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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167968
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/22 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
D06F58/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084313
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉村 公博
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA24
3B166AB24
3B166AB29
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA82
3B166CA01
3B166CA02
3B166CA03
3B166CA06
3B166CA11
3B166CB11
3B166EA12
3B166EA15
3B166EB03
3B166EB18
3B166GA12
(57)【要約】
【課題】リントフィルタ部材収納部へのリントフィルタ部材の収納状態を確実に維持することができる衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【解決手段】リントフィルタ部材収納部5は、リントフィルタ部材6の着脱方向に沿って設けられた第1壁部51と、第1壁部51に対向する第2壁部52とを備える。第1壁部51は、リントフィルタ部材6の枠部63に設けられた第1被係合部71に係合させる第1係合部81を備える。第2壁部52は、リントフィルタ部材6の枠部63に設けられた第2被係合部72に係合させる第2係合部82を備える。第1係合部81は、第1被係合部71との係脱時に可動する第1係合可動機構812を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収納可能な乾燥室と、前記乾燥室に前記衣類を出し入れする衣類投入口と、開閉可能であり、閉状態で前記衣類投入口を覆う扉体と、リントフィルタ部材と、前記リントフィルタ部材を着脱自在に収容するリントフィルタ部材収納部とを備え、前記リントフィルタ部材は、前記乾燥室内の空気を前記リントフィルタ部材内に取り込む取込口部と、前記乾燥室内の空気に含まれる糸屑等を捕集するフィルタ部と、前記取込口部及び前記フィルタ部を保持する枠部とを備える衣類乾燥機において、
前記リントフィルタ部材収納部は、前記リントフィルタ部材の着脱方向に沿って設けられた第1壁部と、前記第1壁部に対向する第2壁部とを備え、
前記第1壁部は、前記リントフィルタ部材の前記枠部に設けられた第1被係合部に係合させる第1係合部を備え、
前記第2壁部は、前記リントフィルタ部材の前記枠部に設けられた第2被係合部に係合させる第2係合部を備え、
前記第1係合部は、前記第1被係合部との係脱時に可動する第1係合可動機構を備えることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項2】
請求項1記載の衣類乾燥機において、
前記第1係合部は、前記リントフィルタ部材収納部の内方に向かって前記第1壁部から突没自在に設けられて前記第1被係合部に係合可能な形状の第1係合頭部を備え、
前記第1係合可動機構は、前記第1係合頭部を前記第1被係合部に向かって付勢する第1付勢手段を備えることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項3】
請求項2記載の衣類乾燥機において、
前記第2係合部は、前記第2被係合部との係脱時に可動する第2係合可動機構と、前記リントフィルタ部材収納部の内方に向かって前記第2壁部から突没自在に設けられて前記第2被係合部に係合可能な形状の第2係合頭部とを備え、
前記第2係合可動機構は、前記第2係合頭部を前記第2被係合部に向かって付勢する第2付勢手段を備えることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項記載の衣類乾燥機において、
前記リントフィルタ部材の着脱方向は、上下方向であり、
前記リントフィルタ部材をリントフィルタ部材収納部に収納させたとき、前記取込口部は、前記リントフィルタ部材の上部に位置し、
前記フィルタ部は、前記リントフィルタ部材の、前記衣類投入口の衣類の出し入れ方向に交差する面に設けられていることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項5】
請求項1~3の何れか1項記載の衣類乾燥機において、
前記リントフィルタ部材収納部が備える前記第1壁部および第2壁部は、前記衣類投入口の衣類の出し入れ方向に沿って水平に広がる仮想面に対して直交するように設けられていることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項6】
請求項1~3の何れか1項記載の衣類乾燥機において、
前記衣類投入口は円形に開口しており、
前記リントフィルタ部材の前記取込口部が形成されている端面は、前記衣類投入口の内周面に連続し、前記衣類投入口と同心の円形の一部を構成する円弧形状に形成されていることを特徴とする衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類を収納可能な乾燥室と、前記乾燥室に前記衣類を出し入れする衣類投入口と、開閉可能であり、閉状態で前記衣類投入口を覆う扉体とを備える衣類乾燥機においては、リントフィルタ部材によって、乾燥運転中に発生する糸屑等を捕集することが行われている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
リントフィルタ部材は、リントフィルタ部材収納部に着脱自在に収納されている。リントフィルタ部材収納部は、乾燥室から温風を導出するダクトの始端部となる衣類投入口近傍に形成されている。
【0004】
これにより、リントフィルタ部材の取り外し作業が容易に行えるようになっている。即ち、扉体を開くと乾燥室が解放され、同時に、リントフィルタ部材の一部が露出してリントフィルタ部材収納部から容易に取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-177502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような構成の衣類乾燥機は、リントフィルタ部材を着脱可能としたため、衣類の接触などによって、リントフィルタ部材がリントフィルタ部材収納部に確実に取り付けられた状態が維持されないおそれがある。
【0007】
リントフィルタ部材収納部へのリントフィルタ部材の収納状態が不十分である場合には、例えば、リントフィルタ部材とリントフィルタ部材収納部との間に隙間が生じることが考えられ、その隙間から糸屑等がダクト内に侵入してしまうことにより、故障などが発生するおそれがある。
【0008】
上記の点に鑑み、本発明は、リントフィルタ部材収納部へのリントフィルタ部材の収納状態を確実に維持することができる衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、第1発明は、衣類を収納可能な乾燥室と、前記乾燥室に前記衣類を出し入れする衣類投入口と、開閉可能であり、閉状態で前記衣類投入口を覆う扉体と、リントフィルタ部材と、前記リントフィルタ部材を着脱自在に収容するリントフィルタ部材収納部とを備え、前記リントフィルタ部材は、前記乾燥室内の空気を前記リントフィルタ部材内に取り込む取込口部と、前記乾燥室内の空気に含まれる糸屑等を捕集するフィルタ部と、前記取込口部及び前記フィルタ部を保持する枠部とを備える衣類乾燥機において、前記リントフィルタ部材収納部は、前記リントフィルタ部材の着脱方向に沿って設けられた第1壁部と、前記第1壁部に対向する第2壁部とを備え、前記第1壁部は、前記リントフィルタ部材の前記枠部に設けられた第1被係合部に係合させる第1係合部を備え、前記第2壁部は、前記リントフィルタ部材の前記枠部に設けられた第2被係合部に係合させる第2係合部を備え、前記第1係合部は、前記第1被係合部との係脱時に可動する第1係合可動機構を備えることを特徴とする。
【0010】
上記第1発明によれば、第1係合部と第1被係合部との係合、及び第2係合部と第2被係合部との係合によって、リントフィルタ部材がリントフィルタ部材収納部に収納された状態を確実に維持することができる。
【0011】
これによれば、例えば、乾燥室への衣類の出し入れ作業時における衣類の接触、或いは乾燥運転中の振動や空気流等のような外力がリントフィルタ部材に付与されても、リントフィルタ部材収納部からのリントフィルタ部材の外れを防止することができる。
【0012】
そして、リントフィルタ部材収納部からのリントフィルタ部材の外れが防止されることによって、前記乾燥室内の空気に含まれる糸屑等は、確実にリントフィルタ部材の取込口部からリントフィルタ部材の内部に取り込まれる。よって、リントフィルタ部材で捕集されなかった糸屑等がリントフィルタ部材の下流に流れることが抑制でき、これによる故障等の発生を抑制することができる。
【0013】
しかも、第1係合部に第1係合可動機構が設けられていることにより、リントフィルタ部材収納部へのリントフィルタ部材の収納状態を強固に維持しながら、リントフィルタ部材の着脱作業を容易に行うことができる。
【0014】
上記第1発明において、前記第1係合部は、前記リントフィルタ部材収納部の内方に向かって前記第1壁部から突没自在に設けられて前記第1被係合部に係合可能な形状の第1係合頭部を備え、前記第1係合可動機構は、前記第1係合頭部を前記第1被係合部に向かって付勢する第1付勢手段を備えることを特徴とする(第2発明)。
【0015】
第2発明によれば、第1係合可動機構を、第1係合部の第1係合頭部を付勢する第1付勢手段を備えて構成することにより、リントフィルタ部材の着脱作業の容易性を損なうことなく、比較的構造簡単とすることができ、低コスト化を図ることができる。
【0016】
上記第2発明において、前記第2係合部は、前記第2被係合部との係脱時に可動する第2係合可動機構と、前記リントフィルタ部材収納部の内方に向かって前記第2壁部から突没自在に設けられて前記第2被係合部に係合可能な形状の第2係合頭部とを備え、前記第2係合可動機構は、前記第2係合頭部を前記第2被係合部に向かって付勢する第2付勢手段を備えることを特徴とする(第3発明)。
【0017】
第3発明によれば、第1係合部と同様に第2係合部にも第2係合可動機構が設けることにより、コストの増加を抑えて、リントフィルタ部材の着脱作業を一層容易とし、使い勝手を向上させることができる。
【0018】
第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記リントフィルタ部材の着脱方向は、上下方向であり、前記リントフィルタ部材をリントフィルタ部材収納部に収納させたとき、前記取込口部は、前記リントフィルタ部材の上部に位置し、前記フィルタ部は、前記リントフィルタ部材の、前記衣類投入口の衣類の出し入れ方向に交差する面に設けられていることを特徴とする(第4発明)。
【0019】
衣類乾燥機の設置位置は、確保可能なスペースに応じて、床面近くの比較的低い位置や、洗濯機等の上方等の比較的高い位置となる場合がある。
【0020】
第4発明によれば、リントフィルタ部材を上方向に引き上げることによりリントフィルタ部材収納部からリントフィルタ部材を取り外すことができる。従って、衣類乾燥機が床面近くの比較的低い位置や、洗濯機等の上方等の比較的高い位置に設置されていても、リントフィルタ部材の着脱作業を容易に行うことができる。
【0021】
第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記リントフィルタ部材収納部が備える前記第1壁部および第2壁部は、前記衣類投入口の衣類の出し入れ方向に沿って水平に広がる仮想面に対して直交するように設けられていることを特徴とする(第5発明)。
【0022】
第5発明によれば、リントフィルタ部材の取り外し方向が、衣類投入口の衣類の出し入れ方向に沿って水平に広がる仮想面に対して直交する方向となり、衣類投入口によって形成された空間を利用して容易にリントフィルタ部材を取り外すことができる。しかも、衣類投入口の外側に形成される空間にリントフィルタ部材収納部が設けられるので、リントフィルタ部材収納部の内部形状およびリントフィルタ部材の厚みを比較的小さくすることができ、乾燥室の有効奥行き寸法を短縮させずにリントフィルタ部材収納部を設けることができる。
【0023】
第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記衣類投入口は円形に開口しており、前記リントフィルタ部材の前記取込口部が形成されている端面は、前記衣類投入口の内周面に連続し、前記衣類投入口と同心の円形の一部を構成する円弧形状に形成されていることを特徴とする(第6発明)。
【0024】
第6発明によれば、リントフィルタ部材が記衣類投入口に張り出すことなく、衣類投入口の開口形状を広い状態に維持してリントフィルタ部材を設けることができる。よって、リントフィルタ部材が乾燥室への衣類等の出し入れの際に邪魔になることがなく、円滑な衣類等の出し入れ作業を行うことができる。
【0025】
なお、第3~第6発明は、その夫々の構成を矛盾のない範囲で互いに或いは複数組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態の衣類乾燥機の構成を模式的に示す図。
図2】リントフィルタ部材の外観を示す背面側からの斜視図。
図3】リントフィルタ部材の正面図
図4】リントフィルタ部材収納部を側面視した断面説明図。
図5】リントフィルタ部材収納部を正面視した断面説明図。
図6】Aは第1係合部の説明的断面図、Bは第1係合部と第1被係合部との係合状態を示す説明的断面図。
図7】Aは切欠部の形状を示す説明図、Bは切欠部とリントフィルタ部材とを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の衣類乾燥機1は、図1に示すように、本体ケース2と、回転ドラム3とを備えている。
【0028】
本体ケース2は、胴部20と、底部21と、天面部22とからなる箱形状であり、胴部20の前面壁23には、開閉ドア24によって開閉される衣類投入口25が形成されている。本体ケース2の前面壁23は、外側に露出する外面パネル26と、回転ドラム3側に設けられた内面パネル27とを備えている。開閉ドア24は、本発明の扉体に相当する。
【0029】
回転ドラム3は、円筒状に形成されており、本体ケース2の内部に回転自在に収容されている。回転ドラム3は、図示しない駆動装置(モータ)により回転駆動される。駆動装置は、例えば、本体ケース2と回転ドラム3との間の上部角部に収容されている。回転ドラム3は、本発明における乾燥室に相当する。回転ドラム3の回転軸30は、前後方向に延びる姿勢に設けられている。
【0030】
本体ケース2は、開閉ドア24を開くことにより衣類投入口25が開放され、これによって、回転ドラム3の前端が開放される。衣類(タオル、毛布、シーツ等も含む)は、衣類投入口25を介して開放された回転ドラム3の前端から回転ドラム3の内部へ投入される。
【0031】
回転ドラム3の前端は、本体ケース2の開閉ドア24と、開閉ドア24周辺の内面パネル27に対向する。回転ドラム3の背面側には温風入口41が形成されており、本体ケース2の内面パネル27の下方部分(開閉ドア24の下方側に位置する内面パネル27の一部)、及び、衣類投入口25の内周面の一部には、温風出口42が形成されている。
【0032】
なお、温風出口42は、後述するリントフィルタ部材収納部5の一部を構成しており、リントフィルタ部材収納部5に収納された後述するリントフィルタ部材6の一部が露出するようになっている。
【0033】
温風入口41は、回転ドラム3に温風を供給する温風供給路43が連通している。温風供給路43の上流には、本体ケース2の外部から取り入れた空気を加熱して、乾燥空気である温風を生成する図示しない加熱装置が接続されている。加熱装置は、例えば、本体ケース2と回転ドラム3との間の上部角部に収容されている。加熱装置としてガスバーナが採用されるが、電気ヒータを採用してもよい。
【0034】
温風出口42には、リントフィルタ部材収納部5が設けられており、リントフィルタ部材収納部5には、リントフィルタ部材6が取り付けられている。リントフィルタ部材6は、乾燥中に衣類から発生する糸屑等を捕集する。なお、リントフィルタ部材収納部5及びリントフィルタ部材6についての詳しい構成については後述する。
【0035】
温風出口42は、本体ケース2と回転ドラム3との間に形成される間隙内に設けられた排湿路45に連通する。排湿路45の下流端は、本体ケース2の天面部22に形成されたダクト接続口46となっている。ダクト接続口46には、図示しない排気ダクトが接続される。
【0036】
回転ドラム3の背面側に位置する排湿路45内には、ファン47が設けられている。ファン47は、図示しない駆動装置により回転駆動される。ファン47の駆動装置は、回転ドラム3を回転させる駆動装置と兼用されている。
【0037】
ファン47は、その回転により、排気ダクトに向かう気流を発生させる。これにより、温風入口41から回転ドラム3の内部を経て温風出口42へ至る温風の流れが強制的に形成される。
【0038】
回転ドラム3の内周面には、第1リフタ31と第2リフタ32とが設けられている。第1リフタ31と第2リフタ32とは、回転中心に向かって突出しており、回転ドラム3の回転に伴って衣類を攪拌するために設けられている。第1リフタ31は、回転ドラム3の前後方向の中心よりも前方側に設けられ、第2リフタ32は回転ドラム3の前後方向の中心よりも後方側に設けられている。
【0039】
次に、本発明に要旨に係るリントフィルタ部材収納部5及びリントフィルタ部材6の構成について説明する。
【0040】
図2に示すように、リントフィルタ部材6は、取込口部61と、フィルタ部62と、枠部63とを備えている。取込口部61は、リントフィルタ部材6の上部に形成されており、回転ドラム3の内部の空気(温風)をリントフィルタ部材6の内部に取り込むように通気自在に構成されている。
【0041】
なお、符号64は、取っ手である。取っ手64は、図2においては上面の取込口部61に形成された窪み部65に収容されており、リントフィルタ部材収納部5からリントフィルタ部材6を引き上げるときなどに揺動させてることができる略コ字形の部材である。
【0042】
フィルタ部62は、薄手で目の細かい網により形成されており、回転ドラム3の内部から取込口部61を介して取り込まれた空気に含まれる糸屑等を捕集する。枠部63は、フィルタ部62の外周縁を囲い、フィルタ部62を強固に保持している。取込口部61と枠部63とは、合成樹脂により連続して一体に形成されている。
【0043】
取込口部61は、図2に示すように、回転ドラム3の内面に対向して開口された側面開口部611と、上面に形成された上面開口部612とを備えている。側面開口部611を備えることにより、側面開口部611のみである場合に比して、リントフィルタ部材6の内部への空気の取り込み量を大きくすることができ、フィルタ部62の高い捕集性能を確実に発揮させることができる。
【0044】
図3に示すように、リントフィルタ部材6の枠部63の一側上部には、横向きの第1凹部71が形成されており、枠部63の他側上部には、第1凹部71と反対方向に向く第2凹部72が形成されている。第1凹部71は本発明の第1被係合部に相当し、第2凹部72は本発明の第2被係合部に相当する。
【0045】
リントフィルタ部材収納部5は、図4に示すように、本体ケース2の前面壁23を構成する外面パネル26と内面パネル27との間に形成されている。そして、リントフィルタ部材収納部5には、リントフィルタ部材6を収納したとき、フィルタ部62が前後方向を向く姿勢に(即ち、衣類投入口25の衣類の出し入れ方向に交差する面に)設けられている。
【0046】
また、リントフィルタ部材収納部5は、図5に示すように、第1壁部51と第2壁部52とを備えている。第1壁部51と第2壁部52とは、互いに対向して平行に形成されている。そして、衣類投入口25の衣類の出し入れ方向に沿って水平に広がる面を仮想面(図示せず)としたとき、第1壁部51と第2壁部52とは、仮想面に対して直交する上方向に延びる。
【0047】
これにより、リントフィルタ部材6の枠部63の両側部(第1凹部71が設けられている側と第2凹部72が設けられている側)が第1壁部51と第2壁部52に沿って上下方向に案内され、衣類投入口25の内方空間を利用して取り付け・取り外しを行うことができる。即ち、リントフィルタ部材6は、衣類投入口25の内方からリントフィルタ部材収納部5へ取り付けられ、リントフィルタ部材収納部5から衣類投入口25の内方へ取り外される。
【0048】
第1壁部51には、リントフィルタ部材6の第1凹部71と係合する第1係合部81が設けられており、第2壁部52には、リントフィルタ部材6の第2凹部72と係合する第2係合部82が設けられている。
【0049】
第1係合部81は、図6Aに示すように、リントフィルタ部材6の第1凹部71の形状に対応する第1凸部811と、第1ばね部材812と、第1ばね部材812を収容し第1凸部811を突没方向に可動自在に保持する第1保持部813とを備えている。第1ばね部材812は、第1保持部813の内部で第1凸部811を突出方向(第1凹部71に係合する方向)に付勢する。
【0050】
図6Bに示すように、第1凸部811が弾発的に第1凹部71と係合することにより、リントフィルタ部材収納部5へのリントフィルタ部材6の収納状態が強固に維持される。また、リントフィルタ部材収納部5からリントフィルタ部材6を取り外すときには、第1ばね部材812の付勢力に抗して第1凸部811と第1凹部71との係合を容易に解除することができる。
【0051】
図6A及び図6Bに示すように、第1凸部811は、第1凹部71に対応する形状であるが、本実施形態においては、第1凸部811の頂部が横向きの三角形状であることにより、第1凹部71への係合及び解除が円滑に行えるようになっている。
【0052】
第1凸部811は本発明の第1係合頭部に相当し、第1ばね部材812は、本発明の第1係合可動機構を構成する第1付勢手段に相当する。
【0053】
第1ばね部材812は、第1付勢手段として採用したが、ばねに換えて圧縮ゴムや合成樹脂による弾性部材等を採用してもよい。また、本発明の第1係合可動機構においては、第1ばね部材812に替えて、図示しないが、手動によって第1凸部811を突没させるように構成してもよい。また、本実施形態においては、第1凸部811の形状を三角形状としたが、半円形状でもよく、或いは、第1係合部81としてボールプランジャを採用してもよい。
【0054】
その他、第1係合部の変形例として、図示しないが、第1凸部を上下方向に揺動自在に設け、第1係合可動機構として第1凸部を下方への揺動方向に付勢する付勢手段(ばね等)を設け、第1凸部が付勢手段に抗して上動させたとき第1凹部との係合が解除されるように構成してもよい。
【0055】
第2係合部82は、図示しないが、第2係合可動機構を備えている。第2係合可動機構は、上記の第1係合可動機構と同じ構成であるため、その説明を省略する。なお、第1係合部81の第1係合可動機構と第2係合部82の第2係合可動機構とは異なる構成を採用してもよい。或いは、第2係合部82として固定した第2凸部を設け、第2凸部をリントフィルタ部材6の第2凹部に対応する形状として、第2係合可動機構を設けなくてもよい。
【0056】
また、リントフィルタ部材6の上部(取込口部61が形成されている部分)は、円弧形状に形成されている。即ち、リントフィルタ部材6の取込口部61が形成されている端面(上面開口部612が形成されている上部面)は、リントフィルタ部材収納部5に収納したとき、衣類投入口25の内周面に連続し、衣類投入口25と同一の円形(同心の円形)の一部を構成する。
【0057】
よって、衣類投入口25の開口形状は円形のまま、十分な開口面積が維持され、衣類投入口25における衣類の投入がリントフィルタ部材6によって妨げられることがない。
【0058】
また、リントフィルタ部材収納部5には、図7Aに示すように、内面パネル27側に円弧状の切欠部28が形成されている。この切欠部28は、図7Bに示すように、リントフィルタ部材6の取込口部61を構成する側面開口部611の形状に対応しており、側面開口部611が回転ドラム3の内部側に露出するようになっている。
【0059】
これにより、取込口部61からの空気(温風)の取り込み量を多くすることができ、リントフィルタ部材6を通過する空気の抵抗を比較的小さくすることができる。
【0060】
なお、本実施形態においては、乾燥室として回転ドラム3を備えるものを挙げたが、これに限るものではなく、図示しないが、回転しない空間を乾燥室として備えるものであってもよい。
【0061】
また、図示しないが、リントフィルタ部材収納部5リントフィルタ部材6は、本実施形態で示した位置に限ることなく、乾燥室(回転ドラム3)の外側で温風の流通部分であれば設けることができる。その一例として、図示しないが、温風が扉体(開閉ドア24)の内部を通過するものにあっては、リントフィルタ部材収納部とリントフィルタ部材とを扉体(開閉ドア24)の内側に設けることができる。
【符号の説明】
【0062】
1…衣類乾燥機、3…回転ドラム(乾燥室)、24…開閉ドア(扉体)、25…衣類投入口、5…リントフィルタ部材収納部、51…第1壁部、52…第2壁部、6…リントフィルタ部材、61…取込口部、62…フィルタ部、63…枠部、71…第1凹部(第1被係合部)、72…第2凹部(第2被係合部)、81…第1係合部、811…第1凸部(第1係合頭部)、812…第1ばね部材(第1付勢手段)、82…第2係合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7