IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-画像形成装置 図1
  • 特開-画像形成装置 図2
  • 特開-画像形成装置 図3
  • 特開-画像形成装置 図4
  • 特開-画像形成装置 図5
  • 特開-画像形成装置 図6
  • 特開-画像形成装置 図7
  • 特開-画像形成装置 図8
  • 特開-画像形成装置 図9
  • 特開-画像形成装置 図10
  • 特開-画像形成装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167973
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20241128BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G03G15/20 505
G03G21/16 185
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084322
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富安 昌伸
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
【Fターム(参考)】
2H033AA42
2H033BA11
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA31
2H033BB01
2H033BB28
2H033CA07
2H171FA19
2H171FA26
2H171GA23
2H171JA12
2H171KA27
2H171QC36
2H171QC40
2H171UA02
(57)【要約】
【課題】通常の固定に用いられる構造を備えつつ、過度に強度を必要とせずにユーザが高温状態の部分に接触することを防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、熱源を含む熱ユニットとしての定着部54と、本体80とを備え、前記熱ユニットおよび本体80のうち少なくともいずれかは、前記熱ユニットを本体80に設置した状態で固定するセット部10と、熱の影響で変形することによって、外部からセット部10へのアクセスを妨げるアクセス抑制部30とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源を含む熱ユニットと、
本体とを備え、
前記熱ユニットおよび前記本体のうち少なくともいずれかは、
前記熱ユニットを前記本体に設置した状態で固定するセット部と、
熱の影響で変形することによって、外部から前記セット部へのアクセスを妨げるアクセス抑制部とを含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記熱ユニットは、定着部である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記アクセス抑制部は、温度によって形状を変化しうる形状記憶部と、
前記形状記憶部の形状変化によって変位するように配置されたシャッタとを備える、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記形状記憶部は、前記シャッタと連結されており、
前記アクセス抑制部は、前記シャッタが前記セット部を隠していない第1状態と、高温状態で前記形状記憶部が伸長することによって前記シャッタが前記セット部を隠している第2状態とをとりうる、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記形状記憶部は、形状記憶合金を含む、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記形状記憶部は、気体の体積変化によって形状を変化させる装置である、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記形状記憶部は、熱受取り部と、管状部材と、シリンダ部とを含み、前記シャッタは前記シリンダ部に接続されており、前記熱受取り部と前記シリンダ部とは、前記管状部材によって連結されている、請求項6に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
定着部を備える画像形成装置が知られている。着脱可能な定着部を備える画像形成装置が知られている。定着部としては、記録材の表面に転写した画像を加熱により定着するものが広く用いられている。定着部は、画像の定着に必要な高温状態になりうる。高温状態になっている定着部にユーザが接触すると危険である。
【0003】
そこで、ユーザの安全性を確保するための構成が、特開2011-27890号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1では、画像形成装置本体に対して定着装置を設置した状態でロックするためのロック装置が記載されている。ロック装置は、形状記憶合金からなる駆動部材を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-27890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたロック装置を用いれば、高温状態にあるときには定着装置が画像形成装置本体に対してロックされる。しかし、高温状態ではないときには、定着装置が画像形成装置本体に対してロックされていない。したがって、画像形成装置の輸送時には別途固定具が必要となる。
【0006】
また、形状記憶合金からなる駆動部材による固定を採用するとしても、定着装置が高温状態にあるときにユーザが誤って定着装置を取り外そうとしたときにこの取外し行為を阻止できるためには、形状記憶合金からなる駆動部材には、ユーザの操作力に耐えうる程度の強度が必要となる。したがって、画像形成装置全体のコストアップとなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、通常の固定に用いられる構造を備えつつ、過度に強度を必要とせずにユーザが高温状態の部分に接触することを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に基づく画像形成装置は、熱源を含む熱ユニットと、本体とを備え、上記熱ユニットおよび上記本体のうち少なくともいずれかは、上記熱ユニットを上記本体に設置した状態で固定するセット部と、熱の影響で変形することによって、外部から上記セット部へのアクセスを妨げるアクセス抑制部とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置はアクセス抑制部を備えており、アクセス抑制部は、熱の影響で変形することによって、外部からセット部へのアクセスを妨げることができるので、通常の固定に用いられる構造を備えつつ、過度に強度を必要とせずにユーザが高温状態の部分に接触することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に基づく実施の形態1における画像形成装置の概念図である。
図2】本発明に基づく実施の形態1における画像形成装置の常温状態での部分拡大図である。
図3】本発明に基づく実施の形態1における画像形成装置の高温状態での部分拡大図である。
図4】本発明に基づく実施の形態2における画像形成装置の常温状態での部分拡大図である。
図5】本発明に基づく実施の形態2における画像形成装置の高温状態での部分拡大図である。
図6】本発明に基づく実施の形態3における画像形成装置の常温状態での部分拡大図である。
図7】本発明に基づく実施の形態3における画像形成装置の高温状態での部分拡大図である。
図8】本発明に基づく実施の形態4における画像形成装置の常温状態での部分拡大図である。
図9】本発明に基づく実施の形態4における画像形成装置の高温状態での部分拡大図である。
図10】本発明に基づく実施の形態5における画像形成装置の常温状態での部分拡大図である。
図11】本発明に基づく実施の形態5における画像形成装置の高温状態での部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
(構成)
図1図3を参照して、本発明に基づく実施の形態1における画像形成装置について説明する。
【0012】
まず、画像形成装置501の一例の概念図を図1に示す。画像形成装置501は、スキャナ51と、操作パネル52と、画像形成部53と、定着部54と、給紙トレイ55と、制御部56を備える。給紙トレイ55から画像形成部53を経由し、さらに定着部54を経由するように、画像形成装置501の内部では、搬送路57が形成されている。記録材は、給紙トレイ55から供給され、搬送路57に沿って搬送されていく。画像形成部53において記録材の表面に画像が転写され、定着部4において高温処理されることによって、画像は記録材に定着する。定着部54は高温状態を実現するためにヒータを含む。定着部54は、メンテナンスの一環として交換される場合がある。交換作業に対応できるように、定着部54は、他の部分に対して着脱可能となっている。以下では、他の部分を「本体」と呼ぶ。定着部54は本体に対して着脱可能となっている。
【0013】
画像形成装置501は、熱源を含む熱ユニットと、本体80とを備える。前記熱ユニットおよび本体80のうち少なくともいずれかは、前記熱ユニットを本体80に設置した状態で固定するセット部10と、熱の影響で変形することによって、外部からセット部10へのアクセスを妨げるアクセス抑制部30とを含む。ここで示す例では、前記熱ユニットは、定着部54である。
【0014】
定着部54の一部およびその近傍を拡大したところを図2に示す。図2では、定着部54およびその近傍が常温であるときの様子が示されている。図2に示されるように、定着部54は、加圧ローラ21と、加熱ローラ22と、フレーム23とを含む。加圧ローラ21および加熱ローラ22は、互いに当接する状態で、フレーム23によって保持されている。
【0015】
定着部54は、筐体12を含む。アクセス抑制部30、加圧ローラ21、加圧ローラ21、およびフレーム23は、筐体12によって覆い隠されている。筐体12は開口部12aを有する。
【0016】
セット部10は、たとえばボルトである。セット部10は、通常の固定に用いられる構造である。熱ユニットである定着部54は、本体80に設置されている。定着部54は、本体80に設置された状態で、セット部10によって固定されている。セット部10は、開口部12aを通じて外部からアクセス可能な位置にある。すなわち、開口部12aを通じて、ユーザが手または何らかの器具を挿入することによって、セット部10を操作することが可能となっている。セット部10がボルトである場合には、開口部12aを通じてアクセスすることによって、このボルトを締めたり緩めたりする操作が可能である。開口部12aは、そのような操作をすることが可能な程度の大きさを有する。あるいは、セット部10は、ユーザが手で回転させることができるレバーを含む部品であってもよい。この場合、たとえばレバーを回転することによって熱ユニットの本体80に対する接続状態をロックしたり解除したりすることができる構造のものが想定される。
【0017】
アクセス抑制部30は、形状記憶部31と、シャッタ32と、圧縮コイルばね33とを含む。形状記憶部31は、温度によって形状を変化しうる部分である。形状記憶部31の温度による形状変化は可逆的な変化である。ここで示す例では、形状記憶部31は、形状記憶合金によって形成されたばね(以下、「形状記憶合金ばね」という。)である。シャッタ32は、形状記憶部31の形状変化によって変位するように配置されている。より具体的には、形状記憶部31と圧縮コイルばね33との境目にシャッタ32が接続されている。ここで示す例では、形状記憶部31として形状記憶合金ばねが用いられているが、図2に示された状態では、形状記憶部31としての形状記憶合金ばねは、マルテンサイト相となっている。この状態では、形状記憶部31は短くなっており、圧縮コイルばね33が長くなっている。
【0018】
定着部54およびその近傍が高温となったときの様子を、図3に示す。ここでいう「高温」とは、定着部54が動作する際に生じる程度の高温を意味する。以下の実施の形態においても「高温」といった場合には同様である。図3に示された状態では、形状記憶部31としての形状記憶合金ばねは、オーステナイト相となっている。この状態では、形状記憶部31は長くなっており、圧縮コイルばね33が短くなっている。これに伴い、シャッタ32の位置が、図2に示された状態に比べて図中右側に変位しており、シャッタ32の一部が開口部12aのすぐ内側に位置する状態となっている。この状態では、外部から開口部12aを通じてセット部10へアクセスすることは不可能となっている。すなわち、図3に示された状態では、アクセス抑制部30によって、外部からセット部10へのアクセスは妨げられている。
【0019】
(作用・効果)
本実施の形態では、通常の固定を行なうセット部10を備えつつ、外部からセット部10へのアクセスを妨げるアクセス抑制部30を備えており、アクセス抑制部30は、熱の影響で変形することによって、外部からセット部10へのアクセスを妨げることができる。したがって、本実施の形態における画像形成装置501では、通常の固定に用いられる構造を備えつつ、過度に強度を必要とせずにユーザが高温状態の部分に接触することを防止することができる。
【0020】
本実施の形態で示したように、前記熱ユニットは、定着部54であることが好ましい。ただし、これは一例である。熱ユニットは定着部54とは限らず、他のものであってもよい。熱ユニットが定着部54である場合には、定着部54は交換が必要になる場合もあるので、交換作業の際に、ユーザが誤って高温状態のまま定着部54を取り外してしまうことを避けることができる。こうして、ユーザが高温状態の定着部54に触れてしまうリスクを回避することができる。
【0021】
本実施の形態で示したように、アクセス抑制部30は、温度によって形状を変化しうる形状記憶部31と、形状記憶部31の形状変化によって変位するように配置されたシャッタ32とを備えることが好ましい。ただし、これは一例である。アクセス抑制部30がこのような構成であることにより、温度変化によってシャッタ32を変位させることが可能となるので、少ない部品点数であっても、シャッタ32を変位させることができる構成を実現することができる。
【0022】
本実施の形態で示したように、形状記憶部31は、シャッタ32と連結されており、アクセス抑制部30は、シャッタ32がセット部10を隠していない第1状態と、高温状態で形状記憶部31が伸長することによってシャッタ32がセット部10を隠している第2状態とをとりうることが好ましい。この構成を採用することにより、外部からセット部10へのアクセスをシャッタ32によって妨げることが可能となる。図2は第1状態を示しており、図3は第2状態を示している。
【0023】
本実施の形態で示したように、形状記憶部31は、形状記憶合金を含むことが好ましい。この構成を採用することにより、簡単な構造で、温度による形状変化を実現することができる。
【0024】
(実施の形態2)
(構成)
図4図5を参照して、本発明に基づく実施の形態2における画像形成装置について説明する。本実施の形態における画像形成装置の定着部54の一部およびその近傍を拡大したところを図4に示す。図4では、定着部54およびその近傍が常温であるときの様子が示されている。
【0025】
ここで示す例では、前記熱ユニットおよび本体80のうち少なくともいずれかは、前記熱ユニットを本体80に設置した状態で固定するセット部10と、熱の影響で変形することによって、外部からセット部10へのアクセスを妨げるアクセス抑制部30iとを含む。実施の形態1と共通する部分については、説明を繰り返さない。
【0026】
アクセス抑制部30iは、形状記憶部31iと、シャッタ32と、圧縮コイルばね33とを含む。形状記憶部31iは、温度によって形状を変化しうる部分である。ここで示す例では、形状記憶部31iは、エアシリンダである。すなわち、本実施の形態においては、形状記憶部31iは、気体の体積変化によって形状を変化させる装置である。すなわち、シャッタ32は、形状記憶部31iの形状変化によって変位するように配置されている。ここでいう形状記憶部31iの形状変化とは、形状記憶部31iの長さの変化である。
【0027】
定着部54およびその近傍が高温となったときの様子を、図5に示す。高温状態においては、形状記憶部31iとしてのエアシリンダは、内部の空気の熱膨張により伸長する。形状記憶部31iの伸長によりシャッタ32は図中右側に変位しており、シャッタ32の一部が開口部12aのすぐ内側に位置する状態となっている。したがって、図5に示された状態では、アクセス抑制部30iによって、外部からセット部10へのアクセスは妨げられている。
【0028】
(作用・効果)
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0029】
(実施の形態3)
(構成)
図6図7を参照して、本発明に基づく実施の形態3における画像形成装置について説明する。本実施の形態における画像形成装置の定着部54の一部およびその近傍を拡大したところを図6に示す。図6では、定着部54およびその近傍が常温であるときの様子が示されている。
【0030】
定着部54の一部である筐体12は、持ち手部12cを含む。筐体12は開口部12aを有する。筐体12は、開口部12aの奥に空間12bを有する。アクセス抑制部30に含まれる形状記憶部31の構成は、実施の形態1で述べたものと同様である。説明の便宜のために、図6および図7では形状記憶部31および圧縮コイルばね33が長方形で模式的に表示されている。
【0031】
本実施の形態では、セット部は、熱ユニットが本体80に設置された状態で、熱ユニットを本体80に対して固定するための公知技術による構造である。図6では、セット部の全貌は図示されていない。セット部はボルトを含んでいてもよい。セット部はボルト以外の構造によるものであってもよい。セット部による固定を解除するためには、持ち手部12cを引き上げることが必要である。持ち手部12cを引き上げるためには、図6に示すように、ユーザが指15を開口部12aから空間12bに一旦挿入することが想定される。ユーザは、指15によって空間12bの内部から持ち手部12cに引っ掛けて、筐体12を持ち上げる。筐体12が持ち上げられることによって、定着部54全体が本体80から離れて持ち上げられる。
【0032】
定着部54およびその近傍が高温となったときの様子を、図7に示す。この状態では、形状記憶部31が伸長することによって、シャッタ32が図中右側に変位し、ユーザは、開口部12aから指15を挿入できない状態となっている。シャッタ32があることによって、指15は、空間12bに挿入することができない。空間12bはシャッタ32によってほぼ閉鎖された状態にある。このような状態になっていることによって、ユーザは、セット部による固定を解除することができなくなっている。
【0033】
(作用・効果)
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0034】
なお、本実施の形態では、アクセス抑制部30に含まれる形状記憶部31の構成は、実施の形態1で述べたものと同様であるものとしたが、アクセス抑制部30に含まれるものは、実施の形態2で述べた形状記憶部31iであってもよい。すなわち、形状記憶合金ばねの代わりにエアシリンダが用いられていてもよい。
【0035】
(実施の形態4)
(構成)
図8図9を参照して、本発明に基づく実施の形態4における画像形成装置について説明する。本実施の形態における画像形成装置の定着部の一部を拡大したところを図8に示す。図8では、定着部の全体は示されておらず、形状記憶部31jおよびシャッタ32のみが示されている。図示されていない部分の構成は、これまでの実施の形態で示したものと同様である。図8では、定着部が常温であるときの様子が示されている。形状記憶部31jは、気体密封領域35と、スライドロッド36と、筒状部38とを備える。筒状部38は、エア流路37を有する。スライドロッド36の一部は、筒状部38の内部に配置されている。スライドロッド36は、筒状部38に沿ってスライドすることができる。図8に示された状態では、気体密封領域35には気体が密封されている。この気体が膨張することによってスライドロッド36が押される。この気体が収縮すれば、スライドロッド36は引っ張られる。エア流路37は、筒状部38に設けられた開口部であり、筒状部38の内部と外部とを連通させる。図8および図9では、エア流路37は、筒状部38の外周面に設けられているものとして表示されているが、これはあくまで一例であって、エア流路37は筒状部38の端面に設けられていてもよい。
【0036】
定着部が高温となったときの様子を、図9に示す。このように高温の状態では、気体密封領域35にある気体が膨張し、気体密封領域35からはみ出すことによってスライドロッド36を図中右側に変位させている。スライドロッド36の変位に伴い、シャッタ32も図中右側に変位している。ストローク領域38nの容積は、気体が膨張したことによる気体の体積の増加分に相当する。気体密封領域35の容積と、ストローク領域38nの容積との比率を適宜設定することによって、シャッタ32の移動距離を所望の長さに設定することができる。
【0037】
(作用・効果)
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、シャッタ32の移動距離を所望の長さに設定することが容易となる。
【0038】
(実施の形態5)
(構成)
図10図11を参照して、本発明に基づく実施の形態5における画像形成装置について説明する。本実施の形態における画像形成装置の定着部の一部を拡大したところを図10に示す。図10では、定着部の全体は示されておらず、形状記憶部31kおよびシャッタ32のみが示されている。図示されていない部分の構成は、これまでの実施の形態で示したものと同様である。図10では、定着部が常温であるときの様子が示されている。
【0039】
形状記憶部31kは、熱受取り部としての気体密封領域35と、管状部材40と、シリンダ部とを含む。シリンダ部は、筒状部38およびスライドロッド36を含む。シャッタ32はシリンダ部に接続されている。熱受取り部とシリンダ部とは、管状部材40によって連結されている。管状部材40は、固い部材で形成されていてもフレキシブルな部材で形成されていてもよい。管状部材40は、直線状とは限らず、所望の形状に曲がった状態で形成されていてもよい。スライドロッド36は、筒状部38に沿って往復運動をすることができる。
【0040】
定着部が高温となったときの様子を、図11に示す。このように高温の状態では、熱受取り部としての気体密封領域35が高温にさらされ、その結果、気体密封領域35の内部の気体が高温となって熱膨張する。気体密封領域35と筒状部38とは、管状部材40によってつながっているので、熱膨張による気体の体積増加分は、筒状部38に表われる。すなわち、気体の体積増加分により、ストローク領域38nが生じる。したがって、スライドロッド36が図中右側に押される。これに伴い、シャッタ32は図中右側に変位する。
【0041】
(作用・効果)
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、熱受取り部とシリンダ部との間に管状部材40が介在していることにより、熱受取り部とシリンダ部と間の距離が離れている場合にも対応が容易となる。管状部材40は、所望の形状に曲がった状態で形成されていてもよく、フレキシブルな部材で形成されていてもよいので、熱受取り部とシリンダ部と間の位置関係に応じて所望の形状に設計することができる。熱受取り部およびシリンダ部の配置の自由度が高まる。シリンダ部はシャッタ32の位置に合うように配置することができ、熱受取り部は、最も熱を受け取りやすい場所を選んで配置することができる。
【0042】
なお、上記実施の形態のうち複数を適宜組み合わせて採用してもよい。
【0043】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0044】
(付記1)
熱源を含む熱ユニットと、
本体とを備え、
前記熱ユニットおよび前記本体のうち少なくともいずれかは、
前記熱ユニットを前記本体に設置した状態で固定するセット部と、
熱の影響で変形することによって、外部から前記セット部へのアクセスを妨げるアクセス抑制部とを含む、画像形成装置。
【0045】
(付記2)
前記熱ユニットは、定着部である、付記1に記載の画像形成装置。
【0046】
(付記3)
前記アクセス抑制部は、温度によって形状を変化しうる形状記憶部と、
前記形状記憶部の形状変化によって変位するように配置されたシャッタとを備える、付記1または2に記載の画像形成装置。
【0047】
(付記4)
前記形状記憶部は、前記シャッタと連結されており、
前記アクセス抑制部は、前記シャッタが前記セット部を隠していない第1状態と、高温状態で前記形状記憶部が伸長することによって前記シャッタが前記セット部を隠している第2状態とをとりうる、付記3に記載の画像形成装置。
【0048】
(付記5)
前記形状記憶部は、形状記憶合金を含む、付記3または4に記載の画像形成装置。
【0049】
(付記6)
前記形状記憶部は、気体の体積変化によって形状を変化させる装置である、付記3または4に記載の画像形成装置。
【0050】
(付記7)
前記形状記憶部は、熱受取り部と、管状部材と、シリンダ部とを含み、前記シャッタは前記シリンダ部に接続されており、前記熱受取り部と前記シリンダ部とは、前記管状部材によって連結されている、付記6に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0051】
10 セット部、12 筐体、12a 開口部、12b 空間、12c 持ち手部、15 指、21 (定着部の)加圧ローラ、22 (定着部の)加熱ローラ、23 (定着部の)フレーム、30,30i アクセス抑制部、31,31i,31j,31k 形状記憶部、32 シャッタ、33 圧縮コイルばね、35 気体密封領域、36 スライドロッド、37 エア流路、38 筒状部、38n ストローク領域、40 管状部材、51 スキャナ、52 操作パネル、53 画像形成部、54 定着部、55 給紙トレイ、56 制御部、57 搬送路、80 本体、501 画像形成装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11