(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168012
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】媒体加熱装置及び記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 125
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084388
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】金子 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】柴田 洋平
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056FA10
2C056HA29
2C056HA33
2C056HA47
(57)【要約】
【課題】結露によりガイドバーに生じる液滴によって、媒体が汚損されるおそれを低減できる媒体加熱装置及び記録装置を提供する。
【解決手段】媒体加熱装置20は、液体が吐出された媒体99を加熱する加熱部51と、加熱部によって加熱された媒体を巻き取る巻取部46と、加熱部と巻取部との間で媒体が巻き掛けられ、媒体を巻取部にガイドするガイドバー61と、を備え、加熱部は、媒体のうち液体が吐出された面と対向する熱源52と、媒体のうち液体が吐出された面に空気を吹き付ける吹付部53と、を有し、ガイドバーは、媒体のうち液体が吐出された面に接触し、回転可能に構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が吐出された媒体を加熱する加熱部と、
前記加熱部によって加熱された媒体を巻き取る巻取部と、
前記加熱部と前記巻取部との間で媒体が巻き掛けられ、媒体を前記巻取部にガイドするガイドバーと、を備え、
前記加熱部は、
媒体のうち液体が吐出された面と対向する熱源と、
媒体のうち液体が吐出された面に空気を吹き付ける吹付部と、を有し、
前記ガイドバーは、
媒体のうち液体が吐出された面に接触し、
回転可能に構成されることを特徴とする媒体加熱装置。
【請求項2】
前記ガイドバーを回転させる駆動部と、
媒体に吐出された液量に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体加熱装置。
【請求項3】
前記ガイドバーを覆うカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記ガイドバーに沿って移動するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の媒体加熱装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、液体を吸収する吸収材を有することを特徴とする請求項3に記載の媒体加熱装置。
【請求項5】
前記ガイドバーに接触することによって液体を吸収する吸収ローラーを備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体加熱装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の媒体加熱装置と、
媒体に液体を吐出することによって媒体に画像を記録する記録部と、を備えることを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体加熱装置及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体を吐出された媒体を加熱する加熱部と、加熱された媒体が巻き掛けられるガイドバーと、ガイドバーによってガイドされる媒体を巻き取る巻取部とを備える媒体加熱装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした媒体加熱装置においては、加熱部に加熱されることによって媒体から蒸発した液体の蒸気がガイドバーに付着することがある。これにより、ガイドバーに結露が生じることがある。結露によってガイドバーに生じる液滴が大きくなると、液滴が媒体に付着することによって媒体が汚損されるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する媒体加熱装置は、液体が吐出された媒体を加熱する加熱部と、前記加熱部によって加熱された媒体を巻き取る巻取部と、前記加熱部と前記巻取部との間で媒体が巻き掛けられ、媒体を前記巻取部にガイドするガイドバーと、を備え、前記加熱部は、媒体のうち液体が吐出された面と対向する熱源と、媒体のうち液体が吐出された面に空気を吹き付ける吹付部と、を有し、前記ガイドバーは、媒体のうち液体が吐出された面に接触し、回転可能に構成される。
【0006】
上記課題を解決する記録装置は、上記媒体加熱装置と、媒体に液体を吐出することによって媒体に画像を記録する記録部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、媒体加熱装置を備える記録装置の一例を示す側面図である。
【
図3】
図3は、記録装置の変更例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、媒体加熱装置を備える記録装置の一実施例について図を参照しながら説明する。記録装置は、例えば、用紙、布帛の媒体に液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真などの画像を記録するインクジェット式のプリンターである。
【0009】
<記録装置>
図1及び
図2に示すように、記録装置11は、記録部12を備える。記録部12は、媒体99に画像を記録するように構成される。詳しくは、記録部12は、媒体99に液体を吐出することによって、媒体99に画像を記録する。記録部12は、第1方向D1に搬送される媒体99に画像を記録する。第1方向D1は、記録装置11の後方から前方に向かう方向である。
【0010】
記録部12は、ヘッド13を有する。ヘッド13は、1以上のノズル14が開口するノズル面15を有する。ノズル面15は、媒体99と対向する。ヘッド13は、ノズル14から液体を吐出する。
【0011】
記録部12は、キャリッジ16を有する。キャリッジ16は、ヘッド13を搭載する。一例では、キャリッジ16は、媒体99に対して走査する。すなわち、キャリッジ16は、第1方向D1と異なる第2方向D2に移動する。詳しくは、キャリッジ16は、第2方向D2及びその反対方向に往復移動する。これにより、ヘッド13は、媒体99の幅にわたって液体を吐出可能である。したがって、記録装置11は、シリアルプリンターである。記録装置11は、媒体99の幅にわたって一斉に液体を吐出可能なラインプリンターでもよい。
【0012】
記録部12は、第2方向D2及びその反対方向に往復移動することによって、メンテナンスポジションP1と、清掃ポジションP2との間で変位する。一例では、記録部12は、第2方向D2に移動することによって、メンテナンスポジションP1から清掃ポジションP2に変位する。
図2において1点鎖線で示す2つの記録部12は、それぞれメンテナンスポジションP1及び清掃ポジションP2に位置する。
【0013】
メンテナンスポジションP1では、後述するメンテナンスユニット65によって記録部12がメンテナンスされる。すなわち、メンテナンスポジションP1は、記録部12がメンテナンスユニット65に接近する位置である。清掃ポジションP2では、例えばユーザーによって記録部12が清掃される。すなわち、清掃ポジションP2は、ユーザーが記録部12にアクセスしやすい位置である。
【0014】
記録装置11は、媒体加熱装置20を備える。媒体加熱装置20は、液体が吐出された媒体99を加熱するように構成される。媒体加熱装置20は、媒体99を加熱することによって、媒体99を乾燥させる。媒体99が乾燥することによって、媒体99に記録された画像が定着する。媒体加熱装置20においては、媒体99が加熱されることによって、媒体99に吐出された液体の蒸気が媒体99から発生する。蒸気は、液体を構成する水分、溶剤などを含む。
【0015】
<媒体加熱装置>
媒体加熱装置20は、脚部21を備える。脚部21は、媒体加熱装置20が設置される設置面に接触する。媒体加熱装置20は、筐体22を備える。筐体22は、例えば、記録部12を収容する。媒体加熱装置20は、フレーム23を備える。フレーム23は、板金で構成される。フレーム23は、脚部21に取り付けられる。フレーム23は、脚部21の上方に位置する。フレーム23に、筐体22が取り付けられる。フレーム23は、媒体加熱装置20が備える種々の構成を支持する。
【0016】
フレーム23は、メインフレーム24を有する。メインフレーム24は、後述する制御部66を収容するフレームである。メインフレーム24は、制御部66が位置する空間を画定する。メインフレーム24は、脚部21に取り付けられる。
【0017】
メインフレーム24は、複数の面を有する。メインフレーム24は、例えば、前面25と、後面26と、第1側面27と、第2側面28とを有する。前面25は、媒体加熱装置20の前方を向く面である。一例では、前面25は、第1方向D1を向く。後面26は、前面25と反対の面である。後面26は、第1方向D1と反対を向く。第1側面27は、前面25及び後面26と繋がる側面である。一例では、第1側面27は、第2方向D2と反対を向く。第2側面28は、前面25及び後面26と繋がる側面である。第2側面28は、第1側面27と反対を向く。第2側面28は、第2方向D2を向く。
【0018】
フレーム23は、1以上のサブフレームを有する。一例では、フレーム23は、2つのサブフレームを有する。例えば、フレーム23は、第1サブフレーム31と、第2サブフレーム32とを有する。サブフレームは、メインフレーム24に取り付けられる。サブフレームは、メインフレーム24と第2方向D2に並ぶ。詳しくは、第1サブフレーム31、メインフレーム24、及び、第2サブフレーム32は、第2方向D2にこの順で並ぶ。第1サブフレーム31及び第2サブフレーム32は、メインフレーム24を第2方向D2で挟む。
【0019】
第1サブフレーム31は、メインフレーム24に取り付けられる。一例では、第1サブフレーム31は、第1側面27に取り付けられる。第1サブフレーム31は、例えば、メンテナンスポジションP1を確保するフレームである。第1サブフレーム31の上方が、メンテナンスポジションP1である。第1サブフレーム31は、メンテナンスユニット65を支持する。
【0020】
第1サブフレーム31は、廃液タンクT1を収容する。廃液タンクT1は、メンテナンスユニット65と接続される。廃液タンクT1は、メンテナンスユニット65が受けた液体を貯留する。廃液タンクT1は、第1サブフレーム31に対して交換可能である。
【0021】
第1サブフレーム31は、複数の面を有する。第1サブフレーム31は、例えば、第1前面33と、第1後面34と、第1対向側面35と、第1非対向側面36とを有する。第1前面33は、媒体加熱装置20の前方を向く面である。一例では、第1前面33は、第1方向D1を向く。第1後面34は、第1前面33と反対を向く面である。第1後面34は、第1方向D1と反対を向く。第1対向側面35は、第1前面33及び第1後面34と繋がる側面である。第1対向側面35は、メインフレーム24と対向する。詳しくは、第1対向側面35は、第1側面27と対向する。第1対向側面35は、第1側面27と接触する。一例では、第1対向側面35は、第2方向D2を向く。第1非対向側面36は、第1前面33及び第1後面34と繋がる側面である。第1非対向側面36は、第1対向側面35と反対を向く。第1非対向側面36は、メインフレーム24と対向しない。第1非対向側面36は、第2方向D2の反対を向く。
【0022】
第2サブフレーム32は、メインフレーム24に取り付けられる。一例では、第2サブフレーム32は、第2側面28に取り付けられる。第2サブフレーム32は、例えば、清掃ポジションP2を確保するフレームである。第2サブフレーム32の上方が、清掃ポジションP2である。
【0023】
第2サブフレーム32は、複数の面を有する。第2サブフレーム32は、例えば、第2前面37と、第2後面38と、第2対向側面39と、第2非対向側面40とを有する。第2前面37は、媒体加熱装置20の前方を向く面である。一例では、第2前面37は、第1方向D1を向く。第2後面38は、第2前面37と反対を向く面である。第2後面38は、第1方向D1と反対を向く。第2対向側面39は、第2前面37及び第2後面38と繋がる側面である。第2対向側面39は、メインフレーム24と対向する。詳しくは、第2対向側面39は、第2側面28と対向する。第2対向側面39は、第2側面28と接触する。一例では、第2対向側面39は、第2方向D2の反対方向を向く。第2非対向側面40は、第2前面37及び第2後面38と繋がる側面である。第2非対向側面40は、第2対向側面39と反対を向く。第2非対向側面40は、メインフレーム24と対向しない。第2非対向側面40は、第2方向D2を向く。
【0024】
図1に示すように、媒体加熱装置20は、繰出部41を備えてもよい。繰出部41は、媒体99を繰り出すように構成される。詳しくは、繰出部41は、記録前の媒体99を繰り出す。繰出部41は、フレーム23に取り付けられる。繰出部41は、例えば、メインフレーム24に取り付けられる。繰出部41は、繰出軸42を有する。繰出軸42は、媒体99が巻き重ねられたロール体R1を回転可能に支持する。繰出軸42が回転することによって、ロール体R1から媒体99が繰り出される。したがって、一例では、媒体加熱装置20は、繰出部41から繰り出される媒体99を加熱する。媒体加熱装置20は、別の装置から繰り出される媒体99を加熱してもよい。
【0025】
媒体加熱装置20は、支持部43を備える。支持部43は、媒体99を支持する。支持部43は、ノズル面15と対向する。そのため、支持部43は、記録部12に記録される媒体99を支持する。詳しくは、支持部43は、媒体99のうち記録部12に記録される部分を支持する。支持部43は、例えば、メインフレーム24に取り付けられる。支持部43は、メインフレーム24の上方に位置する。
【0026】
媒体加熱装置20は、搬送部44を備える。搬送部44は、媒体99を搬送するように構成される。搬送部44は、繰出部41から繰り出される媒体99を搬送する。搬送部44は、支持部43上に位置する媒体99を第1方向D1に搬送する。搬送部44は、記録部12によって記録された媒体99を下方に搬送する。詳しくは、搬送部44は、メインフレーム24の上方及びメインフレーム24の前方を媒体99が通過するように、媒体99を搬送する。搬送部44は、1以上のローラー45を有する。ローラー45は、媒体99に接触する。ローラー45が回転することによって、媒体99が搬送される。
【0027】
媒体加熱装置20は、巻取部46を備える。巻取部46は、媒体99を巻き取るように構成される。詳しくは、巻取部46は、記録済みの媒体99を巻き取る。さらに詳しくは、巻取部46は、後述する加熱部51によって加熱された媒体99を巻き取る。巻取部46は、例えば、脚部21に取り付けられる。巻取部46は、巻取軸47を有する。巻取軸47は、媒体99が巻き重ねられたロール体R2を回転可能に支持する。巻取軸47が回転することによって、媒体99がロール体R2に巻き重ねられる。
【0028】
媒体加熱装置20は、加熱部51を備える。加熱部51は、媒体99を加熱するように構成される。加熱部51は、搬送部44により搬送される媒体99を加熱する。詳しくは、加熱部51は、媒体99のうち、記録部12により記録済みであって且つ巻取部46により巻き取られる前の部分を加熱する。
【0029】
加熱部51は、メインフレーム24に取り付けられる。加熱部51は、メインフレーム24の前方に位置する。詳しくは、加熱部51は、前面25と対向する。加熱部51は、加熱部51とメインフレーム24との間を通過する媒体99を加熱する。すなわち、一例では、加熱部51は、媒体99のうち下方に搬送される部分を加熱する。
【0030】
加熱部51は、鉛直方向から見た場合に、筐体22と重なるように位置する。一例では、鉛直方向から見た場合に、加熱部51の一部が筐体22と重なる。これにより、鉛直方向から見た場合に加熱部51が筐体22と重ならない場合と比べて、筐体22から前方に突出する加熱部51の突出量が低減される。そのため、媒体加熱装置20のフットスペースが低減される。通常、ユーザーは、媒体加熱装置20の前方から媒体加熱装置20を操作する。そのため、筐体22に対する加熱部51の突出量が低減されることによって、ユーザーが媒体加熱装置20を操作しやすくなる。
【0031】
加熱部51は、熱源52を有する。熱源52は、熱を発生させるように構成される。熱源52は、媒体99のうち液体が吐出された面と対向する。そのため、熱源52は、媒体99のうち液体が吐出された面を加熱する。一例では、熱源52は、輻射熱によって媒体99を加熱する。熱源52は、例えば、赤外線ヒーターである。熱源52は、媒体99に向けて赤外線を照射する。熱源52が媒体99を加熱することによって、媒体99が乾燥される。
【0032】
加熱部51は、吹付部53を有する。吹付部53は、例えば、ファンである。吹付部53は、媒体99に空気を吹き付けるように構成される。詳しくは、吹付部53は、媒体99のうち液体が吐出された面に空気を吹き付ける。さらに詳しくは、吹付部53は、媒体99に沿って下方に流れるように空気を吹き付ける。そのため、媒体99に吹き付けられた空気は、媒体99のうち液体が吐出された面に沿って下方に流れる。これにより、媒体99上の蒸気が下方に流れるため、媒体99の乾燥が促進される。また、加熱部51によって加熱された空気、媒体99から生じる蒸気などが上方、すなわち筐体22内に流れるおそれが低減される。すなわち、筐体22内が高温になったり、筐体22内が高湿になったりするおそれが低減される。したがって、記録品質が低下するおそれが低減される。
【0033】
加熱部51は、ケース54を有する。ケース54は、熱源52及び吹付部53を収容する。ケース54は、媒体99に向かって開口する。すなわち、ケース54は、前面25に向かって開口する。
【0034】
ケース54には、循環流路55が形成されていてもよい。循環流路55は、熱源52によって加熱された空気が循環する流路である。循環流路55は、熱源52を囲うように延びる。循環流路55内に、吹付部53が位置する。加熱部51において、吹付部53が吹き付ける空気は、媒体99上と循環流路55とを流れることによって循環する。具体的には、
図1において矢印で示すように、空気が循環する。これにより、媒体99の加熱効率が向上する。
【0035】
媒体加熱装置20は、ガイドバー61を備える。ガイドバー61は、媒体99を巻取部46に案内するように構成される。ガイドバー61には、媒体99が巻き掛けられる。詳しくは、ガイドバー61には、加熱部51と巻取部46との間で媒体99が巻き掛けられる。そのため、ガイドバー61には、加熱部51によって加熱された媒体99が巻き掛けられる。したがって、ガイドバー61は、媒体99のうち、加熱部51によって加熱された後であって巻取部46によって巻き取られる前の部分に接触する。ガイドバー61によって、媒体99が下方に案内される。一例では、ガイドバー61は、加熱部51の直下に位置する。
【0036】
ガイドバー61は、周面62を有する。周面62は、媒体99と接触する面である。周面62に媒体99が巻き掛けられることによって、ガイドバー61は媒体99を案内する。
【0037】
ガイドバー61は、媒体99のうち液体が吐出された面に接触する。そのため、ガイドバー61は、加熱部51から媒体99に沿って流れる高温の空気と蒸気とにさらされる。これにより、周面62に、蒸気が付着する。したがって、周面62に結露が生じるおそれがある。結露によって周面62に生じる液滴が大きくなると、その液滴が媒体99に付着することによって媒体99を汚損するおそれがある。また、液滴がガイドバー61から床に滴下することによって、床を汚損するおそれがある。
【0038】
ガイドバー61は、回転可能に構成される。ガイドバー61が回転することによって、媒体99が周面62の全周にわたって接触する。これにより、結露によって周面62に生じる液滴が大きくなる前に、媒体99によって払拭される。周面62に付着する微小な液滴を媒体99が払拭するため、媒体99が汚損されるおそれが小さい。
【0039】
ガイドバー61は、媒体99に対して能動的に回転するように構成される。ガイドバー61は、媒体99に対して従動的に回転するように構成されてもよい。ガイドバー61は、例えば、媒体99が搬送されることに伴い、媒体99との摩擦によって回転してもよい。すなわち、ガイドバー61は、媒体99が巻取部46に巻き取られることに伴い、媒体99との摩擦によって回転してもよい。
【0040】
媒体加熱装置20は、駆動部63を備える。駆動部63は、ガイドバー61と接続される。駆動部63は、駆動することによってガイドバー61を回転させる。駆動部63は、例えば、モーターである。駆動部63は、例えば、メインフレーム24に取り付けられる。
【0041】
駆動部63は、媒体99の搬送速度と一致する回転速度でガイドバー61を回転させてもよい。これにより、媒体99とガイドバー61との摩擦が低減される。媒体99の搬送速度は、ローラー45の回転速度である。駆動部63は、媒体99の搬送速度よりも速い回転速度でガイドバー61を回転させてもよい。これにより、媒体99が単位時間当たりに接触する周面62の面積が大きくなる。この場合、媒体99によって周面62がすばやく払拭される。
【0042】
媒体加熱装置20は、遮熱部材64を備えてもよい。遮熱部材64は、加熱部51による熱を遮断するように構成される。詳しくは、遮熱部材64は、加熱部51からメインフレーム24に及ぶ熱を遮断する。遮熱部材64は、加熱部51とメインフレーム24との間に位置する。遮熱部材64は、メインフレーム24に取り付けられる。遮熱部材64は、前面25に沿うように位置する。遮熱部材64は、加熱部51と対向する。遮熱部材64と加熱部51との間を媒体99が通過する。
【0043】
図2に示すように、媒体加熱装置20は、メンテナンスユニット65を備えてもよい。メンテナンスユニット65は、メンテナンスポジションP1に位置する記録部12をメンテナンスする。一例では、メンテナンスユニット65は、フラッシング、クリーニングなどによる液体を記録部12から受けることによって、記録部12をメンテナンスする。フラッシングは、ノズル14から液体を適宜吐出する動作である。フラッシングによって、ノズル14が目詰まりするおそれが低減される。クリーニングは、ノズル14から液体を排出する動作である。クリーニングによって、ノズル14から液体とともに異物が排出される。メンテナンスユニット65は、例えば、ヘッド13に接触する状態で吸引することによってノズル14から液体を排出させる。メンテナンスユニット65が受けた液体は、廃液タンクT1に流れる。
【0044】
図1に示すように、媒体加熱装置20は、制御部66を備える。制御部66は、駆動部63を制御する。制御部66は、媒体加熱装置20を統括的に制御してもよい。すなわち、制御部66は、繰出部41、搬送部44、巻取部46、加熱部51、及び、メンテナンスユニット65などを制御してもよい。制御部66は、さらに、記録部12を制御してもよい。
【0045】
制御部66は、コンピュータープログラムにしたがって各種処理を実行する1つ以上のプロセッサーで構成されてもよい。制御部66は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路などの1つ以上の専用のハードウェア回路で構成されてもよい。制御部66は、プロセッサー及びハードウェア回路の組み合わせを含む回路で構成されてもよい。プロセッサーは、CPU、並びに、RAM及びROMなどのメモリーを含む。メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は、指令を格納する。メモリー、すなわちコンピューター可読媒体は、汎用又は専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0046】
制御部66は、媒体99に吐出された液量に基づいて駆動部63を制御してもよい。制御部66は、例えば、記録部12が媒体99に吐出する液量に基づいて駆動部63を制御する。制御部66は、記録データを参照することによって、記録部12が媒体99に吐出する液量を把握する。記録データは、媒体99への記録時に記録部12に送信されるデータである。記録データは、記録される画像を示す画像データ、記録部12が吐出する液量を示すデューティーデータなどを含む。
【0047】
制御部66は、駆動部63を制御することによって、ガイドバー61の回転速度を制御する。ガイドバー61は、媒体99のうち液体が吐出された面に接触するため、媒体99に記録された画像の品質を低下させるおそれがある。このため、媒体99に吐出された液量が通常の場合、制御部66は、媒体99の搬送速度と一致する回転速度でガイドバー61を回転させることによって、媒体99とガイドバー61との摩擦を低減することが望ましい。しかしながら、媒体99に吐出された液量が大きくなると、周面62に付着する蒸気量が大きくなる。この場合、結露によって生じる液滴の成長速度が大きくなる。そのため、媒体99に吐出された液量が大きい場合には、ガイドバー61の回転速度が大きくなるように駆動部63を制御部66が制御することによって、液滴が大きくなる前に媒体99によって払拭できるため、媒体99が汚損されるおそれが低減される。
【0048】
制御部66は、媒体99に接触することによって媒体99に吐出された液量を検知する検知センサーの検知結果に基づいて、駆動部63を制御してもよい。制御部66は、加熱部51からガイドバー61に向かって流れる蒸気量を検知する検知センサーの検知結果に基づいて、駆動部63を制御してもよい。
【0049】
<作用及び効果>
次に、上記実施例の作用及び効果について説明する。
(1)ガイドバー61は、媒体99のうち液体が吐出された面に接触し、回転可能に構成される。吹付部53によって媒体99に吹き付けられた空気は、媒体99に沿って流れることによって、ガイドバー61に触れる。そのため、媒体99から蒸発した液体の蒸気がガイドバー61に付着することによって、ガイドバー61に結露が生じる。上記構成によれば、ガイドバー61が回転することによって、ガイドバー61に巻き掛けられた媒体99がガイドバー61の全周にわたって接触する。これにより、ガイドバー61に結露する液滴が大きくなる前に、媒体99によって拭き取られる。すなわち、ガイドバー61に結露する液滴が微小であるうちに、その液滴を媒体99が拭き取る。液滴が微小であれば、媒体99に吸収されても目立たない。したがって、結露によりガイドバー61に生じる液滴によって媒体99が汚損されるおそれが低減される。
【0050】
(2)制御部66は、媒体99に吐出された液量に基づいて駆動部63を制御する。媒体99に吐出された液量が大きいほど、ガイドバー61に付着する蒸気量が大きくなる。そのため、結露によってガイドバー61に生じる液滴が大きくなりやすい。この点、上記構成によれば、例えば、媒体99に吐出された液量が大きいほどガイドバー61の回転速度を大きくすることによって、結露によってガイドバー61に生じる液滴が大きくなる前に媒体99によって拭き取られる。
【0051】
<変更例>
上記実施例は、以下のように変更して実施できる。上記実施例及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0052】
・
図3及び
図4に示すように、媒体加熱装置20は、カバー部材71を備えてもよい。カバー部材71は、ガイドバー61を覆う部材である。詳しくは、カバー部材71は、ガイドバー61のうち、少なくとも加熱部51による蒸気が付着する部分を覆う。この変更例では、カバー部材71は、ガイドバー61を上方から覆う。カバー部材71は、加熱部51とガイドバー61との間に位置する。カバー部材71は、例えば、ガイドバー61に取り付けられる。
【0053】
カバー部材71は、ガイドバー61に沿って移動するように構成される。すなわち、カバー部材71は、第2方向D2においてスライドするように構成される。カバー部材71は、例えば、手動でスライドするように構成される。
【0054】
カバー部材71は、第2方向D2に伸縮可能に構成される。カバー部材71は、例えば、複数の連結体72によって構成される。複数の連結体72のうち、1の連結体72が別の連結体72に対してスライドすることによって、カバー部材71が伸縮する。
【0055】
媒体加熱装置20においては、幅の異なる種々の媒体99を加熱することがある。幅が小さい媒体99を加熱する場合、ガイドバー61においては、媒体99が巻き掛けられる部分と媒体99が巻き掛けられない部分とが生じる。ガイドバー61において、媒体99が巻き掛けられない部分には、媒体99が巻き掛けられる部分と同様に蒸気が付着する。ガイドバー61において媒体99が巻き掛けられない部分に結露が生じると、媒体99によって液滴を拭き取れない。これに対し、媒体99の幅に合わせてカバー部材71を第2方向D2にスライドさせることによって、ガイドバー61において媒体99が巻き掛けられない部分をカバー部材71が覆う。これにより、ガイドバー61において媒体99が巻き掛けられない部分に蒸気が付着し、結露が生じるおそれが低減される。したがって、結露によって周面62に生じる液滴がガイドバー61から床に滴下することによって、床を汚損するおそれが低減される。
【0056】
カバー部材71は、吸収材73を有してもよい。吸収材73は、液体を吸収するように構成される。吸収材73は、例えば、スポンジである。吸収材73は、連結体72に取り付けられる。連結体72がガイドバー61を覆うことによって、連結体72に蒸気が付着する。そのため、カバー部材71に結露が生じるおそれがある。吸収材73は、結露によって生じる液滴を吸収する。これにより、結露によってカバー部材71に生じる液滴が滴下するおそれが低減される。
【0057】
・
図5及び
図6に示すように、媒体加熱装置20は、吸収ローラー74を備えてもよい。吸収ローラー74は、ガイドバー61に接触するように構成される。吸収ローラー74は、液体を吸収するように構成される。吸収ローラー74は、例えば、スポンジローラーである。
【0058】
吸収ローラー74は、第2方向D2において、ガイドバー61のうち媒体99と接触する部分の全長にわたって接触するように構成される。吸収ローラー74は、回転可能に構成されてもよい。吸収ローラー74は、従動的に回転するように構成されてもよいし、能動的に回転するように構成されてもよい。すなわち、吸収ローラー74は、ガイドバー61との摩擦によって回転するように構成されてもよいし、モーターによって回転するように構成されてもよい。
【0059】
吸収ローラー74は、ガイドバー61が回転することによって、周面62の全周にわたって接触する。これにより、吸収ローラー74は、結露によって周面62に生じる液滴を拭き取ることができる。媒体99で周面62を払拭することに加えて、吸収ローラー74で周面62を払拭することによって、周面62に生じる液滴が大きくなるおそれが低減される。
【0060】
・記録部12が吐出する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などでもよい。例えば、記録部12が液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材又は画素材料などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液状体を吐出してもよい。
【0061】
<技術的思想>
以下に、上述した実施例及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0062】
(A)媒体加熱装置は、液体が吐出された媒体を加熱する加熱部と、前記加熱部によって加熱された媒体を巻き取る巻取部と、前記加熱部と前記巻取部との間で媒体が巻き掛けられ、媒体を前記巻取部にガイドするガイドバーと、を備え、前記加熱部は、媒体のうち液体が吐出された面と対向する熱源と、媒体のうち液体が吐出された面に空気を吹き付ける吹付部と、を有し、前記ガイドバーは、媒体のうち液体が吐出された面に接触し、回転可能に構成される。
【0063】
吹付部によって媒体に吹き付けられた空気は、媒体に沿って流れることによって、ガイドバーに触れる。そのため、媒体から蒸発した液体の蒸気がガイドバーに付着することによって、ガイドバーに結露が生じる。上記構成によれば、ガイドバーが回転することによって、ガイドバーに巻き掛けられた媒体がガイドバーの全周にわたって接触する。これにより、ガイドバーに結露する液滴が大きくなる前に、媒体によって拭き取られる。すなわち、ガイドバーに結露する液滴が微小であるうちに、その液滴を媒体が拭き取る。液滴が微小であれば、媒体に吸収されても目立たない。したがって、結露によりガイドバーに生じる液滴によって媒体が汚損されるおそれが低減される。
【0064】
(B)上記媒体加熱装置は、前記ガイドバーを回転させる駆動部と、媒体に吐出された液量に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、を備えてもよい。
媒体に吐出された液量が大きいほど、ガイドバーに付着する蒸気量が大きくなる。そのため、結露によってガイドバーに生じる液滴が大きくなりやすい。この点、上記構成によれば、例えば、媒体に吐出された液量が大きいほどガイドバーの回転速度を大きくすることによって、結露によってガイドバーに生じる液滴が大きくなる前に媒体によって拭き取られる。
【0065】
(C)上記媒体加熱装置は、前記ガイドバーを覆うカバー部材を備え、前記カバー部材は、前記ガイドバーに沿って移動するように構成されてもよい。
媒体加熱装置においては、幅の異なる種々の媒体を加熱することがある。幅が小さい媒体を加熱する場合、ガイドバーにおいては、媒体が巻き掛けられる部分と媒体が巻き掛けられない部分とが生じる。ガイドバーにおいて、媒体が巻き掛けられない部分には、媒体が巻き掛けられる部分と同様に蒸気が付着する。ガイドバーにおいて、媒体が巻き掛けられない部分に結露が生じると、媒体によって液滴を拭き取れない。この点、上記構成によれば、ガイドバーにおいて媒体が巻き掛けられない部分をカバー部材が覆うことによって、ガイドバーにおいて媒体が巻き掛けられない部分に結露が生じるおそれが低減される。
【0066】
(D)上記媒体加熱装置において、前記カバー部材は、液体を吸収する吸収材を有してもよい。
カバー部材がガイドバーを覆うことによって、カバー部材に蒸気が付着することがある。そのため、カバー部材に結露が生じるおそれがある。上記構成によれば、結露によってカバー部材に生じる液滴を吸収材が吸収できる。
【0067】
(E)上記媒体加熱装置は、前記ガイドバーに接触することによって液体を吸収する吸収ローラーを備えてもよい。
上記構成によれば、結露によってガイドバーに生じる液滴を、媒体に加えて吸収ローラーによって拭き取ることができる。これにより、結露によってガイドバーに生じる液滴が大きくなるおそれが低減される。
【0068】
(F)記録装置は、上記媒体加熱装置と、媒体に液体を吐出することによって媒体に画像を記録する記録部と、を備える。
上記構成によれば、上述した媒体加熱装置と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0069】
11…記録装置、12…記録部、13…ヘッド、14…ノズル、15…ノズル面、16…キャリッジ、20…媒体加熱装置、21…脚部、22…筐体、23…フレーム、24…メインフレーム、25…前面、26…後面、27…第1側面、28…第2側面、31…第1サブフレーム、32…第2サブフレーム、33…第1前面、34…第1後面、35…第1対向側面、36…第1非対向側面、37…第2前面、38…第2後面、39…第2対向側面、40…第2非対向側面、41…繰出部、42…繰出軸、43…支持部、44…搬送部、45…ローラー、46…巻取部、47…巻取軸、51…加熱部、52…熱源、53…吹付部、54…ケース、55…循環流路、61…ガイドバー、62…周面、63…駆動部、64…遮熱部材、65…メンテナンスユニット、66…制御部、71…カバー部材、72…連結体、73…吸収材、74…吸収ローラー、99…媒体、D1…第1方向、D2…第2方向、P1…メンテナンスポジション、P2…清掃ポジション、R1…ロール体、R2…ロール体、T1…廃液タンク。