(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168003
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ゴム発泡体の製造方法、ゴム発泡体、及び該ゴム発泡体の用途
(51)【国際特許分類】
C08J 9/04 20060101AFI20241128BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20241128BHJP
B29C 44/36 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J9/04 CEQ
C08J9/04 CES
B29C44/00 C
B29C44/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084376
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】辻陽介
【テーマコード(参考)】
4F074
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA22
4F074AA25
4F074AA98
4F074AC02
4F074AC26
4F074AD01
4F074AD09
4F074AG01
4F074AG02
4F074AG11
4F074BA13
4F074BA28
4F074BB05
4F074BB06
4F074BB29
4F074CA30
4F074DA02
4F074DA08
4F074DA09
4F074DA23
4F074DA32
4F074DA33
4F074DA39
4F074DA40
4F074DA57
4F214AA19A
4F214AA45
4F214AB02
4F214AB03
4F214AG20
4F214UA07
4F214UB01
4F214UD11
4F214UF01
4F214UR09
4F214UW02
(57)【要約】
【課題】低硬度、かつ、高い平滑性を有するゴム発泡体を製造する技術を提供すること。
【解決手段】ゴム成分、及びエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA:Ethylene-Vinyl Acetate)を含有するゴム発泡体製造用組成物を、プレス加硫及び発泡させる1次加硫発泡工程と、前記1次加硫発泡工程を経た前記ゴム発泡体製造用組成物を、オーブン加硫及び発泡させる2次加硫発泡工程と、を有する、アスカーF硬度が74未満のゴム発泡体の製造方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分、及びエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA:Ethylene-Vinyl Acetate)を含有するゴム発泡体製造用組成物を、プレス加硫及び発泡させる1次加硫発泡工程と、
前記1次加硫発泡工程を経た前記ゴム発泡体製造用組成物を、オーブン加硫及び発泡させる2次加硫発泡工程と、
を有する、アスカーF硬度が74未満のゴム発泡体の製造方法。
【請求項2】
前記ゴム発泡体製造用組成物中の前記エチレン-酢酸ビニル共重合体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して50質量部以下である、請求項1に記載のゴム発泡体の製造方法。
【請求項3】
ゴム成分、及びエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA:Ethylene-Vinyl Acetate)を含有するゴム発泡体製造用組成物を加硫発泡させてなる、アスカーF硬度が74未満のゴム発泡体。
【請求項4】
前記ゴム発泡体製造用組成物中の前記エチレン-酢酸ビニル共重合体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して50質量部以下である、請求項3に記載のゴム発泡体。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のゴム発泡体が用いられたシール材、緩衝材、吸音材、断熱材、防振材、防塵材、又は充填材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ゴム発泡体の製造方法に関する。より詳しくは、ゴム成分及びエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA:Ethylene-Vinyl Acetate)を用いたゴム発泡体の製造方法、ゴム発泡体、及び該ゴム発泡体を用いたシール材、緩衝材、吸音材、断熱材、防振材、防塵材、及び充填材に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム成分を用いた発泡体は、建築分野、機械分野、家電分野、輸送分野、梱包分野、生活必需品や玩具、雑貨に至るまで、様々な分野で幅広く使用されている。そして、それぞれの分野や目的に応じて、品質を向上させたり、新たな機能を付与したりと、様々な開発が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1では、エチレンと炭素原子数が3個以上のα-オレフィンと非共役ジエンとの共重合体ゴムを含むゴム成分、加硫剤、及び発泡剤を含むゴム組成物の加硫発泡体からなるシール材であって、前記ゴム組成物が、更に、前記ゴム成分100質量部に対して、酸化カルシウムを7~15質量部、ステアリン酸を3~5質量部、及びステアリン酸亜鉛を3~5質量部含むことで、止水性の低下を起こすこと無く、且つ破泡処理性が悪化しない低密度化されたシール材が開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2では、エチレンと炭素原子数が3個以上のα-オレフィンと非共役ジエンとの共重合体ゴムを含むゴム成分、加硫剤、発泡剤及び熱可塑性樹脂を含む混和物を、加硫及び発泡させてなるシール材であって、前記混和物が、ゴム成分100質量部に対しステアリン酸2~4質量部、酸化カルシウム5~7質量部を含み、シール材の50%圧縮応力が100kPa以下である、低硬度、低密度でかつ優れたシール性を有するシール材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-252125号公報
【特許文献2】国際公開第2013/161920号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の通り、様々な分野で用いられるゴム成分を用いた発泡体については、多くの開発が進められているが、製造方法によっては、低硬度のゴム発泡体を製造することが困難であったり、平滑性が劣るために、製品化可能なゴム発泡体の厚みが低下するという問題があった。
【0007】
そこで、本技術では、低硬度、かつ、高い平滑性を有するゴム発泡体を製造する技術を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は、ゴム発泡体の品質を向上させる技術について、鋭意研究を行った結果、特定の樹脂を用いて、特定の条件下で二段発泡させることで、低硬度、かつ、高い平滑性を有するゴム発泡体の製造に成功し、本技術を完成させるに至った。
即ち、本技術では、まず、ゴム成分、及びエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA:Ethylene-Vinyl Acetate)を含有するゴム発泡体製造用組成物を、プレス加硫及び発泡させる1次加硫発泡工程と、
前記1次加硫発泡工程を経た前記ゴム発泡体製造用組成物を、オーブン加硫及び発泡させる2次加硫発泡工程と、
を有する、アスカーF硬度が74未満のゴム発泡体の製造方法を提供する。
本技術に係る製造方法において、前記ゴム発泡体製造用組成物中の前記エチレン-酢酸ビニル共重合体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して50質量部以下とすることができる。
【0009】
本技術では、次に、ゴム成分、及びエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA:Ethylene-Vinyl Acetate)を含有するゴム発泡体製造用組成物を加硫発泡させてなる、アスカーF硬度が74未満のゴム発泡体を提供する。
本技術に係るゴム発泡体の製造に用いる前記ゴム発泡体製造用組成物中の前記エチレン-酢酸ビニル共重合体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して50質量部以下とすることができる。
本技術に係るゴム発泡体は、シール材、緩衝材、吸音材、断熱材、防振材、防塵材、及び充填材に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、いずれの実施形態も組み合わせることが可能である。また、これらにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0011】
1.ゴム発泡体の製造方法
本技術に係るゴム発泡体の製造方法は、ゴム発泡体製造用組成物を用いて、1次加硫発泡工程及び2次加硫発泡工程を行う方法である。また、必要に応じて、混練工程、成形工程等、一般的なゴム発泡体の製造方法で行われる工程を、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に組み合わせて行うことができる。以下、本技術に係る製造方法に用いる各材料、各工程について詳細に説明する。
【0012】
(1)ゴム発泡体製造用組成物
本技術で用いられるゴム発泡体製造用組成物(以下、「本技術に係るゴム発泡体製造用組成物」ともいう)には、ゴム成分、樹脂成分、発泡剤、発泡助剤、架橋剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、充填剤、軟化剤、加工助剤及びその他目的に応じてゴム発泡体の製造に用いることが可能な各種成分を含有させることができる。
【0013】
(1-1)ゴム成分
本技術に用いるゴム成分とは加硫可能な樹脂成分であり、本技術に用いることができるゴム成分としては、本技術の作用や効果を損なわない限り、ゴム発泡体に用いることができるゴム成分を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、天然ゴム(NR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム(SI)等が挙げられる。この中でも、本技術では、環境への配慮から、ゴム成分として、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)を含有するゴム成分を用いることが好ましい。
【0014】
(1-2)樹脂成分(ゴム成分を除く)
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物には、前記ゴム成分を除く樹脂成分として、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いることを特徴とする。本技術では、EVAを用いて、後述するプレス加硫を行う1次加硫発泡工程と、オーブン加硫を行う2次加硫発泡工程とを行うことで、低硬度、かつ、高い平滑性を有するゴム発泡体を製造することができる。また、EVAは軟化点が低いため、本技術に係るゴム発泡体の製造時に、ゴム発泡体製造用組成物中に溶け残ることが少なく、その結果、製造されるゴム発泡体のピンホール不良の発生を抑制することができる。
【0015】
EVAの酢酸ビニル率は、本技術の作用や効果を損なわない限り特に限定されない。EVAの酢酸ビニル率の下限値は、例えば、1%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは20%以上である。EVAの酢酸ビニル率の下限値をこの範囲にすることで、より低硬度のゴム発泡体を製造することができると共に、EVAの未溶融に起因するゴム発泡体のピンホール不良の発生を抑制することができる。EVAの酢酸ビニル率の上限値は、例えば、60%以下、好ましくは40%以下である。EVAの酢酸ビニル率の上限値をこの範囲にすることで、ゴム成分との相溶性の低下を防止することができ、相溶性低下に伴う発泡性の低下も防止することができる。また、ロール加工性の低下も防止することができる。
【0016】
本技術に係るゴム発泡体中のEVAの含有量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、ゴム発泡体中のEVAの含有量の下限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。ゴム発泡体中のEVAの含有量の下限値をこの範囲とすることにより、発泡体製造時の発泡性を向上すると共に、ゴム発泡体の物性やスライス加工性を向上させることができる。
【0017】
ゴム発泡体中のEVAの含有量の上限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば50質量部以下、好ましくは45質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは30質量部未満である。ゴム発泡体中のEVAの含有量の上限値をこの範囲とすることにより、ゴム発泡体のピンホール不良の発生を抑制することができる。
【0018】
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物には、EVAの他に、本技術の作用や効果を損なわない範囲で他の樹脂(ゴム成分を除く)やエラストマー等のEVA以外の樹脂が含まれていてもよい。EVA以外の樹脂やエラストマーとしては、EVA以外のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0019】
(1-3)発泡剤
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物には、発泡剤を用いることができる。本技術に用いることができる発泡剤としては、本技術の作用や効果を損なわない限り、ゴム発泡体に用いることができる発泡剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0020】
本技術に用いることができる発泡剤としては、例えば、有機系又は無機系の熱分解型化学発泡剤を用いることができる。有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ化合物、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。無機系発泡剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
【0021】
この中でも、本技術では、発泡剤として有機系発泡剤を用いることが好ましく、有機系発泡剤の中でも、アゾジカルボンアミド(ADCA)を用いることが好ましい。ADCAは、扱いやすく、人体や環境への影響も少ないからである。
【0022】
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物に用いる発泡剤の量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、ゴム発泡体製造用組成物中の発泡剤の量の下限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1.0質量部以上、好ましくは3.0質量部以上、より好ましくは5.0質量部以上である。用いる発泡剤の量の下限値をこの範囲とすることにより、発泡体を低密度化することができる。
【0023】
本技術では、ゴム発泡体製造用組成物中の発泡剤の量の上限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、40質量部以下、好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。用いる発泡剤の量の上限値をこの範囲とすることにより、発泡過剰による成形不良を抑制することができ、また、コスト削減に貢献することもできる。
【0024】
(1-4)発泡助剤
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物には、発泡助剤を用いることができる。本技術に用いることができる発泡助剤としては、本技術の作用や効果を損なわない限り、ゴム発泡体に用いることができる発泡助剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0025】
本技術に用いることができる発泡助剤としては、例えば、尿素等の尿素系助剤、金属酸化物、及び脂肪酸金属塩が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、酸化鉛、二塩基性亜リン酸鉛、及び三塩基性硫酸鉛が挙げられる。脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸カルシウムが挙げられる。この中でも、本技術では、発泡助剤として尿素を用いることが好ましい。
【0026】
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物に用いる発泡助剤の量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。ゴム発泡体製造用組成物中の発泡助剤の量の下限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上である。発泡助剤の量の下限値をこの範囲とすることにより、製造時の発泡速度を調整することにより発泡性を向上させることができる。
【0027】
ゴム発泡体製造用組成物中の発泡助剤の量の上限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、8.0質量部以下、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下である。用いる発泡助剤の量の上限値をこの範囲とすることにより、製造時の発泡速度を調整することにより発泡性を向上し、また、コスト削減に貢献することもできる。
【0028】
(1-5)架橋剤
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物には、架橋剤を用いることができる。本技術に用いることができる架橋剤としては、本技術の作用や効果を損なわない限り、ゴム発泡体に用いることができる架橋剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0029】
本技術に用いることができる架橋剤としては、硫黄架橋を行うための硫黄系架橋剤を用いることができる。本技術に用いることができる硫黄系架橋剤としては、例えば、粉末硫黄、オイル処理粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、分散性硫黄等の硫黄や、架橋条件で活性硫黄を放出してゴムを架橋させることができる、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N-ジチオビスモルホリン等の有機含硫黄化合物が挙げられる。この中でも、本技術では硫黄系架橋剤として、硫黄を用いることが好ましい。
【0030】
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物に用いる架橋剤の量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。ゴム発泡体製造用組成物中の架橋剤の量の下限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.2質量部以上、好ましくは0.4質量部以上、より好ましくは0.6質量部以上である。架橋剤の量の下限値をこの範囲とすることにより、十分な架橋密度となるため、発泡性を向上させることができる。また、ゴム発泡体の機械的特性を向上させることができる。
【0031】
ゴム発泡体製造用組成物中の架橋剤の量の上限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、10.0質量部以下、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下である。架橋剤の量の上限値をこの範囲とすることにより、成形品のブルームを抑制することができる。
【0032】
(1-6)架橋促進剤
本技術に係るゴム発泡体を製造するためのゴム発泡体製造用組成物には、架橋促進剤を用いることができる。本技術に用いることができる架橋促進剤としては、本技術の作用や効果を損なわない限り、ゴム発泡体に用いることができる架橋促進剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0033】
本技術に用いることができる架橋促進剤としては、例えば、チアゾール類(例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等)、ジチオカルバミン酸類(例えば、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等)、グアニジン類(例えば、ジフェニルグアニジン、ジ-o-トリルグアニジン等)、スルフェンアミド類(例えば、ベンゾチアジル-2-ジエチルスルフェンアミド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等)、チウラム類(例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等)、キサントゲン酸類(例えば、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛等)、アルデヒドアンモニア類(例えば、アセトアルデヒドアンモニア、ヘキサメンチレンテトラミン等)、アルデヒドアミン類(例えば、n-ブチルアルデヒドアニリン、ブチルアルデヒドモノブチルアミン等)、チオウレア類(例えば、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレアなど)、ジチオフォスファイド系架橋促進剤等が挙げられる。この中でも、本技術では、発泡速度と加硫速度のタイミング調整などの観点から、チアゾール類、チオウレア類、ジチオカルバミン酸類、スルフェンアミド類を用いることが好ましい。
【0034】
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物に用いる架橋促進剤の量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。ゴム発泡体製造用組成物中の架橋促進剤の量の下限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。架橋促進剤の量の下限値をこの範囲とすることにより、架橋速度を上げてガス抜けを抑制し、製造時の発泡性を向上させることができる。また、ゴム発泡体の機械的特性を向上させることができる。
【0035】
ゴム発泡体製造用組成物中の架橋促進剤の量の上限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、15質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。架橋促進剤の量の上限値をこの範囲とすることにより、架橋速度が上がり過ぎることによって未発泡となることを防ぎ、成形性を向上させることができる。
【0036】
(1-7)架橋促進助剤
本技術に係るゴム発泡体を製造するためのゴム発泡体製造用組成物には、架橋促進助剤を用いることができる。本技術に用いることができる架橋促進助剤としては、本技術の作用や効果を損なわない限り、ゴム発泡体に用いることができる架橋促進助剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0037】
本技術に用いることができる架橋促進助剤としては、例えば、酸化亜鉛(滑性亜鉛華)、酸化マグネシウム等の金属酸化物が挙げられる。この中でも、本技術では、発泡速度と加硫速度のタイミング調整などの観点から、酸化亜鉛を用いることが好ましい。
【0038】
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物に用いる架橋促進助剤の量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。ゴム発泡体製造用組成物中の架橋促進助剤の量の下限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。架橋促進助剤の量の下限値をこの範囲とすることにより、架橋速度を上げてガス抜けを抑制し、製造時の発泡性を向上させることができる。また、ゴム発泡体の機械的特性を向上させることができる。
【0039】
ゴム発泡体製造用組成物中の架橋促進助剤の量の上限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、15質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。架橋促進助剤の量の上限値をこの範囲とすることにより、架橋速度が上がり過ぎることによって未発泡となることを防ぎ、成形性を向上させることができる。また、コスト削減にも貢献できる。
【0040】
(1-8)充填剤
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物には、充填剤を用いることができる。本技術に用いることができる充填剤としては、本技術の作用や効果を損なわない限り、ゴム発泡体に用いることができる充填剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0041】
本技術に用いることができる充填剤としては、例えば、重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸、及びその塩類、クレー、タルク、雲母粉、ベントナイト、シリカ、アルミナ、アルミニウムシリケート、アルミニウム粉等の無機系充填剤が挙げられる。この中でも、本技術では、炭酸カルシウムを用いることが好ましい。
【0042】
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物に用いる充填剤の量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。ゴム発泡体製造用組成物中の充填剤の量の下限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは20質量部以上、より好ましく40質量部以上である。充填剤の量の下限値をこの範囲とすることにより、コスト削減に貢献することができる。
【0043】
ゴム発泡体製造用組成物中の充填剤の量の上限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、250質量部以下、好ましくは200質量部以下、より好ましくは180質量部以下である。充填剤の量の上限値をこの範囲とすることにより、ゴム発泡体の機械的特性を向上させると共に、発泡性の低下等を抑制することができる。
【0044】
(1-9)顔料
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物には、顔料を用いることができる。本技術に用いることができる顔料としては、本技術の作用や効果を損なわない限り、ゴム発泡体に用いることができる顔料を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。本技術に用いることができる顔料としては、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。
【0045】
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物に用いる顔料の量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。ゴム発泡体製造用組成物中の顔料の量の下限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは25質量部以上、より好ましくは40質量部以上である。顔料の量の下限値をこの範囲とすることにより、製造時の練り性を向上させると共に、ゴム発泡体の機械的強度を向上させることができる。
【0046】
ゴム発泡体製造用組成物中の顔料の量の上限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、90質量部以下、好ましくは80質量部以下、より好ましくは70質量部以下である。顔料の量の上限値をこの範囲とすることにより、低硬度化することができる。
【0047】
(1-10)軟化剤
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物には、軟化剤を用いることができる。本技術に用いることができる軟化剤としては、本技術の作用や効果を損なわない限り、ゴム発泡体に用いることができる軟化剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0048】
本技術に用いることができる軟化剤としては、例えば、可塑剤、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、ワックス、流動パラフィン、ロジン、クロマン樹脂、ポリブテン、アスファルト等が挙げられる。この中でも、本技術では、パラフィン系プロセスオイルを用いることが好ましい。
【0049】
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物に用いる軟化剤の量は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。ゴム発泡体製造用組成物中の軟化剤の量の下限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは15質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。軟化剤の量の下限値をこの範囲とすることにより、より低硬度のゴム発泡体を製造することができる。
【0050】
ゴム発泡体製造用組成物中の軟化剤の量の上限値は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、100質量部以下、好ましくは95質量部以下、より好ましくは90質量部以下である。軟化剤の量の上限値をこの範囲とすることにより、製造時の練り性を向上させることができる。
【0051】
(1-11)加工助剤
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物には、加工助剤を含有させることができる。加工助剤を用いることで、製造時の加工性を向上させることができる。
【0052】
本技術に用いることができる加工助剤は、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、一般的なゴム組成物に用いることが可能な加工助剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。本技術に用いることができる加工助剤としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪族アルコール、脂肪酸の金属塩等が挙げられる。
【0053】
本技術に係るゴム発泡体製造用組成物に用いる加工助剤の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。ゴム発泡体製造用組成物中の加工助剤の量の下限値としては、ゴム成分100質量部に対して、例えば0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上に設定することができる。加工助剤の量の下限値をこの範囲に設定することで、製造時の練り加工性をより向上させることができる。
【0054】
ゴム発泡体製造用組成物中の加工助剤の量の上限値としては、ゴム成分100質量部に対して、例えば10質量部以下、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下に設定することができる加工助剤の含有量の上限値をこの範囲に設定することで、製造されるゴム発泡体の強度が低下するのを防止することができる。
【0055】
(1-12)その他
本技術に係るゴム発泡体を製造するためのゴム発泡体製造用組成物には、本技術の作用や効果を損なわない限り、その他の成分として、ゴム発泡体に用いることができる各種成分を、目的に応じて1種又は2種以上自由に選択して用いることができる。
【0056】
本技術に係るゴム発泡体に用いることができる成分としては、例えば、整泡剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、分散剤、紫外線吸収剤、難燃剤等を挙げることができる。
【0057】
(2)混練工程
本技術に係る製造方法では、混練工程を行うことができる。混練工程は、前述したゴム発泡体製造用組成物の原材料を混錬する工程である。具体的には、ゴム発泡体製造用組成物の原材料の全部又は一部を、ニーダー、バンバリー、ロール等の混練り機を用いて混練することができる。
【0058】
混練工程は、複数の段階に分けて行うことも可能である。具体的には、例えば、架橋剤、架橋促進剤、発泡剤、発泡助剤等以外を先に一次混練し、その後、得られた一次混練物に、架橋剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、発泡剤、発泡助剤等を加えて二次混練する等、複数の段階に分けて混練することができる。
【0059】
二次に分けて混練する場合、一次混練の条件は、例えば、温度50℃~180℃等、混練時間3分~30分等に設定することができる。また、二次混練の条件は、例えば、温度20℃~80℃等、混練時間3分~30分等に設定することができる。
【0060】
(3)1次加硫発泡工程
1次加硫発泡工程は、ゴム発泡体製造用組成物を、プレス加硫及び発泡させる工程である。本技術において「プレス加硫」とは、ゴム発泡体製造用組成物に圧力をかけた状態で加硫する工法である。本技術に係る製造方法では、1次加硫発泡工程においてプレス加硫を行うことにより、平滑性の高いゴム発泡体を製造することができる。なお、プレス加硫及び発泡は、同時に行っても、異なる条件下で順次行うこともできる。
【0061】
1次加硫発泡工程における各種条件は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。温度条件としては、例えば100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは125℃以上である。温度の下限値をこの範囲とすることにより、製造容易性の向上に寄与することができる。また、温度の上限値としては、例えば200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下である。温度の上限値をこの範囲とすることにより、エネルギー削減に寄与することができる。加熱方法としては、プレス加硫及び発泡を行うことができれば特に限定されない。例えば、熱空気加硫槽(HAV)を用いた加熱、ガラスビーズ流動床を用いた加熱、マイクロ波加硫装置(UHF)を用いた加熱、スチーム加熱等の加熱方法を自由に組み合わせて用いることができる。
【0062】
圧力条件としては、例えば、0.1MPa以上、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上、更に好ましくは0.6MPa以上である。圧力の下限値をこの範囲とすることにより、発泡性、及び製造容易性を向上させることができる。圧力の上限値としては、例えば20MPa以下、好ましくは18MPa以下、より好ましくは17MPa以下である。圧力の上限値をこの範囲とすることにより、エネルギー削減に寄与することができる。
【0063】
時間条件としては、例えば1分以上、好ましくは2分以上、より好ましくは5分以上、更に好ましくは6分以上である。時間の下限値をこの範囲とすることにより、発泡性、及び製造容易性を向上させることができる。時間の上限値としては、例えば100分以下、好ましくは50分以下、より好ましくは40分以下、更に好ましくは30分以下、特に好ましくは10分以下である。時間の上限値をこの範囲とすることにより、製造効率を向上させると共に、より低硬度のゴム発泡体を製造することができる。
【0064】
(4)2次加硫発泡工程
2次加硫発泡工程は、ゴム発泡体製造用組成物を、オーブン加硫及び発泡させる工程である。本技術において「オーブン加硫」とは、槽中を蒸気で高温にした状態で、ゴム発泡体製造用組成物に圧力をかけずに加硫する工法である。本技術に係る製造方法では、2次加硫発泡工程においてオーブン加硫を行うことにより、低硬度のゴム発泡体を製造することができる。なお、オーブン加硫及び発泡は、同時に行っても、異なる条件下で順次行うこともできる。
【0065】
2次加硫発泡工程における各種条件は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。温度条件としては、例えば100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは125℃以上である。温度の下限値をこの範囲とすることにより、製造されるゴム発泡体の低密度化に寄与することができる。また、温度の上限値としては、例えば220℃以下、好ましくは210℃以下、より好ましくは200℃以下である。温度の上限値をこの範囲とすることにより、エネルギー削減に寄与することができる。加熱方法としては、前述した1次加硫発泡工程と同様であるため、ここでは説明を割愛する。
【0066】
時間条件としては、例えば1分以上、好ましくは2分以上、より好ましくは5分以上、更に好ましくは6分以上である。時間の下限値をこの範囲とすることにより、発泡性、及び製造容易性を向上させることができる。時間の上限値としては、例えば70分以下、好ましくは60分以下、より好ましくは50分以下である。時間の上限値をこの範囲とすることにより、製造効率を向上させることができる。
【0067】
(5)成形工程
本技術に係る製造方法では、成形工程を行うことができる。成形工程は、前述した1次加硫発泡工程及び2次加硫発泡工程を経たゴム発泡体を、耳切りしたり、スライスしたりして、所望の形態に加工する工程である。前述した1次加硫発泡工程及び2次加硫発泡工程を経て製造されたゴム発泡体は、高い平滑性を有するため、成形工程におけるロスを低減できるといった特徴を有する。
【0068】
成形工程の具体的な方法は、本技術の作用や効果を損なわない限り特に限定されず、一般的なゴム発泡体の製造に用いることができる成形方法を自由に組み合わせて用いることができる。
【0069】
2.ゴム発泡体
本技術に係るゴム発泡体は、前述した本技術に係るゴム発泡体製造用組成物を加硫発泡させてなるゴム発泡体である。なお、本技術に係るゴム発泡体を製造するためのゴム発泡体製造用組成物は、前述と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
【0070】
(1)アスカー硬度
本技術に係るゴム発泡体は、アスカーF硬度が74未満であることを特徴とする。本技術に係るゴム発泡体のアスカーF硬度は74未満であればよいが、好ましくは70以下、より好ましくは65以下、更に好ましくは60以下、特に好ましくは50以下である。本技術に係るゴム発泡体のアスカーF硬度の下限値は、用途や目的に合わせて自由に設定することができる。なお、本技術において、アスカーF硬度は、JIS K7312:1996に基づく方法に準拠して測定した値である。
【0071】
(2)密度
本技術に係るゴム発泡体の密度は、本技術の作用や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術に係るゴム発泡体の密度の下限値として、例えば0.01g/cm3以上、好ましくは0.03g/cm3以上、より好ましくは0.05g/cm3以上である。本技術に係るゴム発泡体の密度の上限値としては、例えば0.20g/cm3以下、好ましくは0.17g/cm3以下、より好ましくは0.15g/cm3以下である。なお、本技術において、密度は、JIS K6767:1999に基づく方法に準拠して測定した値である。
【0072】
3.ゴム発泡体の用途
本技術に係るゴム発泡体は、その品質の高さを利用して、あらゆる分野であらゆる用途に用いることができる。例えば、シール材、緩衝材、吸音材、断熱材、防振材、防塵材、充填材等の用途に用いることができる。分野としては、建築分野、車両分野、航空機分野、輸送分野、家電分野、電子機器分野、梱包分野、包装分野、生活用品分野、衣料分野、医療分野、家具分野、寝具分野、生活雑貨分野、化粧品分野等、あらゆる分野で用いることができる。
【実施例0073】
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0074】
本実施例では、製造方法の違いや用いる原料の違いによるゴム発泡体の物性への影響ついて検討した。
【0075】
(1)ゴム発泡体の製造
[実施例1]~[実施例10]、[比較例1]
下記表1に示す各ゴム発泡体原料を混合し、ロール練りを行った後、下記表1に示す条件で加熱・加圧を行い、加硫及び発泡させる1次加硫発泡を行った。次いで、下記表1に示す条件で加熱を行い、加硫及び発泡させる2次加硫発泡を行って、ゴム発泡体を製造した。
【0076】
[比較例2]
下記表1に示す各ゴム発泡体原料を混合し、ロール練りを行った後、下記表1に示す条件で加熱・加圧を行い、加硫及び発泡させる1次加硫発泡を行った。次いで、下記表1に示す条件で加熱・加圧を行い、加硫及び発泡させる2次加硫発泡を行って、ゴム発泡体を製造した。
【0077】
[参考例1]
下記表1に示す各ゴム発泡体原料を混合し、ロール練りを行った後、下記表1に示す条件で加熱を行い、加硫及び発泡させて、ゴム発泡体を製造した。
【0078】
(2)物性の測定
製造したゴム発泡体について、下記の方法を用いて各物性の評価を行った。
【0079】
[密度]
密度は、JIS K6767:1999に基づく方法に準拠して測定した。
【0080】
[アスカーF硬度]
アスカーF硬度は、JIS K7312:1996に基づく方法に準拠して測定した。
【0081】
[25%圧縮荷重]
25%圧縮荷重は、下記の方法にて測定した。
(a)相対する面が平行になるように、厚さ12mm以上にスライスし、大きさ100×100mmにカットした試験片を3個用意した。
(b)荷重-タワミ、チャートグラフの取れるオートグラフを用い、25%圧縮するのに要した荷重を求めた。圧縮速度は、50mm/minとした。
(c)圧縮荷重は、下記の式で算出した。
25%圧縮荷重(kPa)=(F25(N)/S(cm2))×10
F25:25%圧縮時の全荷重(N)(チャートグラフを読み取った)
S:試験片の圧縮面の面積(cm2)
(d)測定値は、3個の試験片の圧縮荷重の平均値とした。
【0082】
(3)評価
発泡性、低硬度性、平滑性、ピンホール不良、生産難易度について、下記の評価基準に基づいて、評価を行った。
【0083】
[発泡性]
発泡後の成形状態を目視にて確認した。
A:問題なし
B:小寸または反りがある
C:表面にエア混入による凹凸がある
D:全く膨らんでいない
【0084】
[低硬度性]
A:アスカーF硬度60以下
B:アスカーF硬度61~70
C:アスカーF硬度71~80
D:アスカーF硬度81以上
【0085】
[平滑性]
A:中心部と端部との厚み差が3.0mm以下
B:中心部と端部との厚み差が3.1~6.0mm
C:中心部と端部との厚み差が6.1~9.0mm
D:中心部と端部との厚み差が9.1mm以上
【0086】
[ピンホール不良]
製造したゴム発泡体の1m2当たりピンホールの大きさ及び数について、下記の基準で評価した。
1.大きさφ4mm以上のピンホールがない
2.大きさφ3mm以上φ4mm未満のピンホール:両面で6個以下
3.大きさφ1mm以上φ3mm未満のピンホール:両面で12個以下
4.ピンホールが両面合計14個以下
A:1~4を全て満たす
B:1~2を満たすが、3~4は満たさない
C:1を満たすが、2~4は満たさない
D:全て満たさない
【0087】
[生産難易度]
A:問題なし
B:1次加硫発泡後の取り出し時の離形性は悪いが、ヘラは使わず取り出せる
C:1次加硫発泡後の取り出し時の離形性がかなり悪く、ヘラを使う必要があるため、製品不良となる
D:発泡できない
【0088】
【0089】
(5)考察
表1に示す通り、EVAを用いなかった比較例1は、アスカーF硬度が74以上であった。また、EVAを用いた場合でも、1次加硫発泡工程及び2次加硫発泡工程のいずれにおいてもプレス加硫を行った比較例2は、アスカーF硬度が非常に高くなってしまった。一方、1次加硫発泡工程及び2次加硫発泡工程のいずれにおいてもオーブン加硫を行った参考例1は、アスカーF硬度を低くすることができるが、平滑性が失われてしまった。これに対し、EVAを用いて、1次加硫発泡工程ではプレス加硫を、2次加硫発泡工ではオーブン加硫を行った実施例1~10は、アスカーF硬度が74未満であり、平滑性も良好であった。
【0090】
実施例1~10の中で比較すると、酢酸ビニル率が5%のEVAを用いた実施例2に比べて、酢酸ビニル率が28%のEVAを用いた実施例1の方が、より低硬度であった。この結果から、酢酸ビニル率が比較的高いEVAを用いることにより、製造されたゴム発泡体の硬度をより低下させることができることが分かった。
【0091】
ゴム成分100質量部に対してEVAを30質量部用いた実施例3に比べて、ゴム成分100質量部に対してEVAを20質量部用いた実施例1の方が、ピンホール不良の評価が向上していた。この結果から、EVAの含有量をゴム成分100質量部に対して30質量部未満にすることで、ピンホール不良をより低減できることが分かった。
【0092】
1次加硫発泡工程の圧力を実施例1に比べて低く設定した実施例4や時間を実施例1に比べて短く設定した実施例5は、実施例1に比べて、発泡性及び生産難易度の評価が劣っていた。この結果から、1次加硫発泡工程の圧力を低くしたり、時間を短くすると、生産容易性が低下する場合があることが分かった。一方、1次加硫発泡工程の時間を実施例1に比べて長く設定した実施例6は、実施例1に比べて、高硬度であった。この結果から、1次加硫発泡工程の時間を長くすると、製造されたゴム発泡体の硬度が高くなる場合があることが分かった。
【0093】
1次加硫発泡工程の温度を上げた実施例7及び実施例8は、全ての評価が実施例1の評価と同等で優れていた。この結果から、1次加硫発泡工程の温度を6度程度上昇させても、製造されたゴム発泡体の品質や生産難易度への影響は少ないことが分かった。一方、1次加硫発泡工程の温度を実施例1に比べて低く設定した実施例9及び実施例10は、生産難易度の評価が低下していた。この結果から、1次加硫発泡工程の温度を低く設定すると、生産容易性が低下する場合があることが分かった。