(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168056
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】組合せ秤
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G01G19/387 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084449
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】本郷 栄助
(57)【要約】
【課題】分散部に供給された物品を、並列配備された複数のリニアフィーダに分散して搬送し、リニアフィーダで搬送した物品を、各リニアフィーダに対応して配備した計量ユニットへ供給する組合せ秤であって、絡まっている物品を効果的にほぐして計量ユニットへ搬送ができるようにする。
【解決手段】計量ユニット9へ物品を搬送する搬送経路において、搬送される物品をほぐすほぐし装置20を配備する。ほぐし装置20は、開閉可能な複数の指部29を備えたほぐし具としてのロボットハンド22と、このロボットハンド22を、水平方向、及び、上下方向に移動させる掴み具移動機構としてのロボットアーム21とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される物品を搬送する分散フィーダと、前記分散フィーダによって搬送される前記物品が供給されると共に、供給された物品を複数のホッパにそれぞれ搬送する複数のリニアフィーダとを備える組合せ秤であって、
前記分散フィーダ及び前記複数のリニアフィーダの物品の搬送経路において、物品をほぐすほぐし装置を備え、
前記ほぐし装置は、開閉可能な複数の指部を有するほぐし具と、該ほぐし具を、水平方向及び上下方向に移動させるほぐし具移動機構とを有する、
ことを特徴とする組合せ秤。
【請求項2】
前記ほぐし装置は、前記ほぐし具としてのロボットハンドと、前記ほぐし具移動機構としてのロボットアームとを備える
請求項1に記載の組合せ秤。
【請求項3】
前記ほぐし装置は、前記ロボットハンドを、三次元に移動させることが可能であると共に、旋回させることが可能である、
請求項2に記載の組合せ秤。
【請求項4】
前記ほぐし装置は、前記ロボットハンドの複数の指部を閉じて前記物品を掴む動作、前記ロボットハンドの前記複数の指部を開いて掴んだ前記物品を開放する動作が可能である、
請求項3に記載の組合せ秤。
【請求項5】
前記ほぐし装置は、前記物品を掴んだ前記ロボットハンドを移動させる動作が可能である、
請求項4に記載の組合せ秤。
【請求項6】
前記ほぐし装置は、前記ロボットハンドの前記指部を、前記物品に接触させて移動させる動作が可能である、
請求項3に記載の組合せ秤。
【請求項7】
前記ほぐし装置は、前記ロボットハンドの前記指部を、前記物品に接触させて旋回させる動作が可能である、
請求項3に記載の組合せ秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を所定重量になるように組合せ計量して排出する組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に組合せ秤では、中心上方から供給された物品を放射状に分散搬送する分散フィーダの周囲に、分散搬送された物品を更に外方に向けて搬送するように複数のリニアフィーダを配備し、各リニアフィーダに対応して配備された複数の計量ユニットに物品を供給するように構成されている。
【0003】
複数の計量ユニットは、複数のリニアフィーダから供給される物品を一時貯留して排出する複数の供給ホッパと、複数の供給ホッパから排出された物品を保持して、その重量を計量する複数の計量ホッパとを備えている。
【0004】
組合せ秤は、計量ホッパの物品の重量を組合せた合計重量である組合せ重量が、目標組合せ重量に基づく所定重量範囲内となる計量ホッパの組合せを、物品を排出すべき計量ホッパの組合せである適量組合せとして選択する組合せ演算を行う。この組合せ演算によって選択された適量組合せの計量ホッパから物品をそれぞれ排出し、排出された所定重量範囲の物品を集合ホッパに一時保持し、包装装置等からの供給要請指令に応答して、包装装置等へ物品を排出するように構成されている。
【0005】
上記構成の組合せ秤において、例えば、モヤシや裂きイカのような絡まりやすい物品を計量処理する場合、物品が塊状にまとまって分散フィーダに落下供給されたり、分散搬送中に物品同士が絡まり合って大きい塊になってリニアフィーダに送り込まれることがある。
【0006】
リニアフィーダで大きい塊のまま搬送されて、供給ホッパを介して計量ホッパに供給されると、組合せ演算で計量ホッパの適量組合せが成立しにくくなり、計量速度が低下したり、組合せ精度の低下を招くことになる。
【0007】
そこで、このような不具合を無くすために、例えば、特許文献1では、分散フィーダのトップコーンの傾斜表面に間隔を空けて対向する均し部材を、分散フィーダの中心周りに旋回駆動することで、分散フィーダ上の物品を掻き均すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、物品が強く絡まっているような場合には、旋回移動する均し部材で、塊を少し崩して横方向に移動させるにとどまり、充分にほぐすことができないことがある。
【0010】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、物品が絡まっているような場合に、物品を効果的にほぐして計量ユニットへ搬送できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0012】
(1)本発明に係る組合せ秤は、供給される物品を搬送する分散フィーダと、前記分散フィーダによって搬送される前記物品が供給されると共に、供給された物品を複数のホッパにそれぞれ搬送する複数のリニアフィーダとを備える組合せ秤であって、
前記分散フィーダ及び前記複数のリニアフィーダの物品の搬送経路において、物品をほぐすほぐし装置を備え、前記ほぐし装置は、開閉可能な複数の指部を有するほぐし具と、該ほぐし具を、水平方向及び上下方向に移動させるほぐし具移動機構とを有する。
【0013】
本発明に係る組合せ秤によると、分散フィーダ及び複数のリニアフィーダの物品の搬送経路において、ほぐし具の複数の指部の開閉状態を変化させることができると共に、ほぐし具を水平方向及び上下方向に移動させることができるので、各種のほぐし動作が可能となる。これによって、一定形状の均し部材を旋回させて掻き均すだけの従来例に比べて、絡まった物品を効果的にほぐすことができる。
【0014】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記ほぐし装置は、前記ほぐし具としてのロボットハンドと、前記ほぐし具移動機構としてのロボットアームとを備える。
【0015】
この実施態様によると、人間の手のような働きをするロボットハンドを効率的に移動させて、物品を効果的にほぐすことができる。
【0016】
(3)本発明の他の実施態様では、前記ほぐし装置は、前記ロボットハンドを、三次元に移動させることが可能であると共に、旋回させることが可能である。
【0017】
この実施態様によると、ロボットハンドで物品を掴んで、あるいは、ロボットハンドを物品に接触させて、三次元に移動させたり、旋回させることによって、物品を効果的にほぐすことができる。
【0018】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記ほぐし装置は、前記ロボットハンドの複数の指部を閉じて前記物品を掴む動作、前記ロボットハンドの前記複数の指部を開いて掴んだ前記物品を開放する動作が可能である。
【0019】
この実施態様によると、ほぐし装置は、ロボットハンドによって物品を掴み、掴んだ物品を開放することによって、絡まった物品を効果的にほぐすことができる。
【0020】
(5)本発明の一実施態様では、前記ほぐし装置は、前記物品を掴んだ前記ロボットハンドを移動させる動作が可能である。
【0021】
この実施態様によると、ほぐし装置は、ロボットハンドで物品を掴み、例えば、上方へ移動させて、物品を開放して落下させることによって、絡まった物品を効果的にほぐすことができる。また、物品をロボットハンドで掴み、水平に移動させて物品を開放することで、物品を、例えば、多い箇所から少ない箇所へ移動させるといったことが可能となる。
【0022】
(6)本発明の他の実施態様では、前記ほぐし装置は、前記ロボットハンドの前記指部を、前記物品に接触させて移動させる動作が可能である。
【0023】
この実施態様によると、ほぐし装置は、物品に接触させたロボットハンドを水平方向へ移動させることで、物品を効果的にほぐしたり、均したりすることができる。
【0024】
(7)本発明の更に他の実施態様では、前記ほぐし装置は、前記ロボットハンドの前記指部を、前記物品に接触させて旋回させる動作が可能である。
【0025】
この実施態様によると、ほぐし装置は、ロボットハンドの指部を物品に接触させて旋回させることで、物品を効果的にほぐしたり、均したりすることができる。
【発明の効果】
【0026】
このように、本発明に係る組合せ秤によれば、分散フィーダ及び複数のリニアフィーダの物品の搬送経路において、ほぐし具の複数の指部の開閉状態を変化させることができると共に、ほぐし具を、水平方向及び上下方向に移動させることができるので、各種のほぐし動作が可能となる。これによって、絡まった物品を効果的にほぐすことができると共に、物品を均すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る組合せ秤の全体斜視図である。
【
図2】
図2は
図1の組合せ秤の概略構成を示す縦断面図である。
【
図3】
図3は
図1の組合せ秤のほぐし具としてのロボットハンドの斜視図である。
【
図5】
図5は
図1の組合せ秤の制御構成を示す概略ブロック図である。
【
図6】
図6は動作説明に供するフローチャートである。
【
図7】
図7はほぐし動作の一例を示すロボットハンドの概略正面図である。
【
図8】
図8はほぐし動作の他の例を示すロボットハンドの概略正面図である。
【
図9】
図9はほぐし動作の更に他の例を示すロボットハンドの概略正面図である。
【
図10】
図10はほぐし動作の他の例を示すロボットハンドの概略正面図である。
【
図11】
図11は本発明の他の実施形態の組合せ秤の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る組合せ秤の全体斜視図であり、
図2は、その概略構成を示す縦断面図である。
【0030】
この実施形態の組合せ秤は、各種の食品や菓子などの物品を所定量ずつ計量して排出するものであって、作業者が上り下り可能な櫓状に組み立てられたフレームにおける階上部の床面Fに設置されている。
【0031】
この組合せ秤は、組合せ計量した所定重量範囲の物品を階下に設置した図示されていない包装装置に投入して袋詰めする包装ラインなどに利用される。
【0032】
床面Fには、中央部が上下に大きく貫通開口された中空構造の基台1が設置され、その基台1の中央上方に、多角短柱状に形成された中空構造のセンター基体2が複数本の脚3を介して支持されている。
【0033】
センター基体2の中心部上方には、供給コンベヤ4から落下供給される物品を、振動駆動される円錐状のトップコーン5aに載置して放射状に分散搬送する分散フィーダ5が装備されている。この分散フィーダ5の周囲には、分散搬送された物品を振動駆動されるトラフ6aに載置して外方に向けて直進搬送する複数のリニアフィーダ6が放射状に設けられている。
【0034】
更に、複数のリニアフィーダ6から供給される物品を一時保持して排出する複数の供給ホッパ7と、各供給ホッパ7から排出された物品の重量を計量する複数の計量ホッパ8とが装備されている。そして、これら供給ホッパ7と計量ホッパ8を一連とする複数連の計量ユニット9によって組合せ計量が行われて、所定重量範囲の物品が排出される。
【0035】
各計量ホッパ8の下方には、所定重量範囲となるように組合せ演算で選択された複数の計量ホッパ8から排出された物品を、装置中央の下方に向けて流下案内する集合シュート10が配備されている。この集合シュート10の下方中央には、集合シュート10に沿って流下した物品を装置中心部に集めて一時保持し、所定のタイミングで排出する集合ホッパ11が配備されている。
【0036】
本実施形態においては、分散フィーダ5に供給された物品を分散して、リニアフィーダ6を介して計量ユニット9の供給ホッパ7に供給する搬送経路において物品をほぐすほぐし装置20が備えられている。以下、このほぐし装置20について説明する。
【0037】
この実施形態のほぐし装置20は、人間の手のように物品をほぐすためのほぐし具としてのロボットハンド22と、このロボットハンド22を、三次元に移動させると共に、旋回させるほぐし具移動機構としての多関節ロボットアーム21とを備えている。
【0038】
多関節ロボットアーム21は、固定支持台23に旋回支点軸aを中心に旋回駆動可能に装備された基端ブラケット24と、この基端ブラケット24に基端側関節軸bを介して揺動駆動可能に連結された第1アーム25と、この第1アーム25の先端部に中間関節軸cを介して揺動駆動可能に連結された第2アーム26と、この第2アーム26の先端部に先端側関節軸dを介して回動駆動可能に連結された先端ブラケット27とを備え、この先端ブラケット27にロボットハンド22が下向きに装着されている。
【0039】
図3は、ロボットハンド22の斜視図であり、
図4は、その概略正面図である。
【0040】
ロボットハンド22は、先端ブラケット27の下面に、縦向き支点e周りに回動駆動可能に連結された支持ブラケット28と、この支持ブラケット28の下面に周方向等間隔に装備された4本の指部29とを備えている。
【0041】
各指部29は、先端側の第1関節fと基端側の第2関節gにおいて、内外に屈折駆動可能に構成されている。このロボットハンド22は、複数の指部29を内方に屈折して閉じることで物品を掴み、複数の指部29を外方に伸展して開くことで、掴んだ物品を開放できるように構成されている。
【0042】
また、各指部29は、その基端において、縦向きの基端支点h周りにひねり回動可能に支持されており、このひねり回動によって指部29の向きを変更することが可能となっている。
【0043】
この実施形態のほぐし装置20では、多関節ロボットアーム21を基端の旋回支点軸a周りに旋回させると共に、各関節軸b、c、dを介して屈伸回動させることによって、ロボットハンド22を下向き姿勢に維持した状態で、分散フィーダ5及び複数のリニアフィーダ6の物品の搬送経路において、三次元的に移動させると共に、旋回させることが可能である。
【0044】
ほぐし装置20は、ロボットハンド22の指部29の先端の指先部29aが、分散フィーダ5のトップコーン5a及びリニアフィーダ6のトラフ6aに接触しない範囲で、ロボットハンド22を、トップコーン5a及びトラフ6aに近接させることができる。
【0045】
これによって、分散フィーダ5及び複数のリニアフィーダ6の物品の搬送経路において、物品の大きい塊や盛り上がりが発生しやすい箇所、特に、分散フィーダ5の外周部付近からリニアフィーダ6の始端側に亘る領域の搬送経路にある物品に、ロボットハンド22を作用させて、物品を後述のようにほぐすことができる。
【0046】
図5は、この実施形態の組合せ秤の制御系統の概略構成を示すブロック図であり、
図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0047】
ほぐし装置20を含む各部を制御すると共に、組合せ演算を行う制御部35は、CPU36と、メモリ37とを備えている。メモリ37は、組合せ秤の動作プログラムや動作パラメータ、及び、物品の種類等に応じたほぐし装置20によるほぐし動作の各種パターン等を記憶している。
【0048】
制御部35は、操作設定表示部42と相互に通信できるように接続されている。操作設定表示部42によって、動作パラメータの設定や物品の種類等の設定操作が行われると共に、重量値等の各種表示が行われる。制御部35は、ほぐし装置20を制御し、操作設定表示部42に設定される物品の種類等に応じて、ほぐし動作の各種のパターンを選択し、物品の種類や性状等に応じて適切な動作パターンのほぐし動作を行う。
【0049】
この制御部35には、分散フィーダ5上の物品を検出する物品検出器43の検出出力が与えられる。この物品検出器43は、例えば、分散フィーダ5の重量に基づいて、物品を検出してもよいし、光電センサ等によって分散フィーダ5上の物品を検出してもよい。
【0050】
振動制御回路部38は、制御部35からの制御信号に基づいて、分散フィーダ5及び各リニアフィーダ6のそれぞれの振動動作を制御する。
【0051】
ゲート駆動回路部39は、制御部35からの制御信号に基づいて、供給ホッパ7及び計量ホッパ8の排出用のゲートの開閉を制御する。
【0052】
A/D変換回路部40は、各計量ホッパ8の物品の重量を検出する各重量センサ41からのアナログ信号をデジタル信号に変換して制御部35へ出力する。
【0053】
図6は、この実施形態の組合せ秤の全体の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0054】
先ず、電源が投入されると、ほぐし装置20のロボットハンド22のほぐし動作のパターン等の運転パラメータの設定値をメモリ37から読み込み(ステップS1)、読み込んだ運転パラメータをセットし(ステップS2)、運転パラメータの変更があったか否かを判断し(ステップS3)、変更があったときには、変更された設定値に変更し(ステップS4)、運転スイッチがONされたか否かを判断する(ステップS5)。
【0055】
運転スイッチがONされると、分散フィーダ5上に物品があるか否かを判断し(ステップS6)、物品があるときには、ほぐし装置20による後述のようなほぐし動作を行い(ステップS7)、分散フィーダ5上の物品を、リニアフィーダ6へ振動搬送する分散フィーダの制御を行う(ステップS8)。
【0056】
次に、リニアフィーダ6の駆動を制御して、空の供給ホッパ7に対応するリニアフィーダ6上の物品を、空の供給ホッパ7に供給するリニアフィーダの制御を行い(ステップS9)、更に、供給ホッパ7を制御し、空の計量ホッパ8へ物品を供給する供給ホッパの排出ゲートの制御を行う(ステップS10)。
【0057】
次に、計量ホッパ8に供給された物品の重量を計量する計量制御を行う。その後、包装装置からの排出命令信号の入力があるか否かを判断する(ステップS12)。包装装置から排出命令信号の入力があると、組合せ演算で選択された計量ホッパ8の排出用のゲートを開放して物品を排出する、すなわち、計量ホッパの排出ゲートの制御を行い(ステップS13)、運転スイッチがOFFされなければ、ステップS6に戻る。
【0058】
ほぐし装置20によるほぐし動作は、物品の性状や物品の塊の発生具合、等に応じて種々の動作パターンでロボットハンド22を動作させることができるものであり、例えば、モヤシ等の絡まり易い物品に対するほぐし動作のパターンのいくつかを以下に例示する。
【0059】
(第1例)
図7に示すように、先ず、開放状態のロボットハンド22を物品wの盛り上がり部位に下降させ、下降位置において指部29の指先部29aを内向きに折込み、盛り上がっている物品wを掴み取って、所定高さまで上昇させる。
【0060】
次に、指先部29aを開放して、掴み上げた物品wを落下させながら横方向へ所定距離だけ移動させる。
【0061】
これによって、盛り上がった物品wが、ロボットハンド22で掴み上げられ、横方向にばら撒きながら開放落下され、物品wの盛り上がりが崩し均されると共に、掴み上げられた物品wは、ほぐされて開放落下される。
【0062】
上記一連の動作を、リニアフィーダ6の並列方向、すなわち、分散フィーダ5のトップコーン5aの円周方向に沿って位置をずらしながら、繰り返し行う。すなわち、物品wが盛り上がっていない部位も同じ動作を行うものであり、したがって、物品wを掴み取ることができない場合も有り得る。
【0063】
なお、物品wを掴み取って、所定高さまで上昇させた後、掴み上げた物品wを落下させながら横方向へ移動させるのに代えて、次のように動作させてもよい。
【0064】
すなわち、多関節ロボットアーム21を、その旋回支点軸a周りに所定の小角度だけ往復旋回作動させて、掴み上げた物品wを横方向に揺すりほぐす。その後、指先部29aを開放して、掴み上げた物品wをほぐした状態で開放落下する。この動作を同じ位置で所定回数だけ行い、その後、リニアフィーダ並列方向(周方向)に位置を変えながら上記一連の動作を繰り返し行うようにしてもよい。
【0065】
また、物品wを掴み取って、所定高さまで上昇させた後、掴み上げた物品wを、同じ位置で開放落下させるという一連の動作を、リニアフィーダ6の並列方向に沿って位置をずらしながら、繰り返し行ってもよい。
【0066】
(第2例)
図8に示すように、指部29の指先部29aを外側に折り出した状態で、ロボットハンド22を下降させて物品wにもぐり込ませ、その後、ロボットハンド22を、所定の平面形状(例えば、長方形)の軌跡を描くように水平に二次元移動させることで、物品の盛り上がりを崩し均す。
【0067】
この一連の動作を、リニアフィーダ並列方向に沿って位置を変えながら繰り返し行う。
【0068】
この場合、ロボットハンド22の水平移動に伴って、ロボットハンド22を、
図3、
図4に示す縦向き支点e周りに所定角度だけ往復回動させることによって、ほぐし機能を高めることができる。
【0069】
(第3例)
図9に示すように、指部29の指先部29aを内側に折り込んだ状態で、ロボットハンド22を下降させて物品wの盛り上がり部位にもぐり込ませ、その後、ロボットハンド22を、所定の平面形状(例えば、長方形)の軌跡を描くように水平に移動させることで、物品の盛り上がりを崩し均す。
【0070】
この一連の動作を、リニアフィーダ6の並列方向に沿って位置を変えながら繰り返し行う。
【0071】
この場合、ロボットハンド22の水平移動に伴って、ロボットハンド22の各指部29を、
図3、
図4に示す基端支点h周りにひねり回動させることによって、ほぐし機能を高めることができる。
【0072】
(第4例)
図10に示すように、ロボットハンド22の指先部29aを少し内側に折り込むと共に、第2関節gを介して内側に折り込んだ指部29を、基端支点h周りに内向きにひねり回動させた状態、つまり、各指部29の指先部29aを内向きに絞り込んだ状態で、ロボットハンド22を下降させて物品wの盛り上がり部位に突入させる。
【0073】
次に、指部29を外側に拡げると共に、基端支点h周りの外向きひねり回動によって指先部29aを外向きに回し拡げながら、ロボットハンド22を所定距離だけ横移動させる。これによって、ロボットハンド22の移動経路及びその周辺にある物品が押し崩される。
【0074】
その後、ロボットハンド22が所定の移動位置に至ると、指部29を内側に折り込むと共に、指部29を基端支点h周りに内向きにひねり回動させ、これによって、指部29の間にある物品wを抱き込み保持する。
【0075】
次に、ロボットハンド22を所定高さだけ上昇させた後、指部29を外側に拡げることで、抱き込み保持した物品wを開放落下する。
【0076】
この一連の作動を、リニアフィーダ並列方向に位置を変えながら繰り返し行う。
【0077】
上記は、ほぐし動作の例であり、ロボットハンド22の動作や位置を異ならせた他のほぐし動作を行ってもよく、あるいは、上記のほぐし動作、及び、ほぐし動作の一部を適宜組合せてもよい。
【0078】
なお、上記した各ほぐし動作を実行するに際し、多関節ロボットアーム21の第2アーム26が分散フィーダ5の中心上方付近に位置する状態で、供給コンベヤ4から物品が落下供給されると、供給された物品wが、第2アーム26に降りかかることになるので、多関節ロボットアーム21の第2アーム26が分散フィーダ5の中心上方付近に位置する状態においては、供給コンベヤ4からの物品供給を一時的に停止するように設定しておくのが望ましい。
【0079】
上記のように本実施形態では、分散フィーダ5及びリニアフィーダ6の物品の搬送経路において、ロボットハンド22の4本の指部29の開閉状態を変化させると共に、ロボットハンド22を、三次元に移動させたり、旋回させるといったほぐし動作を行うものである。
【0080】
これによって、ロボットハンド22によって物品を掴んだり、掴んだ物品を開放したり、盛り上がった物品に指部29を接触させて移動させたり、指部29をひねったりするなどの各種のほぐし動作を行って、絡みやすい物品を効果的にほぐしたり、均したりすることができる。
【0081】
[他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0082】
(1)ロボットハンド22を三次元移動させるほぐし具移動機構としては種々の形態を使用することが可能である。例えば、
図11に示すように、直交する水平方向に直線スライド作動するアクチュエータ31、32で可動部33を平面的に駆動移動させると共に、この可動部33に装備したエアシリンダや電動シリンダなどの直線アクチュエータ34で、ロボットハンド22を上下に駆動移動可能に支持する構造をほぐし具移動機構30として利用することもできる。
【0083】
(2)ロボットハンド22の形態は、物品の性状、等に応じて任意に設定することができ、例えば、2本指、3本指、あるいは、5本以上の多数本指で実施することもできる。また、指部29の形状や大きさも、物品wに対応して任意に設定することができる。
【0084】
(3)ロボットハンド22は、旋回支点軸e周りに回動しない形態のものであってもよい。
【0085】
(4)指部29は、必ずしも複数の関節を介して屈伸するものである必要はなく、指の基端に設けた一つの関節を介して内外に揺動して開閉する単純な形態のものであってもよい。
【0086】
(5)指部29は、基端支点h周りにひねり回動しない仕様のものであってもよい。
【0087】
(6)物品搬送経路の物品堆積具合等をカメラによって撮像監視し、盛り上がり発生箇所等を集中的にほぐし動作を実施するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
5 分散フィーダ(分散部)
6 リニアフィーダ
9 計量ユニット
20 ほぐし装置
21 多関節ロボットアーム(ほぐし具移動機構)
22 ロボットハンド(ほぐし具)
29 指部
w 物品