い易く、好ましい。
ヒートシール性樹脂は、屈折率が1.3以上、2.0以下であることが好ましく、また、吸湿層に含有されるバインダー樹脂と、屈折率の差が、0以上、0.05以下が好ましく、0以上、0.01以下がより好ましく、0が更に好ましい。
また、吸湿層に含有されるバインダー樹脂とヒートシール層に含有されるヒートシール性樹脂とは、樹脂の種類が同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0042】
ヒートシール性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、そして、これらポリオレフィン系樹脂、特にポリエチレンまたはポリプロピレンをアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸その他等の不飽和カルボン酸で変性したポリオレフィン系樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル-不飽和カルボン酸の三元共重合体樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、環状オレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリル(PAN)などが挙げられる。
これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリエチレン系樹脂およびポリメチルペンテンがより好ましく、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)およびポリメチルペンテンがさらに好ましい。
また、ヒートシール性樹脂は、透明性や製膜性を大きく悪化させない範囲内で、その他の熱可塑性樹脂を混合して用いることができる。
【0043】
I-3.補強層
補強層は、透明吸湿シーラントフィルムに支持性(剛性)が不足している場合に含まれる層であり、補強フィルムからなる層であることが好ましい。
補強層と、ヒートシール層や吸湿層等の隣接する層との屈折率の差は、0以上、0.05以下が好ましく、0以上、0.01以下がより好ましく、0が更に好ましい。上記範囲よりも大きいと、層間での界面反射が多くなり過ぎて、透明吸湿シーラントフィルム全体の透明性が劣る傾向になり、内容物の視認が困難になり易い。
【0044】
また、補強層は、ヒートシール層や吸湿層と同程度の全光線透過度、ヘイズを有し、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ耐熱性を有することが好ましい。
補強層が透明であることによって、透明吸湿シーラントフィルム全体も透明になることができる。
【0045】
補強層の全光線透過度は、60%以上、99%以下が好ましく、65%以上、95%以下がより好ましい。上記範囲よりも低いと、透明吸湿シーラントフィルム全体の透明性が劣る傾向になり、内容物の視認が困難になり易い。上記範囲よりも高くすることは困難であり、生産工程や品質管理が複雑になって生産性が劣り易い。
【0046】
そして、補強層のヘイズは、吸湿前および吸湿後において、0%以上、70%以下が好ましく、0%以上、30%以下がより好ましい。上記範囲よりも低くすることは困難であり、生産工程や品質管理が複雑になって生産性が劣り易い。上記範囲よりも高いと、透明吸湿シーラントフィルム全体の透明性が劣る傾向になり、内容物の視認が困難になり易い。
十分な支持性を得る為の補強層用の樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な熱可塑性樹脂を用いて作製された樹脂フィルムが挙げられる。
そして、補強フィルムには、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
上記の中でも、ポリエステル系樹脂および/またはポリアミド系樹脂を含む樹脂フィルムが好ましく、二軸延伸PETフィルム、二軸延伸ナイロンフィルムが、より好ましく用いられる。
【0047】
I-4.接着剤層
接着剤層に用いられる接着剤には、例えば、DL(ドライラミネート)用接着剤、EC(エクストルージョンコート)用接着剤、ノンソルベントラミネート用接着剤、任意のアンカーコート剤等を用いることができる。
また、接着剤は、熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型等のいずれであってよく、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの形態でもよく、また、その性状は、フィルム/シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよい。
【0048】
接着剤層と、ヒートシール層や吸湿層等の隣接する層の屈折率の差は、0以上、0.05以下であることが好ましく、0以上、0.01以下がより好ましく、0が更に好ましい。上記範囲よりも大きいと、層間での界面反射が多くなり過ぎて、透明吸湿シーラントフィルム全体の透明性が劣る傾向になり、内容物の視認が困難になり易い。
【0049】
このような接着剤層を形成する成分としては、ポリ酢酸ビニルや酢酸ビニル-エチレン共重合体等のポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸とポリスチレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル等との共重合体からなるポリアクリル酸系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、LDPE等のポリオレフィン系接着剤、尿素樹脂又はメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム等からなるエラストマー系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等が挙げられる。
【0050】
II.透明吸湿積層体
本発明の透明吸湿積層体は、本発明の透明吸湿シーラントフィルムから作製された積層体であり、例えば、本発明の透明吸湿シーラントフィルムからなる透明シーラント層を有する積層体であり、必要に応じて、透明基材層等をさらに含むことができる。
透明シーラント層と透明基材層等との屈折率の差は、0以上、0.05以下が好ましく、0以上、0.01以下がより好ましく、0が更に好ましい。上記範囲よりも大きいと、層間での界面反射が多くなり過ぎて、透明吸湿積層体全体の透明性が劣る傾向になり、内容物の視認が困難になり易い。
【0051】
III.透明吸湿包装材料
本発明の透明吸湿包装材料は、本発明の透明吸湿積層体からなる包装材料である。
【0052】
IV.透明吸湿包装袋
本発明の透明吸湿包装袋は、本発明の透明吸湿包装材料から作製された包装袋である。
【実施例0053】
以下の実施例および比較例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0054】
実施例に用いた原料の詳細は下記の通りである。
[無機吸湿剤]
・無機吸湿剤1:協和化学工業(株)社製金属酸化物系無機吸湿剤、DHT-4C。ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム焼成体)、Mg4.3Al2(OH)12・6CO3・mH2O(m:0~4)。数平均粒子径380nm、屈折率1.51。
・無機吸湿剤2:戸田工業(株)社製金属酸化物系無機吸湿剤、LT015B。ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム焼成体)、MgxAl2(OH)yCO3・4H2O(x:4~5、y:12~13)。数平均粒子径200nm、屈折率1.51。
・無機吸湿剤3:協和化学工業(株)社製金属酸化物系無機吸湿剤、KW2000。ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム固溶体)、Mg0.7Al0.3O1.15。数平均粒子径7μm、屈折率1.57。
・無機吸湿剤4:協和化学工業(株)社製金属酸化物系無機吸湿剤、KW2100。ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム固溶体)、Mg0.7Al0.3O1.15。数平均粒子径5μm、屈折率1.57。
・無機吸湿剤5:協和化学工業(株)社製金属酸化物系無機吸湿剤、KW2200。ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム固溶体)、Mg0.7Al0.3O1.16。数平均粒子径400nm、屈折率1.57。
【0055】
[バインダー樹脂、ヒートシール性樹脂]
・LLDPE1:プライムポリマー(株)社製LLDPE、ウルトゼックス1520L。密度0.914g/cm3 、MFR2.3g/10分、屈折率1.50。
ポリメチルペンテン1:三井化学(株)社製TPX DX845。密度0.833g/cm3、MFR9g/10分、屈折率1.46。
【0056】
<マスターバッチの調製>
マスターバッチを下記のように調製した。
[マスターバッチ1の調製]
LLDPE1と、無機吸湿剤1とを下記割合でメルトブレンドし、マスターバッチ1(MB1)を得た。
無機吸湿剤1 50質量部
LLDPE1 50質量部
【0057】
[マスターバッチ2~6の調製]
表1の配合にしたがって、マスターバッチ1と同様に操作して、マスターバッチ2~6(MB2~6)を得た。
【0058】
【0059】
<実施例1>
[透明吸湿シーラントフィルムの作製]
吸湿層用に吸湿層用樹脂組成物1を用いて、180℃でインフレーション製膜によって積層し、単層120μm厚の透明吸湿シーラントフィルムを作製した。そして、各種評価を実施した。
【0060】
<実施例2>
[吸湿層用樹脂組成物2の調製]
MB1とLLDPE1とを下記割合でドライブレンドし、吸湿層用樹脂組成物2を得た。
MB1 75質量部
LLDPE1 25質量部
【0061】
[透明吸湿シーラントフィルムの作製]
ヒートシール層1用にLLDPE1、吸湿層用に吸湿層用樹脂組成物2、ヒートシール層2用にLLDPE1を用いて、180℃でインフレーション製膜によって積層し、下記層構成の透明吸湿シーラントフィルムを作製した。そして、各種評価を実施した。
層構成:ヒートシール層1(15μm厚)/吸湿層(90μm厚)/ヒートシール層2(15μm厚)
【0062】
<実施例3~5、比較例1~3>
表2の配合に従って、実施例2と同様に操作して、吸湿層用樹脂組成物、透明吸湿シーラントフィルムを作製して、同様に評価した。
【0063】
<評価方法>
[吸湿率]
透明吸湿シーラントフィルムを縦100mm×横100mmの寸法に切断し、温度25℃、湿度50%RHの環境下に11日間静置し、透明吸湿シーラントフィルムの重量の変化量から吸湿率を求めた。
【0064】
[全光線透過率及びヘイズ]
透明吸湿シーラントフィルムを縦50mm×横50mmの寸法に切断し、JIS K 7361(プラスチックの光学的特性試験法)に準拠して、色彩情報測定機器ヘーズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製HM-150)により、全光線透過率およびヘイズ
を測定した。
【0065】
[製膜性]
透明吸湿シーラントフィルムの外観を肉眼で観察し、不良の有無を下記評価基準で評価した。
○:透明吸湿シーラントフィルムに皺、ぶつ、剥離が無かった。
×:透明吸湿シーラントフィルムに皺、ぶつ、剥離が有った。
【0066】
【0067】
<結果まとめ>
本願発明の全実施例の透明吸湿シーラントフィルムは、良好な製膜性、高吸湿性、吸湿前および吸湿後の高透明性(高全光線透過率、低ヘイズ)のバランスを示した。
一方、吸湿剤とバインダー樹脂との屈折率の差が0.07である比較例1~3は、吸湿前のヘイズが70%よりも大きく、劣った透明性を示した。
また、吸湿剤の数平均粒子径が大きい比較例1は、劣った製膜性を示した。