(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168075
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】勤務管理システム、勤務管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20241128BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084474
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】502285457
【氏名又は名称】学校法人順天堂
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】猪俣 武範
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA10
5L049AA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】医師の勤務状況を管理する勤務管理システム、勤務管理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】管理サーバがユーザ端末と通信ネットワークを介して通信可能に接続される勤務管理システムにおいて、管理サーバは、医師毎に地図上における勤務地となる範囲を記憶する勤務地情報記憶部と、医師が携帯する携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、医師に対応する範囲に位置情報が含まれる場合に、医師が勤務中であると判定する勤務判定部と、医師ごとに勤務中と判定した時刻を記憶する勤務履歴記憶部と、時刻に基づいて勤務中と判定された時間を計算する勤務時間計算部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医師ごとに地図上における勤務地となる範囲を記憶する勤務地情報記憶部と、
前記医師が携帯する携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記医師に対応する前記範囲に前記位置情報が含まれる場合に、前記医師が勤務中であると判定する勤務判定部と、
前記医師ごとに前記勤務中と判定した時刻を記憶する勤務履歴記憶部と、
前記時刻に基づいて前記勤務中と判定された時間を計算する勤務時間計算部と、
を備えることを特徴とする勤務管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の勤務管理システムであって、
前記勤務地情報記憶部は、前記医師ごとに勤務場所に設置されたアクセスポイントのSSIDを記憶し、
前記携帯端末が受信した前記SSIDを取得するSSID取得部をさらに備え、
前記勤務判定部は、前記携帯端末が受信した前記SSIDが前記勤務地情報記憶部に登録されている場合に前記医師が勤務中であると判定すること、
を特徴とする勤務管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の勤務管理システムであって、
前記SSIDに対応づけて業務を特定する情報を記憶する業務情報記憶部と、
前記業務情報記憶部から前記携帯端末が受信した前記SSIDに対応する前記業務を特定することにより前記医師が従事した前記業務を特定する業務特定部と、
前記医師及び前記業務ごとに、前記医師が前記業務に従事した時刻を記憶する業務履歴記憶部と、
前記医師による前記業務ごとの従事時間を計算する業務時間計算部と、
をさらに備えることを特徴とする勤務管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の勤務管理システムであって、
前記医師ごとに勤務外となる場所に設置されたアクセスポイントのSSIDを記憶する勤務外情報記憶部と、
前記携帯端末が受信した前記SSIDを取得するSSID取得部と、
をさらに備え、
前記勤務判定部は、前記携帯端末が受信した前記SSIDが前記勤務外情報記憶部に登録されている場合には、前記医師が勤務外であると判定し、
前記勤務履歴記憶部は、前記医師ごとに前記勤務外と判定された時刻をさらに記憶すること、
を特徴とする勤務管理システム。
【請求項5】
医師ごとに地図上における勤務地となる範囲を記憶するステップと、
前記医師が携帯する携帯端末の位置情報を取得するステップと、
前記医師に対応する前記範囲に前記位置情報が含まれる場合に、前記医師が勤務中であると判定するステップと、
前記医師ごとに前記勤務中と判定した時刻を記憶するステップと、
前記時刻に基づいて前記勤務中と判定された時間を計算するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする勤務管理方法。
【請求項6】
医師ごとに地図上における勤務地となる範囲を記憶するステップと、
前記医師が携帯する携帯端末の位置情報を取得するステップと、
前記医師に対応する前記範囲に前記位置情報が含まれる場合に、前記医師が勤務中であると判定するステップと、
前記医師ごとに前記勤務中と判定した時刻を記憶するステップと、
前記時刻に基づいて前記勤務中と判定された時間を計算するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、勤務管理システム、勤務管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはビーコンを用いて勤務状況を管理するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたシステムのようにビーコンを設置するには手間がかかる。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、医師の勤務状況を管理することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、勤務管理システムであって、医師ごとに地図上における勤務地となる範囲を記憶する勤務地情報記憶部と、前記医師が携帯する携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記医師に対応する前記範囲に前記位置情報が含まれる場合に、前記医師が勤務中であると判定する勤務判定部と、前記医師ごとに前記勤務中と判定した時刻を記憶する勤務履歴記憶部と、前記時刻に基づいて前記勤務中と判定された時間を計算する勤務時間計算部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、医師の勤務状況を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る勤務管理システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】管理サーバ2のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】ユーザ端末1のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態の勤務管理システムの動作を説明する図である。
【
図6】ユーザ端末1に表示されるユーザインタフェースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<システム概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る勤務管理システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の勤務管理システムは、医師の勤怠を管理しようとするものである。勤怠管理システムは、管理サーバ2を含んで構成される。管理サーバ2は、ユーザ端末1と通信ネットワーク3を介して通信可能に接続される。通信ネットワーク3は、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0011】
ユーザ端末1は、医師が操作する携帯可能なコンピュータである。ユーザ端末1は、例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、ノート型コンピュータなどとすることができる。
【0012】
管理サーバ2は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0013】
<ハードウェア>
図2は、管理サーバ2のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。また、ユーザ端末1も管理サーバ2と同様のハードウェア構成とすることができる。管理サーバ2は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する管理サーバ装置2の各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、管理サーバ2の各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0014】
<ユーザ端末1>
図3は、ユーザ端末1のソフトウェア構成例を示す図である。ユーザ端末1は、位置情報取得部111と、SSID取得部112と、勤務状態取得部113と、を備える。
【0015】
位置情報取得部111は、ユーザ端末1の位置情報を取得することができる。位置情報取得部111は、例えば、GPSによる衛生電波を受信してユーザ端末1の位置を推定することができる。位置情報取得部111はまた、例えば、ジャイロセンサなどにより位置を補正することもできる。位置情報取得部111は、取得した位置情報を管理サーバ2に送信することができる。
【0016】
SSID取得部112は、WiFiのアクセスポイントのSSID(Service Set Identifier)を取得する。SSID取得部112は、一般的な無線LAN技術を用いてアクセスポイントのSSIDを取得することができる。SSID取得部112は、アクセスポイントから発信されているSSIDを全て受信することができる。なお、SSID取得部112は、SSIDを受信すればよく、パスワード等の認証を受ける必要はない。SSID取得部112は、事前に管理サーバ2から所定のSSID(複数あってよい。)を受信しておき、管理サーバ2から指定されたSSIDをアクセスポイントから取得することができるかどうかを判定するようにしてもよい。SSID取得部112は、取得したSSIDを管理サーバ2に送信することができる。
【0017】
勤務状態取得部113は、医師の勤務状態を取得する。勤務状態は、例えば、「出勤」「退勤」「勤務中」「勤務外」「休憩」「待機」「自己研鑽」などである。勤務状態取得部113は、勤務状態の入力を医師から受け付けるようにすることができる。医師は、出勤時、勤務状態が変化したとき、退勤時などに勤務状態の入力を行うことができ、勤務状態取得部113はこれを受け付けることができる。また、勤務状態取得部113は、当該勤務状態に係る日時(例えば、出勤日時、退勤日時、勤務日時など)を取得することができる。勤務状態取得部113は、例えば、現在日時を取得するようにしてもよいし、医師から日時の入力を受け付けるようにしてもよい。勤務状態取得部113は、取得した勤務状態と、医師を示す医師IDと、日時とを管理サーバ2に送信することができる。
【0018】
なお、本実施形態では、後述するように、管理サーバ2において位置情報に応じて出退勤を判定することが可能であり、勤務状態取得部113は、勤務状態の入力を受け付けなくてもよい。また、勤務状態取得部113は、管理サーバ2において判定された出退勤を修正するために勤務状態の入力を受け付けて、受け付けた勤務状態と、修正対象とする出退勤の勤務状態に係る日時とを管理サーバ2に送信し、管理サーバ2が指定された日時に対応する過去の勤務状態を更新するようにしてもよい。
【0019】
勤怠状態取得部113は、位置情報に応じて勤務状態を決定するようにしてもよい。例えば、ユーザ端末1は、勤務状態(例えば、デフォルト値として「勤務外」を設定することができる。)を記憶し、また、ユーザ端末1を使用している医師に対応する後述する勤務地情報を管理サーバ2から取得しておき、位置情報を勤務地領域が含む場合に、勤務状態が「勤務外」であれば勤務状態を「勤務中」に設定することができる。ユーザ端末1は、決定した勤務状態を管理サーバ2に送信するようにしてもよい。
【0020】
なお、位置情報取得部111及びSSID取得部112は、勤務状態が「出勤」又は「勤務中」である間のみ、位置情報及びSSIDを管理サーバ2に送信するようにしてもよい。ユーザ端末1は、管理サーバ2から管理サーバ2が判定した勤務状態を受信するようにすることができる。
【0021】
<管理サーバ2>
図4は、管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ2は、勤務地情報記憶部231と、勤務履歴記憶部232と、業務情報記憶部233と、業務履歴記憶部234と、勤務外情報記憶部235と、位置情報取得部211と、勤務判定部212と、労働時間計算部213と、SSID取得部214と、業務特定部215と、業務時間計算部216と、勤務状態取得部217と、労働時間出力部220と、を備える。
【0022】
<位置に応じた勤務判定>
勤務地情報記憶部231は、医師ごとに地図上における勤務地となる範囲を記憶する。勤務地情報記憶部231は、医師の勤務地に関する情報(以下、勤務地情報という。)を記憶することができる。勤務地情報には、医師を特定する医師IDに対応付けて、勤務地を特定する情報(例えば、勤務地名)と、地図上における当該医師が勤務する場所の範囲(以下、勤務地領域という。)とを記憶することができる。勤務地領域は、例えば、地図上での建物や土地区画などを特定する範囲とすることができる。
【0023】
位置情報取得部211は、医師が携帯する携帯端末の位置情報を取得する。位置情報取得部211は、ユーザ端末1からユーザ端末1の位置を示す位置情報を受信することができる。
【0024】
勤務判定部212は、医師の現在位置に応じて勤務中であることを判定する。勤務判定部212は、医師に対応する勤務地情報の勤務地領域内に、医師のユーザ端末1から取得した位置情報が示す位置が含まれている場合に、当該医師が勤務中であると判定することができる。
【0025】
勤務履歴記憶部232は、医師の勤務に関する情報(以下、勤務履歴という。)を記憶する。勤務履歴には、医師を特定する医師IDと、勤務地を特定する情報(例えば、勤務地名)と、勤務状態と、日時とを含めることができる。勤務状態は、「出勤」「勤務中」「勤務外」又は「退勤」でありうる。また、勤務状態は、「勤務外」に加えて又は代えて、「休憩」「待機」「自己研鑽」などであってもよい。
【0026】
位置情報取得部211は、定期的にユーザ端末1の(すなわち医師の)現在位置を示す位置情報を取得し、勤務判定部212は位置情報に応じて勤務中であるか否かを判定することができる。勤務判定部212は、例えば、ユーザ端末1の医師を示す医師IDに対応する勤務地情報のうち、取得した位置情報を勤務地領域が含むものを勤務地情報記憶部231から検索し、当該勤務地情報が見つかった場合に、当該医師が勤務中であると判定することができる。勤務判定部212は、当該医師が勤務中と判定した場合には、当該医師を示す医師ID、勤務地情報の勤務地名、現在日時、及び「勤務中」の勤務状態を含む勤務履歴を作成して勤務履歴記憶部232に登録することができる。なお、勤務判定部212は、勤務中でないと判定した場合には、当該医師を示す医師ID、現在日時、及び「勤務外」の勤務状態を含む勤務履歴を作成して勤務履歴記憶部232に登録してもよいし、勤務履歴を作成しないようにしてもよい。
【0027】
労働時間計算部213、勤務履歴に基づいて医師の労働時間を計算することができる。労働時間計算部213は、例えば、計算対象となる日付に対応する勤務履歴を日時順にソートし、勤務履歴の日時から次の勤務履歴の日時までの時間が所定時間未満である場合には、当該時間を当該日付の労働時間に加算していくことができる。
【0028】
<SSIDの利用>
勤務地情報記憶部231が記憶する勤務地情報には、予め医師の勤務場所に設置されたアクセスポイントのSSIDを含めることができる。
【0029】
SSID取得部214は、ユーザ端末1が受信可能なSSIDを取得する。SSID取得部214は、ユーザ端末1から送信されるSSIDを受信することができる。
【0030】
勤務判定部212は、当該ユーザ端末1を使用している医師に対応する勤務地情報に、ユーザ端末1が受信したSSIDが含まれている場合には、当該医師が勤務中であると判定することができる。勤務判定部212は、SSIDに対応する勤務地情報を勤務地情報記憶部231から読み出し、読み出した勤務地情報の勤務地名と、医師を示す医師IDと、現在日時とを含む勤務履歴を勤務履歴記憶部232に登録することができる。
【0031】
<SSIDによる詳細業務の特定>
業務情報記憶部233は、医師の業務が行われる場所に関する情報(以下、業務情報という。)を記憶する。本実施形態では、場所を特定する情報として、SSIDを使用し、業務情報には、医師を示す医師IDと、SSIDと、当該医師が当該SSIDを受信する場所において行う業務を示す情報(業務名)とが含まれうる。
【0032】
業務特定部215は、医師が従事している業務を特定する。業務特定部215は、SSID取得部214が取得したSSID及び医師を示す医師IDに対応する業務情報を業務情報記憶部233から取得し、取得した業務情報の業務名が示す業務を、医師が従事している業務として特定することができる。
【0033】
業務履歴記憶部234は、医師が従事した業務に関する情報(以下、業務履歴という。)を記憶する。業務履歴には、医師を示す医師ID及び業務を示す業務名に対応付けて、当該医師が当該業務に従事した日時を含めることができる。
【0034】
業務時間計算部216は、医師による業務への従事時間を計算する。業務時間計算部216は、業務履歴に基づいて業務時間を計算することができる。業務時間計算部216は、例えば、計算対象となる日付に対応する業務履歴を日時順にソートし、当該業務履歴の日時から次の勤務履歴の日時までの時間が所定時間未満である場合には、当該時間を当該日付の当該業務への従事時間に加算していくことができる。
【0035】
<SSIDによる勤務外の特定>
勤務外情報記憶部235は、医師に関して勤務外となる場所に関する情報(以下、勤務外情報という。)を記憶する。勤務外情報には、医師を示す医師IDに対応付けて、勤務外となる場所に設置されたアクセスポイントのSSIDを含めることができる。また、勤務外情報には、地図上において医師が勤務外となるべき場所の範囲(以下、勤務外領域という。)を含めることもできる。また、勤務外情報には、状態を含めることができる。状態は、例えば、「勤務外」「休憩」「待機」「自己研鑽」などとすることができる。
【0036】
勤務判定部212は、当該医師を示す医師IDと、ユーザ端末1が受信したSSIDとを含む勤務外情報が勤務外情報記憶部235に登録されている場合には、当該医師が勤務外であると判定することができる。勤務判定部212は、勤務外情報に基づいて医師が勤務外であると判定した場合には、当該医師を示す医師ID、現在日時、及び勤務外情報の状態を含む勤務履歴を作成して勤務履歴記憶部232に登録することができる。
【0037】
<労働時間の出力>
労働時間出力部220は、医師の労働時間を出力する。労働時間出力部220は、労働時間とともに、勤務外の時間についても出力することができる。また、労働時間出力部220は、時間外勤務に係る時間(時間外労働時間)を出力することもできる。
【0038】
労働時間出力部220は、例えば、計算対象となる期間(例えば特定の日付や特定の月)に対応する勤務履歴を日時でソートし、ソートした勤務履歴のリスト中、「出勤」又は「勤務中」の勤務状態が連続する勤務履歴の最古日時から最新日時までの時間を労働時間として計算することができる。労働時間出力部220は、計算対象となる期間の労働時間を合計して合計労働時間を計算することができる。
【0039】
労働時間出力部220はまた、「出勤」又は「勤務中」以外(「勤務外」「休憩」「待機」「自己研鑽」など)の勤務状態が連続する勤務履歴の最古日時から最新日時までの時間を勤務外労働時間として集計することができる。
【0040】
労働時間出力部220は、所定の期間(例えば1日や1週間とすることができる。)の労働時間及び時間外労働時間をそれぞれ合計した合計労働時間及び合計時間外労働時間を出力することができる。
【0041】
労働時間出力部220は、合計労働時間及び/又は合計時間外労働時間についての評価を行い、その評価を出力することもできる。労働時間出力部220は、例えば、所定期間の開始日から現在までの日数に、1日当たりの労働時間の上限値を乗じた上限参考値を算出して、合計労働時間が当該上限参考値以下である場合には「◎」、合計労働時間が上限参考値を超えた時間が所定の閾値以下であれば「△」、合計労働時間が上限参考値を超えた時間が所定の閾値を超えれば「×」などの評価値を決定することができる。なお、労働時間出力部220は、評価値をユーザ端末1に送信することができ、また、管理者(例えば病院の端末や医師の上司のユーザ端末1など)に送信するようにしてもよい。
【0042】
労働時間出力部220は、時間外設定が「勤務時刻」である場合には、例えば、計算対象となる期間(例えば特定の日付や特定の月)に対応する勤務履歴を日時でソートし、ソートした勤務履歴のリスト中、「出勤」又は「勤務中」の勤務状態が連続する勤務履歴の最古日時から最新日時までの時間のうち、設定値に設定されている開始時刻前または設定値に設定されている終了時刻後の時間を時間外労働時間として計算し、時間外労働時間を合計して合計時間外労働時間を計算することができる。
【0043】
なお、労働時間出力部220は、勤務地ごとに労働時間及び時間外労働時間を計算し出力することができる。また、労働時間出力部220は、時間外労働時間が、所定の上限時間に達した場合、上限時間の所定割合(例えば80%の時間)に達した場合、予め設定した時間(例えば80時間)に達した場合に、アラートを出力するようにしてもよい。労働時間出力部220は、ユーザ(医師)のユーザ端末1にアラートを送信するようにしてもよいし、ユーザの管理者(上司や人事部の従業員など)のユーザ端末1にアラートを送信するようにしてもよい。
【0044】
また、時間外労働時間が上限時間に達した場合、又は、時間外労働時間が上限時間を超えた場合に、産業医に対する面接の予約処理を実行する予約処理部を設けるようにしてもよい。また、予約処理部は、例えば、eラーニングによる指導を受けることの予約処理を行うようにしてもよい。
【0045】
<動作>
図5は、本実施形態の勤務管理システムの動作を説明する図である。
図6は、ユーザ端末1に表示されるユーザインタフェースの一例を示す図である。
【0046】
ユーザ端末1は、自身の位置情報を取得し、医師を示す医師IDと、位置情報とを管理サーバ2に送信する(S301)。
【0047】
管理サーバ2は、ユーザ端末1から受信した位置情報が、医師IDに対応する勤務地情報のうち、ユーザ端末1から受信した位置情報の示す位置が勤務地領域に含まれるものを勤務地情報記憶部231から取得できるかどうかにより医師が出勤したことを判定し(S302)、取得した勤務地情報に含まれる勤務地名と、ユーザ端末1から受信した医師ID及び現在の日時と、「出勤」の勤務状態とを含む勤務履歴を作成して勤務履歴記憶部232に登録する(S303)。
【0048】
ユーザ端末1は、定期的に位置情報を取得し(S304)、取得した位置情報を管理サーバ2に送信する(S305)。また、ユーザ端末1は、近隣のアクセスポイントから送出されているSSIDを取得して(S306)、取得したSSIDを管理サーバ2に送信する(S307)。なお、ユーザ端末1からは医師IDが付帯されて送信される。
【0049】
管理サーバ2は、ユーザ端末1から受信した位置情報及び/又はSSIDに基づいて勤務地を特定する(S308)。管理サーバ2は、ユーザ端末1から受信した医師IDに対応する勤務地情報のうち、ユーザ端末1から受信した位置情報の示す位置が勤務地領域に含まれるものを勤務地情報記憶部231から取得して、勤務地情報の勤務地名を特定することができる。また、管理サーバ2は、ユーザ端末1から受信した医師ID及びSSIDに対応する勤務地情報を勤務地情報記憶部231から取得して、取得した勤務地情報の勤務地名を特定することができる。管理サーバ2は、医師IDと、特定した勤務地名と、「勤務中」の状態と、現在日時とを含む勤務履歴を作成して勤務履歴記憶部232に登録することができる(S309)。
【0050】
管理サーバ2はまた、ユーザ端末1から受信した医師ID及びSSIDを含む業務情報を業務情報記憶部233から取得して、業務情報に含まれる業務名を特定し(S310)、特定した業務名と、医師IDと、現在日時とを含む業務履歴を作成して業務履歴記憶部234に登録することができる(S311)。
【0051】
また、医師は、ユーザ端末1に医師の勤務状態の入力を行うことができる(S312)。ユーザ端末1は、医師から勤務状態の入力を受け付けた場合には、位置情報を取得して、医師IDと、入力した勤務状態と、位置情報とを管理サーバ2に送信することができる(S313)。
【0052】
この場合、管理サーバ2は、ユーザ端末1から受信した医師ID及び位置情報に応じた勤務地名を特定して、特定した勤務地名と、受信した医師ID及び勤務状態と、現在日時と、を含む勤務履歴を作成して勤務履歴記憶部232に登録することができる(S314)。
【0053】
勤務中、ステップS304ないしS314が繰り返される。
【0054】
管理サーバ2は、ユーザ端末1から受信した位置情報が、医師IDに対応する勤務地情報のうち、ユーザ端末1から受信した位置情報の示す位置が勤務地領域に含まれるものを勤務地情報記憶部231から取得できなかった場合に、医師が退勤したと判定することができる(S315)。管理サーバ2は、ユーザ端末1から受信した医師ID及び位置情報に応じた勤務地名を特定して、特定した勤務地名と、受信した医師ID及び現在日時と、「退勤」の状態とを含む勤務履歴を作成して勤務履歴記憶部232に登録することができる(S317)。
【0055】
以上のようにして、医師の勤務状況が管理サーバ2に管理される。
【0056】
図6に示した画面41には、労働時間の統計情報を出力することができる。
図6の例では、所定期間(例えば1カ月)での労働時間の上限値(総労働時間411)と、勤務履歴記憶部232に記憶されている勤務情報に基づいて計算される労働時間412とが表示されている。また、画面41には、時間外労働の上限値413と、勤務情報に基づいて計算される時間外労働時間414とを表示させることもできる。また、管理サーバ2は、所定期間(例えば1カ月)中における現時点の位置と、労働時間の上限値とに応じて、労働状態の評価を行うことができる。例えば、労働時間の上限値を所定期間の日数で割った値に、所定期間の開始日から現時点までの日数を乗じた標準労働時間を、労働時間の合計値が超えていない場合には、良好な評価とすることができる。画面41には、当該評価を示す記号415を表示することもできる。
【0057】
また、画面41は、「自己研鑽」の勤務状態の開始及び終了を入力するためのスタートボタン416及びストップボタン417を備えることができる。スタートボタン416が押下された場合には、ユーザ端末1は、「自己研鑽」の勤務状態を管理サーバ2に送信することができる。また、ストップボタン417が押下された場合には、ユーザ端末1は、「勤務中」の勤務状態を管理サーバ2に送信することができる。また、ユーザ端末1は、スタートボタン416の押下からストップボタン417の押下までの時間を計測して、自己研鑽の時間418として画面41に表示することもできる。
【0058】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0059】
例えば、本実施形態では、管理サーバ2において勤務地、業務などの判定を行うものとしたが、ユーザ端末1において行うようにしてもよい。この場合、管理サーバ2の各機能部の一部をユーザ端末1が備えるようにすることができる。
【0060】
また、本実施形態では、管理サーバ2で位置情報に応じて勤務開始及び勤務終了を判定するものとしたが、医師(ユーザ端末1)の位置情報に応じて勤務開始又は勤務終了のサジェストを出力し、医師から勤務状態の入力を受け付けるようにしてもよい。この場合、ユーザ端末1は、管理サーバ2から医師を示す医師IDに対応する勤務地情報を取得しておき、定期的に現在位置を取得して勤務地領域に現在位置が含まれている場合に、勤務開始の入力を受け付けていないときには、「勤務開始していませんか?」のようなサジェストを出力することができる。また、ユーザ端末1は、勤務地領域に現在位置が含まれていない場合に、勤務終了の入力を受け付けていないときには、「勤務終了していませんか?」のようなサジェストを出力することができる。
【0061】
また、本実施形態では、業務情報にはSSIDに対応付けて業務名が設定されていたが、SSIDに代えて又は加えて、勤務地情報と同様に位置情報に係る領域(業務領域)を業務情報に含め、位置情報が当該業務領域に含まれている場合に、当該業務を行っていると判断するようにしてもよい。SSIDと業務領域とが業務情報に含まれている場合、SSIDを優先するようにしてもよいし、位置情報を優先するようにしてもよく、優先した方に対応する業務を行っていることを推定することができる。
【0062】
<開示事項>
なお、本開示には、以下のような構成も含まれる。
[項目1]
医師ごとに地図上における勤務地となる範囲を記憶する勤務地情報記憶部と、
前記医師が携帯する携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記医師に対応する前記範囲に前記位置情報が含まれる場合に、前記医師が勤務中であると判定する勤務判定部と、
前記医師ごとに前記勤務中と判定した時刻を記憶する勤務履歴記憶部と、
前記時刻に基づいて前記勤務中と判定された時間を計算する勤務時間計算部と、
を備えることを特徴とする勤務管理システム。
[項目2]
項目1に記載の勤務管理システムであって、
前記勤務地情報記憶部は、前記医師ごとに勤務場所に設置されたアクセスポイントのSSIDを記憶し、
前記携帯端末が受信した前記SSIDを取得するSSID取得部をさらに備え、
前記勤務判定部は、前記携帯端末が受信した前記SSIDが前記勤務地情報記憶部に登録されている場合に前記医師が勤務中であると判定すること、
を特徴とする勤務管理システム。
[項目3]
項目2に記載の勤務管理システムであって、
前記SSIDに対応づけて業務を特定する情報を記憶する業務情報記憶部と、
前記業務情報記憶部から前記携帯端末が受信した前記SSIDに対応する前記業務を特定することにより前記医師が従事した前記業務を特定する業務特定部と、
前記医師及び前記業務ごとに、前記医師が前記業務に従事した時刻を記憶する業務履歴記憶部と、
前記医師による前記業務ごとの従事時間を計算する業務時間計算部と、
をさらに備えることを特徴とする勤務管理システム。
[項目4]
項目1に記載の勤務管理システムであって、
前記医師ごとに勤務外となる場所に設置されたアクセスポイントのSSIDを記憶する勤務外情報記憶部と、
前記携帯端末が受信した前記SSIDを取得するSSID取得部と、
をさらに備え、
前記勤務判定部は、前記携帯端末が受信した前記SSIDが前記勤務外情報記憶部に登録されている場合には、前記医師が勤務外であると判定し、
前記勤務履歴記憶部は、前記医師ごとに前記勤務外と判定された時刻をさらに記憶すること、
を特徴とする勤務管理システム。
[項目5]
医師ごとに地図上における勤務地となる範囲を記憶するステップと、
前記医師が携帯する携帯端末の位置情報を取得するステップと、
前記医師に対応する前記範囲に前記位置情報が含まれる場合に、前記医師が勤務中であると判定するステップと、
前記医師ごとに前記勤務中と判定した時刻を記憶するステップと、
前記時刻に基づいて前記勤務中と判定された時間を計算するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする勤務管理方法。
[項目6]
医師ごとに地図上における勤務地となる範囲を記憶するステップと、
前記医師が携帯する携帯端末の位置情報を取得するステップと、
前記医師に対応する前記範囲に前記位置情報が含まれる場合に、前記医師が勤務中であると判定するステップと、
前記医師ごとに前記勤務中と判定した時刻を記憶するステップと、
前記時刻に基づいて前記勤務中と判定された時間を計算するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0063】
1 ユーザ端末
2 管理サーバ