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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168064
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】発光装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/18 20210101AFI20241128BHJP
   H01S 5/30 20060101ALI20241128BHJP
   H01S 5/323 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01S5/18
H01S5/30
H01S5/323
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084457
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】望月 理光
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AB50
5F173AB53
5F173AB90
5F173AH06
5F173AH40
5F173AK21
5F173AR23
(57)【要約】
【課題】発光効率を向上させることができる発光装置を提供する。
【解決手段】間接遷移型の半導体で構成される第1半導体部と、間接遷移型の半導体で構成され、前記第1半導体部と異なる導電型を有し、前記第1半導体部とpn接合を形成する第2半導体部と、を有する発光導波層と、前記第2半導体部の前記第1半導体部とは反対側に設けられ、前記pn接合に電流を注入する電極と、少なくとも1つの光学部と、を有し、前記発光導波層は、第1方向に長手方向を有し、前記発光導波層は、前記pn接合において、前記第1半導体部および前記第2半導体部を構成する半導体のバンドギャップエネルギーよりも小さいエネルギーの光を発生させ、かつ、発生された光を前記第1方向に共振させ、前記光学部は、共振された光を前記第1方向と交差する第2方向に出射させる、発光装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間接遷移型の半導体で構成される第1半導体部と、間接遷移型の半導体で構成され、前記第1半導体部と異なる導電型を有し、前記第1半導体部とpn接合を形成する第2半導体部と、を有する発光導波層と、
前記第2半導体部の前記第1半導体部とは反対側に設けられ、前記pn接合に電流を注入する電極と、
少なくとも1つの光学部と、
を有し、
前記発光導波層は、第1方向に長手方向を有し、
前記発光導波層は、前記pn接合において、前記第1半導体部および前記第2半導体部を構成する半導体のバンドギャップエネルギーよりも小さいエネルギーの光を発生させ、かつ、発生された光を前記第1方向に共振させ、
前記光学部は、共振された光を前記第1方向と交差する第2方向に出射させる、発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記電極には、前記第2方向に進行する光を通過させる少なくとも1つの開口部が設けられている、発光装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記開口部に設けられ、前記発光導波層を被覆する被覆層を有する、発光装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記光学部は、前記被覆層に設けられている、発光装置。
【請求項5】
請求項2において、
前記開口部は、前記第1方向に複数設けられ、
前記光学部は、前記第1方向に複数設けられている、発光装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1半導体部は、
第1層と、
前記第1層よりも不純物濃度が低い第2層と、
を有し、
前記第1層は、前記第2層と前記第2半導体部との間に設けられて、前記pn接合を形成する、発光装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記第1半導体部および前記第2半導体部を構成する半導体は、Siであり、
前記発光導波層は、赤外光を発生させる、発光装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記第1半導体部および前記第2半導体部を構成する半導体は、SiCであり、
前記発光導波層は、可視光を発生させる、発光装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記第1半導体部および前記第2半導体部を構成する半導体は、GaPであり、
前記発光導波層は、赤色光を発生させる、発光装置。
【請求項10】
請求項3において、
前記発光導波層は、前記第2半導体部と前記被覆層との間に設けられた第3半導体部を有し、
前記第3半導体部の不純物濃度は、前記第2半導体部の不純物濃度よりも低い、発光装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載された発光装置を有する、プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザーなどの発光装置は、プロジェクターなどの光源として用いられる。
【0003】
例えば特許文献1には、p型およびn型の一方の導電型を有する第1半導体領域と、p型およびn型の他方の導電型を有する第2半導体領域と、第1半導体領域と第2半導体領域との間に位置するpn接合と、pn接合に沿って離散的に分布し、各々が非古典光を出射する複数の発光領域と、を有する半導体構造体を備えた非古典光源装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-40799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような光源装置では、発光効率を向上させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光装置の一態様は、
間接遷移型の半導体で構成される第1半導体部と、間接遷移型の半導体で構成され、前記第1半導体部と異なる導電型を有し、前記第1半導体部とpn接合を形成する第2半導体部と、を有する発光導波層と、
前記第2半導体部の前記第1半導体部とは反対側に設けられ、前記pn接合に電流を注入する電極と、
少なくとも1つの光学部と、
を有し、
前記発光導波層は、第1方向に長手方向を有し、
前記発光導波層は、前記pn接合において、前記第1半導体部および前記第2半導体部を構成する半導体のバンドギャップエネルギーよりも小さいエネルギーの光を発生させ、かつ、発生された光を前記第1方向に共振させ、
前記光学部は、共振された光を前記第1方向と交差する第2方向に出射させる。
【0007】
本発明に係るプロジェクターの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す斜視図。
図2】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
図3】本実施形態に係る発光装置の光学部を模式的に示す図。
図4】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
図5】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す斜視図。
図6】本実施形態の第1変形例に係る発光装置を模式的に示す斜視図。
図7】本実施形態の第2変形例に係る発光装置を模式的に示す斜視図。
図8】本実施形態の第2変形例に係る発光装置を模式的に示す斜視図。
図9】本実施形態に係る光源モジュールを模式的に示す斜視図。
図10】本実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
図11】本実施形態に係るプロジェクターの光出射機構を模式的に示す断面図。
図12】本実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
図13】本実施形態の変形例に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1. 発光装置
1.1. 構成
まず、本実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す図1のII-II線断面図である。なお、図1および図2では、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
【0011】
発光装置100は、図1および図2に示すように、例えば、発光導波層10と、被覆層50と、光学部60と、第1電極70と、第2電極72と、を有している。発光装置100は、例えば、半導体レーザーである。
【0012】
発光導波層10は、図1に示すように、第1方向に長手方向を有している。図示の例では、発光導波層10は、Y軸方向に長手方向を有している。発光導波層10の形状は、例えば、直方体である。発光導波層10は、第1側面12と、第2側面14と、を有している。第1側面12および第2側面14は、Y軸方向における発光導波層10の端面である。図示の例では、第1側面12および第2側面14は、互いに平行である。
【0013】
発光導波層10は、図2に示すように、例えば、第1半導体部20と、第2半導体部30と、第3半導体部40と、を有している。
【0014】
第1半導体部20は、第1側面12から第2側面14まで設けられている。第1半導体部20は、間接遷移型の半導体で構成されている。第1半導体部20の材質は、例えば、Si、SiC、GaP、ZnOなどである。SiCは、4H-SiC、6H-SiCであってもよい。第1半導体部20は、例えば、n型の導電型を有している。第1半導体部20は、例えば、窒素(N)やリン(P)などの不純物がドーピングされた半導体で構成されている。
【0015】
第1半導体部20は、例えば、第1層22と、第2層24と、を有している。
【0016】
第1半導体部20の第1層22は、第2層24と第2半導体部30との間に設けられている。第1層22は、第2半導体部30と接している。
【0017】
第1半導体部20の第2層24は、第1電極70と第1層22との間に設けられている。図示の例では、第2層24は、Z軸方向からみて、第1層22を挟むように設けられている。Z軸方向は、第1半導体部20と第2半導体部30との積層方向である。第2層24の不純物濃度は、第1層22の不純物濃度よりも低い。第2層24の不純物濃度が第1層22の不純物濃度よりも低いことは、例えば、アトムプローブ分析法、不純物濃度と電気抵抗率との関係などによって確認される。不純部濃度や深さは、例えばイオン注入のエ
ネルギーやドーズ量により設計できるため、これらにより設計上においても確認される。
【0018】
第2半導体部30は、第1半導体部20上に設けられている。第2半導体部30は、第1側面12から第2側面14まで設けられている。第2半導体部30は、間接遷移型の半導体で構成されている。第2半導体部30の材質は、例えば、Si、SiC、GaP、ZnOなどである。第2半導体部30は、第1半導体部20と異なる導電型を有している。第2半導体部30は、例えば、p型の導電型を有している。第2半導体部30は、例えば、ボロン(B)やアルミニウム(Al)などの不純物がドーピングされた半導体で構成されている。
【0019】
第2半導体部30は、例えば、第3層32と、第4層34と、を有している。
【0020】
第2半導体部30の第3層32は、第1層22と第3半導体部40との間に設けられている。
【0021】
第2半導体部30の第4層34は、第2層24上および第3層32上に設けられている。第4層34は、Z軸方向からみて、第3半導体部40を囲んでいる。第4層34は、例えば、第2電極72と接している。第4層34の不純物濃度は、第3層32の不純物濃度よりも高くてもよい。第4層34の上面の不純物濃度は、第3層32の不純物濃度よりも高くてもよい。これにより、第2半導体部30と第2電極72との接触抵抗を低減できる。
【0022】
なお、図示の例では、第3層32の下面と、第4層34の下面とは、面一ではないが、第4層34は、第3層32の下面と第4層34の下面とが面一となるように、厚さが大きい部分を有していてもよい。
【0023】
第2半導体部30は、第1半導体部20と接している。図示の例では、第2半導体部30の第3層32は、第1半導体部20の第1層22と接している。第2半導体部30は、第1半導体部20とpn接合25を形成している。図示の例では、第1層22および第3層32は、pn接合25を形成している。
【0024】
第3半導体部40は、第2半導体部30と被覆層50との間に設けられている。図示の例では、第3半導体部40は、第3層32と被覆層50との間に設けられている。第3半導体部40は、第3層32上に設けられている。第3半導体部40は、Z軸方向からみて、第4層34に囲まれている。第3半導体部40は、間接遷移型の半導体で構成されている。第3半導体部40の材質は、例えば、Si、SiC、GaP、ZnOなどである。第3半導体部40の不純物濃度は、第2半導体部30の不純物濃度よりも低い。
【0025】
被覆層50は、発光導波層10を被覆している。被覆層50は、第2半導体部30の第4層34上および第3半導体部40上に設けられている。被覆層50は、第2電極72に形成された開口部74に設けられている。被覆層50の材質は、例えば、SiO、SiN、HfO、Al、Taなどである。被覆層50は、pn接合25で発生された光を透過させる。
【0026】
被覆層50の上面52には、複数の微細な凹凸構造が設けられていてもよい。これにより、被覆層50の上面52での全反射を抑制でき、光の取り出し効率を向上させることができる。なお、被覆層50の下面54にも、複数の微細な凹凸構造が設けられていてもよい。
【0027】
光学部60は、例えば、被覆層50に設けられている。光学部60は、発光導波層10
で共振された光を、第1方向と交差する第2方向に出射させる。第2方向は、例えば、Y軸方向である。なお、第2方向は、Y軸方向に対して傾斜した方向であってもよい。光学部60は、発光導波層10で共振された光を跳ね上げる跳ね上げ部である。
【0028】
光学部60の構成は、発光導波層10で共振された光を第2方向に出射させることができれば、特に限定されない。ここで、図3は、光学部60を模式的に示す図である。光学部60は、図3のAに示すように、被覆層50に形成されたグレーティングであってもよい。グレーティングは、被覆層50の上面52に形成されていてもよいし、下面54に形成されていてもよい。または、光学部60は、図3のBに示すように、2次元フォトニック結晶であってもよい。2次元フォトニック結晶は、被覆層50の上面52に形成されていてもよいし、下面54に形成されていてもよい。または、光学部60は、図3のCに示すように、被覆層50の下面54に設けられた凸部であってもよい。
【0029】
なお、光学部60は、発光導波層10で共振された光を第2方向に出射させることができれば、被覆層50に設けられていなくてもよい。光学部60は、図3のDに示すように、例えば、第3半導体部40に設けられた凹部であってもよい。
【0030】
第1電極70は、図1および図2に示すように、第1半導体部20の下に設けられている。第1半導体部20の第2層24は、第1電極70とオーミックコンタクトしていてもよい。第1電極70は、第1半導体部20と電気的に接続されている。図示の例では、第1電極70は、第2層24を介して、第1層22と電気的に接続されている。第1電極70の材質は、例えば、Ni、Auである。第1電極70は、pn接合25に電流を注入するための一方の電極である。
【0031】
第2電極72は、第2半導体部30上に設けられている。第2電極72は、第2半導体部30の第1半導体部20とは反対側に設けられている。図示の例では、第2電極72は、第4層34上に設けられている。第2電極72は、第2半導体部30と電気的に接続されている。図示の例では、第2電極72は、第4層34を介して、第3層32と電気的に接続されている。第2電極72の材質は、例えば、Alである。第2電極72は、pn接合25に電流を注入するための他方の電極である。
【0032】
第2電極72には、開口部74が設けられている。開口部74は、第2電極72をZ軸方向に貫通している。開口部74は、光学部60によって第2方向に進行する光を通過させる。
【0033】
1.2. 動作
発光装置100では、第1電極70および第2電極72によってpn接合25に順方向電圧が印加されると、第2半導体部30の第3層32におけるボロンなどのドーパント対に、ドレスト光子フォノンが生成される。これにより、pn接合25は、光子を出射する。すなわち、発光導波層10は、pn接合25において、第1半導体部20および第2半導体部30を構成する半導体のバンドギャップエネルギーよりも小さいエネルギーの光を発生させる。第1半導体部20および第2半導体部30を構成する半導体がSiである場合、発光導波層10は、赤外光を発生させる。第1半導体部20および第2半導体部30を構成する半導体がSiCである場合、発光導波層10は、可視光を発生させる。第1半導体部20および第2半導体部30を構成する半導体がGaPである場合、発光導波層10は、赤色光を発生させる。
【0034】
1つのドーパント対から光子が出射されると、出射された光子に誘導されて他のドーパント対からも光子が出射される。そして、誘導放出により、発生された光は、発光導波層10を導波する。導波された光は、発光導波層10の第1側面12と第2側面14との間
で多重反射されて、第1方向において共振されてレーザー発振する。このように、発光導波層10は、発生された光を第1方向において共振させる。共振された光は、光学部60によって、第2方向に出射される。
【0035】
ここで、ドレスト光子は、半導体に存在する電子および正孔対と、光子と、が相互作用した状態を表す仮想光子であると考えられている。ドレスト光子は、例えば、半導体の結晶中の光子振動を表すフォノン、特にコヒーレントフォノンを介して、ドレスト光子フォノンとして存在する。ドレスト光子フォノンが光子とフォノンとに崩壊される場合、光子の運動量は、フォノン分の不確定要素を持つ。そのため、光子の運動量は、フォノンの運動量に相当するほど大きくなる。したがって、間接遷移型の半導体であっても、ドレスト光子フォノンが価電子帯の最高エネルギーと、伝導体の最低エネルギーと、における運動量の差を補償し、間接遷移型の半導体のバンドギャップエネルギーよりも小さいエネルギーの光を出射できる。
【0036】
コヒーレントフォノンは、例えば、半導体にドープされる不純物によって構成されるドーパント対によって安定に存在できる。ドーパント対は、後述するドレスト光子フォノン援用アニール(dressed photon phonon-assisted annealing:DPPアニール)によって形成される。
【0037】
1.3. 作用効果
発光装置100では、発光導波層10は、間接遷移型の半導体で構成される第1半導体部20と、間接遷移型の半導体で構成され、第1半導体部20と異なる導電型を有し、第1半導体部20とpn接合25を形成する第2半導体部30と、を有する。さらに、発光装置100は、第2半導体部30の第1半導体部20とは反対側に設けられ、pn接合25に電流を注入する第2電極72と、少なくとも1つの光学部60と、を有する。発光導波層10は、第1方向に長手方向を有する。発光導波層10は、pn接合25において、第1半導体部20および第2半導体部30を構成する半導体のバンドギャップエネルギーよりも小さいエネルギーの光を発生させ、かつ、発生された光を第1方向に共振させる。光学部60は、共振された光を第1方向と交差する第2方向に出射させる。
【0038】
そのため、発光装置100では、例えば発生された光を第1方向に共振させない場合に比べて、発生された光は、大きな利得を得ることができる。これにより、発光装置100では、発光効率を向上させることができる。
【0039】
発光装置100では、第2電極72には、第2方向に進行する光を通過させる少なくとも1つの開口部74が設けられている。そのため、発光装置100では、例えば開口部が設けられていない場合に比べて、第2電極72による光の損失を低減できる。
【0040】
発光装置100では、開口部74に設けられ、発光導波層10を被覆する被覆層50を有する。そのため、発光装置100では、被覆層50によって発光導波層10を水分などから保護できる。
【0041】
発光装置100では、光学部60は、被覆層50に設けられている。そのため、発光装置100では、例えば光学部が発光導波層に設けられている場合に比べて、発光導波層10を導波する光の光学部60による損失を低減できる。
【0042】
発光装置100では、第1半導体部20は、第1層22と、第1層22よりも不純物濃度が低い第2層24と、を有し、第1層22は、第2層24と第2半導体部30との間に設けられて、pn接合25を形成する。そのため、発光装置100では、例えば第2層の不純物濃度が第1層の不純物濃度以上である場合に比べて、発光導波層10を導波する光
の第2層24による損失を低減できる。半導体では、不純物濃度が高いほど光の損失が大きくなり、特にSiCでは、その傾向が強い。
【0043】
発光装置100では、例えば、第1半導体部20および第2半導体部30を構成する半導体は、Siであり、発光導波層10は、赤外光を発生させる。そのため、発光装置100では、赤外光を出射できる。さらに、Siは、例えばIII-V族化合物半導体に比べて、結晶の品質がよいため、発光導波層10を導波する光の損失を低減できる。
【0044】
発光装置100では、例えば、第1半導体部20および第2半導体部30を構成する半導体は、SiCであり、発光導波層10は、可視光を発生させる。そのため、発光装置100では、可視光を出射できる。したがって、発光装置100は、例えば、プロジェクターの光源として用いられる。
【0045】
発光装置100では、例えば、第1半導体部20および第2半導体部30を構成する半導体は、GaPであり、発光導波層10は、赤色光を発生させる。そのため、発光装置100では、赤色光を出射できる。
【0046】
発光装置100では、発光導波層10は、第2半導体部30と被覆層50との間に設けられた第3半導体部40を有し、第3半導体部40の不純物濃度は、第2半導体部30の不純物濃度よりも低い。そのため、発光装置100では、例えば第3半導体部の不純物濃度が第2半導体部の不純物濃度以上の場合に比べて、第3半導体部40による光の損失を低減できる。
【0047】
2. 発光装置の製造方法
次に、本実施形態に係る発光装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。図5は、本実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す斜視図である。
【0048】
図4に示すように、イオン注入法により、第2層24に不純物をドーピングして、第1層22を形成する。本工程により、第1層22および第2層24を有する第1半導体部20を形成できる。
【0049】
次に、イオン注入法により、第1半導体部20に不純物をドーピングして、第3層32を形成する。次に、イオン注入法により、第1半導体部20に不純物をドーピングして、第4層34を形成する。本工程により、第3層32および第4層34を有する第2半導体部30を形成できる。第4層34に囲まれた領域は、第3半導体部40である。これにより、第1半導体部20、第2半導体部30、および第3半導体部40を有する発光導波層10を形成できる。
【0050】
なお、第1半導体部20、第2半導体部30、および第3半導体部40は、イオン注入法ではなく、MOCVD(Metal Organic chemical Vapor Deposition)法やMBE(molecular beam epitaxy)法による気相成長法によって形成されてもよい。これにより、例えば、u型を有する半導体で第3半導体部40を構成できる。u型を有する半導体は、不純物が意図的にドープされていないアンドープ型の半導体である。第3半導体部40は、真性半導体(intrinsic semiconductor)からなるi型の半導体で構成されていてもよい。また、例えば、第1層22をn型のSiC層とし、第2層24をi型のSi層とすることができる。
【0051】
図2に示すように、発光導波層10の下に、第1電極70を形成する。次に、発光導波層10上に、第2電極72を形成する。次に、第2電極72をパターニングして、開口部
74を形成する。第1電極70および第2電極72は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法などによって形成される。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。なお、第1電極70と第2電極72との形成順序は、特に限定されない。
【0052】
次に、発光導波層10上であって、開口部74に、被覆層50を形成する。被覆層50は、例えば、スパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法によって形成される。
【0053】
次に、被覆層50に、光学部60を形成する。光学部60は、例えば、被覆層50をパターニングすることによって形成される。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。
【0054】
図5に示すように、DPPアニールを行う。発光導波層10のpn接合25に順方向電流を流しながら、発光導波層10に光Lを照射する。光Lの波長は、例えば、発光導波層10で発生させる光の波長と同じである。光Lは、レーザー光であってもよい。温度は、例えば、室温である。
【0055】
DPPアニールによる通電によって、発光導波層10にジュール熱が発生する。発生したジュール熱によって、第2半導体部30においてボロンなどの不純物が熱拡散する。さらに、光Lの照射によって、第2半導体部30の不純物の位置にドレスト光子およびドレスト光子フォノンが生じる。また、順方向電流により生じる反転分布によって、光Lのピークエネルギーに対応するエネルギーの光が誘導放出される。この誘導放出によって第2半導体部30における不純物は、エネルギーを失って、ドーパント対を形成する。ドーパント対は、pn接合25に沿って、自己組織的に分布すると考えられる。
【0056】
図示の例では、発光導波層10は、第1電極70を介して、導電シート2に載置されている。電源4は、第1ワイヤー5および導電シート2を介して、第1電極70と電気的に接続されている。さらに、電源4は、第2ワイヤー6を介して、第2電極72と電気的に接続されている。図示せぬ光源からの光Lは、レンズ8において集光されて、発光導波層10を照射する。DPPアニールにおける通電時間、電流量、光Lの強度は、例えば、電子の数とドレスト光子の数とが、約1対1になるように、適宜調査される。なお、光Lは側面12または14側から照射されてもよい。
【0057】
以上の工程により、発光装置100を製造できる。
【0058】
3. 発光装置の変形例
3.1. 第1変形例
次に、本実施形態の第1変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図6は、本実施形態の第1変形例に係る発光装置200を模式的に示す斜視図である。以下、本実施形態の第1変形例に係る発光装置200において、上述した発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0059】
上述した発光装置100では、図1に示すように、第1電極70および第2電極72は、発光導波層10を挟む両面電極の構造を有していた。
【0060】
これに対し、発光装置200では、図6に示すように、第1電極70および第2電極72は、発光導波層10の一方側のみに設けられた片面電極の構造を有している。第1電極70および第2電極72は、発光導波層10上に設けられている。
【0061】
発光装置200は、例えば、第1絶縁層80と、第2絶縁層82と、を有している。第1絶縁層80および第2絶縁層82の材質は、例えば、SiO、SiNである。第1絶縁層80および第2絶縁層82は、例えば、CVD法によって形成される。
【0062】
第1絶縁層80は、発光導波層10の下に設けられている。第2絶縁層82は、発光導波層10上に設けられている。第2絶縁層82には、例えば、第1溝84および第2溝86が形成されている。図示の例では、第1溝84および第2溝86は、Y軸方向に長手方向を有している。第2半導体部30は、第1溝84に設けられている。第1電極70は、第2溝86に設けられている。第2半導体部30と第1電極70との間に、第2絶縁層82が設けられている。第1溝84および第2溝86は、第2半導体部30をパターニングすることによって形成される。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。
【0063】
第2絶縁層82の屈折率と第2半導体部30の屈折率との差により、発光導波層10には、X軸方向において有効屈折率差が生じる。pn接合25で発生された光は、Z軸方向からみて、発光導波層10の第2半導体部30と重なる領域を、積極的に導波する。
【0064】
第1絶縁層80の屈折率と発光導波層10の屈折率との差、第2絶縁層82の屈折率と発光導波層10の屈折率との差により、発光装置200には、Z軸方向において屈折率差が生じる。pn接合25で発生された光は、発光導波層10を積極的に導波する。
【0065】
第1半導体部20の第2層24は、u型を有する半導体で構成されていてもよい。これにより、発光導波層10を導波する光の第2層24による損失を低減できる。第2層24は、真性半導体からなるi型の半導体で構成されていてもよい。なお、第2層24がn型を有する半導体で構成されている場合、第1層22は、設けられておらず、第1半導体部20は、第2層24のみで構成されていてもよい。なお、u型を有する半導体とは、意図的に不純物がドープされていない半導体である。
【0066】
発光装置200の製造方法では、第1半導体部20の下に、いったん図示せぬ電極を形成してDPPアニールを行い、当該電極を剥がした後に、第1絶縁層80を形成してもよい。第1絶縁層80は、発光導波層10の下面を研磨した後に形成されてもよい。
【0067】
発光装置200では、第2電極72に開口部74が設けられていない。これにより、発光装置200の製造工程の短縮化を図ることができる。第2電極72としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明電極を用いる。ただし、第2電極72による光の吸収を考慮すると、第2電極72には開口部74が設けられていることが好ましい。
【0068】
3.2. 第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図7は、本実施形態の第2変形例に係る発光装置300を模式的に示す斜視図である。以下、本実施形態の第2変形例に係る発光装置300において、上述した発光装置100,200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0069】
上述した発光装置100では、図1に示すように、開口部74は、1つだけ設けられていた。
【0070】
これに対し、発光装置300では、図7に示すように、開口部74は、複数設けられている。
【0071】
開口部74は、発光導波層10の長手方向である第1方向に、複数設けられている。図示の例では、複数の開口部74は、Y軸方向に配列されている。開口部74の数は、特に限定されないが、例えば、100個以上100000個以下、好ましくは1000個以上10000個以下である。発光導波層10のY軸方向の長さは、例えば、10μm以上100mm以下、好ましくは100μm以上70mm以下、より好ましくは1mm以上50mm以下である。第1電極70と第2電極72との間に印加される電圧は、例えば、1W以上1kW以下である。
【0072】
被覆層50は、第1方向に複数設けられている。被覆層50は、開口部74に対応して複数設けられている。図示の例では、複数の被覆層50は、Y軸方向に配列されている。光学部60は、第1方向に複数設けられている。光学部60は、開口部74に対応して複数設けられている。図示の例では、複数の光学部60は、Y軸方向に配列されている。第3半導体部40は、第1方向に複数設けられている。第3半導体部40は、開口部74に対応して複数設けられている。図示の例では、複数の第3半導体部40は、Y軸方向に配列されている。
【0073】
発光装置300は、例えば、第1高反射膜90と、第2高反射膜92と、を有している。
【0074】
第1高反射膜90は、第1側面12に設けられている。第1高反射膜90は、第1側面12を覆っている。第1高反射膜90は、例えば、SiO層、Ta層、Al層、TiN層、TiO層、SiON層、SiN層や、これらの多層膜である。第1高反射膜90は、発光導波層10を導波する光に対する第1側面12の反射率を高くすることができる。
【0075】
第2高反射膜92は、第2側面14に設けられている。第2高反射膜92は、第2側面14を覆っている。第2高反射膜92の材質は、例えば、第1高反射膜90の材質と同じである。第2高反射膜92は、発光導波層10を導波する光に対する第2側面14の反射率を高くすることができる。第1高反射膜90および第2高反射膜92によって、発光導波層10を導波する光を、レーザー発振させ易くすることができる。第1高反射膜90および第2高反射膜92は、例えば、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法によって形成される。
【0076】
なお、発光装置300をプロジェクターに用いる場合、第1高反射膜90および第2高反射膜92の材質は、赤色光、緑色光、および青色光において、共通であってもよいし、各色光において異なっていてもよい。
【0077】
発光装置300では、開口部74は、第1方向に複数設けられ、光学部60は、第1方向に複数設けられている。そのため、発光装置300では、複数の開口部74から光を出射できる。さらに、発光導波層10の第1方向の大きさが大きくなり、発光導波層10を導波する光を十分に増幅できる。さらに、発光装置300をプロジェクターに用いた場合、複数の開口部74の各々は、画素を構成することができる。したがって、1つの発光装置300で、複数の画素を構成することができる。
【0078】
なお、図7に示す例では、発光装置300は、両面電極の構造であるが、図8に示すように、発光装置300は、片面電極の構造であってもよい。
【0079】
4. 光源モジュール
次に、本実施形態に係る光源モジュールについて、図面を参照しながら説明する。図9
は、本実施形態に係る光源モジュール400を模式的に示す斜視図である。
【0080】
光源モジュール400は、図9に示すように、例えば、複数の発光装置300を有している。
【0081】
複数の発光装置300は、Z軸方向からみて、発光導波層10の長手方向と直交する方向に配列されている。図示の例では、複数の発光装置300は、X軸方向に配列されている。光源モジュール400では、開口部74は、X軸方向およびY軸方向にマトリックス状に配列されている。
【0082】
隣り合う発光装置300において、第1高反射膜90は、連続している。隣り合う発光装置300において、第2高反射膜92は、連続している。図示の例では、隣り合う発光装置300の間に、スペーサー部材410が設けられている。スペーサー部材410の材質は、例えば、SiO、SiNである。
【0083】
光源モジュール400では、例えば、赤色光を出射する発光装置300と、緑色光を出射する発光装置300と、青色光を出射する発光装置300とが、X軸方向に順番に並んでいる。これにより、光源モジュール400は、赤色光、緑色光、および青色光を出射できる。発光装置300から出射される光の波長は、発光導波層10の材質や、発光導波層10のY軸方向の大きさなどによって調整される。
【0084】
なお、光源モジュール400は、複数の発光装置300が1種類の色光だけを出射するように構成されていてもよい。また、図9に示す例では、光源モジュール400は、両面電極の構造であるが、図10に示すように、光源モジュール400は、片面電極の構造であってもよい。
【0085】
5. プロジェクター
次に、本実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係るプロジェクター500を模式的に示す図である。
【0086】
プロジェクター500は、図10に示すように、例えば、光出射機構510と、投射レンズ520と、を有している。光出射機構510は、投射レンズ520に向けて、光を出射する。図示の例では、光出射機構510は、Z軸方向に光を出射する。光出射機構510は、赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBを出射するように構成されている。ここで、図11は、光出射機構510を模式的に示す断面図である。光出射機構510は、図11に示すように、例えば、光源モジュール400と、光学素子512と、光変調素子514と、第1マイクロレンズアレイ516と、第2マイクロレンズアレイ518と、を有している。
【0087】
光源モジュール400は、赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBを出射するように構成されている。
【0088】
光学素子512には、光源モジュール400からの光が入射する。光学素子512は、光源モジュール400からの光を偏光させる。光学素子512は、例えば、偏光ビームスプリッターなどの偏光子である。
【0089】
光変調素子514には、光学素子512からの光が入射する。光変調素子514は、入射された光を画像情報に応じて変調させる。光変調素子514は、例えば、透過型の液晶ライトバルブである。
【0090】
第1マイクロレンズアレイ516は、例えば、光変調素子514の光学素子512側の面に設けられている。第1マイクロレンズアレイ516は、複数のマイクロレンズで構成されている。第2マイクロレンズアレイ518は、例えば、光変調素子514の光学素子512側とは反対の面に設けられている。第2マイクロレンズアレイ518は、複数のマイクロレンズで構成されている。マイクロレンズアレイ516,518は、入射された光を集光する。
【0091】
なお、光源モジュール400から出射された光の放射角が十分に小さい場合は、マイクロレンズアレイ516,518は、設けられていなくてもよい。また、図示はしないが、ホモジナイザーなどの均一照明系が設けられていてもよい。
【0092】
投射レンズ520には、第2マイクロレンズアレイ518からの光が入射する。投射レンズ520は、光変調素子514によって形成された像を拡大して、図示せぬスクリーンに投射する。
【0093】
なお、図12に示すように、光出射機構510の光源モジュール400は、+X軸方向に対して、60°、120°の2方向に光を出射するように構成されていてもよい。これにより、光源モジュール400の発光装置300の数を低減できる。発光装置300の光学部60を適宜設計することにより、発光装置300から出射される光の方向を調整できる。特に光学部60がグレーティングまたは2次元フォトニック結晶で構成されている場合は、光の出射方向を調整し易い。または、光源モジュール400は、+X軸方向に対して、45°、90°、135°の3方向に光を出射するように構成されていてもよい。または、光源モジュール400は、+X軸方向に対して、60°、120°の2方向に光を出射し、かつ、+Y軸方向に対して、60°、120°の2方向に光を出射してもよい。
【0094】
このように、光源モジュール400の光の出射方向の数は、特に限定されない。ただし、光の導波方向の最低光量の画素に合わせて発光させることで、光源モジュール400の省エネルギー化、静音化、およびコントラストの向上を図ることを考慮すると、光の出射方向の数は、少ない方が望ましい。
【0095】
6. プロジェクターの変形例
次に、本実施形態の変形例に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。図13は、本実施形態の変形例に係るプロジェクター600を模式的に示す図である。以下、本実施形態の変形例に係るプロジェクター600において、上述したプロジェクター500の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0096】
上述したプロジェクター500では、図10に示すように、光出射機構510は、1つだけ設けられ、1つの光出射機構510は、赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBを出射した。
【0097】
これに対し、プロジェクター600では、図13に示すように、光出射機構510は、3つ設けられ、3つの光出射機構510は、それぞれ、赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBを出射する。
【0098】
プロジェクター600は、クロスダイクロイックプリズム610を有している。3つの光出射機構510から出射された色光は、クロスダイクロイックプリズム610に入射する。クロスダイクロイックプリズム610は、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成されている。クロスダイクロイックプリズム610は、赤色光を反射する誘電体多層膜と、青色光を反射する誘電体多層膜と、を有する。これらの誘電体多層膜によって、3つの色
光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射レンズ520に入射する。
【0099】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0100】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0101】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0102】
発光装置の一態様は、
間接遷移型の半導体で構成される第1半導体部と、間接遷移型の半導体で構成され、前記第1半導体部と異なる導電型を有し、前記第1半導体部とpn接合を形成する第2半導体部と、を有する発光導波層と、
前記第2半導体部の前記第1半導体部とは反対側に設けられ、前記pn接合に電流を注入する電極と、
少なくとも1つの光学部と、
を有し、
前記発光導波層は、第1方向に長手方向を有し、
前記発光導波層は、前記pn接合において、前記第1半導体部および前記第2半導体部を構成する半導体のバンドギャップエネルギーよりも小さいエネルギーの光を発生させ、かつ、発生された光を前記第1方向に共振させ、
前記光学部は、共振された光を前記第1方向と交差する第2方向に出射させる。
【0103】
この発光装置によれば、発光効率を向上させることができる。
【0104】
前記発光装置の一態様において、
前記電極には、前記第2方向に進行する光を通過させる少なくとも1つの開口部が設けられていてもよい。
【0105】
この発光装置によれば、第2電極による光の損失を低減できる。
【0106】
前記発光装置の一態様において、
前記開口部に設けられ、前記発光導波層を被覆する被覆層を有してもよい。
【0107】
この発光装置によれば、被覆層によって発光導波層を水分などから保護できる。
【0108】
前記発光装置の一態様において、
前記光学部は、前記被覆層に設けられていてもよい。
【0109】
この発光装置によれば、発光導波層を導波する光の光学部による損失を低減できる。
【0110】
前記発光装置の一態様において、
前記開口部は、前記第1方向に複数設けられ、
前記光学部は、前記第1方向に複数設けられていてもよい。
【0111】
この発光装置によれば、複数の開口部から光を出射できる。
【0112】
前記発光装置の一態様において、
前記第1半導体部は、
第1層と、
前記第1層よりも不純物濃度が低い第2層と、
を有し、
前記第1層は、前記第2層と前記第2半導体部との間に設けられて、前記pn接合を形成してもよい。
【0113】
この発光装置によれば、発光導波層を導波する光の第2層による損失を低減できる。
【0114】
前記発光装置の一態様において、
前記第1半導体部および前記第2半導体部を構成する半導体は、Siであり、
前記発光導波層は、赤外光を発生させてもよい。
【0115】
この発光装置によれば、赤外光を出射できる。
【0116】
前記発光装置の一態様において、
前記第1半導体部および前記第2半導体部を構成する半導体は、SiCであり、
前記発光導波層は、可視光を発生させてもよい。
【0117】
この発光装置によれば、可視光を出射できる。
【0118】
前記発光装置の一態様において、
前記第1半導体部および前記第2半導体部を構成する半導体は、GaPであり、
前記発光導波層は、赤色光を発生させてもよい。
【0119】
この発光装置によれば、赤色光を出射できる。
【0120】
前記発光装置の一態様において、
前記発光導波層は、前記第2半導体部と前記被覆層との間に設けられた第3半導体部を有し、
前記第3半導体部の不純物濃度は、前記第2半導体部の不純物濃度よりも低くてもよい。
【0121】
この発光装置によれば、第3半導体部による光の損失を低減できる。
【0122】
プロジェクターの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【符号の説明】
【0123】
2…導電シート、4…電源、5…第1ワイヤー、6…第2ワイヤー、8…レンズ、10…発光導波層、12…第1側面、14…第2側面、20…第1半導体部、22…第1層、24…第2層、30…第2半導体部、32…第3層、34…第4層、40…第3半導体部、50…被覆層、52…上面、54…下面、60…光学部、70…第1電極、72…第2電極、74…開口部、80…第1絶縁層、82…第2絶縁層、84…第1溝、86…第2溝、90…第1高反射膜、92…第2高反射膜、100,200,300…発光装置、400…光源モジュール、410…スペーサー部材、500…プロジェクター、510…光出
射機構、512…光学素子、514…光変調素子、516…第1マイクロレンズアレイ、518…第2マイクロレンズアレイ、520…投射レンズ、600…プロジェクター、610…クロスダイクロイックプリズム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13