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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168070
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E05F 5/02 20060101AFI20241128BHJP
   E06B 3/38 20060101ALI20241128BHJP
   E06B 5/16 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
E05F5/02 E
E06B3/38
E06B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084466
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】391008582
【氏名又は名称】昭和フロント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】石井 勝己
【テーマコード(参考)】
2E014
2E239
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014EA03
2E014EB01
2E239CA05
2E239CA22
2E239CA26
2E239CA53
2E239CA62
(57)【要約】
【課題】火災時にオイルダンパーから噴出したオイルが屋外に流出する可能性を低減させる。
【解決手段】 枠体2と、框体34を有し、枠体2の内側に配置される障子3と、上枠21と上框31との間に設けられるヒンジ機構4と、縦枠23と縦框33との間に設けられるオイルダンパー5と、を備え、ヒンジ機構4を回動支点として障子3を開閉動作させる建具1であって、下框32の下面部に設けられ、障子3の下方への移動を規制する下がり止め部材7と、下枠22の上面部に設けられ、下がり止め部材7を受け止める下がり止め受け部材8と、をさらに備え、下がり止め受け部材8は、下枠22の長手方向に沿って延在し、オイルダンパー5から噴出したオイルを受け止めて下枠22の長手方向に導く第1オイル流路R1を形成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠、下枠、及び左右の縦枠を含む複数の枠材で構成される枠体と、
上框、下框、及び左右の縦框を含む複数の框材で構成された框体と、
前記框体を有し、前記枠体の内側に配置される障子と、
前記上枠と前記上框との間に設けられるヒンジ機構と、
前記縦枠と前記縦框との間に設けられるオイルダンパーと、を備え、
前記ヒンジ機構を回動支点として前記障子を開閉動作させる建具であって、
前記下框の下面部に設けられ、前記障子の下方への移動を規制する下がり止め部材と、
前記下枠の上面部に設けられ、前記下がり止め部材を受け止める下がり止め受け部材と、をさらに備え、
前記下がり止め受け部材は、前記下枠の長手方向に沿って延在し、前記オイルダンパーから噴出したオイルを受け止めて前記下枠の長手方向に導くオイル流路を形成することを特徴とする建具。
【請求項2】
火災による熱で膨張して前記オイル流路の終端側を塞ぐ加熱膨張材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記オイル流路の屋外側に並設されるオイルブロック部材をさらに備え、
前記オイルブロック部材は、前記オイル流路の屋外側に並列し、前記オイルダンパーから噴出したオイルを受け止めて前記下枠の長手方向に導く第2オイル流路を形成することを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項4】
火災による熱で膨張して前記第2オイル流路の終端側を塞ぐ第2加熱膨張材をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の建具。
【請求項5】
火災による熱で膨張して前記第2オイル流路の屋外側を塞ぐ第3加熱膨張材をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の建具。
【請求項6】
前記下枠の上面部に設けられ、開閉操作用のワイヤが掛け回される滑車をさらに備え、
前記オイル流路は、前記下枠の長手方向において前記縦枠と前記滑車との間に形成されることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項7】
前記第2オイル流路は、前記下枠の長手方向において前記縦枠と前記下がり止め部材との間に形成されることを特徴とする請求項3に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突き出し窓などの建具に関する。
【背景技術】
【0002】
枠体と障子との間にヒンジ機構を備え、該ヒンジ機構を回動支点として障子を開閉動作させる建具が知られている。例えば、特許文献1に記載される建具は、枠体の上枠と障子の上框との間にヒンジ機構を備え、該ヒンジ機構を回動支点として障子を屋外側に開放動作させる突き出し窓を構成している。また、この種の建具では、障子の開閉動作を補助又は緩衝するために、枠体の縦枠と障子の縦框との間にオイルダンパーを設ける場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平1-38233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、オイルダンパーを備える建具では、火災時にオイルダンパーからオイルが噴出し、噴出したオイルが屋外に流出する可能性がある。特に、上端側を回動支点として障子を開閉させる突き出し窓などの建具では、下框と下枠との間に空間が確保されるので、この空間を経由してオイルが屋外に流出しやすい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、上枠、下枠、及び左右の縦枠を含む複数の枠材で構成される枠体と、上框、下框、及び左右の縦框を含む複数の框材で構成された框体と、前記框体を有し、前記枠体の内側に配置される障子と、前記上枠と前記上框との間に設けられるヒンジ機構と、前記縦枠と前記縦框との間に設けられるオイルダンパーと、を備え、前記ヒンジ機構を回動支点として前記障子を開閉動作させる建具であって、前記下框の下面部に設けられ、前記障子の下方への移動を規制する下がり止め部材と、前記下枠の上面部に設けられ、前記下がり止め部材を受け止める下がり止め受け部材と、をさらに備え、前記下がり止め受け部材は、前記下枠の長手方向に沿って延在し、前記オイルダンパーから噴出したオイルを受け止めて前記下枠の長手方向に導くオイル流路を形成することを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の建具であって、火災による熱で膨張して前記オイル流路の終端側を塞ぐ加熱膨張材をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記オイル流路の屋外側に並設されるオイルブロック部材をさらに備え、前記オイルブロック部材は、前記オイル流路の屋外側に並列し、前記オイルダンパーから噴出したオイルを受け止めて前記下枠の長手方向に導く第2オイル流路を形成することを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の建具であって、火災による熱で膨張して前記第2オイル流路の終端側を塞ぐ第2加熱膨張材をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項3に記載の建具であって、火災による熱で膨張して前記第2オイル流路の屋外側を塞ぐ第3加熱膨張材をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記下枠の上面部に設けられ、開閉操作用のワイヤが掛け回される滑車をさらに備え、前記オイル流路は、前記下枠の長手方向において前記縦枠と前記滑車との間に形成されることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項3に記載の建具であって、前記第2オイル流路は、前記下枠の長手方向において前記縦枠と前記下がり止め部材との間に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、下枠の長手方向に沿って延在し、オイルダンパーから噴出したオイルを受け止めて下枠の長手方向に導くオイル流路が形成されるので、オイルダンパーから噴出したオイルの屋外流出経路を長くできる。これにより、火災の熱によるオイルの揮発を促し、オイルが屋外に流出する可能性を低減できる。また、オイル流路は、下がり止め受け部材を利用して形成されるので、専用部材でオイル流路を形成する場合に比べて部品点数やコストを削減できる。
また、請求項2の発明によれば、火災による熱で膨張してオイル流路の終端側を塞ぐ加熱膨張材をさらに備えるので、オイルが屋外に流出する可能性をさらに低減できる。
また、請求項3の発明によれば、オイル流路の屋外側に第2オイル流路が並列して形成されるので、オイルダンパーから噴出したオイルをより確実に受け止めて下枠の長手方向に導くことができる。
また、請求項4の発明によれば、火災による熱で膨張して第2オイル流路の終端側を塞ぐ第2加熱膨張材をさらに備えるので、オイルが屋外に流出する可能性をさらに低減できる。
また、請求項5の発明によれば、火災による熱で膨張して第2オイル流路の屋外側を塞ぐ第3加熱膨張材をさらに備えるので、オイルが屋外に流出する可能性をさらに低減できる。
また、請求項6の発明によれば、オイル流路は、下枠の長手方向において縦枠と滑車との間に形成されるので、滑車の位置を変更せずにオイル流路を形成できる。
また、請求項7の発明によれば、第2オイル流路は、下枠の長手方向において縦枠と下がり止め部材との間に形成されるので、下がり止め部材の位置を変更せずに第2オイル流路を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る建具を屋外側から見た正面図である。
図2】建具の基本構成を示す横断面図である。
図3】建具の基本構成を示す縦断面図である。
図4】第1オイル流路及び第2オイル流路を示す建具の要部横断面図である。
図5】オイルダンパーの配置を示す建具の要部横断面図である。
図6】第1オイル流路及び第2オイル流路を示す建具の要部縦断面図である。
図7】加熱膨張材が膨張した状態を示す建具の要部縦断面図である。
図8】下がり止めローラの配置を示す建具の要部縦断面図である。
図9】滑車の配置を示す建具の要部縦断面図である。
図10】変形例を示す建具の要部横断面図である。
図11】変形例を示す建具の要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1図3において、1は建具であって、該建具1は、例えば、突き出し窓である。なお、本実施形態の建具1は、突き出し窓の下方に連続するFIX窓を備えるが、FIX窓は省いてもよい。
【0009】
まず、建具1の基本的な構成について、図1図9を参照して説明する。
【0010】
建具1は、建物の躯体の開口部に配置される枠体2と、枠体2に配置される障子3と、枠体2の上枠21と障子3の上框31との間に設けられるヒンジ機構4と、枠体2の縦枠23と障子3の縦框33との間に設けられるオイルダンパー5と、枠体2の下枠22と障子3の下框32との間に設けられる滑車・ワイヤ機構6と、障子3の下框32に設けられる下がり止め部材7と、下枠22の上面部に設けられる下がり止め受け部材8と、雨水などの屋内側への侵入を防ぐ複数の止水材S1~S4と、を備えており、ヒンジ機構4を回動支点として障子3を開閉動作可能に構成される。
【0011】
なお、以下の説明においては、上枠21、下枠22、上框31及び下框32の長手方向を左右方向、縦枠23及び縦框33の長手方向を上下方向、左右方向及び上下方向と直交する方向を前後方向と称する場合がある。
【0012】
枠体2は、押出形材や曲げ物等からなる上枠21、下枠22、及び左右の縦枠23を連結して正面視四角形状に構成される。なお、本明細書では、上枠21、下枠22、及び左右の縦枠23を枠材と称する場合がある。
【0013】
障子3は、押出形材や曲げ物等からなる上框31、下框32、及び左右の縦框33を連結して構成される正面視四角形状の框体34と、框体34の内周側に配置されるガラス35と、下框32に設けられ、ガラス35の下辺を屋外側から押さえる下押縁36と、縦框33に設けられ、ガラス35の左右の縦辺を屋外側から押さえる縦押縁37と、を備える。なお、本明細書では、上框31、下框32、及び左右の縦框33を框材と称する場合がある。また、縦押縁37を備えず、
縦框33にガラス35をシーリングを介して取り付けるようにしてもよい。
【0014】
図3に示すように、ヒンジ機構4は、上框31から一体に延在する框側ヒンジ部41と、枠体2側にねじ42を介して固定され、框側ヒンジ部41を回動可能に支持するヒンジ部材43と、を備えて構成される。ヒンジ部材43は、予め框側ヒンジ部41に取り付けられ、障子3を枠体2に組み付ける際にねじ42を介して枠体2に固定される。
【0015】
図5図9に示すように、オイルダンパー5は、左側の縦枠23と左側の縦框33との間、及び右側の縦枠23と右側の縦框33との間に形成される左右の空間Aにそれぞれ配置されており、一端側が縦枠23に連結され、他端側が縦框33に連結される。そして、オイルダンパー5は、障子3の開閉動作に応じて伸縮するとともに、内部に充填されるオイルの圧力で障子3の開閉動作を補助又は緩衝する。また、オイルダンパー5は、障子3を開状態に維持するストッパ部材としても機能させることができる。
【0016】
図4及び図9に示すように、滑車・ワイヤ機構6は、下枠22の上面部に所定の間隔で設けられる左右の枠滑車61と、下框32の下面部に所定の間隔で設けられる左右の障子滑車62と、枠滑車61及び障子滑車62に掛け回されるワイヤ63と、を備えており、ワイヤ63の一端部は開閉操作部(図示せず)に連結されている。開閉操作部は、例えば、ワイヤ63を巻き取る巻取機構(図示せず)を有し、ワイヤ63の巻き取りによって障子3を閉動作させ、ワイヤ63の繰り出しによって障子3を開動作させる。
【0017】
図3図4図6図8に示すように、下がり止め部材7は、下框32の下面部に左右方向に所定の間隔で複数設けられ、火災時における障子3の下方への移動を規制する。本実施形態の下がり止め部材7は、下框32の下面にねじ止めされる金属製のローラ支持部71と、ローラ支持部71で囲まれるように配置され、ローラ支持部71に回転可能に支持されるローラ部72と、を備える。
【0018】
図3図4図6図8に示すように、下がり止め受け部材8は、下枠22の上面部に左右方向に所定の間隔で複数設けられ、火災時に下がり止め部材7のローラ部72を受け止める。本実施形態の下がり止め受け部材8は、下枠22の上面部に沿って固定される固定部81と、固定部81の屋内側端部から立ち上がる立ち上がり部82と、を一体に備える断面L字状の金属製部材である。このような下がり止め受け部材8によれば、火災時に下がり止め部材7のローラ部72を受け止めることにより、ヒンジ機構4の熱による変形や破損に伴う障子3の落下を規制できる。
【0019】
図2図9に示すように、止水材S1~S4は、上枠21に長手方向に沿って設けられ、上枠21と上框31との間で止水する第1止水材S1と、下枠22に長手方向に沿って通しで設けられ、下枠22と下框32との間で止水する第2止水材S2と、縦枠23に長手方向に沿って設けられ、縦枠23と縦框33との間で止水する第3止水材S3と、縦框33に長手方向に沿って設けられ、縦框33と縦枠23との間で止水する第4止水材S4と、を含む。なお、図5に示すように、本実施形態では、第3止水材S3が前述した空間Aの屋外側を塞ぎ、第4止水材S4が空間Aの屋内側を塞ぐように配置されている。
【0020】
以上のように構成された建具1では、建具1が設けられる建物で火災が発生した場合、オイルダンパー5が加熱され、内部のオイルが噴出する可能性がある。オイルダンパー5から噴出したオイルは、引火する可能性があるため、屋外への延焼を抑えるという視点では、オイルダンパー5から噴出したオイルの屋外への流出を防止することが好ましい。
【0021】
特に、上端側を回動支点として障子3を開閉させる突き出し窓では、下框32と下枠22との間に開閉時の干渉を避けるために空間Bが確保されるので、この空間Bを経由してオイルが屋外に流出しやすい。例えば、図6に示すように、オイルダンパー5から噴出したオイルは、そのまま落下して下枠22の上面部に到達したり(図6の落下経路K1)、縦框33に沿って下枠22の上面部に到達した後(図6の落下経路K2)、そのまま下枠22の上面部に沿って屋外側に流出する可能性がある。
【0022】
つぎに、上記の課題を解決可能な建具1の特徴的な構成について、図4図9を参照して説明する。
【0023】
図4に示すように、下がり止め受け部材8は、下がり止め部材7の取付位置だけでなく、下枠22の長手方向に沿って延在している。例えば、本実施形態の下がり止め受け部材8は、下枠22の長手方向において、縦枠23の内側面部と枠滑車61との間に亘って延在している。なお、図4では、下枠22の長手方向において、一端側の構成を示しているが、他端側も一端側と同様の構成(左右対称の構成)を有する。
【0024】
上記のように構成された下がり止め受け部材8は、図4及び図6に示すように、オイルダンパー5から噴出して落下経路K1を経由したオイルを下枠22上の第1オイル溜まり部T1で受け止め、かつ受け止めたオイルを下枠22の長手方向に導く第1オイル流路R1を形成する。このような構成によれば、オイルダンパー5から噴出したオイルの屋外流出経路が長くなるので、火災の熱によるオイルの揮発を促し、オイルが屋外に流出する可能性を低減できる。
【0025】
また、上記のように下枠22の長手方向に延在する下がり止め受け部材8の立ち上がり部82によれば、下框32と下枠22との間の空間Bに入り込む風雨が室内側に侵入することを阻止する部材としても機能させることができる。さらに、下がり止め受け部材8の立ち上がり部82は、図4に示すように、縦枠23と縦框33との間で止水する第3止水材S3よりも屋内側に位置しているので、縦框33に伝わって下枠22上に落ちてきた雨水が室内側に侵入することも防止できる。
【0026】
また、図4及び図6に示すように、第1オイル流路R1の屋外側には、オイルブロック部材9が並設されている。本実施形態のオイルブロック部材9は、下がり止め受け部材8の固定部81に重なるように設けられる金属製の板状部材であり、前後方向中間部には、下枠22の長手方向に沿う立ち上がり部91が形成されている。そして、オイルブロック部材9は、下枠22の長手方向において、縦枠23の内側面部と下がり止め部材7との間に亘って延在している。
【0027】
上記のように構成されたオイルブロック部材9は、第1オイル流路R1の屋外側に並列する第2オイル流路R2を形成する。この第2オイル流路R2は、下がり止受け部材8の立ち上がり部82とオイルブロック部材9の立ち上がり部91との間に形成される溝状部であり、下枠22の長手方向に延在する。
【0028】
このような第2オイル流路R2によれば、図4及び図6に示すように、オイルダンパー5から噴出して落下経路K2を経由したオイルを下枠22上の第2オイル溜まり部T2で受け止め、かつ受け止めたオイルを下枠22の長手方向に導くことができる。これにより、オイルダンパー5から噴出したオイルをより確実に受け止めて下枠22の長手方向に導くことができる。
【0029】
さらに、本実施形態の建具1には、複数の加熱膨張材F1~F6が設けられている。
【0030】
図4図6及び図7に示すように、第1加熱膨張材F1は、火災による熱で膨張し、第1オイル流路R1の終端側を塞ぐように下框32の下面部に設けられている。このような第1加熱膨張材F1によれば、第1オイル流路R1に流れ込んだオイルが屋外に流出する可能性をさらに低減できる。
【0031】
図4図6及び図7に示すように、第2加熱膨張材F2は、火災による熱で膨張し、第2オイル流路R2の終端側を塞ぐように下框32の下面部に設けられている。このような第2加熱膨張材F2によれば、第2オイル流路R2に流れ込んだオイルが屋外に流出する可能性をさらに低減できる。
【0032】
図4図6及び図7に示すように、第3加熱膨張材F3は、火災による熱で膨張し、第2オイル流路R2の屋外側を塞ぐようにオイルブロック部材9の屋外側上面部に設けられている。このような第3加熱膨張材F3によれば、第2オイル流路R2に流れ込んだオイルが屋外に流出する可能性をさらに低減できる。
【0033】
図4図6及び図7に示すように、第4加熱膨張材F4は、火災による熱で膨張し、第2止水材S2の下方近傍で下枠22と下框32との間を塞ぐように下枠22に長手方向に沿って通しで設けられる。
【0034】
図4及び図5に示すように、第5加熱膨張材F5は、火災による熱で膨張し、第3止水材S3の近傍で縦枠23と縦框33との間を塞ぐように縦枠23に長手方向に沿って通しで設けられる。
【0035】
図4及び図5に示すように、第6加熱膨張材F6は、火災による熱で膨張し、第4止水材S4の近傍で縦枠23と縦框33との間を塞ぐように縦枠23に長手方向に沿って通しで設けられる。
【0036】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、上枠21、下枠22、及び左右の縦枠23を含む複数の枠材で構成される枠体2と、上框31、下框32、及び左右の縦框33を含む複数の框材で構成された框体34と、框体34を有し、枠体2の内側に配置される障子3と、上枠21と上框31との間に設けられるヒンジ機構4と、縦枠23と縦框33との間に設けられるオイルダンパー5と、を備え、ヒンジ機構4を回動支点として障子3を開閉動作させる建具1であって、下框32の下面部に設けられ、障子3の下方への移動を規制する下がり止め部材7と、下枠22の上面部に設けられ、下がり止め部材7を受け止める下がり止め受け部材8と、をさらに備え、下がり止め受け部材8は、下枠の長手方向に沿って延在し、オイルダンパー5から噴出したオイルを受け止めて下枠22の長手方向に導く第1オイル流路R1を形成するので、オイルダンパー5から噴出したオイルの屋外流出経路を長くできる。これにより、火災の熱によるオイルの揮発を促し、オイルが屋外に流出する可能性を低減できる。また、第1オイル流路R1は、下がり止め受け部材8を利用して形成されるので、専用部材でオイル流路を形成する場合に比べて部品点数やコストを削減できる。
【0037】
また、建具1は、火災による熱で膨張して第1オイル流路R1の終端側を塞ぐ第1加熱膨張材F1をさらに備えるので、オイルが屋外に流出する可能性をさらに低減できる。
【0038】
また、建具1は、第1オイル流路R1の屋外側に並設されるオイルブロック部材9をさらに備え、オイルブロック部材9は、第1オイル流路R1の屋外側に並列し、オイルダンパー5から噴出したオイルを受け止めて下枠22の長手方向に導く第2オイル流路R2を形成するので、オイルダンパー5から噴出したオイルをより確実に受け止めて下枠22の長手方向に導くことができる。
【0039】
また、建具1は、火災による熱で膨張して第2オイル流路R2の終端側を塞ぐ第2加熱膨張材F2をさらに備えるので、オイルが屋外に流出する可能性をさらに低減できる。
【0040】
また、建具1は、火災による熱で膨張して第2オイル流路R2の屋外側を塞ぐ第3加熱膨張材F3をさらに備えるので、オイルが屋外に流出する可能性をさらに低減できる。
【0041】
また、建具1は、下枠22の上面部に設けられ、開閉操作用のワイヤ63が掛け回される枠滑車61をさらに備え、第1オイル流路R1は、下枠22の長手方向において縦枠23と枠滑車61との間に形成されるので、枠滑車61の位置を変更せずに第1オイル流路R1を形成できる。
【0042】
また、第2オイル流路R2は、下枠22の長手方向において縦枠23と下がり止め部材7との間に形成されるので、下がり止め部材7の位置を変更せずに第2オイル流路R2を形成できる。
【0043】
つぎに、変形例の建具1Bについて、図10及び図11を参照して説明する。ただし、前述した実施形態と共通の構成については、前述した実施形態と同じ符号を用いることで、前述した実施形態の説明を援用する場合がある。
【0044】
図10及び図11に示すように、変形例の建具1Bは、下がり止め部材7の近傍に第2下がり止め部材7Bを備える点が前述した実施形態の建具1と相違している。第2下がり止め部材7Bは、下がり止め部材7と同様に下框32の下面部に設けられ、火災時に障子3の下方への移動を規制するが、障子3が閉状態のとき、第2オイル流路R2の終端側を塞ぐように配置される。このような第2下がり止め部材7Bによれば、第2加熱膨張材F2が膨張していない状況でも、第2オイル流路R2を経由したオイルの屋外への流出を抑制できる。また、第2下がり止め部材7Bは、全体が金属製となっているので、下がり止め部材7のローラ部72が火災の熱で変形するような状況でも、障子3の落下を確実に規制できる。
【符号の説明】
【0045】
1、1B 建具
2 枠体
21 上枠
22 下枠
23 縦枠
3 障子
31 上框
32 下框
33 縦框
34 框体
35 ガラス
36 下押縁
37 縦押縁
4 ヒンジ機構
5 オイルダンパー
6 滑車・ワイヤ機構
61 枠滑車
62 障子滑車
63 ワイヤ
7 下がり止め部材
71 ローラ支持部
72 ローラ部
7B 第2下がり止め部材
8 下がり止め受け部材
81 固定部
82 立ち上がり部
9 オイルブロック部材
91 立ち上がり部
R1 第1オイル流路
R2 第2オイル流路
F1~F6 加熱膨張材
S1~S4 止水材
K1、K2 落下経路
A、B 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11