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特開2024-168061ツールチェンジャー及び光学式測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168061
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ツールチェンジャー及び光学式測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20241128BHJP
   G02B 6/38 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G01B11/24 B
G02B6/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084454
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000240477
【氏名又は名称】Orbray株式会社
(72)【発明者】
【氏名】溝江 健一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 大志
【テーマコード(参考)】
2F065
2H036
【Fターム(参考)】
2F065AA27
2F065BB08
2F065FF41
2F065LL02
2F065PP22
2F065PP25
2F065UU03
2H036QA03
2H036QA14
2H036QA43
2H036QA44
(57)【要約】
【課題】作業者の負担を抑えて光学測定ツールを交換することができるツールチェンジャーと、そのようなツールチェンジャーを備えた光学式測定装置と、を提供する。
【解決手段】ツールチェンジャー1aが、複数種類の光学測定ツール111と一対一に対応するように複数設けられたツールユニット11と、複数のツールユニット11から変更可能に選択される一のツールユニット11を測定対象まで運ぶ運搬機構1bに取り付けられてツールユニット11を着脱可能に保持するマスターユニット12と、を備える。ツールユニット11にはツール側光コネクタが設けられ、マスターユニット12には、当該マスターユニット12がツールユニット11を保持することで、当該ツールユニット11のツール側光コネクタと着脱可能に接続するマスター側光コネクタが設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学測定ツールが固定され、所定の制御装置と前記光学測定ツールとの間における通信をツール側で中継するユニットであって、複数種類の前記光学測定ツールと一対一に対応するように複数設けられたツールユニットと、
複数の前記ツールユニットから変更可能に選択される一の前記ツールユニットを着脱可能に保持するとともに、前記通信を前記制御装置側で中継するマスターユニットと、を備え、
前記ツールユニットには、前記光学測定ツールから延びる前記通信のための光ファイバーの端部に接続されたツール側光コネクタが設けられ、
前記マスターユニットには、前記制御装置から延びる前記通信のための光ファイバーの端部に接続されるとともに、前記マスターユニットが前記ツールユニットを保持することで、当該ツールユニットの前記ツール側光コネクタと着脱可能に接続するマスター側光コネクタが設けられていることを特徴とするツールチェンジャー。
【請求項2】
前記ツール側光コネクタ及び前記マスター側光コネクタそれぞれが、光ファイバーの端部を保持する棒状のフェルールを備え、
前記ツール側光コネクタ及び前記マスター側光コネクタのうちの一方のコネクタが、前記フェルールの先端部を内側に収める筒状のスリーブを備え、
前記ツール側光コネクタと前記マスター側光コネクタとの接続時には、前記一方のコネクタにおける前記スリーブが他方のコネクタにおける前記フェルールの先端部を内側に受入れるとともに、前記一方のコネクタにおける前記フェルールの先端部に接触させることを特徴とする請求項1に記載のツールチェンジャー。
【請求項3】
前記ツール側光コネクタ及び前記マスター側光コネクタそれぞれが、前記フェルールを相手方コネクタに向かって付勢するバネを備えていることを特徴とする請求項2に記載のツールチェンジャー。
【請求項4】
前記ツールユニットを測定対象まで運ぶ運搬機構を備え、前記マスターユニットは、前記運搬機構に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のツールチェンジャー。
【請求項5】
前記マスターユニットは、前記ツールユニットに連結するマスター側連結部と前記運搬機構との間に介在し、前記ツール側光コネクタに対する前記マスター側光コネクタの接続方向との直交面の面内方向について移動可能となるように前記マスター側連結部を前記運搬機構に連結するフローティング連結機構を備えていることを特徴とする請求項4に記載のツールチェンジャー。
【請求項6】
請求項1~5のうち何れか一項に記載のツールチェンジャーと、
前記制御装置と、を備え、
前記制御装置が、複数の前記ツールユニットから前記測定対象に対応する一の前記ツールユニットに固定された前記光学測定ツールによって、前記測定対象に対する光学測定を行わせることを特徴とする光学式測定装置。
【請求項7】
前記運搬機構を備え、
前記制御装置が、複数の前記ツールユニットから前記測定対象に対応する一の前記ツールユニットを前記マスターユニットに保持させて前記運搬機構に当該ツールユニットを前記測定対象まで運ばせるとともに、当該測定対象に対する光学測定を前記光学測定ツールに行わせることを特徴とする請求項6に記載の光学式測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式測定装置に用いるツールチェンジャーと、そのようなツールチェンジャーを備えた光学式測定装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車用エンジンのシリンダにおける筒状の穴等を測定対象として穴径の測定等といった光学測定を行う光学式測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この光学式測定装置では、光学測定が、測定対象における穴径等といった種類に対応した光学測定ツールを用いて行われる。そして、測定対象が別種のものに変更される場合には、光学測定ツールが、変更後の測定対象の種類に対応したものと交換されて光学測定が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6232550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記の光学測定装置では、光学測定ツールの交換が作業者の手作業によって行われる。このような手作業によるツール交換は、工数が掛かる上に、交換作業にある程度の習熟度を必要とすることから作業者にとって負担となりがちである。
【0005】
従って、本発明は、上記のような事情に着目し、作業者の負担を抑えて光学測定ツールを交換することができるツールチェンジャーと、そのようなツールチェンジャーを備えた光学式測定装置と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、ツールチェンジャーは、光学測定ツールが固定され、所定の制御装置と前記光学測定ツールとの間における通信をツール側で中継するユニットであって、複数種類の前記光学測定ツールと一対一に対応するように複数設けられたツールユニットと、複数の前記ツールユニットから変更可能に選択される一の前記ツールユニットを着脱可能に保持するとともに、前記通信を前記制御装置側で中継するマスターユニットと、を備え、前記ツールユニットには、前記光学測定ツールから延びる前記通信のための光ファイバーの端部に接続されたツール側光コネクタが設けられ、前記マスターユニットには、前記制御装置から延びる前記通信のための光ファイバーの端部に接続されるとともに、前記マスターユニットが前記ツールユニットを保持することで、当該ツールユニットの前記ツール側光コネクタと着脱可能に接続するマスター側光コネクタが設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記のツールチェンジャーによれば、マスターユニットに保持されるツールユニットを手動又は自動で脱着することで光学測定ツールを交換することができる。このとき、ツールユニットにツール側光コネクタが設けられ、マスターユニットには、ツールユニットの保持によりツール側光コネクタに接続するマスター側光コネクタが設けられている。この構成によれば、光ファイバーのコネクタ接続を作業者が完全な手作業で行いつつ光学測定ツールを交換することに比べて工数が少なくて済み、また、作業に要求される習熟度も低減される。このように、上記のツールチェンジャーによれば、作業者の負担を抑えて光学測定ツールを交換することができる。
【0008】
ここで、前記ツール側光コネクタ及び前記マスター側光コネクタそれぞれが、光ファイバーの端部を保持する棒状のフェルールを備え、前記ツール側光コネクタ及び前記マスター側光コネクタのうちの一方のコネクタが、前記フェルールの先端部を内側に収める筒状のスリーブを備え、前記ツール側光コネクタと前記マスター側光コネクタとの接続時には、前記一方のコネクタにおける前記スリーブが他方のコネクタにおける前記フェルールの先端部を内側に受入れるとともに、前記一方のコネクタにおける前記フェルールの先端部に接触させることが好適である。
【0009】
この構成によれば、ツール側光コネクタとマスター側光コネクタとの接続が、スリーブの内部におけるフェルールの先端部どうしの接触によって行われる。即ち、フェルールの先端部どうしがスリーブによって案内されて接触するので、光ファイバーのコネクタ接続を高精度に位置決めされた状態で行うことができる。
【0010】
また、前記ツール側光コネクタ及び前記マスター側光コネクタそれぞれが、前記フェルールを相手方コネクタに向かって付勢するバネを備えていることが好適である。
【0011】
この構成によれば、フェルールの先端部どうしの接触が、バネ付勢によって密着度の高い状態で行われるので、低損失及び低反射で光ファイバーのコネクタ接続を行うことができる。
【0012】
また、前記ツールユニットを測定対象まで運ぶ運搬機構を備え、前記マスターユニットは、前記運搬機構に取り付けられていることが好適である。
【0013】
この構成によれば、ツールユニットを測定対象まで容易に移動することができるので、作業者の負担を更に抑えることができる。
【0014】
また、前記マスターユニットは、前記ツールユニットに連結するマスター側連結部と前記運搬機構との間に介在し、前記ツール側光コネクタに対する前記マスター側光コネクタの接続方向との直交面の面内方向について移動可能となるように前記マスター側連結部を前記運搬機構に連結するフローティング連結機構を備えていることが好適である。
【0015】
この構成によれば、フローティング連結機構を介し、マスター側光コネクタが、ツール側光コネクタに対して、コネクタ接続方向との直交面の面内方向について移動可能となる。これにより、マスター側光コネクタをツール側光コネクタに対して上記の面内方向について精密に位置合わせしながら接続させることができるので、光ファイバーのコネクタ接続における位置決め精度を向上させることができる。
【0016】
また、上記課題を解決するために、光学式測定装置は、上述のツールチェンジャーと、前記制御装置と、を備え、前記制御装置が、複数の前記ツールユニットから前記測定対象に対応する一の前記ツールユニットに固定された前記光学測定ツールによって、前記測定対象に対する光学測定を行わせることを特徴とする。
【0017】
上記の光学式測定装置によれば、上述のツールチェンジャーを備えていることから作業者の負担を抑えて光学測定ツールを交換することができる。そして、測定対象に対応するツールユニットのマスターユニットによる保持や、光学測定ツールによる光学測定が、制御装置による制御の下で行われるので、作業者の負担を更に抑えることができる。
【0018】
また、光学式測定装置は、前記運搬機構を備え、前記制御装置が、複数の前記ツールユニットから前記測定対象に対応する一の前記ツールユニットを前記マスターユニットに保持させて前記運搬機構に当該ツールユニットを前記測定対象まで運ばせるとともに、当該測定対象に対する光学測定を前記光学測定ツールに行わせることが好適である。
【0019】
この構成によれば、運搬機構による測定対象までの運搬も、制御装置による制御の下で行われるので、作業者の負担を更に抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
上記のツールチェンジャー及び光学式測定装置によれば、作業者の負担を抑えて光学測定ツールを交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態にかかる光学式測定装置を示す図である。
図2図1に示されているツールチェンジャーが備えるツールユニットを示す三面図である。
図3図1に示されているツールチェンジャーが備えるマスターユニットを示す三面図である。
図4図2及び図3に示されているツール側光コネクタ及びマスター側光コネクタの各断面図を拡大して示した図である。
図5図4に示されているツール側光コネクタ及びマスター側光コネクタの分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、ツールチェンジャー及び光学式測定装置の一実施形態について説明する。
【0023】
図1は、一実施形態にかかる光学式測定装置を示す図である。
【0024】
この図1に示されている光学式測定装置1は、各種製品W1における筒状の穴等を測定対象W11として穴径の測定等といった光学測定を行う装置であり、ツールチェンジャー1aと、運搬機構1bと、制御装置1cと、を備えている。
【0025】
ツールチェンジャー1aは、想定される測定対象W11の種類が互いに異なる複数種類の光学測定ツール111の中から測定対象W11に対応する一の光学測定ツール111を選択して光学測定に供する装置である。本実施形態では、光学測定ツール111が棒状のツールとなっている。そして、測定可能な穴径が互いに異なるように、互いに太さが異なる複数種類(図1の図示例では3種類)の光学測定ツール111が用意されている。このような光学測定ツール111を交換可能なツールチェンジャー1aは、ツールユニット11と、マスターユニット12と、を備えている。このツールチェンジャー1aについては、後で別図も参照しながら詳細に説明する。
【0026】
運搬機構1bは、光学測定ツール111の交換時におけるマスターユニット12の運搬や、光学測定を行う際のツールチェンジャー1aを介した光学測定ツール111の運搬を行う機構である。本実施形態では、運搬機構1bは、先端にマスターユニット12が固定された多関節ロボットアームとなっている。
【0027】
制御装置1cは、ツールチェンジャー1a及び運搬機構1bを制御する装置である。この制御装置1cは、まず、ツールチェンジャー1a及び運搬機構1bを制御して、測定対象W1に対応する一の光学測定ツール111を光学測定に供させる。そして、制御装置1cは、光学測定ツール111を制御して、測定対象W1に対する光学測定を行わせる。
【0028】
以上で、本実施形態の光学式測定装置1についての概要説明を終了し、次に、この光学式測定装置1が備えるツールチェンジャー1aについて説明を行う。
【0029】
図2は、図1に示されているツールチェンジャーが備えるツールユニットを示す三面図であり、図3は、図1に示されているツールチェンジャーが備えるマスターユニットを示す三面図である。ここで、図2では、ツールユニット11の側面図が、このツールユニット11に設けられるツール側光コネクタ115の断面図が重ねられた状態で示されている。また、図3では、マスターユニット12の側面図が、このマスターユニット12に設けられるマスター側光コネクタ125の断面図が重ねられた状態で示されている。尚、図3には、マスターユニット12が、図1とは左右反転した状態で示されている。
【0030】
ツールユニット11は、光学測定ツール111が固定され、制御装置1cと光学測定ツール111との間における通信をツール側で中継するユニットである。このツールユニット11は、上述の複数種類の光学測定ツール111と一対一に対応するように複数設けられている。各ツールユニット11は、光学測定ツール111と、ツール側連結部112と、ツール側コネクタ保持部113と、ツール側電気コネクタ114と、ツール側光コネクタ115と、を備えている。
【0031】
光学測定ツール111は、測定対象W11の穴径に対応した太さを有する棒状のツールであり、測定対象W11の穴に差し入れられて穴径等について光学測定を行う。
【0032】
ツール側連結部112は、マスターユニット12を向いた一面側にマスターユニット12が連結される円板状のツール側台座112aが設けられている。このツール側台座112aの中央には、マスターユニット12が連結するための円形窪み状の連結受け部112bが設けられている。更に、ツール側台座112aでは、長方形板状のツール側連結部112の短辺方向について連結受け部112bを挟む位置に、マスターユニット12との連結をガイドするための一対の連結ガイド孔112cが設けられている。そして、ツール側連結部112におけるツール側台座112aと反対側に光学測定ツール111が固定されている。
【0033】
ツール側コネクタ保持部113は、ツール側連結部112から、円板状のツール側台座112aの径方向へと延出した部位である。ツール側コネクタ保持部113には、2つのツール側電気コネクタ114と1つのツール側光コネクタ115が取り付けられる。ツール側コネクタ保持部113の中央には矩形ブロック状のツール側光コネクタ台座113aが設けられている。このツール側光コネクタ台座113aの中央であって、ツール側連結部112の連結受け部112b及び一対の連結ガイド孔112cと横並びとなる位置に、厚み方向に貫通するように1つのツール側光コネクタ115が取り付けられる。そして、ツール側コネクタ保持部113において、連結受け部112b、連結ガイド孔112c、及びツール側光コネクタ115の配列方向に対する直交方向にツール側光コネクタ台座113aを挟むように2つのツール側電気コネクタ114が取り付けられる。また、ツール側光コネクタ台座113aには、上記の配列方向について、ツール側光コネクタ115を挟む位置に各コネクタ接続をガイドするための一対の接続ガイド孔113bが設けられている。
【0034】
ツール側電気コネクタ114は、ツールユニット11がマスターユニット12に保持されるとマスター側電気コネクタ124に接続されるとともに、電気ケーブルを介して光学測定ツール111に接続される。ツール側電気コネクタ114においてマスターユニット12を向いた側がマスター側電気コネクタ124との接続部となっており、ツール側光コネクタ台座113aとの反対側が光学測定ツール111からの電気ケーブルとの接続部となっている。
【0035】
ツール側光コネクタ115は、光学測定ツール111から延びる通信のための光ファイバーの端部に接続された光コネクタである。ツール側光コネクタ115においてマスターユニット12を向いた側がマスター側光コネクタ125との接続部となっている。そして、ツール側コネクタ保持部113におけるマスターユニット12とは反対側から、ツール側光コネクタ115に接続された光ファイバーが光学測定ツール111へと延出している。
【0036】
マスターユニット12は、複数のツールユニット11から変更可能に選択される一のツールユニット11を着脱可能に保持するとともに、制御装置1cとの通信を制御装置1c側で中継するユニットである。マスターユニット12は、上記の運搬機構1bに取り付けられる。マスターユニット12は、マスター側連結部121と、フローティング連結機構122と、マスター側コネクタ保持部123と、マスター側電気コネクタ124と、マスター側光コネクタ125と、を備えている。
【0037】
マスター側連結部121は、ツールユニット11におけるツール側連結部112と連結する円柱状のマスター側連結機構121aと、フローティング連結機構122が設けられるマスター側連結台座121bと、を備えている。マスター側連結機構121aの中央部からはツールユニット11に向かって連結凸部121cが突出している。この連結凸部122cがツール側連結部112における連結受け部112bに嵌入して所定のロック機構を介してロックされることでマスター側連結部121がツール側連結部112に連結する。また、このマスター側連結部121には、連結凸部121cを径方向に挟むように一対の連結ガイドピン121dが設けられており、ツールユニット11との連結時には、連結ガイドピン121dが、ツール側台座112aの連結ガイド孔112cに嵌入する。
【0038】
フローティング連結機構122は、マスター側連結部121と運搬機構1bとの間に介在して配置される円板状の部位である。このフローティング連結機構122は、ツール側光コネクタ115に対するマスター側光コネクタ125の接続方向D11との直交面の面内方向D12について移動可能となるようにマスター側連結部121を運搬機構1bに連結する。このフローティング連結機構122は、ツールユニット11との連結時には、連結凸部121c及び各ガイドピンがツールユニット11における連結受け部112b及び各ガイド孔に嵌入した状態で、連結凸部121cとともにロック機構によってロックされる。
【0039】
マスター側コネクタ保持部123は、マスター側連結部121から、円柱状のマスター側台座121aの径方向へと延出した部位である。マスター側コネクタ保持部123には、2つのマスター側電気コネクタ124と1つのマスター側光コネクタ125が取り付けられる。マスター側コネクタ保持部123の中央には、マスター側連結部121の連結凸部121c及び一対の連結ガイドピン121dと横並びとなる位置に、厚み方向に貫通するように1つのマスター側光コネクタ125が取り付けられる。そして、マスター側コネクタ保持部123において、連結凸部121c、連結ガイドピン121d、及びマスター側光コネクタ125の配列方向に対する直交方向にマスター側コネクタ保持部123を挟むように2つのマスター側電気コネクタ124が取り付けられる。また、マスター側コネクタ保持部123には、上記の配列方向について、マスター側光コネクタ125を挟む位置に各コネクタ接続をガイドするための一対の接続ガイドピン123aが設けられている。
【0040】
マスター側電気コネクタ124は、ツールユニット11がマスターユニット12に保持されるとツール側電気コネクタ114に接続されるとともに、電気ケーブルを介して制御装置1cに接続される。マスター側電気コネクタ124においてツールユニット11を向いた側がツール側電気コネクタ114との接続部となっており、マスター側コネクタ保持部123との反対側が制御装置1cからの電気ケーブルとの接続部となっている。
【0041】
マスター側光コネクタ125は、制御装置1cから延びる通信のための光ファイバーの端部に接続された光コネクタである。マスター側光コネクタ125においてツールユニット11を向いた側がツール側光コネクタ115との接続部となっている。そして、マスター側コネクタ保持部123におけるツールユニット11とは反対側から、マスター側光コネクタ125に接続された光ファイバーが制御装置1cへと延出している。
【0042】
次に、図2及び図3に示されているツール側光コネクタ115及びマスター側光コネクタ125について説明する。
【0043】
図4は、図2及び図3に示されているツール側光コネクタ及びマスター側光コネクタの各断面図を拡大して示した図であり、図5は、図4に示されているツール側光コネクタ及びマスター側光コネクタの分解断面図である。
【0044】
ツール側光コネクタ115は、上述のようにツールユニット11に設けられる光コネクタであり、光学測定ツール111から延びるツール側光ファイバーF11の端部に接続されている。このツール側光コネクタ115は、ツール側コネクタボディ115a、ツール側アダプタ115b、ツール側フェルール115c、及びツール側バネ115dを備えている。
【0045】
ツール側コネクタボディ115aは、ツールユニット11からの突出端部からツール側光ファイバーF11を延出させるように、当該ツール側光ファイバーF11の端部を収容する筒状の部位である。ツール側アダプタ115bは、ツール側コネクタボディ115aにおけるツール側光ファイバーF11の延出側とは反対側を収容する筒状の部位であり、ツールユニット11におけるツール側光コネクタ台座113aに固定される。ツール側アダプタ115bは、筒状部115b-1及びフランジ部115b-2を有している。筒状部115b-1は、ツール側光ファイバーF11の端部を収容するとともに、ツール側光コネクタ台座113aのネジ孔に螺合するネジ山が周面に形成された筒状の部位である。フランジ部115b-2は、この筒状部115bの開口から延出した部位である。ツール側アダプタ115bの内側には、ツール側フェルール115cの先端部分が収められる。ツール側フェルール115cは、ツール側光ファイバーF11の端部を保持する棒状の部位である。ツール側バネ115dは、ツール側コネクタボディ115aに収められ、ツール側フェルール115cを相手方コネクタであるマスター側光コネクタ125に向かって付勢する圧縮コイルバネである。
【0046】
マスター側光コネクタ125は、上述のようにマスターユニット12に設けられる光コネクタであり、制御装置1cから延びるマスター側光ファイバーF12の端部に接続されている。このマスター側光コネクタ125は、マスター側コネクタボディ125a、マスター側アダプタ125b、マスター側フェルール125c、マスター側バネ125d、及びスリーブ125eを備えている。
【0047】
マスター側コネクタボディ125aは、マスターユニット12からの突出端部からマスター側光ファイバーF12を延出させるように、当該マスター側光ファイバーF12の端部を収容する筒状の部位である。マスター側アダプタ125bは、マスター側コネクタボディ125aにおけるマスター側光ファイバーF12の延出側とは反対側を収容する筒状の部位であり、マスターユニット12におけるマスター側コネクタ保持部123に固定される。マスター側アダプタ125bは、ツール側アダプタ115bと同様の筒状部125b-1及びフランジ部125b-2を有している。マスター側アダプタ125bの内側には、マスター側フェルール125cの先端部分がスリーブ125eとともに収められる。マスター側フェルール125cは、マスター側光ファイバーF12の端部を保持する棒状の部位である。マスター側バネ125dは、マスター側コネクタボディ125aに収められ、マスター側フェルール125cを相手方コネクタであるツール側光コネクタ115に向かって付勢する圧縮コイルバネである。スリーブ125eは、マスター側フェルール125cの先端部を内側に収めた状態でマスター側アダプタ125bの内側に収められる筒状の部材である。ここで、マスター側フェルール125cは、その先端がスリーブ125eの半ばに位置するように収められ、マスター側フェルール125cが位置していない空洞状の先端部がマスター側アダプタ125bから外部に突出している。そして、図3に示されているように、マスター側光コネクタ125がマスター側コネクタ保持部123に取り付けられると、スリーブ125eにおける空洞状の先端部がツールユニット11に向かって突出した状態となる。
【0048】
ツールユニット11とマスターユニット12とが連結すると、次のようにツール側光コネクタ115とマスター側光コネクタ125とが接続する。即ち、ユニット連結時には、マスター側光コネクタ125から突出するスリーブ125eの先端部がツール側光コネクタ115におけるツール側アダプタ115bの内面とツール側フェルール115cの外面との間に進入する。スリーブ125eは、このような進入によって空洞状の先端部の内側にツール側フェルール115cの先端部を内側に受入れる。ここで、ツール側フェルール115c及びマスター側フェルール125cは、両方とも相手方コネクタに向かってバネ付勢されている。コネクタ接続時には、ツール側フェルール115c及びマスター側フェルール125cがスリーブ125eによって案内されつつ、互いにバネ付勢によって押し合いながら先端部どうしが密着して接触する。これにより、各フェルールの内部の光ファイバーの先端面どうしが接触することで、ツール側光コネクタ115とマスター側光コネクタ125とが接続する。
【0049】
以上に説明した実施形態のツールチェンジャー1a及び光学式測定装置1によれば、以下の効果を奏することができる。即ち、本実施形態によれば、マスターユニット12に保持されるツールユニット11を交換することで光学測定ツール111を交換することができる。このとき、ツールユニット11にツール側光コネクタ115が設けられ、マスターユニット12には、ツールユニット11の保持によりツール側光コネクタ115に接続するマスター側光コネクタ125が設けられている。この構成によれば、光ファイバーのコネクタ接続を作業者が手作業で行いつつ光学測定ツール111を交換することに比べて工数が少なくて済み、また、作業に要求される習熟度も低減される。このように、本実施形態によれば、作業者の負担を抑えて光学測定ツール111を交換することができる。
【0050】
ここで、本実施形態では、ツール側光コネクタ115がツール側フェルール115cを備え、マスター側光コネクタ125がマスター側フェルール125cを備えている。また、マスター側光コネクタ125がスリーブ125eを備え、コネクタ接続時には、このスリーブ125eがツール側フェルール115cの先端部を内側に受入れるとともに、マスター側フェルール125cの先端部に接触させる。この構成によれば、ツール側光コネクタ115とマスター側光コネクタ125との接続が、スリーブ125eの内部におけるフェルールの先端部どうしの接触によって行われる。即ち、フェルールの先端部どうしがスリーブ125eによって案内されて接触するので、光ファイバーのコネクタ接続を高精度に位置決めされた状態で行うことができる。
【0051】
また、本実施形態では、ツール側光コネクタ115が、ツール側フェルール115cをマスター側光コネクタ125に向かって付勢するツール側バネ115dを備えている。そして、マスター側光コネクタ125が、マスター側フェルール125cをツール側光コネクタ115に向かって付勢するマスター側バネ125dを備えている。この構成によれば、フェルールの先端部どうしの接触が、バネ付勢によって密着度の高い状態で行われるので、低損失及び低反射で光ファイバーのコネクタ接続を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態では、マスターユニット12がフローティング連結機構122を備えている。フローティング連結機構122は、ツール側光コネクタ115に対するマスター側光コネクタ125の接続方向D11との直交面の面内方向D12について移動可能となるようにマスター側連結部121を運搬機構1bに連結する。この構成によれば、フローティング連結機構122を介し、マスター側光コネクタ125が、ツール側光コネクタ115に対して上記の面内方向D12について移動可能となる。これにより、マスター側光コネクタ125をツール側光コネクタ115に対して上記の面内方向D12について精密に位置合わせしながら接続させることができるので、光ファイバーのコネクタ接続における位置決め精度を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態の光学式測定装置1によれば、測定対象W1に対応するツールユニット11のマスターユニット12による保持や、運搬機構1cによる運搬や、光学測定ツール111による光学測定が、制御装置1cによる制御の下で行われる。これにより、作業者の負担を更に抑えることができる。
【0054】
尚、以上に説明した実施形態はツールチェンジャー及び光学測定装置の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、ツールチェンジャー及び光学測定装置は種々変形して実施することができる。
【0055】
例えば、上述した実施形態では、ツールチェンジャー及び光学測定装置の一例として、3種類の光学測定ツール111と一対一に対応する3つのツールユニット11を備えたツールチェンジャー1a及び光学式測定装置1が例示されている。しかしながら、ツールチェンジャー及び光学測定装置は、これに限るものではなく、光学測定ツールの種類の数、これに応じたツールユニットの数は、任意に設定し得るものである。
【0056】
また、上述した実施形態では、光学測定ツールの一例として、各種製品W1における筒状の穴等を測定対象W11とし、その中に差し入れられて穴径の測定等といった光学測定を行う棒状の光学測定ツール111が例示されている。そして、複数のツールユニットの一例として、互いに太さが異なる複数種類の光学測定ツール111と一対一に対応する複数のツールユニット11が例示されている。しかしながら、光学測定ツール及びツールユニットはこれに限るものではない。光学測定ツールは、光学測定を行うものであれば、具体的な測定対象の形状やツール形状は、これを問うものではない。また、複数のツールユニットにおける光学測定ツールの種類の相違も、太さの相違に限るものではなく、任意の相違態様を採用し得るものである。
【0057】
また、上述した実施形態では、運搬機構の一例として、多関節ロボットアームである運搬機構1bが例示されている。しかしながら、運搬機構は、これに限るものではなく、例えば各種クレーン機構等といったロボットアーム以外の機構であってもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、スリーブの一例として、マスター側光コネクタ125に備えられ、コネクタ接続時にツール側フェルール115cの先端部を内側に受入れてマスター側フェルール125cの先端部に接触させるスリーブ125eが例示されている。しかしながら、スリーブはこれに限るものではない。スリーブは、ツール側光コネクタ及びマスター側光コネクタのうちの一方のコネクタに備えられ、他方のコネクタのフェルールの先端部を内側に受入れるとともに、上記の一方のコネクタのフェルールの先端部に接触させるものであればよい。即ち、スリーブは、上述の実施形態とは逆に、ツール側光コネクタに備えられ、コネクタ接続時にマスター側のフェルールの先端部を内側に受入れてツール側のフェルールの先端部に接触させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 光学式測定装置
1a ツールチェンジャー
1b 運搬機構
1c 制御装置
11 ツールユニット
12 マスターユニット
111 光学測定ツール
112 ツール側連結部
112a ツール側台座
112b 連結受け部
112c 連結ガイド孔
113 ツール側コネクタ保持部
113a ツール側光コネクタ台座
113b 接続ガイド孔
114 ツール側電気コネクタ
115 ツール側光コネクタ
115a ツール側コネクタボディ
115b ツール側アダプタ
115b-1,125b-1 筒状部
115b-2,125b-2 フランジ部
115c ツール側フェルール
115d ツール側バネ
121 マスター側連結部
121a マスター側連結機構
121b マスター側連結台座
121c 連結凸部
121d 連結ガイドピン
122 フローティング連結機構
123 マスター側コネクタ保持部
123a 接続ガイドピン
124 マスター側電気コネクタ
125 マスター側光コネクタ
125a マスター側コネクタボディ
125b マスター側アダプタ
125c マスター側フェルール
125d マスター側バネ
125e スリーブ
D11 接続方向
D12 面内方向
F11 ツール側光ファイバー
F12 マスター側光ファイバー
W1 製品
W11 測定対象
図1
図2
図3
図4
図5