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特開2024-168078移動支援システム、及び移動支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168078
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】移動支援システム、及び移動支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241128BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084478
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 将司
(72)【発明者】
【氏名】平島 陽子
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】混雑に遭遇しないように各ユーザを出発地から目的地まで移動させるよう促す。
【解決手段】移動支援システム100は、交通機関の乗車券の有効期間内における、交通機関を利用した出発地から目的地までの移動経路及び移動経路のスケジュールを探索し、移動経路のスケジュールによる移動において交通機関の混雑に遭遇すると判定した場合に、混雑を回避する、出発地から目的地までの経路である代替経路及び代替経路のスケジュールを特定し、特定した代替経路及び代替経路のスケジュールを示す情報を出力し、特定した代替経路のスケジュールにおける出発地の出発時刻及び目的地の到着時刻を特定し、代替経路のスケジュールによる移動が乗車券の有効期間内の移動となるような、乗車券の新たな有効期間の情報を生成し、生成した情報を設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の有効期間を有する交通機関の乗車券の情報を記憶する記憶装置、及び、
前記有効期間内における、前記交通機関を利用した出発地から目的地までの移動経路及び当該移動経路のスケジュールを探索する移動経路探索処理と、
前記移動経路のスケジュールによる移動において前記交通機関の混雑に遭遇するか否かを、前記スケジュールにおける前記出発地の出発時刻及び前記目的地の到着時刻と、前記交通機関の混雑予測の情報とに基づき判定する混雑状況判定処理と、
前記交通機関の混雑に遭遇すると判定した場合に、前記混雑を回避する、前記出発地から前記目的地までの経路である代替経路及び当該代替経路のスケジュールを、前記交通機関の混雑予測の情報に基づき特定し、特定した代替経路及び当該代替経路のスケジュールを示す情報を出力装置に出力する代替経路導出処理と、
前記特定した代替経路のスケジュールにおける前記出発地の出発時刻及び前記目的地の到着時刻を特定し、前記特定した出発地の出発時刻及び目的地の到着時刻と、前記乗車券の有効期間とに基づき、前記代替経路のスケジュールによる移動が前記乗車券の有効期間内の移動となるような、前記乗車券の新たな有効期間の情報を生成する変更提案作成処理と、
前記生成した情報を前記記憶装置に設定する期間変更指示処理とを実行する演算装置
を備える、移動支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の移動支援システムであって、
前記演算装置は、
前記代替経路導出処理において、前記混雑予測の情報に基づき、前記移動経路における経由地のうち前記交通機関の混雑に遭遇する以前に到着する経由地の到着時刻を算出し、算出した経由地の到着時刻と、前記混雑予測の情報とに基づき、前記移動経路と同じ経路であり、前記算出した経由地の到着時刻に当該経由地に到着し、前記算出した経由地の到着時刻より後の時刻に当該経由地を出発し、前記交通機関の混雑に遭遇せずに当該経由地から前記目的地まで移動する経路及びそのスケジュールを前記代替経路及び当該代替経路のスケジュールとして特定し、当該経由地の到着時刻から当該経由地の出発時刻までの時間に応じた長さの前記乗車券の有効期間の延長を示す情報を生成する、
移動支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の移動支援システムであって、
前記演算装置は、前記代替経路導出処理において、前記経由地の到着時刻以降の時刻に前記経由地を出発して到着可能であり、前記経由地の出発時刻以前に前記経由地に到着可能な地点を、所定のデータベースに基づき探索し、探索した地点に関する情報を出力装置に出力する、
移動支援システム。
【請求項4】
請求項1に記載の移動支援システムであって、
前記演算装置は、
前記代替経路導出処理において、前記混雑予測の情報に基づき、前記移動経路とは異なる前記出発地から前記目的地までの経路であって、前記交通機関の混雑を回避し、前記移動経路における目的地の到着時刻より後の時刻に前記目的地に到着する経路及び当該経路のスケジュールを代替経路及び当該代替経路のスケジュールとして特定し、前記移動経路のスケジュールにおける目的地の到着時刻から前記代替経路のスケジュールにおける目的地の到着時刻までの時間の長さに応じた前記乗車券の有効期間の延長を示す情報を生成する、
移動支援システム。
【請求項5】
請求項1に記載の移動支援システムであって、
前記演算装置は、
前記代替経路導出処理において、前記混雑予測の情報に基づき、前記移動経路と同じ経路であって、前記交通機関の混雑を回避し、前記移動経路における出発地の出発時刻よりも早い時刻に前記出発地を出発し、前記移動経路における目的地の到着時刻よりも早い時刻に前記目的地に到着する経路及び当該経路のスケジュールを前記代替経路及び当該代替経路のスケジュールとして特定し、前記特定した代替経路のスケジュールにおける目的地の到着時刻から前記移動経路における目的地の到着時刻までの時間の長さに応じた前記乗車券の有効期間の短縮を示す情報を生成する、
移動支援システム。
【請求項6】
請求項1に記載の移動支援システムであって、
前記変更提案作成処理において、前記代替経路及び前記新たな有効期間の情報を所定の情報処理装置に送信し、
前記期間変更指示処理において、前記所定の情報処理装置から、前記情報に対応する承諾情報を受信した場合に、前記生成した情報を前記記憶装置に設定する、
移動支援システム。
【請求項7】
請求項1に記載の移動支援システムであって、
移動者による、交通機関による出発地から目的地までの移動経路及び、前記移動経路における、前記出発地の出発時刻及び前記目的地の到着時刻の履歴を記憶する記憶装置を備え、
前記記憶装置に記憶されている履歴に基づき、前記移動者が前記代替経路による前記出発地から前記目的地までの移動を行ったか否かを判定し、前記移動者が前記代替経路による前記出発地から前記目的地までの移動を行ったと判定した場合に、所定の情報を出力する誘導結果判定処理をさらに実行する、
移動支援システム。
【請求項8】
請求項5に記載の移動支援システムであって、
前記演算装置は、前記代替経路導出処理において、前記乗車券の有効期間の短縮分に対応する価値の情報を生成する、
移動支援システム。
【請求項9】
演算装置及び、所定の有効期間を有する乗車券の情報を記憶する記憶装置を備える情報処理装置による移動支援方法であって、
前記演算装置が、
前記有効期間内における、前記交通機関を利用した出発地から目的地までの移動経路及び当該移動経路のスケジュールを探索する移動経路探索処理と、
前記移動経路のスケジュールによる移動において前記交通機関の混雑に遭遇するか否かを、前記スケジュールにおける前記出発地の出発時刻及び前記目的地の到着時刻と、前記交通機関の混雑予測の情報とに基づき判定する混雑状況判定処理と、
前記交通機関の混雑に遭遇すると判定した場合に、前記混雑を回避する、前記出発地から前記目的地までの経路である代替経路及び当該代替経路のスケジュールを、前記交通機関の混雑予測の情報に基づき特定し、特定した代替経路及び当該代替経路のスケジュールを示す情報を出力装置に出力する代替経路導出処理と、
前記特定した代替経路のスケジュールにおける前記出発地の出発時刻及び前記目的地の到着時刻を特定し、前記特定した出発地の出発時刻及び目的地の到着時刻と、前記乗車券の有効期間とに基づき、前記代替経路のスケジュールによる移動が前記乗車券の有効期間内の移動となるような、前記乗車券の新たな有効期間の情報を生成する変更提案作成処理と、
前記生成した情報を前記記憶装置に設定する期間変更指示処理とを実行する、
移動支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動支援システム、及び移動支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交通機関(鉄道、バス等)の乗車券の一種としてフリー乗車券がある。フリー乗車券は一般に、決められた有効期間内であれば、指定されたエリアや路線内を定額で自由に乗り降りすることが可能な乗車券である。具体例としては、購入当日に限り有効な一日乗車券又は、利用開始時刻から決められた時間を経過する時刻まで有効な24時間券若しくは6時間券等の時間制乗車券がある。こうしたフリー乗車券は、対象の交通機関を一定の回数以上又は一定の距離以上利用すると通常運賃で乗車する場合より割安となるように料金が設定されているものが多い。この点でフリー乗車券は、人々の外出意欲を高めることに寄与し、交通機関の利用者数の増加に貢献している。
【0003】
交通機関は一方で、感染症の蔓延防止対策としていわゆる「三密」(密閉、密集、密接)の回避に取り組んでいる。交通機関の利用者数の増加は、輸送サービスの持続的な運営に資するため交通機関にとって有益ではあるが、交通機関の混雑の助長に繋がる側面もある。特にフリー乗車券を利用するユーザは、有効期間のなかで自由に、自身の予定に合わせて交通機関を利用することが考えられるため、混雑を気にせず乗車し、結果として更なる交通機関の混雑及び「三密」を招いてしまう可能性がある。
【0004】
交通機関に混雑が発生する場面において、ユーザに混雑を回避してもらうように誘導する技術としては、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1には、移動経路の混雑状況に応じて混雑回避可能な交通機関や周辺施設を利用することを促す方法が開示されている。具体的には、この技術は、ユーザの移動経路が混雑していたらその混雑経路の利用を控えるよう要請し、ユーザが居る位置の周辺の交通機関のなかでまだ空いている交通機関を見つけた上で、まだ乗車可能な人数分のユーザに対して当該交通機関を利用するように促す。この技術は、また、混雑経路の利用を控えるよう要請する際に、ユーザが居る位置の周辺に所在する施設を選んで、当該施設に滞在するように促す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-012682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、ユーザの移動経路と交通機関の混雑状況とに基づいて混雑回避可能な交通機関や周辺施設の利用を促すものであるが、フリー乗車券の存在を考慮していない。すなわち、フリー乗車券には利用可能な有効期間が存在するが、特許文献1に記載の技術はこの時間制約を考慮していない。そのため、フリー乗車券を保有するユーザへ混雑回避可能な交通機関や周辺施設の利用を促し、ユーザがこれに従った場合、元々予定していなかった交通機関や周辺施設を利用することで想定よりも多くの所要時間がかかり、フリー乗車券の有効期間を超えてしまう(有効期限が切れてしまう)可能性がある。
【0007】
フリー乗車券の有効期限が切れてしまうと、ユーザは有効期限以降の乗車運賃を追加で支払う必要が生じ、ユーザは不利益を被ることになるため、混雑回避の要請に応じてもらいにくくなる。また同様の状況で、結果としてフリー乗車券の有効期間を超えてしまうことがなかった場合でも、有効期間内の時間を元々の想定以上に費やすことになる。これにより、以降に訪れようとしていた場所へ、フリー乗車券の有効期間内に行けなくなったり、行った先での滞在時間の短縮を余儀なくされたりしてユーザは不利益を被ることになるため、やはり混雑回避の要請に応じてもらいにくくなる。
【0008】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、混雑に遭遇しないように各ユーザを出発地から目的地まで移動させるよう促すことが可能な移動支援システム、及び移動支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の一つは、所定の有効期間を有する交通機関の乗車券の情報を記憶する記憶装置、及び、前記有効期間内における、前記交通機関を利用した出発地から目的地までの移動経路及び当該移動経路のスケジュールを探索する移動経路探索処理と、前記移動経路のスケジュールによる移動において前記交通機関の混雑に遭遇するか否かを、前記スケジュールにおける前記出発地の出発時刻及び前記目的地の到着時刻と、前記交通機関の混雑予測の情報とに基づき判定する混雑状況判定処理と、前記交通機関の混雑に遭遇すると判定した場合に、前記混雑を回避する、前記出発地から前記目的地までの経路である代替経路及び当該代替経路のスケジュールを、前記交通機関の混雑予測の情報に基づき特定し、特定した代替経路及び当該代替経路のスケジュールを示す情報を出力装置に出力する代替経路導出処理と、前記特定した代替経路のスケジュールにおける前記出発地の出発時刻及び前記目的地の到着時刻を特定し、前記特定した出発地の出発時刻及び目的地の到着時刻と、前記乗車券の有効期間とに基づき、前記代替経路のスケジュールによる移動が前記乗車券の有効期間内の移動となるような、前記乗車券の新たな有効期間の情報を生成する変更提案作成処理と、前記生成した情報を前記記憶装置に設定する期間変更指示処理とを実行する演算装置を備える、移動支援システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、混雑に遭遇しないように各ユーザを出発地から目的地まで移動させるよう促すことができる。
上記した以外の構成及び効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態における移動支援システムの構成の一例を示す図である。
図2】誘導案内システムが備える機能部の一例を説明する図である。
図3】誘導案内システムが備えるハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】誘導案内処理の概要を説明するフロー図である。
図5】検索条件受付処理の詳細を説明するフロー図である。
図6】移動経路検索処理の詳細を説明するフロー図である。
図7】混雑状況判定処理の詳細を説明するフロー図である。
図8】有効期間取得処理の詳細を説明するフロー図である。
図9】最終移動判定処理の詳細を説明するフロー図である。
図10】代替経路導出処理の詳細を説明するフロー図である。
図11】分割経路導出処理の詳細を説明するフロー図である。
図12】迂回経路導出処理の詳細を説明するフロー図である。
図13】前倒経路導出処理の詳細を説明するフロー図である。
図14】変更提案作成処理の詳細を説明するフロー図である。
図15】分割経路対応変更提案作成処理の詳細を説明するフロー図である。
図16】迂回経路対応変更提案作成処理の詳細を説明するフロー図である。
図17】前倒経路対応変更提案作成処理の詳細を説明するフロー図である。
図18】誘導案内送信処理の詳細を説明するフロー図である。
図19】期間変更指示処理の詳細を説明するフロー図である。
図20】誘導結果判定処理の詳細を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る移動支援システムは、その有効期間を動的に柔軟に変更可能な乗車券(以下、特別乗車券という)を用いてユーザ(乗客)が出発地から目的地まで所定の交通機関(例えば、電車、バス等)で移動する場合に、出発地から目的地までの最短経路(最も所要時間が短い経路)を探索して提案するサービスをユーザに提供する。また、この移動支援システムは、最短経路を採用した場合に利用する交通機関による移動において混雑が予想される場合には、その混雑を回避するような他のパターンの経路(以下、代替経路という。なお、代替経路は、使用する経路が最短経路と異なる場合、経路は同じであるがスケジュール(各出発時間、通過(経由)時間、及び到着時間)が異なる場合、及び、それら両方が異なる場合がありうる。)を提案すると共に、代替経路の内容に応じて、特別乗車券の利用価値が毀損されないように、特別乗車券の有効期間を自動的に変更することが可能である。すなわち、本実施形態に係る移動支援システムは、有効期間を柔軟に変更可能な乗車券のサービスをユーザに提供する。
【0013】
図1は、本実施形態における移動支援システム100の構成の一例を示す図である。移動支援システム100は、乗車券管理システム2、移動実績管理システム3、誘導案内システム1、及び1又は複数のユーザ端末4を含んで構成される。乗車券管理システム2、移動実績管理システム3、及び誘導案内システム1の間は、第1の通信ネットワーク5により通信可能に接続される。また、誘導案内システム1、及び各ユーザ端末4の間は、第2の通信ネットワーク6により通信可能に接続される。第1の通信ネットワーク5は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN、又はインターネットVPN(Virtual Private Network)、又は専用線等により構成される。第2の通信ネットワーク6は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN等により構成される。
【0014】
ユーザ端末4は、乗車券管理システム2に登録(購入)した自身の特別乗車券を利用して各種の交通機関により出発地から目的地まで移動するユーザが使用する情報処理装置である。ユーザ端末4は、例えば、スマートフォン、PC(Personal Computer)、又はタブレット端末等である。また、ユーザ端末4は、誘導案内システム1に経路探索要求を送信することで、特別乗車券を利用した出発地から目的地までの移動経路(最短経路及び代替経路)を探索させ、その結果を受信して表示する。移動経路の検索画面の表示及び検索結果画面の表示には、例えば、ユーザ端末4にインストールされたアプリケーション、又は一般的なWebブラウザが用いることができる。
【0015】
乗車券管理システム2は、各ユーザの特別乗車券に関する情報を管理する。
【0016】
ここで、特別乗車券は、交通機関の利用を開始した時刻である利用開始日時から、利用開始日時に対して所定の時間(以下、有効長さという)を加えて求めた時刻である利用終了日時までの期間を有効期間とする時間制乗車券としてユーザに発券される(なお、本明細書で「時刻」とは日を含む概念であるとする)。例えば、有効長さが6時間の特別乗車券(6時間券)の場合、ユーザは、特別乗車券の利用開始日時からその6時間後の時刻まで、特別乗車券を用いて電車及びバス等に乗車することができる。
【0017】
そして、発券された特別乗車券は、その有効期間をさらに変更することができる。例えば、有効期間の一部の期間を切り出し、切り出した期間を有効期間外にする代わりに、切り出した期間に対応する時間長さ分を利用終了日時以後の時間に割り当てることで利用終了時刻を延長することができる。
【0018】
乗車券管理システム2は、このような特別乗車券について、各ユーザのIDと、特別乗車券の有効エリア(ノード又は路線名等で特定される)と、現在の有効期間(例えば、利用開始日時及び利用終了日時)とを対応づけた乗車券情報を記憶する。
【0019】
なお、ユーザのIDは、例えば、誘導案内システム1(アプリケーション)の会員IDと同一のIDであってもよいし、当該会員IDと紐づいて管理される連携用の他のIDであってもよい。
【0020】
また、乗車券管理システム2は、有効長さの情報が付帯した特別乗車券の発券要求を受信した場合、利用開始日時としてその発券要求の受信日時又は発券要求に付帯した日時を設定し、利用終了日時として、利用開始日時に有効長さを加算した日時を設定する。さらに、乗車券管理システム2は、ユーザの情報が付帯した所定の情報提供要求を受信した場合、そのユーザの特別乗車券の現在の利用終了日時等を返信する。また、乗車券管理システム2は、ユーザの情報が付帯した所定の期間変更要求を受信した場合、そのユーザの特別乗車券の有効期間を、その期間変更要求が示す内容に応じて変更する。
【0021】
次に、移動実績管理システム3は、各ユーザの交通機関の利用実績情報(移動経路の情報及び利用した交通機関の情報)を管理する。例えば、移動実績管理システム3は、移動経路を構成する出発地、経由地、及び目的地の各地点の住所、駅、バス停、又はスポット(後述する店舗等の登録地点)と、各地点の出発又は到着日時と、地点間の移動所要時間とを記憶する。また、例えば、移動実績管理システム3は、地点間の移動に利用した交通機関を含む移動手段として、徒歩、自転車、バス、鉄道、又は自動車等の情報を記憶する。移動手段がバス又は鉄道等の交通機関の場合は、移動実績管理システム3は、路線名又は系統名を記憶する。なお、移動実績管理システム3は、誘導案内システム1から利用実績情報の取得要求を受信した場合、取得要求に応じた利用実績情報を、誘導案内システムに送信する。
【0022】
なお、移動実績管理システム3は、例えば、各ユーザのユーザ端末4が備えるGPS(Global Positioning System)若しくは加速度センサに基づき、各ユーザの位置を算出することで、利用実績情報を生成する。また、例えば、移動実績管理システム3は、各ユーザの交通IC(Integrated Circuit)乗車券の利用履歴情報を取得することで、利用実績情報を生成する。また、例えば、移動実績管理システム3は、ユーザ端末4が近距離無線通信等を用いて登録したスポットの情報(チェックインの履歴情報)を取得することで、利用実績情報を生成する。移動実績管理システム3は、これらの利用実績情報を時系列順に登録する。
【0023】
そして、移動実績管理システム3は、利用実績情報に基づいて、ユーザが交通機関を利用しようとした際に(例えば、自動改札機を通過した際に)そのユーザが有する特別乗車券が現在有効期間内であるか否かを、乗車券管理システム2と連携して判定する。移動実績管理システム3は、その特別乗車券が現在有効期間内であれば、交通機関の利用料金を徴収せず(例えば、自動改札機を単に通過させ)、その特別乗車券が現在有効期間外であれば、交通機関の利用料金を徴収する(例えば、自動改札機を通過させると共に料金を徴収する)。なお、このような処理は、移動実績管理システム3以外のシステムが行ってもよい。
【0024】
次に、誘導案内システム1は、ユーザ端末4から受信した経路探索要求に基づき、移動経路の探索を行う。誘導案内システム1は、例えばユーザ端末4からの経路探索要求に混雑回避の指示が付帯している場合、最短経路の情報に加えて、代替経路の情報と、特別乗車券の有効期間の変更を提案する情報(以下、期間変更提案情報という)とを生成してユーザ端末4の出力装置の画面に表示させる。
【0025】
図2は、誘導案内システム1が備える機能部の一例を説明する図である。誘導案内システム1は、ダイヤ情報管理部201、路線経路情報管理部202、路線混雑情報管理部203、スポット情報管理部204、起動予約情報管理部205、誘導案内情報管理部206、検索条件受付部21、移動経路検索部22、混雑状況判定部23、代替経路導出部24、有効期間取得部25、変更提案作成部26、最終移動判定部27、誘導案内送信部28、期間変更指示部29、及び誘導結果判定部30の各機能部を備える。
【0026】
ダイヤ情報管理部201は、各交通機関の運行ダイヤの情報を記憶している。例えば、ダイヤ情報管理部201は、鉄道及びバスの各運行便の、駅及びバス停ごとの発着時刻を記憶している。
【0027】
路線経路情報管理部202は、各交通機関のコストの情報を記憶している。例えば、路線経路情報管理部202は、各交通機関の全ての駅間及びバス停間の所要時間及び運賃を記憶している。
【0028】
路線混雑情報管理部203は、各交通機関の混雑予測の情報(混雑予測情報)を記憶している。例えば、路線混雑情報管理部203は、鉄道及びバスの各路線単位及び系統単位、隣接区間単位、及び時間帯単位での混雑度の情報を記憶する。混雑予測情報は、例えば、過去の輸送実績に基づき予測された混雑の情報であり、混雑度の度合いを低い方から1から5までの5段階で表した情報である。
【0029】
スポット情報管理部204は、各交通機関の乗客が乗降可能な地点(例えば、駅、バス停等。以下、ノードという。)の近傍のスポット(例えば、店舗、イベント会場)及びその位置情報(以下、これらの情報をスポット情報という)を記憶している。例えば、スポット情報管理部204は、スポットの位置の情報、ノードからスポットまでの移動所要時間の情報を記憶している。
【0030】
起動予約情報管理部205は、後述する誘導結果判定部30による誘導結果判定処理S4010を実行するタイミングの情報である起動予定日時情報を記憶する。
【0031】
誘導案内情報管理部206は、生成された代替経路の情報及び期間変更提案情報(以下、これらを総称して誘導案内情報という)を記憶する。
【0032】
検索条件受付部21は、ユーザ端末4から受信した経路探索要求に付帯する、経路探索の条件(経路検索条件)を取得する。
【0033】
移動経路検索部22は、取得した経路検索条件に基づき、出発地から目的地までの最短経路と、その最短経路における出発地の出発時刻、経由地の発着時刻、及び目的地の到着時刻等の時間の情報(スケジュール)とを出力する。例えば、移動経路検索部22は、経路検索条件をキーとして、ダイヤ情報管理部201から交通機関の運行ダイヤを、路線経路情報管理部202から交通機関の運行経路をそれぞれ読み出して、経路検索条件に合った移動経路及びそのスケジュールを検索する。
【0034】
混雑状況判定部23は、混雑予測情報に基づき、移動経路検索部22が出力した最短経路及びそのスケジュールにおいてユーザが交通機関の混雑に遭遇するか否かを判定する。例えば、混雑状況判定部23は、移動経路検索部22で検索した経路を構成する区間(ノード間)をキーとして、路線混雑情報管理部203から路線別(系統別)、区間別の混雑予測情報を読み出して、その情報に基づきユーザが交通機関の混雑に遭遇するか否かを判定する。
【0035】
代替経路導出部24は、ユーザが交通機関の混雑に遭遇すると判定した場合に、その混雑を回避する代替経路の情報を出力する。なお、この場合、代替経路導出部24は、混雑を回避するために代替経路においてユーザが所定時間待機するノードがある場合、そのノードをキーとして、スポット情報管理部204から、当該ノードの周辺のスポットの情報を取得し、そのスポットをユーザの追加の立ち寄り先として特定することがある。
【0036】
有効期間取得部25は、乗車券管理システム2から、経路探索要求を送信してきたユーザ端末4に係るユーザの特別乗車券の有効期間を取得する。なお、変更提案作成部26は、この有効期間の情報と、代替経路導出部24が生成した代替経路の情報(例えば、各地点の発着時刻の情報)とに基づき、特別乗車券の有効期間を変更する提案を行うための情報(すなわち、期間変更提案情報)を動的に作成する。
【0037】
最終移動判定部27は、移動経路検索部22が出力した最短経路が、特別乗車券の有効期間の中での最終の(最遅の)移動経路であるか否かを判定する。
【0038】
誘導案内送信部28は、最短経路の情報、代替経路の情報、及び期間変更提案情報(すなわち、誘導案内情報)をユーザ端末4に送信する。また、誘導案内送信部28は、誘導案内情報管理部206に誘導案内情報を格納する。
【0039】
期間変更指示部29は、誘導案内情報が示す案内に対するユーザからの承諾の情報をユーザ端末4から受信すると、特別乗車券の有効期間を期間変更提案情報に従って変更し確定することを要求する情報(以下、期間変更要求という)を、乗車券管理システム2に送信する。
【0040】
誘導結果判定部30は、誘導案内送信部28がユーザ端末4に送信した代替経路と、移動実績管理システム3から取得したユーザの利用実績情報とを比較し、ユーザが実際に代替経路に従って移動したか否かを判定する。例えば、誘導結果判定部30は、起動予定日時情報が示す日時が到来した場合に、ユーザが代替経路に従って移動したか否かを判定する。
【0041】
尚、移動経路検索部22と、ダイヤ情報管理部201及び路線経路情報管理部202とは、必ずしも誘導案内システム1の内部に備える必要はなく、外部サービスが提供する経路検索API(Application Program Interface)等として構成されてもよい。また、混雑状況判定部23と路線混雑情報管理部203は、必ずしも誘導案内システム1の内部に備える必要はなく、例えば経路検索APIが混雑予測情報を生成し、生成した混雑予測情報を検索結果の一部として、誘導案内システム1に送信するとしてもよい。
【0042】
図3は、誘導案内システム1が備えるハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態における誘導案内システム1は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置31と、RAM(Random Access Memory)、又はROM(Read Only Memory)等のメモリ32と、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置33と、キーボード、マウス、又はタッチパネル等の入力装置34と、ディスプレイ又はタッチパネル等の出力装置35と、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USB(Universal Serial Interface)モジュール、又はシリアル通信モジュール等で構成される、他の情報処理装置と、第1の通信ネットワーク5又は第2の通信ネットワーク6を介して通信を行う通信装置36と、これらの装置間のデータ送受信を制御する制御装置37とを備える。なお、移動支援システム100における他の情報処理装置も同様のハードウェア構成を備える。
【0043】
以上に説明した、移動支援システム100における各情報処理装置の機能部の機能は、演算装置が、メモリ又は外部記憶装置からプログラムを読み出すことにより実現される。また各プログラムは、例えば、可搬性の又は固定された記録媒体に記録して配布することができる。なお、これらのプログラムは、その全部または一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術やプロセス空間分離技術等を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。また、これらのプログラムの全部または一部は、例えば、クラウドシステムがAPI (Application Programming Interface)等を介して提供するサービスによって実現してもよい。
次に、移動支援システム100で行われる処理について説明する。
【0044】
<誘導案内処理>
図4は、本実施形態における誘導案内システム1が行う処理(以下、誘導案内処理という)の概要を説明するフロー図である。誘導案内処理は、例えば、誘導案内システム1がユーザ端末4から経路探索要求を受信したことを契機に開始される。
【0045】
まず、検索条件受付部21は、ユーザ端末4から経路探索要求を受信して経路検索条件を取得する検索条件受付処理S4001を実行する(詳細は図5に記載)。
【0046】
移動経路検索部22は、検索条件受付処理S4001で取得した経路検索条件に基づき、出発地から目的地までの最短経路を検索する移動経路検索処理S4002を実行する(詳細は図6に記載)。
【0047】
混雑状況判定部23は、例えば経路探索要求に混雑回避の指示が付帯している場合、移動経路検索処理S4002で探索した最短経路において、経路探索要求を送信してきたユーザ端末4に係るユーザ(以下、本ユーザという)が交通機関の混雑に遭遇するか否かを判定する混雑状況判定処理S4003を実行する(詳細は図7に記載)。
【0048】
有効期間取得部25は、本ユーザの特別乗車券の有効期間に関する情報を取得する有効期間取得処理S4004を実行する(詳細は図8に記載)。
【0049】
最終移動判定部27は、移動経路検索部22で探索した最短経路のスケジュールが、有効期間取得処理S4004で取得した情報が示す有効期間中に目的地に到着するスケジュールの中で最遅のスケジュールの経路(以下、最終最短経路という)であるか(時間前倒しでの移動が可能であるか)を判定する最終移動判定処理S4005を実行する(詳細は図9に記載)。
【0050】
代替経路導出部24は、混雑状況判定部23で本ユーザが交通機関の混雑に遭遇すると判定した場合に、最終移動判定処理S4005で確定した最短経路と異なる、混雑回避可能な代替経路及びそのスケジュールを導出する代替経路導出処理S4006を実行する(詳細は図10-13に記載)。
【0051】
変更提案作成部26は、代替経路導出部24で導出した代替経路による移動を行う場合における期間変更提案情報を生成する変更提案作成処理S4007を実行する(詳細は図14-17に記載)。
【0052】
誘導案内送信部28は、最終移動判定処理S4005で特定した最終最短経路、代替経路導出処理S4006で導出した代替経路、及び、変更提案作成処理S4007で生成した期間変更提案情報を含む誘導案内情報を生成する誘導案内作成処理S4008を実行する(詳細は図18に記載)。
【0053】
期間変更指示部29は、誘導案内作成処理S4008で生成した誘導案内情報(期間変更提案情報)が示す、本ユーザの特別乗車券の有効期間の変更を実行する期間変更指示処理S4009を実行する(詳細は図19に記載)。
【0054】
誘導結果判定部30は、本ユーザが、誘導案内送信部28で生成した誘導案内情報が示す内容に従った経路で出発地から目的地まで移動したか否かを判定する誘導結果判定処理S4010を実行する(詳細は図20に記載)。以上で誘導案内処理は終了する。
以下、上記の各処理の詳細を説明する。
【0055】
<検索条件受付処理>
図5は、検索条件受付処理S4001の詳細を説明するフロー図である。
【0056】
検索条件受付部21は、ユーザ端末4から受信した経路探索要求に付帯する経路検索条件を取得する(ステップS5001)。経路検索条件には、例えば、出発地、目的地、出発地の出発時刻若しくは目的地の到着時刻、又は経由地等が含まれる。
【0057】
なお、検索条件受付部21は、ステップS5001で取得した経路検索条件が、移動経路検索部22等が定める所定の入力仕様(データ形式、データ型等)に従っているか否かを判定してもよい(ステップS5001)。経路検索条件が所定の入力仕様に従っていない場合、検索条件受付部21は、不正入力である旨を示す情報をユーザ端末4に送信し、誘導案内処理を終了してもよい。
【0058】
検索条件受付部21は、ステップS5001で取得した経路探索条件を移動経路検索部22に送信し、移動経路検索処理S4002を実行させる(ステップS5002)。以上で移動経路検索部22は終了する。
【0059】
<移動経路検索処理>
図6は、移動経路検索処理S4002の詳細を説明するフロー図である。
移動経路検索部22は、検索条件受付部21から受信した経路探索条件をキーとし、ダイヤ情報管理部201から運行ダイヤ情報を、路線経路情報管理部202からコスト情報をそれぞれ読み出し、経路検索条件に合った経路を検索する(ステップS6001)。
【0060】
具体的には、移動経路検索部22は、運行ダイヤ情報及びコスト情報に基づき、ダイクストラ法やA*(エースター)アルゴリズム等の経路探索手法を用いて、出発地から目的地までの最短経路(及びそのスケジュール)の探索を行う。なお、本処理は、前記したように、所定の経路検索API(WebAPI等)を呼び出して実現してもよい。移動経路検索部22は、検索した最短経路及びそのスケジュールの情報を、ユーザ端末4の出力装置の画面に表示させる。
【0061】
移動経路検索部22は、ステップS6001で得られた最短経路及びスケジュールの情報を、混雑状況判定部23に送信し、混雑状況判定処理S4003を実行させる(ステップS6002)。
【0062】
<混雑状況判定処理>
図7は、混雑状況判定処理S4003の詳細を説明するフロー図である。
【0063】
混雑状況判定部23は、移動経路検索部22から受信した最短経路及びそのスケジュールの情報に基づき、最短経路を構成する各区間(出発地から目的地までに存在する各ノード間。例えば、隣り合う一駅分の鉄道区間又は一バス停分のバス区間。)と、その区間の移動時間帯とを特定する。混雑状況判定部23は、特定した各区間及び移動時刻の情報と、混雑予測情報とに基づき、各区間の当該移動時間帯における混雑度を取得する(ステップS7001)。
【0064】
例えば、混雑状況判定部23は、各区間及び時間帯の情報(路線又は系統を含んでもよい)をキーとして、路線混雑情報管理部203の混雑予測情報から当該区間の混雑度を読み出す。
【0065】
混雑状況判定部23は、ステップS7001で取得した各区間の混雑度に基づき、最短経路における混雑度を、交通機関の種類(移動手段の種類)ごとに分割した区間(乗車区間)ごとに算出する(ステップS7002)。例えば、あるユーザが、A駅で列車に乗車し、その列車がB駅を経由して到着したC駅で降車し、さらに、バスに乗り継ぎC停留所で乗車し、そのバスがD停留所及びE停留所を経由して到着したF停留所で降車するという経路で移動した場合、混雑状況判定部23は、乗車区間は鉄道に係るA駅~C駅及びバスに係るC停留所~F停留所をそれぞれ乗車区間とする。
【0066】
また、混雑状況判定部23は、乗車区間の混雑度を算出する際、乗車区間の混雑度を、各乗車区間を構成する各区間の混雑度のなかで最大の混雑度としてもよいし、各乗車区間を構成する全区間の混雑度の平均値としてもよい。
【0067】
なお、本処理は、前記したように、所定の経路検索API(WebAPI等)を呼び出して実現してもよい。
【0068】
混雑状況判定部23は、ステップS7002で算出した各混雑度を参照し、混雑している乗車区間があるか否かを判定する(ステップS7003)。例えば、混雑状況判定部23は、5段階中混雑度が4以上の乗車区間があるか否かを判定することにより、混雑している乗車区間があるか否かを判定する。
【0069】
混雑している乗車区間がある場合は(ステップS7003:Yes)、混雑状況判定部23は、ステップS7004の処理を実行し、混雑している乗車区間がない場合は(ステップS7003:No)、混雑状況判定部23は、ステップS7005の処理を実行する。
【0070】
ステップS7004において混雑状況判定部23は、「混雑有り」(ユーザは混雑に遭遇する)を記憶し、有効期間取得部25を呼び出して有効期間取得処理S4004を実行させる。
【0071】
ステップS7005において混雑状況判定部23は、「混雑無し」(ユーザは混雑に遭遇しない)を記憶し、混雑状況判定処理S4003は終了する。
【0072】
<有効期間取得処理>
図8は、有効期間取得処理S4004の詳細を説明するフロー図である。
有効期間取得部25は、乗車券管理システム2から、本ユーザの特別乗車券の有効期間の情報を取得する(ステップS8001)。
【0073】
例えば、有効期間取得部25は、本ユーザのID及び最短経路を構成するノードの情報が付帯した取得要求を乗車券管理システム2に送信する。乗車券管理システム2は、受信した情報と、乗車券情報とに基づき、最短経路が本ユーザの特別乗車券の有効エリアに含まれており、かつその特別乗車券の利用開始日時が乗車券情報に既に設定されている場合に、その特別乗車券の利用開始日時及び利用終了日時(有効期間の情報)を、有効期間取得部25に送信する。
【0074】
有効期間取得部25は、ステップS8001で取得した本ユーザの特別乗車券の有効期間の情報を最終移動判定部27に送信すると共に、最終移動判定処理S4005を実行させる(ステップS8002)。
【0075】
<最終移動判定処理>
図9は、最終移動判定処理S4005の詳細を説明するフロー図である。
最終移動判定部27は、有効期間取得部25から、特別乗車券の有効期間の情報を受信すると、移動経路検索処理S4002で生成された最短経路及びそのスケジュールの情報を移動経路検索部22から取得する(ステップS9001)。
【0076】
最終移動判定部27は、上記受信した特別乗車券の有効期間が示す利用終了日時と、上記取得した最短経路のスケジュールの情報が示す目的地の到着日時とを比較し、両者の前後関係及び両者の時間差を算出する(ステップS9002)。
【0077】
最終移動判定部27は、利用終了日時が目的地の到着日時より遅く、かつ両者の時間差が一定時間内(例えば30分以内)であるか否かを判定する(ステップS9003)。
【0078】
利用終了日時が目的地の到着日時より遅く、かつ両者の時間差が一定時間内(例えば30分以内)である場合は(ステップS9003:Yes)、最終移動判定部27は、ステップS9004を実行し、利用終了日時が目的地の到着日時以前又は両者の時間差が一定時間を超える場合は(ステップS9003:No)、最終移動判定部27は、ステップS9005を実行する。
【0079】
ステップS9004において最終移動判定部27は、移動経路検索処理S4002で生成された最短経路及びそのスケジュールは、本ユーザが保有する特別乗車券の有効期間内で利用される最終最短経路及びそのスケジュールであると記憶する。その後は、ステップS9006の処理が行われる。
【0080】
ステップS9005において最終移動判定部27は、移動経路検索処理S4002で生成された最短経路及びそのスケジュールは、本ユーザが保有する特別乗車券の有効期間内で利用される最終最短経路及びそのスケジュールではないと記憶する。その後は、ステップS9006の処理が行われる。
【0081】
ステップS9006において最終移動判定部27は、代替経路導出部24を呼び出し、代替経路導出処理S4006を実行させる。
【0082】
<代替経路導出処理>
図10は、代替経路導出処理S4006の詳細を説明するフロー図である。
代替経路導出部24は、代替経路として分割経路(出発地と目的地の間の途中地点で一定時間待機する経路)を導出する分割経路導出処理S40061を実行する。また、代替経路導出部24は、代替経路として迂回経路(出発地と目的地は最短経路と同じであるが迂回して移動する経路)を導出する迂回経路導出処理S40062を実行する。また、代替経路導出部24は、代替経路として前倒経路(出発地の出発時刻を前倒しする場合)を導出する前倒経路導出処理S40063を実行する。
【0083】
なお、代替経路導出部24は、これらの処理の全てを実行してもよいし、これらの処理の一部のみを実行してもよい。代替経路導出部24は、ユーザ端末4からの指定に基づいて全部又は一部を実行してもよいし、予め設定された条件に応じた処理を自動的に実行してもよい。
【0084】
<分割経路導出処理>
図11は、分割経路導出処理S40061の詳細を説明するフロー図である。
代替経路導出部24は、混雑状況判定処理S4003が算出した、最短経路における各乗車区間の混雑度を取得する(ステップS10001)。また、代替経路導出部24は、移動経路検索処理S4002で算出した最短経路及びそのスケジュールを取得する。
【0085】
代替経路導出部24は、最短経路のスケジュールと、最短経路における各乗車区間の混雑度とに基づき、最短経路において最も出発地に近い、ユーザが最初に混雑に遭遇する乗車区間(例えば混雑度が4以上の乗車区間)又はその手前の乗車区間を特定し、出発地からその特定した乗車区間の目的地側のノード(以下、区間分割地点という)までの区間を、第1の区間として設定する(ステップS10002)。
【0086】
なお、区間分割地点を具体的にどのように決定するかについては、様々な方法がありうる。例えば、代替経路導出部24は、ユーザが最初に混雑に遭遇する乗車区間の直前のノードを区間分割地点としてもよいし、当該乗車区間の周辺(半径1km以内等)に存在するスポット数に応じて区間分割地点を設定してもよい(例えば、スポットの数が多い地域に存在するノードを区間分割地点とする)。
【0087】
代替経路導出部24は、最短経路における出発地の出発時刻を第1の区間の出発時刻とし、区間分割地点の到着時刻を第1の区間の到着時刻とすることで、第1の区間の経路のスケジュールを設定する(ステップS10003)。
【0088】
さらに、代替経路導出部24は、ステップS10002で特定した区間分割地点から、最短経路における目的地までの区間を、第2の区間とする(ステップS10004)。
【0089】
代替経路導出部24は、最短経路のスケジュールよりも後の時刻に区間分割地点を出発することでユーザが混雑に遭遇しないような、第2の区間の経路のスケジュールを特定する(ステップS10005)。
【0090】
具体的には、代替経路導出部24は、路線混雑情報管理部203から混雑予測情報を取得し、取得した混雑予測情報に基づき、最短経路のスケジュールにおける区間分割地点の到着時刻よりも後の時刻に区間分割地点を出発し、第2の区間の移動において混雑度が所定値以下(例えば混雑度が3以下)となり、かつ、最も早く目的地に到着するような、第2の区間の移動のスケジュールを探索する。代替経路導出部24は、探索したスケジュールにおける、区間分割地点の出発時刻及び目的地の到着時刻を特定する。
【0091】
代替経路導出部24は、ステップS10003で特定した第1の区間のスケジュール、及びステップS10005で特定した第2の区間の経路のスケジュールに基づき、第1の区間における区間分割地点の到着時刻から第2の区間における区間分割地点の出発時刻までの期間(すなわち、混雑の解消待ちのための時間)を算出する(ステップS10006)。
【0092】
さらに、代替経路導出部24は、算出した期間の間に区間分割地点を基点に本ユーザが立ち寄ることが可能なスポットを探索する(ステップS10006)。例えば、代替経路導出部24は、スポット情報管理部204が管理するスポット情報に登録されている各スポットについて、本ユーザが第1の区間における区間分割地点の到着時刻より後の時刻に区間分割地点を出発し、そのスポットに到着し、所定時間以上そのスポットに滞在し、第1の区間における区間分割地点の出発時刻より前の時刻に区間分割地点に到着することが可能であるかを判定することで、立ち寄り可能なスポットを探索する。
【0093】
代替経路導出部24は、ステップS10003で設定した第1の区間の移動経路(出発地から区間分割地点までの経路)及びそのスケジュールと、ステップS10006で特定した区間分割地点及びスポットの間の往復の経路及びスケジュール(スポットが探索できた場合)と、ステップS10005で設定した第2の区間の経路(区間分割地点から目的地までの経路)及びそのスケジュールとを組み合わせた経路及びそのスケジュールを、分割経路及びそのスケジュールとして記憶する。代替経路導出部24は、記憶した分割経路及びそのスケジュールを変更提案作成部26に送信し、変更提案作成処理S4007を実行させる(ステップS10007)。
【0094】
<迂回経路導出処理>
図12は、迂回経路導出処理S40062の詳細を説明するフロー図である。
【0095】
代替経路導出部24は、移動経路検索処理S4002で算出した最短経路及びそのスケジュールを取得する。また、代替経路導出部24は、混雑状況判定処理S4003で算出した、最短経路における各乗車区間の混雑度を取得する(ステップS11001)。
【0096】
代替経路導出部24は、ステップS11001で取得した最短経路と異なる、目的地から到着地までの経路を探索及びそのスケジュールを全て探索し、探索した各経路及びそのスケジュールについて、本ユーザが混雑に遭遇しないか否かを判定する(ステップS11002)。
【0097】
例えば、代替経路導出部24は、先に説明した移動経路探索処理S4002と同様の処理により、同じ経路探索条件(例えば、出発地、出発地の出発時刻、経由地、目的地、目的地の到着時刻)にて出発地から目的地までの経路(ただし、最短経路とは異なる経路)を全て探索する。代替経路導出部24は、探索した各経路及びそのスケジュールについて、先に説明した混雑状況判定処理S4003と同様の処理により、本ユーザが混雑に遭遇するか否かを判定する。
【0098】
探索した経路及びそのスケジュールが本ユーザが混雑に遭遇しないものである場合には(ステップS11002:Yes)、代替経路導出部24はその経路についてステップS11003の処理を実行し、探索した経路及びそのスケジュールが本ユーザが混雑に遭遇するものである場合には(ステップS11002:No)、代替経路導出部24はその経路についてステップS11004の処理を実行する。
【0099】
ステップS11003において代替経路導出部24は、その経路を迂回経路として記憶する。そして、代替経路導出部24は、その迂回経路及びそのスケジュールの情報を、変更提案作成部26に送信する(ステップS11005)。
【0100】
ステップS11004において代替経路導出部24は、その経路は迂回経路ではないと記憶する。
【0101】
代替経路導出部24は、ステップS11002~ステップS11005を探索した全ての経路について繰り返すと共に、変更提案作成処理S4007を実行させる。なお、代替経路導出部24は、複数の経路が探索された場合、所定のルールに従って各経路に優先順位を設定し(例えば、目的地に早く到着する順に優先順位を設定する)、最も優先順位が高い経路のみを迂回経路として記憶してもよい。
【0102】
<前倒経路導出処理>
図13は、前倒経路導出処理S40063の詳細を説明するフロー図である。
【0103】
代替経路導出部24は、移動経路検索処理S4002で算出した最短経路及びそのスケジュールを取得する。また、代替経路導出部24は、混雑状況判定処理S4003で特定された最短経路における各乗車区間の混雑度を取得する(ステップS12001)。
【0104】
代替経路導出部24は、出発地の出発時刻が最短経路のスケジュールよりも早い時刻のスケジュールの経路(出発地及び目的地が同一であれば最短経路と経由地は異なっていてもよい)の移動経路(ステップS12001で取得した最短経路と同じ経路であるが出発時刻がより早い経路)を探索し、探索した各経路及びそのスケジュールにおいて、本ユーザが混雑に遭遇しない経路があるか否かをそれぞれ判定する(ステップS12002)。
【0105】
例えば、代替経路導出部24は、経路探索条件として先に最短経路で設定された出発地の出発時刻よりも早い時刻(例えば、1分早い時刻)を出発地の出発時刻に設定し、経路探索条件として先に最短経路で設定された目的地の到着時刻よりも早い時刻(例えば、1.5時間前)を目的地の到着時刻に設定し、その他の条件は先の経路探索条件と同様とした経路探索条件を設定する。代替経路導出部24は、設定した経路探索条件に基づき、先に説明した移動経路探索処理S4002と同様の処理により全ての経路を探索し、探索した経路のうち先に特定した最短経路と同じ経路のみを抽出する。さらに、代替経路導出部24は、抽出した各経路及びそのスケジュールについて、先に説明した混雑状況判定処理S4003と同様の処理により、本ユーザが混雑に遭遇するか否かを判定する。なお、代替経路導出部24は、経由地が異なるが出発地及び目的地が同じ経路があれば、そのような経路を探索してもよい。
【0106】
本ユーザが混雑に遭遇しない経路が探索された場合は(ステップS12002:Yes)、代替経路導出部24は、ステップS12003を実行し、本ユーザが混雑に遭遇しない経路が探索されなかった場合は(ステップS12002:No)、代替経路導出部24は、ステップS12004を実行する。
【0107】
ステップS12003において代替経路導出部24は、探索した各経路を前倒経路として記憶する。代替経路導出部24は、各前倒経路及びそのスケジュールを変更提案作成部26に送信するとともに、変更提案作成処理S4007を実行させる(ステップS12005)。
【0108】
ステップS12004において代替経路導出部24は、前倒経路はないと記憶し、前倒経路導出処理S40063は終了する。
【0109】
なお、代替経路導出部24は、複数の経路が探索された場合、所定のルールに従って各経路に優先順位を設定し(例えば、目的地に遅く到着する順に優先順位を設定する)、最も優先順位が高い経路のみを前倒経路として記憶してもよい。
【0110】
<変更提案作成処理S4007>
図14は、変更提案作成処理S4007の詳細を説明するフロー図である。
変更提案作成部26は、分割経路導出処理S40061を実行した場合、分割経路に対応して特別乗車券の有効期間を変更するための提案を行う情報を生成する分割経路変更提案作成処理S40071を実行する。また、変更提案作成部26は、迂回経路導出処理S40062を実行した場合、迂回経路に対応して特別乗車券の有効期間を変更するための提案を行う情報を生成する迂回経路変更提案作成処理S40072を実行する。また、変更提案作成部26は、前倒迂回経路導出処理S40063を実行した場合、前倒経路に対応して特別乗車券の有効期間を変更するための提案を行う情報を生成する前倒経路変更提案作成処理S40073を実行する。
【0111】
<分割経路対応変更提案作成処理>
図15は、分割経路対応変更提案作成処理S40071の詳細を説明するフロー図である。
【0112】
変更提案作成部26は、本ユーザの特別乗車券の情報を取得する(ステップS13001)。例えば、変更提案作成部26は、乗車券管理システム2から本ユーザの乗車券情報を取得する。
【0113】
変更提案作成部26は、本ユーザの特別乗車券の第1の有効期間として、分割経路における第1の区間に対応する有効期間を記憶する(ステップS13002)。例えば、変更提案作成部26は、ステップS13001で取得した乗車券情報における利用開始日時から、代替経路導出部24で算出した分割経路の第1の区間における区間分割地点の到着時刻までの時間帯を、本ユーザの特別乗車券の第1の有効期間と設定する。
【0114】
変更提案作成部26は、本ユーザの特別乗車券の第2の有効期間として、分割経路における第2の区間に対応する有効期間を記憶する(ステップS13003)。例えば、変更提案作成部26は、本ユーザの特別乗車券の有効長さ(例えば、6時間券であれば、6時間)から、ステップS13002で設定した第1の区間の有効期間の時間長を減算した時間長を、本ユーザの特別乗車券の残りの有効期間とする。変更提案作成部26は分割経路における第2の区間の区間分割地点の出発時刻に、上記残りの有効期間を加えた時刻を算出する。変更提案作成部26は、第2の区間の区間分割地点の出発時刻から、上記算出した時刻までの期間を、第2の区間に対応する第2の有効期間とする。
【0115】
変更提案作成部26は、ステップS13002で記憶した有効期間と、ステップS13003で記憶した第2の有効期間とを本ユーザの特別乗車券の有効期間に関する提案情報(新たな有効期間の提案のための情報)として生成する(ステップS13004)。
【0116】
変更提案作成部26は、ステップS13004で生成した提案情報と、代替経路及びそのスケジュールとを誘導案内送信部28に送信する(ステップS13005)。その後、誘導案内送信処理S4008が実行される。
【0117】
<迂回経路対応変更提案作成処理>
図16は、迂回経路対応変更提案作成処理S40072の詳細を説明するフロー図である。
【0118】
変更提案作成部26は、本ユーザの特別乗車券の情報を取得する(ステップS14001)。例えば、変更提案作成部26は情報提供要求を送信することで、乗車券管理システム2から本ユーザの乗車券情報を取得する。
【0119】
変更提案作成部26は、移動経路検索処理S4002で特定した最短経路のスケジュールに基づき、最短経路による出発地から目的地までの移動所要時間を算出する。また、変更提案作成部26は、迂回経路導出処理S40062で算出した迂回経路のスケジュールに基づき、迂回経路による出発地から目的地までの移動所要時間を算出する。そして、変更提案作成部26は、迂回経路に係る移動所要時間が最短経路に係る移動所要時間よりも大きいか否かを確認する(ステップS14002)。
【0120】
迂回経路に係る移動所要時間が最短経路に係る移動所要時間よりも長い場合は(ステップS14002:Yes)、変更提案作成部26はステップS14003の処理を実行し、迂回経路に係る移動所要時間が最短経路に係る移動所要時間よりも長くない場合は(ステップS14002:No)、変更提案作成部26はステップS14004の処理を実行する。
【0121】
ステップS14003において変更提案作成部26は、ステップS14001で取得した本ユーザの特別乗車券の利用終了時刻に、迂回経路に係る移動所要時間と最短経路に係る移動所要時間との差分の時間を加算する。変更提案作成部26は、その加算の結果得られた時刻を、本ユーザの特別乗車券の有効期間(利用終了時刻)に関する提案情報として生成する。
【0122】
そして、変更提案作成部26は、ステップS14003で生成した提案情報と、代替経路及びそのスケジュールとを誘導案内送信部28に送信する(ステップS14005)。その後、誘導案内送信処理S4008が実行される。
【0123】
ステップS14004において変更提案作成部26は、迂回経路による特別乗車券の有効期間の変更は必要ないと判断し、迂回経路対応変更提案作成処理S40072を終了する。
【0124】
<前倒経路対応変更提案作成処理>
図17は、前倒経路対応変更提案作成処理S40073の詳細を説明するフロー図である。
【0125】
変更提案作成部26は、最終移動判定処理S4005で特定した最短経路が最終最短経路であるか否かを確認する(ステップS15001)。
【0126】
最終移動判定処理S4005で特定した最短経路が最終最短経路である場合は(ステップS15002:Yes)、変更提案作成部26はステップS15003の処理を実行し、最終移動判定処理S4005で特定した最短経路が最終最短経路でない場合は(ステップS15002:No)、変更提案作成部26はステップS15004の処理を実行する。
【0127】
ステップS15003において変更提案作成部26は、まず、本ユーザの特別乗車券の情報を取得する。例えば、変更提案作成部26は、情報提供要求を送信することで、乗車券管理システム2から本ユーザの乗車券情報を取得する。
【0128】
そして、変更提案作成部26は、取得した本ユーザの特別乗車券の有効期間の利用終了時刻を、前倒経路導出処理S40063で算出した前倒経路における目的地の到着時刻に設定する提案情報を生成する(特別乗車券の有効期間の利用終了時刻の前倒しを提案する)。
【0129】
そして、変更提案作成部26は、移動経路検索処理S4002で算出した最短経路における目的地の到着時刻から、前倒経路導出処理S40063で算出した前倒経路における目的地の到着時刻を減算することで移動短縮時間を算出する(S15003)。
【0130】
そして、変更提案作成部26は、移動短縮時間に対応する補償内容を決定する(S15005)。
【0131】
例えば、変更提案作成部26は、移動短縮時間に対応する料金を本ユーザに支払う(返金する)、移動短縮時間に応じたポイント又は割引クーポンを本ユーザに設定する。なお、返金額、ポイント付与額、及び割引クーポンの割引額の算出は、例えば、移動短縮時間あたりの相当額を予め決めておくことで算出することができる。
【0132】
変更提案作成部26は、ステップS15003で生成した提案情報と、補償内容と、前倒経路及びそのスケジュールとを誘導案内送信部28に送信するとともに、誘導案内送信処理S4008を実行させる(ステップS15005)。
【0133】
一方、S15004においては、最終移動判定処理S4005で特定した最短経路は最終最短経路ではないことから、変更提案作成部26は、本ユーザはこの経路による移動以降、特別乗車券の有効期間内に交通機関による移動を行う可能性があるとして、特別乗車券の有効期間の変更の提案を行わない旨を記憶し、前倒経路対応変更提案作成処理S40073は終了する。
【0134】
<誘導案内送信処理>
図18は、誘導案内送信処理S4008の詳細を説明するフロー図である。
【0135】
誘導案内送信部28は、変更提案作成部26から受信した提案情報及び、経路の情報等に基づき、誘導案内情報を生成する(ステップS16001)。
【0136】
例えば、分割経路について誘導案内送信部28は、分割経路の情報と、本ユーザの特別乗車券の有効期間を第1の区間の有効期間及び第2の区間の有効期間に分割する提案の情報とを含む誘導案内情報を生成する。
【0137】
また、例えば、迂回経路について誘導案内送信部28は、迂回経路の情報と、本ユーザの特別乗車券の有効期間を延長する提案の情報とを含む誘導案内情報を生成する。
【0138】
また、例えば、前倒経路について誘導案内送信部28は、前倒経路の情報と、本ユーザの特別乗車券の有効期間を短縮する提案の情報と、補償内容の情報とを含む誘導案内情報を生成する。
【0139】
そして、誘導案内送信部28は、ステップS16001で生成した誘導案内情報を、本ユーザに係るユーザ端末4に送信し、また、誘導案内情報管理部206に誘導案内情報を格納する(ステップS16002)。例えば、誘導案内送信部28は、本ユーザのユーザIDと、ユーザ端末4への誘導案内情報の送信日時と、誘導案内情報における代替経路の情報と、提案情報とを、経路探索要求ごとに割り当てられたID(案内ID)に対応付けて、誘導案内情報管理部206に格納する。
【0140】
ここで、ユーザ端末4は、誘導案内情報を受信すると、受信した誘導案内情報の内容を出力装置の画面に表示する。そして、ユーザ端末4は、誘導案内情報が示す内容を承諾するか否かの入力(応諾応答。例えば、代替経路による移動を承諾するか否か、又は、特別乗車券の有効期間を変更するか否かの入力)を本ユーザから受け付ける。ユーザ端末4は、入力された承諾応答を、期間変更指示部29に送信する。
【0141】
そして、誘導案内送信部28は、期間変更指示部29に案内IDを送信するとともに、期間変更指示処理S4009を実行させる(ステップS16003)。
【0142】
<期間変更指示処理>
図19は、期間変更指示処理S4009の詳細を説明するフロー図である。
【0143】
期間変更指示部29は、誘導案内送信部28から案内IDを受信し実行指示を受け付けると、所定のタイマーを起動する(ステップS17001)。
【0144】
期間変更指示部29は、所定時間待機する(ステップS17002)。
【0145】
そして、期間変更指示部29は、所定時間内に、ユーザ端末4から応諾応答を受信した場合には、誘導案内情報が示す内容に従って、本ユーザの特別乗車券の変更後の有効期間を乗車券管理システム2に登録する(ステップS17003)。
【0146】
例えば、期間変更指示部29は、誘導案内情報管理部206から、案内IDをキーに代替経路及び提案情報の情報を取得し、取得した提案情報における有効期間の情報を含む期間変更要求を、乗車券管理システム2に送信する。
【0147】
そして、期間変更指示部29は、乗車券管理システム2から、有効期間の変更の登録の完了を示す情報を受信すると、誘導結果判定部30に、誘導案内送信部28から受信した案内IDを送信するとともに、誘導結果判定処理S4010の起動時刻の情報(起動予定日時情報)が付帯した起動指示を、誘導結果判定部30に送信する(ステップS17004)。
【0148】
なお、この起動指示について、誘導結果判定処理S4010は、前記したように、本ユーザが最短経路ではなく代替経路による移動を行ったか否かを判定する処理である。したがって、上記の起動指示における起動日時予定情報は、少なくとも代替経路の目的地の到着時刻より後の日時の情報である。
【0149】
<誘導結果判定処理>
図20は、誘導結果判定処理S4010の詳細を説明するフロー図である。
【0150】
誘導結果判定部30は、誘導案内送信部28から案内ID及び起動指示を受信すると、受信した案内ID及び起動予定日時情報を対応づけて起動予約情報管理部205に格納する(ステップS18001)。
【0151】
誘導結果判定部30は、起動予約情報管理部205を所定のタイミングで監視し(例えば、一日に一回、毎日午前2時)、ステップS18001で格納した起動予定日時情報が示す日時が到来したか否かを判定する(ステップS18002)。
【0152】
誘導結果判定部30は、起動予定日時情報が示す日時が到来した場合、その日時が到来した案内IDをキーに、誘導案内情報管理部206から、ユーザID及びその誘導案内情報を取得する(ステップS18003)。
【0153】
誘導結果判定部30は、ステップS18003で取得した誘導案内情報から代替経路の情報(例えば、出発地、経由地、目的地、出発時刻、経由地の発着時刻、目的地の到着時刻)を抽出する。(ステップS18004)
【0154】
誘導結果判定部30は、ステップS18003で取得したユーザIDを含む利用実績情報の取得要求を送信し、移動実績管理システム3から、そのユーザの利用実績情報(経路及びそのスケジュール)を全て取得する。(ステップS18005)。
【0155】
誘導結果判定部30は、ステップS18005で取得した各利用実績情報が示す経路及びそのスケジュールについて、ステップS18004で抽出した代替経路及びそのスケジュールが、当該利用実績情報が示す経路及びスケジュールと類似の経路及びスケジュール(以下、類似実績という)であるか否かを判定する(ステップS18006)。
【0156】
例えば、誘導結果判定部30は、ユーザが、代替経路の主要地点(例えば、出発地、目的地、及び予め設定された経由地)を、各主要地点の到着時間から所定の時間差以内(例えば前後10分)に通過している経路及びそのスケジュールがあるか否かを確認する。なお、このような条件を満たす経路及びスケジュールが複数存在する場合は、誘導結果判定部30は、例えば、最も類似する経路及びスケジュールを類似実績として特定する。
【0157】
類似実績が存在する場合は(ステップS18006:Yes)、誘導結果判定部30はステップS18007の処理を実行し、類似実績が存在しない場合は(ステップS18006:No)、誘導結果判定部30はステップS18008の処理を実行する。
【0158】
ステップS18007において誘導結果判定部30は、上記案内IDに係るユーザは、代替経路に従って出発地から目的地まで移動したと記憶し、又はその旨を示す情報をユーザ端末4の出力装置の画面に出力する。その後、誘導結果判定処理S4010は終了する。
【0159】
ステップS18008において誘導結果判定部30は、上記案内IDに係るユーザは、代替経路に従って出発地から目的地まで移動しなかったと記憶し、又はその旨を示す情報をユーザ端末4の出力装置の画面に出力する。その後、誘導結果判定処理S4010は終了する。なお、この場合、ユーザ(ユーザ端末4)は、承諾応答を誘導案内システム1に送信したにもかかわらず代替経路による移動を行わなかったことになるため、誘導結果判定部30は、例えば、有効期間の変更を無効にする処理を実行し、又は代替経路に従わなかったことに対する警告をユーザ端末4に送信してもよい。
【0160】
なお、誘導結果判定部30は、ステップS18002で、起動予定日情報が示す日時が到来した案内IDを複数抽出した場合、抽出した案内IDそれぞれについてステップS18003~ステップS18008の処理を実行する。
【0161】
以上に説明したように、本実施形態の移動支援システム100は、特別乗車券の有効期間内における出発地から目的地までの最短経路とそのスケジュールとを探索し、その最短経路のスケジュールによる移動において交通機関の混雑に遭遇するか否かを判定し、交通機関の混雑に遭遇すると判定した場合に、その混雑を回避する、出発地から目的地までの経路である代替経路を特定し、特定した代替経路を示す情報を出力装置に出力する。さらに、本実施形態の移動支援システム100は、代替経路における出発地の出発時刻及び目的地の到着時刻を特定し、特定した出発地の出発時刻及び目的地の到着時刻と、特別乗車券の有効期間とに基づき、代替経路のスケジュールによる移動が特別乗車券の有効期間内の移動となるような、特別乗車券の新たな有効期間の情報を生成し、生成した情報を乗車券管理システム2に設定する。
【0162】
すなわち、本実施形態の移動支援システム100は、探索された経路及びそのスケジュールで移動した場合にユーザが混雑に遭遇する場合には、その混雑を回避する代替経路の情報を出力する。さらに、移動支援システム100は、その代替経路及びそのスケジュールに応じて、特別乗車券の有効期間を有効に変更する。
【0163】
すなわち、特別乗車券を保有するユーザは、特別乗車券の有効期間に関して不利益を被ることなく、混雑回避の経路及びそのスケジュールを選択することができる。そして、このような構成によれば、特別乗車券を利用するユーザの数が増加した場合でも、各ユーザが混雑に遭遇することを防ぐことができる。すなわち、ユーザが混雑回避行動をとり易くするようにすることができる。
【0164】
以上のように、本実施形態の移動支援システム100によれば、混雑に遭遇しないように各ユーザを出発地から目的地まで移動させるよう促すことができる。
【0165】
また、本実施形態の移動支援システム100は、最短経路における経由地のうち交通機関の混雑に遭遇する以前に到着する経由地(区間分割地点)の到着時刻を算出し、最短経路と同じ経路であり、上記区間分割地点の到着時刻に区間分割地点に到着し、区間分割地点の到着時刻より後の時刻に区間分割地点を出発し、交通機関の混雑に遭遇せずに区間分割地点から目的地まで移動する経路及びそのスケジュールを分割経路及びそのスケジュールとして特定し、区間分割地点の到着時刻から区間分割地点の出発時刻までの時間に応じた長さの特別乗車券の有効期間の延長を示す情報を生成する。
【0166】
すなわち、本実施形態の移動支援システム100は、経由地(区間分割地点)の到着時刻及び出発時刻の間の時間長さに応じて、特別乗車券の有効期間を延長する。これによって、ユーザは、分割経路及びそのスケジュールによる移動を実行しても、特別乗車券の有効期間に関して不利益を被らずにすむ。
【0167】
また、本実施形態の移動支援システム100は、経由地(区間分割地点)の到着時刻以降の時刻に区間分割地点を出発して到着可能であり、区間分割地点の到着時刻より後の時刻以前に区間分割地点に到着可能なスポットを、所定のデータベースに基づき探索し、探索したスポットに関する情報を出力装置に出力する。
【0168】
このように、分割経路における区間分割地点で待ち時間が発生する場合に立ち寄り可能なスポットの情報を出力することで、ユーザは、出発地から目的地までの移動における待ち時間(空き時間)を有効に使うことができる。
【0169】
また、本実施形態の移動支援システム100は、最短経路とは異なる出発地から目的地までの経路であって、交通機関の混雑を回避し、最短経路における目的地の到着時刻より後の時刻に目的地に到着するスケジュールの迂回経路を代替経路として特定し、最短経路における目的地の到着時刻から迂回経路における目的地の到着時刻までの時間の長さに応じた特別乗車券の有効期間の延長を示す情報を生成する。
【0170】
すなわち、本実施形態の移動支援システム100は、迂回経路による移動によって生じた移動時間の増加に応じて、特別乗車券の有効期間を延長する。これによって、ユーザは、迂回経路及びそのスケジュールを採用しても、特別乗車券の有効期間内で移動することができる。
【0171】
また、本実施形態の移動支援システム100は、最短経路と同じ経路であって、交通機関の混雑を回避し、最短経路における出発地の出発時刻よりも早い時刻に出発地を出発し、最短経路における目的地の到着時刻よりも早い時刻に目的地に到着するスケジュールの前倒経路を代替経路として特定し、前倒経路の目的地の到着時刻から最短経路における目的地の到着時刻までの時間の長さに応じた特別乗車券の有効期間の短縮を示す情報を生成する。
【0172】
すなわち、本実施形態の移動支援システム100は、前倒経路による移動によって生じた移動時間の短縮に応じて、特別乗車券の有効期間を短縮する。これによって、ユーザは、短縮経路及びそのスケジュールを採用しても、特別乗車券の有効期間内で移動することができる。
【0173】
また、本実施形態の移動支援システム100は、代替経路及び上記新たな有効期間の情報(提案情報)をユーザ端末4に送信し、ユーザ端末4から、提案情報に対応する承諾情報を受信した場合に、特別乗車券の新たな有効期間の情報を乗車券管理システム2に設定する。
【0174】
このように、特別乗車券の新たな有効期間の情報を乗車券管理システム2に設定する前に、ユーザ端末4からの承諾情報の受信を要求することで、ユーザは、自身が必要な場合にのみ特別乗車券の有効期間の変更を行うことができる。
【0175】
また、本実施形態の移動支援システム100は、移動実績管理システム3に記憶されている各ユーザの利用実績情報に基づき、ユーザが代替経路による出発地から目的地までの移動を行ったか否かを判定し、ユーザが代替経路による出発地から目的地までの移動を行ったと判定した場合に、所定の情報を出力する。
【0176】
これにより、ユーザ等は、代替経路に従って移動をしたか否かを判断することができる。
【0177】
また、本実施形態の移動支援システム100は、特別乗車券の有効期間の短縮に対応する価値の情報を生成する。
【0178】
このように、有効期間の短縮をカバーする補償(例えば、有効期間の短縮分の料金の返金、又は、短縮分に応じたポイント若しくは割引クーポンの付与等)の情報を生成することで、ユーザは、前倒経路を採用して特別乗車券の有効期間が短縮されても不利益を被らずにすむことができる。
【0179】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、任意の構成要素を用いて実施可能である。以上説明した実施形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0180】
例えば、本実施形態の各装置が備えるハードウェアの一部は、他の装置に設けてもよい。
【0181】
また、各装置の各プログラムは他の装置に設けてもよいし、あるプログラムを複数のプログラムからなるものとしてもよいし、複数のプログラムを一つのプログラムに統合してもよい。
【符号の説明】
【0182】
1 提案システム、30 提案装置、200 選好度ルールデータ、300 選好度表データ、100 個別プロジェクトクレジットデータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18
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図20