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特開2024-168060シミュレーション装置、シミュレーション方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168060
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】シミュレーション装置、シミュレーション方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/28 20060101AFI20241128BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20241128BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G09B23/28
G09B9/00 Z
G09B19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084453
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】大西 詠子
(72)【発明者】
【氏名】大西 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼嶋 和毅
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032CA06
(57)【要約】
【課題】医療行為の実習の効率を向上させることが可能であるシミュレーション装置、シミュレーション方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】シミュレーション装置は、患者に施す医療行為の選択肢の選択状況を検知する検知部と、検知された選択状況が正解であるか否かを判定する判定部と、検知された選択状況と、予め定められたシナリオとに基づいて、患者の生体情報のシミュレーションを実行する実行部と、検知された選択状況が正解でないと判定された場合、シミュレーションの実行を中断させるとともに、ユーザにコメントを通知する制御部と、選択状況と生体情報とコメントとのうちの少なくとも一つを表示する表示部とを備える。制御部は、選択状況に基づいて、患者の外観の画像を選択してもよい。表示部は、選択された患者の外観の画像を表示してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に施す医療行為の選択肢の選択状況を検知する検知部と、
検知された前記選択状況が正解であるか否かを判定する判定部と、
検知された前記選択状況と、予め定められたシナリオとに基づいて、前記患者の生体情報のシミュレーションを実行する実行部と、
検知された前記選択状況が正解でないと判定された場合、前記シミュレーションの実行を中断させるとともに、ユーザにコメントを通知する制御部と、
前記選択状況と前記生体情報と前記コメントとのうちの少なくとも一つを表示する表示部と
を備えるシミュレーション装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記選択状況の正解を示す前記コメントを表示する、請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
前記制御部は、複数の画像のうちから、前記患者の外観の画像を、前記選択状況に基づいて選択し、
前記表示部は、選択された前記患者の外観の画像を表示する、請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記制御部は、予め定められた複数の会話内容のうちから前記選択状況に基づいて会話内容を選択し、選択された前記会話内容を前記コメントとして前記ユーザに通知する、請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
前記選択状況が正解であるか否かの判定結果に基づいて、前記選択状況を評価する評価部を更に備え、
前記表示部は、前記選択状況の評価結果を表示する、請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項6】
前記評価部は、予め定められたタイミングから、前記選択状況の変化が検知されるまでの経過時間に基づいて、前記選択状況の評価結果を生成する、請求項5に記載のシミュレーション装置。
【請求項7】
前記検知部は、前記医療行為の手順を問うテキストが前記表示部に表示されていない場合に前記選択肢が選択されたか否かを検知し、
前記評価部は、前記医療行為の手順を問うテキストが前記表示部に表示されていない場合に前記選択肢が選択されたことが検知され、且つ、検知された前記選択状況が正解であると判定された場合、予め定められた高い評価点数を前記ユーザに与える、請求項5に記載のシミュレーション装置。
【請求項8】
シミュレーション装置が実行するシミュレーション方法であって、
患者に施す医療行為の選択肢の選択状況を検知するステップと、
検知された前記選択状況が正解であるか否かを判定するステップと、
検知された前記選択状況と、予め定められたシナリオとに基づいて、前記患者の生体情報のシミュレーションを実行するステップと、
検知された前記選択状況が正解でないと判定された場合、前記シミュレーションの実行を中断させるとともに、ユーザにコメントを通知するステップと、
前記選択状況と前記生体情報と前記コメントとのうちの少なくとも一つを表示するステップと
を含むシミュレーション方法。
【請求項9】
コンピュータに、
患者に施す医療行為の選択肢の選択状況を検知する手順と、
検知された前記選択状況が正解であるか否かを判定する手順と、
検知された前記選択状況と、予め定められたシナリオとに基づいて、前記患者の生体情報のシミュレーションを実行する手順と、
検知された前記選択状況が正解でないと判定された場合、前記シミュレーションの実行を中断させるとともに、ユーザにコメントを通知する手順と、
前記選択状況と前記生体情報と前記コメントとのうちの少なくとも一つを表示する手順と
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーション装置、シミュレーション方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療行為の実習に用いられる医療シミュレーション装置がある(特許文献1参照)。ここで、医療シミュレーション装置は、医療用実習シナリオに基づくシミュレーションを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-055068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば医学生は、医療行為の実習(シミュレーション)においてどのような医療行為を選択すればよいのかが分からないことがあり、医療行為の実習を効率的に進めることができないことがある。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、医療行為の実習の効率を向上させることが可能であるシミュレーション装置、シミュレーション方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様1は、患者に施す医療行為の選択肢の選択状況を検知する検知部と、検知された前記選択状況が正解であるか否かを判定する判定部と、検知された前記選択状況と、予め定められたシナリオとに基づいて、前記患者の生体情報のシミュレーションを実行する実行部と、検知された前記選択状況が正解でないと判定された場合、前記シミュレーションの実行を中断させるとともに、ユーザにコメントを通知する制御部と、前記選択状況と前記生体情報と前記コメントとのうちの少なくとも一つを表示する表示部とを備えるシミュレーション装置である。
【0007】
本発明の態様2は、前記表示部が、前記選択状況の正解を示す前記コメントを表示する、態様1に記載のシミュレーション装置である。
【0008】
本発明の態様3は、前記制御部が、複数の画像のうちから、前記患者の外観の画像を、前記選択状況に基づいて選択し、前記表示部は、選択された前記患者の外観の画像を表示する、態様1に記載のシミュレーション装置である。
【0009】
本発明の態様4は、前記制御部が、予め定められた複数の会話内容のうちから前記選択状況に基づいて会話内容を選択し、選択された前記会話内容を前記コメントとして前記ユーザに通知する、態様1に記載のシミュレーション装置である。
【0010】
本発明の態様5は、前記選択状況が正解であるか否かの判定結果に基づいて、前記選択状況を評価する評価部を更に備え、前記表示部が、前記選択状況の評価結果を表示する、態様1に記載のシミュレーション装置である。
【0011】
本発明の態様6は、前記評価部が、予め定められたタイミングから、前記選択状況の変化が検知されるまでの経過時間に基づいて、前記選択状況の評価結果を生成する、態様5に記載のシミュレーション装置である。
【0012】
本発明の態様7は、前記検知部が、前記医療行為の手順を問うテキストが前記表示部に表示されていない場合に前記選択肢が選択されたか否かを検知し、前記評価部が、前記医療行為の手順を問うテキストが前記表示部に表示されていない場合に前記選択肢が選択されたことが検知され、且つ、検知された前記選択状況が正解であると判定された場合、予め定められた高い評価点数を前記ユーザに与える、態様5又は態様6に記載のシミュレーション装置である。
【0013】
本発明の態様8は、シミュレーション装置が実行するシミュレーション方法であって、患者に施す医療行為の選択肢の選択状況を検知するステップと、検知された前記選択状況が正解であるか否かを判定するステップと、検知された前記選択状況と、予め定められたシナリオとに基づいて、前記患者の生体情報のシミュレーションを実行するステップと、検知された前記選択状況が正解でないと判定された場合、前記シミュレーションの実行を中断させるとともに、ユーザにコメントを通知するステップと、前記選択状況と前記生体情報と前記コメントとのうちの少なくとも一つを表示するステップとを含むシミュレーション方法である。
【0014】
本発明の態様9は、コンピュータに、患者に施す医療行為の選択肢の選択状況を検知する手順と、検知された前記選択状況が正解であるか否かを判定する手順と、検知された前記選択状況と、予め定められたシナリオとに基づいて、前記患者の生体情報のシミュレーションを実行する手順と、検知された前記選択状況が正解でないと判定された場合、前記シミュレーションの実行を中断させるとともに、ユーザにコメントを通知する手順と、前記選択状況と前記生体情報と前記コメントとのうちの少なくとも一つを表示する手順とを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、医療行為の実習の効率を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態における、シミュレーション装置の構成例を示す図である。
図2】第1実施形態における、麻酔シミュレーションのシナリオの例を示す図である。
図3】第1実施形態における、シミュレーション装置の動作例を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態における、麻酔シミュレーション開始前のシミュレーション画像の表示例を示す図である。
図5】第1実施形態における、第1シミュレーション画像の表示例を示す図である。
図6】第1実施形態における、選択前の第2シミュレーション画像の表示例を示す図である。
図7】第1実施形態における、選択後の第2シミュレーション画像の表示例を示す図である。
図8】第1実施形態における、第3シミュレーション画像の表示例を示す図である。
図9】第1実施形態における、第4シミュレーション画像の表示例を示す図である。
図10】第1実施形態における、第5シミュレーション画像の表示例を示す図である。
図11】第1実施形態における、第nシミュレーション画像の第1表示例を示す図である。
図12】第1実施形態における、第nシミュレーション画像の第2表示例を示す図である。
図13】第1実施形態における、終了時のシミュレーション画像の表示例を示す図である。
図14】第1実施形態における、ユーザに与えられた評価点数の表示例を示す図である。
図15】第2実施形態における、シミュレーション開始前のシミュレーション画像の表示例を示す図である。
図16】第2実施形態における、第3シミュレーション画像の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における、シミュレーション装置1の構成例を示す図である。シミュレーション装置1は、医療シミュレーションを実行する装置である。シミュレーション装置1は、ユーザが選択した医療行為に応じて、患者の生体情報(バイタルサイン)等をシミュレーションする。シミュレーション装置1では、コンピュータ上の患者が医療シミュレーションに用いられる。このため、シミュレーション装置1では、患者の身体を模したハードウェア(疑似患者体)が医療シミュレーションに用いられる必要はない。ユーザが選択する医療行為は、特定の医療行為に限定されないが、例えば、麻酔処置及び蘇生処置である。シミュレーション装置1(教育用シミュレータ)は、例えば、医学生の教育(実習)に用いられる。
【0018】
医療シミュレーションの一例としての麻酔シミュレーションにおいて、シミュレーション装置1は、手術前及び手術中の患者への麻酔処置に関するシミュレーションを、ユーザ(例えば、医学生)によって選択された麻酔処置に基づいて実行する。また、医療シミュレーションの一例としての蘇生シミュレーションにおいて、シミュレーション装置1は、手術中及び手術後に患者の容態が急変した際の蘇生処置に関するシミュレーションを、ユーザによって選択された蘇生処置に基づいて実行してもよい。
【0019】
シミュレーション装置1は、情報処理装置であり、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末又はスマートフォン端末である。シミュレーション装置1の各機能部のうちの一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)を有する記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、ソフトウェアとして実現される。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク、及び、ソリッド・ステート・ドライブ(Solid State Drive)等の記憶装置などの非一時的な記録媒体である。
【0020】
シミュレーション装置1の各機能部のうちの一部又は全部は、例えば、LSI(Large Scale Integrated circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いた電子回路(electronic circuit又はcircuitry)を含むハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0021】
シミュレーション装置1は、通信部11と、記憶装置12と、操作部13と、表示部14と、音声出力部15と、実行部16とを備える。実行部16は、検知部161と、判定部162と、制御部163と、評価部164とを備える。
【0022】
通信部11は、所定の通信処理を実行する。所定の通信処理とは、例えば、実行部16がシミュレーションを実行するためのコンピュータプログラムを受信(ダウンロード)する処理である。所定の通信処理とは、例えば、シミュレーションの実行結果(例えば、ユーザごとの評価点数)を、外部の記憶装置(不図示)に送信する処理でもよい。
【0023】
記憶装置12は、実行部16がシミュレーションを実行するためのコンピュータプログラムを記憶する。このコンピュータプログラムは、シミュレーションのシナリオデータを含む。記憶装置12は、シナリオデータにおけるシーンごとに、患者の生体情報を予め記憶する。記憶装置12は、シナリオデータにおけるシーンごとに、画像データを予め記憶してもよい。画像データは、動画データでもよいし、静止画データでもよい。画像データは、例えば、手術室における医療スタッフ及び患者のうちの少なくとも一方の外観が撮影された動画のデータである。
【0024】
図2は、第1実施形態における、麻酔シミュレーションのシナリオの例を示す図である。図2に例示されたシナリオは、一例として、表形式で表されている。シナリオの項目には、「番号」と、「切替条件」と、「生体情報」と、「画像」と、「話者」と、「テキスト」と、「メイン選択肢」と、「第1サブ選択肢」と、「第2サブ選択肢」と、「配点」と、「オーベンからのコメント」とがある。
【0025】
「番号」は、シミュレーションにおけるシーンに割り当てられた番号である。シミュレーションは、選択肢の選択状況に応じて、番号順に進行する。以下では、シーンの番号「5-1」及び番号「5-2」に共通する事項については、番号「5」と表記する。ここで、薬剤「レミフェンタニル」と薬剤「プロポフォール」とは、どちらが先に選択されてもよい。このため図2では、番号「5」のシーンにおけるユーザによる薬剤の選択順に応じて、番号「5-1」のシーンにおけるシミュレーションと、番号「5-2」のシーンにおけるシミュレーションとのいずれが先に実行されてもよい。
【0026】
すなわち、番号「4」のシーンから切り替わった番号「5」のシーンにおいて、ユーザによって「レミフェンタニル」が「プロポフォール」よりも先に選択された場合には、番号「5-1」のシーンのシミュレーションが、番号「5-2」のシーンにおけるシミュレーションよりも先に実行される。番号「4」のシーンから切り替わった番号「5」のシーンにおいて、ユーザによって「プロポフォール」が「レミフェンタニル」よりも先に選択された場合には、番号「5-2」のシーンのシミュレーションが、番号「5-1」のシーンにおけるシミュレーションよりも先に実行される。
【0027】
番号「5-1」のシーンでの選択状況が正解(「薬剤」、「レミフェンタニル」及び「持続投与」の組み合わせ)と判定され、且つ、番号「5-2」のシーンでの選択状況が正解(「薬剤」、「プロポフォール」及び「持続投与」の組み合わせ)と判定された場合には、番号「5」のシーンから進行し、番号「6」(不図示)のシーンにおけるシミュレーションが実行される。なお、各シーンにおいて、組み合わされても問題のない選択肢の組み合わせは、複数でもよい。そのような複数の組み合わせのうちのいずれの組み合わせが選択されても、選択状況は正解と判定される。
【0028】
「切替条件」は、現在の番号のシーンから、次の番号のシーンにシーンを切り替える条件である。例えば、番号「1」のシーンでは、コメント「全身麻酔で管理します。」が制御部163によって表示部14に表示された場合、切替条件「テキスト表示後」が満たされたので、制御部163は、番号「1」のシーンから番号「2」のシーンに、シーンを切り替える。
【0029】
図2では、選択状況が正解となる組み合わせの各選択肢には、便宜的に下線が引かれている。例えば、番号「2」のシーンでは、「麻酔器」及び「酸素6L/分」の組み合わせが、選択状況の正解として予め定められる。番号「2」のシーンでは、「麻酔器」及び「酸素6L/分」が選択された場合、切替条件「正解後」が満たされたので、制御部163は、番号「2」のシーンから番号「3」のシーンに、シーンを切り替える。
【0030】
なお、番号「2」のシーンの開始から一定時間が経過しても「麻酔器」及び「酸素6L/分」が選択されない場合(タイムアウトした場合)には、オーベンからのコメント「酸素6L/分だよ。」が、表示部14に表示される。また、番号「2」のシーンにおいて「麻酔器」及び「酸素6L/分」の組み合わせ以外の選択肢の組み合わせが誤選択された場合にも、オーベンからのコメント「酸素6L/分だよ。」が、表示部14に表示される。選択状況の正解がユーザに提示された上で、次のシーンにシミュレーションが進行するので、医療行為の実習の効率を向上させることが可能である。
【0031】
「生体情報」は、患者の特定の生体情報に限定されないが、例えば、心拍数(HR: Heart Rate)と、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO)と、血圧(BP: Blood Pressure)とである。時系列の生体情報は、数値と波形を用いて表現されてもよい。
【0032】
「画像」は、例えば、患者の外観の動画像である。ここで、患者の外観とは、患者に施されている医療行為(例えば、マスク換気)のシーンにおける、患者の外観を表す動画像でもよい。「画像」は、例えば、医療スタッフの外観の動画像でもよい。ここで、医療スタッフの外観とは、ユーザと医療スタッフとの会話シーンにおける、その医療スタッフの外観を表す動画像でもよい。
【0033】
「話者」は、シーンごとに予め定められたセリフ(テキスト)を発話する者である。例えば、番号「1」のシーンでは、シミュレーションにおいて話者「麻酔科医」が発話した「全身麻酔で管理します。」が、テキストの画像で表示部14に表示される。
【0034】
「テキスト」は、例えば、シミュレーションにおいて話者によって発話されるセリフである。セリフは、例えば、医療スタッフの会話内容である。「テキスト」は、発話されるセリフに限られず、例えば、話者の思考を表すテキストでもよい。例えば、麻酔科医の思考を表すテキスト(発話されていない思考の内容)が、括弧付きで、表示部14に表示されてもよい。
【0035】
「メイン選択肢」は、ユーザに予め提示される選択肢であって、シーンごとに最初に選択可能な選択肢である。ユーザが「メイン選択肢」を選択した場合、「第1サブ選択肢」がユーザに提示される。続いて、ユーザが「第1サブ選択肢」を選択した場合、「第2サブ選択肢」がユーザに提示される。
【0036】
例えば、番号「5-1」のシーンでは、ユーザが「メイン選択肢」を選択した場合、薬剤「レミフェンタニル」と薬剤「プロポフォール」とが、第1サブ選択肢としてユーザに提示される。続いて、ユーザが「第1サブ選択肢」を選択した場合、「単回投与」と「持続投与」とが、第2サブ選択肢としてユーザに提示される。
【0037】
「配点」は、選択状況が正解と判定された場合に、ユーザに与えられる評価点数の配点である。具体的には、評価点数は、誤選択又はタイムアウトすることなく、且つ、選択状況が正解であると判定された場合に、予め定められたシーンごとに、ユーザに与えられる。ここで、鎮痛剤「レミフェンタニル」が正しく投与された場合にユーザに与えられる評価点数(配点)は、鎮静剤「プロポフォール」が正しく投与された場合にユーザに与えられる評価点数(配点)と比較して高く定められてもよい。全身麻酔での手術後に患者(被手術者)が痛がらないようにすることは重要だからである。
【0038】
なお、シミュレーションにおいて、オーベンから指導されることなく、適切な対処(選択肢)をユーザが適宜選択した場合、予め定められた高い評価点数がユーザに与えられてもよい。また、適切でない対処をユーザが選択した場合、その選択の影響度に応じて、予め定められた低い評価点数がユーザに与えられてもよいし、それまでに与えられた評価点数が減点されてもよい。
【0039】
「オーベンからのコメント」は、指導する立場の医師からのコメントである。このコメントは、例えば、選択状況の正解を示すコメント(テキスト)である。制御部163は、選択状況が正解でない(誤選択である)と判定された場合に、オーベンからのコメントを表示部14に表示させる。制御部163は、シーンの開始から一定時間が経過しても選択肢が選択されない場合(タイムアウトした場合)、オーベンからのコメントを表示部14に表示させてもよい。
【0040】
図1に戻り、シミュレーション装置1の構成例の説明を続ける。操作部13は、キーボード、マウス又はタッチパネル等の操作デバイスを備える。操作部13がタッチパネルである場合、操作部13及び表示部14は、一体で構成されもよい。操作部13は、ユーザによる操作を受け付ける。ユーザによる操作は、例えば、選択肢を選択する操作(選択イベント)である。
【0041】
表示部14は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスを備える。表示部14は、制御部163による制御に基づいて、シミュレーション画像を表示する。シミュレーションの実行中に、表示部14は、選択肢の選択状況と、患者の生体情報(バイタルサイン)と、コメントとのうちの少なくとも生体情報を、シミュレーション画像として表示する。シミュレーションの終了後に、表示部14は、選択肢の選択状況の評価結果(評価点数)を、制御部163による制御に基づいて評価部164から取得する。また、表示部14は、選択肢の選択状況の評価結果を表示する。
【0042】
音声出力部15は、制御部163による制御に基づいて音声を出力する。出力される音声は、例えば、オーベンからのコメントの合成音声である。
【0043】
検知部161は、患者に施す医療行為の選択肢の選択状況を、例えば操作部13が受け付けた操作入力に基づいて検知する。判定部162は、選択状況が正解であるか否かを、麻酔シミュレーションにおける選択肢のシナリオに基づいて判定する。なお、判定部162は、薬剤ごとに予め定められた許容範囲内の投与量であれば、ユーザによって選択された投与量を正解と判定してもよい。
【0044】
制御部163は、シミュレーション装置1の各機能部の動作を制御する。制御部163は、選択肢の選択状況に基づいて、患者の生体情報のシミュレーションを、例えば所定周期で繰り返し実行する。
【0045】
ここで、制御部163は、患者の時系列の生体情報を、表示部14に表示させる。制御部163は、選択肢の選択状況を、表示部14に表示させてもよい。制御部163は、麻酔シミュレーションのシナリオにおいて予め定められた複数のテキスト(会話内容)のうちから、医療スタッフの会話内容を、選択肢の選択状況に基づいて選択する。制御部163は、選択された会話内容を、表示部14に表示させる。この会話内容は、会話内容のテキストの画像が表示部14に表示されることによってユーザに提示(通知)されてもよいし、会話内容のテキストの合成音声が音声出力部15から出力されることによってユーザに提示(通知)されてもよい。
【0046】
制御部163は、選択状況が正解でないと判定された場合には、生体情報のシミュレーションの実行を中断して、ユーザにコメントを通知する。このコメントは、コメントが表示部14に表示されることによってユーザに通知されてもよいし、コメントの合成音声が音声出力部15から出力されることによってユーザに通知されてもよい。制御部163は、選択状況の正解(正解とされる1以上の選択肢)を教示するコメントを、オーベンからのコメントとして、ユーザに通知してもよい。
【0047】
評価部164は、選択肢の選択状況が正解であるか否かの判定結果と、麻酔シミュレーションにおける配点のシナリオとに基づいて、選択状況を評価(採点)する。評価部164は、予め定められたタイミングから、切替後のシーンにおける選択結果の入力まで(選択状況の変化が検知されるまで)にユーザが要した時間が短いほど、高い評価点数をユーザに与えてもよい。予め定められたタイミングは、例えばシーンが切り替えられたタイミングでもよいし、例えば薬剤の投入等のイベントが発生したタイミングでもよい。評価部164は、操作部13によって受け付けられた操作入力(選択結果)の一覧を、例えば、リスト形式で、表示部14に表示する。
【0048】
次に、シミュレーション装置1の動作例について説明する。
図3は、第1実施形態における、シミュレーション装置1の動作例を示すフローチャートである。表示部14は、医療行為の選択肢の選択状況、及び、患者の時系列の生体情報等を、制御部163による制御に基づいて表示する(ステップS101)。操作部13は、ユーザによる選択操作を受け付ける(ステップS102)。検知部161は、医療行為の選択肢の選択状況を検知する(ステップS103)。
【0049】
制御部163は、選択状況とシナリオとに基づいて、患者の生体情報のシミュレーションを実行する(ステップS104)。制御部163は、表示部14に表示された生体情報を更新する。制御部163は、選択状況とシナリオとに基づいて、表示部14に表示されたコメント(例えば、医療スタッフの会話内容)を更新してもよい。制御部163は、選択状況とシナリオとに基づいて、表示部14に表示された動画像(例えば、患者の外観の動画像)を更新してもよい(ステップS105)。
【0050】
判定部162は、選択状況が正解であるか否かを、図2に例示されたシナリオに基づいて判定する。例えば、番号「2」のシーンにおいて、「麻酔器」及び「酸素6L/分」がユーザによって選択された場合、判定部162は、選択状況が正解であると判定する。例えば、番号「2」のシーンにおいて、「酸素6L/分」以外のサブ選択肢「空気6L/分」がユーザによって選択された場合、判定部162は、選択状況が正解でないと判定する。例えば、番号「2」のシーンにおいて、ユーザによっていずれの選択肢も選択されない状態で一定時間が経過した場合、判定部162は、選択状況が正解でないと判定する。
【0051】
選択状況が正解である判定された場合(ステップS106:YES)、制御部163は、ステップS109に処理を進める。
【0052】
選択状況が正解でないと判定された場合(ステップS106:NO)、制御部163は、生体情報等のシミュレーションの実行を中断する(ステップS107)。表示部14は、生体情報(例えば、心拍数、心拍波形、酸素飽和度、酸素飽和度の波形、血圧値、及び、血圧値の波形)を表示する。表示部14は、オーベンからのコメントを表示する(ステップS108)。
【0053】
制御部163は、シミュレーションの実行を終了するか否かを判定する。例えば、制御部163は、シミュレーションの最終シーンの実行が完了したか否かを、シミュレーションのシナリオに基づいて判定する。シミュレーションの最終シーンの実行が完了したと判定した場合、制御部163は、シミュレーションの実行を終了すると判定する。例えば、制御部163は、シミュレーションの実行を終了させるための予め定められた操作を操作部13が受け付けた場合、シミュレーションの実行を終了すると判定する(ステップS109)。
【0054】
シミュレーションの実行を続行すると判定した場合(ステップS109:NO)、制御部163は、ステップS101に処理を戻す。シミュレーションの実行を終了すると判定した場合(ステップS109:YES)、制御部163は、図3に例示された処理の実行を終了する。
【0055】
次に、シミュレーション画像の表示例について説明する。
図4は、第1実施形態における、麻酔シミュレーション開始前のシミュレーション画像の表示例を示す図である。麻酔シミュレーション開始前のシミュレーション画像は、氏名表示領域21と、難易度表示領域22と、情報表示領域23と、開始操作キー画像24とを含む。
【0056】
氏名表示領域21は、患者(被手術者)の氏名が表示される領域である。難易度表示領域22は、麻酔シミュレーションの実習の難易度が表示される領域である。情報表示領域23は、患者に関する情報(患者情報)が表示される領域である。シミュレーションにおける、医療行為の選択肢の適切な選択と、表示部14に表示される患者の時系列の生体情報と、動画又は静止画で表示部14に表示された患者の様子とは、情報表示領域23に表示された患者情報及び手術内容ごとに異なる。開始操作キー画像24は、麻酔シミュレーションを開始させるための操作キー「患者入室」の画像である。
【0057】
図5は、第1実施形態における、第1シミュレーション画像の表示例を示す図である。第1シミュレーション画像は、図2に例示された番号「1」のシーンにおけるシミュレーションの画像である。第1シミュレーション画像は、生体情報表示領域30と、選択肢表示領域40と、画像表示領域50と、テキスト表示領域60と、操作キー表示領域70とを含む。
【0058】
生体情報表示領域30は、患者の生体情報(バイタルサイン)が表示される領域である。選択肢表示領域40は、器具、薬剤及び医療行為等の選択肢が表示される領域である。選択肢表示領域40は、麻酔器選択用画像401と、患者情報表示用画像402と、気道選択用画像403と、細胞外液選択用画像404と、薬剤選択用画像405と、第1サブ選択用画像406とを含む。
【0059】
麻酔器選択用画像401は、メイン選択肢の一つであり、麻酔器を用いる医療行為を選択するための操作キーのアイコンである。操作部13を用いてユーザが麻酔器選択用画像401を選択した場合(例えば、マウスを用いてユーザが麻酔器選択用画像401をクリックした場合)、第1サブ選択用画像406には、麻酔器を用いる医療行為に関する第1サブ選択肢が表示される。第1サブ選択肢は、メイン選択肢に対するサブ選択肢である。
【0060】
患者情報表示用画像402は、患者情報を表示させるための操作キーのアイコンである。任意のタイミングで、操作部13を用いてユーザが患者情報表示用画像402を選択した場合、患者情報が表示される。
【0061】
気道選択用画像403は、メイン選択肢の一つであり、気管チューブ等を用いる医療行為を選択するための操作キーのアイコンである。操作部13を用いてユーザが気道選択用画像403を選択した場合、第1サブ選択用画像406には、気管チューブ等を用いる医療行為に関する第1サブ選択肢が表示される。
【0062】
細胞外液選択用画像404は、メイン選択肢の一つであり、細胞外液を用いる医療行為を選択するための操作キーのアイコンである。操作部13を用いてユーザが細胞外液選択用画像404を選択した場合、第1サブ選択用画像406には、細胞外液を用いる医療行為に関する第1サブ選択肢が表示される。
【0063】
薬剤選択用画像405は、メイン選択肢の一つであり、薬剤を用いる医療行為を選択するための操作キーのアイコンである。操作部13を用いてユーザが薬剤選択用画像405を選択した場合、第1サブ選択用画像406には、薬剤を用いる医療行為に関する第1サブ選択肢が表示される。第1サブ選択用画像406は、第1サブ選択肢が表示される領域である。第1サブ選択肢は、選択可能に表示される。
【0064】
画像表示領域50は、画像データに基づく動画が表示される領域である。画像データに基づく動画は、例えば、医療スタッフの外観の画像である。画像データに基づく動画は、例えば、患者の外観の画像でもよい。画像表示領域50には、画像データに基づく静止画が表示されてもよい。
【0065】
テキスト表示領域60は、テキストが表示される領域である。テキストは、例えば医療スタッフの会話内容を表すテキストでもよいし、オーベンからのコメントを表すテキストでもよい。図5では、話者「麻酔科医」と、コメント「全身麻酔と硬膜外麻酔で管理します。」とが、テキスト表示領域60に表示される。
【0066】
テキスト表示領域60は、時間経過表示用画像601を含んでもよい。時間経過表示用画像601は、時間経過を表す画像である。時間経過表示用画像601の形状は、シーンが切り替えられた時刻からの経過時間に応じて変化してもよい。すなわち、時間経過表示用画像601は、タイムアウトするまでの時間のカウントダウン用の画像である。
【0067】
操作キー表示領域70は、操作キー画像が表示される領域である。操作キー表示領域70は、開始操作用画像701と、決定操作用画像702と、一時停止用画像703とを含む。開始操作用画像701は、シミュレーションの実行を開始又は再開させるための操作キー画像である。決定操作用画像702は、選択肢の選択をユーザが決定するための操作キー画像である。一時停止用画像703は、シミュレーションの実行を一時停止させるための操作キー画像である。
【0068】
図6は、第1実施形態における、選択前の第2シミュレーション画像の表示例を示す図である。第2シミュレーション画像は、図2に例示された番号「2」のシーンにおける、シミュレーションの画像である。図6では、話者「麻酔科医」と、テキスト「(酸素マスクから何を投与しようか)」とが、テキスト表示領域60に表示される。
【0069】
図7は、第1実施形態における、選択後の第2シミュレーション画像の表示例を示す図である。図7では、麻酔器選択用画像401が選択されたことによって、第1サブ選択肢「酸素6L/分」等が、第1サブ選択用画像406に表示される。図7では、一例として第1サブ選択肢「酸素6L/分」が、ユーザによって選択される。ユーザは、操作部13を用いて、決定操作用画像702を押下する。
【0070】
図8は、第1実施形態における、第3シミュレーション画像の表示例を示す図である。第3シミュレーション画像は、図2に例示された番号「3」のシーンにおけるシミュレーションの画像である。図8では、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO)が、番号「3」のシーンにおける「生体情報」のシナリオに基づいて、所定の上昇率で「100」まで上昇する。経皮的動脈血酸素飽和度の波形が、飽和度の上昇に応じて変化する。また、話者「麻酔科医」と、テキスト「(前酸素化によりSpOが上昇したかな?)」とが、テキスト表示領域60に表示される。
【0071】
図9は、第1実施形態における、第4シミュレーション画像の表示例を示す図である。第4シミュレーション画像は、図2に例示された番号「4」及び番号「5」のシーンにおけるシミュレーションの画像である。番号「4」のシーンにおいて、選択肢表示領域40は、更に、第2サブ選択用画像407を含む。話者「麻酔科医」と、処置の手順を問うテキスト「(次は何をしようか)」とが、テキスト表示領域60に表示される。テキストが表示されたので、番号「5」のシーンのシミュレーションが実行される。
【0072】
図9では、薬剤選択用画像405が選択されたことによって、番号「5」のシーンにおける第1サブ選択肢「プロポフォール」等が、第1サブ選択用画像406に表示される。図9では、一例として、第1サブ選択肢「レミフェンタニル」とが、ユーザによって選択される。第1サブ選択肢「レミフェンタニル」が選択されたことによって、番号「5-1」のシーンにおける第2サブ選択肢「持続投与」等が、第2サブ選択用画像407に表示される。図9では、一例として第2サブ選択肢「持続投与」が、ユーザによって選択される。ユーザは、操作部13を用いて、決定操作用画像702を押下する。
【0073】
図10は、第1実施形態における、第5シミュレーション画像の表示例を示す図である。第5シミュレーション画像は、図2に例示された番号「5-2」のシーンにおけるシミュレーションの画像である。図10では、番号「5-2」の直前に実行された番号「5-1」のシーンに基づいて、話者「麻酔科医」と、テキスト「(レミフェンタニルを持続投与した。次は?)」とが、テキスト表示領域60に表示されている。
【0074】
図10では、薬剤選択用画像405が選択されたことによって、番号「5-2」のシーンにおける第1サブ選択肢「プロポフォール」等が、第1サブ選択用画像406に表示される。図10では、一例として第1サブ選択肢「プロポフォール」が、ユーザによって選択される。第1サブ選択肢「プロポフォール」が選択されたことによって、番号「5-2」のシーンにおける第2サブ選択肢「持続投与」等が、第2サブ選択用画像407に表示される。図10では、一例として第2サブ選択肢「持続投与」が、ユーザによって選択される。ユーザは、操作部13を用いて、決定操作用画像702を押下する。
【0075】
番号「5-1」のシーンでの選択状況が正解(「薬剤」、「レミフェンタニル」及び「持続投与」の組み合わせ)と判定され、且つ、番号「5-2」のシーンでの選択状況が正解(「薬剤」、「プロポフォール」及び「持続投与」の組み合わせ)と判定されたので、番号「5」のシーンから切り替えられた番号「6」のシーン(不図示)におけるシミュレーションが実行される。
【0076】
図11は、第1実施形態における、第nシミュレーション画像の第1表示例を示す図である。第n(nは、6以上の所定の整数)シミュレーション画像は、図2に例示された番号「n」のシーンにおけるシミュレーションの画像である。図11では、番号「n」のシーンの直前に実行されたシーンに基づいて、話者「麻酔科医」と、テキスト「(マスク換気は適切にできている。この次は…)」とが、テキスト表示領域60に表示されている。
【0077】
図11では、薬剤選択用画像405が選択されたことによって、番号「n」のシーンにおける第1サブ選択肢「ロクロニウム」等が、第1サブ選択用画像406に表示される。図11では、誤った選択の一例として第1サブ選択肢「フェンタニル」が、ユーザによって選択される。第1サブ選択肢「フェンタニル」が選択されたことによって、番号「n」のシーンにおける第2サブ選択肢「持続投与」等が、第2サブ選択用画像407に表示される。図11では、誤った選択の一例として第2サブ選択肢「持続投与」が、ユーザによって選択される。ユーザは、操作部13を用いて、決定操作用画像702を押下する。
【0078】
図12は、第1実施形態における、第nシミュレーション画像の第2表示例を示す図である。番号「n」のシーンにおいて、「ロクロニウム」以外の第1サブ選択肢がユーザによって選択されたので、判定部162は、選択状況が正解でないと判定する。選択状況が正解でないと判定されたので、番号「n」のシーンにおける「オーベンからのコメント」のシナリオに基づいて、コメント「筋弛緩薬ロクロニウム単回投与だよ。」が、テキスト表示領域60に表示される。
【0079】
例えば番号「n+1」(不図示)のシーンにおいて、シナリオに基づいて、話者「外科医」が発話したコメント「手術を開始します。」が、テキスト表示領域60に表示される。
【0080】
番号「n+1」(不図示)のシーンから、最終番号(手術の終了を患者に告げるシーン)の直前のシーンまで、画像表示領域50には、手術中における入眠した患者の様子が、動画又は静止画で表示される。生体情報表示領域30には、手術中における入眠した患者の生体情報が、時系列で表示される。
【0081】
麻酔のシミュレーションにおいて、手術中、入眠した患者の様子(外観及び生体情報の変化等)に応じて、ユーザは適切な麻酔処置を適宜選択しければならない。このため、最終番号(不図示)の直前のシーンまで、選択肢表示領域40に表示された選択肢は選択可能である。
【0082】
また、手術前の麻酔処置時と同様に、手術中(例えば、皮膚切開時)でも、オーベンからのコメントがテキスト表示領域60に表示されることがある。ここで、手術前では、処置の手順を問うテキスト(例えば、「(次は何をしようか)」)が、テキスト表示領域60に表示されていたが、手術中では、処置の手順を問うテキストが表示されないようにしてもよい。処置の手順を問うテキストが表示されない場合、ユーザは、生体情報表示領域30に表示された生体情報の変化と、画像表示領域50に表示された患者の様子とに応じて、適切な選択肢を自発的に選択しなければならない。
【0083】
例えば、オーベンから指導されることなく、適切な選択肢をユーザが選択及び決定した場合、「オーベンからのコメント」のシナリオに基づいて、コメント「適切な処置だ。」が、テキスト表示領域60に表示される。ここで、高い評価点数がユーザに与えられてもよい。
【0084】
例えば、生体情報表示領域30に表示された生体情報が有意に変化したこと(例えば、血圧が下がったこと)にユーザが気づかずに、適切な選択肢が選択されないまま、所定時間が経過した場合、「オーベンからのコメント」のシナリオに基づいて、コメント「血圧が下がっている。対処は?」が、テキスト表示領域60に表示される。ここで、それまでに与えられた評価点数が減点されてもよい。
【0085】
例えば、処置を行う必要が特段ない場合に、ユーザが選択肢を選択及び決定した場合、「オーベンからのコメント」のシナリオに基づいて、コメント「今は、必要ないのでは?」が、テキスト表示領域60に表示される。ここで、低い評価点数がユーザに与えられてもよいし、それまでに与えられた評価点数が減点されてもよい。
【0086】
図13は、第1実施形態における、終了時のシミュレーション画像の表示例を示す図である。最終番号(不図示)のシーンにおけるシミュレーションの画像である。話者「麻酔科医」と、手術の終了を患者に告げるコメント「東北太郎さん、手術終わりました。」とが、テキスト表示領域60に表示される。
【0087】
図14は、第1実施形態における、ユーザに与えられた評価点数の表示例を示す図である。麻酔シミュレーション中にユーザに与えられた各評価点数(評価結果)が、麻酔シミュレーションの終了後に、表示部14に表示される。表示部14は、操作部13によって受け付けられた操作入力(選択結果)の一覧を、例えば、メイン選択肢と第1サブ選択肢と第2サブ選択肢と各評価点数とのリスト形式で表示する。表示部14は、操作入力(選択結果)を時系列で表示してもよい。また、表示部14は、ユーザに与えられた各評価点数の合計点「Score」を表示してもよい。
【0088】
以上のように、検知部161は、患者に施す医療行為の選択肢の選択状況を検知する。判定部162は、検知された選択状況が正解であるか否かを判定する。制御部163(実行部)は、検知された選択状況と、予め定められたシナリオとに基づいて、患者の生体情報のシミュレーションを実行する。制御部163は、検知された選択状況が正解でないと判定された場合には、生体情報のシミュレーションの実行を中断させる。制御部163は、選択状況の正解を教示するコメントを、オーベンからのコメントとして、ユーザに通知してもよい。表示部14は、選択状況と生体情報とコメントとのうちの少なくとも一つを表示する。
【0089】
たとえシミュレーションであるとしても、患者を危険な状態にすべきではない。この点について、選択肢の選択状況が正解でないと判定された場合にはシミュレーション装置1がシミュレーションの実行を中断するので、気軽なゲーム感覚でユーザがシミュレーション装置1を操作することがない。また、シミュレーション装置1は、選択肢の正解(オーベンからのコメント)をユーザに教示した上で、シミュレーションの実行を再開する。これによって、医療行為の実習の効率を向上させることが可能である。
【0090】
検知部161は、医療行為の手順を問うテキストが表示部14に表示されていない場合に選択肢が選択されたか否かを検知してもよい。すなわち、検知部161は、医療行為の手順を問うテキストが表示部14に表示されているか否かを、選択肢が選択された際に判定してもよい。評価部164は、医療行為の手順を問うテキストが表示部14に表示されていない場合に選択肢が選択されたことが検知部161によって検知され、且つ、検知された選択状況が正解であると判定部162によって判定された場合、予め定められた高い評価点数をユーザに与えてもよい。
【0091】
(第2実施形態)
第2実施形態では、ユーザが自ら求めなければ、生体情報及び患者情報(採血結果等)等をユーザが得ることができないという点が、第1実施形態との差分である。第2実施形態では、第1実施形態との差分を中心に説明する。
【0092】
図15は、第2実施形態における、シミュレーション開始前のシミュレーション画像の表示例を示す図である。難易度表示領域22は、麻酔シミュレーションの実習の難易度が表示される領域である。第2実施形態では、ユーザが自ら求めなければ、生体情報及び患者情報等をユーザが得ることができない。このため、第2実施形態における麻酔シミュレーションの実習の難易度は、第1実施形態における麻酔シミュレーションの実習の難易度よりも高い。
【0093】
図16は、第2実施形態における、第3シミュレーション画像の表示例を示す図である。生体情報表示領域30は、選択用チェックボックス301と、選択用チェックボックス302と、選択用チェックボックス303とを含む。選択用チェックボックス301は、心拍数と、心拍波形とを表示させるためのチェックボックスである。選択用チェックボックス302は、経皮的動脈血酸素飽和度と、経皮的動脈血酸素飽和度の波形とを表示させるためのチェックボックスである。選択用チェックボックス303は、血圧値と、血圧値の波形とを表示させるためのチェックボックスである。
【0094】
図16では、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO)が、番号「3」のシーンにおける「生体情報」のシナリオに基づいて、所定の上昇率で「100」まで上昇する。また、経皮的動脈血酸素飽和度の波形が、飽和度の上昇に応じて変化する。しかし第2実施形態では、経皮的動脈血酸素飽和度を表示させることにユーザが気付き、表示させるための操作(例えば、チェックボックスにチェックを入れる操作)をユーザ自身が行わなければ、経皮的動脈血酸素飽和度は表示されない。なお、一定時間が経過した場合、テキスト「(前酸素化により…伏字…が上昇したかな?)」のように伏字を含むテキストが、ヒントとしてテキスト表示領域60に表示されてもよい。
【0095】
ユーザは、生体情報に対応付けられたチェックボックスを用いて、その生体情報の表示及び非表示を切り替える。図16では、ユーザは、操作部13を操作することによって、選択用チェックボックス302にチェックを入れる。表示部14は、制御部163による制御に基づいて、選択用チェックボックス302の数値及び波形を、生体情報表示領域30に表示する。
【0096】
以上のように、表示部14は、ユーザによる操作に基づいて、所定の情報(生体情報等)の表示及び非表示を切り替える。これによって、医療行為の実習の効率を更に向上させることが可能である。
【0097】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1…シミュレーション装置、11…通信部、12…記憶装置、13…操作部、14…表示部、15…音声出力部、16…実行部、21…氏名表示領域、22…難易度表示領域、23…情報表示領域、24…開始操作キー画像、30…生体情報表示領域、40…選択肢表示領域、50…画像表示領域、60…テキスト表示領域、70…操作キー表示領域、161…検知部、162…判定部、163…制御部、164…評価部、301…選択用チェックボックス、302…選択用チェックボックス、303…選択用チェックボックス、401…麻酔器選択用画像、402…患者情報表示用画像、403…気道選択用画像、404…細胞外液選択用画像、405…薬剤選択用画像、406…第1サブ選択用画像、407…第2サブ選択用画像、601…時間経過表示用画像、701…開始操作用画像、702…決定操作用画像、703…一時停止用画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16