(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167993
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】玩具の連結部材
(51)【国際特許分類】
A63H 33/08 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A63H33/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084360
(22)【出願日】2023-05-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開日:2023年(令和5年)2月27日、小売店等に書類により公開
(71)【出願人】
【識別番号】516330859
【氏名又は名称】株式会社スタンド・ストーンズ
(74)【代理人】
【識別番号】100178331
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 宏二
(72)【発明者】
【氏名】小林 宗徒
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA13
2C150AA25
2C150BA24
2C150CA06
2C150EH09
2C150EH16
2C150EH17
2C150FB43
2C150FD08
(57)【要約】
【課題】 棒部材への着脱が容易で、製造工程が簡単な連結部材を提供する。
【解決手段】 棒部材7の端部を挿入するための端部挿入穴10を有する筒部A1と、筒部A1の外周から突出し、その突出方向(z軸)に直交する断面形状が略U字をなし、上記U字の開口15から上記棒部材の側面が装着される複数の側面挿入部B1,B2とを備え、側面挿入部B1,B2の開口15,15は、端部挿入穴10の軸線zに直交する平面Sの方向に向いている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒部材を連結して組み立てられる玩具の当該棒部材を連結するための樹脂製の連結部材であって、
上記棒部材の端部を挿入するための端部挿入穴を有する筒部と、
上記筒部の外周から突出し、その突出方向に直交する断面形状が略U字をなし、上記U字の開口から上記棒部材の側面が装着される少なくとも1つの側面挿入部とを備え、
上記側面挿入部の開口は、上記端部挿入穴の軸線に直交する平面の方向に向く連結部材。
【請求項2】
上記側面挿入部の内周面であって、上記筒部の外周から離れた位置に、上記U字に沿った線状凸部が設けられた請求項1に記載の連結部材。
【請求項3】
上記側面挿入部の上記内周面であって、上記線状凸部と上記筒部の外周との間に突出する小突起を備え、
上記側面挿入部の底部において、上記小突起を形成するための型抜き孔が設けられた請求項2に記載の連結部材。
【請求項4】
長さ方向両端付近の側面に、環状凹部が形成された棒部材を備え、
上記棒部材が上記側面挿入部に装着された際に、上記線状凸部が上記環状凹部にかみ合う構成にされた請求項2に記載の連結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂製の組み立て玩具の連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャングルジムなどを模した組み立て玩具には、複数の棒部材を連結するための複数種の連結部材が用いられている。
例えば、
図11に示すような立方体状の立体1を構成する際、連結すべき棒部材2の本数が3本、4本、5本、6本に応じて連結部材3~6が用いられる。
これらの連結部材3~6は、特許文献1などに記載された一般的な管継手と同様に、棒部材2の端部を挿入保持する筒を結合した形状を備えている。このような連結部材3~6を玩具用として、樹脂で形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5835946号公報
【特許文献2】特許第6627037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図11,12に示すような形状の連結部材3~6を用いて棒部材でジャングルジムのような立体を組み立てていく際に、複数の棒部材2を一つの連結部材3~6にはめ込んで形成されたユニット同士を、他の連結部材を用いて連結させるが、その連結がうまくいかないことがある。例えば、組み立てが進んでいくと、その組み立てた構造内で連結部材同士の距離が自ずと決まってしまうことがある。そのような場合に、その連結部材同士を棒部材2で繋げようとしても、対向する連結部材の開口間の距離が棒部材2の長さより小さいので、一端を連結部材に固定した棒部材2の他端を、当該連結部材と相対位置が決まっている他の連結部材に挿入することができないことがある。そのため、玩具を組み立てる際には、既に連結部材に固定した棒部材2が外れないようにしながら、棒部材2を撓ませたり、立体1を崩れない範囲で歪ませたりしながら連結することになる。このような連結作業は手間がかかるものであった。
【0005】
また、
図10に示すように、複数の筒が直交する方向に連結された連結部材3,4,5,6を型成形する場合には、連結部材3,4,5,6を成形するための金型が複雑になってしまう。例えば、
図12に示す3本の棒部材2を連結するための連結部材3の場合、3つの筒部3a,3b,3cの軸線が互いに直交し、それぞれの開口が異なる方向を向いている。そのため、筒部3a,3b,3cの中空部を形成するための金型の移動方向(抜き方向)が、
図12に示す、互いに直交する矢印x,y,z方向となる。このように3方向の移動が必要になるので、金型の個数が多くなったり金型が複雑になったりするとともに、金型の移動工程や必要スペースも大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
この発明の目的は、棒部材の連結作業が容易で、製造工程の簡略化及び省スペース化も可能な連結部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、棒部材を連結して組み立てられる玩具の当該棒部材を連結するための樹脂製の連結部材であって、上記棒部材の端部を挿入するための端部挿入穴を有する筒部と、上記筒部の外周から突出し、その突出方向に直交する断面形状が略U字をなし、上記U字の開口から上記棒部材の側面が装着される少なくとも1つの側面挿入部とを備え、上記側面挿入部の開口は、上記端部挿入穴の軸線に直交する平面の方向に向いている。
【0008】
第2の発明は、上記側面挿入部の内周面であって、上記筒部の外周から離れた位置に、上記U字に沿った線状凸部が設けられている。
【0009】
第3の発明は、上記側面挿入部の上記内周面であって、上記線状凸部と上記筒部の外周との間に突出する小突起を備え、上記側面挿入部の底部において、上記小突起を形成するための型抜き孔が設けられている。
【0010】
第4の発明は、長さ方向両端付近の側面に、環状凹部が形成された棒部材を備え、上記棒部材が上記側面挿入部に装着された際に、上記線状凸部が上記環状凹部にかみ合う構成にされている。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、棒部材の側面を挿入する側面挿入部を備えているので、軸方向の移動ではなく、棒部材の側面を側面挿入部の機構に押し付けることによって棒部材を連結することができる。そのため、一方の端部を他の連結部材で固定されている棒部材に対しても、側面挿入部を嵌めることで簡単に連結することができる。また、連結部材の取り外しも容易である。
さらに、側面挿入部の開口面が筒部の軸線に直交する平面の方向に向いているため、筒部の端部挿入穴と側面挿入部の内周とを、筒部の軸方向に移動させる共通の金型で形成することができる。連結部材の外形を形成する金型とともに、型の移動方向が、筒部の軸線に沿った方向に統一されるので、製造工程をシンプルにできる。
【0012】
第2,4の発明によれば、側面挿入部に形成した線状凸部が、棒部材に形成された環状凹部に嵌って、棒部材の軸方向の抜けを防止できる。連結部材に対する棒部材の着脱を容易にしながら棒部材の脱落を防止できる。
【0013】
第3の発明によれば、側面挿入部に押し込まれた棒部材に対し、小突起が押し付け力を発揮して、棒部材の脱落を防止できる。小突起によって棒部材の脱落が防止できるため、側面挿入部のU字の寸法が棒部材に比べて多少大きくても、棒部材が脱落しない。そのため、側面挿入部の内周の寸法管理をラフにできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図2は、実施形態の3本用連結部材の斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態の3本用連結部材の平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態の3本用連結部材の正面図である。
【
図5】
図5は、実施形態の4本用連結部材の斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態の5本用連結部材の斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態の6本用連結部材の斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態の継手を用いた棒部材の連結手順を示す概略図である。
【
図9】
図9は、側面挿入部の開口の向きを説明する概念図であり、(a)は実施形態の段健形状がU字状の部材、(b)は断面形状が変形したU字状の部材、(c)は断面形状がC字状の部材である。
【
図10】
図10は、型成形された実施形態の連結部材の集合体を示した斜視図である。
【
図11】
図11は、立方体状の組み立て玩具の概観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
以下に、この発明の一実施形態を説明する。
図1は
図11に示すようなジャングルジムの玩具のような立体1を構成する棒部材の斜視図である。
図2~
図7は、上記棒部材を連結するための連結部材を示す図である。
図8は、棒部材の連結手順を示す概略図である。
図9は、側面挿入部の開口の向きを説明する概念図である。
図10は、連結部材の集合体を示した斜視図である。
【0016】
この実施形態において、玩具を構成する複数の棒部材7は、ABS樹脂(アクリルニトリル,ブタジエン,スチレンの共重合体)などを型成形した丸棒であって、全て同じ長さを有する。また、各棒部材7は、
図1に示すようにその両端付近にそれぞれ環状凹部8a,8bを備えている。この環状凹部8a,8bは、棒部材7の長さ方向両端付近である、端面7a,7bから距離d1の位置に形成されている。棒部材7は、環状凹部8a,8bによって、本体部7cと端部7d,7eとに区画されている。
【0017】
このような棒部材7の端部7d,7e同士を以下に説明する連結部材によって連結し、
図11に示すような、ジャングルジムを模した玩具の立体1を形成することができる。
なお、以下に説明する連結部材はいずれも、上記棒部材7と同素材の型成形品である。
【0018】
図2は、3本用の連結部材9である。この連結部材9は、3本の棒部材7を保持し、
図11に示す立体1の8個の頂点に配置されるもので、従来の連結部材3に相当するものである。
この連結部材9は、1つの筒部A1と、一対の樋状の第1及び第2側面挿入部B1,B2とで構成されている。筒部A1は、一端側に棒部材7の端部を挿入するための端部挿入穴10を備え、他端側を閉じた直管状である。
【0019】
また、端部挿入穴10の断面形状を棒部材7の断面円に外接する正八角形としている。端部挿入穴10の断面形状は、端部挿入穴10の内周が棒部材7の外周に接触して、棒部材7を保持できればよく、八角形以外の多角形や円形などでもよい。ただし、端部挿入穴10の断面形状を、棒部材7の外径に合わせた円形にした場合には、端部挿入穴10の内径と棒部材7の外径とを一致させるために高い寸法精度が要求されるが、端部挿入穴10の断面形状が多角形の場合には、棒部材7の外周が、端部挿入穴10の内周面と点接触すればよいので、寸法管理が容易になる。
【0020】
さらに、筒部A1は、その側壁に、上記端部挿入穴10の開口10aから連続し対向する一対のスリット11,11が形成されている。スリット11,11を設けたのは、棒部材7の外径に対し、端部挿入穴10の内径をきつめに設定して保持力を向上させながら、棒部材7の端面7a,7bからの挿入をスムーズにするためである。なお、上記スリット11,11の数や位置は、本実施形態に限定されない。
【0021】
一方、第1及び第2側面挿入部B1,B2は、軸方向長さを上記筒部A1と同等の長さとし、互いに直交するとともに、いずれも筒部A1と直交する位置関係を維持して筒部A1の下端(有底側)の外周から突出するように結合されている。
上記第1側面挿入部B1と上記第2側面挿入部BB2は同一形状を備えているので、第1側面挿入部B1について詳しく説明する。
また、以下では、筒部A1の軸線をz軸、第1側面挿入部B1の軸線をx軸、第2側面挿入部B2の軸線をy軸として説明する。
【0022】
第1側面挿入部B1は、
図2~
図4に示すように、その突出方向(x軸)に直交する断面形状が、半円の円弧12と一対の平行な線分13,14とからなる略U字状をしている。そして、U字の開口部分が棒部材7の端部7d,7eの側面を嵌め込む挿入口15とし、円弧12の直径が棒部材7の端部7d,7eの外径が嵌る大きさに設定されている。
【0023】
また、第1側面挿入部B1の開口である上記挿入口15は、端部挿入穴10の軸線(z軸)に直交する平面Sの方向を向いている。そして、端部挿入穴10の開口10aも上記平面Sの方向に向いているので、第1側面挿入部B1の挿入口15と、筒部A1の端部挿入穴10の開口10aとは同方向を向くことになる。
【0024】
さらに、第1側面挿入部B1は、その内周面16であって、上記筒部A1の外周から離れた位置、ここでは第1側面挿入部B1の先端に沿って、U字状の線状凸部17を備えている。筒部A1からこの線状凸部17までの距離d2は、棒部材7の距離d1と同等もしくは距離d1以上に設定され、線状凸部17の幅w2を棒部材7の環状凹部8a,8bの幅w1と同等にして、棒部材7の端部7d,7eが第1側面挿入部B1に挿入された際に、線状凸部17が環状凹部8a,8bにぴったり嵌るようにしている。
【0025】
さらに、第1側面挿入部B1の内周面16であって、筒部A1と上記線状凸部17との間には、互いに対向する一対の小突起18,18を備えている。この小突起18,18は、挿入口15の幅を部分的に狭めて、第1側面挿入部B1に挿入された棒部材7の端部7d,7eが当該第1側面挿入部B1から直径方向に外れてしまうのを防止し、第1側面挿入部B1からの棒部材7の脱落を防止する。
【0026】
また、第1側面挿入部B1において挿入口15と対向する側である底部、この実施形態では上記円弧12の部分には、上記小突起18,18を形成するための略長方形の型抜き孔19が形成されている。この型抜き孔19は、第1側面挿入部B1の軸方向(x軸)の辺を、上記小突起18,18を含む長さにするとともに、もう一方(y軸方向)の辺を、円弧12の直径d3相当の長さ(線分13,14間距離)にした長方形である。この型抜き孔19を介して第1側面挿入部B1の内外を移動する金型によって、上記小突起18,18が形成されている。
なお、y軸方向に突出する第2側面挿入部B2は、筒部A1に対する突出方向が異なるが、個々の構成は上記した第1側面挿入部B1と同じである。
【0027】
図5に示す4本用の連結部材20は、4本の棒部材7を連結するための部材である。4本の棒部材7を挿入保持するため、
図2に示す3本用の連結部材9は筒部(以下、「第1筒部」という)A1の軸線上に、第1筒部A1と同じ構成の第2筒部A2を連結した構造を備えている。なお、3本用の連結部材9と同様の構成要素には、
図2~
図4と同じ符号を用いている。
第1及び第2筒部A1,A2は、ともに軸線をz軸としているが、第2筒部A2は、第1及び第2側面挿入部B1,B2を境にして第1筒部A1の開口10aとは反対方向に伸びている。
【0028】
この連結部材20は、第1及び第2筒部A1,A2が2本の棒部材7,7を一直線状に連結し、これら筒部A1,A2の外周から突出した第1及び第2側面挿入部B1,B2にそれぞれ棒部材7が挿入されるようにしている。このようにして4本の棒部材を連結するための連結部材20は、
図11の立体1の12辺の中央に位置する、従来の連結部材4に相当する。
【0029】
連結部材20においても、第1及び第2側面挿入部B1,B2の挿入口15は、第1筒部A1の端部挿入穴10の開口10aとともに、第1筒部A1の軸線(z軸)に直交する平面Sの方向に向いている。
そして、第2筒部A2における端部挿入穴10の開口10aは、第1及び第2側面挿入部B1,B2を境に上記平面Sとは反対側で、軸線(z軸)に直交する平面S´の方向に向いている。
その他は、上記3本用の連結部材9と同じである。
【0030】
図6に示す5本用の連結部材21は、5本の棒部材7を連結するための部材で、立方体(正六面体)の各側面の中央に位置し、
図11における連結部材5に相当する。
この連結部材21は、第1及び第2筒部A1,A2から突出した第2側面挿入部B2と軸線(z軸)を同じくした第3側面挿入部B3を備えている。その他の構成は
図5に示す連結部材20と同じである。
したがって、連結部材21は、第1及び第2筒部A1,A2の端部挿入穴10,10と、第1~第3側面挿入部B1,B2,B3とによって5本の棒部材7を連結する。
【0031】
この連結部材21の3つの第1~第3側面挿入部B1,B2,B3の挿入口15,15,15と、第1筒部A1の端部挿入穴10の開口10aとは、全て第1筒部A1の軸線(z軸)に直交する平面Sの方向を向いている。なお、第2筒部A2の端部挿入穴10の開口10aは、上記平面Sと平行で、第2側面挿入部B1を境に平面Sと反対側に位置する平面S´の方向に向いている点も、上記連結部材20と同じである。
【0032】
図7に示す6本用の連結部材22は、6本の棒部材7を連結するための部材で、
図11に示す立方体の中心に配置される従来の連結部材6に相当する。
この連結部材22は、
図6に示す5本用の連結部材21に、第1~第3側面挿入部B1,B2,B3と同じ、第4側面挿入部B4を付加した部材である。
【0033】
付加された第4側面挿入部B4は、x軸を軸線とし、第1及び第2筒部A1,A2を境に、第1側面挿入部B1と反対側に突出している。その他の構成は、上記連結部材21と同じである。
したがって、4つの第1~第4側面挿入部B1,B2,B3,B4の開口である挿入口15、15,15,15の全ては、一方の第1筒部A1の端部挿入穴10の開口10aとともに、上記平面Sの方向に向き、他方の筒部A2の開口10aは平面S´の方向に向いている。
【0034】
[作用・効果等]
上記した4種類の連結部材9,20,21,22を用い、各連結部材を所定の箇所に配置し、棒部材7を
図11のような立方体状の立体1にすることができる。
なお、図中のx軸、y軸、z軸の方向は、個々の連結部材における位置関係を示すものであって、立体1内での方向を示すものではない。
棒部材7を連結する際には、例えば、
図8に示す3本用の連結部材9では、第1筒部A1に1本目の棒部材7の端部7d又は7eが挿入された状態で、第2、第3の棒部材7,7の端部7d又は7eを、矢印f1,f2のように、第1及び第2側面挿入部B1,B2の挿入口15に向かって押し込むことで、第1筒部A1、第1及び第2側面挿入部B1,B2を介して3本の棒部材7を連結することができる。
【0035】
同様に、他の連結部材においても、第1及び第2筒部A1,A2の端部挿入穴10には棒部材7の端部7d,7eの一方を挿入し、第1~第4側面挿入部B1,B2,B3,B4の挿入口15に棒部材7の端部7d,7eの他方の側面を押し込むようにする。棒部材7の全ての端部を、第1及び第2筒部A1,A2の端部挿入穴10に挿入する場合と比べて、連結作業がスムーズである。これにより、組み立ての際に連結部材同士の距離が既に決まっていても、棒部材7によって連結部材同士を容易に連結できる。
【0036】
また、第1~第4側面挿入部B1,B2,B3,B4に形成された線状凸部17が棒部材7の環状凹部8a,8bに嵌ることで、棒部材7の軸方向の抜けを防止できるとともに、棒部材7が第1~第4側面挿入部B1,B2,B3,B4に対してぐらついてしまうのを防止できる。
さらに、一対の小突起18,18が、第1~第4側面挿入部B1,B2,B3,B4に挿入された棒部材7の端部7d,7eの外周を押さえることで、挿入口15からの棒部材7の直径方向への脱落やがたつきを防止できる。
【0037】
そして、上記した連結部材9,20,21,22では、第1筒部A1の端部挿入穴10の開口10aと、第1及び第2側面挿入部B1,B2の挿入口15,15とが、平面Sの方向に向き、第2筒部A2の端部挿入穴10の開口10aが、上記平面Sと平行な平面S´の方向に向いている。このように、上記全ての開口が第1及び第2筒部A1,A2の軸線(z軸)に直交する平面S又は平面S´の方向に向いているため、上記開口の内部を形成するための金型は、連結部材9,20,21,22の外形を形成する金型とともにz軸に沿って移動させれば足りる。そのため、
図11に示すような従来の連結部材のように、3方向に移動させなければならない金型を必要とせず、製造工程を簡易にできる。
【0038】
なお、金型をz軸方向に移動させることで、第1~第4側面挿入部B1,B2,B3,B4の内周形状が形成されるように、開口がz軸に直交する平面S又はS´方向に向いているということは、上記平面S又はS´への端部挿入穴10及び第1~第4側面挿入部B1,B2,B3,B4の開口10aや挿入口15を投影した投影図内に、第1及び第2筒部A1,A2及び第1~第4側面挿入部B1,B2,B3,B4の内周の投影図が含まれるということである。このような開口の向きや、断面形状について
図9を用いて説明する。
【0039】
図9(a)に示すように、第1側面挿入部B1の突出方向(x軸)に直交する断面形状がU字で、挿入口15が平面Sと正対している場合には、平面Sにおける挿入口15の投影図p1に、第1~第4側面挿入部B1,B2,B3,B4の内周面の投影図が一致する。
また、
図9(b)のように、略U字状の断面形状が左右対称のU字でなくても、挿入口15が他の部分より大きく開いて平面Sの方向に向いていれば、平面S上の挿入口15の投影図p2内に第1~第4側面挿入部B1,B2,B3,B4の内周面の投影図が含まれ、z軸方向に金型を抜くことができる。
【0040】
これに対し、例えば
図8(c)のように、断面形状がC字状の場合には、その挿入口15の投影図p3内に、幅の広い側面挿入部に相当する部位の内周面の投影図p4が収まらない。このような形状では、z軸方向に移動する金型のみによって、C字の内周を形成することはできない。
【0041】
また、側面挿入部B1に形成された上記小突起18,18を形成するための型抜き孔19は、小突起18,18の対向方向である(y軸方向)の長さを、円弧12の直径d3相当の長さ(線分13,14間距離)にしている(
図4参照)。これにより、小突起18,18を形成する金型の部位をz軸に沿って型抜き孔19から図の下方向に抜き、上記小突起18,18を形成できる。例えば、
図2に示す上記小突起18,18の上端面18a、両側面18bの形成は、図の上方向に抜ける金型に担当させる一方で、上記小突起18,18の下端面18cの形成を、上記金型と同じくz軸方向で下方向に抜ける金型に担当させて、小突起18,18を形成することができる。
つまり、連結部材9,20,21,22を形成する全ての金型の移動方向がz軸方向に統一される。したがって、上記小突起18,18を形成する際にも、金型の移動方向がz軸方向のみになり、製造工程を煩雑にすることがない。
【0042】
以上のように、z軸方向で相対移動する1対の金型だけで、連結部材9,20,21,22を成形できる。すなわち、z軸方向で相対移動する1対の金型だけで、連結部材9,20,21,22の外形の他、筒部、側面挿入部等の各部を含めて、筒部の端部挿入穴、側面挿入部の内周面、小突起等の部位も全て成形できる。
【0043】
また、上記連結部材99,20,21,22は、いずれも複数個を一体化して型成形することもできる。例えば、
図10は、4個の連結部材9を連結棒23で結合して一体化された連結部材9の集合体を示している。このように、複数の連結部材を一つの集合体として成形すれば、金型からの取り外し作業の作業性や、完成品の取り扱い性も向上する。上記集合体を構成する連結部材は、全て同種である必要はないし、数も限定されない。
【0044】
なお、上記連結部材9,20,21,22における第1及び第2筒部A1,A2及び第1~第4側面挿入部B1,B2,B3,B4の位置関係は上記実施形態に限らない。
例えば、第1~第4側面挿入部B1,B2,B3,B4の挿入口15のうち、いずれかが反対側の平面S´方向に向くようにしてもよい。
【0045】
また、4本用の連結部材として、
図5に示す連結部材20の第2筒部A2を省略し、それに替えて第2側面挿入部B2の反対側に連続して第3側面挿入部B3を設けたり、第1側面挿入部B1の反対側に第4側面挿入部B4を設けたりしてもよい。
さらに、5本用の連結部材として、
図6に示す連結部材21の第2筒部A2を省略して、それに替えて第1側面挿入部B1の反対側に第4側面挿入部B4を設けてもよい。
さらにまた、2本用の連結部材として、
図2に示す連結部材9の第2側面挿入部B2を省略してもよい。
【0046】
そして、上記棒部材7も、一方向のみに移動する金型で形成することができる。したがって、上記連結部材9,20,21,22は、複数の棒部材7と同時に成形することもできる。棒部材7も、複数本を連結棒で連結した集合体として形成してもい。
ただし、棒部材7の代わりに、爪楊枝や竹串などを用いて立体を組み立てることもできる。
また、第1及び第2筒部A1及びA2に対して第1~第4側面挿入部B1,B2,B3,B4を直交させるのではなく、所定の交差角度に設定すれば、立方体や直方体以外の多面体状の立体を形成することもできる。
また、上記連結部材は、ジャングルジムを模した組み立て玩具以外の他の玩具にも用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
棒部材を連結して構成する様々な組み立て玩具に適用できる。
【符号の説明】
【0048】
A1,A2 第1、第2筒部
B1,B2,B3,B4 第1~第4側面挿入部
x,y,z 軸線
7 棒部材
7d,7e 端部
8a,8b 環状凹部
9 (3本用の)連結部材
10 端部挿入穴
12 (U字を構成する)円弧
13,14 (U字を構成する)線分
15 (開口)挿入口
16 内周面
17 線状凸部
18 小突起
19 型抜き孔
20 (4本用の)連結部材
21 (5本用の)連結部材
22 (6本用の)連結部材
S,S´ (端部挿入穴の軸線に直交する)平面
w1 (凹部の)幅
w2 (凸部の)幅