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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168002
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/58 20060101AFI20241128BHJP
   E06B 1/32 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
E06B3/58 B
E06B1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084374
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】油谷 祥太
(72)【発明者】
【氏名】谷口 雅洋
(72)【発明者】
【氏名】柚木 一弥
【テーマコード(参考)】
2E011
2E016
【Fターム(参考)】
2E011CA01
2E011CA06
2E011CB01
2E011CC01
2E016AA04
2E016BA01
2E016BA02
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E016DA01
2E016DB08
2E016DC01
2E016DD03
(57)【要約】
【課題】製造作業の煩雑化を防止し、かつ耐風圧性能の向上を図る。
【解決手段】枠体10を構成する縦枠13は、金属によって成形された金属枠部60と、樹脂によって成形された樹脂枠部70とを有し、金属枠部60は、パネル1よりも室内側となる部分に内方収容溝形成片65を有し、内方収容溝形成片65には、押縁3が装着され、押縁3を介してパネル1の室内側となる表面が支持された建具であって、押縁3は、金属によって成形された金属押縁部80と、樹脂によって成形された樹脂押縁部90とを有し、金属押縁部80は、内方収容溝形成片65の内周側となる縁部に係合する内周係合部82と、内方収容溝形成片65よりも室外側となる位置において金属枠部60に係合する外周係合片83とを有している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体を構成する形材は、金属によって成形された金属枠部と、樹脂によって成形された樹脂枠部とを有し、
前記金属枠部は、パネルよりも室内側となる部分に収容溝形成片を有し、
前記収容溝形成片には、押縁が装着され、
前記押縁を介して前記パネルの室内側となる表面が支持された建具であって、
前記押縁は、金属によって成形された金属押縁部と、樹脂によって成形された樹脂押縁部とを有し、
前記金属押縁部は、前記収容溝形成片の内周側となる縁部に係合する内周係合部と、前記収容溝形成片よりも室外側となる位置において前記金属枠部に係合する外周係合片とを有していることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記金属枠部は、見込み方向に延在する枠基部を有し、
前記枠基部において前記パネルよりも室内側となる部分に前記収容溝形成片が設けられ、
前記枠基部の内周側となる見込み面には、見込み方向に延在する押縁係合部が設けられ、前記押縁係合部に前記外周係合片が係合されていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記樹脂押縁部は、前記樹脂枠部に対して非係合となる状態で前記樹脂枠部の室外に臨む見付け面に対向して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項4】
前記樹脂押縁部は、前記樹脂枠部の室外に臨む見付け面よりも室外側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の建具。
【請求項5】
前記樹脂枠部の室外に臨む見付け面には、前記樹脂押縁部の外周側となる見込み面に対向する突出部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体にパネルを支持させたFIX窓と称される建具に関するもので、枠体を構成する形材が金属枠部と樹脂枠部とを有した建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の建具には、押縁を介してガラス等のパネルを支持するようにしたものがある。押縁としては、枠体を構成する形材と同様、金属によって成形された金属押縁部と、樹脂によって成形された樹脂押縁部とを有したものが適用されている。この押縁は、金属押縁部が金属枠部に係合され、樹脂押縁部が樹脂枠部に係合された状態で形材に装着されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-45071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、形材を構成する樹脂枠部は、金属枠部に比べて成形精度の点で劣る場合が多い。同様に、押縁を構成する樹脂押縁部は、金属押縁部に比べて成形精度の点で劣る場合が多い。このため、樹脂押縁部を樹脂枠部に係合させることが困難となり、押縁を形材に装着する作業が煩雑化する事態が生じ得る。また、樹脂押縁部と樹脂枠部との係合部については、パネルに風圧が作用した場合に解除される懸念もある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、製造作業の煩雑化を防止し、かつ耐風圧性能の向上を図ることのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、枠体を構成する形材は、金属によって成形された金属枠部と、樹脂によって成形された樹脂枠部とを有し、前記金属枠部は、パネルよりも室内側となる部分に収容溝形成片を有し、前記収容溝形成片には、押縁が装着され、前記押縁を介して前記パネルの室内側となる表面が支持された建具であって、前記押縁は、金属によって成形された金属押縁部と、樹脂によって成形された樹脂押縁部とを有し、前記金属押縁部は、前記収容溝形成片の内周側となる縁部に係合する内周係合部と、前記収容溝形成片よりも室外側となる位置において前記金属枠部に係合する外周係合片とを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、金属押縁部に設けた内周係合部及び外周係合片を介して押縁を形材の金属枠部に装着するようにしている。従って、樹脂押縁部を樹脂枠部に係合させることなく押縁を形材に装着することができ、製造作業の煩雑化を防止し、かつ耐風圧性能の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態である建具の縦断面図である。
図2図1に示した建具の横断面図である。
図3図1に示した建具の要部を拡大した横断面図である。
図4図3に示した建具の要部を分解したもので、(a)は縦枠の金属枠部を示す横断面図、(b)は押縁の金属押縁部を示す横断面図、(c)は縦枠の樹脂枠部を示す横断面図、(d)は押縁の樹脂押縁部を示す横断面図である。
図5図4に示した金属枠部、樹脂枠部、金属押縁部、樹脂押縁部を組み合わせた状態を一部拡大して示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
図1図3は、本発明の実施の形態である建具を示したものである。ここで例示する建具は、上枠11、下枠12及び左右の縦枠(形材)13を四周組することによって構成した枠体10と、枠体10の内部に配設した複層ガラス等のパネル1とを備えたFIX窓と称されるものである。枠体10を構成する上枠11、下枠12及び左右の縦枠13は、いずれも金属枠部及び樹脂枠部を有して構成したものである。金属枠部は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、それぞれ長手に沿った全長にわたってほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。樹脂枠部は、樹脂によって成形した押し出し形材であり、それぞれ長手に沿った全長にわたってほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。以下、上枠11、下枠12、縦枠13の構成について詳述する。なお、縦枠13については、左右で対称形状となるものを適用しているため、一方の縦枠13についてのみ説明する。
【0011】
上枠11の金属枠部20は、上枠基部21、樹脂枠装着溝部22、外方パネル支持部23、内方パネル支持部24を一体に成形したものである。上枠基部21は、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在するものである。樹脂枠装着溝部22は、上枠基部21の室内側となる縁部に設けたもので、内周に向けて開口するように形成してある。外方パネル支持部23は、上枠基部21の室外側となる縁部から内周側に向けて見付け方向に延在したものである。内方パネル支持部24は、上枠基部21において外方パネル支持部23よりも室内側となる位置から内周側に向けて見付け方向に延在したものである。これら外方パネル支持部23及び内方パネル支持部24は、互いの間にパネル1の板厚よりも大きな間隔が確保した状態で相互に対向するように設けてある。外方パネル支持部23の延在縁部には、室内に臨む部分に外方ポケット部23aが突出するように設けてある。内方パネル支持部24の延在縁部には、室外に臨む部分に内方ポケット部24a及び樹脂枠係止突条部24bが突出するように設けてある。樹脂枠係止突条部24bは、内方ポケット部24aよりも内周側となる部分に設けてある。
【0012】
上枠11の樹脂枠部30は、金属枠部20において内方パネル支持部24よりも室内側となる部分を覆うもので、外方中空部31、内方中空部32、外方係合片部33、内方係合片部34、取付板部35を有している。外方中空部31及び内方中空部32は、それぞれ断面が長方形の中空状を成すものである。図示の例では、外方中空部31の外周側となる部分から内方中空部32が室内に向けて突出するように設けてある。外方係合片部33は、金属枠部20の樹脂枠係止突条部24bに係合するもので、外方中空部31の室外側、かつ内周側となる隅部から室外に向けて見込み方向に延在した後、外周側に向けて屈曲し、さらに室内に向けて屈曲している。内方係合片部34は、金属枠部20の樹脂枠装着溝部22に挿入して係合するもので、内方中空部32の室内側、かつ外周側となる隅部から外周に向けて延在している。取付板部35は、図示せぬ額縁との間を連結するためのもので、内方中空部32の室内側、かつ内周側となる隅部から室内に設けて見込み方向に延在している。
【0013】
上記の構成を有した上枠11は、外方係合片部33及び内方係合片部34を介して樹脂枠部30が金属枠部20に装着された状態となる。内方パネル支持部24の内周側となる縁部は、樹脂枠部30の外方係合片部33によって覆われた状態となり、金属枠部20が室内側から視認されるおそれはない。金属枠部20に設けた外方パネル支持部23及び内方パネル支持部24の間には、それぞれシール材2を介してパネル1の縁部が支持してある。
【0014】
下枠12の金属枠部40は、下枠基部41、樹脂枠装着溝部42、外方パネル支持部43、内方パネル支持部44を一体に成形したものである。下枠基部41は、見込み方向に沿って延在するものである。樹脂枠装着溝部42は、下枠基部41の室内側となる縁部に設けたもので、内周に向けて開口するように形成してある。外方パネル支持部43は、下枠基部41の室外側となる縁部から内周側に向けて見付け方向に延在したものである。内方パネル支持部44は、下枠基部41において外方パネル支持部43よりも室内側となる位置から内周側に向けて見付け方向に延在したものである。これら外方パネル支持部43及び内方パネル支持部44は、上枠11の外方パネル支持部23及び内方パネル支持部24に対応した位置に設けてある。外方パネル支持部43の延在縁部には、室内に臨む部分に外方ポケット部43aが突出するように設けてある。内方パネル支持部44の延在縁部には、室外に臨む部分に内方ポケット部44a及び樹脂枠係止突条部44bが突出するように設けてある。樹脂枠係止突条部44bは、内方ポケット部44aよりも内周側となる部分に設けてある。
【0015】
下枠12の樹脂枠部50は、金属枠部40において内方パネル支持部44よりも室内側となる部分を覆うもので、見込み板部51、外方係合部52、内方係合片部53を有している。見込み板部51は、見込み方向に沿った寸法が上枠11の樹脂枠部30とほぼ同じ長さの板状を成すものである。外方係合部52は、金属枠部40の樹脂枠係止突条部44bに係合するもので、見込み板部51の室外側となる縁部から外周側に向けて屈曲し、さらに室内に向けて屈曲している。内方係合片部53は、金属枠部40の樹脂枠装着溝部42に挿入して係合するもので、見込み板部51の外周側となる表面から外周に向けて延在している。
【0016】
上記の構成を有した下枠12は、外方係合部52及び内方係合片部53を介して樹脂枠部50が金属枠部40に装着された状態となる。内方パネル支持部44の内周側となる縁部は、樹脂枠部50の外方係合部52によって覆われた状態となり、金属枠部40が室内側から視認されるおそれはない。金属枠部40に設けた外方パネル支持部43及び内方パネル支持部44の間には、それぞれシール材2を介してパネル1の縁部が支持してある。
【0017】
縦枠13の金属枠部60は、図3図5に示すように、縦枠基部(枠基部)61、樹脂枠装着溝部62、樹脂枠係止部63、外方パネル支持部64、内方収容溝形成片(収容溝形成片)65、押縁係合部66を一体に成形したものである。縦枠基部61は、見込み方向に沿ってほぼ鉛直に延在するものである。樹脂枠装着溝部62は、縦枠基部61の室内側となる縁部に設けたもので、内周に向けて開口するように形成してある。樹脂枠係止部63は、縦枠基部61の内周側となる見込み面において樹脂枠装着溝部62よりも室外側となる部分から内周に向けて突出したものである。樹脂枠係止部63の延在縁部には、室内に向けて突出する係止突条63aが設けてある。外方パネル支持部64は、縦枠基部61の室外側となる縁部から内周側に向けて見付け方向に延在したものである。内方収容溝形成片65は、縦枠基部61において外方パネル支持部64よりも室内側、かつ樹脂枠係止部63よりも室外側となる位置から内周側に向けて見付け方向に延在したものである。これら外方パネル支持部64及び内方収容溝形成片65は、上枠11の外方パネル支持部23及び内方パネル支持部24に対応した位置に設けてある。内方収容溝形成片65の延在寸法は、外方パネル支持部64の延在寸法よりも短く構成してある。図示の例では、外方パネル支持部64の延在寸法に対してほぼ1/2の寸法を有するように内方収容溝形成片65が設けてある。外方パネル支持部64の延在縁部には、室内に臨む部分に外方ポケット部64aが突出するように設けてある。内方収容溝形成片65の延在縁部は、室外に向けて屈曲することにより押縁装着部65aを構成している。押縁係合部66は、縦枠基部61の内周側となる見込み面において外方パネル支持部64と内方収容溝形成片65との間となる位置から内周に向けて突出した後に屈曲し、室内に向けて見込み方向に延在したものである。押縁係合部66と縦枠基部61との間には、縦枠基部61の板厚寸法に対してほぼ2倍となる隙間が確保してある。
【0018】
縦枠13の樹脂枠部70は、金属枠部60において樹脂枠係止部63よりも室内側となる部分を覆うもので、縦枠中空部71、外方係合片部72、内方係合片部73、取付板部74、対向突出部(突出部)75を有している。縦枠中空部71は、断面が長方形の中空状を成すものである。外方係合片部72は、樹脂枠係止部63に係合するもので、縦枠中空部71の室外側、かつ外周側となる隅部から外周側に向けて見付け方向に延在している。外方係合片部72の延在縁部には、係合爪部72a及び位置決め突条部72bが設けてある。係合爪部72aは、外方係合片部72の室外に臨む見付け面から室外に突出したものである。位置決め突条部72bは、外方係合片部72の室外に臨む見付け面において係合爪部72aよりも内周側となる部分から室外に向けて突出したものである。この位置決め突条部72bは、係合爪部72aを金属枠部60の樹脂枠係止部63に係合させた際に樹脂枠係止部63の延在縁部に当接するものである。内方係合片部73は、金属枠部60の樹脂枠装着溝部62に挿入して係合するもので、縦枠中空部71の室内側、かつ外周側となる隅部から外周に向けて延在している。取付板部74は、図示せぬ額縁との間を連結するためのもので、縦枠中空部71の室内側、かつ内周側となる隅部から室内に設けて見込み方向に延在している。対向突出部75は、縦枠中空部71の室外に臨む見付け面から室外に向けて突出したものである。図からも明らかなように、対向突出部75は、縦枠中空部71の隅部よりもわずかに外周側となる部分に設けてあり、対向突出部75よりも内周側となる部分に見付け面を確保している。
【0019】
上記の構成を有した縦枠13は、外方係合片部72及び内方係合片部73を介して樹脂枠部70が金属枠部60に装着された状態となる。縦枠中空部71は、内周側となる見込み面が見込み方向に沿って配置される。縦枠中空部71の内周側への突出寸法は、内方収容溝形成片65とほぼ同じとなるように設定してある。金属枠部60に設けた外方パネル支持部64及び内方収容溝形成片65の間には、内方収容溝形成片65に押縁3を装着した状態でそれぞれシール材2を介してパネル1の縁部が支持してある。従って、枠体10にパネル1を建て込む場合には、左右の縦枠13から押縁3を取り外した状態とすることで、パネル1を上下にケンドンさせることができ、その作業を容易化することが可能となる。本実施の形態では、金属押縁部80及び樹脂押縁部90を有して構成した押縁3を適用している。
【0020】
金属押縁部80は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、パネル支持片81、内周係合部82、外周係合片83を有して構成してある。パネル支持片81は、見付け方向に沿って延在するものである。パネル支持片81には、室内に臨む見付け面に2つのスライド嵌合受部84及び規制突条部85が設けてある。スライド嵌合受部84は、パネル支持片81から室内に向けて延在した後、互いに離反する方向に屈曲したものである。内周側のスライド嵌合受部84については、屈曲縁部がさらに室外に向けて屈曲している。規制突条部85は、パネル支持片81においてスライド嵌合受部84よりも外周側となる部分から室内に向けて突出したものである。内周係合部82は、パネル支持片81の外周側となる縁部から室外に向けて延在した後、外周側に向けて湾曲することにより、室内側に開口した押縁装着溝82aを構成するものである。押縁装着溝82aの内周側となる部分には、パネル支持片81の縁部がわずかに突出している。外周係合片83は、内周係合部82の外周側となる縁部から室外に向けて漸次外周側となるように傾斜延在した後に屈曲し、室外に向けて見込み方向に延在したものである。外周係合片83の室外側縁部は、内周側に向けてわずかに屈曲している。
【0021】
樹脂押縁部90は、樹脂によって成形した押し出し形材であり、押縁中空部91、2つのスライド嵌合部92、樹脂枠対向片部93を有して構成してある。押縁中空部91は、断面が長方形の中空状を成すものである。スライド嵌合部92は、金属押縁部80のスライド嵌合受部84に対して長手方向にスライドさせることにより互いに嵌合するものである。図示の例では、押縁中空部91の室外側に位置する両側縁部から室外側に延在した後、互いに近接する方向に屈曲したスライド嵌合部92を設けている。内周側のスライド嵌合部92については、屈曲縁部がさらに室内に向けて屈曲している。これにより、スライド嵌合受部84及びスライド嵌合部92を介して樹脂押縁部90を金属押縁部80に装着した場合には、金属押縁部80の内周側に設けたスライド嵌合受部84の縁部及び室外に臨む部分の一部が樹脂押縁部90によって覆われた状態となる。
【0022】
上述の押縁3は、金属押縁部80に樹脂押縁部90を装着し、この状態から縦枠13の内方収容溝形成片65に設けた押縁装着部65aを、金属押縁部80の内周係合部82に挿入するとともに、外周係合片83の室外側縁部を押縁係合部66と縦枠基部61との間に挿入して係合させることにより金属枠部60に装着してある。このとき、樹脂押縁部90は、パネル支持片81と樹脂枠部70との間において樹脂枠部70の室外に臨む見付け面よりも室外側に配置された状態となる。樹脂押縁部90の樹脂枠対向片部93は、対向突出部75よりも内周側において樹脂枠部70の室外に臨む見付け面に対向した状態にある。
【0023】
図5からも明らかなように、樹脂押縁部90と樹脂枠部70との間には隙間dが確保してあり、互いに非係合の状態となる。従って、樹脂押縁部90や樹脂枠部70に成形誤差があった場合にも、金属枠部60に金属押縁部80を装着しさえすれば良いため、押縁3を縦枠13に装着する際の作業が困難になることはなく、製造作業が煩雑化するおそれもない。なお、樹脂押縁部90と樹脂枠部70との間には、必ずしも隙間dを確保する必要はなく、係合していない状態であれば、相互に当接していても構わない。
【0024】
上記のように構成した建具では、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13において金属枠部20,40,60がいずれも樹脂枠部30,50,70によって覆われた状態となる。また、縦枠13については、押縁3についても金属押縁部80が樹脂押縁部90によって覆われた状態となる。従って、断熱性の点で有利となり、室内側に結露が生じる事態を防止することができるようになる。
【0025】
上述したパネル1との間のシール材2は、樹脂押縁部90の内周側となるスライド嵌合部92に設けてある。しかしながら、シール材2の室内側となる部分には、金属押縁部80のパネル支持片81が位置している。これにより、パネル1に加えられる室内側への外力に対しては、樹脂押縁部90を介して金属押縁部80によって対抗することができ、以下に説明するように耐風圧性能の点でも有利となる。
【0026】
すなわち、上述の建具では、室外の風圧(正圧)によりパネル1を室内に向けて押圧するような外力が作用すると、金属押縁部80のパネル支持片81が内周係合部82を介して室内側に移動するようになる。この場合には、金属押縁部80の外周係合片83が金属枠部60に設けた押縁係合部66に当接することでパネル支持片81の室内側への移動が制限され、押縁3が縦枠13から脱落する事態を防止することができる。加えて、パネル支持片81が室内側に移動した場合には、樹脂押縁部90に設けた樹脂枠対向片部93が樹脂枠部70の対向突出部75に当接することによって樹脂押縁部90の移動が制限されるため、樹脂押縁部90を介してパネル支持片81が室内側へ移動する事態が制限されることになり、押縁3の脱落がより確実に防止される。
【0027】
一方、室外の風圧(負圧)によりパネル1を室外に向けて引っ張るような外力が作用した場合には、金属押縁部80のパネル支持片81が内周係合部82を介して室外側に移動するようになる。この場合には、金属押縁部80の外周係合片83が縦枠基部61の内周側となる見込み面に当接することでパネル支持片81の室外側への移動が制限され、押縁3が縦枠13から脱落する事態を防止することができるようになる。
【0028】
なお、上述した実施の形態では、パネルの室外側となる表面を金属枠部に設けた外方パネル支持部によって支持するようにしているが、室内側と同様、押縁を介して支持するようにしても構わない。また、縦枠にのみ押縁を設けるようにしているが、上枠及び下枠を形材としてこれらにのみ押縁を設けても良いし、縦枠、上枠、下枠のすべてに押縁を設けても構わない。
【0029】
以上のように、本発明に係る建具は、枠体を構成する形材は、金属によって成形された金属枠部と、樹脂によって成形された樹脂枠部とを有し、前記金属枠部は、パネルよりも室内側となる部分に収容溝形成片を有し、前記収容溝形成片には、押縁が装着され、前記押縁を介して前記パネルの室内側となる表面が支持された建具であって、前記押縁は、金属によって成形された金属押縁部と、樹脂によって成形された樹脂押縁部とを有し、前記金属押縁部は、前記収容溝形成片の内周側となる縁部に係合する内周係合部と、前記収容溝形成片よりも室外側となる位置において前記金属枠部に係合する外周係合片とを有していることを特徴としている。
この発明によれば、金属押縁部に設けた内周係合部及び外周係合片を介して押縁を形材の金属枠部に装着するようにしている。従って、樹脂押縁部を樹脂枠部に係合させることなく押縁を形材に装着することができ、製造作業の煩雑化を防止し、かつ耐風圧性能の向上を図ることが可能となる。
【0030】
また本発明は、上述した建具において、前記金属枠部は、見込み方向に延在する枠基部を有し、前記枠基部において前記パネルよりも室内側となる部分に前記収容溝形成片が設けられ、前記枠基部の内周側となる見込み面には、見込み方向に延在する押縁係合部が設けられ、前記押縁係合部に前記外周係合片が係合されていることを特徴としている。
この発明によれば、パネルに対して室内側へ移動するような外力が作用した場合に外周係合片が押縁係合部に係合することにより金属押縁部の移動が制限され、形材からの押縁の脱落が防止される。
【0031】
また本発明は、上述した建具において、前記樹脂押縁部は、前記樹脂枠部に対して非係合となる状態で前記樹脂枠部の室外に臨む見付け面に対向して配置されていることを特徴としている。
この発明によれば、樹脂押縁部と樹脂枠部との間を係合させていないため、これら樹脂押縁部及び樹脂枠部に成形誤差があった場合にも押縁を装着する作業を容易化することができる。
【0032】
また本発明は、上述した建具において、前記樹脂押縁部は、前記樹脂枠部の室外に臨む見付け面よりも室外側に配置されていることを特徴としている。
この発明によれば、樹脂枠部の室外に臨む見付け面においてのみ樹脂押縁部が対向することになり、樹脂枠部の内周側となる見込み面と樹脂押縁部との位置合わせが不要となるため、押縁を装着する作業を容易化することができる。
【0033】
また本発明は、上述した建具において、前記樹脂枠部の室外に臨む見付け面には、前記樹脂押縁部の外周側となる見込み面に対向する突出部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、樹脂押縁部が突出部に当接することにより樹脂押縁部の移動が制限される。
【符号の説明】
【0034】
1 パネル、3 押縁、10 枠体、13 縦枠、60 金属枠部、61 縦枠基部、65 内方収容溝形成片、66 押縁係合部、70 樹脂枠部、75 対向突出部、80 金属押縁部、82 内周係合部、83 外周係合片、90 樹脂押縁部
図1
図2
図3
図4
図5