(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167956
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】振動篩装置
(51)【国際特許分類】
B07B 1/28 20060101AFI20241128BHJP
B07B 1/46 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B07B1/28 Z
B07B1/46 D
B07B1/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084298
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】390015967
【氏名又は名称】株式会社キンキ
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】杉原 早紀
(72)【発明者】
【氏名】スサン テイン ゾー
(72)【発明者】
【氏名】藤野 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】三枝 増之
(72)【発明者】
【氏名】和田 知樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 直哉
【テーマコード(参考)】
4D021
【Fターム(参考)】
4D021AA01
4D021AB02
4D021BA01
4D021BA05
4D021CA07
4D021DA20
4D021EA10
(57)【要約】
【課題】耐久性があり、網体の交換作業を簡単に行うことができる振動篩装置を提供すること。
【解決手段】クランピングバー3に、クランピングボルト4を着脱するための開口部31を形成するとともに、開口部31の背面側に、開口部31から後退した位置にクランピングボルト4の座面32cを備えた座部材32を配設し、座部材32をクランピングボルト4によってフレーム11に固定することにより、クランピングバー3をフレーム11に固定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
網体のフック部にクランピングバーを係止し、該クランピングバーをクランピングボルトによってフレームに固定するとともに、網体の下面をクッション材を介してフレームに支持して、網体を取り付けるようにした振動篩装置において、前記クランピングバーに、クランピングボルトを着脱するための開口部を形成するとともに、該開口部の背面側に、該開口部から後退した位置にクランピングボルトの座面を備えた座部材を配設し、座部材をクランピングボルトによってフレームに固定することにより、クランピングバーをフレームに固定するようにしたことを特徴とする振動篩装置。
【請求項2】
前記クランピングバーの断面形状を、一端側が屈曲したJ字状に形成し、一端側の屈曲部分を網体のフック部に係止するとともに、直線部分が上向きの傾斜面となるように、クランピングバーを取り付けるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の振動篩装置。
【請求項3】
前記クランピングボルトが六角ボルトからなり、該六角ボルトを座部材のボルト挿通孔に挿通した状態で、六角ボルトの回転が規制されるように座部材を形成するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の振動篩装置。
【請求項4】
前記クランピングバーを固定するフレームに、クランピングボルトを着脱するための点検窓を形成するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の振動篩装置。
【請求項5】
網体のフック部にクランピングバーを係止し、該クランピングバーをクランピングボルトによってフレームに固定するとともに、網体の下面をクッション材を介してフレームに支持して、網体を取り付けるようにした振動篩装置において、前記クッション材に、金属製のライナー部材を装着し、網体とクッション材とが直接接触しない構造としたことを特徴とする振動篩装置。
【請求項6】
前記ライナー部材の断面形状を、中心角が180°以上の円弧形状に形成してなることを特徴とする請求項5に記載の振動篩装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動篩装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動篩装置は、土砂、骨材、がれき、焼却灰、建設混合廃棄物、廃棄物のリサイクル等の幅広い用途で、処理物を粒度選別するために用いられる。
【0003】
そして、振動篩装置は、目的に応じた開口寸法の網体を取り付けて使用されるが、処理物が重量物であり処理量も多くなるため、網体は、適度の張力を保って取り付けることが重要となる。
【0004】
また、処理物の処理量は、時間当たり数トン~数十トンにも及ぶケースもあり、このような場合、大きな振動篩装置が採用され、その網体の重量も大きくなるため、網体の交換作業を容易に実施できる構造であることが望まれる。
【0005】
ところで、従来から汎用されている振動篩装置は、網体のフック部にクランピングバーを係止し、クランピングバーをクランピングボルトによってフレームに固定するとともに、網体の下面をクッション材を介してフレームに支持して、網体を取り付けるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の振動篩装置には、以下の問題があった。
・クランピングボルトに使用している丸頭のボルトは、丸頭がクランピングバーの表面に露出して処理物が直接接触するため、摩耗しやすく、耐久性に乏しいこと。
・振動篩装置は、処理物を搬送しながら篩分けをするようにしているが、処理物の流れ方向に障害物を設けないようにするために、クランピングボルトに丸頭の特殊なボルトを使用しており、ボルトの破損や紛失の際の入手が困難な場合があること。
・クランピングバーは、取り付けた状態で上面が水平となり、当該箇所に処理物が溜まりやすく、網体の交換作業時の清掃に手間がかかること。
・2段以上の網体を備えた振動篩装置の場合、下段の網体は、それより上にある網体を外さなければ交換作業ができないこと。
・網体は重量物のため、網体の交換作業時に装置側に網を預けながらスライド移動をしたいが、網体を支持するクッション材はゴム製のため、スライドしても摩擦により滑りにくく、また過剰な力を無理にかけると部品が損傷したり、ヘタリを起こす懸念があること。
【0008】
本発明は、上記従来の振動篩装置の有する問題点を解消して、耐久性があり、網体の交換作業を簡単に行うことができる振動篩装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の振動篩装置は、網体のフック部にクランピングバーを係止し、該クランピングバーをクランピングボルトによってフレームに固定するとともに、網体の下面をクッション材を介してフレームに支持して、網体を取り付けるようにし
た振動篩装置において、前記クランピングバーに、クランピングボルトを着脱するための開口部を形成するとともに、該開口部の背面側に、該開口部から後退した位置にクランピングボルトの座面を備えた座部材を配設し、座部材をクランピングボルトによってフレームに固定することにより、クランピングバーをフレームに固定するようにしたことを特徴とする。
【0010】
この場合において、前記クランピングバーの断面形状を、一端側が屈曲したJ字状に形成し、一端側の屈曲部分を網体のフック部に係止するとともに、直線部分が上向きの傾斜面となるように、クランピングバーを取り付けるようにすることができる。
【0011】
また、前記クランピングボルトが六角ボルトからなり、該六角ボルトを座部材のボルト挿通孔に挿通した状態で、六角ボルトの回転が規制されるように座部材を形成するようにすることができる。
【0012】
また、前記クランピングバーを固定するフレームに、クランピングボルトを着脱するための点検窓を形成するようにすることができる。
【0013】
また、同じ目的を達成するため、本発明の振動篩装置は、網体のフック部にクランピングバーを係止し、該クランピングバーをクランピングボルトによってフレームに固定するとともに、網体の下面をクッション材を介してフレームに支持して、網体を取り付けるようにした振動篩装置において、前記クッション材に、金属製のライナー部材を装着し、網体とクッション材とが直接接触しない構造としたことを特徴とする。
【0014】
この場合において、前記ライナー部材の断面形状を、中心角が180°以上の円弧形状に形成してなることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の振動篩装置によれば、従来の振動篩装置の有する問題点を解消して、耐久性があり、網体の交換作業を簡単に行うことができる振動篩装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の振動篩装置の一実施例を示す外観図である。
【
図2】同振動篩装置の網体の交換作業時の説明図で、(a)は
図1のA-A断面図、(b)は(a)のB-B断面図である。
【
図3】同振動篩装置のクランピングバーを示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)はクランピングバー本体の展開図、(d)は座部材の第一構成部材の三面図、(e)は座部材の第二構成部材の展開図である。
【
図4】同振動篩装置のクッション材のライナー部材を示し、(a1)及び(a2)は断面図、(b)は斜視図、(c)はクッション材に装着した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の振動篩装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0018】
図1~
図4に、本発明の振動篩装置の一実施例を示す。
この振動篩装置1は、下段の網体2のフック部21にクランピングバー3を係止し、クランピングバー3をクランピングボルト4によってフレーム11に固定するとともに、網体2の下面をクッション材5を介してフレーム12に支持して、網体2を取り付けるようにしたものである。
ここで、振動篩装置1の上段の網体2は、従来の振動篩装置の網体の取り付け構造を用いており、上段の網体2のフック部21にクランピングバー3’を係止し、クランピング
バー3’をクランピングボルト(角根丸頭ボルト)4’によってフレーム11に固定するとともに、網体2の下面をクッション材5を介してフレーム12に支持して、網体2を取り付けるようにしているが、上段の網体2(又は1段の網体や3段以上の網体を備えた振動篩装置の網体)にも、下段の網体2の取り付け構造を用いるようにしたり、上段の網体2に、下段の網体2の取り付け構造を用い、下段の網体2に、従来の振動篩装置の網体の取り付け構造を用いるようにすることもできる。
【0019】
本発明の振動篩装置に係る、下段の網体2の取り付け構造は、クランピングバー3に、クランピングボルト4を着脱するための開口部31を形成するとともに、開口部31の背面側に、開口部31から後退した位置にクランピングボルト4の座面32cを備えた座部材32を配設し、座部材32をクランピングボルト4によってフレーム11に固定することにより、クランピングバー3をフレーム11に固定するようにする。
ここで、クランピングバー3は、鉄やステンレススチール製のもので、耐摩耗性を有する耐摩耗鋼板やステンレススチール製のものを好適に用いることができる。
また、座部材32は、座部材32の周壁部を構成する第一構成部材32aと、クランピングボルト4の座面32c及び底壁部を構成する第二構成部材32bとからなり、溶接により、クランピングバー3と一体化することで、クランピングボルト4の頭が収容される凹部が形成されるようにする。
これにより、クランピングボルト4の頭がクランピングバー3の表面に露出せず、処理物が直接接触することがなく、また、座部材32によって形成されるクランピングボルト4の頭が収容される凹部に入り込んだ処理物(この入り込んだ処理物は容易に除去することができる。)によってクランピングボルト4の頭が保護されることによって、摩耗せず、耐久性を向上することができる。なお、凹部に、凹部を塞ぐ適宜のキャップ部材を設けるようにすることもできる。
【0020】
クランピングバー3の断面形状を、一端側が屈曲したJ字状に形成し、一端側の屈曲部分30bを網体2のフック部21に係止するとともに、直線部分30aが上向きの傾斜面となるように、クランピングバー3を取り付けるようにする。
これにより、クランピングバー3’のような水平となる上面がなく、処理物の滞留を極力減らし、網体2の交換作業時の清掃負担を軽減することができる。
【0021】
クランピングボルト4には、汎用の六角ボルトを用い、六角ボルトを座部材32の座面32cに形成したボルト挿通孔32dに挿通した状態で、六角ボルトの頭の側面が座部材32の底面に接するように座部材32を形成することで、六角ボルトの回転が規制されるようにする。
クランピングボルト4に用いる汎用の六角ボルトは、ボルトの破損や紛失の際の入手性が容易である。また、六角ボルトの回転が規制されることで、振動篩装置1の外側から工具を使用して六角ボルトに螺合するナットの締付が可能となり、網体2の交換作業時の作業負担を軽減することができる。
【0022】
クランピングバー3を固定するフレーム11に、クランピングボルト4を着脱する際に作業員が手を挿入できる点検窓13を形成するようにする。なお、点検窓13は、振動篩装置1の使用時は、蓋部材14で閉鎖するようにする。
これにより、2段以上の網体を備えた振動篩装置の場合、従来は、それより上にある網体2を取り外さなければ下段の網体2の交換作業ができなかったが、点検窓13を形成することにより、上にある網体2を取り外さずに下段の網体2の交換(下段の網体2の出し入れや網体2の緊張作業)を振動篩装置1の外から行うことが可能になり、作業時間の短縮化を図ることができる。
【0023】
クッション材5に、金属製のライナー部材51を装着し、網体2とクッション材5とが
直接接触しない構造とするようにする。
ここで、ライナー部材51は、鉄やステンレススチール製のもので、耐摩耗性を有するステンレススチール製のものを好適に用いることができる。
また、ライナー部材51の断面形状は、ゴム製のクッション材5の変形に対応できる、中心角θが180°(
図4(a2)参照。)又はそれ以上の角度、例えば、120°程度(
図4(a1)参照。)の円弧形状に形成(パイプ部材を割って使用)することが好ましい。
これにより、ライナー部材51の上を網体2を滑らせることができ、網体2の交換時の作業性が向上する。また、ライナー部材51を設けても、ゴム製のクッション材5の変形性は損なわれない構造のため、振動篩装置1の大きな振幅や振動数にも対応でき、かつ、網体2とクッション材5とが直接接触しないことで、ゴム製のクッション材5の摩耗、ヘタリを低減することができる。ライナー部材51の断面形状を、中心角θが180°より大きい円弧形状に形成することにより、ライナー部材51を、接着剤等を使用することなく、クッション材5に嵌め込むようにすることで、組立や分解時の作業を省力化することができる。また、ライナー部材51又はゴム製のクッション材5のみの部品の交換も可能であり、消耗品のコストを低減することができる。
【0024】
以上、本発明の振動篩装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の振動篩装置は、従来の振動篩装置の有する問題点を解消して、耐久性があり、網体の交換作業を簡単に行うことができることから、振動篩装置に、既設、新設を問わず、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 振動篩装置
11 フレーム
12 フレーム
13 点検窓
14 蓋部材
3 クランピングバー
30a 直線部分
30b 屈曲部分
31 開口部
32 座部材
32a 第一構成部材
32b 第二構成部材
32c 座面
32d ボルト挿通孔
3’ クランピングバー
4 クランピングボルト(六角ボルト)
4’ クランピングボルト(角根丸頭ボルト)
5 クッション材
51 ライナー部材