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特開2024-168037自動バレー駐車場管理システム及び自動バレー駐車場管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168037
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】自動バレー駐車場管理システム及び自動バレー駐車場管理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G08G1/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084424
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩二
(72)【発明者】
【氏名】手塚 忠臣
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181KK10
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】多数の車両を効率よく駐車し、駐車場内を死角なく監視カメラで監視しながら車両を誘導及び管理する。
【解決手段】自動バレー駐車場管理システムは、自動運転車両の特性に基づき、自動運転車両に対して、駐車場に設けられたカメラの死角とならない最終駐車スペースを選定する駐車場管理装置と、前記最終駐車スペースに駐車するための指令を前記自動運転車両に出力する自動バレー管制装置と、を具備する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両の特性に基づき、自動運転車両に対して、駐車場に設けられたカメラの死角とならない最終駐車スペースを選定する駐車場管理装置と、
前記最終駐車スペースに駐車するための指令を前記自動運転車両に出力する自動バレー管制装置と、
を具備する自動バレー駐車場管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の自動バレー駐車場管理システムであって、
前記自動運転車両の特性は、サイズを含み、
前記駐車場管理装置は、前記自動運転車両のサイズに基づき、サイズが大きい自動運転車両と前記カメラとの離間距離が大きくなるように、前記最終駐車スペースを選定する
自動バレー駐車場管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動バレー駐車場管理システムであって、
前記駐車場管理装置は、前記駐車場に駐車中の既駐車車両の特性及び前記自動運転車両の特性に基づき、前記既駐車車両との車両幅方向の車両間距離が最小となる前記最終駐車スペースを選定する
自動バレー駐車場管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の自動バレー駐車場管理システムであって、
前記駐車場管理装置は、前記既駐車車両の特性及び前記自動運転車両の特性に基づき、前記自動運転車両により前記既駐車車両が前記カメラの死角とならず、かつ、前記既駐車車両により前記自動運転車両が前記カメラの死角とならない前記最終駐車スペースを選定する
自動バレー駐車場管理システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の自動バレー駐車場管理システムであって、
前記駐車場管理装置は、車両DBに自動運転車両毎に記憶された前記自動運転車両の特性に基づき、前記最終駐車スペースを選定する
自動バレー駐車場管理システム。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の自動バレー駐車場管理システムであって、
前記駐車場管理装置は、
前記自動運転車両の特性が前記車両DBに記憶されていない場合、自動運転テスト動作のプランを作成し、
前記自動バレー管制装置に、前記プランに基づき、前記駐車場内で自動運転テスト動作を実行するための指令を、前記自動運転車両に対して出力させ、
前記自動運転テスト動作に基づき、前記自動運転車両の特性を取得する
自動バレー駐車場管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の自動バレー駐車場管理システムであって、
前記駐車場管理装置は、前記駐車場内の複数箇所において、前記自動運転テスト動作を実行するプランを作成する
自動バレー駐車場管理システム。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の自動バレー駐車場管理システムであって、
前記自動運転車両の特性は、最小回転半径と、コーナーセンサの有無と、障害物検知時に自動停車する障害物との最小距離と、の少なくとも何れかを含む
自動バレー駐車場管理システム。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の自動バレー駐車場管理システムであって、
前記駐車場は、複数の車両を横列駐車する駐車スペースを有し、
前記駐車スペースは、車路と前記駐車スペースとを区画し車両幅方向に延在する区画線を有し、横列駐車する複数の車両の駐車位置が区切られず、
前記駐車場管理装置は、前記自動運転車両の前端が前記区画線を基準とした位置となるように、前記最終駐車スペースを選定する
自動バレー駐車場管理システム。
【請求項10】
請求項9に記載の自動バレー駐車場管理システムであって、
前記駐車場管理装置は、前記自動運転車両の前端と、隣り合う既駐車車両の前端とが、前記区画線に対して揃うように、前記自動運転車両の駐車位置を調整する
自動バレー駐車場管理システム。
【請求項11】
請求項9に記載の自動バレー駐車場管理システムであって、
前記駐車場管理装置は、前記自動運転車両と隣り合う既駐車車両との一方により他方が前記カメラの死角になるのを避けるために、前記一方の車両の前端と、前記他方の車両の前端とのいずれかが前記区画線に対して前後に離間するように、前記自動運転車両の駐車位置を調整する
自動バレー駐車場管理システム。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の自動バレー駐車場管理システムであって、
前記自動運転車両の特性は、車色を含み、
前記駐車場管理装置は、前記自動運転車両の車色と異なる車色の既駐車車両の隣を、前記最終駐車スペースとして選定する
自動バレー駐車場管理システム。
【請求項13】
自動運転車両の特性に基づき、自動運転車両に対して、駐車場に設けられたカメラの死角とならない最終駐車スペースを選定し、
前記最終駐車スペースに駐車するための指令を前記自動運転車両に出力する
自動バレー駐車場管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動バレー駐車サービス対応の駐車場における、車両の管制装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今では、駐車場内で駐車スペースに自動で車両が駐車される所謂自動バレー駐車サービスが実現されている。
【0003】
駐車場内において、駐車スペースの大きさ(面積)が決まっていると、大型車体ほど駐車スペースの大きさが必要でない中小車体の自動運転車両を駐車させると、駐車スペース効率が低下する。
【0004】
駐車スペースの大きさを決めず(フリーの駐車スペース)に駐車を誘導する場合には、監視カメラ等によって実駐車状態の監視が必要となる。
【0005】
しかしながら、駐車スペースの大きさを決めずに誘導して駐車させた場合、車両の安全装置等により、周囲の既駐車両によって出庫不可となる場合もある。
【0006】
この場合、最悪は、車両を順次ずらす必要があるが、そうすると短時間に多数の車両を制御することになり、自動運転の認証やコントロールが複雑になる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-061418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1には、自動運転機能を有する車両を駐車させるための駐車場の運用方法及び駐車システムについて開示されている。具体的には、自動運転機能及び自動駐車モードを有する車両の入庫及び出庫に係る種々の工程が自動的に実行されることとしている。
【0009】
しかしながら、特許文献1の駐車場管理装置には、監視カメラ等により車両を監視する記載や、安全装置等の性能を把握する記載がなく、車両の入庫及び出庫についての安全性や、駐車スペース効率に配慮して運用できているとは言えない。
【0010】
以上のような事情に鑑み、多数の車両を効率よく駐車し、駐車場内を死角なく監視カメラで監視しながら車両を誘導及び管理することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一形態に係る自動バレー駐車場管理システムは、
自動運転車両の特性に基づき、自動運転車両に対して、駐車場に設けられたカメラの死角とならない最終駐車スペースを選定する駐車場管理装置と、
前記最終駐車スペースに駐車するための指令を前記自動運転車両に出力する自動バレー管制装置と、
を具備する。
【0012】
これにより、車両の誘導についての安全性が向上し、場内カメラで誘導時の車両を監視しやすくし、適切に誘導して駐車することに寄与する。
【0013】
前記自動運転車両の特性は、サイズを含み、
前記駐車場管理装置は、前記自動運転車両のサイズに基づき、サイズが大きい自動運転車両と前記カメラとの離間距離が大きくなるように、前記最終駐車スペースを選定してもよい。
【0014】
これにより、車両の誘導についての安全性が向上し、駐車場が駐車車両で多くなった際に、死角にならないように車両を駐車させることで、場内カメラで誘導時の車両を監視しやすくし、適切に誘導し駐車することに寄与する。
【0015】
前記駐車場管理装置は、前記駐車場に駐車中の既駐車車両の特性及び前記自動運転車両の特性に基づき、前記既駐車車両との車両幅方向の車両間距離が最小となる前記最終駐車スペースを選定してもよい。
【0016】
これにより、駐車スペース毎(車室毎)の区分けをしない駐車場(フリースペース)の場合、できるだけ多くの車両を駐車することが可能となり、駐車場の収益向上に寄与する。また、駐車場管理装置が、車両の駐車スペースを選定するにあたって、駐車スペースの隣に既駐車車両があった場合、その車両の安全性能判断機能の性能を勘案したうえで駐車スペースを選定することで、車両を適切に誘導し管理することに寄与する。
【0017】
前記駐車場管理装置は、前記既駐車車両の特性及び前記自動運転車両の特性に基づき、前記自動運転車両により前記既駐車車両が前記カメラの死角とならず、かつ、前記既駐車車両により前記自動運転車両が前記カメラの死角とならない前記最終駐車スペースを選定してもよい。
【0018】
これにより、これから誘導する車両の駐車位置を前にずらす等して駐車スペースに駐車させる(相対的に大型の車両の影で相対的に小型の車両を場内カメラが監視できなくなる場合は、相対的に小型の車両を少し前に出して駐車させる)ことで、場内カメラで継続して監視し、車両を安全に管理することに寄与する。
【0019】
前記駐車場管理装置は、車両DBに自動運転車両毎に記憶された前記自動運転車両の特性に基づき、前記最終駐車スペースを選定してもよい。
【0020】
これにより、駐車場管理装置は、車両の安全性能判断機能により、車両を適切に誘導し駐車することに寄与する。
【0021】
前記駐車場管理装置は、
前記自動運転車両の特性が前記車両DBに記憶されていない場合、自動運転テスト動作のプランを作成し、
前記自動バレー管制装置に、前記プランに基づき、前記駐車場内で自動運転テスト動作を実行するための指令を、前記自動運転車両に対して出力させ、
前記自動運転テスト動作に基づき、前記自動運転車両の特性を取得してもよい。
【0022】
これにより、駐車場管理装置は、車両の安全性能判断機能により、車両を適切に誘導し駐車することに寄与する。
【0023】
前記駐車場管理装置は、前記駐車場内の複数箇所において、前記自動運転テスト動作を実行するプランを作成してもよい。
【0024】
これにより、駐車場管理装置は、車両の安全性能判断機能により、車両を適切に誘導し駐車することに寄与する。
【0025】
前記自動運転車両の特性は、最小回転半径と、コーナーセンサの有無と、障害物検知時に自動停車する障害物との最小距離と、の少なくとも何れかを含んでもよい。
【0026】
これにより、駐車場管理装置は、これから誘導する車両の安全性能判断機能だけでなく、既駐車車両Aの安全性能判断機能も考慮し、駐車スペースの選定を行うことができる。
【0027】
前記駐車場は、複数の車両を横列駐車する駐車スペースを有し、
前記駐車スペースは、車路と前記駐車スペースとを区画し車両幅方向に延在する区画線を有し、横列駐車する複数の車両の駐車位置が区切られず、
前記駐車場管理装置は、前記自動運転車両の前端が前記区画線を基準とした位置となるように、前記最終駐車スペースを選定してもよい。
【0028】
これにより、駐車場管理装置は、可能な限り多数の車両を駐車するため、既駐車車両との車両幅方向の車両間距離が最小となる駐車スペースを選定し、車両間を詰めた駐車を行うことができる。
【0029】
前記駐車場管理装置は、前記自動運転車両の前端と、隣り合う既駐車車両の前端とが、前記区画線に対して揃うように、前記自動運転車両の駐車位置を調整してもよい。
【0030】
これにより、特に高さの低い車両前端部分が相対的に奥まらないため、場内カメラから車両を監視することが容易になる。
【0031】
前記駐車場管理装置は、前記自動運転車両と隣り合う既駐車車両との一方により他方が前記カメラの死角になるのを避けるために、前記一方の車両の前端と、前記他方の車両の前端とのいずれかが前記区画線に対して前後に離間するように、前記自動運転車両の駐車位置を調整してもよい。
【0032】
これにより、隣合わせの車両同士のサイズが異なる場合でも、相対的に大型の車両が相対的に小型の車両を隠すことを避けられるため、両方の車両を場内カメラで監視し続けることが可能となる。
【0033】
前記自動運転車両の特性は、車色を含み、
前記駐車場管理装置は、前記自動運転車両の車色と異なる車色の既駐車車両の隣を、前記最終駐車スペースとして選定してもよい。
【0034】
隣同士の車両が同色や同系色の場合は、場内カメラが独立した2台の車両として識別し難く、2台が一体的に繋がって車両ではなく空間と誤認識し、結果的に、車両を駐車中に監視できないおそれがある。このため、駐車場管理装置は、車両の車色と異なる車色の既駐車車両の隣を、最終駐車スペースとして選定することで、誤認識を防止することができる。
【0035】
本発明の一形態に係る自動バレー駐車場管理方法は、
自動運転車両の特性に基づき、自動運転車両に対して、駐車場に設けられたカメラの死角とならない最終駐車スペースを選定し、
前記最終駐車スペースに駐車するための指令を前記自動運転車両に出力する。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、多数の車両を効率よく駐車し、駐車場内を死角なく監視カメラで監視しながら車両を誘導及び管理することができる。
【0037】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の一実施形態に係る自動バレー駐車場管理システムの構成例を示す概略図である。
図2】車両DBの一例を示す。
図3】自動バレー駐車サービス対応の駐車場の構成例を示す模式図である。
図4】車両平面形状測定カメラによる車両平面形状の測定を模式的に示す。
図5】自動運転機能を有する車両の構成例を示す模式図である。
図6】駐車場管理装置の機能の概要を示すブロック図である。
図7】自動バレー駐車動作の基本的な動作フローである。
図8】車両情報の収集処理の動作フローである。
図9】車両平面形状の認識処理を模式的に示す。
図10】車両誘導処理及び安全性能判断機能の収集処理の動作フローである。
図11】自動運転テスト動作を模式的に示す。
図12】自動運転テスト動作を模式的に示す。
図13】最終駐車スペースの選定処理の動作フローである。
図14】空き駐車スペース検索処理の動作フローである。
図15】区画線を基準とした車両の駐車位置の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
【0040】
1.自動バレー駐車場管理システムの構成
【0041】
図1は、本発明の一実施形態に係る自動バレー駐車場管理システムの構成例を示す概略図である。
【0042】
自動バレー駐車場管理システム500は、駐車場11を利用する利用者から申請される予約の管理、駐車状況の監視、及び駐車場の利用に関する種々の料金の算出等、駐車場11に関する種々の処理を実行可能である。
【0043】
自動バレー駐車場管理システム500は、駐車場サーバ7と、駐車場管理装置5と、自動バレー管制装置37と、決済機関9が有する決済サーバ装置(図示せず)と、ETC(Electronic Toll Collection System)管理機関10が有するETC管理サーバ装置(図示せず)とを有する。
これらの端末及び装置は、ネットワーク1を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク1は、例えばインターネットや広域通信回線網等により構築される。
その他、任意のWAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)等が用いられてよく、ネットワーク1を構築するためのプロトコルは限定されない。
【0044】
駐車場管理装置5及び自動バレー管制装置37は、駐車場11に設置される。後に説明するように、本実施形態では、駐車場管理装置5及び自動バレー管制装置37を中心として、本発明に係る自動バレー駐車場管理システム500が構築される。
駐車場管理装置5は、駐車場11内に設置される各装置の動作を包括的に制御することが可能である。
また、駐車場管理装置5は、駐車場11内に設置される各装置から種々の情報を集約し、駐車場サーバ7及び自動バレー管制装置37等に送信することが可能である。駐車場管理装置5は、駐車場サーバ7等から種々の情報を受信し、種々の動作を実行することが可能である。
【0045】
駐車場管理装置5は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等のコンピュータの構成に必要なハードウェアを有する。
また駐車場管理装置5は、ネットワーク1を介して他の装置と通信するための通信部を有する。通信部としては、例えばWiFi(登録商標)等の無線LANモジュールや、モデムやルータ等の通信機器が用いられる。
駐車場管理装置5として、例えばPC(Personal Computer)等の任意のコンピュータが用いられる。
【0046】
駐車場管理装置5は、ビッグデータとしてのデータベースを管理する外部装置と通信可能でもよい。ビッグデータは、例えば、多数の車両データが記憶されている都市国家、実験的自治体、コミュニティのビッグデータでよい。駐車場管理装置5は、利用者やメーカ等がアクセス可能な外部装置と通信可能でもよい。
【0047】
図1に示す例では、駐車場11にゲート装置28(入口ゲート装置28a及び出口ゲート装置28b)が設置されている。ゲート装置28は、車両の入場/出場を規制することが可能である。また、駐車場11は全体を監視システム24によって監視されている。
なお、ゲート装置が設置されない所謂ゲートレス駐車場に対しても、本発明を適用することが可能である。
【0048】
利用者端末装置6は、駐車場11を利用する利用者により使用される端末である。利用者端末装置6として、スマートフォン、タブレット端末、種々のPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末や、ノートPC(Personal Computer)等の、任意のコンピュータが用いられてよい。
【0049】
駐車場サーバ7は、本実施形態に係る自動バレー駐車サービスをWebサービスとして提供可能である。本実施形態では、複数のサーバ装置(図示しない)と、データベース(DB)とにより駐車場サーバ7が構成される。
【0050】
駐車場サーバ7の各サーバ装置は、CPU、ROM、RAM、HDD等のコンピュータの構成に必要なハードウェアを有する。また各サーバ装置は、ネットワーク1を介して他の装置と通信するための通信部を有する。通信部としては、例えばWiFi等の無線LANモジュールや、モデムやルータ等の通信機器が用いられる。サーバ装置として、例えばPC等の任意のコンピュータが用いられる。
【0051】
駐車場サーバ7のDBは記憶部として機能し、本自動バレー駐車サービスに関する種々の情報を記憶する。例えば駐車場サーバ7のDB内には、例えば、車両DB101(図2)、予約情報DB、在車DB、駐車場DB、提携店舗DB、割引DB、出庫情報DB、オーナ情報DB、種々の履歴DB、管理情報DB、テスト結果DB(後述)等の、種々のDBが構築されてもよい。各種のDBは、駐車場サーバ7内のDBサーバにより包括的に管理され、例えば自動バレー駐車サービスを利用する利用者の会員登録及び退会、各利用者から受付けた予約情報の登録、変更及び削除、駐車場11のオーナ情報の登録及び保管、運営収支情報の記録及び保管等が実行される。
【0052】
図2は、車両DBの一例を示す。
【0053】
車両DB101は、駐車場11を利用する車両の車両ID(ナンバー、WCN等)毎に、会員番号、会員種別、車体情報、車色、安全性能判断機能、タイヤ状況、充電状況、電子メールアドレス等を関連付けて記憶する。車体情報には、車体番号や型式を含み、車両の詳細な仕様が解るようになっている。
【0054】
安全性能判断機能は、最小回転半径と、コーナーセンサの有無と、障害物検知時に自動停車する障害物との最小距離とを含む。タイヤ状況は、場内カメラ32により撮影された画像に基づき判断され、例えば、撓みの有無を示す。
【0055】
また駐車場サーバ7により、例えばWWW(World Wide Web)システムを用いて、本実施形態に係る自動バレー駐車サービスが提供される。例えばWebサーバは、HTML文書でなる種々のWebページを作成する。Webページには、他のWebページへのハイパーリンクや、種々の処理を実行するためのリンク情報(例えば実行ファイル名、URL等)が埋め込まれる。
また駐車場サーバ7内のWeb/APIサーバにより、種々のリクエストに応じた種々の処理が実行される。例えばWeb/APIサーバにより、駐車場11の満空車情報の収集及び出力等が実行される。
駐車場サーバ7内により生成されたWebページは、図1に示す各装置に備えられるWebブラウザにより画面上に表示される。例えば駐車場11を利用する利用者は、利用者端末装置6を操作することで、種々のWebページを閲覧したり、種々のWebアプリケーションを利用したりすることが可能である。
【0056】
決済機関9は、例えば銀行や信販会社等であり、銀行振り込みやクレジットカード決済(交通系カード決済や二次元コード決済を含む)等により駐車料金の決済(精算)を実行する。駐車場サーバ7は、決済機関9の決済サーバ装置に対して、駐車料金の精算の指示や、精算が済んでいるか否か等の精算情報の問い合わせ等を実行する。
【0057】
ETC管理機関10は、ETCシステムを実現するための機関であり、ETCシステムを利用する利用者の情報、ETCカード情報、決済情報、及び車体情報等を管理する。例えば、車両に搭載されたETC車載器にETCカードを挿入する。これにより、ETCアンテナが設置されたETC対応(具体的にはETC2.0対応)の駐車場11に対して、ETC決済による駐車場11の利用が可能となる。
【0058】
車両メーカ12は複数あり、夫々の純正の車両やパーツ等における自動運転に関連する機能のソフトウェアの更新情報を提供する。また、純正でないパーツやユニットの制御プログラムを提供するサードパーティも車両メーカ12の範疇とする。
【0059】
2.自動バレー駐車システム
【0060】
本発明は、自動バレー駐車サービスを提供する駐車場11に対して適用可能である。自動バレー駐車システムは、自動運転機能(自律走行機能)を有する車両による自動バレー運転(自動バレー駐車すなわち自動バレー入庫運転と、自動バレー出庫運転)が実行可能なシステムである。自動バレー駐車システムが構築された駐車場11は、自動バレー駐車サービス対応の駐車場11とも言える。
【0061】
例えば利用者は、利用者端末装置6を操作して、自動バレー駐車サービスを提供するアプリケーションにアクセスする。そして必要な情報を入力して会員登録等を行うことで、自動バレー駐車サービスを利用することが可能となる。
本実施形態では、図1に示す自動バレー駐車場管理システム500に含まれるシステムとして、自動バレー駐車システムが構築される。すなわち駐車場サーバ7により提供される駐車場管理サービスに含まれるサービスとして、自動バレー駐車サービスが提供される。駐車場サーバ7のDBには、自動バレー駐車システムに関する種々のDBが構築される。
これに限定されず、自動バレー駐車場管理システム500とは別のシステムとして、自動バレー駐車システムが構築されてもよい。例えば、図1には図示していない別の管理装置等により自動バレー駐車システムが構築され、駐車場11と個別に契約等が行われてもよい。
その他、自動バレー駐車システムを構築するための構成や方法等は限定されない。
【0062】
例えば利用者は、利用者端末装置6を操作して、自動バレー駐車の予約を行う。そして予約時間に合わせて、自動運転機能を有する車両を手動で運転(手動運転モード)して、駐車場11内に入場する。もちろん自動運転でも構わない。
利用者は、駐車場11内の所定の位置に設けられた自動バレー駐車サービス対応の駐車スペース(以下、自動バレー乗降スペースと記載する)に車両を駐車する。そして、車両から降りた利用者により、自動バレー駐車の実行が指示される。自動バレー駐車の実行の指示は、例えば利用者端末装置6を介して実行される。あるいは、駐車場11内に設定された専用の端末等(事前精算機22、キオスク端末等)が操作されてもよい。
当該指示に応じて、車両は無人による自動運転により、駐車場11内の所定の駐車スペースに移動し、車両を駐車させる(自動バレー入庫運転)。なお予約をすることなく、好きな時間に駐車場11内に入場して、自動バレー駐車を実行させることも可能である。
利用者が駐車場に戻ってくる際には、例えば何分後に駐車場内の自動バレー乗降スペースに、自動運転機能を有する車両を移動させる旨等の指示が入力される。当該指示に応じて、車両は無人による自動運転により、駐車スペースから自動バレー乗降スペースに車両を移動させ駐車させる(自動バレー出庫運転)。
以下、自動バレー駐車サービス対応の駐車場11を例に挙げて、本実施形態を説明する。
【0063】
3.駐車場の構成例
【0064】
図3は、自動バレー駐車サービス対応の駐車場11の構成例を示す模式図である。
【0065】
駐車場11は、入場口15、出場口16、構内通路17、複数の駐車エリア18、自動バレー乗降スペース19(乗車場)、階段20、エレベータ21(エレベータホール)、事前精算機22及び案内装置(図示しない)を有する。
【0066】
入場口15から駐車場11の内部に向かって入場レーンが構成される。入場レーン27には、入口ゲート装置28a、入口カメラ29a、及び車両平面形状測定カメラ33が設けられる。
入口ゲート装置28aにより、入場レーン27から駐車場11内部への自動運転車両3の入場が適宜規制される。
入口カメラ29aにより、入場レーン27に進入した車両3を撮影することが可能であり、入場レーン27への自動運転車両3の進入が検出される。入場レーン27に設けられた入口ループコイル(不図示)から出力される信号に基づいて、入場レーン27への自動運転車両3の進入が検出されてもよい。
【0067】
図4は、車両平面形状測定カメラによる車両平面形状の測定を模式的に示す。(A)は平面図、(B)は矢視図である。
【0068】
車両平面形状測定カメラ33は、自動運転車両3の入場時に平面形状を撮影する。車両平面形状測定カメラ33は、入場口15のゲート付近の天井に設置された監視カメラでよい。あるいは、車両平面形状測定カメラ33は、自動運転車両3をスキャン可能なスキャン装置でもよい。
各デバイスの具体的な構成は限定されず、任意の構成が採用されてよい。
【0069】
駐車場11内部から出場口16に向かって出場レーン29が構成される。出場レーン29には、出口ゲート装置28b、及び出口カメラ29bが設けられる。
出口ゲート装置28bにより、出場レーン29から駐車場11外部への車両3の出場が適宜規制される。
出口カメラ29bにより、出場レーン29に進入した自動運転車両3を撮影することが可能であり、出場レーン29への自動運転車両3の進入が検出される。出場レーン29に設けられた出口ループコイル(不図示)から出力される信号に基づいて、出場レーン29への自動運転車両3の進入が検出されてもよい。
各デバイスの具体的な構成は限定されず、任意の構成が採用されてよい。
【0070】
また図3の図示は省略しているが、入場レーン27及び出場レーン29には、ETC車載器を搭載した自動運転車両3を検出する、入口ETCアンテナ30a及び出口ETCアンテナ30b(図1)がそれぞれ設置されている。入口ETCアンテナ30a及び出口ETCアンテナ30bは路側器34(図1)に接続される。
【0071】
構内通路17は、駐車場11に入場した自動運転車両3が走行する通路である。
図3では、二重の略長方形状により、自動運転車両3が図示されている。
図3に示すように、構内通路17に対して、自動運転車両3の走行方向を規定する標識(矢印等)が設けられてもよい。図3では構内通路17では車両は左回りの一方通行であるが、左側通行の相互対面通行でもよい。また、歩行者等が歩くための通路が規定されてもよい。
【0072】
複数の駐車エリア18は、駐車場11内に設けられる。図3に示す例では、スペースナンバーがA、B、C、D、E、F、Gとなる、複数の駐車エリア18が配置される。
駐車エリア18は、自動バレー駐車を実行する複数の自動運転車両3が横列駐車可能なスペースである。
駐車スペースは、構内通路17である車路36と駐車エリア18とを区画し車両幅方向に延在する区画線18aを有する。一方、駐車エリア18は、フリースペースであり、横列駐車する複数の自動運転車両3の駐車位置が区切られていない。
【0073】
自動バレー乗降スペース19は、自動バレー駐車サービス対応の駐車スペースである。すなわち自動バレー乗降スペース19は、ドライバや同乗者が自動バレー駐車場を実行する自動運転車両3から降りたり、乗ったりするためのスペースである。
図3に示す例では、入場口15及び出場口16に近い位置に、スペースナンバーがV1~V4となる4つの自動バレー乗降スペース19が設けられる。例えば、自動バレー駐車サービスを利用する利用者は、入場口15から駐車場11に入場した後、右折して自動バレー乗降スペース19に自動運転車両3を駐車させる。そして自動バレー乗降スペース19にて、自動運転車両3から降り、自動バレー駐車の実行を指示する。当該指示に応じて、自動運転車両3が、テスト通路35内でテスト走行する。そして、自動運転車両3が、自動バレー乗降スペース19から、テスト走行の結果に基づき、いずれかの駐車エリア18に移動する。
自動バレー駐車サービスを利用する利用者が駐車場11に戻ってきた場合には、そのタイミングに合わせて、駐車エリア18から自動バレー乗降スペース19に、自動運転車両3が移動する。利用者は、自動運転車両3に乗り込み、手動運転にて、出場口16から外部に自動運転車両3を出場させる。
【0074】
テスト通路35には、自動運転テスト用センサ38、38が設置される。自動運転テスト用センサ38、38は、テスト参加中の自動運転車両3の距離(自動運転テスト用センサ38、38からの距離)や向き(方角)を検知可能である。自動運転テスト用センサ38、38は、例えば、LiDER(Light Detection And Ranging)であり、テスト参加中の自動運転車両3を360度スキャン可能である。自動運転テスト用センサ38、38は、あるいは、超音波センサ、赤外線センサ、撮像センサ等でもよい。
【0075】
事前精算機22は、駐車場11の利用者が駐車場11から自動運転車両3を出場させる前に事前精算を実行することが可能な装置である。例えば、タッチパネル等を有する装置が、事前精算機22として設置される。
案内装置(図示しない)は、駐車場11及び本自動バレー駐車場管理システム500(自動バレー駐車システムを含む)に関する種々の情報を案内するための装置である。例えばディスプレイ装置等を有し案内情報を表示可能な装置等が、案内装置として用いられる。
【0076】
駐車場を監視して自動バレーサービスをサポートするシステムとして、図3に示すように、以下のデバイスが、駐車場内に設置される。
【0077】
主に構内通路17を撮影する場内カメラ32(図中の白丸)、入口カメラ29a、出口カメラ29b、車両平面形状測定カメラ33はそれぞれ、自動バレー駐車場管理システム500における複数の監視カメラ(以下、個別に説明する場合を除き、これらを総称してカメラともいう)として機能する。本開示にて説明する上述の各種カメラとして、例えばCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサやCCD(Charge Coupled Device)センサ等のイメージセンサを備える単眼デジタルカメラが用いられる。その他、赤外線カメラ等が用いられてもよい。
【0078】
自動バレー駐車場管理システム500は、駐車場11の監視結果として、監視情報を出力することが可能である。本実施形態では、各種カメラにより撮影された撮影画像や、各種マイクにより取得された音声が監視情報として出力される。
なお本開示において、画像は、静止画像及び動画像(映像)の両方を含む。
場内カメラ32は、駐車場11の全体を極力カバーできるように配置される。すなわち可能な限り死角が存在しないように、複数の場内カメラ32が適宜配置される。
【0079】
4.自動バレー駐車場管制システム
【0080】
図1を参照して、自動バレー駐車場管理システム500の構成例を説明する。
自動バレー駐車場管理システム500は、駐車場11に対して構築されるシステムである。
図1に例示する自動バレー駐車場管理システム500は、駐車場管理装置5、事前精算機22、自動バレー管制装置37、入口ゲート装置28a、出口ゲート装置28b、路側器34、入口ETCアンテナ30a、出口ETCアンテナ30b、入口カメラ29a、出口カメラ29b、場内カメラ32、車両平面形状測定カメラ33を含む。
図1に示す各ブロックは、例えば駐車場11の構内に設置された図示しない構内LANを介して、互いに通信可能に接続されている。その他、無線/有線を介した任意の通信技術が用いられてもよい。
【0081】
自動バレー管制装置37は、自動バレー駐車システム500を構築するための装置である。本実施形態では、自動バレー管制装置37が、駐車場サーバ7や駐車場管理装置5と協働することで、自動運転車両3による自動バレー運転及びテスト走行が管理される。
例えば、自動バレー管制装置37により、自動運転車両3による自動運転動作が制御される。例えば、自動バレー乗降スペース19から所定の駐車エリア18への自動運転が指示される。あるいは、所定の駐車エリア18から自動バレー乗降スペース19への自動運転が指示される。また、自動バレー乗降スペース19からテスト通路35への自動運転、テスト通路35でのテスト走行、テスト通路35から所定の駐車エリア18への自動運転が指示される。
その他、自動バレー駐車場の予約管理等、種々の処理が実行される。
自動バレー管制装置37は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD等のコンピュータの構成に必要なハードウェアを有する。また自動バレー管制装置37に、ネットワーク1を介して他の装置と通信するための通信部が備えられる。通信部としては、例えばWiFi等の無線LANモジュールや、モデムやルータ等の通信機器が用いられる。
自動バレー管制装置37として、例えばPC等の任意のコンピュータが用いられる。
【0082】
駐車場管理装置5のDBには、駐車場11に関する種々のデータが格納され、例えば在車DBや履歴DB等の任意のDBが構築される。もちろん駐車場サーバ7のDBに格納されたデータが共有される場合もあり得る。
また自動バレー駐車に関する種々の情報が駐車場管理装置5のDBに記憶される。なお、上述の車両情報等は、駐車場管理装置5のDBではなく、駐車場サーバ7のDBに格納されてもよい。
【0083】
5.自動運転車両
【0084】
図5は、自動運転機能を有する車両の構成例を示す模式図である。
自動運転車両3は、通信部41と、車載カメラ類42と、画像処理装置43と、ETCアンテナ44と、ETC車載器45と、制御部46と、車内及び車外センサ類59と、カーナビゲーション装置60と、GPS受信機/ビーコン受信機61とを有する。
通信部41は、他の装置と通信するためのデバイスである。本実施形態では、通信部41を介して、自動バレー管制装置37からの指示等を含む種々の情報が取得される。
通信部41としては、例えばDSRC(dedicated short range communication)等の通信機器が用いられる。その他昨今のコネクテッドカー規格に準じた任意の通信デバイスが用いられてよい。
【0085】
車載カメラ類42は、自動運転車両3の周囲、及び自動運転車両3の車内の乗員を撮影可能である。車載カメラ類42は、ドライブレコーダのカメラを含んでもよい。
車載カメラ類42としては、CCDカメラ等のデジタルカメラが用いられる。その他、ToF(Time of Flight)カメラやステレオカメラ等の測距デバイスが用いられてもよい。また赤外線カメラ等が用いられてもよい。
画像処理装置43は、車載カメラ類42により撮影された画像に基づいて、自動運転車両3の周囲の状況を認識する。状況認識のためのアルゴリズムは限定されない。
ETCアンテナ44、及びETC車載器45により、ETC決済による駐車場11の利用が可能である。
【0086】
制御部46は、CPU、ROM、RAM、HDD等のコンピュータの構成に必要なハードウェアを有する。図5に示す例では、制御部46により、ソフトウェアブロックとして、走行ルート生成部47、走行制御部48、車両・人認識部57、電装制御部58及び更新管理部62が実現される。
走行ルート生成部47は、自動バレー管制装置37からの指示、画像処理装置43による認識結果、駐車場11の地図情報等に基づいて、自動運転を行う走行ルートを決定する。
走行制御部48は、決定された走行ルートに沿った自動運転を実現するために、自動運転車両3が備える駆動系(図示は省略)等を適宜制御する。
例えば図5に例示するように、走行制御部48により、エンジン・モータ制御装置49、ブレーキ制御装置50、ヘッドライト制御装置51、ハザードランプ(ウィンカー)制御装置52、及びクラクション制御装置53等に制御信号が出力される。これにより走行ルートに沿った自動運転や、危機回避運動等が実現される。
その他、自動運転を実現するための周知の技術が適宜されてよい。
【0087】
本自動バレー駐車場管理システム500では、後述するように、駐車場11内を通行する個々の車両を識別、捕捉、追尾することで、各車両の走行位置や駐車位置などを監視することが可能に構成される。
【0088】
車両・人認識部57は、車載カメラ類42が撮影した、自動運転車両3の車内外の乗員の画像から、乗員の顔や歩行者等を認識し、また、自動運転車両3の周囲の駐車中や走行中の車両を認識する。
【0089】
電装制御部58は、ドアロック制御装置54、窓動作制御装置55、及び空調制御装置56に制御信号を出力する。
【0090】
6.駐車場管理装置の機能の概要
【0091】
図6は、駐車場管理装置の機能の概要を示すブロック図である。
【0092】
駐車場管理装置5は、駐車スペース管理機能77、駐車場管制機能78、駐車料金管理機能79、駐車場管理装置通信機能80、自動バレー駐車受付機能81、車両情報収集機能71、安全性能判断機能72、空き駐車スペース選定機能73、走行ルート設定機能74、テスト設定機能75、テスト記録機能76、及びテスト記録出力機能82を有する。
これらのブロックは、駐車場管理装置5のCPUが所定のプログラムを実行し、装置内のハードウェア資源と協働することで構成され、本実施形態に係る駐車場管制方法が実現される。
駐車場管理装置5にプログラムをインストールする方法は限定されない。
【0093】
駐車場管制機能78は、駐車場11の管制に関する種々の処理を実行する。
例えば、車両の検知、ゲート装置28の制御、監視システム24に含まれる各デバイスの制御、事前精算機22の制御、案内装置(図示しない)の制御、事前精算の確認、図1に示すネットワーク1上の他の装置との通信、駐車場DBへの情報の書き込みや読出し、その他、駐車場11の管制に関する種々の処理を実行する。これらの機能のうち、自動バレー管制装置37においては、自動運転車両3の動作を管制制御するが、簡単のため駐車場管理装置5および自動バレー管制装置37は一体的に動作するものとする。
【0094】
なお、図1に例示する自動バレー駐車場管理システム500において、駐車場サーバ7を除いた構成で、本発明に係る自動バレー駐車場管理システム500が実現されてもよい。例えば、駐車場管理装置5のみにより、本発明に係る自動バレー駐車場管理システム500が実現されてもよい。
【0095】
7.自動バレー駐車動作
【0096】
図7は、自動バレー駐車動作の基本的な動作フローである。
【0097】
自動運転機能を有する自動運転車両3が駐車場11に手動運転により入場し(ステップS101)、自動バレー乗降スペース19に駐車する。入場時には、駐車場管理装置5は入口カメラ29a、入口ETCアンテナ30a、場内カメラ32、車両平面形状測定カメラ33等の認識結果より、入場する自動運転車両3の情報を収集する(ステップS102)。
【0098】
図8は、車両情報の収集処理の動作フローである。
【0099】
例えば、駐車場管理装置5は、入口カメラ29a、入口ETCアンテナ30a、場内カメラ32のデータから、車両ID(ナンバー、WCN等)を読み取る(ステップS201)。
【0100】
駐車場管理装置5は、駐車場サーバ7の車両DB101(図2)を照会し、該当する自動運転車両3の車両IDを検索する(ステップS202)。車両DB101に該当する車両IDが登録されている場合(ステップS203、YES)、駐車場管理装置5は、車両DB101を読み込み、該当する車両IDの情報(会員番号、会員種別、車体情報、車色、安全性能判断機能、タイヤ状況、充電状況、電子メールアドレス等)を取得する(ステップS204)。
【0101】
一方、車両DB101に該当する車両IDが登録されていない場合(ステップS203、NO)、駐車場管理装置5は、入口カメラ29a、入口ETCアンテナ30a、場内カメラ32のデータから、車種(軽自動車、小型・普通自動車、等)、形(セダン、ワゴン、ワンボックス、SUV、等)、車色を取得する。駐車場管理装置5は、車両平面形状測定カメラ33が撮像した画像データから、自動運転車両3の平面形状を認識する(ステップS205)。駐車場管理装置5は、平面マップに自動駐車位置と形状を配置して、隣接車両の走行軌跡が余裕あるかを見極める必要がある。そのため、入場時に自動運転車両3の平面形状を撮影する。
【0102】
図9は、車両平面形状の認識処理を模式的に示す。
【0103】
(A)の例の様に、駐車場管理装置5は、自動運転車両3の4隅Rの形状が丸いことを認識して、最小回転半径(旋回性能)を測定する。(B)の例の様に、駐車場管理装置5は、後部にスペアタイヤSが装着されていることを認識して、最小回転半径(旋回性能)や、必要となる駐車スペースの広さを考慮する。後部にスペアタイヤSが装着されている場合、自動運転車両3の実際の車長は、車体情報の全長とは異なる。その他のセンサにより車高や車体の形状を測定してもよい。
【0104】
さらに、駐車場管理装置5は、無線通信により自動運転車両3と通信し、最小回転半径と、コーナーセンサの有無と、障害物検知時に自動停車する障害物との最小距離等を収集する(ステップS206)。駐車場管理装置5は、収集した情報を、車両IDと紐づけ、車両DB101に保存する(ステップS207)。ここで収集する最小回転半径と、コーナーセンサの有無と、障害物検知時に自動停車する障害物との最小距離等の情報は、安全性能判断機能情報の一部である。
【0105】
駐車場管理装置5は、自動運転車両3が車両DB101に登録済みであるか否かにかかわらず、入口カメラ29a、場内カメラ32のデータから、タイヤの状況等(タイヤのたわみ具合等)を判断する。さらに、駐車場管理装置5は、無線通信により自動運転車両3と通信し、充電状況を収集する。駐車場管理装置5は、収集した情報を、車両IDと紐づけ、車両DB101に保存する(ステップS208)。
【0106】
図7に戻る。駐車場11内の自動バレー乗降スペース19に駐車した自動運転車両3から降りた利用者により、自動バレー駐車の実行が指示される。自動バレー駐車の実行の指示は、例えば利用者端末装置6(スマートフォン等)を介して実行される。なお、利用者端末装置6は利用登録され、車両IDとペアリングされているため、車両を指定する必要はない。あるいは、駐車場11内に設定された専用の端末等が操作されてもよい。駐車場管理装置5は、自動バレー駐車の実行の指示を受け付ける(ステップS103)。
【0107】
駐車場管理装置5は、利用者から指定された自動運転車両3の入庫通知を受け取ると、管理装置は、指定された自動運転車両3に対して、運転モードを手動運転モードから自動運転モードに変更する処理を行う。駐車場管理装置5は、自動運転モードになった自動運転車両3を、収集した車両情報等から、空いている駐車スペースを選定し、選定した駐車スペースに自動運転車両3を誘導する。駐車場管理装置5は、駐車スペース選定前に、必要に応じて自動運転テスト動作を行う(ステップS104)。
【0108】
図10は、車両誘導処理及び安全性能判断機能の収集処理の動作フローである。
【0109】
駐車場管理装置5は、自動運転車両3の全ての安全性能判断機能情報を取得し車両DB101に記録済みであるか否かを判断する(ステップS301)。駐車性能や安全性能判断機能情報が収集(ステップS206)できない場合や、車両DB101に未登録の新規の自動運転車両3の場合は(ステップS301、NO)、駐車場管理装置5は、自動運転テスト動作により、安全性能判断機能情報を収集する(ステップS302)。
【0110】
図11は、自動運転テスト動作を模式的に示す。
【0111】
安全性能判断機能情報の収集動作において、駐車場管理装置5は、自動運転モードになった自動運転車両3のための自動運転テスト動作のプランを作成する。駐車場管理装置5は、自動バレー管制装置37に、プランに基づき、駐車場11内で自動運転テスト動作を実行するための指令を、自動運転車両3に対して出力させる(ステップS303)。自動運転テスト動作は、例えば、テスト通路35で最小半径や駐車性能を計測する動作である。
【0112】
図12は、自動運転テスト動作を模式的に示す。
【0113】
自動運転テスト動作は、例えば、自動バレー乗降スペース19から駐車エリア18に誘導して走行する車路36で実施してもよいし、空きの駐車エリア18や、テスト通路35で行ってもよく、複数箇所で行ってもよい。
【0114】
動作1に示す様に、自動運転車両3を自動バレー乗降スペース19から誘導する場合、自動バレー乗降スペース19の左側から駐車エリア18に向けて車路36を走行する際に、左側操舵角を最大にして通過させ、自動運転テスト用センサ38aにより最小回転半径を計測する。安全性能判断機能については、駐車エリア18へ向かう車路36の途中で、左側にポール(図示の例では、ポールに自動運転テスト用センサ38aが設けられる)を設置しておき、自動運転車両3をポールに可能な限り近づけて走行させ、安全性能判断機能を計測する。
【0115】
動作2に示す様に、自動運転車両3を自動バレー乗降スペース19から誘導する場合、自動バレー乗降スペース19の左側から駐車エリア18に向けて車路36を走行する際に、車路36を右折して右方向に走行させる際に、右側操舵角を最大にして通過させ、自動運転テスト用センサ38bにより最小回転半径を計測する。安全性能判断機能については、駐車エリア18へ向かう車路36の途中で、右側にポール(図示の例では、ポールに自動運転テスト用センサ38bが設けられる)を設置しておき、自動運転車両3をポールに可能な限り近づけて走行させ、安全性能判断機能を計測する。
【0116】
駐車場管理装置5は、計測が終了して計測結果を得られたら、計測結果を安全性能判断機能情報として車両DB101に保存する(ステップS304)。駐車場管理装置5は、テスト結果を、利用者端末装置6にメール等で通知してもよい。または、ビッグデータとしてデータベースに蓄積するために、外部装置に出力してもよい。ビッグデータは、例えば、多数の車両データが記憶されている都市国家、実験的自治体、コミュニティのビッグデータでよい。駐車場管理装置5は、テスト結果を、利用者やメーカ等がアクセス可能な外部装置に出力してもよい。
【0117】
駐車場管理装置5は、車両DB101に自動運転車両3毎に記憶された自動運転車両3の特性や、既に駐車中の別の車両(既駐車車両と呼ぶ)の特性に基づき、自動運転車両3に対して、駐車場11に設けられた場内カメラ32の死角とならない最終駐車スペースを選定する(ステップS305)。自動運転車両3の「特性」は、例えば、自動運転車両3のサイズ、車色、最小回転半径と、コーナーセンサの有無と、障害物検知時に自動停車する障害物との最小距離、を含む。自動運転車両3のサイズは、車幅、車長、車高、車体の形状であり、背面に装着したスペアタイヤ、上面に設置した荷物等を含めたサイズである。
【0118】
図13は、最終駐車スペースの選定処理の動作フローである。
【0119】
駐車場管理装置5は、先ず、空き駐車スペース(1又は複数)を選定する(ステップS401)。
【0120】
図14は、空き駐車スペース検索処理の動作フローである。
【0121】
空き駐車スペース検索処理の動作フローでは、駐車場管理装置5は、まずサイズに基づき車両3が駐車可能な空き駐車スペースを検索し、次に、自動運転車両3の安全性能判断機能や平面形状に基づき、駐車スペースを決定する。その過程で、駐車場管理装置5は、複数の駐車スペースが検索された場合は絞り込みを行い、最終的に、一台分の最適な駐車スペースを選定する。「駐車スペース」は、駐車エリア18内の自動運転車両3の一台分のスペース(車室)を意味する。
【0122】
駐車場管理装置5は、自動運転車両3のサイズに合い、且つ、場内カメラ32から死角にならない駐車スペースを検索する(ステップS501)。自動運転車両3のサイズに合い、且つ、場内カメラ32から死角にならない駐車スペースがあれば、駐車場管理装置5は、駐車スペースの候補を絞り込む(ステップS502、YES)。駐車場管理装置5は、自動運転車両3が所定以上の特に大きいサイズの車両(例えば、車体の形状:ワンボックス以上)であるか否かを判断する(ステップS503)。自動運転車両3が所定以上の特に大きいサイズである場合(ステップS503、YES)、駐車場管理装置5は、サイズが大きい自動運転車両3と場内カメラ32との離間距離が大きくなるように、駐車スペースを検索する(ステップS504)。駐車場管理装置5は、大きさの異なる自動運転車両3を複数台配置するとして、場内カメラ32から遠い方に大きい車両を配置して、なるべく死角にならない(死角を作らない)駐車スペースを選定する。具体的には、駐車場管理装置5は、場内カメラ32からから見て、駐車場11の奥側から、大型車両(ワンボックス)>SUV>セダン>軽自動車のように、入庫した自動運転車両3を相対的に比較して駐車スペースを選定する。駐車場管理装置5は、小型車は小型車専用のスペース、大型車は大型車専用のスペース等、自動運転車両3の大きさに応じて、駐車スペースを選定してもよい。大きいサイズの自動運転車両3に合う駐車スペースがあれば、駐車場管理装置5は、駐車スペースの候補を絞り込む(ステップS505、YES)。
【0123】
駐車場管理装置5は、自動運転車両3の安全性能判断機能や平面形状により、候補となる駐車スペースに駐車可能か判断する(ステップS506)。例えば、駐車場管理装置5は、車両情報や、安全性能判断機能を、車両DB101から呼び出す。自動運転車両3の安全性能判断機能(安全装置)と、自動バレー管制装置37の安全性の齟齬がある場合、自動運転車両3の安全性能判断機能により走行不可となる。このため、駐車場管理装置5は、自動運転車両3の安全性能判断機能(安全装置)の計測範囲を計測する。例えば、自動バレー管制装置37が自動運転車両3に対して、再接近時の安全性能判断機能(障害物検知時に自動運転車両3が停車する、障害物と自動運転車両3との距離の限度)が10cmの許容で誘導すると仮定する。この場合、自動運転車両3の安全性能判断機能の限界が20cmであるときは、自動運転車両3は自動バレー管制装置37の誘導通りに走行できない。このため、自動バレー管制装置37は、自動運転車両3の安全性能判断機能の限界である20cmの許容で誘導することになる。
【0124】
駐車場管理装置5は、候補となる駐車スペースに自動運転車両3を駐車可能と判断すると(ステップS507、YES)、その駐車スペースを最適な駐車スペース(1又は複数)として決定する(ステップS508)。一方、自動運転車両3のサイズに合い、且つ、場内カメラ32から死角にならない駐車スペースが無い場合(ステップS502、NO)、大きいサイズの自動運転車両3に合う駐車スペースが無い場合(ステップS505、NO)、自動運転車両3の安全性能判断機能や平面形状に合う駐車スペースが無い場合(ステップS507、NO)、駐車スペースが無いと判断する(ステップS509)。
【0125】
図14では、主に自動運転車両3のサイズ及び形状から空き駐車スペースを検索する処理であり、該当する空き駐車スペース候補を複数抽出して、複数の候補から、最適な駐車スペース(1又は複数)を絞り込む(ステップS508)。図13では、図14で絞り込んだ複数候補の中から、安全性能判断機能等により、さらに絞り込み、最終的に、1個の最終駐車スペース39を選定する。
【0126】
図13に戻る。駐車場管理装置5は、駐車スペース(ステップS508)がある場合(ステップS402、YES)、駐車スペースの隣に既駐車車両3aがあるか否かを判断する(ステップS403)。駐車場管理装置5は、駐車スペースの隣に既駐車車両がある場合(ステップS403、YES)、既駐車車両3a及び自動運転車両3の安全性能判断機能(障害物検知時に自動運転車両3が停車する、障害物と自動運転車両3との距離の限度の大きさ)を比較する(ステップS404)。
【0127】
駐車場管理装置5は、可能な限り多数の車両を駐車するため、既駐車車両3aとの車両幅方向の車両間距離が最小となる駐車スペースを選定し、車両間を詰めた駐車を行う。しかしながら、例えば、駐車スペースの隣に駐車中の既駐車車両3aの安全性能判断機能の許容が20cmで、これから誘導する自動運転車両3の安全性能判断機能の許容が10cmであるとする(ステップS405、NO)。仮に、自動運転車両3を誘導して駐車スペースに駐車させた場合、既駐車車両Aと自動運転車両3との距離が最小で10cmとなり、既駐車車両3aは許容20cmを超える。このため、既駐車車両3aは、走行できず、後で駐車スペースから出庫できなくなる。そのため、駐車場管理装置5は、これから誘導する自動運転車両3の安全性能判断機能だけでなく、既駐車車両3aの安全性能判断機能も考慮し、駐車スペースの選定を行う。この場合は、自動運転車両3の他の適切な駐車スペースを選定する(ステップS401にリターン)。あるいは、駐車場管理装置5は、既駐車車両3aと同じ許容20cmとして自動運転車両3を誘導するようにしてもよい。
【0128】
一方、これから誘導する自動運転車両3の安全性能判断機能の許容距離限度が、既駐車車両3aの安全性能判断機能の許容距離限度以上であれば(ステップS405、YES)、自動運転車両3の駐車スペースを選定し直す必要は無い。
【0129】
駐車場管理装置5は、既駐車車両3aによってこれから誘導する自動運転車両3が隠される(オクルージョン)ことなく、また逆に、これから誘導する自動運転車両3によって既駐車車両3aが隠されることなく、両方の車両を駐車中に監視できるか否かを判断する(ステップS406)。例えば、駐車場管理装置5は、これから誘導する自動運転車両3と既駐車車両3aとのサイズ及び車色に基づき判断する。具体的には、駐車場管理装置5は、場内カメラ32から見て前側のいずれかの車両(相対的に大型)によって奥側の車両(相対的に小型)が完全に隠される(言い換えれば、奥側の車両が場内カメラ32の死角になる)かどうかを判断する。また、駐車場管理装置5は、誘導する自動運転車両3と同色の既駐車車両3aが、駐車スペースの隣に駐車している場合、両方の車両を駐車中に監視できないと判断する。隣同士の車両が同色や同系色の場合は、場内カメラ32が独立した2台の車両として識別し難く、2台が一体的に繋がって車両ではなく空間と誤認識し、結果的に、自動運転車両3を駐車中に監視できないおそれがあるためである。このため、駐車場管理装置5は、自動運転車両3の車色と異なる車色の既駐車車両3aの隣を、最終駐車スペース39として選定するのがよい。特に、駐車エリア18がフリースペースであり、横列駐車する複数の自動運転車両3の駐車位置が区切られていない場合、隣り合う車室同士の間に区画線が存在しないため、複数の自動運転車両3自体を画像認識して区別する必要がある。このため、隣同士の車両が同色や同系色とならないことは、駐車エリア18がフリースペースである場合特に有効である。
【0130】
駐車場管理装置5は、何れの車両も駐車中に監視可能と判断すると(ステップS407、YES)、この駐車スペースを、最終駐車スペース39として選定する(ステップS409)。
【0131】
一方、駐車場管理装置5は、何れかの車両を駐車中に監視できないと判断すると(ステップS407、NO)。これから駐車する自動運転車両3の駐車位置を調整すれば、何れの車両も駐車中に監視可能になるかどうかを判断する(ステップS408)。例えば、場内カメラ32から見て前側の車両(相対的に大型)によって、奥側の車両(相対的に小型)が完全に隠される可能性があるとする。この場合、駐車場管理装置5は、大型の車両の前端よりも小型の車両の前端が前になる(区画線18aから近い)ように、前端が区画線18aを基準として、自動運転車両3の駐車位置を調整する。
【0132】
図15は、区画線を基準とした車両の駐車位置の例を示す。
【0133】
駐車場管理装置5は、自動運転車両3の前端が区画線18aを基準とした位置となるように自動運転車両3の駐車位置を調整する。具体的には、駐車場管理装置5は、原則として、車両F1~F4の前端と、隣り合う既駐車車両F1~F4の前端とが、区画線18aに対して揃うように、車両F1~F4の駐車位置を調整する。これにより、特に高さの低い車両前端部分が相対的に奥まらないため、場内カメラ32から車両F1~F4を監視することが容易になる。
【0134】
一方、場内カメラ32から見て前側の車両(相対的に大型)によって、奥側の車両(相対的に小型)が完全に隠される可能性がある場合を説明する。駐車場管理装置5は、これから駐車する自動運転車両3と隣り合う既駐車車両3aとの一方により他方が場内カメラ32の死角になるのを避けるために、一方の車両の前端と、他方の車両の前端とのいずれかが区画線18aに対して前後に離間するように、自動運転車両3の駐車位置を調整する。例えば、相対的に小型の一方の車両の前端に比べて、相対的に大型の他方の車両の前端が区画線18aから前後に離間するように、これから駐車する自動運転車両3の駐車位置を調整する。図15の例では、駐車場管理装置5は、これから駐車する車両F5(大型)が隣り合う既駐車車両F4(小型)を隠すのを避けるために、既駐車車両F4(小型)の前端に比べて、これから駐車する車両F5(大型)の前端が区画線18aから離間するように、これから駐車する車両F5(大型)の駐車位置を調整する。これにより、隣合わせの車両同士のサイズが異なる場合でも、相対的に大型の車両F5が相対的に小型の車両F4を隠すことを避けられるため、両方の車両F4、F5を場内カメラ32で監視し続けることが可能となる。
なお、空き駐車スペースの関係で、相対的に小型の車両の前端が区画線18aから前方に離間(突出)するように調整する場合もある。
【0135】
また、駐車場管理装置5は、同色や同系色の車両が隣合わせになるのをどうしても避けられない場合は、なるべく相似形の車体は避け、または、同様に、駐車位置(区画線18aを基準とした前端位置)を調整する。
【0136】
図13に戻る。駐車場管理装置5は、これから駐車する自動運転車両3の駐車位置(前後位置)を調整しても、何れの車両が駐車中に監視できなくなる場合(ステップS408、NO)、自動運転車両3の他の適切な駐車スペースを選定する(ステップS401にリターン)。
【0137】
一方、駐車場管理装置5は、これから駐車する自動運転車両3の駐車位置(前後位置)を調整すれば、何れの車両も駐車中に監視できる場合(ステップS408、YES)、この駐車スペース及び区画線18aを基準とした駐車位置を、最終駐車スペース39として選定する(ステップS409)。このようにして、駐車場管理装置は、既駐車車両3aの特性及びこれから誘導する自動運転車両3の特性に基づき、これから誘導する自動運転車両3により既駐車車両が場内カメラ32の死角とならず、かつ、既駐車車両3aによりこれから誘導する自動運転車両3が場内カメラ32の死角とならない最終駐車スペース39を選定する。
【0138】
一方、駐車場管理装置5は、駐車スペースの隣に既駐車車両3aが無い場合(ステップS403、NO)、これから誘導する自動運転車両3が隠れることが無いので、その駐車スペースを最終駐車スペース39として選定する(ステップS410)。
【0139】
図10に戻る。駐車場管理装置5は、最終駐車スペース39(ステップS409、ステップS410)を選定すると(ステップS305)、自動バレー管制装置37に、最終駐車スペース39に駐車するための指令を自動運転車両3に出力させる(ステップS306)。自動バレー管制装置37は、駐車位置の正確な位置は、自動運転車両3の車載カメラ類42や車内及び車外センサ類59の情報を活用する。例えば、自動バレー管制装置37は、左右前後の車載カメラ類42の画像から、区画線18aまでの距離を計測する。既に、手前に既駐車車両3aが駐車していて死角になる場合(場内カメラ32と駐車スペースとの間に既駐車車両3aが駐車済みの場合)は、自動バレー管制装置37は、誘導する自動運転車両3の駐車位置を調整する(一番奥に小さい車の場合は少し前に出す等)。この駐車位置の調整は、駐車場管理装置5が行ってもよいし(ステップS408)、自動バレー管制装置37が行ってもよく、両者が行ってもよい。
【0140】
その後、自動バレー駐車された自動運転車両3を出庫するときは、利用者は、利用者端末装置6を使用して、自動運転車両3を自動バレー乗降スペース19まで出庫(迎車)するよう、駐車場管理装置5に通知する。出庫時も、入庫時と同様に、利用者端末装置6は利用登録され、車両IDとペアリングされているため、車両を指定する必要はない。駐車場管理装置5は、利用者からの出庫通知を受け取る。駐車場管理装置5は、指定された自動運転車両3を自動運転モードで自動バレー乗降スペース19に誘導する。自動運転車両3が自動バレー乗降スペース19に停車すると、駐車場管理装置5は、自動運転車両3に対して、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに変更する処理を行う。利用者は、自動バレー乗降スペース19に到着した自動運転車両3への乗車を開始する。利用者は、乗車が完了すると、自動運転車両3を手動で運転して、駐車場11を出庫する。なお、出庫については、仮出庫の状態もあり得る。例えば、出庫予約した自動運転車両3を縦列駐車で待機させてもよい。この場合、前後方向の安全性能の把握が有効であり必要となる。
【0141】
8.変形例
【0142】
利用者が自動バレー駐車の実行の指示や出庫指示に使用する端末は、利用者端末装置6(個人のスマートフォン)ではなく、共用の端末(事前精算機22、キオスク端末等)でもよい。この場合、共用の端末に車番を入力したり、会員登録した利用者端末装置6(個人のスマートフォン)に紐づけられた2次元コードを共用の端末に読み込ませてもよい。
【0143】
駐車場管理装置5は、自動運転車両3の状況に応じて駐車スペースを選定してもよい。例えば、充電容量が少ない自動運転車両3(電気自動車)の場合は、充電設備のある駐車スペースを選定し、充電が完了してから、駐車スペースを選定し駐車スペースに誘導してもよい。あるいは、駐車場管理装置5は、駐車スペースに誘導後、充電容量が少ない旨と充電作業可否を利用者に通知し、利用者から「充電要」の返答を受けた際に、ワイヤレス充電等を行ってもよい。
【0144】
駐車場管理装置5は、主に自動運転車両3のサイズ及び形状から最適な駐車スペース(1又は複数)を絞り込み(図14)、安全性能判断機能等により、さらに絞り込み、最終的に、1個の最終駐車スペース39を選定する(図13)。これに対して、安全性能判断機能等による絞り込みの処理(図13)が、サイズ及び形状等による絞り込みの処理(図14)に包含されてもよい。例えば、最適駐車スペース決定の処理(図14)は、安全性能判断機能(図13左)や、車体色等の情報を総合的に用いて、例えば、機械学習によって駐車スペースを決定する処理を含んでもよい。一方、実際に駐車(図13右)させてみたときに、手前の車両により隠れて監視できない場合は、駐車位置を調整する(前に出す)処理の流れについては、検索後(駐車時)に行ってもよい。
【0145】
9.結語
【0146】
(1)本実施形態によれば、駐車場管理装置5は、自動運転車両3の特性(特にサイズ)を取得し、場内カメラ32から死角にならない駐車スペースを選定し、自動運転車両3を誘導する(ステップS501)。これにより、自動運転車両3の誘導についての安全性が向上し、場内カメラ32で誘導時の自動運転車両3を監視しやすくし、適切に誘導して駐車することに寄与する。また、利用者は、利用者端末装置6にて、場内カメラ32の映像から、自分の自動運転車両3の様子を確認し、安全に駐車されていることが把握できるため、利便性が向上する。
【0147】
(2)駐車場管理装置5は、自動運転車両3の特性(特にサイズ)を取得し、場内カメラ32から死角にならない車室の遠い方(奥側)から、大きい自動運転車両3を誘導する(ステップS504)。これにより、自動運転車両3の誘導についての安全性が向上し、駐車場が駐車車両で多くなった際に、死角にならないように自動運転車両3を駐車させることで、場内カメラ32で誘導時の自動運転車両3を監視しやすくし、適切に誘導し駐車することに寄与する。
【0148】
(3)駐車場管理装置5は、自動運転車両3の特性(最小回転半径、コーナーセンサ等の安全性能判断機能の性能)により、隣に駐車された既駐車車両の安全性能判断機能の性能を勘案して、駐車スペースを選定し、車両間を詰めた駐車を行う(ステップS404)。これにより、駐車スペース毎(車室毎)の区分けをしない駐車場11(フリースペース)の場合、できるだけ多くの自動運転車両3を駐車することが可能となり、駐車場11の収益向上に寄与する。また、駐車場管理装置5が、自動運転車両3の駐車スペースを選定するにあたって、駐車スペースの隣に既駐車車両があった場合、その自動運転車両3の安全性能判断機能の性能を勘案したうえで駐車スペースを選定することで、自動運転車両3を適切に誘導し管理することに寄与する。
【0149】
(4)駐車場管理装置5は、誘導して駐車させる自動運転車両3を駐車スペースに駐車させる際、既駐車車両の死角により場内カメラ32の視界から外れない程度の駐車位置に駐車させる(ステップS406)。これにより、これから誘導する自動運転車両3の駐車位置を前にずらす等して駐車スペースに駐車させる(相対的に大型の車両の影で相対的に小型の車両を場内カメラ32が監視できなくなる場合は、相対的に小型の自動運転車両3を少し前に出して駐車させる)ことで、場内カメラ32で継続して監視し、自動運転車両3を安全に管理することに寄与する。
【0150】
(5)駐車場管理装置5は、自動運転車両3の安全性能判断機能の性能を車両ID(車体番号等)毎に車両DB101に記憶し、取得する(ステップS204)。これにより、駐車場管理装置5は、自動運転車両3の安全性能判断機能により、自動運転車両3を適切に誘導し駐車することに寄与する。
【0151】
(6)駐車場管理装置5は、車両IDが車両DB101に記憶されていない車両3の安全性能判断機能の性能を計測して記憶する(ステップS207)。これにより、駐車場管理装置5は、自動運転車両3の安全性能判断機能により、自動運転車両3を適切に誘導し駐車することに寄与する。
【0152】
(7)駐車場管理装置5は、駐車場11内の車路36の複数個所において、自動運転車両3の安全性能判断機能の性能を当該自動運転車両3の走行中に計測する(ステップS303)。これにより、駐車場管理装置5は、自動運転車両3の安全性能判断機能により、自動運転車両3を適切に誘導し駐車することに寄与する。例えば、出庫予約した自動運転車両3を縦列駐車で待機させるなどの仮出庫が発生した場合、前後方向の安全性能の把握のために有効であり必要となる。
【0153】
本実施形態によれば、台数の少ない監視カメラを用いることで、駐車場の設備費用を抑える。さらに、車両の外形と安全性能を把握し、また、カメラから遠い方に大きい車を誘導して、駐車場内を死角なく監視カメラで監視しながら車両を誘導及び管理する。これにより、なるべく他車両を動かさずに、且つ、効率よくフリースペースに詰めて駐車することにより、駐車場を適切に運用することができる。
【0154】
本技術の各実施形態及び各変形例について上に説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、自動バレー駐車サービス対応の駐車場において好適に実施され、駐車場が安全で効率的に利用出来るように配慮したものである。
【符号の説明】
【0156】
自動運転車両3
駐車場サーバ7
駐車場管理装置5
自動バレー管制装置37
自動バレー駐車場管理システム500
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15