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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168079
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241128BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G21/00 388
G03G15/08 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084480
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】木原 隆義
(72)【発明者】
【氏名】福島 直樹
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AA01
2H077AA35
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD17
2H077AD23
2H077AE03
2H077DA08
2H077DB02
2H077GA04
2H270LA14
2H270LA76
2H270LA87
2H270LB02
2H270LB08
2H270MA18
2H270MC30
2H270MD02
2H270MD13
2H270MD14
2H270MF13
2H270RA03
2H270RA10
2H270RC01
2H270RC05
2H270RC08
2H270ZC03
(57)【要約】
【課題】トナーの残量の予測精度を向上させ、トナーの残量を検知するための検知動作の回数を削減すること。
【解決手段】制御部150は、現像ユニット4の使用期間における精度補正可能領域において、トナー検知部80によって第1信号が出力された場合に補給を開始し、第1信号と異なる第2信号が出力された場合に再び第1信号が出力されるまで補給を停止する補給停止期間が設定されるようにトナーカートリッジ9を制御し、補給停止期間のトナー消費量と、補給停止期間のピクセル数と、に基づいて単位ピクセル当たりのトナー消費量に関する第2情報を取得し、使用期間における補正可能領域よりも後の飽和領域において、第2情報に基づいて第1情報を取得する(S301~S305)。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される像担持体と、
トナーを収容するトナー収容部と、前記トナーを担持する現像ローラであって前記像担持体にトナーを供給することによって前記静電潜像を現像する現像装置と、
トナーを収容するトナー容器と、
前記トナー容器から前記トナー収容部にトナーを補給する補給手段と、
前記補給手段を制御する制御部と、
前記トナー収容部に収容されているトナーの残量に相関する信号を出力するトナー残量検知部と、
画像情報から印字画像のピクセル数をカウントし、前記ピクセル数に基づいて前記トナー収容部のトナー残量に関する第1情報を取得する取得部と、
を有し、
前記制御部は、
前記現像装置の使用期間における第1期間において、前記トナー残量検知部によって第1信号が出力された場合に補給を開始し、前記第1信号と異なる第2信号が出力された場合に再び前記第1信号が出力されるまで補給を停止する補給停止期間が設定されるように前記補給手段を制御し、前記補給停止期間のトナー消費量と、前記補給停止期間の前記ピクセル数と、に基づいて単位ピクセル当たりのトナー消費量に関する第2情報を取得し、
前記使用期間における前記第1期間よりも後の第2期間において、前記第2情報に基づいて前記第1情報を取得する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記使用期間は、前記現像装置の未使用時から寿命が報知されるまでの期間であり、前記第1期間は前記使用期間の前半にあり、前記第2期間は前記使用期間の後半にあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1期間においては、所定の印字枚数毎に前記トナー残量検知部による検知を行い、前記第2期間においては、所定の印字枚数毎に前記トナー残量検知部による検知を行わないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2期間における補給停止重量と補給開始重量との差が、前記第1期間における補給停止重量と補給開始重量との差よりも小さくなるように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記補給停止期間のトナー消費量を記憶するメモリを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記補給装置は、回転することで前記補給装置から前記トナー収容部にトナーを補給するスクリューを有し、
前記制御部は、前記スクリューの回転数に基づいて前記補給装置から前記トナー収容部に供給されるトナーの補給量を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記補給装置は、伸縮することで前記補給装置内の内圧を変動させて前記補給装置から前記トナー収容部にトナーを補給するためのポンプと、前記ポンプの伸縮を駆動する駆動部と、を有し、
前記制御部は、前記駆動部の駆動時間に基づいて前記補給装置から前記トナー収容部に供給されるトナーの補給量を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記検知部は、光を発する発光部と、前記発光部からの光を受光する受光部と、を有し、
前記制御部は、前記受光部から出力される電圧に基づき前記トナー収容部のトナーの残量を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記検知部は、第1電極と第2電極とを有し、
前記制御部は、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量に基づいて前記トナー収容部のトナーの残量を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置又は静電記録装置の画像形成装置及びトナー補給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成方式(電子写真プロセス)を用いたプリンタ等の画像形成装置では、像担持体としての電子写真感光体(以下、「感光体」という。)を一様に帯電させ、帯電した感光体を選択的に露光することによって、感光体上に静電像を形成する。感光体上に形成された静電像は、現像装置により現像剤(以下、「トナー」という。)でトナー像として顕像化される。そして、感光体上に形成されたトナー像を、記録用紙、プラスチックシート等の記録材に転写し、更に記録材上に転写されたトナー像に熱や圧力を加えることでトナー像を記録材に定着させることで画像記録が行われる。
【0003】
このような画像形成装置は、一般に、トナーの補給や各種のプロセス手段のメンテナンスを必要とする。このトナーの補給作業や各種のプロセス手段のメンテナンスを容易にするために、感光体、帯電手段、現像手段、クリーニング手段等を枠体内にまとめてカートリッジ化し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジとすることが実用化されている。プロセスカートリッジ方式によれば、ユーザビリティに優れた画像形成装置を提供することができる。
【0004】
複数の感光体を鉛直方向と交差する方向に一列に配置したインライン方式の画像形成装置として、複数の感光体を備え、被転写体としての中間転写体、又は、被転写体としての記録材を搬送する記録材担持体を配置したものがある。プロセスカートリッジにトナーを補給するためのトナーカートリッジを設け、逐次トナーを補給する構成がよく知られている。トナーカートリッジにはトナー残量を検知するためのセンサを設け、ユーザーにトナー残量を逐次報知し、又は、ユーザーにトナーカートリッジの交換を促すことができる(例えば、特許文献1参照)。また、トナー残量を検知するセンサを設ける代わりに、トナーカートリッジのトナー補給動作をカウントすることでトナーカートリッジ内のトナー残量を予測する構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、レーザースキャナ等の露光装置によって感光ドラム上に作像される画像のドット数を計測し、画像形成装置内のメモリ等によってカウントすることで、印字によって使用したトナー消費量を推定する制御がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-253203号公報
【特許文献2】特開2021-060510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、現像室内のトナー残量を検知するためには、現像室内に設置されたセンサを用いてトナー残量の測定制御を定期的に実施する必要がある。トナー残量の測定制御には、測定にある一定の時間が必要であり、その間、ユーザーがプリントを実施できない時間(ダウンタイム)が発生してしまうなど課題がある。また、画像のドット数を計測した結果に基づきトナー消費量を推定する制御の場合、画像形成部の個体ばらつきによってトナー消費量の推定値に誤差が発生するという課題がある。
【0007】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、トナーの残量の予測精度を向上させ、トナーの残量を検知するための検知動作の回数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、以下の構成を備える。
【0009】
(1)静電潜像が形成される像担持体と、トナーを収容するトナー収容部と、前記トナーを担持する現像ローラであって前記像担持体にトナーを供給することによって前記静電潜像を現像する現像装置と、トナーを収容するトナー容器と、前記トナー容器から前記トナー収容部にトナーを補給する補給手段と、前記補給手段を制御する制御部と、前記トナー収容部に収容されているトナーの残量に相関する信号を出力するトナー残量検知部と、画像情報から印字画像のピクセル数をカウントし、前記ピクセル数に基づいて前記トナー収容部のトナー残量に関する第1情報を取得する取得部と、を有し、前記制御部は、前記現像装置の使用期間における第1期間において、前記トナー残量検知部によって第1信号が出力された場合に補給を開始し、前記第1信号と異なる第2信号が出力された場合に再び前記第1信号が出力されるまで補給を停止する補給停止期間が設定されるように前記補給手段を制御し、前記補給停止期間のトナー消費量と、前記補給停止期間の前記ピクセル数と、に基づいて単位ピクセル当たりのトナー消費量に関する第2情報を取得し、前記使用期間における前記第1期間よりも後の第2期間において、前記第2情報に基づいて前記第1情報を取得する、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、トナーの残量の予測精度を向上させ、トナーの残量を検知するための検知動作の回数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の画像形成装置の概略図
図2】実施形態のプロセスカートリッジの概略図、トナー検知部を説明する概略図
図3】実施形態のトナーカートリッジの主断面図
図4】実施形態のトナーカートリッジの後方からの全体斜視図
図5】実施形態のトナー補給構成を説明する概略図
図6】実施形態のトナー残量検知の一例を説明するフローチャート
図7】実施形態のトナーの残量と変動幅ΔVの関係を示すグラフ、光パルスカウントの推移を示すグラフ
図8】実施形態の摺擦回数とトナー残量との関係を示す図、プリント枚数と摺擦回数との関係を示す図
図9】実施例1の精度補正可能領域、飽和領域を説明する図、補給なし区間を説明する図
図10】実施例1のプロセスカートリッジの初期装着時の処理を示すフローチャート
図11】実施例1の変換係数の補正動作を示すフローチャート
図12】実施例1の精度補正可能領域から飽和領域への移行判断のフローチャート
図13】実施例2のトナー補給制御を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像形成装置及びプロセスカートリッジを、図面を参照しながら説明する。
【0013】
<画像形成装置の全体構成>
電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置という。)100の全体構成について、図1を用いて説明する。図1に示すように、着脱可能なプロセスカートリッジ70が装着部材(不図示)によって装着されている。またプロセスカートリッジ70を画像形成装置100に装着する際の装着方向における上流側を前側面側、装着方向における下流側を奥側面側と定義する。
【0014】
プロセスカートリッジ70には、像担持体である電子写真感光ドラム(以下、感光ドラムという)1と、感光ドラム1の周囲に帯電ローラ2と、現像ローラ25と、クリーニング部材6等のプロセス手段が一体的に配置されている。帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面を一様に帯電させる。現像部である現像ローラ25は、感光ドラム1に形成した静電潜像をトナーによって現像して可視像化する。クリーニング部材6は、感光ドラム1に形成したトナー像を記録媒体に転写した後に、感光ドラム1に残留したトナーを除去する。また、画像形成装置100は、画像情報に基づいて、プロセスカートリッジ70内の感光ドラム1に選択的な露光を行い、感光ドラム1に静電潜像を形成するための露光部であるスキャナユニット3を備えている。
【0015】
画像形成装置100は、記録媒体Sを収納したカセット17を備え、カセット17は、画像形成装置100本体の下部に装着されている。画像形成装置100は、カセット17から給紙された記録媒体Sを、転写ローラ58、定着部74を通過して画像形成装置100の上方へ搬送する搬送手段(不図示)を備えている。画像形成装置100は、プロセスカートリッジ70の感光ドラム1上(感光体上)に形成したトナー像を転写させるための転写ローラ58を備えている。転写ローラ58は、感光ドラム1に対向する位置に設けられ、電圧が印加されることにより、トナーを記録媒体Sに転写する。
【0016】
画像形成に際しては、感光ドラム1を回転させ、帯電ローラ2によって一様に帯電させた感光ドラム1にスキャナユニット3から選択的な露光を行う。これによって、感光ドラム1に静電潜像を形成する。その静電潜像を現像ローラ25によって現像する。これによって、感光ドラム1にトナー像を形成する。この画像形成と同期して、レジストローラ対(不図示)が、記録媒体Sを感光ドラム1と転写ローラ58とが当接している転写位置に搬送する。そして、転写ローラ58へ転写電圧を印加することで、感光ドラム1上のトナー像を記録媒体Sに転写する。これによって、記録媒体Sにトナー像を形成する。画像が形成された記録媒体Sは、定着部74によって加熱、加圧されてトナー像が定着される。その後、記録媒体Sは、排出ローラ(不図示)によって排出部75に排出される。
【0017】
補給装置であるトナーカートリッジ9は、プロセスカートリッジ70に収容されるトナーに対応してプロセスカートリッジ70の斜め上方に配置されている。トナーカートリッジ9はブラック(K)のトナーを収容している。そして、トナーカートリッジ9は、トナーを収容したプロセスカートリッジ70にトナーを補給する。トナーカートリッジ9及びプロセスカートリッジ70は交換可能な部品であり、画像形成装置100本体に設けられたドア90を開状態として着脱することができる。図1の画像形成装置100の場合、トナーカートリッジ9及びプロセスカートリッジ70の装着方向は、右斜め上から左斜め下の方向である。
【0018】
トナーカートリッジ9の補給動作は、画像形成装置100の装置本体に設けられた残量検知部(不図示)が、プロセスカートリッジ70内のトナー残量不足を検知した際に行われる。トナーカートリッジ9は、画像形成装置100に設けられた装着ガイド(不図示)、位置決め部材(不図示)などの装着手段を介して、画像形成装置100に着脱可能になっている。なお、プロセスカートリッジ70、トナーカートリッジ9の詳細説明は後述する。トナーカートリッジ9には、トナー搬送装置18が配置されており、トナー搬送装置18はトナーカートリッジ9から受け取ったトナーを搬送し、現像ユニット4(現像装置)にトナーを供給(補給)する。なお、トナーカートリッジ9内のトナーの残量が残り少ない、又は、ない場合には、トナーカートリッジ9から後述する制御部150にトナーがないことを示す信号(以下、トナーLow信号という。)が出力される。これにより、制御部150は、トナーカートリッジ9の交換をユーザーに促すことができる。なお、トナーLow信号については公知であり説明を省略する。
【0019】
画像形成装置100は、制御部150を備えている。制御部150は、CPU151(central processing unit)、ROM152(read only memory)、RAM153(random-access memory)、タイマ154を有している。制御部150は、CPU151によって、RAM153を一時的な作業領域として使用しながらROM152に予め記憶されているプログラムを実行し、画像形成装置100を制御する。制御部150は、画像形成装置100の制御を行う際に、タイマ154を使用しながら各種のタイミングの制御を行う。なお、制御部150は、ASIC(application specific integrated circuit)やMPU(micro processing unit)を備えていてもよい。また、記憶媒体として、ハードディスク、光ディスク等、他の記憶媒体を用いてもよい。制御部150は、後述するプロセスカートリッジ70が有するメモリMとの間で情報の送受信を行う。また、制御部150は、トナーカートリッジ9から現像ユニット4へのトナーの補給動作、後述するトナー検知部80による現像ユニット4内のトナー残量の検知、後述するピクセルカウントによるトナー残量の予測、等を制御する。なお、本発明を適用することが可能な画像形成装置は、図1の画像形成装置100に限定されない。
【0020】
<プロセスカートリッジ>
次にプロセスカートリッジ70について、図2(a)を用いて説明する。図2(a)はトナーを収容したプロセスカートリッジ70の主断面である。今回はブラックトナーを収容したプロセスカートリッジ70について説明する。プロセスカートリッジ70は、クリーニングユニット26と、現像ユニット4と、を有する。クリーニングユニット26は、感光ドラム1と、帯電ローラ2、及びクリーニング部材6を備えている。そして、現像ユニット4は、現像ローラ25を備えている。
【0021】
感光ドラム1の周上には、前述した通り帯電ローラ2、クリーニング部材6が配置されている。クリーニング部材6は、弾性部材であるゴムブレード7とクリーニング支持部材とを有している。ゴムブレード7の先端部は感光ドラム1の回転方向に対してカウンタ方向に当接させて配設されている。クリーニング部材6によって感光ドラム1表面から除去されたトナーはクリーニングユニット26内の廃トナー室に格納される。また、廃トナー室のトナーが漏れることを防止するためのスクイシート71が感光ドラム1に当接している。クリーニングユニット26に駆動源である本体駆動モータ(不図示)の駆動力を伝達することにより、感光ドラム1を画像形成動作に応じて回転駆動させる。帯電ローラ2は、帯電ローラ軸受を介し、クリーニングユニット26に回転可能に取り付けられており、帯電ローラ加圧部材(不図示)により感光ドラム1に向かって加圧され、感光ドラム1に従動回転する。
【0022】
さらに、プロセスカートリッジ70は、不揮発性の記憶手段であるメモリMを備えている。メモリMには、現像剤の使用情報及び寿命情報も格納されている。現像剤の使用情報には、例えばトナーの残量やトナーの消費量、トナーの補給量、後述する変換係数や補正係数等が含まれる。寿命情報には、プロセスカートリッジ70が新品のときからの感光ドラム1の駆動時間の積算時間やプリント枚数(印刷枚数)の積算枚数等が含まれる。これにより制御部150は、画像形成装置100の本体電源のオン/オフ(ON/OFF)が行われた場合、又は、プロセスカートリッジ70が交換された場合でも、現像ユニット4の使用状況及びトナー残量の算出を、正確かつ迅速に行うことができる。なお、補給枠体50を有するトナーカートリッジ9については後述する。
【0023】
<現像ユニット>
図1図2(a)に示すように、現像ユニット4は、感光ドラム1と接触して回転する現像ローラ25と、現像ローラ25を支持する現像枠体31を有している。現像枠体31の内側の空間は現像室に相当する。現像ローラ25は、現像枠体31側にそれぞれ取り付けられた現像軸受を介して、回転自在に現像枠体31に支持されている。また現像ローラ25の周上には、現像ローラ25に接触し、回転する現像ローラ25上のトナー層(トナーの量)を規制するための現像ブレード35(ブレード)が配置されている。現像ローラ25に供給されたトナーは現像ブレード35を通過するときに現像ローラ25上のトナーコート量を規制するとともにトナーが帯電される。これによって、感光ドラム1上に作られた静電潜像を現像するのに最適なトナーコートが形成される。
【0024】
現像ローラ25と感光ドラム1とは、対向部(接触部)において互いの表面が同方向(本実施形態では上から下に向かう方向)に移動するようにそれぞれ回転する。本実施形態においては、現像ローラ25に印加された所定の直流電圧に対して、摩擦帯電によりマイナスに帯電したトナーが、感光ドラム1に接触する現像部において、その電位差から、明部電位部にのみに転移して静電潜像が顕像化される。受入口40は、トナーカートリッジ9からトナー搬送装置18を介してトナーtを現像室に受け入れる開口である。
【0025】
図2(b)に示すように、現像枠体31の現像室(トナー収容室)には、収納されたトナーを撹拌するとともにトナーを搬送するためのトナー搬送部材である撹拌部材36が設けられている。撹拌部材36は、外部からの駆動力によって回転可能な撹拌軸と撹拌軸に取り付けられた回転するシート部材とを有している。画像形成装置100本体の本体現像カップリング(不図示)と、現像ローラ25の端部に設けられたカップリングの駆動側係合部とが係合することによって、駆動力が現像ユニット4に入力される。駆動力は現像ユニット4の駆動列を伝わり、撹拌部材36が回転することで、トナー収容室内のトナーの撹拌及び搬送が行われる。
【0026】
<トナーカートリッジ>
次に、本実施形態の画像形成装置100に装着されるトナーカートリッジ9の全体構成について図3を用いて説明する。図3(a)は、本実施形態のトナーカートリッジ9の、長手方向(画像形成装置100の前側面側から見たときの左右方向)の中央部における断面図である。なお、トナーカートリッジ9の長手方向は、例えば感光ドラム1の回転軸方向でもある。図3(b)は、本実施形態のトナーカートリッジ9の、長手方向の一方の端部側の補給開口52における断面図である。図4(a)は、本実施形態のトナーカートリッジ9の、一方の端部側から見たときの斜視図である。図4(b)は、本実施形態のトナーカートリッジ9の、一方の端部側から見たときの、サイドカバー62を取り除いた場合の斜視図である。
【0027】
トナーカートリッジ9は、トナーカートリッジ9内の各種部材を支持する補給枠体50と、内部にトナーを収容する補給トナー収容室51と、を備える。また、通常使用される姿勢(使用時の姿勢)において、下側に補給開口52が設けられる(図3(b)参照)。補給トナー収容室51内には、撹拌部材53、搬送スクリュー54、仕切り部材55が設けられている。
【0028】
撹拌部材53は、トナーカートリッジ9の長手方向に平行に配置され、回転可能に補給枠体50に支持されている。また、撹拌部材53は、回転軸53aと、可撓性を有するシートである搬送部材としての撹拌シート53bとを有する。撹拌シート53bの一端が回転軸53aに取り付けられ、撹拌シート53bの他端が自由端となっており、回転軸53aが回転して撹拌シート53bが矢印Gr方向に回転する。これにより、撹拌シート53bによってトナーが撹拌され、トナーを搬送スクリュー54に送る。
【0029】
搬送スクリュー54は、撹拌シート53bの回転軸53a線に平行に配置され、回転可能に補給枠体50に支持されている。搬送スクリュー54は回転することで、補給トナー収容室51内のトナーを、長手方向の他方の端部から一方の端部に搬送する。すなわち、トナーを補給開口52に向けて搬送する。以下、長手方向の一方の端部を後方側とも表現する。
【0030】
仕切り部材55は、補給枠体50とともにトンネル部56を形成する。トンネル部56は搬送スクリュー54の外径に対応して形成され、搬送スクリュー54によって搬送されたトナーを擦切って定量のトナーを搬送する役割を持っている。また、同様に仕切り部材55は補給枠体50とともにトナー排出室57を形成する。
【0031】
トナー排出室57には補給開口52が設けられる。また、伸縮可能な蛇腹部65aを備えるポンプ65(図4(b)参照)が、内部と連通して設けられる。ポンプ65は後述する駆動列によって伸縮し、その内部容積を変動させることができる。ポンプ65の伸縮に伴って、補給トナー収容室51及びトナー排出室57の内圧が変動し、補給開口52からの吸排気が行われることで安定的にトナーの排出を行うことができる。
【0032】
トナーカートリッジ9の後方側には駆動列が配置される。画像形成装置100から駆動入力ギア59を介して駆動力を伝達され、カムギア60に回転が伝達される。カムギア60にはカム溝60aが設けられており、リンク機構61のリンク突起部61aがカム溝60aと係合している。リンク機構61はサイドカバー62に前後方向に移動可能に支持される。リンク機構61は、カムギア60が回転することでリンク突起部61aがカム溝60aの山部と谷部とを交互に通過することにより、前後方向に往復運動する。リンク機構61はポンプ65の結合部65bと連結されており、ポンプ65はリンク機構61と連動して結合部65bが往復運動する。そして、ポンプ65の蛇腹部65aが伸縮することでポンプ65の内部の容積が変動し、結果として補給トナー収容室51及びトナー排出室57の内圧が変動する。次に、前述した搬送スクリュー54の端部には、スクリューギア64が設けられており、スクリューギア64はカムギア60から回転駆動を受け取り、搬送スクリュー54を回転させる。
【0033】
また、トナー排出室57には通常使用される姿勢(使用時の姿勢)において、下面に補給開口52と、補給口63が設けられた補給口シャッタ41が、前後方向(図3の紙面に直交する方向)に移動可能に補給枠体50に支持されている。補給開口52は、トナーカートリッジ9が画像形成装置100に装着されていない場合は補給口シャッタ41によって閉じられている。補給口シャッタ41は、トナーカートリッジ9の着脱動作に連動し、画像形成装置100に付勢されて所定の位置に移動する構成となっている。補給口シャッタ41が画像形成装置100に装着されたとき、補給開口52と補給口63とは連通し、トナーカートリッジ9からのトナー排出が可能となる。
【0034】
<トナー補給動作>
次に本実施形態におけるトナー補給動作を説明する。図2(b)に示すように現像ユニット4には、着脱方向の上流側の一端に受入口40が設けられ、受入口40に連通して受入搬送路が設けられる。
【0035】
図5に、図1に示したトナー搬送装置18の構成を示す。図5図11のドア90側から見たトナー搬送装置18を示す。図5に示すように、受入搬送路42内部には受入搬送スクリュー44が配置されている。受入搬送路42は現像ローラ25の回転軸線方向の一部に延びている。さらに、現像ユニット4の長手方向における中央付近には、現像枠体31へトナーを供給するための受入口40が設けられ、受入搬送路42と現像枠体31と連通している。トナーカートリッジ9から排出されたトナーは、トナー搬送装置18によって受入搬送スクリュー44を通じて受入口40へ供給され現像枠体31に格納される。
【0036】
本実施形態においてトナー補給動作は、画像形成装置100に備えられたCPU151が補給リクエストを受け取ると、画像形成中又は画像形成前後のプロセスカートリッジ70が駆動するタイミングで逐次実施される。また、CPU151は、1秒あたり0.5g程度のトナーを補給するようポンプ65を駆動させ、駆動時間を変えることでトナー補給量をコントロールすることができる。したがって、トナーカートリッジ9から現像ユニット4に補給されるトナー量は、トナー搬送装置18を通じて、ポンプ65の駆動時間、又は、搬送スクリュー54の回転量(回転数)をカウントすることで、実際に補給した量を知ることができる。
【0037】
本実施形態の構成において、現像ユニット4内のトナーの残量が、ある一定値になるとトナー補給動作を開始する補給開始重量A(g)と、トナー補給動作を停止する補給停止重量B(g)とする。なお、補給開始重量A(g)及び補給停止重量B(g)は、予めROM152等の記憶媒体に記憶されている。制御部150は、トナー残量検知により現像室内のトナーが補給開始重量A(g)に達している場合には補給動作を開始し、トナー残量検知により現像室内のトナーが補給停止重量B(g)(>A)に達した場合には補給動作を停止する。補給開始重量Aは、現像ユニット4内の残りのトナー量(以下、残トナー量という。)が少なくなりすぎて画像の白抜けを防止するポイント(量)に設定される。補給停止重量Bは、現像ユニット4内の残トナー量が多すぎることで発生する濃度ムラやトナー漏れを防止するポイント(量)に設定される。
【0038】
<トナー残量検知の構成>
次に、現像枠体31内(現像室内)のトナー残量(現像剤量)を検知するための構成について図2(b)を用いて説明する。本実施形態では、第1光透過部材81と第2光透過部材82との間の光パルスを測定することでトナーの残量を検知する。ここで、光透過部材は、光パルスを検出する測定光を透過して検出できるものであればよく、アクリルなどのプラスチック部材やガラスなどの部材でもよい。本実施形態では、光透過部材は、透過性の良い樹脂を用いて構成している。現像枠体31内のトナー残量に応じて、単位時間あたりに検出される光パルスのカウント値(以下、光パルスカウントという。)が異なるため、精度良くトナー残量を検知することができる。以下の説明では、検出部材の一形態である光透過部材を用いて説明する。
【0039】
<現像枠体31内の構成>
図2(b)に示すように、現像枠体31には第1光透過部材81と第2光透過部材82とを有するトナー検知部80(検知部)が形成されている。トナー検知部80が形成される壁面において、現像枠体31の壁面には第1光透過部材81と第2光透過部材82が設けられている。ここで、壁面は、撹拌部材36の回転方向の軌跡上である。第1光透過部材81と第2光透過部材82との間にはトナーが自重で落下していく角度(安息角とする)に相当する隙間が設けられている。つまり、トナー検知部80にトナーが入り込んだ場合、入り込んだトナーは自重でトナー検知部80から排出される。また、トナー検知部80の一部は、撹拌部材36の回転半径の範囲内にある。また、トナー検知部80は、撹拌部材36によってトナーが撹拌されていない状態においてトナーが入り込まないような位置に設けられている。
【0040】
<光透過部材の配置>
本実施形態では、第1光透過部材81と第2光透過部材82は、現像ローラ25の長手方向の軸線(回転軸線)方向と略平行に凹部(不図示)内に設けられており、第1光透過部材81と第2光透過部材82は間隔を空けて設けられている。また、第1光透過部材81と第2光透過部材82は、現像枠体31の中央部に配置している。一般的に、光透過部材の面積が大きくなると、それに伴って透過する光量も大きくなる。光透過部材の面積は、第1光透過部材81と第2光透過部材82との間をトナーが通過するときの透過光量の変化量に応じて設定している。透過光量の変化が大きくなることで、後述するトナー残量の検知方法においてトナー残量を精度良く検知しやすくなる。
【0041】
<画像形成装置側に設けられた光発光部及び光検出部>
図2(b)に示すように、プロセスカートリッジ70における現像枠体31には、第1光透過部材81と第2光透過部材82とを有するトナー検知部80が設けられている。プロセスカートリッジ70が画像形成装置100の装置本体に装着された状態において、第1光透過部材81は、装置本体に設けられた光発光部(不図示)と接続される。一方、第2光透過部材82は、装置本体に設けられた光検出部(不図示)と光学的に接続される。本実施形態では、光発光手段(不図示)と光受光手段(不図示)は、画像形成装置100に設けられている。なお、本実施形態では、図2(b)に示すように、第1光透過部材81と第2光透過部材82は現像枠体31の長手方向の一部に設けられている。しかし、第1光透過部材81と第2光透過部材82は現像枠体31の駆動側や非駆動側の壁面の一部に設けられていてもよい。現像枠体31の中でトナー残量が適切に検出可能な位置であれば、設ける位置においては限定されない。トナー検知部80は、現像枠体31内に収容されているトナーの残量に相関する信号を出力する。なお、トナー検知部80の検知結果に基づいて現像室内のトナーの残量を検知することを、以下、トナー残量検知ともいう。
【0042】
<ドット数計数によるトナー消費量検知>
本実施形態では、画像のドット数を計数しトナー消費量を検知する方法も用いる。この検知方法は、画像形成装置100が備えるCPU151により実現され、感光ドラム1に作像される静電潜像のドット数を計数し、現像枠体31内のトナー消費量Xgを予測する。以下、計数したドット数をピクセルカウント情報という。計数したドット数に基づいて現像枠体31内のトナー残量に関する第1情報であるトナー量に対応した値に変換することで、印字によって使用したトナー消費量Xgを取得する。CPU151は、取得部としても機能する。ここで第1情報には、ピクセル数に基づくトナー収容部のトナー消費量も含む。
【0043】
このためには、1ドットあたりのトナー消費量(第2情報)(変換係数)が必要である。本実施形態では、1ドットあたりのトナー消費量10ngをプロセスカートリッジ70が有するメモリMに記憶させる。なお、画像情報のドット数を計数し、変換係数を用いて計数したドット数をトナーの消費量に変換し、変換した消費量に基づき現像室内のトナーの残量を予測することを、以下、トナー残量予測ともいう。本実施形態の画像形成装置100は、トナー残量検知とトナー残量予測を行うことが可能である。
【0044】
<光透過方式でのトナー残量検知>
次に、本実施形態のトナー残量検知方法について説明する。第1光透過部材81と第2光透過部材82との間にトナーが入り込むと、第1光透過部材81と第2光透過部材82との間の光が遮断され、光パルスの強度が低下する。したがって、撹拌部材36によって搬送されたトナーが第1光透過部材81と第2光透過部材82との間を通過する場合、第1光透過部材81と第2光透過部材82との間の光が遮光されるため光パルスカウントが減少する。一方、撹拌部材36がトナー検知部80を通過し、第1光透過部材81と第2光透過部材82との間のトナーが自重により落下すると、第1光透過部材81と第2光透過部材82との間の光パルスカウントが増加する。そして、上述したように、光検出部を介して、単位時間当たりに第1光透過部材81と第2光透過部材82との間の光パルスカウントの時間変化に基づくカウント変化を光受光部によって検知する。本実施形態では、撹拌部材36の回転に伴って周期的に変化する光パルスカウント量の変化に基づいてトナー残量検知を行う。
【0045】
図6は本実施形態のトナー残量検知の一例を説明するフローチャートである。ステップ(以下、Sとする。)101でCPU151は、トナー残量検知のリクエスト信号を受信する。S102でCPU151は、撹拌部材36の回転を開始する。S103でCPU151は、光パルスカウントの変動幅ΔVを安定して測定できるまでの時間t秒間、撹拌部材36を回転させる。S104でCPU151は、検知した出力電圧の波形から、撹拌部材36の回転の1周期ごとの最大値Vmaxと最小値Vminを、それぞれ10点、計測する。CPU151は、計測した10点の最大値Vmax、最小値Vminの算術平均をそれぞれ算出する。以下、10点の最大値Vmaxの算術平均を「Vmax平均」、10点の最小値Vminの算術平均を「Vmin平均」とする。CPU151は、その差分である「(Vmax平均)-(Vmin平均)」から変動幅ΔVを算出する。S105でCPU151は、算出した値である変動幅ΔVをメモリMに書き込む。なお、本実施形態の場合、変動幅ΔVが安定して測定できる時間は30秒であった。
【0046】
<トナーの残量による変動幅ΔV>
図7に、本実施形態におけるトナーの残量による変動幅ΔVの変化を示す。図7(a)のグラフは、横軸に現像枠体31内のトナー量、縦軸に変動幅ΔVを示す。また、トナー量が少ない領域から多い領域に向かって、領域I、領域H、領域Gとする。この変動幅ΔVは、トナーの残量に対して、図7(b)のように推移する。図7(b)は、横軸に時間、縦軸に光パルスカウントを示すグラフである。図7(b)の上のグラフは、領域Gの中でトナー量が多い領域での光パルスカウントの推移を示し、光パルスカウントの変動幅ΔVが小さい。図7(b)の下のグラフは、領域Iの中でトナー量が少ない領域での光パルスカウントの推移を示し、光パルスカウントの変動幅ΔVが小さい。一方、図7(b)の中央のグラフは、領域G→領域H→領域Iとトナー量が変化した場合、すなわち現像枠体31内のトナーが消費されていく過程での光パルスカウントを示し、光パルスカウントの変動幅が大きい。より詳細には、図7(b)の中央のグラフは、領域Gの中でもトナーが少ない領域、領域H、及び、領域Iの中でもトナーが多い領域、における光パルスカウントを示している。
【0047】
これは次のような理由による。図7(a)の領域Gの中でもトナー残量が十分に多い範囲では、第1光透過部材81と第2光透過部材82との間にトナーがほぼ常に入っているため、光が透過せず、変動幅ΔVはほとんど検出されない。一方、トナー量が減っていくと第1光透過部材81と第2光透過部材82との間に空間が生じる範囲となり、撹拌部材36の撹拌周期で光パルスカウント値が大きく変動し、変動幅ΔVも大きくなる。更に、領域Iのトナー量が少ない領域になると、第1光透過部材81と第2光透過部材82との間にトナーが入って来なくなり、再度光パルスカウントは常に透過できる状態になるため、変動幅ΔVは収束する。したがって、変動幅ΔVの推移は、図7(a)に示すようになる。
【0048】
<精度補正可能領域と飽和領域について>
図8を用いて、トナーの摺擦回数モデルについて説明する。ここでまず現像ユニット4におけるトナーの摺擦回数モデルについて説明する。ある区間での現像ユニット4での印字枚数:n(枚)、トナー充填量:T0(g)、トナー消費量:s(g)、現像ブレード35と現像ローラ25との摺擦部を通過した摺擦通過量:d(g)とする。このとき、現像ユニット4内のトナーが摺擦される回数:Dnは以下の式(1)で表すことができる。
Dn=α/b-1+αlog(b-1)/(b-n) ・・・(1)
ここで、α=d/s、b=T0/sである。
【0049】
現像ユニット4を備えたプロセスカートリッジ70において、式(1)よりプリントを実行して例えば2%の印字率でトナー消費を進めていくと、現像枠体31内に残ったトナー量とトナーの摺擦回数Dnとの関係は図8(a)のように表される。図8(a)は、横軸に式(1)で求めた摺擦回数Dn(回)、縦軸にトナー残量(g)を示すグラフである。図8(a)に示すように、摺擦回数Dnが増えるほどトナー残量は減少する。
【0050】
また、図8(b)は、横軸にプリント枚数、縦軸に摺擦回数を示す。図8(b)に示すように、プリント枚数が増えるに従って、摺擦回数は増加と減少を繰り返しつつも、摺擦回数が増えていくことが確認できる。
【0051】
図8(b)において、プロセスカートリッジ70の第1期間である精度補正可能領域と第2期間である飽和領域について説明する。ここで、本実施形態で用いられるトナーカートリッジ9からトナーを補給されるプロセスカートリッジ70の構成について説明する。図8(b)に示すように、現像枠体31に残っているトナーの摺擦回数は増加していく傾向である。ここで現像ユニット4内のトナー量が補給開始重量A(g)に到達すると、トナーカートリッジ9からトナー補給動作が実施され、トナーが補給される。補給されたトナーはフレッシュな状態に近いため、トナーが補給された現像ユニット4内のトナー摺擦回数:Dnは、低下する傾向になる。一方、再度プリントを実行してトナーが消費されると、トナーの摺擦回数は増加していく。プリント枚数に応じて、上述したトナー補給動作が繰り返されていくと、トナーの消費による摺擦回数の増加とトナーの補給による摺擦回数の減少とが平衡状態となり、現像ユニット4内のトナーの摺擦回数はある一定の範囲値の間に収束されていく。
【0052】
本実施形態において、プロセスカートリッジ70の寿命範囲においてトナー補給動作を繰り返してトナーの摺擦回数が上下する範囲をΔAとし、その期間を精度補正可能領域としている。また、トナー補給動作を繰り返してもトナーの摺擦回数の差分がΔA以下のΔBの範囲になる領域(摺擦回数が飽和する領域)を、トナーの摺擦回数の飽和領域としている。なお、摺擦回数の差分とは、図8(b)に示すように、精度補正可能領域においてはΔA、飽和領域においてはΔBを指しており、補給停止重量B(g)に到達したときの摺擦回数と、次に補給開始重量A(g)に到達したときの摺擦回数と、の差分である。
【0053】
また、これまで説明しているようなトナーの摺擦回数は、プロセスカートリッジ70の使用に伴うトナーの劣化度合を示している。新品のトナーに対して、使用がすすんだトナーは、外添剤の埋没やトナー同士の非静電的な付着力が上昇することによって、トナーの帯電性や現像性、転写性が低下する傾向になる。
【0054】
トナーカートリッジ9からのトナー補給によって、トナーの摺擦回数が変動する領域を精度補正可能領域、トナーの摺擦回数がほぼ変化しない領域を飽和領域としている。この精度補正可能領域は、トナーの印字率では大きく変化しない。平均印字率が変化すると、トナーの摺擦回数が一定に収束する値(所定回数)が変化していく。収束する値は、印字率が低くなるほど高く(多く)なる。平均印字率が極めて低い場合は、飽和領域で収束するトナーの摺擦回数が高く(多く)なり、摺擦回数が保証される範囲(NGライン)を超えると、帯電性の低下や不足に伴うトナーのボタ落ちや紙上のカブリが顕著になる。したがって、平均印字率が低い場合には、摺擦回数が狙い以下になるように定期的にトナーパージ(強制的にトナーを吐き出させる動作)等を実施して、画像不良等が発生しないレベルまで摺擦回数を下げる動作を実施している。
【実施例0055】
<変換係数の補正について>
図9に実施例1の変換係数の補正(ピクセル補正係数の校正)動作について説明する。図9(a)のグラフは、横軸にプロセスカートリッジ70の使用を開始してからのプリント枚数を示し、縦軸にプロセスカートリッジ70の現像枠体31内のトナー残量を示している。図8に示したように摺擦回数とトナー残量とは相関があるため、図8(b)のようにプリント枚数に応じて変化する摺擦回数から、図9(a)の関係が導き出される。トナー残量はトナー検知部80によるトナー残量検知シーケンスによって、精度良くトナー残量を検知している。また、トナー補給動作を開始する補給開始重量A(g)とトナー補給動作を停止する補給停止重量B(g)は、予め設定されており、固定値である。
【0056】
実施例1では、制御部150は、図9の精度補正可能領域内の所定区間(補給なし区間)において、トナー補給なし状態でのトナー残量検知によって確認できるトナー消費量と、その所定区間のドット数によるピクセルカウント情報とを比較する。制御部150は、予めプロセスカートリッジ70が有するメモリMに記憶しておいた1ドットあたりのトナー消費量の情報、すなわち変換係数に対して、補正係数を用いて補正する。精度補正可能領域内で、制御部150が補正動作を複数回繰り返すことで、より精度良い補正係数を算出することが可能となる。なお、図9(b)は、トナーが補給されてから次に補給されるまでの区間、すなわち補給なし区間のプリント枚数とトナー残量との関係を示すグラフである。トナーが補給されてからプリント枚数が増えるに従いトナーが消費され、補給開始重量A(g)になるとトナーが補給される。この区間において、トナー残量検知によるトナー消費量とピクセルカウント情報に基づくトナー消費量とが比較される。
【0057】
プロセスカートリッジ70の使用がすすみ、飽和領域に移行すると補正係数により補正した変換係数に基づいてトナー消費量を算出することができる。このため、定期的にトナー残量検知動作を実行して残量検知をする必要がなく、トナー消費量分、逐次トナーカートリッジ9のポンプ動作を実行してトナーを補給することができる。トナーカートリッジ9からの補給動作は、画像形成動作中でも実行可能であり、光検知によるトナー残量検知動作のようなダウンタイムを含んだシーケンスを実行しなくてもよくなる。
【0058】
<プロセスカートリッジ70の初期装着時の処理>
図10に実施例1のプロセスカートリッジ70の初期装着時のフローチャートについて説明する。S201で制御部150は、プロセスカートリッジ70が画像形成装置100に装着されたタイミングで新品か否かを判断する。S201で制御部150は、プロセスカートリッジ70が新品であると判断した場合、処理をS202に進め、新品ではないと判断した場合、処理を終了する。S202で制御部150は、前述したトナー検知部80によるトナー残量検知を行い、トナーの補給量を算出する。S203で制御部150は、S202で算出した補給量のトナーを、補給停止重量B(g)まで補給する。ここで、トナーの量が補給開始重量A(g)又は補給停止重量B(g)に到達したことは、トナー検知部80により検知される。したがって、補給開始重量A(g)及び補給停止重量B(g)は、トナー検知部80によってトナーを検知することが可能な範囲(トナーの量を検知可能な範囲)内で設定される。なお、検知可能な範囲は、トナーが全くない状態を0%、トナーが満タンの状態を100%とすると、例えば0%から60%の範囲である。なお、検知可能な範囲はトナー検知部80の構成等によって異なるため、この範囲に限定されない。このように、初期充填されているトナー量を検知し、検知した補給量に基づき補給動作を実行することで、プロセスカートリッジ70の個体バラツキを抑えることができ、精度高く変換係数の補正を実行することができる。
【0059】
S204で制御部150は、精度補正可能領域であることを確認する。なお、制御部150は、上述したように、摺擦回数とΔAとに基づいて精度補正可能領域であることを確認する。S205で制御部150は、トナー補給なしで補給開始重量A(g)までプリント動作を実行する。S206で制御部150は、トナー残量検知とトナー残量予測のそれぞれで求めたトナー消費量を比較し、変換係数を補正する。S207で制御部150は、変換係数の補正に用いた補正係数をメモリMに記憶する。なお、制御部150は、補正係数により補正した後の変換係数をメモリMに記憶してもよい。制御部150は、補給開始重量Bからトナー補給を実行して、精度補正可能領域であればフローチャートに示したように、再度、補給動作と停止動作によるトナー消費量とピクセルカウント情報の変換係数の補正を、交互に複数回行う。これにより、よりユーザーの使用状況に沿った変換係数の補正を行うことができる。
【0060】
<実施例1の変換係数の補正動作>
図11に実施例1の変換係数の補正動作を示すフローチャートを示す。S301で制御部150は、プロセスカートリッジ70内のトナー補給動作とトナー残量検知を実行する。S302で制御部150は、プロセスカートリッジ70内の現像枠体31内のトナーが、トナー補給停止重量B(g)まで補給されているか否かを判断する。S302で制御部150は、トナーが補給停止重量B(g)まで補給されたと判断した場合、処理をS303に進め、補給されていないと判断した場合、処理をS301に戻し、再度補給動作を実行してトナー残量検知を実施する。
S303で制御部150は、補給開始重量A(g)までトナー補給動作を実行しないでプリントを実行する。このため、現像枠体31内のトナーはプリントにより消費されていく。S304で制御部150は、トナー残量検知を実行して補給開始重量A(g)まで到達しているか否かを判断する。S304で制御部150は、トナー残量が補給開始重量A(g)まで到達していると判断した場合、処理をS305に進め、到達していないと判断した場合、処理をS303にし、再度プリント動作に戻る。
【0061】
S305で制御部150は、図9(b)で説明したように、トナーの補給が行わなかった所定区間(補給なし区間)における、トナー残量検知によるトナー消費量とトナー残量予測によるトナー消費量とに基づいて、補正係数を算出する。制御部150は、算出した補正係数をプロセスカートリッジ70が有するメモリMに書き込み、処理をS301に戻し、再度、トナー補給動作を実行してトナー残量検知を実行する。
【0062】
実施例1のように精度補正可能領域において、制御部150は、トナー補給動作と補給停止動作とを交互に複数回実行する。これにより、使用している画像形成装置100本体とプロセスカートリッジ70の検知などを含めたバラツキを抑制することができ、検知精度やトナー消費量検知の精度も向上する。
【0063】
<精度補正可能領域から飽和領域への移行の判断>
図12に精度補正可能領域から飽和領域に移行する判断を行うフローチャートを説明する。図11のフローチャートを精度補正可能領域において複数回実行した後、制御部150は、S401以降の処理を実行する。S401で制御部150は、再度トナー補給動作とトナー残量検知を実行する。S402で制御部150は、プロセスカートリッジ70のメモリM内に格納されているプリント枚数や平均印字率、現像ローラ25の回転数等から導き出される摺擦回数:Dnが閾値を超えているか否かを判断する。S402で制御部150は、摺擦回数Dnが閾値を超えていると判断した場合、処理をS403に進め、越えていないと判断した場合、処理をS401に戻し、精度補正可能領域と判断する。
【0064】
S403で制御部150は、飽和領域と判断し、これ以降、トナー残量検知の回数を減らし、精度補正可能領域において図11で算出した補正係数にて補正した変換係数に基づいてトナー補給動作を実行する。S404で制御部150は、トナーカートリッジ9からトナーLow信号が出力されているか否かを判断する。S404で制御部150は、トナーLow信号が出力されていると判断した場合、処理をS405に進め、出力されていないと判断した場合、処理をS403に戻し、プリント実行し、適宜トナー補給動作を実行する。S405で制御部150は、トナーカートリッジ9の交換を画像形成装置100が備える表示部(不図示)を介してユーザーに報知し、トナーカートリッジ9の交換を促す。また、制御部150は、トナーカートリッジ9が交換されたか否かを確認してトナーカートリッジ9の新品シーケンスを実施する。なお、新品シーケンスには、図10のフローチャートで説明した処理も含まれる。
【0065】
実施例1によれば、制御部150は、現像ユニット4の使用期間における精度補正可能期間(第1期間)において、トナー検知部80によって第1信号が出力された場合に補給を開始する。なお、使用期間は、現像ユニット4の未使用時から寿命が報知されるまでの期間であり、第1期間は使用期間の前半にあり、第2期間は前記使用期間の後半にある。制御部150は、第1信号と異なる第2信号が出力された場合に再び第1信号が出力されるまで補給を停止する補給停止期間(補正なし区間)が設定されるようにトナーカートリッジ9(補給手段)を制御する。制御部150は、補給停止期間のトナー消費量と、補給停止期間のピクセル数と、に基づいて単位ピクセル当たりのトナー消費量に関する第2情報を取得する。制御部150は、使用期間における第1期間よりも後の第2期間において、第2情報に基づいて第1情報を取得する。このように、飽和領域に移行すれば、変換係数が精度良く補正されているため、定期的なトナー残量検知シーケンスを実行する必要がなく、ユーザーが体感するダウンタイムも削減することができる。すなわち、第1期間においては、所定の印字枚数毎にトナー検知部80による検知を行い、第2期間においては、所定の印字枚数毎にトナー検知部80による検知を行わない。また、トナー補給動作も画像形成を伴うプリント中に実行することができるため、トナー補給動作を待つ必要がない。
【0066】
<実施例1の評価実験>
実施例1の効果を検証するために、以下に記す実験を行った。常温常湿条件の環境下(温度23℃、湿度60%)にて連続印刷試験(連続耐久試験)を行った。この試験では画像比率2%の横線を印刷している。また、実施例1では、プロセスカートリッジ70の中にトナーを200g充填した。この印刷を100000枚行い、精度良く変換係数を補正できるか否かを評価した。比較例として実施例1の補正制御を実施しないプロセスカートリッジ70の中にトナーを200g充填(比較例1)、を準備して評価した。
【0067】
精度補正可能領域においてトナー消費量の変換係数の補正動作のフロー(図11)に基づき補給制御を行った実施例1の試験の場合、次のような結果となった。評価をすすめた飽和領域において、定期的な光透過によるトナー残量検知のシーケンスを実施しないで、逐次トナーを補給することが可能になり、バラツキなく精度良くトナーを補給することができた。すなわち、所定枚数毎にトナー残量検知を定期的に行う必要がなくなる。なお、例えば、電源オン時やジャム処理復帰時、スリープ復帰時など、不定期にトナー残量検知を行ってもよい。
【0068】
一方、比較例1の補正制御を実施しないで評価を行った場合、評価を通じて1000枚毎に定期的なトナー残量検知シーケンスが必要となり、ダウンタイムが発生しプリント動作が実行できないことがしばしば見られた。また、トナー残量検知シーケンスの実施により、プロセスカートリッジ70内の現像ローラ25等の回転が進んでしまい、プロセスカートリッジ70の寿命を消耗させていることも確認された。
【0069】
これらの評価結果より、次のことがわかる。すなわち、初期充填量を決定させ、精度補正可能領域において、トナー消費とピクセルカウント情報の結果から算出された補正値を用いることで、飽和領域においてトナー残量検知を実行することなく精度良く補給制御を行うことができることがわかる。
【0070】
以上、第1期間を、トナー残量検知により現像室内のトナーの残量を検知すると共に、トナー残量検知によるトナーの残量とトナー残量予測によるトナーの残量とに基づいて変換係数を補正する期間とする。制御部150は、第1期間では検知したトナーの残量に基づきトナーを補給する(第1工程)。第2期間を、トナー残量検知を行わず、第1期間において補正された変換係数を用いてトナー残量予測を行う期間とする。制御部150は、第2期間では予測したトナーの残量に基づきトナーを補給する(第2工程)。実施例1によれば、トナーの残量の予測精度を向上させ、トナーの残量を検知するための検知動作の回数を削減することができる。
【0071】
なお、現像ユニット4の印刷枚数と印字率とに応じて第1期間(精度補正可能領域)と第2期間(飽和領域)とを設定したが、これに限定されない。第1期間は、補正係数を精度良く取得できることができればよく、トナーが劣化していない期間であればよい。また、精度良く補正係数を取得することができれば、トナーがまだ劣化していない期間であっても、第2期間に移行してよい。
【0072】
また、上述した実施例1では、カウントしたピクセル数からトナー消費量を取得するための変換係数を補正したがこれに限定されない。補給を停止している期間のトナー消費量及びピクセルカウント値から、単位ピクセル当たりのトナー消費量を取得し、取得した単位ピクセル当たりのトナー消費量に基づき、トナー残量を取得してもよい。
【実施例0073】
実施例1で説明したように、現像室内のトナーの残量が補給開始重量A(g)に到達するとトナーの補給が開始され、補給停止重量B(g)に到達すると補給が停止される。補給停止重量B(g)と補給開始重量A(g)との差分がトナーの補給量であり、補給開始重量A(g)及び補給停止重量B(g)は固定値である。このため、低印字で使用するユーザーの場合、トナー検知部80を用いたトナー残量検知が行われる頻度は少ないが、高印字で使用するユーザーの場合、その頻度が高くなりダウンタイムの発生が多くなる。例えば、実施例1において、1枚当たり0.010g程度使用する低印字のユーザーは1000枚毎にトナー残量検知が実施される。一方、1枚当たり0.05g程度使用する高印字のユーザーは200枚毎にトナー残量検知が実施されることとなり、ダウンタイムの発生がさらに多くなる。トナー残量検知を実施する間隔を大きくすればダウンタイムを減らすことができるが、1回でのトナー補給量が大きくなり精度が低下する。したがって、実施例2では、トナー残量予測によるトナー補給量の精度が高い場合にはトナー残量検知を行わないようにすることで、トナー残量検知の実行回数を極力減らし、ダウンタイムの発生を防いて、精度良くトナーの補給制御を行うことを目的とする。
【0074】
<実施例2のトナー補給制御の概要>
実施例2のトナー補給制御の概要について図13を用いて説明する。現像枠体31内の初期トナー重量をPg、トナー残量予測により算出したトナー消費量をXg、トナーの補給量をYgとする。制御部150は、予測トナー重量O=P-X+Yで現像枠体31内のトナー重量を予測する。制御部150は、トナーの補給量を増やす状態と減らす状態の2つの状態を設定しておき、予測トナー重量Oやトナー残量検知で検知したトナー重量に基づいて補給状態を変更する。なお、増やす状態には、例えば、トナーの補給回数やトナーの補給時間を増やす状態を含み、減らす状態には、例えば、トナーの補給を停止する状態を含む。
【0075】
例えば、図9のように補給停止重量B(g)を設定し、トナー量がこの重量に到達した場合に、トナー補給を停止する状態にする。さらに、下限として補給開始重量A(g)を設定し、トナー量が下限に達した場合はトナー残量検知によって確認しトナー補給制御を実施する。実施例2は、トナー補給を停止して補給なし区間における、トナー残量検知によるトナー消費量とトナー残量予測によるトナー消費量とに基づき補正係数を算出し変換係数を補正すると共に、トナー補給量の予測制御を向上させることを特徴としている。
【0076】
変換係数の補正動作を示すフローチャートにおいては、実施例1と同じ処理であるため説明を省略する。制御部150は、図13のフローチャートに基づいて処理を実行することで補正係数を算出すると共に交互にトナー補給動作とトナー補給停止動作とを実施する。これにより、補給開始重量A(g)と補給停止重量B(g)との間で実際にトナーが補給されるトナー補給量の精度も向上することが可能となる。
【0077】
補正係数の算出と共にトナー補給量の精度も向上させることができるため、トナー残量予測により現像枠体31内のトナー重量を予測し、トナー補給制御を実行させることでトナー残量検知の回数を減らすことができる。トナー残量検知の回数を減らすことで、大幅なダウンタイムの削減につながる。
【0078】
<トナー補給量決定フロー>
図13に実施例2のトナーの補給量を決定するフローチャートについて説明する。なお、図13のS501~S505の処理は、図11のS301~S305の処理と同様であるため説明を省略する。
【0079】
S505で制御部150は、算出した補正係数をメモリMに書き込んだ後、S506で補正係数の算出が初めて(1回目)か否かを判断する。制御部150は、例えば、プロセスカートリッジ70が画像形成装置100本体に装着されてからの補正係数の算出回数をカウントするカウンタを有し、そのカウンタにて補正係数の算出回数を管理するものとする。S506で制御部150は、補正係数の算出が初めてであると判断した場合、処理をS507に進め、初めてではないと判断した場合、処理をS508に進める。
【0080】
S507で制御部150は、トナー検知部80によるトナー残量検知に基づいて算出したトナー補給量をメモリMに格納し、処理をS501に戻す。この場合、再度、S501でトナー検知部80によるトナー残量検知が行われることになる。
【0081】
S508で制御部150は、補正動作が2回目以降である場合、1回目の補正動作時にS507でメモリM内に格納したトナー補給量を読み出す。制御部150は、今回S505で算出した補正係数により補正した変換係数を用いてトナー残量予測によるトナー補給量(今回のトナー補給量)を算出する。
【0082】
S509で制御部150は、メモリMから読み出したトナー補給量(メモリのトナー補給量)と今回のトナー補給量との差分ΔGを算出し、差分ΔGが予め設定されている閾値以内か否かを判断する。ここで、閾値が大きいとトナー残量検知が実施される回数は減るがトナー残量予測の予測精度が低下し、閾値が小さいとトナー残量予測の予測精度は向上するがトナー残量検知が実施される回数が増える。このため、閾値は例えばユーザーの使用状況や画像形成装置の仕様等に基づき、決定されればよい。
【0083】
S509で制御部150は、差分ΔGが閾値以内であると判断した場合、トナー残量予測によるトナー補給量の精度が高くなったと判断し、処理をS510に進める。S509で制御部150は、差分ΔGが閾値よりも大きいと判断した場合、トナー残量予測の変換係数の補正がまだ必要であると判断し、処理をS501に戻す。この場合、S501でトナー残量検知が再び行われることになる。
【0084】
S510で制御部150は、トナー残量検知を実施することなくトナー補給動作を行い、処理をS502に戻す。これにより、精度補正可能領域において、高印字で印字した場合に、精度補正可能領域の区間が広がることとなる。実施例2では、制御部150が、変換係数の補正を行った回数と、トナー残量検知に基づくトナー補給量とトナー残量予測に基づくトナー補給量との差分と、に応じて、トナー残量検知を実施する回数を制御しているともいえる。
【0085】
ここで、精度補正可能領域において、トナー残量予測における変換係数が補正され、トナー補給量の精度が向上するように、いくつかの印字率を設定してもよい。また、実施例2では、プロセスカートリッジ70内の現像枠体31内のトナーの補給停止重量B(g)と補給開始重量A(g)とを用いて、変換係数の補正とトナー補給量の精度向上を実施したが、その限りではない。現像枠体31内のトナー量の可変量の範囲内でトナー消費量とピクセルカウント情報の精度、トナー補給量の精度の向上ができればよい。
【0086】
<実施例2の評価実験>
実施例2の効果を検証するために、以下に記す実験を行った。実施例2では、狙いの変動幅ΔVrが図7の領域G内となるように、トナーの補給停止重量B(g)と補給開始重量A(g)との差が20gになるようにした。常温常湿条件の環境下(温度23℃、湿度60%)にて2枚間欠印字試験を行った。この試験では、画像比率10%の横線を印字している。印刷を100000枚行い、高印字ユーザーにおいても、ダウンタイムを減らしつつ、精度高く補給できるか否かを評価した。
【0087】
この評価実験において、実施例2の補給制御を行った場合、トナー残量予測により現像枠体31内のトナー重量を予測し、予測トナー重量Oに対して、精度補正可能領域の場合、かつ、予測の精度が低い場合にのみトナー残量検知が行われた。このため、トナー残量検知の回数を減らすことができ、ダウンタイムを大幅に削減することができた。
【0088】
具体的には、実施例1では5g消費するごとにトナー検知部80によるトナー残量検知を実施していたが、実施例2では約40g消費するごとにトナー検知部80によるトナー残量検知を実施することになり、約1/8削減できた。さらに、上限値を設定しているため、補給量過多による現像枠体31内のトナーの溢れも発生しなかった。
【0089】
<その他の構成>
実施例において、光パルスを用いた光学的方法によるトナー残量検知を行ったが、それに限定されるものではなく、現像剤の量によって変動幅の量が傾きをもつものであれば、他の検知方法で代替することが可能である。例えば、現像室に第1電極、第2電極を有し、第1電極と第2電極との間の静電容量を検知し、検知した静電容量に基づいて、現像室内のトナーの残量を検知してもよい。また、補給量や充填量は実施例中の値でなくてもよい。変動幅ΔVの量の傾きの大きい範囲でコントロールできる量に設定すればよい。
【0090】
さらに、実施例1と実施例2とを組み合わせて制御を行ってもよい。例えば、低印字ユーザーに対しては実施例1の制御を行い、高印字ユーザーに対しては実施例2の制御を行うように制御してもよい。また、ユーザーの使用環境や使用頻度に合わせて制御してもよい。
【0091】
以上、実施例2によれば、トナーの残量の予測精度を向上させ、トナーの残量を検知するための検知動作の回数を削減することができる。
【0092】
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
静電潜像が形成される像担持体と、
トナーを収容するトナー収容部と、前記トナーを担持する現像ローラであって前記像担持体にトナーを供給することによって前記静電潜像を現像する現像装置と、
トナーを収容するトナー容器と、
前記トナー容器から前記トナー収容部にトナーを補給する補給手段と、
前記補給手段を制御する制御部と、
前記トナー収容部に収容されているトナーの残量に相関する信号を出力するトナー残量検知部と、
画像情報から印字画像のピクセル数をカウントし、前記ピクセル数に基づいて前記トナー収容部のトナー残量に関する第1情報を取得する取得部と、
を有し、
前記制御部は、
前記現像装置の使用期間における第1期間において、前記トナー残量検知部によって第1信号が出力された場合に補給を開始し、前記第1信号と異なる第2信号が出力された場合に再び前記第1信号が出力されるまで補給を停止する補給停止期間が設定されるように前記補給手段を制御し、前記補給停止期間のトナー消費量と、前記補給停止期間の前記ピクセル数と、に基づいて単位ピクセル当たりのトナー消費量に関する第2情報を取得し、
前記使用期間における前記第1期間よりも後の第2期間において、前記第2情報に基づいて前記第1情報を取得する、
ことを特徴とする画像形成装置。
(構成2)
前記使用期間は、前記現像装置の未使用時から寿命が報知されるまでの期間であり、前記第1期間は前記使用期間の前半にあり、前記第2期間は前記使用期間の後半にあることを特徴とする上記の画像形成装置。
(構成3)
前記第1期間においては、所定の印字枚数毎に前記トナー残量検知部による検知を行い、前記第2期間においては、所定の印字枚数毎に前記トナー残量検知部による検知を行わないことを特徴とする上記の画像形成装置。
(構成4)
前記制御部は、前記第2期間における補給停止重量と補給開始重量との差が、前記第1期間における補給停止重量と補給開始重量との差よりも小さくなるように制御することを特徴とする上記の画像形成装置。
(構成5)
前記補給停止期間のトナー消費量を記憶するメモリを備えることを特徴とする上記の画像形成装置。
(構成6)
前記補給装置は、回転することで前記補給装置から前記トナー収容部にトナーを補給するスクリューを有し、
前記制御部は、前記スクリューの回転数に基づいて前記補給装置から前記トナー収容部に供給されるトナーの補給量を制御することを特徴とする上記の画像形成装置。
(構成7)
前記補給装置は、伸縮することで前記補給装置内の内圧を変動させて前記補給装置から前記トナー収容部にトナーを補給するためのポンプと、前記ポンプの伸縮を駆動する駆動部と、を有し、
前記制御部は、前記駆動部の駆動時間に基づいて前記補給装置から前記トナー収容部に供給されるトナーの補給量を制御することを特徴とする上記の画像形成装置。
(構成8)
前記検知部は、光を発する発光部と、前記発光部からの光を受光する受光部と、を有し、
前記制御部は、前記受光部から出力される電圧に基づき前記トナー収容部のトナーの残量を検知することを特徴とする上記の画像形成装置。
(構成9)
前記検知部は、第1電極と第2電極とを有し、
前記制御部は、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量に基づいて前記トナー収容部のトナーの残量を検知することを特徴とする上記の画像形成装置。
【符号の説明】
【0093】
1 感光ドラム
3 スキャナユニット
9 トナーカートリッジ
25 現像ローラ
31 現像枠体
80 トナー検知部
150 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13