(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168046
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】アンテナ内蔵式電子時計
(51)【国際特許分類】
G04R 60/12 20130101AFI20241128BHJP
G04G 21/04 20130101ALI20241128BHJP
G04C 9/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G04R60/12
G04G21/04
G04C9/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084437
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 照彦
【テーマコード(参考)】
2F002
2F101
【Fターム(参考)】
2F002AA12
2F002AC01
2F002AC03
2F002BB04
2F101CJ12
(57)【要約】
【課題】金属ベゼルと平板状の逆F型アンテナとを備え、アンテナ性能の劣化を抑制できるアンテナ内蔵式電子時計の提供。
【解決手段】アンテナ内蔵式電子時計は、第1導体素子、第2導体素子、短絡部を有するアンテナと、アンテナの上方に配置された時刻表示部と、時刻表示部の上方に配置されたカバーガラスと、第1導体素子に電力を供給する給電部と、アンテナ、時刻表示部および給電部を収納し、環状の側壁を有する導電性ケースとを備える。導電性ケースは、側壁から内側に突出し、カバーガラスの下面を支持する支持部を備え、側面視で、支持部の下面から第1導体素子までの距離は、アンテナで受信する電波の波長の0.012波長以上であり、カバーガラスから第1導体素子までの距離は、電波の波長の0.0238波長以下である。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の第1導体素子、前記第1導体素子の表面に直交する方向から見た平面視で前記第1導体素子と重なり且つ前記第1導体素子の下方に配置される平板状の第2導体素子、および前記第1導体素子と前記第2導体素子とを短絡する短絡部を有するアンテナと、
前記アンテナの上方に配置された時刻表示部と、
前記時刻表示部の上方に配置されたカバーガラスと、
前記第1導体素子に電力を供給する給電部と、
前記アンテナ、前記時刻表示部および前記給電部を収納し、環状の側壁を有する導電性ケースと、
を備え、
前記導電性ケースは、
前記側壁から内側に突出し、前記カバーガラスの下面を支持する支持部を備え、
前記第1導体素子の表面に平行な方向から見た側面視で、前記支持部の下面から前記第1導体素子までの距離は、前記アンテナで受信する電波の波長の0.012波長以上であり、前記カバーガラスから前記第1導体素子までの距離は、前記電波の波長の0.0238波長以下である
アンテナ内蔵式電子時計。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記側面視で、前記支持部の下面から前記第1導体素子までの距離が、前記アンテナで受信する電波の波長の0.014波長以上である
アンテナ内蔵式電子時計。
【請求項3】
請求項1に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記平面視で、前記支持部の内周面は、前記第1導体素子より外側に位置する
アンテナ内蔵式電子時計。
【請求項4】
請求項1に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記側面視で、前記支持部の下面から前記第2導体素子の下面までの範囲において、
前記導電性ケースの前記側壁の内周面から前記第1導体素子の外周面までの距離は、前記アンテナで受信する電波の波長の0.008波長以上である
アンテナ内蔵式電子時計。
【請求項5】
請求項1に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記短絡部の反対側における前記第1導体素子の外周面から前記導電性ケースの前記側壁の内周面までの距離は、前記短絡部における前記第1導体素子の外周面から前記導電性ケースの前記側壁の内周面までの距離より大きい
アンテナ内蔵式電子時計。
【請求項6】
請求項1に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記時刻表示部は、文字板と指針を備え、
前記アンテナには、指針軸が貫通する貫通孔が設けられている
アンテナ内蔵式電子時計。
【請求項7】
請求項1に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記時刻表示部は、デジタル表示パネルである
アンテナ内蔵式電子時計。
【請求項8】
請求項1に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記導電性ケースは、
前記支持部を備える導電性のベゼルと、
前記アンテナ、前記時刻表示部および前記給電部を収納する導電性の胴と、を備え、
前記ベゼルの表面には、装飾が施されている
アンテナ内蔵式電子時計。
【請求項9】
平板状の第1導体素子、前記第1導体素子の表面に直交する方向から見た平面視で前記第1導体素子と重なり且つ前記第1導体素子の下方に配置される平板状の第2導体素子、および前記第1導体素子と前記第2導体素子とを短絡する短絡部を有するアンテナと、
前記アンテナの上方に配置された時刻表示部と、
前記時刻表示部の上方に配置されたカバーガラスと、
前記第1導体素子に電力を供給する給電部と、
前記アンテナ、前記時刻表示部および前記給電部を収納するケースと、
を備え、
前記ケースは、非導電性の胴と、導電性のベゼルとを備え、
前記ベゼルは、前記カバーガラスの下面を支持する支持部を備え、
前記第1導体素子の表面に平行な方向から見た側面視で、前記支持部の下面から前記第1導体素子までの距離は、前記アンテナで受信する電波の波長の0.012波長以上であり、前記カバーガラスから前記第1導体素子までの距離は、前記電波の波長の0.0238波長以下である
アンテナ内蔵式電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ内蔵式電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金属材料で構成された胴およびベゼルと、ベゼルに取り付けられるカバーガラスと、地板と、文字板と、地板および文字板間に配置された平面形状の逆F型アンテナとを備えるアンテナ内蔵式電子時計において、共振周波数と放射効率のずれを低減するために、誘電体であるカバーガラスと逆F型アンテナとの距離を、受信する電波の波長の1/42以下とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
平板状の逆F型アンテナを用いた時計において、外観を向上するために金属製のベゼルを用いるには、特許文献1のように逆F型アンテナとカバーガラスなどの誘電体との距離を所定範囲以内にすることが有効である。
しかしながら、逆F型アンテナをカバーガラスに近づけると、金属製のベゼルのガラス支持部がアンテナの外周と近づくため、アンテナの性能が劣化するという新たな課題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のアンテナ内蔵式電子時計は、平板状の第1導体素子、前記第1導体素子の表面に直交する方向から見た平面視で前記第1導体素子と重なり且つ前記第1導体素子の下方に配置される平板状の第2導体素子、および前記第1導体素子と前記第2導体素子とを短絡する短絡部を有するアンテナと、前記アンテナの上方に配置された時刻表示部と、前記時刻表示部の上方に配置されたカバーガラスと、前記第1導体素子に電力を供給する給電部と、前記アンテナ、前記時刻表示部および前記給電部を収納し、環状の側壁を有する導電性ケースと、を備え、前記導電性ケースは、前記側壁から内側に突出し、前記カバーガラスの下面を支持する支持部を備え、前記第1導体素子の表面に平行な方向から見た側面視で、前記支持部の下面から前記第1導体素子までの距離は、前記アンテナで受信する電波の波長の0.012波長以上であり、前記カバーガラスから前記第1導体素子までの距離は、前記電波の波長の0.0238波長以下であることを特徴とする。
【0006】
本開示のアンテナ内蔵式電子時計は、平板状の第1導体素子、前記第1導体素子の表面に直交する方向から見た平面視で前記第1導体素子と重なり且つ前記第1導体素子の下方に配置される平板状の第2導体素子、および前記第1導体素子と前記第2導体素子とを短絡する短絡部を有するアンテナと、前記アンテナの上方に配置された時刻表示部と、前記時刻表示部の上方に配置されたカバーガラスと、前記第1導体素子に電力を供給する給電部と、前記アンテナ、前記時刻表示部および前記給電部を収納するケースと、を備え、前記ケースは、非導電性の胴と、導電性のベゼルとを備え、前記ベゼルは、前記カバーガラスの下面を支持する支持部を備え、前記第1導体素子の表面に平行な方向から見た側面視で、前記支持部の下面から前記第1導体素子までの距離は、前記アンテナで受信する電波の波長の0.012波長以上であり、前記カバーガラスから前記第1導体素子までの距離は、前記電波の波長の0.0238波長以下であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の電子時計および位置情報衛星を示す説明図である。
【
図2】第1実施形態の電子時計を示す正面図である。
【
図4】前記電子時計の要部を示す分解斜視図である。
【
図5】前記電子時計のアンテナの要部を示す斜視図である。
【
図6】前記電子時計のアンテナの要部を示す斜視図である。
【
図7】前記電子時計の回路構成を示すブロック図である。
【
図9】前記実施形態のアンテナの電界分布を示す図である。
【
図10】前記電子時計のケースとアンテナとの位置関係を示す拡大断面図である。
【
図11】距離H1と相対アンテナ利得との関係を示すグラフである。
【
図12】距離W1と相対アンテナ利得との関係を示すグラフである。
【
図13】第2実施形態の電子時計を示す断面図である。
【
図14】第2実施形態のケースを示す底面図である。
【
図15】第3実施形態の電子時計および位置情報衛星を示す説明図である。
【
図16】第3実施形態の電子時計を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態のアンテナ内蔵式電子時計である電子時計1を図面に基づいて説明する。本実施形態では、電子時計1のカバーガラス15側を表面側または上側とし、裏蓋14側を裏面側または下側として説明する。
本実施形態の電子時計1は、後述するアンテナ50を内蔵し、
図1に示すように、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS衛星や準天頂衛星などの位置情報衛星Sからの衛星信号を受信して衛星時刻情報を取得し、内部時刻情報を修正できるように構成されている。
【0009】
電子時計1は、
図2および
図3にも示すように、文字板2、指針3、日車5、ムーブメント20、アンテナ50等を収容するケース10を備える。また、電子時計1は、外部操作用のりゅうず6と、2つのボタン7、8とを備える。文字板2、指針3、日車5は、電子時計1において時刻を表示する時刻表示部である。
【0010】
文字板2は、非導電性部材にて円板状に形成されている。本実施形態の文字板2は、比誘電率3のポリカーボネート樹脂で形成されている。
文字板2の平面中心には貫通孔2Aが形成され、貫通孔2Aには同軸に設けられた3本の指針軸35、36、37が配置されている。指針軸35には時針31が取り付けられ、指針軸36には分針32が取り付けられ、指針軸37には秒針33が取り付けられている。指針軸35、36、37と、指針3である時針31、分針32、秒針33とは、金属製の導電性部材で構成される。
文字板2の3時位置には矩形の日窓2Bが設けられている。文字板2の裏面側には日車5が配置され、日車5は日窓2Bから視認可能となっている。時針31、分針32、秒針33、日車5は、後述するステップモーターおよび輪列を介して駆動される。
【0011】
本実施形態において、文字板2の表面に直交する方向、つまり指針軸35~37の軸方向を第1方向とし、文字板2の表面に沿った方向つまり第1方向に直交する方向を第2方向とする。また、本実施形態において、平面視とは、第1方向から電子時計1を見ることを意味し、側面視とは、第2方向から電子時計1を見ることを意味する。なお、文字板2の表面は、第1導体素子52の表面と平行であるため、側面視は、第1導体素子52の表面に平行な方向から見ることでもあり、平面視は、第1導体素子52の表面に直交する方向から見ることでもある。
【0012】
[電子時計の外装構造]
ケース10は、
図3に示すように、ケース本体11と、裏蓋14とを備える。ケース本体11は、円筒状の胴12と、胴12の表面側に設けられたリング状のベゼル13とを備える。なお、本実施形態では、胴12と裏蓋14とは別体で構成されているが、これに限らず、胴12および裏蓋14が一体化されたワンピースケースでもよい。また、本実施形態では、胴12とベゼル13とは別体で構成されているが、これに限らず、胴12およびベゼル13が一体化された構造を用いてもよく、この場合、安価にできるメリットがある。
胴12、ベゼル13、裏蓋14の材質は、ステンレス鋼、チタン合金、アルミ、真鍮などの金属材料つまり導電性材料である。したがって、ケース10によって導電性ケースが構成され、胴12およびベゼル13つまりケース本体11によって、導電性ケースにおける環状の側壁が構成される。
【0013】
ベゼル13には、カバーガラス15が取り付けられる。カバーガラス15は、円板状に形成され、上面151および下面152は、第2方向に平行な平面とされている。カバーガラス15は、ミネラルガラス、サファイアガラス、有機ガラス等の透明な材料で製造される。ミネラルガラスはシリカ(二酸化ケイ素:SiO2)製のガラスであり、サファイアガラスはアルミナ(酸化アルミニウム:Al2O3)製のガラスであり、有機ガラスはアクリルなどの合成樹脂材である。本実施形態のカバーガラス15は、板状のサファイアガラスで構成される。サファイアガラスは、比誘電率が約9~11であり、高純度のアルミナで構成された単結晶サファイアを使用して形成されている。サファイアガラスは、硬度が高く傷が付き難く、加工した表面が非常になめらかで光透過性に優れ、視認性が高いという特徴がある。
カバーガラス15の直径であるガラス径は電子時計1のサイズで決まり、カバーガラス15の厚さ寸法は、ガラス径と防水性能との関係で決まる。例えば、電子時計1の防水仕様が10気圧防水の場合、カバーガラス15の厚さ寸法は1.5mm程度であり、20気圧防水の場合、カバーガラス15の厚さ寸法は2.6~2.8mm程度である。本実施形態の電子時計1は、20気圧防水仕様のため、カバーガラス15の厚さ寸法は2.6~2.8mmである。また、カバーガラス15の側面153は、第1方向に平行な円周面とされている。
【0014】
ベゼル13は、表面131と、対向面132と、支持片133とを備える。
ベゼル13の表面131には、装飾として、
図2に示すように、協定世界時(UTC)との時差を表す時差情報が数字で表記され、時差情報の時差に対応した標準時を使用しているタイムゾーンの代表都市名を表す英字3文字の都市情報が、時差情報に併記されている。ここで、時差情報と都市情報との表記をタイムゾーン表示という。ベゼル13の表面131に、装飾としてタイムゾーン表示が設けられているので、タイムゾーンの確認操作時などに、秒針33でタイムゾーン表示を指示することもでき、電子時計1のデザイン性や利便性を向上できる。
図3に示すように、対向面132は、指針軸35~37の軸方向である第1方向に沿った面であり、ベゼル13の内周面に沿った円周面である。この対向面132は、カバーガラス15の側面153に対向し、プラスチックパッキン17を介してカバーガラス15を保持している。これにより、カバーガラス15は、ベゼル13つまりケース10に取り付けられている。
支持片133は、対向面132の下側から内側に突出し、かつ、対向面132の全周に渡って環状に形成されている。支持片133は、カバーガラス15の下面152に当接し、カバーガラス15を支持する。このため、支持片133は、導電性ケースの環状の側壁から内側に突出し、カバーガラス15の下面152を支持する支持部である。
【0015】
[電子時計の内部構造]
次に、電子時計1のケース10に内蔵される内部構造について説明する。
図3に示すように、ケース10内には、文字板2の他、ダイヤルリング16、ムーブメント20等が収容される。
【0016】
ダイヤルリング16は、文字板2と同様に非導電性部材で平面視リング状に構成され、文字板2の外周に沿って配置されている。本実施形態のダイヤルリング16は、比誘電率3のポリカーボネート樹脂で形成されている。
ダイヤルリング16は、文字板2の外周上面を覆っており、文字板2の外周はダイヤルリング16によって隠されている。
【0017】
ムーブメント20は、
図3および
図4にも示すように、日車5、地板21、輪列受け22、駆動機構23、二次電池24、ソーラーパネル25、アンテナ50、LED基板60、回路基板65、耐磁板81、回路押さえ82等を備える。なお、
図3では、輪列受け22、LED基板60、耐磁板81は図示を略している。
【0018】
地板21は、プラスチック等の非導電性部材にて形成されている。地板21と文字板2との間には、
図3および
図4に示すように、ソーラーパネル25、アンテナ50、日車5、LED基板60が配置されている。すなわち、文字板2の地板21側の面である裏面側にはソーラーパネル25が配置され、ソーラーパネル25の裏面側にはアンテナ50の誘電体基板51が配置され、誘電体基板51の裏面側には日車5およびLED基板60が配置され、日車5およびLED基板60の裏面側にはアンテナ50の第2導体素子53が配置されている。なお、第2導体素子53は、後述するように、筒車押えおよび耐磁板を兼用する。
地板21と裏蓋14との間には、輪列受け22、駆動機構23、二次電池24、回路基板65、耐磁板81、回路押さえ82が配置されている。
【0019】
輪列受け22は、
図4に示すように、時針31、分針32、秒針33を駆動する輪列を支持する第1輪列受け22Aと、日車5を駆動する輪列を支持する第2輪列受け22Bとの2つの輪列受けを備える。但し、一体の輪列受けとしてもよい。
【0020】
駆動機構23は、地板21の裏面に取り付けられ、時針31、分針32、秒針33および日車5を駆動する。すなわち、駆動機構23は、
図4に示すように、時針31を駆動する第1ステップモーター231および第1輪列と、分針32を駆動する第2ステップモーター232および第2輪列と、秒針33を駆動する第3ステップモーター233および第3輪列と、日車5を駆動する第4ステップモーター234および第4輪列とを有する。なお、第1輪列は、時針31が取り付けられる指針軸35を備える。第2輪列は、分針32が取り付けられる指針軸36を備える。第3輪列は、秒針33が取り付けられる指針軸37を備える。
ムーブメント20において、文字板2の3時位置には、りゅうず6に接続される巻真260が配置され、巻真260の周囲には、おしどり等の切換機構261が配置されている。また、ステップモーター231~234は、前記平面視で二次電池24と重ならない位置に配置されている。
【0021】
図4に示すように、LED基板60と回路基板65との間には、地板21および駆動機構23が配置される。また、回路基板65の裏面には、耐磁板81と、回路押さえ82とが配置されている。
LED基板60の地板21に対向する裏面には、
図4に示すように、発光ダイオードからなる3つの発光素子611、612、613が実装されている。
回路基板65は、表裏両面に半導体集積回路(IC: Integrated Circuit)や、抵抗、コンデンサー等の回路素子が実装されている。そして、回路基板65の表面つまり文字板2側の面には、図示を省略するが、発光素子611、612、613からの光をそれぞれ受光する3つの受光素子が実装されている。これらの発光素子611~613、受光素子は、各指針の針位置検出に用いられる。
【0022】
本実施形態では、二次電池24および図示略の定電圧回路を介して、高電位の電源電圧VDDと、低電位の電源電圧VSSとを回路基板65に供給している。また、本実施形態では、電源電圧VDDをグランド電位としている。なお、電源電圧VSSをグランド電位としてもよい。
LED基板60と、回路基板65とは、それぞれコイルバネで構成された導通部材651、652、653、654で電気的に接続され、これにより、発光素子611、612、613に電源が供給されている。
【0023】
二次電池24は、平面円形に形成されたボタン型のリチウムイオン電池であり、回路基板65の切欠部に配置されている。
ソーラーパネル25は、腕時計用に用いられる太陽電池パネルであり、例えば、樹脂フィルム基板上にアモルファスシリコン薄膜を積層したフィルム型の太陽電池などを利用できる。ソーラーパネル25は、指針軸35~37が挿通される貫通孔25Aと、2つの電極端子とを備える。この電極端子と回路基板65とは、
図4に示すように、コイルバネ251、252によって導通されている。したがって、ソーラーパネル25で発電した電流は、コイルバネ251、252、回路基板65を介して二次電池24に充電される。
【0024】
[アンテナ]
アンテナ50は、GPS衛星からの衛星信号を受信するアンテナであり、本実施形態では板状逆F型アンテナで構成されている。一般的な板状逆F型アンテナは、方形パッチアンテナに対して半分の寸法で共振特性が得られるためアンテナの小型化が可能であり、腕時計などの小型の電子時計1に内蔵するアンテナとして適している。しかしながら、逆F型アンテナのアンテナ指向性はパッチアンテナに比べて天頂方向から斜めに傾いてしまい、時計に内蔵した場合、金属ケースの影響を受けやすくなりアンテナ性能の劣化が大きくなる。特に、時計の厚さ方向である第1方向において、逆F型アンテナよりも上方つまりカバーガラス15側に位置するベゼルを金属製にするとアンテナ性能に影響するため、セラミック製のベゼルを採用していた。ただし、電波を透過するジルコニアなどのセラミック材は、色の制約があって自由度が低く、時計のデザインが限定されるという課題がある。
このため、本発明者は、金属製のベゼル13を用いてもアンテナ性能の劣化を抑制できる構造を鋭意検討した。その結果、金属製のベゼル13を用いた場合、カバーガラス15を支持する支持片133とアンテナ50との距離を所定寸法離すことが、金属製のベゼル13の影響を低減することに効果的であることを見出した。以下に、アンテナ50の構成およびケース10に対する位置関係について説明する。
【0025】
アンテナ50は、カバーガラス15と平面視で重なるように配置されている。また、アンテナ50は、
図3から
図6に示すように、誘電体基板51と、板状の第1導体素子52と、平面視で第1導体素子52と重なるように配置された第2導体素子53と、第1導体素子52および第2導体素子53とを短絡する短絡部54とを備えて構成される。
アンテナ50の平面中心位置には、指針軸35~37が挿通される貫通孔50Aが形成されている。すなわち、貫通孔50Aは、板状の第1導体素子52、誘電体基板51、第2導体素子53を貫通して形成されている。このため、アンテナ50の平面形状は指針軸35~37の位置に影響されず、ケース10に収納可能な範囲で大きな面積で設計でき、受信性能を向上できる。また、アンテナ50は、フィルム製のソーラーパネル25を支持する支持基板を兼ねている。
【0026】
誘電体基板51は、アンテナ基材となる合成樹脂製の部材である。誘電体基板51の材質を、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリカーボネート(PC)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)のいずれかにすれば、無電解めっきが付きやすく、誘電正接も低くでき、アンテナ基材として適したものにできる。
誘電体基板51の裏面つまり地板21側の面には、突出部が形成されている。突出部は、
図4および
図6に示すように、平面視で日車5の内周側の位置に形成された内周側突出部51Aと、日車5の外周側の位置に形成された外周側突出部51Bとを備える。誘電体基板51は、地板に対して日車5を押さえる機能を備える。内周側突出部51Aには、LED基板60が配置される凹部51Cが形成されている。
【0027】
第1導体素子52は、誘電体基板51の表面つまりソーラーパネル25側のほぼ全面に形成されている。第1導体素子52は、例えば銅、鉄合金などの金属薄板で形成することもできるが、本実施形態では、誘電体基板51の表面に形成された金属被膜で構成している。金属被膜は、例えば銅、銀、ニッケル、アルミなどのメッキ処理によって形成することができる。
第2導体素子53は、第1導体素子52と同様に金属被膜で形成することもできるが、本実施形態では、筒車押えを兼用する耐磁板で構成している。第2導体素子53を構成する耐磁板は、純鉄板をニッケル膜で被覆した導体板であり、後述するように、短絡部54と接触する。第1導体素子52は、板状逆F型アンテナの放射部材として機能し、第2導体素子53は、板状逆F型アンテナのグランド部材として機能する。
【0028】
短絡部54は、
図6に示すように、誘電体基板51の側面に形成された側面短絡部54Aと、誘電体基板51の裏面、具体的には外周側突出部51Bの最下面に形成された裏面短絡部54Bとで構成されている。
外周側突出部51Bには、短絡部54から離間して給電端子55が形成されている。この給電端子55は、誘電体基板51の側面を介して第1導体素子52に導通されている。
給電端子55には、
図3および
図4に示すように、給電素子56の一端が当接している。給電素子56の他端は、回路基板65に当接し、回路基板65に実装された受信ICに導通されている。なお、
図3では、給電素子56は、第2導体素子53および誘電体基板51を貫通して第1導体素子52に接触するように模式的に図示しているが、実際には、
図4~
図6に示すように、第1導体素子52の給電端子55を誘電体基板51の側面を介して下面まで延長し、この給電端子55に給電素子56の上端が接触するように構成している。給電素子56は、金属等の導電性材料で形成されたピン状のコネクターであり、コイルスプリングを内蔵しており、コイルスプリングの付勢力によって、給電端子55の下面に接触している。したがって、第1導体素子52が接続される給電部は、給電端子55および給電素子56を備えて構成されている。
【0029】
外周側突出部51Bの最下面に積層された裏面短絡部54Bは、金属製の第2導体素子53の表面に接触している。第2導体素子53は、接続素子57を介して回路基板65のグランド端子に導通され、板状逆F型アンテナのグランド部材として機能する。また、第2導体素子53は金属製であるため、ステップモーター231~234の文字板2側を覆う耐磁板を兼ねている。
【0030】
本実施形態では、アンテナ50をケース本体11内に組み込んだ際に、平面視で文字板2の貫通孔2Aに対して12時方向に短絡部54が設けられている。このため、アンテナ電極となる第1導体素子52において、短絡部54とは反対側、つまり平面視で文字板2の貫通孔2Aに対して6時方向は、アンテナ50の開放端58とされている。
【0031】
[電子時計の回路構成]
図7は、電子時計1の回路構成を示すブロック図である。
電子時計1は、回路基板65に配置されたGPS受信部300と、制御表示部400と、電源供給部500とを有する。
【0032】
[GPS受信部]
GPS受信部300は、アンテナ50およびSAWフィルター230を介して、GPS衛星から衛星信号を受信して処理する。SAWフィルター230は、バンドパスフィルターであり、1.5GHzの衛星信号を通過させるものとなっている。なお、アンテナ50とSAWフィルター230との間に、受信感度を良好にするLNAを別途挿入してもよい。また、SAWフィルター230をGPS受信部300内に組み込んだ構成としてもよい。なお、SAWはSurface Acoustic Waveの略語であり、LNAはLow Noise Amplifierの略語である。
【0033】
GPS受信部300は、SAWフィルター230を通過した衛星信号を処理するものであり、RF回路310と、ベースバンド回路320と、温度補償回路付き水晶発振回路330と、フラッシュメモリー340とを備えている。なお、RFはRadio Frequencyの略語である。また、温度補償回路付き水晶発振回路330は、
図7ではTCXOと表記している。
【0034】
RF回路310は、PLL、VCO、LNA、ミキサー、IFアンプ、IFフィルター、A/D変換器等を備えたGPS受信用のRF部として一般的なものである。なお、PLLはPhase Locked Loopの略語であり、VCOはVoltage Controlled Oscillatorの略語であり、IFはIntermediate Frequencyの略語である。
【0035】
ベースバンド回路320は、DSP、CPU、RTC、SRAM等を備えたGPS受信用のベースバンド部として一般的なものである。このベースバンド回路320には、TCXO330やフラッシュメモリー340も接続されている。なお、DSPはDigital Signal Processorの略語であり、CPUはCentral Processing Unitの略語であり、RTCはReal Time clockの略語であり、SRAMはStatic Random Access Memoryの略語である。
【0036】
ベースバンド回路320は、RF回路310からデジタル信号に変換された受信信号が入力され、相関処理や測位演算等を行うことにより、衛星時刻情報や測位データを取得し、SRAMに記憶されたうるう秒を利用して、取得した衛星時刻情報つまりZカウントを補正して、時刻データである世界協定時であるUTCを算出する。これにより、ベースバンド回路320は、測位データおよび時刻データを制御表示部400の制御部410に出力する。
局部発振信号の基となるクロックは、TCXO330からベースバンド回路320を介してRF回路310に供給される。
【0037】
フラッシュメモリー340には、緯度および経度によって特定される位置情報と、その場所の時差情報とが対応付けられた時差データベース等が記憶される。GPS受信部300は、測位モードで位置情報を取得した場合、その位置情報(緯度、経度)に基づいて時差情報つまりUTCに対する時差を取得し、制御部410に出力する。
【0038】
[制御表示部]
制御表示部400は、制御部(CPU)410と、指針等の駆動を実施する駆動回路420と、水晶発振器430とを備えている。
【0039】
制御部410は、RTC411、ROM412、記憶部413を含み、時刻を計時すると共に、GPS受信部300に制御信号を出力してその動作を制御する。
RTC411は、水晶発振器430から出力される基準信号を用いて、内部時刻を計時している。ROM412には、制御部410により実行される各種プログラムが記憶されている。本実施形態において、RTC411で計時される内部時刻は、世界協定時であるUTCである。制御部410は、測時モードまたは測位モードでの受信に成功した場合は、GPS受信部300から出力されたUTCでRTC411を更新する。
記憶部413は、GPS受信部300から出力される衛星時刻情報や測位情報、時差情報を記憶する。このため、制御部410は、UTCおよび時差情報によって現在地の時刻を算出し、駆動回路420によって駆動機構23を駆動して、算出した時刻を時針31、分針32、秒針33で指示する。
【0040】
[電源供給部]
電源供給部500は、GPS受信部300および制御表示部400に電力を供給するものであり、ソーラーパネル25、充電制御回路510、二次電池24、第1電圧変換部520、第2電圧変換部530および電圧検出回路540を備える。
充電制御回路510は、ソーラーパネル25で発電された電力を二次電池24に充電する制御を行う。
二次電池24は、第1電圧変換部520を介して制御表示部400に駆動電力を供給し、第2電圧変換部530を介してGPS受信部300に駆動電力を供給する。
電圧検出回路540は、二次電池24の出力電圧をモニターし、制御部410に出力する。このため、制御部410は、電圧検出回路540で検出された二次電池24の電圧を把握して受信処理を制御できる。
【0041】
[アンテナ特性]
アンテナ50は、右旋偏波であるGPS衛星からの衛星信号を受信するため、短絡部54を12時方向に設けて受信感度を向上させている。すなわち、逆F型アンテナであるアンテナ50の右旋偏波の指向性は、
図8に示すように、上アンテナ板である第1導体素子52に直交する天頂方向、つまり
図8の0度方向から傾いている。具体的には、アンテナ50の右旋偏波の指向性は、短絡部54側からアンテナ50を見た側面視において、上アンテナ板である第1導体素子52に直交する方向から約60度右側に傾いている。このため、アンテナ50の短絡部54が電子時計1の12時方向になるように、アンテナ50をケース10に収納しておくことが好ましい。このように短絡部54を配置すると、文字板2に垂直な方向に対して約60度、9時方向に指向性が傾く。電子時計1を左手首に装着して腕を自然に下げた歩行姿勢において、電子時計1の9時側が鉛直上向きとなる。これにより、GPS衛星の右旋円偏波(RHCP)の電波を受信する場合、アンテナ50の指向性と、電子時計1の鉛直上向き方向である9時方向とが略一致するので、衛星信号を効率良く受信することが可能になる。
【0042】
また、
図9に示すように、アンテナ50では、短絡部54の反対側である開放端58側、つまり電子時計1の6時側から電波の放射が多くなされる。このため、アンテナ50の開放端58部分を金属製のケース10から離すのが、ケース10の影響を低減するには最も効果的となる。なお、
図9に示すように、ケース10の内周面101において、アンテナ50の受信に影響するのは、支持片133の下面からアンテナ50の下面電極である第2導体素子53に対向する高さ位置までであるため、この範囲ではアンテナ50の開放端58をケース10から離して配置することが好ましい。
【0043】
[アンテナとケースとの位置関係]
次に、アンテナ50と、ケース10との位置関係について、
図10を参照して説明する。
図10に示すように、側面視において、カバーガラス15の下面152を支持する支持片133の下面から、第1導体素子52の表面までの距離をH1、カバーガラス15の下面152から第1導体素子52の表面までの距離をH2とする。また、平面視において、ケース10の内周面101と、第1導体素子52の外周面52Bとの距離をW1、支持片133の内周面133Aと第1導体素子52の外周面52Bとの距離をW2とする。なお、距離H1、H2は、第1方向に沿った長さ寸法であり、距離W1、W2は、第2方向に沿った寸法である。
【0044】
[距離H1の設定]
図11は、距離W1を1.75mmに設定した条件で、距離H1とアンテナ利得との関係を求めたシミュレーション結果である。なお、シミュレーションでは、電子時計1の厚み寸法、具体的には裏蓋14とカバーガラス15との距離は固定し、支持片133の厚み寸法を変更することで、距離H1を変化させた。
図11に示すように、支持片133の下面をアンテナ50に近づけて距離H1が小さくなると、アンテナ利得の劣化が大きくなる。
図11のグラフは、横軸を距離H1とし、縦軸を相対アンテナ利得としている。距離H1は、アンテナ50で受信する電波の波長に対する割合で表示される。アンテナ50は、位置情報衛星SであるGPS衛星から送信される周波数1.575GHzの電波つまり波長が約190mmの電波を受信するため、距離H1が0.012波長とは、190×0.012=2.28mmである。なお、電波の波長は自由空間における波長であり、誘電体による波長短縮したものではない。
図11の縦軸である相対アンテナ利得は、距離H1に対するアンテナ利得を、H1=3.3mm(約0.0174波長)の場合を基準としたアンテナ利得変化量の相対値で表したものである。ここで、アンテナ利得劣化の許容値は0.5dB程度である。したがって、距離H1は、相対アンテナ利得が-0.5dB以下となる、0.012波長(2.28mm)以上とすることが好ましい。特に、距離H1を0.014波長以上とすれば、アンテナ利得の劣化量が少ないためにより好ましい。
【0045】
距離H1をあまり大きくするとアンテナ50が金属製のベゼル13や胴12内の奥まった位置に配置されることになる。このため、金属製のベゼル13の壁が高くなり、アンテナ50の表面に対して斜め方向から入射する衛星信号はベゼル13で遮蔽され、受信し難くなる。このため、距離H1の上限としては、概ね0.02波長(3.8mm)以下が望ましい。なお、次に説明する距離H2の制約があり、さらにカバーガラス15を支持する支持片133の強度確保のために支持片133の厚みも所定寸法必要であるため、通常、距離H1は0.02波長以下に設定される。なお、支持片133の厚みは、H2-H1であり、例えば0.6~1.0mm程度である。
【0046】
[距離H2の設定]
逆F型アンテナであるアンテナ50で受信する衛星信号の周波数を低減することに寄与する誘電体は、アンテナ50に対して、受信電波の波長に応じて設定される所定距離以内に配置される誘電体である。なお、アンテナ50の上側つまりカバーガラス15側に配置される誘電体とアンテナ50との所定距離は、アンテナ50の上面つまり第1導体素子52の上面と、誘電体であるカバーガラス15の下面との距離H2である。この距離H2は、特開2021-47144号公報に記載されたように、受信電波の波長の1/42以下に設定すればよい。1/42波長は約0.0238波長であるため、距離H2は、190×0.0238=4.522mm以下に設定すればよい。
【0047】
[距離W1の設定]
図12のグラフは、横軸を波長で表した距離W1とし、縦軸を相対アンテナ利得とをしたグラフであり、距離H1を2.6mmに設定し、金属製のケース10の内周面と、アンテナ50の外周面との距離W1を変えたシミュレーション結果である。なお、距離W1は、ケース10の外径は変えずに、ケース10の肉厚を変えることで変化させている。
図12に示すように、金属製のケース10の内周面をアンテナ50に近づけて距離W1を小さくすると、アンテナ利得の劣化が大きくなる。
図12の縦軸である相対アンテナ利得は、距離W1に対するアンテナ利得を、W1=2.5mm(約0.0131波長)の場合を基準としたアンテナ利得変化量を相対値で表したものである。ここで、アンテナ利得劣化の許容値は0.5dB程度である。したがって、距離W1は、相対アンテナ利得が-0.5dB以下となる、0.008波長(1.52mm)以上とすることが好ましい。特に、距離W1を0.0105波長(1.995mm)以上とすれば、アンテナ利得の劣化量が少ないためにより好ましい。
なお、
図12においても、電波の波長は自由空間における波長であり、誘電体による波長短縮したものではない。
また、
図9で前述したように、平面方向において、アンテナ50の受信感度にケース10が影響するのは、カバーガラス15の支持片133からアンテナ50の下面までであるため、この範囲ではアンテナ50の外周面とケース10の内周面とは距離W1以上離れるように構成されている。
【0048】
なお、距離W2は0mm以上であればよい。すなわち、平面視で、支持片133の内周面133Aは、第1導体素子52の外周面52Bよりも外側に位置していればよい。これにより、支持片133で遮られる電波が少なくなり、アンテナ50での受信性能を向上できる。
【0049】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態の電子時計1によれば、側面視において、カバーガラス15の下面152を支持する支持片133の下面から、アンテナ50の上面である第1導体素子52までの距離H1を、アンテナ50で受信する電波の波長の0.012波長以上としたので、アンテナ性能の劣化を抑制でき、衛星信号などの電波の受信性能を維持できる。これにより、金属製のベゼル13や胴12を用いることができるので、電子時計1の外観意匠性を高めることができ、かつ、必要なアンテナ性能も確保できる。
また、カバーガラス15から第1導体素子52までの距離H2を、電波の波長の0.0238波長以下としたので、カバーガラス15を誘電体として機能させることができる。このため、カバーガラス15を、アンテナ50で受信する電波の波長に応じて設定される所定距離以内、具体的には、波長λの1/42以下の距離以内に配置でき、誘電体であるカバーガラス15による波長短縮効果により、アンテナ50の共振周波数と放射効率が最良となる周波数とのずれを抑制できる。これにより、ベゼル13をステンレス鋼やチタンなどの導電性材料で構成しても、アンテナ利得つまり受信性能の低下を抑制することができる。
したがって、金属製のベゼル13を用いることでケース10の意匠性を向上でき、かつ、パッチアンテナに比べて薄型化できる逆F型のアンテナ50を用いることで、電子時計1も薄型化でき、アンテナ50の受信性能を確保できる。
さらに、薄型化できるアンテナ50を用いたので、二次電池24、ステップモーター231~234、輪列などの時計用部品とアンテナ50とを平面視で重ねて配置できる。このため、電子時計1を小型化、つまり電子時計1の平面サイズを小さくできる。
【0050】
[第2実施形態]
第2実施形態の電子時計1Bについて、
図13および
図14を参照して説明する。なお、電子時計1Bにおいて、第1実施形態と同じ構成は同一符号を付して説明を省略する。
電子時計1Bのケース10Bは、胴12Bおよびベゼル13を備える。胴12Bの内周面の3時位置から6時位置を介して9時位置の範囲には、凹部121が形成され、内周面101Bの内径が12時側に比べて大きくされている。すなわち、胴12Bの外周側への凹部121の凹み量は、胴12Bの内周面の3時および9時位置が最も小さく、6時位置に向かって徐々に大きくなるように形成されている。
このため、
図13に示すように、内周面101Bとアンテナ50の外周面との距離W1は、6時位置が最も大きくされている。すなわち、内周面101Bとアンテナ50の開放端側の外周面との距離は、内周面101Bとアンテナ50の短絡部54側の外周面との距離より大きくされている。
なお、図示を省略するが、支持片133の下面から第1導体素子52までの距離H1や、カバーガラス15の下面152から第1導体素子52までの距離H2は、第1実施形態と同じである。
【0051】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、胴12Bの内周面101Bに凹部121を形成し、アンテナ50の外周面と内周面101Bとの距離W1を、6時方向つまりアンテナ50の開放端側が最も大きくなるようにしたので、金属製の胴12Bの影響をより軽減できてアンテナ50の受信性能を向上できる。
また、アンテナ50の短絡部54に比べて電波の放射が多くなされる開放端58を、ケース10Bの内周面101Bから離しているので、必要なアンテナ性能を確保でき、短絡部54の構造や寸法の制約が減るため、アンテナ50やケース10Bの設計自由度を向上できる。
【0052】
[第3実施形態]
第3実施形態の電子時計1Cについて、
図15および
図16を参照して説明する。電子時計1Cは、ラン二ング、トレッキング等のマルチスポーツ対応のスポーツウォッチであり、衛星測位システム、例えば全地球的航法衛星システムとしてのGPS衛星信号を受信するアンテナ90を搭載したGPSウォッチである。アンテナ90は、アンテナ50と同様に、板状逆F型アンテナ(PIFA(Plate Inverted F AntennaまたはPlanar Inverted F Antenna))を応用したアンテナである。
【0053】
電子時計1Cは、
図15に示すように、ベゼル13Cを有するケース10Cと、時刻表示部としてデジタル表示パネル70と、ボタン201とを備え、位置情報衛星Sからの衛星信号を受信可能に構成されている。
デジタル表示パネル70は、
図16に示すように、具体的には液晶ディスプレイ70Aで構成されている。
電子時計1Cは、ケース10Cを有する。ケース10Cは、合成樹脂製の胴12Cおよび裏蓋14Cと、導電性材料である金属製のベゼル13Cとを備える。ベゼル13Cは、前記各実施形態と同様に、カバーガラス15を支持する支持片133Cを備える。
ケース10C内には、デジタル表示パネル70を構成する液晶ディスプレイ70A、見切り板72、液晶ディスプレイ70Aを保持するフレーム77、回路基板45、アンテナ90、加速度センサー94、二次電池24、振動部95等が配置されている。
【0054】
フレーム77は、外周に壁部73を有してカバーガラス15側に開口し、壁部73の内側に内底面74bを有する凹陥部74を備えている。凹陥部74の内底面74bには、内底面74bの中央部分の表裏を貫通する貫通孔76が設けられている。フレーム77には、凹陥部74の貫通孔76の外周側に位置する内底面74bに、周状のシール部材79を介して液晶ディスプレイ70Aが取り付けられている。フレーム77の壁部73と、壁部73および液晶ディスプレイ70Aの境界部分とは、見切り板72で覆われて隠されている。
液晶ディスプレイ70Aは、回路基板45にフレキシブル接続基板46などによって導通され、回路基板45に設けられた駆動回路によって制御されている。
なお、デジタル表示パネル70を液晶ディスプレイ70Aによって構成する例を示したが、これに限らない。デジタル表示パネル70は、液晶ディスプレイ(LCD)、有機EL(Organic ElectroLuminescence)ディスプレイ、およびEPD(Electrophoretic Display)等で構成できる。
【0055】
アンテナ90は、樹脂製枠80と、第1導体素子91と、第2導体素子92と、短絡部93とを備える。第1導体素子91は、アンテナ電極となる板状の導体素子である。第2導体素子92は、回路基板45の一方の面に配設されている配線パターンに含まれる接地用パターン(GND層)によって構成されている。短絡部93は、第1導体素子91の外縁部から導出され、第1導体素子91と第2導体素子92とを電気的に接続している。回路基板45の裏蓋14C側の面には、二次電池24などを案内する回路ケース44が配置されている。
樹脂製枠80は、複数のブロックを梁で連結した骨格状に構成され、適宜な梁を切断することなどで受信電波の周波数を調整可能に構成されている。
アンテナ90は、第1実施形態のアンテナ50と同様に、板状逆F型アンテナであり、板状の第1導体素子91と、第2導体素子92を含む板状素子としての回路基板45とが樹脂製枠80を挟んで互いに対向するように配置され、短絡部93を用いて第1導体素子91と第2導体素子92とを短絡すると共に、図示しない給電素子により第1導体素子91に給電して電波放射を得る構造となっている。樹脂製枠80は、回路基板45と第1導体素子91との間に配置することにより、第2導体素子92と第1導体素子91との平行度を維持する効果も奏しており、GPSアンテナであるアンテナ90の電気的な性能にも寄与している。
【0056】
第1導体素子91の外縁領域の少なくとも一部は、電子時計1Cをカバーガラス15側から見た平面視で、デジタル表示パネル70を構成する液晶ディスプレイ70Aよりもはみ出している。これにより、液晶ディスプレイ70Aとアンテナ90とが重なっていてもアンテナ性能を維持することができる。
また、前記第1実施形態と同様に、支持片133Cの下面からアンテナ90の第1導体素子91の表面までの距離H1は、アンテナ90で受信する電波の波長の0.012波長以上であり、カバーガラス15の下面から第1導体素子91の表面までの距離H2は、前記電波の波長の0.0238波長以下であり、第1導体素子91の外周と金属製のベゼル13Cの内周面までの距離W1は、前記電波の波長の0.008波長以上である。
【0057】
第3実施形態においても前記各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、前記各実施形態と同じく、ベゼル13Cの支持片133Cから、アンテナ90の第1導体素子91までの距離H1を受信電波である衛星信号の波長の0.012波長以上に設定しているので、金属製のベゼル13Cによる受信感度の低下を抑制できる。このため、カバーガラス15を支持する金属製のベゼル13Cを比較的大きくでき、合成樹脂製の胴12Cの表面部分を覆う面積も大きくできるため、耐傷性、耐久性に優れ、電子時計1Cの外観の高級感を高めることができる。
また、アンテナ90は、合成樹脂製の胴12Cを通過する電波も受信できるため、金属製の胴を用いた場合に比べて受信性能を向上できる。
【0058】
[他の実施形態]
なお、本発明は前記各実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
第1実施形態では、アンテナ50の第2導体素子53を耐磁板で構成していたが、第2導体素子53を、第1導体素子52とほぼ同じ面積で板状に形成し、板状逆F型アンテナのグランド部材として機能するようにしてもよい。
平面視で支持片133、133Cの内周面は、アンテナ50、90の第1導体素子52、91の外周面と同じ位置、あるいは、より内側に位置してもよい。すなわち、距離H1を確保しているので、平面視で支持片133、133Cの内周面が第1導体素子52、91の一部に重なっても、必要な受信性能を維持できるためである。
第1、2実施形態のケース10、10Bに、時刻表示部としてデジタル表示パネル70を組み込んで時刻をデジタル表示してもよい。また、第3実施形態のケース10Cに、文字板2や指針3を組み込んで時刻をアナログ表示してもよい。
前記各実施形態では、時刻情報を得るために、GPS衛星から送信される衛星信号を受信していたが、他の信号を受信してもよい。例えば、時刻情報を得るために、ガリレオ、GLONASS、Beidouなどの他の全地球的航法衛星システム(GNSS)や、静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS)や、準天頂衛星等の特定の地域のみで検索できる地域的衛星測位システム(RNSS)などの各衛星から送信される衛星信号を受信してもよい。
アンテナは、衛星信号を受信するものに限られず、例えば、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)、LPWA(Low Power Wide Area)等の他の電波を受信するアンテナでもよい。すなわち、電子時計1、1B、1Cに組み込むアンテナ50、90は、受信する電波の種類や、時計のサイズ、他の部品との納まりなどに応じて適切に設定すればよい。
【0059】
[本開示のまとめ]
本開示のアンテナ内蔵式電子時計は、平板状の第1導体素子、前記第1導体素子の表面に直交する方向から見た平面視で前記第1導体素子と重なり且つ前記第1導体素子の下方に配置される平板状の第2導体素子、および前記第1導体素子と前記第2導体素子とを短絡する短絡部を有するアンテナと、前記アンテナの上方に配置された時刻表示部と、前記時刻表示部の上方に配置されたカバーガラスと、前記第1導体素子に電力を供給する給電部と、前記アンテナ、前記時刻表示部および前記給電部を収納し、環状の側壁を有する導電性ケースと、を備え、前記導電性ケースは、前記側壁から内側に突出し、前記カバーガラスの下面を支持する支持部を備え、前記第1導体素子の表面に平行な方向から見た側面視で、前記支持部の下面から前記第1導体素子までの距離は、前記アンテナで受信する電波の波長の0.012波長以上であり、前記カバーガラスから前記第1導体素子までの距離は、前記電波の波長の0.0238波長以下であることを特徴する。
本開示のアンテナ内蔵式電子時計によれば、側面視において、カバーガラスの下面を支持する支持部の下面から、アンテナの上面である第1導体素子までの距離を、アンテナで受信する電波の波長の0.012波長以上としたので、金属などの導電性材料で構成される支持部によるアンテナ性能の劣化を抑制でき、衛星信号などの電波の受信性能を維持できる。また、環状の側壁を有する導電性ケースを用いることができるため、カバーガラスを支持する支持部を有するベゼルを設ける場合も、金属等の導電性材料でベゼルを構成できるので、時計の外観意匠性を高めることができる。
カバーガラスから第1導体素子までの距離を、電波の波長の0.0238波長以下としたので、カバーガラスを誘電体として機能させることができる。このため、誘電体であるカバーガラスによる波長短縮効果により、アンテナの共振周波数と放射効率が最良となる周波数とのずれを抑制できる。これにより、ベゼルを導電性材料で構成しても、アンテナ利得つまり受信性能の低下を抑制することができる。
したがって、金属製のベゼルを用いることで時計ケースの意匠性を向上でき、かつ、パッチアンテナに比べて薄型化できる板状逆F型アンテナを用いることで、電子時計も薄型化でき、板状逆F型アンテナの受信性能を確保できる。さらに、電池、モーター、輪列などの時計用部品と逆F型アンテナとを平面視で重ねて配置でき、電子時計を小型化、つまり電子時計の平面サイズを小さくできる。
【0060】
本開示のアンテナ内蔵式電子時計において、前記側面視で、前記支持部の下面から前記第1導体素子までの距離が、前記アンテナで受信する電波の波長の0.014波長以上であることが好ましい。
本開示のアンテナ内蔵式電子時計によれば、アンテナの上面である第1導体素子までの距離を、アンテナで受信する電波の波長の0.014波長以上としたので、アンテナ性能の劣化をさらに抑制でき、衛星信号などの電波の受信性能をさらに維持できる。
【0061】
本開示のアンテナ内蔵式電子時計において、前記平面視で、前記支持部の内周面は、前記第1導体素子より外側に位置することが好ましい。
本開示のアンテナ内蔵式電子時計によれば、カバーガラスを支持する支持部の内周面を、平面視で第1導体素子よりも外側に位置させているので、支持部で遮られる電波が少なくなり、アンテナでの受信性能を向上できる。
【0062】
本開示のアンテナ内蔵式電子時計において、前記側面視で、前記支持部の下面から前記第2導体素子の下面までの範囲において、前記導電性ケースの前記側壁の内周面から前記第1導体素子の外周面までの距離は、前記アンテナで受信する電波の波長の0.008波長以上であることが好ましい。
本開示のアンテナ内蔵式電子時計によれば、時計の外観デザインに影響しないケースの内周部分の形状を工夫することで、アンテナとの距離を適正に保つことで、時計の外観を高めつつ、必要なアンテナ性能を確保できる。
【0063】
本開示のアンテナ内蔵式電子時計において、前記短絡部の反対側における前記第1導体素子の外周面から前記導電性ケースの前記側壁の内周面までの距離は、前記短絡部における前記第1導体素子の外周面から前記導電性ケースの前記側壁の内周面までの距離より大きいことが好ましい。
本開示のアンテナ内蔵式電子時計によれば、アンテナの短絡部に比べて電波の放射が多くなされる短絡部の反対側の開放端を、導電性ケースの側壁の内周面から離しているので、必要なアンテナ性能を確保できる。また、短絡部の構造や寸法の制約が減るため、アンテナや導電性ケースの設計自由度を向上できる。
【0064】
本開示のアンテナ内蔵式電子時計において、時刻表示部は、文字板と指針を備え、前記アンテナには、指針軸が貫通する貫通孔が設けられていることが好ましい。
本開示のアンテナ内蔵式電子時計によれば、時刻を指針で指示するアナログ時計を実現できる。また、アンテナには、指針軸が貫通する貫通孔が設けられるため、アンテナの平面形状は指針軸の位置に影響されず、導電性ケースに収納可能な範囲で大きな面積で設計でき、受信性能を向上できる。
【0065】
本開示のアンテナ内蔵式電子時計において、前記時刻表示部は、デジタル表示パネルであることが好ましい。
本開示のアンテナ内蔵式電子時計によれば、液晶パネルや有機ELパネルなどのデジタル表示パネルで時刻を表示するデジタル時計を実現できる。
【0066】
本開示のアンテナ内蔵式電子時計において、前記導電性ケースは、前記支持部を備える導電性のベゼルと、前記アンテナ、前記時刻表示部および前記給電部を収納する導電性の胴と、を備え、前記ベゼルの表面には、装飾が施されていることが好ましい。
本開示のアンテナ内蔵式電子時計によれば、金属製のベゼルや胴を用い、さらにベゼルの表面に、例えば、タイムゾーン表示用の数字や文字等の装飾を施しているので、電子時計のデザイン性や利便性を向上できる。
【0067】
本開示のアンテナ内蔵式電子時計は、平板状の第1導体素子、前記第1導体素子の表面に直交する方向から見た平面視で前記第1導体素子と重なり且つ前記第1導体素子の下方に配置される平板状の第2導体素子、および前記第1導体素子と前記第2導体素子とを短絡する短絡部を有するアンテナと、前記アンテナの上方に配置された時刻表示部と、前記時刻表示部の上方に配置されたカバーガラスと、前記第1導体素子に電力を供給する給電部と、前記アンテナ、前記時刻表示部および前記給電部を収納するケースと、を備え、前記ケースは、非導電性の胴と、導電性のベゼルとを備え、前記ベゼルは、前記カバーガラスの下面を支持する支持部を備え、前記第1導体素子の表面に平行な方向から見た側面視で、前記支持部の下面から前記第1導体素子までの距離は、前記アンテナで受信する電波の波長の0.012波長以上であり、前記カバーガラスから前記第1導体素子までの距離は、前記電波の波長の0.0238波長以下であることを特徴とする。
本開示のアンテナ内蔵式電子時計によれば、アンテナは、非導電性の胴を通過する電波も受信できるため、受信性能を向上できる。また、ベゼルは金属などの導電性材料であるため、電子時計の表面の耐傷性や耐久性を向上でき、電子時計の外観の高級感を高めることができる。
【符号の説明】
【0068】
1…電子時計、1B…電子時計、1C…電子時計、2…文字板、3…指針、10…ケース、10B…ケース、10C…ケース、11…ケース本体、12…胴、12B…胴、12C…胴、13…ベゼル、13C…ベゼル、15…カバーガラス、20…ムーブメント、23…駆動機構、31…時針、32…分針、33…秒針、35…指針軸、36…指針軸、37…指針軸、45…回路基板、50…アンテナ、50A…貫通孔、51…誘電体基板、52…第1導体素子、52B…外周面、53…第2導体素子、54…短絡部、70…デジタル表示パネル、70A…液晶ディスプレイ、80…樹脂製枠、90…アンテナ、91…第1導体素子、92…第2導体素子、93…短絡部、101…内周面、101B…内周面、131…表面、133…支持片、133A…内周面、133C…支持片。