(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167980
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】地中埋設型シェルター
(51)【国際特許分類】
E04H 9/14 20060101AFI20241128BHJP
E04H 1/00 20060101ALI20241128BHJP
E02D 29/05 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
E04H9/14 K
E04H9/14 Z
E04H1/00
E02D29/05 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084332
(22)【出願日】2023-05-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000229667
【氏名又は名称】日本ヒューム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】井川 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 貴信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘輔
【テーマコード(参考)】
2D147
2E139
【Fターム(参考)】
2D147AB01
2E139AA07
2E139AA23
2E139AB24
2E139AC19
2E139AC28
2E139AC65
(57)【要約】
【課題】容易に構築することが可能な、鉛直方向に長い大型の地中埋設型シェルターを得る。
【解決手段】シェルター1は、同様の構造をもつ居住部10と貯蔵部20を具備し、両者は管状の連結部15で連結されている。居住部10、貯蔵部20は、共に図中12個のコンクリート製のプレキャストブロック(プレキャストブロック30A~30L、40A~40L)が積層されて地盤G中に圧入されて構成されている。個々のプレキャストブロックは、中空の円筒形状とされ、この円筒形状の中心軸が
図1の中心軸X1、X2をそれぞれ構成するように積層される。中心軸X1、X2は共に鉛直方向とされる。プレキャストブロック30A~30Lの内径及び外形、40A~40Lの内径及び外形はそれぞれにおいて等しく設定され、居住部10、貯蔵部20の内部は鉛直方向で細長い空間とされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下に設置される地中埋設型シェルターであって、
避難民が居住する居住部と、前記避難民の生活に必要な物資を貯蔵する貯蔵部と、前記居住部と前記貯蔵部とを連結する連結部、とを地中に具備し、
前記居住部、前記貯蔵部の各々は、地中において、コンクリートで構成された複数の筒状のプレキャストブロックが前記筒状の中心軸を鉛直方向として積層された積層構造を有することを特徴とする地中埋設型シェルター。
【請求項2】
前記居住部を構成する複数の前記プレキャストブロックの各々は共通の形状を具備すると共に、前記貯蔵部を構成する複数の前記プレキャストブロックの各々は共通の形状を具備することを特徴とする請求項1に記載の地中埋設型シェルター。
【請求項3】
前記プレキャストブロックは重量コンクリートで構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の地中埋設型シェルター。
【請求項4】
前記プレキャストブロックが前記中心軸からみた径方向に沿った切断線で均等に分割されて共通の形状とされた複数の分割ブロックが前記プレキャストブロックの構成要素として用いられ、
複数の前記分割ブロックの全てが連結して固定されたことによって前記プレキャストブロックの各々が構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の地中埋設型シェルター。
【請求項5】
前記プレキャストブロックは、筒状の形状における内面側、外面側の少なくとも一方に装着された連結具を用いて複数の前記分割ブロックが連結されて構成されたことを特徴とする請求項4に記載の地中埋設型シェルター。
【請求項6】
前記居住部、前記貯蔵部の少なくともいずれかにおいて、
前記積層構造中に、下側において第1の前記プレキャストブロックが複数積層された第1の積層構造と、上側において第2の前記プレキャストブロックが複数積層された第2の積層構造と、が設けられ、
前記第1の前記プレキャストブロックは、当該プレキャストブロックが第1の分割数で分割された前記分割ブロックが組み合わされて構成され、前記第2の前記プレキャストブロックは、当該プレキャストブロックが第2の分割数で分割された前記分割ブロックが組み合わされて構成され、
前記第2の前記プレキャストブロックは重量コンクリートで構成され、前記第1の前記プレキャストブロックは前記重量コンクリートよりも軽量のコンクリートで構成されると共に、前記第2の分割数は前記第1の分割数よりも大きくされたことを特徴とする請求項5に記載の地中埋設型シェルター。
【請求項7】
前記プレキャストブロックにおいて隣接する前記分割ブロックの境界となる接合部は、前記積層構造における積層方向で隣接する2つの前記プレキャストブロックの間で周方向において離間するように配置されたことを特徴とする請求項6に記載の地中埋設型シェルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難用に地中に設けられる建築物である地中埋設型シェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
津波等の自然災害や核兵器等による放射線被曝被害を防ぐために各種の構造のシェルターが提案されている。このうち、放射線の遮蔽という観点からは、このようなシェルターを地下に設けることが有効である。また、一般的に建築物を構成する材料として用いられるコンクリートは、建築物として要求される機械的強度を有すると共に、中性子に対して一定の遮蔽能力もあるため、シェルターを構成する主材料としても好ましい。このような構造のシェルターは、例えば特許文献1、2等に記載されている。更に、特許文献3に記載されるように、放射線遮蔽用のコンクリートとして、γ線等の遮蔽能力を高めた重量コンクリートも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-346478号公報
【特許文献2】特開2007-297898号公報
【特許文献3】特開2014-231450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなシェルターの態様として、個人が自身の住宅に付随して設ける比較的小型のものと、公共の設備としてより多くの人数を収容可能な大型のものの2種類があり、どちらにおいても、これを容易に構築できることが要求される。これに対して、特許文献1、2に記載のシェルターは複雑な構造を有するため、これを地中に構築することは容易ではなかった。
【0005】
特に、大人数を収容できる大型のシェルターを地下に設ける際に、占有面積の制限がある場合には、これを鉛直方向に長く(深く)形成することが要求される。この観点からも、複雑な構造のシェルターを地中に構築することは容易ではなかった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、地下に設置される地中埋設型シェルターであって、避難民が居住する居住部と、前記避難民の生活に必要な物資を貯蔵する貯蔵部と、前記居住部と前記貯蔵部とを連結する連結部、とを地中に具備し、前記居住部、前記貯蔵部の各々は、地中において、コンクリートで構成された複数の筒状のプレキャストブロックが前記筒状の中心軸を鉛直方向として積層された積層構造を有することを特徴とする。
本発明は、前記居住部を構成する複数の前記プレキャストブロックの各々は共通の形状を具備すると共に、前記貯蔵部を構成する複数の前記プレキャストブロックの各々は共通の形状を具備することを特徴とする。
本発明において、前記プレキャストブロックは重量コンクリートで構成されたことを特徴とする。
本発明において、前記プレキャストブロックが前記中心軸からみた径方向に沿った切断線で均等に分割されて共通の形状とされた複数の分割ブロックが前記プレキャストブロックの構成要素として用いられ、複数の前記分割ブロックの全てが連結して固定されたことによって前記プレキャストブロックの各々が構成されたことを特徴とする。
本発明において、前記プレキャストブロックは、筒状の形状における内面側、外面側の少なくとも一方に装着された連結具を用いて複数の前記分割ブロックが連結されて構成されたことを特徴とする。
本発明は、前記居住部、前記貯蔵部の少なくともいずれかにおいて、前記積層構造中に、下側において第1の前記プレキャストブロックが複数積層された第1の積層構造と、上側において第2の前記プレキャストブロックが複数積層された第2の積層構造と、が設けられ、前記第1の前記プレキャストブロックは、当該プレキャストブロックが第1の分割数で分割された前記分割ブロックが組み合わされて構成され、前記第2の前記プレキャストブロックは、当該プレキャストブロックが第2の分割数で分割された前記分割ブロックが組み合わされて構成され、前記第2の前記プレキャストブロックは重量コンクリートで構成され、前記第1の前記プレキャストブロックは前記重量コンクリートよりも軽量のコンクリートで構成されると共に、前記第2の分割数は前記第1の分割数よりも大きくされたことを特徴とする。
本発明において、前記プレキャストブロックにおいて隣接する前記分割ブロックの境界となる接合部は、前記積層構造における積層方向で隣接する2つの前記プレキャストブロックの間で周方向において離間するように配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容易に構築することが可能な、鉛直方向に長い大型の地中埋設型シェルターを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る地中埋設型シェルターの模式的な断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る地中埋設型シェルターにおいて、2分割とされた分割ブロックが用いられるプレキャストブロックの斜視図(a)、分解斜視図(b)である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る地中埋設型シェルターにおいて用いられるプレキャストブロックにおける連結部分の構造を示す平面図(a)、断面図(b)である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る地中埋設型シェルターにおいて、2分割とされた分割ブロックが用いられるプレキャストブロック変形例の斜視図(a)、分解斜視図(b)である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るシェルターの居住部の構築方法における沈設工程を示す工程断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るシェルターの居住部におけるプレキャストブロックの積層時の向きの設定の一例である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るシェルターの居住部において、上側と下側で異なる分割数のプレキャストブロックを用いた場合の構成の斜視図(a)、各プレキャストブロックの断面図(b)(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、本発明の実施の形態に係る地中埋設型シェルターの構造について説明する。
図1は、この地中埋設型シェルター(シェルター)1の鉛直方向に沿った断面図である。このシェルター1は、同様の構造をもつ居住部10と貯蔵部20を具備し、両者は管状の連結部15で連結されている。
【0011】
居住部10、貯蔵部20は、共に図中12個のコンクリート製のプレキャストブロック(プレキャストブロック30A~30L、40A~40L)が積層されて地盤G中に圧入されて構成されている。後述するように、個々のプレキャストブロックは、中空の円筒形状とされ、この円筒形状の中心軸が
図1の中心軸X1、X2をそれぞれ構成するように積層される。中心軸X1、X2は共に鉛直方向とされる。プレキャストブロック30A~30Lの内径及び外形、40A~40Lの内径及び外形はそれぞれにおいて等しく設定され、居住部10、貯蔵部20の内部は鉛直方向で細長い空間とされる。プレキャストブロック30B~30Lは同一の構造を具備し、プレキャストブロック30Aは鋼製の刃口31が下側に装着された点のみがプレキャストブロック30B~30Lと異なる。また、プレキャストブロック40A~40Lについても、プレキャストブロック30A~30Lと同様であり、プレキャストブロック40B~40Lは同一の構造を具備し、プレキャストブロック40Aはこれに対して刃口41が下側に装着された点のみ異なる。
【0012】
また、居住部10における底部側には底版32が、上端部側には頂版33が、それぞれ形成されることによって、居住部10の内部の空間が封止される。同様に、貯蔵部20における底部側には底版42が、上端部側には頂版43が、それぞれ形成されることによって、貯蔵部10の内部の空間が封止される。これらの底版、頂版もコンクリートで構成される。
【0013】
居住部10の内部には適宜階層構造が形成され、内部に多くの人員を収容することができる。貯蔵部20には、居住部10内の人間の生活に必要な物資として、例えば飲料水等を貯蔵することができる。複数種類の物資を貯蔵する場合には、その構成に応じて、居住部10と同様の階層構造を内部に設けることができる。居住部10との間におけるこの物資のやりとりは、連結部15によって行うことができる。特に、貯蔵部20を、飲料水(生活用水)を貯蔵する貯水槽とすることもできる。
【0014】
図1における最下層のプレキャストブロック30A、40Aにおいては、下側に鋼製の刃口31、41が装着され、この上に、プレキャストブロック30B~30L、40B~40Lがそれぞれ順次積層される。実際には
図1において積層方向(鉛直方向)で隣接するプレキャストブロックの間にはエポキシ系接着剤で構成された薄い接合層が形成されることによってこれらの間は密閉されているが、この記載は
図1では省略されている。
【0015】
上記の居住部10、貯蔵部20の各々の構成は、日本ヒューム株式会社HP:インターネット(URL:https://www.nipponhume.co.jp/pdf/wellman1512.pdf)に記載された、ウェルマン貯留槽と同様である。すなわち、施工現場以外の安定した環境で製造された各プレキャストブロックを沈設、積層するPCウェル工法で、居住部10、貯蔵部20を構築することができる。この際、
図1に示されたように、これらを深く形成することができる。
【0016】
この際、上記の各プレキャストブロックは、放射線の遮蔽能力を高めるために、例えば特許文献3に記載されたような重量コンクリートで構成することが好ましい。重量コンクリートは、通常のコンクリートに対して鉄成分を含有する骨材が混入されたコンクリート材料であり、通常のコンクリートよりも比重が大きく、中性子は主にコンクリート成分で遮蔽され、γ線等は主に骨材で吸収される。一方、重量コンクリートで構成されたプレキャストブロックは重いため、その運搬は比較的困難となる。これに対して、居住部10、貯蔵部20を
図1に示されたように多くのプレキャストブロックで構成した場合には、個々のプレキャストブロックを小型、軽量とすることができるため、プレキャストブロックの運搬が容易となる。
図1の構成では、遮蔽すべき放射線は主に上側から入射するため、最上部を封止する頂版33、43についても、同様にこれらを重量コンクリートで構成することが好ましい。
【0017】
避難民が居住する居住部10と、物資を貯蔵する貯蔵部20とをこのように地中において別体として構築することにより、各々の大きさ、特に専有面積を小さくすることができる。このため、これらの各々を構成するプレキャストブロックを小型とすることができ、シェルター1の構築を容易に行うことができる。
【0018】
また、上記のプレキャストブロック30A~30L、40A~40Lが更に分割される構成とすることによって、構築前のプレキャストブロックの運搬を更に容易とすることができる。プレキャストブロック40A~40Lの構成は、プレキャストブロック30A~30Lとそれぞれ同様の構造を具備し、かつ、前記のように、プレキャストブロック30Aとプレキャストブロック30B~30Lとは刃口31の有無のみが異なるため、以下ではこのプレキャストブロック30(30B~30L)の構造について説明する。
【0019】
図2は、ここで使用されるプレキャストブロック30(30B~30L)の基本構造を示す斜視図(a)、分解図(b)である。プレキャストブロック30は、
図1における居住部10の中心軸X1に沿った鉛直面で2分割された第1ブロック(分割ブロック)301、第2ブロック(分割ブロック)302とが連結して構成されている。
図2(b)においては、第1ブロック301、第2ブロック302のみが記載されている。
【0020】
図3は、第1ブロック301と第2ブロック302の間の連結部分の構造を示す図である。第1ブロック301、第2ブロック302は、中空の円筒形状を径方向及び中心軸X1方向(鉛直方向)に沿って2分割した形状における周方向の端部側が掘り込まれた形状とされ、実際には同一の構造・形状を呈する。これらはこの端部側に設けられた連結用の構造によって連結される。
【0021】
図2(b)に示されるように、第1ブロック301、第2ブロック302の外周面及び内周面において、周方向の両端側で接合部Cに沿って掘り下げられた接合構造用溝51が形成される。第1ブロック301と第2ブロック302の接合は、この接合構造用溝51に関わる構造を用いて行われる。
図3は、
図2(a)における領域Zにおける構造を詳細に示す図であり、
図3(a)は、これを中心軸X1側からみた平面図であり、
図3(b)は、
図3(a)におけるI-I方向(水平方向)の断面図である。なお、プレキャストブロック30の外面、内面は円筒形状(曲面)であるが、
図3では、便宜上これらの面は平面(曲率半径が大)であるように記載され、ここでは仮に図中上側の面を外面、下側の面を内面とする。また、
図3(a)においては、
図3(b)におけるモルタル層60の記載が省略されている。
【0022】
図3(a)(b)に示されるように、第1ブロック301、第2ブロック302の内面側と外面側の接合構造用溝51の底部には、各々において接合部C側で突出しないように、金属製の埋め込み板52が埋め込まれている。このため、
図3(b)に示されるように、第1ブロック301と第2ブロック302を組み合わせた状態で、接合部Cにおいては第1ブロック301と第2ブロック302の端面同士が当接する。この状態で、
図3(a)に示されるように、第1ブロック301と第2ブロック302をまたぐような金属製の接合板(連結具)53を鉛直方向の複数の箇所で埋め込み板52に溶接することができ、この構造を内面側と外面側で形成することによって、第1ブロック301と第2ブロック302とを連結することができる。
【0023】
ここで、接合構造用溝51の深さ、埋め込み板52、接合板53の厚さは、
図3(b)に示されるように、この状態で接合板53がプレキャストブロック30における接合構造用溝51周囲の外面、内面で突出しないように設定される。このため、この状態で接合構造用溝51をモルタルで埋め込んでモルタル層60を形成することにより、
図3(b)に示されるように外面、内面を平坦とする(前記のように外面、内面は正確には曲面であるために、正確には滑らかな曲面とする)ことができる。この場合において、モルタルの打設用の型枠を用いることができる。このようにモルタル層60を形成して表面を滑らかにすることは、後述する構築方法においてプレキャストブロック30を沈設する際に特に有効である。
【0024】
また、
図2、3の構造においては、埋め込み板52は計8枚(一つの接合部Cにおいて内側、外側の2枚ずつ)、接合板53は計40枚(一つの接合部において内側、外側の10枚ずつ)用いられているが、特に接合板53の数は、プレキャストブロックの大きさ、厚さ、必要とされる強度等に応じて適宜設定される。この場合、全ての接合板53を共通の形状(幅、厚さ等)とする必要はないが、共通とすることができる限りにおいて、共通のものを用いることができ、製造コストを低下させることができる。また、
図3(b)に示されるように、接合強度を高くするという観点から上記の例ではこのような連結用の構造が外面側と内面側で同様に設けられたが、このような連結用の構造を外面、内面のうちの一方においてのみ設けてもよい。
【0025】
図4は、上記と異なる連結方法を用いたプレキャストブロック70の構造を
図2と同様に示す。
図4のプレキャストブロック70においては、
図4(b)に示されるように、第1ブロック701、第2ブロック702の内周面において、周方向の両側の接合部Cに近接した箇所で矩形形状に外側に向けて掘り下げられた固定用凹部71が、上下方向に沿った3箇所、それぞれにおいて計6箇所に形成される。固定用凹部71は、第1ブロック701、第2ブロック702の壁面を外側まで貫通しないように内側から浅く形成される。また、各固定用凹部71の内部において近接する接合部C側の表面であるボルト固定面71Aから接合部Cにかけては、後述するボルト72Aが貫通する固定用貫通孔71Bが形成されている。なお、ここでは単純化して示されているが、実際には固定用凹部71は上下方向に沿ってより多くの箇所(例えば10箇所)において設けられることが好ましい。
【0026】
図4(a)に示されるように、第1ブロック701と第2ブロック702を連結した際に、第1ブロック701側の固定用凹部71と第2ブロック702側の固定用凹部71とが接合部Cを挟んで対向し、それぞれにおける固定用貫通孔71が連結するような構成とされる。このため、第1ブロック701、第2ブロック702のうちの一方の側から固定用貫通孔71にボルト(連結具)72Aを挿通させ、他方の側の固定用凹部71内でこのボルト72Aにナット(連結具)72Bを締結することによって、第1ブロック701と第2ブロック702を連結して固定することができる。この場合には、第1ブロック701と第2ブロック702はボルト72Aとナット72Bのみを用いて連結される。この場合においても、
図2、3の構造と同様に、連結後において固定用凹部71を埋め込んでモルタル層を形成することができ、これによってプレキャストブロック70の内周面を、凹凸のない円筒形状の面とすることができる。また、第1ブロック701と第2ブロック702を実質的に同一の構造・形状とすることができる。
【0027】
図4の構造においては、固定用凹部71は第1ブロック701、第2ブロック702の内周面において形成されたが、固定用凹部71を第1ブロック701、第2ブロック702の外周面にも形成し、外周面側でも同様にこれらを連結することが、接合強度を高くするためには、より好ましい。この場合、内周面側の固定用凹部と外周面側の固定用凹部の構成は各々独立に設定できる。例えば、内周面側の固定用凹部と外周面側の固定用凹部を同一の高さとすること、あるいは内周面側の固定用凹部と外周面側の固定用凹部の数を同一とすること、等は不要である。あるいは、固定用凹部71を外周面のみに形成し、外周面側でのみこれらを連結してもよい。この場合においても、
図2、3の構造と同様に、固定後における固定用凹部71にモルタル層を形成し、プレキャストブロック70の外周面を凹凸のない円筒形状の面とすることができ、これによって、後述するような地中への圧入を容易に行わせることができる。
【0028】
図4の例では、固定用凹部71は一つの接合部Cに対応して内側、外側において3箇所ずつに設けられたが、
図2、3の構造と同様に、この場合においても、プレキャストブロックの大きさ、厚さ、必要とされる強度等に応じて、この数は適宜設定される。この際、各固定用凹部の大きさ、深さ等は、プレキャストブロックの大きさ、厚さ、必要とされる強度等に応じて適宜設定される。また、各固定用凹部において複数の連結具を用いて連結を行ってもよい。
【0029】
図2~4に示された構造以外の構造も、同一の形状、構造とされた複数の分割ブロックを連結して中空の筒状のプレキャストブロックを形成することができ、この際に、プレキャストブロックの外周面に圧入の障害となる凹凸を形成しないよう場合には、同様に用いることができる。
【0030】
また、
図1において、プレキャストブロック30A~30Lと、プレキャストブロック40A~40Lをそれぞれ共通とすることもできる。この場合には、
図1に示された状態においては、実質的に居住部10と貯蔵部20は同一の構造を有し、その内部の構成は、目的に応じて適宜設定することができるが、共通のプレキャストブロック30(第1ブロック301、第2ブロック302等)を用いることができるため、このシェルター1を特に安価とすることができる。
【0031】
このように、本発明の実施の形態に係るシェルター1を構築する際には、まず、第1ブロック301(701)と第2ブロック302(702)とを連結して単一のプレキャストブロック30(70)を得るプレキャストブロック形成工程が行われ、その後に、このプレキャストブロックの積層体を地中で得るための沈降工程が行われる。この工程は、居住部10と貯蔵部20のそれぞれについて行われる。なお、上記の例では、プレキャストブロックが第1ブロックと第2ブロックに均等に2分割されるものとしたが、3分割以上としてもよく、この場合にも同様の連結方法(連結構造)を用いることができる。この分割数が大きいほど組立前の分割ブロックを小型、軽量とすることができる一方、その組立作業が煩雑となる。
【0032】
図5は、このようなプレキャストブロック30等を用いた居住部10の構築方法において、プレキャストブロック30A~30Lを順次積層して沈降させる沈設工程を簡略化して示す工程断面図である。ここでは居住部10について記載されているが、貯蔵部20についても同様である。
【0033】
図5(a)に示されるように、ここでは、まず、沈設のための準備工程として、ボーリングによって地盤Gの施工地点においてグラウンドアンカー400を打設した後に、地上において施工時にプレキャストブロック30(30A等)を保持するために用いるベースフレーム410を、このグラウンドアンカー400に対して定着させる。
【0034】
次に、
図5(b)に示されるように、
図1において最も下層となるプレキャストブロック30Aをベースフレーム410に対して傾斜のないように固定する。その後、
図5(c)に示されるように、プレキャストブロック30Aの上面に接合層となるエポキシ系接着剤を塗布した後に、その上層のプレキャストブロック30Bを積層する。
【0035】
次に、
図5(d)に示されるように、ハンマグラブ(図示せず)で内部を掘削しながらプレキャストブロック30A等を地盤Gに圧入して沈設する。その後、
図5(c)(d)の工程と同様の作業をプレキャストブロック30C~30Lに対して順次繰り返すことによって、
図5(e)に示されるように、
図1の居住部10を構成する積層構造が地盤G中で得られる。なお、各プレキャストブロックを積層する際に、鉛直方向に沿ったPC鋼棒を各プレキャストブロックに装着し、緊張作業を施すことによって各プレキャストブロックにプレストレスを付与することもできる。
【0036】
その後、
図5(f)に示されるように、底部に底版32を、頂部に頂版33をそれぞれ形成する。ここで、これらもプレキャストブロックとして予め形成した上で
図5(f)に示されるように固定してもよく、ここでコンクリートを打設することによってこれらを形成してもよい。どちらの場合においても、前記のように、特に頂版33は重量コンクリートで構成することが好ましい。
【0037】
図5に示された構築方法を同様に貯蔵部20に対しても適用して貯蔵部20を構築することができる。その後、前記のような階層構造を居住部10、貯蔵部20の内部に適宜構築することができ、その後に、両者の間に、
図1に示された連結部30を設けることができる。
【0038】
また、例えば
図2のプレキャストブロック30が
図1のように積層され、積層された範囲で接合部Cが鉛直方向で連続的に(あるいは近接して)存在すると、この部分の強度が局所的に小さくなるおそれがある。このため、上下方向で隣接する2つのプレキャストブロック30間において、接合部Cが周方向で近接しないことが、居住部10の機械的強度を高く維持するためには好ましい。このためには、積層されるプレキャストブロック30における接合部Cの位置を、周方向で均等に分散させることが好ましい。
【0039】
図6は、この場合におけるプレキャストブロック間の位置関係をプレキャストブロック30A~30Cについて示す図である。前記の通り、これらの各々は実質的には共通の構成を具備するが、これらの形状は円筒形状であるため、その中心軸X周りの角度は、積層時において適宜設定が可能である。
図6においては、プレキャストブロック30Bにおけるこの角度は、プレキャストブロック30Aに対して90°異なり、更にプレキャストブロック30Cにおけるこの角度は、プレキャストブロック30Bに対して90°異なっており、対称性を考慮すると実質的にプレキャストブロック30Aと同一である。このようにこの角度を積層毎に90°変化させれば、隣接する2つのプレキャストブロック間で接合部Cを周方向で離間させることができ、前記のように強度の低い箇所が局所的に発生することが抑制される。この場合、中心軸X周りの周方向において、プレキャストブロック30Bにおける接合部Cは、その上下のプレキャストブロック30A、30Cの各々における2つの接合部Cの中間に位置する。
【0040】
また、各プレキャストブロックには、積層後に鉄筋を鉛直方向で貫通させる孔部を設けることもでき、この鉄筋によってウェルマン貯留槽の強度を高めることもできる。
図6においては、このような孔部である鉄筋貫通孔80が各プレキャストブロックに設けられている。
図6において、例えば鉄筋貫通孔80を接合部Cに関して対称となるような配置で90°間隔で周方向において4つ(第1ブロック30A、第2ブロック30Bに各々2つ)設けることによって、鉄筋貫通孔80が全てのプレキャストブロック間で連通するようにすることができ、これに鉄筋を収容することができる。この場合においても、第1ブロック301と第2ブロック302の構造は実質的に同一となる。すなわち、複数のプレキャストブロックを積層方向で貫通する鉄筋を用いる場合においても、全ての分割ブロック(第1ブロック、第2ブロック)として共通の構造のものを用いることができる。
【0041】
図6においては、プレキャストブロックにおける接合部Cの周方向における間隔(設定角度の差)が積層毎に90°であるものとしたが、この間隔を例えば45°、30°等としてもよい。この間隔は、プレキャストブロックの積層総数に応じて、接合部Cが周方向で分散されるように適宜設定される。鉄筋収容孔を設ける場合には、この設定に応じて鉄筋収容孔の配置を定めることによって、前記と同様に、積層されたプレキャストブロック間で鉄筋収容孔が連通するようにすることができる。
【0042】
また、プレキャストブロックに鉛直方向でプレストレスを付与する緊張作業を行うためには、このための鉛直方向に沿ったPC鋼棒をプレキャストブロックに装着する必要がある。このPC鋼棒を装着するためのPC鋼棒収容孔も前記の鉄筋収容孔と同様にプレキャストブロックに設けることができ、この場合においても、全ての第1ブロック、第2ブロックとして共通の構造のものを用いることができる。
【0043】
図6の例では、中心軸X周りの周方向において、例えば下側のプレキャストブロック30Aにおける2つの接合部Cの正確に中間の位置に上側のプレキャストブロック30Bにおける接合部Cが位置する構成とされた。しかしながら、このように、鉄筋やPC鋼棒が用いられる場合には、接合部Cの位置関係を正確にこのようにはしないが下側のプレキャストブロックと上側のプレキャストブロックにおける接合部Cを連続的に形成させずに、下側のプレキャストブロックと上側のプレキャストブロックにおける鉄筋収容孔やPC鋼棒収容孔を連通させるような構成も可能である。この場合には、
図6に示されたように、下側のプレキャストブロックにおける2つの接合部Cの正確に中間の位置に上側のプレキャストブロックにおける接合部Cが位置する必要はない。すなわち、積層時に隣接するプレキャストブロックの中心軸周りの設定角度は、鉄筋収容孔やPC鋼棒収容孔を連通させることを優先的に考慮して設定してもよい。あるいは、この場合には、鉄筋貫通孔やPC鋼棒収容孔は全ての積層範囲で連通する必要はなく、一定の積層範囲(2層以上)において連通させ、これに対応して鉄筋やPC鋼棒を設けてもよい。この場合においても、積層方向で隣接するプレキャストブロック間で接合部Cが連続的とならないようにすることは容易である。
【0044】
図6の構成においては、分割数が2であるプレキャストブロック30が用いられ、分割ブロックの中心軸周りの角度が積層毎に90°異なるものとした。同様に、分割数が3(円弧の中心軸周りの角度が120°)となるプレキャストブロックを用いた場合にはこの角度差を60°、分割数が4(円弧の中心軸周りの角度が90°)のプレキャストブロックを用いた場合にはこの角度差を45°とすればよい。鉄筋貫通孔やPC鋼棒収容孔の位置も、これに応じて適宜設定することによって、
図6と同様の構成を実現することができる。この場合においても、前記と同様に、鉄筋貫通孔やPC鋼棒収容孔を連通させることを優先的に考慮して、積層時に隣接するプレキャストブロックの設定角度を設定してもよい。分割数を大きくすることにより、居住部10等を大径化した場合でも、個々の分割ブロックを小型、軽量化し、製造や運搬等を容易にすることができる。
【0045】
上記の居住部10、貯蔵部20は底部側が地下深い場所にあるように設置されるため、上部側には放射線に対する高い遮蔽能力が要求される一方で、底部側では遮蔽能力は上部側よりも低くともよい。このような遮蔽能力は前記のように重量コンクリートでプレキャストブロックを構成することにより得られるが、この場合にはこれを構成する分割ブロックが重くなるため、その製造、運搬、施工が比較的困難となり、特に分割ブロック単体の重さが20tを超える場合には、製造、施工が容易ではなくなる。このためには前記のようにプレキャストブロックの分割数を多くすることが有効であるが、一方で、この分割数が少ない方が、プレキャストブロック形成工程は容易となる。
【0046】
このため、例えば、
図1における下側に位置するプレキャストブロック(第1のプレキャストブロック)を軽い通常のコンクリートで少ない分割数(第1の分割数)として構成し、その上側に位置するプレキャストブロック(第2のプレキャストブロック)を重量コンクリートで構成した上でこれよりも多い分割数(第2の分割数)とすることが、放射線に対する遮蔽能力を維持しつつ施工を容易とするという観点では有効である。
【0047】
図7は、この場合における居住部11の構成を示し、
図7(a)はその斜視図であり、ここでは、共通の構造を具備するプレキャストブロック91A~91Dが積層された積層構造(第1の積層構造)が下側に、共通の構造を具備するプレキャストブロック92A~92Dが積層された積層構造(第2の積層構造)がその上側に、それぞれ形成される。
図7(b)は下側のプレキャストブロック91A(~91D)の鉛直方向に垂直な断面図、
図7(c)は上側のプレキャストブロック92A(~92D)の鉛直方向に垂直な断面図、をそれぞれ示す。プレキャストブロック91A~91Dは通常のコンクリートで構成され、プレキャストブロック92A~92Dは重量コンクリートで構成されている。
図7(b)(c)においては、
図2~4に記載されたような分割ブロック間の連結用の構造の記載は省略されている。
【0048】
ここで示されるように、プレキャストブロック91A等は、これが4分割された共通の構造を具備する分割ブロック911~914で構成され、プレキャストブロック92A等は、これが8分割された共通の構造を具備する分割ブロック921~928で構成される。このため、周方向において、接合部Cはプレキャストブロック91A等においては4箇所、プレキャストブロック92A等においては8箇所に形成される。
【0049】
図6の場合と同様に、積層に際しては接合部Cが鉛直方向で連続的に存在しない(周方向で離間する)ことが好ましい。このため、
図6の場合と同様に、
図7(a)においてはプレキャストブロック91A~91Dは、これらの中心軸に対する設定角度差が45°となるように積層され、プレキャストブロック92A~92Dは、この設定角度差が22.5°となるように積層されている。また、第2の積層構造中の最も下に位置するプレキャストブロック92Aは、第1の積層構造中の最も上側に位置するプレキャストブロック91Dにおける隣接した2つの接合部Cの間にプレキャストブロック92Aにおける隣接した2つの接合部Cが存在するように配置することによって、プレキャストブロック92Aとプレキャストブロック91Dとの間でも接合部Cは連続的には存在しないようにすることができる。
【0050】
また、
図6における場合と同様に鉄筋やPC鋼棒をプレキャストブロック91A~91D、プレキャストブロック92A~92Dの間で共有させることも可能である。あるいは、これらをプレキャストブロック91A~91D間、プレキャストブロック92A~92D間の各々で共有させてもよい。
【0051】
このため、この居住部11においては放射線に対する特に上側での遮蔽能力が保たれると共に、その分割ブロックの製造、運搬、全体の施工が容易となる。貯蔵部も同様の構成とすることができる。この際、要求される放射線遮蔽能力の差により、どの階層より上側を重量コンクリートで構成する(あるいは分割数を多くする)かは、居住部と貯蔵部とで個別に設定することができる。
【0052】
また、前記のように、貯蔵部20を貯水槽とした場合には、その内部に、例えば特開2017-78313号公報に記載されたような螺旋階段を設置することもでき、これによって、内部での作業を容易とすることができる。あるいは、居住部10の中にも同様に螺旋階段を設け、居住者の階毎の移動を容易とすることもできる。
【0053】
また、前記のように、居住部におけるプレキャストブロックと貯蔵部におけるプレキャストブロックを共通とすることができるが、これらを共通とする必要はなく、必要となる内部の容量等に応じて、これらの各々を構成するプレキャストブロックの大きさ(外径、内径、高さ)や段数は適宜設定することができる。
【0054】
また、前記のように、居住部、貯蔵部共に内部に階層構造を構築することができるが、この場合の階層構造とプレキャストブロックの段階構造とが共通でなくともよい。ただし、これらを共通とする場合には、内部の階層毎に設けられる構造を、各プレキャストブロックにおいて設けることによって内部の階層構造を容易に構築することができる。
【0055】
上記の例では、プレキャストブロックが中空の円筒形状であるものとしたが、中空の筒状であり、中心軸に沿って分割して同一の形状の分割ブロックを得ることができる形状のプレキャストブロックであれば、同様の構成が可能である。このようなプレキャストブロックの中心軸に垂直な断面形状としては、例えば矩形形状、六角形等がある。
【0056】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0057】
1 シェルター(地中埋設型シェルター)
10 居住部
15 連結部
20 貯蔵部
30、30A~30L、40A~40L、70、91A~91D、92A~92D プレキャストブロック
31、41 刃口
32、42 底版
33、43 頂版
51 接合構造用溝
52 埋め込み板
53 接合板(連結具)
60 モルタル層
71 固定用凹部
71A ボルト固定面
71B 固定用貫通孔
72A ボルト(連結具)
72B ナット(連結具)
80 鉄筋貫通孔
301、701 第1ブロック(分割ブロック)
302、702 第2ブロック(分割ブロック)
400 グラウンドアンカー
410 ベースフレーム
911~914、921~928 分割ブロック
C 接合部
G 地盤
X、X1、X2 中心軸
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下に設置される地中埋設型シェルターであって、
避難民が居住する居住部と、前記避難民の生活に必要な物資を貯蔵する貯蔵部と、前記居住部と前記貯蔵部との間で前記物資を通過させるように前記居住部の内部と前記貯蔵部の内部を空間的に連結する管状の連結部、とを地中に具備し、
前記居住部、前記貯蔵部の各々は、地中において、コンクリートで構成された複数の筒状のプレキャストブロックが前記筒状の中心軸を鉛直方向として積層された積層構造を有することを特徴とする地中埋設型シェルター。
【請求項2】
前記居住部を構成する複数の前記プレキャストブロックの各々は共通の形状を具備すると共に、前記貯蔵部を構成する複数の前記プレキャストブロックの各々は共通の形状を具備することを特徴とする請求項1に記載の地中埋設型シェルター。
【請求項3】
前記プレキャストブロックは重量コンクリートで構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の地中埋設型シェルター。
【請求項4】
前記プレキャストブロックが前記中心軸からみた径方向に沿った切断線で均等に分割されて共通の形状とされた複数の分割ブロックが前記プレキャストブロックの構成要素として用いられ、
複数の前記分割ブロックの全てが連結して固定されたことによって前記プレキャストブロックの各々が構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の地中埋設型シェルター。
【請求項5】
前記プレキャストブロックは、筒状の形状における内面側、外面側の少なくとも一方に装着された連結具を用いて複数の前記分割ブロックが連結されて構成されたことを特徴とする請求項4に記載の地中埋設型シェルター。
【請求項6】
前記居住部、前記貯蔵部の少なくともいずれかにおいて、
前記積層構造中に、下側において第1の前記プレキャストブロックが複数積層された第1の積層構造と、上側において第2の前記プレキャストブロックが複数積層された第2の積層構造と、が設けられ、
前記第1の前記プレキャストブロックは、当該プレキャストブロックが第1の分割数で分割された前記分割ブロックが組み合わされて構成され、前記第2の前記プレキャストブロックは、当該プレキャストブロックが第2の分割数で分割された前記分割ブロックが組み合わされて構成され、
前記第2の前記プレキャストブロックは重量コンクリートで構成され、前記第1の前記プレキャストブロックは前記重量コンクリートよりも軽量のコンクリートで構成されると共に、前記第2の分割数は前記第1の分割数よりも大きくされたことを特徴とする請求項5に記載の地中埋設型シェルター。
【請求項7】
前記プレキャストブロックにおいて隣接する前記分割ブロックの境界となる接合部は、前記積層構造における積層方向で隣接する2つの前記プレキャストブロックの間で周方向において離間するように配置されたことを特徴とする請求項6に記載の地中埋設型シェルター。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、地下に設置される地中埋設型シェルターであって、避難民が居住する居住部と、前記避難民の生活に必要な物資を貯蔵する貯蔵部と、前記居住部と前記貯蔵部との間で前記物資を通過させるように前記居住部の内部と前記貯蔵部の内部を空間的に連結する管状の連結部、とを地中に具備し、前記居住部、前記貯蔵部の各々は、地中において、コンクリートで構成された複数の筒状のプレキャストブロックが前記筒状の中心軸を鉛直方向として積層された積層構造を有することを特徴とする。
本発明は、前記居住部を構成する複数の前記プレキャストブロックの各々は共通の形状を具備すると共に、前記貯蔵部を構成する複数の前記プレキャストブロックの各々は共通の形状を具備することを特徴とする。
本発明において、前記プレキャストブロックは重量コンクリートで構成されたことを特徴とする。
本発明において、前記プレキャストブロックが前記中心軸からみた径方向に沿った切断線で均等に分割されて共通の形状とされた複数の分割ブロックが前記プレキャストブロックの構成要素として用いられ、複数の前記分割ブロックの全てが連結して固定されたことによって前記プレキャストブロックの各々が構成されたことを特徴とする。
本発明において、前記プレキャストブロックは、筒状の形状における内面側、外面側の少なくとも一方に装着された連結具を用いて複数の前記分割ブロックが連結されて構成されたことを特徴とする。
本発明は、前記居住部、前記貯蔵部の少なくともいずれかにおいて、前記積層構造中に、下側において第1の前記プレキャストブロックが複数積層された第1の積層構造と、上側において第2の前記プレキャストブロックが複数積層された第2の積層構造と、が設けられ、前記第1の前記プレキャストブロックは、当該プレキャストブロックが第1の分割数で分割された前記分割ブロックが組み合わされて構成され、前記第2の前記プレキャストブロックは、当該プレキャストブロックが第2の分割数で分割された前記分割ブロックが組み合わされて構成され、前記第2の前記プレキャストブロックは重量コンクリートで構成され、前記第1の前記プレキャストブロックは前記重量コンクリートよりも軽量のコンクリートで構成されると共に、前記第2の分割数は前記第1の分割数よりも大きくされたことを特徴とする。
本発明において、前記プレキャストブロックにおいて隣接する前記分割ブロックの境界となる接合部は、前記積層構造における積層方向で隣接する2つの前記プレキャストブロックの間で周方向において離間するように配置されたことを特徴とする。