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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168034
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電気部品用ソケット
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20241128BHJP
   H01R 33/76 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G01R31/26 J
H01R33/76 505Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084418
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000177690
【氏名又は名称】山一電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勝己
【テーマコード(参考)】
2G003
5E024
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AG01
5E024CA18
5E024CB05
(57)【要約】
【課題】保持基板の変形を抑制し、コンタクトピンを所定の位置に精度よく保持する電気部品用ソケットを提供する。
【解決手段】可動台座と、第1保持基板と、第2保持基板と、前記第1保持基板および前記第2保持基板に摺動可能に保持されたコンタクトピンとを有する電気部品用ソケットであって、前記可動台座と前記第1保持基板との間に配置され、前記コンタクトピンの軸方向に弾性力がかかる第1弾性部材と、前記第1保持基板と前記第2保持基板との間に配置され、前記コンタクトピンの軸方向に弾性力がかかる第2弾性部材とをさらに有し、前記第1弾性部材と前記第2弾性部材との間に前記第1保持基板の一部を挟み込むことを特徴とする電気部品用ソケットを提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動台座と、第1保持基板と、第2保持基板と、前記第1保持基板および前記第2保持基板に摺動可能に保持されたコンタクトピンとを有する電気部品用ソケットであって、
前記可動台座と前記第1保持基板との間に配置され、前記コンタクトピンの軸方向に弾性力がかかる第1弾性部材と、前記第1保持基板と前記第2保持基板との間に配置され、前記コンタクトピンの軸方向に弾性力がかかる第2弾性部材とをさらに有し、
前記第1弾性部材と前記第2弾性部材との間に前記第1保持基板の一部を挟み込むことを特徴とする電気部品用ソケット。
【請求項2】
前記第2弾性部材の弾性力が前記第1弾性部材の弾性力よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電気部品用ソケット。
【請求項3】
前記可動台座と前記第1保持基板と前記第2保持基板とは、位置決めピンにより位置決めされ、前記第1弾性部材と前記第2弾性部材は、前記位置決めピンの軸と一致する同一軸上に設けられることを特徴とする請求項1に記載の電気部品用ソケット。
【請求項4】
可動台座と、第1保持基板と、第2保持基板と、前記第1保持基板および前記第2保持基板に摺動可能に保持されたコンタクトピンとを有する電気部品用ソケットであって、
前記第2保持基板は前記コンタクトピンの軸方向に可動であり、
前記電気部品用ソケットが、外部実装用基板に実装された際に、前記第2保持基板と前記外部実装用基板との間にクリアランスがあることを特徴とする電気部品用ソケット。
【請求項5】
前記可動台座と前記第1保持基板との間に配置され、前記コンタクトピンの軸方向に弾性力がかかる第1弾性部材と、
前記第1保持基板に固定され、前記コンタクトピンの軸方向に延在する支持部材であって、前記第2保持基板の貫通孔を摺動可能である支持部材と、
前記支持部材と前記第2保持基板との間に配置され、前記コンタクトピンの軸方向に弾性力がかかる第3弾性部材とをさらに有することを特徴とする請求項4に記載の電気部品用ソケット。
【請求項6】
前記コンタクトピンの前記外部実装用基板と接触する側の接触子の摺動部が段差を有しない形状であることを特徴とする請求項4に記載の電気部品用ソケット。
【請求項7】
前記可動台座と前記第1保持基板と前記第2保持基板とは、位置決めピンにより位置決めされ、前記第1弾性部材の軸は前記位置決めピンの軸と一致することを特徴とする請求項5に記載の電気部品用ソケット。
【請求項8】
前記支持部材は段付きネジであり、前記支持部材の軸と前記第3弾性部材の軸とが一致することを特徴とする請求項5に記載の電気部品用ソケット。
【請求項9】
可動台座と、第1保持基板と、第2保持基板と、前記第1保持基板および前記第2保持基板に摺動可能に保持されたコンタクトピンとを有する電気部品用ソケットであって、
前記第1保持基板および第2保持基板がそれぞれ前記コンタクトピンの軸方向に可動であり、
前記電気部品用ソケットが、外部実装用基板に実装された際に、前記第2保持基板と前記外部実装用基板との間にクリアランスがあることを特徴とする電気部品用ソケット。
【請求項10】
前記可動台座と前記第1保持基板との間に配置され、前記コンタクトピンの軸方向に弾性力がかかる第1弾性部材と、
前記第1保持基板と前記第2保持基板との間に配置され、前記コンタクトピンの軸方向に弾性力がかかる第2弾性部材と、
前記第1保持基板に固定され、前記コンタクトピンの軸方向に延在する支持部材であって、前記第2保持基板の貫通孔を摺動可能である支持部材と、
前記支持部材と前記第2保持基板との間に配置され、前記コンタクトピンの軸方向に弾性力がかかる第3弾性部材とをさらに有することを特徴とする請求項9に記載の電気部品用ソケット。
【請求項11】
前記可動台座と前記第1保持基板と前記第2保持基板とは、位置決めピンにより位置決めされ、前記第1弾性部材と前記第2弾性部材は、前記位置決めピンの軸と一致する同一軸上に設けられることを特徴とする請求項10に記載の電気部品用ソケット。
【請求項12】
前記支持部材は段付きネジであり、前記支持部材の軸と前記第3弾性部材の軸とが一致することを特徴とする請求項10に記載の電気部品用ソケット。
【請求項13】
前記コンタクトピンは、前記電気部品と接触する第1接触子と、前記電気部品と接触する側と反対側の第2接触子と、前記第1接触子と前記第2接触子とを連結する第4弾性部材と、前記第4弾性部材を収納するバレルとを含み、少なくとも前記第2接触子は前記バレル内に進退可能に配置されることを特徴とする請求項1、4または9のいずれか一項に記載の電気部品用ソケット。
【請求項14】
前記第1保持基板と前記第2保持基板との接触面の少なくとも一部に空間が存在することを特徴とする請求項1、4または9のいずれか一項に記載の電気部品用ソケット。
【請求項15】
前記第1保持基板と前記第2保持基板の前記接触面は、前記コンタクトピンの周囲に空間が存在することを特徴とする請求項14に記載の電気部品用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージの試験等を行う際に、半導体パッケージを着脱可能に保持して外部の測定器に電気的に接続させる電気部品用ソケットが用いられている。当該電気部品用ソケットは、検査する半導体パッケージの外部接続用電極に対応して、複数のコンタクトピンを所定の位置に収容する。コンタクトピンが所定の位置に整列し、適切な方向に沿って収容されるように、コンタクトピンを保持する保持基板を有する電気部品用ソケットが知られている(例えば、特許文献1等参照)
【0003】
電気部品用ソケットは、半導体パッケージを載置する可動台座を備え、半導体パッケージの検査時に押圧部材により半導体パッケージが下方に押圧され、可動台座ごと下方に移動する。これにより、半導体パッケージの下面に配列された外部接続用電極がコンタクトピンの上側接触子に接触し、コンタクトピンの下側接触子が基板の電気接点部に接触する。その際、押圧部材の押圧力によりコンタクトピンのスプリングがさらに収縮し、上側接触子と下側接触子とが半導体パッケージおよび基板の電気接点部にそれぞれ所定の圧接力で当接し、半導体パッケージがコンタクトピンを介して基板に電気導通される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5518391号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、コンタクトピンは、基板へ取り付ける事によりプランジャが一定量押し込まれている。したがって、基板に保持されたコンタクトピンは内蔵するバネの付勢力により軸方向に伸びようとするため、コンタクトピンを収容する保持基板には、プリロード荷重がかかった状態となる(図16(b)および図17(c)参照)。
【0006】
その結果、保持基板は、プリロード荷重により貫通孔を中心に上向きの凸状に変形するおそれがある(図17(c))。このような変形により、コンタクトピンが所定の位置よりも上方に位置するため、半導体パッケージを載置した際に、押圧をする前からコンタクトピンと半導体パッケージの電極とが接触することとなる(図17(d))。このような状態で半導体パッケージの検査を実施した場合、半導体パッケージの電極とコンタクトピン先端の間で、可動台座と第1保持基板の間の弾性部材の引きはがしが機能しないことによるはりつきが発生する。このようなはりつきは、半導体パッケージの外部電極へダメージが発生するため実装不良が発生する問題や、コンタクトピン先端へはんだが多く付着するため接触不良が発生するという問題に繋がる。
【0007】
さらに、半導体パッケージが検査時に押圧される際、コンタクトピンは保持基板および可動台座を貫通する貫通孔を通って半導体パッケージの外部接続用電極と接触するが、コンタクトピンがこのような貫通孔を通るように適切に配置されないと、コンタクトピンの接触性や耐久性の低下に繋がる。
【0008】
これらを鑑み、本発明は、保持基板の変形を抑制し、コンタクトピンを所定の位置に精度よく保持する電気部品用ソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る一実施形態の電気部品用ソケットは、可動台座と、第1保持基板と、第2保持基板と、前記第1保持基板および前記第2保持基板に摺動可能に保持されたコンタクトピンとを有する電気部品用ソケットであって、
前記可動台座と前記第1保持基板との間に配置され、前記コンタクトピンの軸方向に弾性力がかかる第1弾性部材と、前記第1保持基板と前記第2保持基板との間に配置され、前記コンタクトピンの軸方向に弾性力がかかる第2弾性部材とをさらに有し、
前記第1弾性部材と前記第2弾性部材との間に前記第1保持基板の一部を挟み込むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の実施形態に係る電気部品用ソケットは、可動台座と、第1保持基板と、第2保持基板と、前記第1保持基板および前記第2保持基板に摺動可能に保持されたコンタクトピンとを有する電気部品用ソケットであって、
前記第2保持基板は前記コンタクトピンの軸方向に可動であり、
前記電気部品用ソケットが、外部実装用基板に実装された際に、前記第2保持基板と前記外部実装用基板との間にクリアランスがあることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の他の実施形態に係る電気部品用ソケットは、
可動台座と、第1保持基板と、第2保持基板と、前記第1保持基板および前記第2保持基板に摺動可能に保持されたコンタクトピンとを有する電気部品用ソケットであって、
前記第1保持基板および第2保持基板がそれぞれ前記コンタクトピンの軸方向に可動であり、
前記電気部品用ソケットが、外部実装用基板に実装された際に、前記第2保持基板と前記外部実装用基板との間にクリアランスがあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、本発明は、保持基板の変形を抑制し、コンタクトピンを所定の位置に精度よく保持する電気部品用ソケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の電気部品用ソケットの外観図である。
図2】(a)本発明の第1の実施形態に係るソケット1000の分解図である。(b)ソケット1000に用いられるコンタクトピン200の拡大図である。
図3】(a)本発明の第1の実施形態に係るソケット1000の実装前の断面図である。(b)(a)のソケット1000の実装状態の断面図である。(c)(b)のソケット1000の半導体パッケージ検査時の断面図である。
図4】(a)本発明の第1の実施形態に係るソケット1000において、第2接触子220が段付き形状のコンタクトピン200であり、コンタクトピン200の第2接触子220が第2保持基板30に接した状態の拡大断面図である。(a-2)第2接触子220が滑落防止用の大径部を有するコンタクトピン200であり、コンタクトピン200の第2接触子220が第2保持基板30に接した状態の先端部分の拡大断面図である。(b)本発明の第1の実施形態に係るソケット1000において、コンタクトピン200のバレル230上端が第1保持基板20に接した状態であり、第2接触子220がストレート形状のコンタクトピン200を用いた場合の実装前の拡大断面図である。(c)本発明の第1の実施形態に係るソケット1000において、コンタクトピン200のバレル230上端が第1保持基板20に接した状態であり、第2接触子220が段付き形状のコンタクトピン200を用いた場合の実装前の拡大断面図である。(d)(c)のソケット1000を実装用基板110に実装した際の拡大断面図である。(e)(d)のソケット1000に半導体パッケージ300を載置した際の拡大断面図である。(f)(e)のソケット1000において半導体パッケージ300を押圧し、半導体パッケージ300を検査する際の拡大断面図である。
図5】(a)段付きネジ64を用いた第1の変形例のソケット1100の半導体パッケージ検査時の断面図である。(b)実装状態(左)と検査時(右)の段付きネジ64近傍の拡大図である。
図6】(a)フック65を用いた第2の変形例のソケット1200の半導体パッケージ検査時の断面図である。(b)実装状態(左)と検査時(右)のフック65および係合部66近傍の拡大図である。
図7】(a)第1保持基板の第2径部分の厚さを変更した第3の変形例1300の実装状態の断面図である。(b)ソケット1000とソケット1300との第2径部分の長さを比較した図である。(c)(a)のソケット1000の半導体パッケージ検査時の断面図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係るソケット2000の分解図である。
図9】(a)本発明の第2の実施形態に係るソケット2000の実装前の断面図である。(a-1)(a)におけるコンタクトピン200の第2接触子220近傍の拡大図である。(b)(a)のソケット2000の実装状態の断面図である。(c)(b)のソケット2000の半導体パッケージ検査時の断面図である。
図10】(a)本発明の第2の実施形態に係るソケット2000において、コンタクトピンのバレル下端が第2保持基板に接した状態の拡大断面図である。(b)本発明の第2の実施形態に係るソケット2000において、コンタクトピンのバレル上端が第1保持基板に接した状態の拡大断面図である。(c)(b)のソケット2000を基板に実装した際の拡大断面図である。(d)(c)のソケット2000に半導体パッケージ300を載置した際の拡大断面図である。(e)(d)のソケット2000において半導体パッケージ300を押圧し、半導体パッケージ300を検査する際の拡大断面図である。
図11】本発明の第3の実施形態に係るソケット3000の分解図である。
図12】(a)本発明の第3の実施形態に係るソケット3000の実装前の断面図である。(b)(a)のソケット3000の実装状態の断面図である。(c)(b)のソケット3000の半導体パッケージ検査時の断面図である。
図13】(a)本発明の第3の実施形態に係るソケット3000において、コンタクトピンのバレル下端が第2保持基板に接した状態の拡大断面図である。(b)本発明の第3の実施形態に係るソケット3000において、コンタクトピンのバレル上端が第1保持基板に接した状態の拡大断面図である。(c)(b)のソケット3000を基板に実装した際の拡大断面図である。(d)(c)のソケット3000に半導体パッケージ300を載置した際の拡大断面図である。(e)(d)のソケット3000において半導体パッケージ300を押圧し、半導体パッケージ300を検査する際の拡大断面図である。
図14】(a)段付きネジ64を用いた第1の変形例のソケット3100の実装前の断面図である。(b)コンタクトピン200の第2接触子220近傍の拡大図である。
図15】(a)第1保持基板20の第2径部分の厚さを変更した第2の変形例のソケット3200を基板に実装した際の断面図である。(b)ソケット3000とソケット3200との第2径部分の長さを比較した図である。
図16】(a)従来例のソケット500の実装前の断面図である。(b)(a)のソケット500の実装状態の断面図である。(c)(b)のソケット500の半導体パッケージ検査時の断面図である。
図17】(a)従来例のソケット500において、コンタクトピンのバレル下端が第2保持基板に接した状態の拡大断面図である。(b)従来例のソケット500において、コンタクトピンのバレル上端が第1保持基板に接した状態の拡大断面図である。(c)(b)のソケット500を基板に実装した際の拡大断面図である。(d)(c)のソケット500に半導体パッケージ300を載置した際の拡大断面図である。(e)(d)のソケット500において半導体パッケージ300を押圧し、半導体パッケージ300を検査する際の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、本発明はこれらに限られない。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る電気部品用ソケット(以下、単に「ソケット」という。)1000の外観図である。図2は、ソケット1000の分解図を示す。ソケット1000は、可動台座10と、コンタクトピン200を収容する第1保持基板20および第2保持基板30とが上から順に積層され、第1保持基板20および第2保持基板30に摺動可能に保持されたコンタクトピンとともに、収納部材100と実装用基板110との間に収容されている。各部品の詳細については、図3(a)~(c)の断面図を用いて説明する。なお、本明細書において、コンタクトピン200の軸方向に沿ってソケット1000の実装用基板110から収納部材100へ向かう方向を上向きとし、収納部材100から実装用基板110へ向かう方向を下向きとする。また、本実施形態では、第1接触子210がバレル230に固定されている片摺動型のコンタクトピン200を用いて説明するが、後述するように、両摺動型のコンタクトピンであってもよい。
【0016】
図3(a)は、本発明の第1の実施形態に係るソケット1000の基板実装前の断面図であり、図3(b)はソケット1000の基板実装後の断面図であり、図3(c)は、ソケット1000の半導体パッケージ検査時の断面図である。
【0017】
図3(a)に示すように、第2保持基板30は固定部材32により収納部材100に固定され、また、収納部材100内において第2保持基板30の上方に、可動台座10および第1保持基板20が上下可動に保持されている。可動台座10と第1保持基板20と第2保持基板30とは、位置決めピン62により位置決めされている。
【0018】
可動台座10と第1保持基板20との間にはコンタクトピン200の軸方向に弾性力がかかるように第1弾性部材50が設けられ、可動台座10を上下に可動することができる。また、第1保持基板20と第2保持基板30との間には、コンタクトピンの軸方向に弾性力がかかるように第2弾性部材60が設けられ、第1弾性部材50とともに第1保持基板20の一部を挟持して、第1保持基板20を上下に可動できる。
【0019】
第1弾性部材50が第1保持基板20上方に配置され、第2弾性部材60が第1保持基板20の下方に配置されることにより第1保持基板20が可動となることから、第2弾性部材60の弾性力は、第1弾性部材50の弾性力よりも大きいことが好ましい。それにより、第1保持基板20が第2弾性部材60により押し上げられ、コンタクトピン200によるプリロード荷重を低減できる。
【0020】
また、第1保持基板20の構造を簡素化できる点で、第1弾性部材50と第2弾性部材60とは、好ましくは同一軸上に設けられ、当該軸は位置決めピン62の軸と一致してもよい。さらに、同一軸上に設けられた第1弾性部材50と第2弾性部材60とのセットは、複数のコンタクトピン200を囲むように複数配置しても良い。第1弾性部材50と第2弾性部材60とのセットの数は、第1保持基板の昇降が均一かつスムーズに動作できるようにバランスを考慮して配置することが好ましい。
【0021】
図3(a)のような非押圧状態では、第1保持基板20は、可動台座10および第2保持基板30と、それぞれ離間している。さらに、第1保持基板20と第2保持基板30との間には、コンタクトピン周囲に押圧時であっても密着しない空間が存在してもよい。このような空間にエアーを流すことにより半導体パッケージ検査時のソケット1000の放熱性を向上させることができる。また空間部分を確保するために第1保持基板を薄くする必要がある。これは実効誘電率を小さくすることができるため、高周波帯域テストにおける信号伝送性能を向上させることができる。
【0022】
図3(b)にソケット1000の基板実装後の断面図を示す。第1保持基板20には、コンタクトピン200それぞれからのプリロード荷重がかかるが、上述したように、可動台座10および第1保持基板20は、第1弾性部材50および第2弾性部材60によりそれぞれ上側に押し上げられる。可動台座10と第1保持基板20との間には距離d0の間隙が生じる。また、押し上げられた第1保持基板20は、収納部材100に当接し、第1保持基板20と第2保持基板30との間に間隙d1が生じる。
【0023】
図3(c)は、半導体パッケージ検査時のソケット1000の断面図を示す。可動台座10に半導体パッケージ300を載置し、上から押圧すると、可動台座10が下方に移動し、さらに可動台座10に押圧されて、第1保持基板20が下方に移動する。その結果、第1保持基板20は第2保持基板30に当接し、第1保持基板20と収納部材100との間に間隙d1が生じる。
【0024】
図4(a)~(f)に、ソケット1000における、可動台座10と、第1保持基板20と、第2保持基板30と、コンタクトピン200との拡大断面図を示す。
【0025】
コンタクトピン200は、半導体パッケージと接触する第1接触子210と、半導体パッケージと接触する側と反対側で実装用基板110と接触する第2接触子220と、第1接触子と第2接触子とを連結する第4弾性部材(不図示)と、前記第4弾性部材を収納するバレル230とを含む。コンタクトピン200は、両方の接触子がバレルに対して摺動する両摺動型コンタクトピンであっても、一方の接触子のみが一方のバレルに対して摺動する片摺動型コンタクトピンであってもよい。例えば、第1接触子210は前記バレル230に固定され、前記第2接触子220は前記バレル内に進退可能に配置される片摺動型コンタクトピンを用いることができる。
【0026】
また、コンタクトピン200の第2接触子220は任意の形状を有することができ、例えば、段付き形状(図4(a))、滑落防止用の大径部を有する形状(以下、ビッグヘッド形状という)(図4(a-2))、第2接触子200の摺動部に段差がない形状(以下、ストレート形状という)(図4(b))などを有することができる。第2接触子220がストレート形状の場合、プランジャの加工がより容易になり、加工時間の短縮やコスト削減をもたらすことができる。また、第2接触子220が段付き形状やビッグヘッド形状を有する場合、第2接触子220の先端部近くで第2保持基板30と接触することができるため、コンタクトピン200の位置をより上部に維持できる。
【0027】
図4(a)は、第2接触子220が段付き形状のコンタクトピン200であり、コンタクトピン200の第2接触子220が第2保持基板30に接した状態の拡大断面図である。また、図4(a-2)は第2接触子220がビッグヘッド形状を有する場合の先端近傍の拡大図である。第1保持基板20および第2保持基板30はコンタクトピン200が摺動可能に保持される貫通孔を有する。貫通孔はそれぞれ、バレル230が摺動可能な第1径を有する部分と、第1接触子210または第2接触子220が摺動可能であり、第1径よりも細い第2径を有する。コンタクトピン200は、第1保持基板20および第2保持基板30に設けられた貫通孔を通って摺動可能に保持されることで、検査する半導体パッケージの外部接続用電極に対応する所定の位置に精度よく配置される。
【0028】
図4(b)および(c)は、コンタクトピン200のバレル230上端が第1保持基板20に接した状態であり、図4(b)では第2接触子220がストレート形状のコンタクトピン200が用いられ、図4(c)では第2接触子220が段付き形状のコンタクトピン200が用いられている。いずれの場合も、第2接触子220の先端が第2保持基板30からそれぞれdp1およびdp2の長さで突出している。後述するように、この突出長さが、実装時にコンタクトピン200および第1保持基板20にかかるプリロード荷重となる。
【0029】
図4(d)は、図4(c)のソケット1000を基板に実装した際の拡大断面図である。図4(c)で突出していた第2接触子は、長さdp2だけバレル内に押し込まれ、コンタクトピン200内部の第4弾性部材によりプリロード荷重が生じることとなる。上述したように、可動台座10および第1保持基板20は、第1弾性部材50および第2弾性部材60によりそれぞれ上側に押し上げられる。これにより、コンタクトピン200のプリロード量dp2を小さくでき、プリロード荷重も低減できる。その結果、プリロード荷重による第1保持基板20の変形を抑制し、コンタクトピン200を位置精度よく保持することができる。
【0030】
このとき、可動台座10と第1保持基板20との間の距離d0と、第1保持基板20と第2保持基板30との間の最小距離d1との合計は、検査時のコンタクトピン200の適正変位量よりも大きい。コンタクトピン200の適正変位量は、コンタクトピン200が検査時に適切に電極に接触するために十分な負荷を与えられた際のコンタクトピン200の軸方向長さの変位量をいう。d0とd1との合計がコンタクトピン200の適正変位量より大きい場合、コンタクトピン200は検査時に適正変位量の範囲で押し下げられ、軸方向に適切な負荷がかかった状態で、半導体パッケージの電極と接触することができる。
【0031】
図4(e)は、(d)のソケット1000に半導体パッケージ300を載置した際の拡大断面図である。図4(f)は半導体パッケージ検査時を示し、半導体パッケージ300が上から押圧され、それに伴い、可動台座10が第1保持基板20に接触するように移動し、さらに第1保持基板20を下方にd1の長さで移動させる。長さd1図3(c)の第1保持基板20と第2保持基板30との間の間隙d1に相当する。このように、第1保持基板20が距離d1で上下に移動できるため、コンタクトピン200が適正変位でき、半導体パッケージ300の電極との良好な接触性を確保できる。
【0032】
上述した実施形態において、長さd1は第1保持基板20の厚さを調整することにより調整することができる。しかしながら、長さd1を調整する方法はこれに限定されない。
【0033】
(第1の実施形態の変形例)
図5(a)および(b)に記載のソケット1100は、ソケット1000の変形例である。ソケット1100は、収納部材100と、収納部材100に固定される段付きネジ64との間に第1保持基板20を摺動可能に保持し、段付きネジ64の高さを調整することで、第1保持基板20の移動長さd1を調整する。図5(b)は実装状態(左)と検査時(右)の段付きネジ64近傍の拡大図である。
【0034】
また、図6(a)および(b)に記載のソケット1200は、ソケット1000の別の変形例であり、第1保持基板20に固定したフック65と収納部材100の係合部66との間の距離d1を調整することにより、第1保持基板20の移動長さd1を調整する。図6(b)は実装状態(左)と検査時(右)のフック65および係合部66近傍の拡大図である。
【0035】
図7(a)は、第1保持基板の第2径部分の厚さを変更した第3の変形例のソケット1300の実装状態の断面図である。ソケット1300は、図7(b)に示すように、第1保持基板20の貫通孔の第2径部分が、ソケット1000の場合の長さdA1よりも長いdA2を有する点でソケット1000と相違する。ソケット1300は、第1保持基板20の第2径部分が厚くなるため、第1保持基板20のプリロード荷重がかかる部分の強度が高くなり、より変形を抑制することができる。
【0036】
さらに、ソケット1300では、第1保持基板20の第2径部分が厚くなったために、第1保持基板20の上面が可動台座10とより近づくこととなる。そのため、コンタクトピン200が、可動台座10の貫通孔から外れ、可動台座10の下側に潜り込む可能性を低くすることができる。
【0037】
また、ソケット1300では、第1保持基板20の上面が可動台座10とより近づくように、第1保持基板20全体がソケット1000の場合よりも上側に押し上げられることとなる。その結果、押し上げられた第1保持基板20と第2保持基板30との間の間隙d1はソケット1000の場合よりも大きくなり、第1保持基板20の下方への移動距離も大きくなる(図7(a)および(c)参照)。本実施形態においても、可動台座10と第1保持基板20との間の距離d0と、第1保持基板20と第2保持基板30との間の最小距離d1との合計は、検査時のコンタクトピン200の適正変位量よりも大きくなることが好ましい。その場合、間隙d1はソケット1000の場合よりも大きくすることが好ましく、第1保持基板20の下方への移動距離を大きくすることで対応することができる。言い換えれば、第1保持基板20が可動することで、第2径部分の厚さを厚くすることができる。
【0038】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について、図8図10を用いて説明する。基本的な構成については、第1の実施形態と同じであるが、第2の実施形態では、第1保持基板20が収納部材100に固定され、第2保持基板30が上下可動に保持される点で第1の実施形態とは異なる形態である。なお、第2の実施形態の外観は、第1の実施形態の外観である図1と同様のものとなる。
【0039】
図8は、ソケット2000の分解図を示す。ソケット2000は、可動台座10と、コンタクトピン200を収容する第1保持基板20および第2保持基板30とが上から順に積層され、第1保持基板20および第2保持基板30に摺動可能に保持されたコンタクトピン200とともに、収納部材100と実装用基板110との間に収容されている。各部品の詳細については、図9(a)~(c)の断面図を用いて説明する。
【0040】
図9(a)は、本発明の第2の実施形態に係るソケット2000の実装前の断面図であり、図9(a-1)は当該断面図におけるコンタクトピン200の第2接触子220近傍の拡大図である。図9(b)はソケット2000の実装状態の断面図であり、図9(c)は、ソケット2000の半導体パッケージ検査時の断面図である。
【0041】
図9(a)に示すように、第1保持基板20は収納部材100に固定される。第1保持基板20は、コンタクトピン200の軸方向に延在し、第2保持基板30の貫通孔を摺動可能である支持部材72をさらに備える。支持部材72と第2保持基板30との間は、コンタクトピン200の軸方向に弾性力がかかる第3弾性部材70が設けられ、第1保持基板20と支持部材72との間に、第2保持基板30が上下可動に支持されている。第2保持基板30は、第3弾性部材70により、上側に押し上げられる。支持部材72として、例えば段付きネジを用いることができる。支持部材72と第3弾性部材70とのセットは複数設けられ、第2保持基板を均一に上下可動できるのであればいくつ配置しても良い。
【0042】
ソケット2000では、第2保持基板30に常に上に押し上げられる弾性力がかかり、コンタクトピン200のバレル230の下端が、第2保持基板30に当接することとなるため、第2接触子220がストレート形状であっても、コンタクトピン200を上部の位置に保持することができ、可動台座10に第1接触子210が挿入された状態を維持できる(図9(a-1)参照)。このため、第2接触子220がストレート形状である場合、プランジャの加工がより容易になり、加工時間の短縮やコスト削減をもたらすことができる。
【0043】
可動台座10と第1保持基板20との間にはコンタクトピン200の軸方向に弾性力がかかるように第1弾性部材50が設けられ、可動台座10を上下に可動することができる。可動台座10と第1保持基板20と第2保持基板30とは、位置決めピン62により位置決めされ、好ましくは、第1弾性部材50の軸は位置決めピン62の軸と一致してもよい。
【0044】
図9(b)に示すように、ソケット2000が実装用基板110に実装された際には、第1弾性部材50および第3弾性部材70により、可動台座10および第2保持基板30は、それぞれ上側に押し上げられることとなる。押し上げられた第2保持基板30は、第1保持基板20に当接し、第2保持基板30と実装用基板110との間に間隙dbが生じる。
【0045】
図9(c)は、半導体パッケージ検査時のソケット2000の断面図を示す。可動台座10に半導体パッケージ(300)を載置し、上から押圧すると、可動台座10が下方に移動し、それとともに半導体パッケージ300の電極に押圧されて、コンタクトピン200が下方に押し下げられる。その結果、コンタクトピン200のバレル230により第2保持基板30が押し下げられ、第2保持基板30と実装用基板110との距離が小さくなる。一方、第1保持基板20と第2保持基板30との間には間隙d2が生じる。d2は第2保持基板30の移動距離であり、間隙dbの距離と、間隙d2の距離とは同じであってもよく、また、間隙dbの距離が間隙d2の距離よりも大きくてもよい。間隙dbの距離と、間隙d2の距離とは同じであった場合、第2保持基板30と実装用基板110は密着することとなる。
【0046】
図10(a)~(e)に、ソケット2000における、可動台座10と、第1保持基板20と、第2保持基板30と、コンタクトピン200との拡大断面図を示す。
【0047】
図10(a)は、ソケット2000において、コンタクトピン200のバレル230下端が第2保持基板30に接した状態の拡大断面図である。
【0048】
図10(b)は、コンタクトピン200のバレル230上端が第1保持基板20に接した状態である。第2接触子220の先端が、設定される実装用基板110の上面からdp3の長さで突出している。この突出長さdp3が、実装時にコンタクトピン200にかかるプリロード荷重となる。
【0049】
図10(c)は、図10(b)のソケット2000を基板に実装した際の拡大断面図である。図10(b)で突出していた第2接触子220は、長さdp3だけバレル内に押し込まれ、コンタクトピン200内部の第4弾性部材によりプリロード荷重が生じることとなる。このとき、第2保持基板30と実装用基板110との間は、距離dbで離間されている。
【0050】
図10(d)は、図10(c)のソケット2000に半導体パッケージ300を載置した際の拡大断面図である。図10(e)は半導体パッケージ検査時を示し、半導体パッケージ300が上から押圧され、それに伴い、可動台座10が第1保持基板20に接触するようにd0の距離で移動する。ついで半導体パッケージ300の電極に押圧されて、コンタクトピン200が下方に押し下げられる。その結果、コンタクトピン200のバレル230により第2保持基板30が下方にd2の長さで移動する。その結果、コンタクトピン200の変位量はdp3+d2となる。
【0051】
間隙dbと間隙d2の距離が異なる場合は、間隙d2の距離よりも間隙dbの距離の方が長くする必要がある。間隙dbを、検査時のコンタクトピン200の適性変位量と同じか、それより大きくすることにより、コンタクトピン200は検査時に適正変位量以上に押し下げられ、軸方向に適切な負荷がかかった状態で、半導体パッケージ300の電極と接触することができる。また、間隙d0も同様に、コンタクトピン200に適切な負荷をかけるため、検査時のコンタクトピン200の適性変位量より大きくすることが好ましい。
【0052】
このように、第2保持基板30が第3弾性部材70により押し上げられることにより、コンタクトピン200が上部の位置に保持することができ、可動台座10に第1接触子210が挿入された状態を維持できる。すなわち、コンタクトピン200が、半導体パッケージ検査時に可動台座10の貫通孔から外れ、可動台座10の下側に潜り込むおそれを小さくすることができる。その結果、コンタクトピン200を位置精度よく保持することができる。
【0053】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について、図11図15を用いて説明する。基本的な構成については、第1の実施形態および第2の実施形態と同じであるが、第3の実施形態では、第1保持基板20が上下可動に保持されるのに加え、第2保持基板30も上下可動に保持される点で第1の実施形態とは異なる形態である。なお、第3の実施形態の外観は、第1の実施形態の外観である図1と同様のものとなる。
【0054】
図11は、ソケット3000の分解図を示す。ソケット3000は、可動台座10と、コンタクトピン200を収容する第1保持基板20および第2保持基板30とが上から順に積層され、第1保持基板20および第2保持基板30に摺動可能に保持されたコンタクトピン200とともに、収納部材100と実装用基板110との間に収容されている。各部品の詳細については、図12(a)~(c)の断面図を用いて説明する。
【0055】
図12(a)は、本発明の第3の実施形態に係るソケット3000の実装前の断面図であり、図12(b)はソケット3000の実装状態の断面図であり、図12(c)は、ソケット3000の半導体パッケージ検査時の断面図である。
【0056】
図12(a)に示すように、収納部材100内において第2保持基板30の上方に、可動台座10および第1保持基板20が上下可動に保持され、さらに第1保持基板20と支持部材72との間に、第2保持基板30が上下可動に支持されている。
【0057】
可動台座10と第1保持基板20との間にはコンタクトピン200の軸方向に弾性力がかかるように第1弾性部材50が設けられ、可動台座10を上下に可動することができる。また、第1保持基板20と第2保持基板30との間には、コンタクトピンの軸方向に弾性力がかかるように第2弾性部材60が設けられ、第1弾性部材50とともに第1保持基板20の一部を挟持して、第1保持基板20を上下に可動することができる。さらに、支持部材72と第2保持基板30との間は、コンタクトピン200の軸方向に弾性力がかかる第3弾性部材70が設けられ、第2保持基板30を上側に押し上げている。第3弾性部材70の弾性力は第2弾性部材60の弾性力よりも大きく、第2弾性部材60の弾性力は第1弾性部材50の弾性力よりも大きい。弾性力がこのような関係を有することで、可動台座10、第1保持基板20、および第2保持基板30が押し上げられることとなる。
【0058】
図12(b)は、ソケット3000が実装用基板110に実装された際の断面図を示す。可動台座10、第1保持基板20、および第2保持基板30は、第1弾性部材50、第2弾性部材60、第3弾性部材70によりそれぞれ上側に押し上げられる。押し上げられた第1保持基板20は、収納部材100に当接して、第1保持基板20と第2保持基板30との間に間隙d1が生じ、押し上げられた第2保持基板30は収納部材100に当接し、第2保持基板30と実装用基板110との間に間隙dbが生じる。
【0059】
図12(c)は、半導体パッケージ検査時のソケット3000の断面図を示す。可動台座10に半導体パッケージ(300)を載置し、上から押圧すると、可動台座10が下方に移動し、さらに可動台座10に押圧されて、第1保持基板20が下方に移動する。それとともに半導体パッケージ300の電極に押圧されて、コンタクトピン200が下方に押し下げられる。その結果、第1保持基板20は第2保持基板30に当接し、第1保持基板20と収納部材100との間に間隙d1+d2が生じ、かつコンタクトピン200のバレル230により第2保持基板30が押し下げられ、第2保持基板30と実装用基板110が当接し、一方、収納部材100と第2保持基板30との間には間隙d2が生じることとなる。
【0060】
図13(a)~(e)に、ソケット3000における、可動台座10と、第1保持基板20と、第2保持基板30と、コンタクトピン200との拡大断面図を示す。ソケット3000では、ソケット2000と同様に、第2保持基板30に常に上に押し上げられる弾性力がかかり、コンタクトピン200のバレル230の下端が、第2保持基板30に当接することとなるため、第2接触子220がストレート形状であっても、コンタクトピン200を上部の位置に保持することができ、可動台座10に第1接触子210が挿入された状態を維持できる。
【0061】
図13(a)は、ソケット3000において、コンタクトピン200のバレル230下端が第2保持基板30に接した状態の拡大断面図である。
【0062】
図13(b)は、コンタクトピン200のバレル230上端が第1保持基板20に接した状態を示す。第2接触子220の先端が、設定される実装用基板110の上面からdpの長さで突出している。この突出長さdpが、実装時にコンタクトピン200にかかるプリロード荷重となる。
【0063】
図13(c)は、図13(b)のソケット3000を基板に実装した際の拡大断面図である。図13(b)で突出していた第2接触子220は、長さdpだけバレル内に押し込まれ、コンタクトピン200内部の第4弾性部材によりプリロード荷重が生じることとなる。
【0064】
このとき、可動台座10と第1保持基板20との間の距離d0と、第1保持基板20と第2保持基板30との間の最小距離d1と、第2保持基板30と実装用基板110との間の間隙dbの合計(図12(b))は、検査時のコンタクトピン200の適正変位量よりも大きい。これにより、コンタクトピン200は検査時に適正変位量の範囲で押し下げられ、軸方向に適切な負荷がかかった状態で、半導体パッケージ300の電極と接触することができる。
【0065】
図13(d)は、図13(c)のソケット3000に半導体パッケージ300を載置した際の拡大断面図である。図13(e)は半導体パッケージ検査時を示し、半導体パッケージ300が上から押圧され、それに伴い、可動台座10が下方に移動し、さらに可動台座10に押圧されて、第1保持基板20が下方に移動する。それとともに第1接触子210が半導体パッケージ300の電極に押圧されて、コンタクトピン200が下方に押し下げられる。その結果、第1保持基板20は下方にd1の長さ移動し、第2保持基板30が下方にd2の長さで移動する。コンタクトピン200の変位量はdp+d2である。間隙dbの距離と、間隙d2の距離とは同じであってもよく、また、間隙dbの距離が間隙d2の距離よりも大きくてもよい。間隙dbの距離と、間隙d2の距離とは同じであった場合、第2保持基板30と実装用基板110は当接することとなる。また、ソケット2000と同様に、間隙dbと間隙d2の距離が異なる場合は、間隙d2の距離よりも間隙dbの距離の方が長くする必要がある。間隙dbを、検査時のコンタクトピン200の適性変位量と同じか、それより大きくすることにより、コンタクトピン200は検査時に適正変位量以上に押し下げられ、軸方向に適切な負荷がかかった状態で、半導体パッケージ300の電極と接触することができる。
【0066】
このように、第1保持基板20と第2保持基板30を上昇させることによりdpを小さくできるため、プリロード荷重を減少させることができる。その結果、プリロード荷重による第1保持基板20の変形を抑制し、コンタクトピン200を位置精度よく保持することができる。さらに本実施形態では、第2保持基板30が第3弾性部材70により押し上げられることにより、コンタクトピン200が上部の位置に保持することができるため、可動台座10に第1接触子210が挿入された状態を維持できる。すなわち、コンタクトピン200が、半導体パッケージ検査時に可動台座10の貫通孔から外れ、可動台座10の下側に潜り込む可能性を低くすることができる。その結果、コンタクトピン200を位置精度よく保持することができる。
【0067】
(第3の実施形態の変形例)
図14(a)および(b)に記載のソケット3100は、ソケット3000の変形例である。ソケット3100は、収納部材100と、収納部材100に固定される段付きネジ64との間に第1保持基板20を摺動可能に保持し、段付きネジ64の高さを調整することで、第1保持基板20の移動長さd1を調整する。図14(b)は、コンタクトピン200の第2接触子220近傍の拡大図である。ソケット3100は、第1保持基板20が押し上げられ、かつコンタクトピン200が第2保持基板30により上部に位置するように保持されるため、第2接触子220の先端が収容部材100の底面から突出する量dp4が小さくなり、コンタクトピン200にかかるプリロード荷重を小さくすることができる。
【0068】
また、このとき、可動台座10と第1保持基板20との間の距離d0と、第1保持基板20と段付きネジ64との間の距離dsの合計は、検査時のコンタクトピン200の適正変位量よりも大きい。これにより、コンタクトピン200は検査時に適正変位量の範囲で押し下げられ、軸方向に適切な負荷がかかった状態で、半導体パッケージ300の電極と接触することができる。
【0069】
さらに、第2保持基板30と実装用基板110との間の間隙dbは、第1保持基板20と段付きネジ64との間の距離dsと同じか、またはそれより大きい。
【0070】
図15(a)は、第1保持基板20の第2径部分の厚さを変更した第2の変形例のソケット3200の実装状態の断面図である。ソケット3200は、図15(b)に示すように、第1保持基板20の貫通孔の第2径部分が、ソケット3100の場合の長さdA1よりも長いdA2を有する点でソケット3100と相違する。ソケット3200は、第1保持基板20の第2径部分が厚くなるため、第1保持基板20のプリロード荷重がかかる部分の強度が高くなり、より変形を抑制することができる。
【0071】
さらに、ソケット3200では、第1保持基板20の第2径部分が厚くなったために、第1保持基板20の上面が可動台座10とより近づくこととなる。そのため、コンタクトピン200が、可動台座10の貫通孔から外れ、可動台座10の下側に潜り込む可能性を低くすることができる。
【0072】
また、ソケット3200では、第1保持基板20の上面が可動台座10とより近づくように、第1保持基板20全体がソケット3100の場合よりも上側に押し上げられることとなる。その結果、押し上げられた第1保持基板20と段付きネジ64との間の距離dsはソケット3100の場合よりも大きくすることが好ましく、第1保持基板20の下方への移動距離も大きくできる。ソケット3200の構造でdA2が長い場合は、d1+d2がdA1の時よりも第1保持基板20の下方への移動距離を長くすることが好ましい。言い換えれば、第1保持基板20が可動することで、第2径部分の厚さを厚くすることができる。本実施形態は、第1保持基板20及び第2保持基板30が可動するので、検査時のコンタクトピン200に軸方向に適切な負荷がかかった状態で、半導体パッケージ300の電極と接触することができる。
【0073】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0074】
また、上述の各実施の形態および変形例の一つもしくは複数を、適宜組合せてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 可動台座
20 第1保持基板
30 第2保持基板
32 固定部材
50 第1弾性部材
60 第2弾性部材
62 位置決めピン
64 段付きネジ
65 フック
66 係合部
70 第3弾性部材
72 支持部材
100 収納部材
110 実装用基板
112 基板固定用ネジ
114 平座金
116 バネ座金
118 ナット
200 コンタクトピン
210 第1接触子
220 第2接触子
230 バレル
300 半導体パッケージ
500 従来のソケット
1000 第1の実施形態のソケット
1100 第1の実施形態の変形例
1200 第1の実施形態の変形例
1300 第1の実施形態の変形例
2000 第2の実施形態のソケット
3000 第3の実施形態のソケット
3100 第3の実施形態の変形例
3200 第3の実施形態の変形例
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
また、コンタクトピン200の第2接触子220は任意の形状を有することができ、例えば、段付き形状(図4(a))、滑落防止用の大径部を有する形状(以下、ビッグヘッド形状という)(図4(a-2))、第2接触子20の摺動部に段差がない形状(以下、ストレート形状という)(図4(b))などを有することができる。第2接触子220がストレート形状の場合、プランジャの加工がより容易になり、加工時間の短縮やコスト削減をもたらすことができる。また、第2接触子220が段付き形状やビッグヘッド形状を有する場合、第2接触子220の先端部近くで第2保持基板30と接触することができるため、コンタクトピン200の位置をより上部に維持できる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
(第3の実施形態の変形例)
図14(a)および(b)に記載のソケット3100は、ソケット3000の変形例である。ソケット3100は、収納部材100と、収納部材100に固定される段付きネジ64との間に第1保持基板20を摺動可能に保持し、段付きネジ64の高さを調整することで、第1保持基板20の移動長さd1を調整する。図14(b)は、コンタクトピン200の第2接触子220近傍の拡大図である。ソケット3100は、第1保持基板20が押し上げられ、かつコンタクトピン200が第2保持基板30により上部に位置するように保持されるため、第2接触子220の先端が収納部材100の底面から突出する量dp4が小さくなり、コンタクトピン200にかかるプリロード荷重を小さくすることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3