(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168094
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】接続器
(51)【国際特許分類】
H01R 4/2433 20180101AFI20241128BHJP
H01R 4/2452 20180101ALI20241128BHJP
【FI】
H01R4/2433
H01R4/2452
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084506
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】椎名 哲也
【テーマコード(参考)】
5E012
【Fターム(参考)】
5E012AA08
5E012AA42
5E012AA44
(57)【要約】
【課題】 電線同士の接続を簡易な構成で容易に行うことができる接続器を提供すること。
【解決手段】
接続器10のシェル側壁部161の夫々には、ロケータ18に対応する第1孔171と第2孔173とが設けられている。ロケータ18は、第1方向において第1位置から第2位置に移動可能となるようにシェル16に取り付けられる。ロケータ18には、ケーブル50の電線501の先端を受容する受容孔191が設けられている。ロケータ18には、受容孔191と連通する許容部193が設けられている。許容部193は、端子14の接続部147の移動を許容する。ロケータ18が第1位置にあるとき、ロケータ18の突部195の夫々は第1孔171内に位置する。ロケータ18が第2位置にあるとき、突部195の夫々は第2孔173内に位置する。ロケータ18が第2位置にあるとき、ロケータ18に対応する接続部147は受容孔191内に部分的に位置する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケーブル同士を接続する接続器であって、
前記接続器は、ハウジングと、少なくとも一つの端子と、シェルと、少なくとも一つのロケータとを備えており、
前記ケーブルの夫々は、少なくとも一つの電線を備えており、
前記端子は、少なくとも二つの接続部を有しており、
前記接続部は、互いに異なる前記ケーブルの前記電線に夫々接続されるものであり、
前記シェルは、幅方向において互いに離れて位置する二つのシェル側壁部を有しており、
前記シェル側壁部の夫々には、前記ロケータに対応する少なくとも一組の第1孔と第2孔とが設けられており、
前記一組の前記第1孔と前記第2孔とは、前記シェル側壁部を前記幅方向において貫通しており、かつ前記幅方向と直交する第1方向において互いに離れて位置しており、
前記ロケータは、前記第1方向において第1位置から第2位置に移動可能となるように前記シェルに取り付けられており、
前記ロケータは、前記ケーブルの少なくとも一つと対応していると共に、対応する前記ケーブルの前記電線に接続される前記接続部と対応しており、
前記ロケータには、第1端面と、第2端面と、受容孔と、許容部と、二つの突部とが設けられており、
前記第1端面と前記第2端面とは、前記幅方向と直交するとともに前記第1方向と交差する第2方向において前記ロケータの両端に位置しており、
前記受容孔は、前記第2端面から前記第1端面まで貫通しており、かつ前記ロケータに対応する前記ケーブルの前記電線の先端を受容可能なものであり、
前記許容部は、前記受容孔と連通し、かつ前記ロケータの移動の際に前記ロケータに対応する前記接続部の移動を許容しており、
前記突部は、前記シェル側壁部に夫々対応しており、
前記突部の夫々は、前記幅方向において外側に突出しており、
前記ロケータが前記第1位置にあるとき、前記突部の夫々は前記ロケータに対応する前記第1孔内に位置しており、
前記ロケータが前記第2位置にあるとき、前記突部の夫々は前記ロケータに対応する前記第2孔内に位置しており、かつ前記ロケータに対応する前記接続部は前記受容孔内に部分的に位置している
接続器。
【請求項2】
請求項1に記載の接続器であって、
前記接続器は、二つ以上の前記ロケータを備えており、
前記ロケータは、前記接続部と夫々対応している
接続器。
【請求項3】
請求項1に記載の接続器であって、
前記接続器は、三つ以上の前記ロケータを備えており、
前記端子は、三つ以上の前記接続部を備えており、
前記ロケータは、前記接続部と夫々対応している
接続器。
【請求項4】
請求項1に記載の接続器であって、
前記ケーブルの夫々は、二つの電線を備えるツイステッドペアケーブルであり、
前記接続器は、前記二つの電線に夫々対応した二つの前記端子を備えており、
前記二つの前記端子は互いに対称な形状を有している
接続器。
【請求項5】
請求項1に記載の接続器であって、
前記接続部の夫々は、前記第1方向に延びる二股の圧接片である
接続器。
【請求項6】
請求項1に記載の接続器であって、
前記ロケータは、主部と、前記主部から前記第1方向に延びる二つの支持部とを有しており、
前記受容孔は、前記主部に設けられており、
前記支持部は、弾性変形可能なものであり、前記突部と夫々対応しており、
前記突部の夫々は、対応する前記支持部に支持されており、少なくとも前記幅方向に移動可能であり、
前記突部の夫々が対応する前記シェル側壁部の前記第2孔内に位置するとき、前記ロケータの前記第2位置から前記第1位置へ向かう移動が規制されている
接続器。
【請求項7】
請求項1に記載の接続器であって、
前記ハウジングは、前記第2方向と交差する少なくとも一つの受け面を有しており、
前記ハウジングの前記受け面と前記シェル側壁部とは、前記ロケータを収容する収容部を構成しており、
前記ロケータが前記第2位置にあるとき、前記第1方向において前記受容孔の占める範囲は、前記受け面の占める範囲と重複しており、
前記ロケータが前記第1位置にあるとき、前記第1方向において前記受容孔の占める範囲の一部は、前記受け面の占める範囲と重複している一方で、前記受容孔の占める範囲の残りの部分は、前記受け面の占める範囲の外にある
接続器。
【請求項8】
請求項1に記載の接続器であって、
前記ハウジングは、前記第2方向と交差する少なくとも一つの受け面を有しており、
前記ハウジングの前記受け面と前記シェル側壁部は、前記ロケータを収容する収容部を構成しており、
前記第2方向において、前記ロケータの前記第1端面は、前記ロケータの前記第2端面より、前記ハウジングの前記受け面の近くにあり、
前記ロケータが前記第1位置にあるとき、前記受容孔に挿入された前記電線の前記先端は前記受け面に突き当て可能であり、
前記第2方向において、前記ロケータの前記第1端面と前記ハウジングの前記受け面との間には隙間がある
接続器。
【請求項9】
請求項1に記載の接続器であって、
前記ロケータには前記第1方向に延びる被ガイド部が設けられており、
前記ハウジングには、前記被ガイド部を受容してガイドするガイド部が設けられている
接続器。
【請求項10】
請求項1に記載の接続器であって、
前記シェルは、導電性金属からなる
接続器。
【請求項11】
請求項1に記載の接続器であって、
前記接続器は、更にカバー部を有し、
前記カバー部は金属からなり、
前記カバー部は、前記幅方向において互いに離れて位置する二つのカバー側壁部と、前記カバー側壁部を互いに繋ぐ連結部を備え、
前記カバー側壁部は、前記幅方向において内側に突出したバネ片を有しており、
前記ロケータが前記第2位置にある状態で、前記カバー部は前記シェルに取り付けられており、
前記カバー部が前記シェルに取り付けられた状態において、前記カバー側壁部は前記幅方向において前記シェル側壁部の外側に位置していると共に、前記バネ片は前記第1孔内に位置している
接続器。
【請求項12】
請求項11に記載の接続器であって、
前記ケーブルは、シールド導体を備えており、
前記カバー部は、前記シールド導体に接続される
接続器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のケーブル同士を接続する接続器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、圧接結線用コネクタを開示している。
【0003】
図31を参照すると、特許文献1のコネクタ90は、電線保持ブロック(ロケータ)92とコンタクトブロック(ハウジング)94とを備えている。コンタクトブロック94は、電線保持ブロック92を受容する受容部(図示せず)内に突出する圧接端子(図示せず)を保持している。電線保持ブロック92には、電線96を夫々保持する保持孔(図示せず)と、圧接端子を受け入れる受入溝(図示せず)とが形成されている。
【0004】
図31から理解されるように、電線96の先端部を電線保持ブロック92の保持孔(図示せず)に夫々挿入し、電線保持ブロック92をコンタクトブロック94の受容部(図示せず)に押し込むと、圧接端子(図示せず)と電線96とが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のコネクタ90は、電線保持ブロック(ロケータ)92を備えている。電線保持ブロック92を用いることで、コネクタ90の圧接端子(図示せず)に電線96を接続する接続工程を容易に行うことができる。そして、このような接続工程の容易性を電線同士の接続工程においても実現したいとの要望が存在する。
【0007】
本発明は、電線同士の接続を簡易な構成で容易に行うことができる接続器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の接続器として、複数のケーブル同士を接続する接続器であって、
前記接続器は、ハウジングと、少なくとも一つの端子と、シェルと、少なくとも一つのロケータとを備えており、
前記ケーブルの夫々は、少なくとも一つの電線を備えており、
前記端子は、少なくとも二つの接続部を有しており、
前記接続部は、互いに異なる前記ケーブルの前記電線に夫々接続されるものであり、
前記シェルは、幅方向において互いに離れて位置する二つのシェル側壁部を有しており、
前記シェル側壁部の夫々には、前記ロケータに対応する少なくとも一組の第1孔と第2孔とが設けられており、
前記一組の前記第1孔と前記第2孔とは、前記シェル側壁部を前記幅方向において貫通しており、かつ前記幅方向と直交する第1方向において互いに離れて位置しており、
前記ロケータは、前記第1方向において第1位置から第2位置に移動可能となるように前記シェルに取り付けられており、
前記ロケータは、前記ケーブルの少なくとも一つと対応していると共に、対応する前記ケーブルの前記電線に接続される前記接続部と対応しており、
前記ロケータには、第1端面と、第2端面と、受容孔と、許容部と、二つの突部とが設けられており、
前記第1端面と前記第2端面とは、前記幅方向と直交するとともに前記第1方向と交差する第2方向において前記ロケータの両端に位置しており、
前記受容孔は、前記第2端面から前記第1端面まで貫通しており、かつ前記ロケータに対応する前記ケーブルの前記電線の先端を受容可能なものであり、
前記許容部は、前記受容孔と連通し、かつ前記ロケータの移動の際に前記ロケータに対応する前記接続部の移動を許容しており、
前記突部は、前記シェル側壁部に夫々対応しており、
前記突部の夫々は、前記幅方向において外側に突出しており、
前記ロケータが前記第1位置にあるとき、前記突部の夫々は前記ロケータに対応する前記第1孔内に位置しており、
前記ロケータが前記第2位置にあるとき、前記突部の夫々は前記ロケータに対応する前記第2孔内に位置しており、かつ前記ロケータに対応する前記接続部は前記受容孔内に部分的に位置している
接続器を提供する。
【0009】
また、本発明は、第2の接続器として、第1の接続器であって、
前記接続器は、二つ以上の前記ロケータを備えており、
前記ロケータは、前記接続部と夫々対応している
接続器を提供する。
【0010】
また、本発明は、第3の接続器として、第1の接続器であって、
前記接続器は、三つ以上の前記ロケータを備えており、
前記端子は、三つ以上の前記接続部を備えており、
前記ロケータは、前記接続部と夫々対応している
接続器を提供する。
【0011】
また、本発明は、第4の接続器として、第1の接続器であって、
前記ケーブルの夫々は、二つの電線を備えるツイステッドペアケーブルであり、
前記接続器は、前記二つの電線に夫々対応した二つの前記端子を備えており、
前記二つの前記端子は互いに対称な形状を有している
接続器を提供する。
【0012】
また、本発明は、第5の接続器として、第1の接続器であって、
前記接続部の夫々は、前記第1方向に延びる二股の圧接片である
接続器を提供する。
【0013】
また、本発明は、第6の接続器として、第1の接続器であって、
前記ロケータは、主部と、前記主部から前記第1方向に延びる二つの支持部とを有しており、
前記受容孔は、前記主部に設けられており、
前記支持部は、弾性変形可能なものであり、前記突部と夫々対応しており、
前記突部の夫々は、対応する前記支持部に支持されており、少なくとも前記幅方向に移動可能であり、
前記突部の夫々が対応する前記シェル側壁部の前記第2孔内に位置するとき、前記ロケータの前記第2位置から前記第1位置へ向かう移動が規制されている
接続器を提供する。
【0014】
また、本発明は、第7の接続器として、第1の接続器であって、
前記ハウジングは、前記第2方向と交差する少なくとも一つの受け面を有しており、
前記ハウジングの前記受け面と前記シェル側壁部とは、前記ロケータを収容する収容部を構成しており、
前記ロケータが前記第2位置にあるとき、前記第1方向において前記受容孔の占める範囲は、前記受け面の占める範囲と重複しており、
前記ロケータが前記第1位置にあるとき、前記第1方向において前記受容孔の占める範囲の一部は、前記受け面の占める範囲と重複している一方で、前記受容孔の占める範囲の残りの部分は、前記受け面の占める範囲の外にある
接続器を提供する。
【0015】
また、本発明は、第8の接続器として、第1の接続器であって、
前記ハウジングは、前記第2方向と交差する少なくとも一つの受け面を有しており、
前記ハウジングの前記受け面と前記シェル側壁部は、前記ロケータを収容する収容部を構成しており、
前記第2方向において、前記ロケータの前記第1端面は、前記ロケータの前記第2端面より、前記ハウジングの前記受け面の近くにあり、
前記ロケータが前記第1位置にあるとき、前記受容孔に挿入された前記電線の前記先端は前記受け面に突き当て可能であり、
前記第2方向において、前記ロケータの前記第1端面と前記ハウジングの前記受け面との間には隙間がある
接続器を提供する。
【0016】
また、本発明は、第9の接続器として、第1の接続器であって、
前記ロケータには前記第1方向に延びる被ガイド部が設けられており、
前記ハウジングには、前記被ガイド部を受容してガイドするガイド部が設けられている
接続器を提供する。
【0017】
また、本発明は、第10の接続器として、第1の接続器であって、
前記シェルは、導電性金属からなる
接続器を提供する。
【0018】
また、本発明は、第11の接続器として、第1の接続器であって、
前記接続器は、更にカバー部を有し、
前記カバー部は金属からなり、
前記カバー部は、前記幅方向において互いに離れて位置する二つのカバー側壁部と、前記カバー側壁部を互いに繋ぐ連結部を備え、
前記カバー側壁部は、前記幅方向において内側に突出したバネ片を有しており、
前記ロケータが前記第2位置にある状態で、前記カバー部は前記シェルに取り付けられており、
前記カバー部が前記シェルに取り付けられた状態において、前記カバー側壁部は前記幅方向において前記シェル側壁部の外側に位置していると共に、前記バネ片は前記第1孔内に位置している
接続器を提供する。
【0019】
また、本発明は、第12の接続器として、第11の接続器であって、
前記ケーブルは、シールド導体を備えており、
前記カバー部は、前記シールド導体に接続される
接続器を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一側面による接続器は、シェルに取り付けられた少なくとも一つのロケータを用いる簡易な構成で、端子に電線を容易に接続することができる。これにより、電線同士の接続の操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施の形態による接続器とケーブルとの組立体を示す斜視図である。接続器は、三本のケーブル同士を接続している。
【
図2】
図1の接続器に接続されているケーブルの一つを示す斜視図である。
【
図5】
図1の接続器に含まれる端子の一つを示す斜視図である。
【
図6】
図1の接続器に含まれる上側ハウジングを示す斜視図である。
【
図7】
図1の接続器に含まれるロケータの一つを示す斜視図である。
【
図9】
図1の接続器に含まれるシェルを示す斜視図である。
【
図10】
図1の接続器の主要部を示す斜視図である。すべてのロケータは、第1位置に位置している。
【
図13】
図10の主要部を示す別の縦断面図である。切断位置は
図12のものと同じである。すべてのロケータは、第2位置に位置している。
【
図14】
図1の接続器の主要部と、ケーブルの一つを示す斜視図である。ケーブルの電線の端部は、第2ロケータの受容孔に夫々挿入されている。すべてのロケータは、第1位置に位置している。
【
図16】
図14の主要部とケーブルとを示す別の側面図である。第2ロケータは、第2位置に位置している。
【
図17】
図14の主要部とケーブルとを示す平面図である。受け面の周辺が拡大して示されている。
【
図18】
図16の主要部とケーブルとを示す斜視図である。第2ロケータは、取り除かれている。
【
図19】
図16の主要部とケーブルとの組立体を示す側面図である。すべてのロケータは、第2位置に位置している。
【
図20】
図19の組立体と上側カバーとを示す斜視図である。上側カバーは、未だシェルに取り付けられていない。
【
図21】
図20の組立体と上側カバーとを示す斜視図である。上側カバーは、シェルに取り付けられている。
【
図22】
図21の組立体と、上側カバー、固定ブロックを示す斜視図である。上側カバーは、ネジで固定ブロックに固定されている。
【
図23】
図22の組立体と下側カバーとを示す斜視図である。下側カバーは、未だシェルに取り付けられていない。
【
図24】
図23の組立体と下側カバーとを示す斜視図である。下側カバーは、シェルに取り付けられ、ネジで固定ブロックに固定されている。
【
図25】本発明の第2の実施の形態による接続器とケーブルとの組立体を示す斜視図である。接続器は、二本のケーブル同士を接続している。
【
図26】
図25の接続器の主要部を示す斜視図である。すべてのロケータは、第1位置に位置している。
【
図28】本発明の第3の実施の形態による接続器とケーブルとの組立体を示す斜視図である。接続器は、四本のケーブル同士を接続している。
【
図29】
図28の接続器の主要部を示す斜視図である。すべてのロケータは、第1位置に位置している。
【
図31】特許文献1に開示された圧接結線用コネクタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
図1に示されるように、本発明の一実施の形態による接続器10は、複数のケーブル50同士を接続するものである。本実施の形態において、接続器10は、三本のケーブル50同士を接続している。ただし、本発明はこれに限られない。本発明の接続器10は、二本のケーブル50同士を接続するものであってもよいし、四本以上のケーブル50同士を接続するものであってもよい。
【0023】
図2に示されるように、本実施の形態において、ケーブル50の夫々は、二つの電線501(501A、501B)を備えるツイステッドペアケーブルである。また、本実施の形態において、ケーブル50の夫々は、シールド導体503を有している。換言すると、本実施の形態において、ケーブル50の夫々はシールデッド・ツイステッドペア(STP)ケーブルである。本実施の形態において、シールド導体503は、その端部において折り返されている。ただし、本発明は、これに限られない。ケーブル50の夫々は、アンシールデッド・ツイステッドペア(UTP)ケーブルであってもよい。ケーブル50の夫々は、少なくとも一つの電線501を備えていればよく、接続器10は、電線501の数に応じて構成されてよい。例えば、本発明は、同軸ケーブル同士を接続する接続器にも適用できる。
【0024】
図3及び
図4を参照すると、接続器10は、ハウジング12と、少なくとも一つの端子14と、シェル16と、少なくとも一つのロケータ18とを備えている。
【0025】
図3及び
図4に示されるように、本実施の形態において、ハウジング12は、上下方向に配置された二つの部品、即ち上側ハウジング121と下側ハウジング123とからなる。本実施の形態において、上下方向はZ方向である。ただし、本発明は、これに限られない。ハウジング12は、単一の部品で構成されてもよい。
【0026】
図3及び
図4に示されるように、本実施の形態において、端子14の数は二つである。端子14の数は、ケーブル50の夫々に含まれる電線501(
図2参照)の数に対応する。換言すると、本実施の形態において、接続器10は、それぞれのケーブル50の二つの電線501(501A、501B)に夫々対応した二つの端子14(第1端子14A、第2端子14B)を備えている。二つの端子14は、幅方向に垂直な面に関して互いに対称な形状を有し、幅方向に互いに離れて配置されている。本実施の形態において、幅方向はX方向である。二つの端子14は、互いに対称な形状を有することにより、互いに等しい信号伝達経路長と伝達特性とを持つ。
【0027】
図3から理解されるように、シェル16は、幅方向において互いに離れて位置する二つのシェル側壁部161(161R、161L)と、これらを互いに連結する二つの連結壁部163とを有している。シェル16は、また、
図4に示されるように、シェル16の底部を部分的に覆う底板部165を有している。本実施の形態において、シェル16は、導電性金属板からなる。ただし、本発明は、これに限られない。シェル16は、樹脂製であってもよい。しかしながら、強度と電磁シールド効果とを考慮して、シェル16は、導電性金属からなることが好ましい。
【0028】
図3及び
図4に示されるように、本実施の形態において、ロケータ18の数は三つである。ロケータ18(第1から第3ロケータ18-1、18-2、18-3)は、ケーブル50(第1から第3ケーブル50-1、50-2、50-3)に夫々対応している。ただし、本発明は、これに限られない。ロケータ18の数は、ケーブル50の数よりも少なくてもよい。例えば、接続器10は、いずれか一つの電線501に対応する一つのロケータ18を有していてもよい。また、一つのロケータ18が複数のケーブル50に対応してもよい。しかしながら、一つのロケータ18が一つのケーブル50に対応しているほうが、操作性がよい。
【0029】
図3及び
図4に示されるように、接続器10は、さらに上側カバー部(カバー部)20、下側カバー部22、二つの固定ブロック24及び複数のネジ26を有している。上側カバー部20は、金属からなり、二つのカバー側壁部201と、連結部203と、二つの取付部205とを備えている。カバー側壁部201は、幅方向において互いに離れて位置しており、連結部203は、カバー側壁部201を互いに繋いでいる。下側カバー部22は、金属からなり、二つのカバー側壁部221と連結部223とを備えている。カバー側壁部221は、幅方向において互いに離れて位置しており、連結部223は、カバー側壁部221を互いに繋いでいる。本発明において、カバー部20、固定ブロック24及びネジ26は必須ではない。しかしながら、これらは、ケーブル50(
図1参照)を保持するともに、電磁シールド効果をもたらす。
【0030】
図5を参照すると、第1端子14Aは、板状の第1部141と、板状の第2部143と、第1部141と第2部143とを連結する連結部145とを有している。第2端子14Bは、上述したように、第1端子14Aの形状と対称の形状を有している。
【0031】
図5に示されるように、第1端子14Aの第1部141と第2部143は、幅方向と直交する第1方向に夫々伸びている。第1部141と第2部143は、幅方向と直交するとともに第1方向と交差する第2方向において互いに離れており、互いに平行に配置されている。連結部145は、第1部141の一方の端部と第2部143の中央部とを連結している。本実施の形態において、第1方向は上下方向と一致するZ方向である。ただし、本発明において、第1方向は、上下方向に対して傾きを有していてもよい。また、本実施の形態において、第2方向は第1方向と直交するY方向である。以下、本明細書において、Y方向を前後方向と称し、-Y方向を前方、+Y方向を後方と称することがある。
【0032】
図5に示されるように、第1端子14Aの第1部141の他方の端部と第2部143の両方の端部には、接続部147(第1から第3接続部147-1、147-2、147-3)が設けられている。第1接続部147-1と第2接続部147-2とは、第2方向において投影面が互いに重なる位置にある。第2接続部147-2と第3接続部147-3とは、第1方向において対称な形状を有している。
【0033】
図3及び
図4から理解されるように、接続部147は、ケーブル50に夫々対応している。また、端子14Aの接続部147の夫々は、対応するケーブル50の一方の電線501Aに対応している。このように第1端子14Aの接続部147-1、147-2、147-3は、互いに異なるケーブル50-1、50-2、50-3の電線501Aに夫々接続される。本実施の形態において、接続部147の夫々は、第1方向に延びる二股の圧接片である。ただし、本発明は、これに限られない。端子14の形状及び接続部147の形状は、特に限定されない。また、端子14の接続部147の数は、ケーブル50の数に依存し、端子14は、少なくとも二つの接続部147を有していればよい。
【0034】
図6を参照すると、上側ハウジング121は、平板状の基部125と、基部125から上方へ突出する中央壁127とを有している。本実施の形態において、上側ハウジング121は、上下方向に沿った中心軸に関して回転対象の形状を有している。
【0035】
図6に示されるように、上側ハウジング121の基部125には、上下方向に貫通する複数の貫通孔131が設けられている。本実施の形態において、貫通孔131の数は、四つである。貫通孔131は、端子14の接続部147に夫々対応している。詳しくは、上側ハウジング121の貫通孔131は、第1端子14Aの第1接続部147-1及び第2接続部147-2と、第2端子14Bの第1接続部147-1及び第2接続部147-2に夫々対応している。貫通孔131の夫々は、対応する接続部147を挿入することが可能なサイズを有している。
【0036】
図6に示されるように、基部125には、さらに二つのガイド部133が設けられている。ガイド部133の夫々は、基部125の上面から下方へ凹んだ窪みである。
【0037】
図6に示されるように、上側ハウジング121の中央壁127は、少なくともの一つの受け面135を有している。本実施の形態において、上側ハウジング121は、四つの受け面135を有している。受け面135の夫々は、ケーブル50の電線501に夫々対応している。本実施の形態において、受け面135は、中央壁127に形成された溝137の底面である。溝137は、前後方向において中央壁127の中央へ向かって凹んでおり、第1方向に伸びている。溝137の底面は、第2方向と交差している。受け面135のうち二つは、前方へ向いている。受け面135のうち残りの二つは後方へ向いている。また、受け面135は、貫通孔131に夫々対応しており、受け面135の夫々は、対応する貫通孔131と前後方向に並んでいる。
【0038】
図3及び
図4から理解されるように、下側ハウジング123は、上側ハウジング121を上下反転したものに略等しい形状を有している。ただし、下側ハウジング123に形成された貫通孔131の数は二つである。これらの貫通孔131は、端子14Aの接続部147-3と端子14Bの接続部147-3とに夫々対応している。ただし、本発明は、これに限られない。下側ハウジング123は、上側ハウジング121と同一に構成されてもよい。
【0039】
図3及び
図4から理解されるように、上側ハウジング121と下側ハウジング123とは、端子14を部分的に挟み込んで保持する。端子14の接続部147は、夫々対応する貫通孔131を通り、外部に露出する。
【0040】
図7及び
図8を参照すると、第1ロケータ18-1は、主部181と、二つの支持部183(183R、183L)とを有している。本実施の形態において、第1ロケータ18-1は、さらに二つの補助部185(185R、185L)を有している。支持部183は、幅方向において主部181の両側に位置し、主部181から第1方向に延びている。支持部183の夫々は、弾性変形可能であり、その先端は少なくとも幅方向に移動可能である。補助部185R、185Lは、支持部183R、183Lの夫々後方に位置し、主部181から第1方向に延びている。
【0041】
図7及び
図8に加え
図3及び
図4を参照すると、第1ロケータ18-1の主部181には、第1端面187と第2端面189とが設けられている。第1端面187と第2端面189とは、第2方向においてロケータ18-1の両端に位置している。
【0042】
図7及び
図8に示されるように、第1ロケータ18-1の主部181には、さらに少なくともの一つの受容孔191と、少なくとも一つの許容部193とが設けられている。本実施の形態において、第1ロケータ18-1には、二つの受容孔191R、191Lが設けられ、かつ二つの許容部193R、193Lが設けられている。受容孔191R、191Lは、許容部193R、193Lと夫々対応している。
【0043】
図7及び
図8から理解されるように、第1ロケータ18-1の受容孔191R、191Lは、第1ロケータ18-1に対応する第1ケーブル50-1の電線501A、501Bに夫々対応している。受容孔191R、191Lの夫々は、第2端面189から第1端面187まで貫通しており、対応する電線501A又は501Bの端部を受容可能なものである。換言すると、受容孔191R、191Lの夫々は、電線501A又は501Bの端部を受容可能なサイズを有している。
【0044】
図3及び
図4から理解されるように、第1ロケータ18-1の許容部193R、193Lは、端子14A、14Bに夫々対応している。換言すると、許容部193R、193Lは、第1ロケータ18-1に対応する第1ケーブル50-1の電線501A、501Bが接続される第1端子14Aの第1接続部147-1と第2端子14Bの第1接続部147-1とに夫々対応している。また、許容部193R、193Lの夫々は、対応する接続部147の第1方向の移動を許容するサイズを有している。加えて、許容部193R、193Lは、対応する受容孔191R、191Lと夫々連通している。
【0045】
図7及び
図8に示されるように、第1ロケータ18-1には、さらに二つの突部195(195R、195L)が設けられている。第1ロケータ18-1の支持部183R、183Lは、突部195R、195Lに夫々対応している。突部195R、195Lの夫々は、対応する支持部183R、183Lの先端部に設けられている。また、突部195R、195Lは、シェル16のシェル側壁部161R、161Lに夫々対応しており、幅方向において、外側に突出している。突部195R、195Lは、夫々支持部183R、183Lに夫々支持され、支持部183R、183Lの弾性変形により、少なくとも幅方向において移動可能である。
【0046】
図7及び
図8に示されるように、第1ロケータ18-1には、また、二つの補助突部197(197R、197L)が設けられている。補助突部197R、197Lは、補助部185R、185Lに夫々設けられている。補助突部197R、197Lは、幅方向において、外側へ突出している。補助突部197R、197Lは、前後方向において、突部195R、195Lの後方に夫々位置している。また、補助突部197R、197Lは、第1方向において、突部195R、195Lよりも少し主部181寄りの位置にある。
【0047】
図8に示されるように、第1ロケータ18-1には、第1方向に延びる被ガイド部199がさらに設けられている。被ガイド部199は、主部181から下方へ突出している。被ガイド部199は、上側ハウジング121のガイド部133の一方と対応している。ガイド部133は、対応する被ガイド部199を受容して、被ガイド部199の移動、即ち、ロケータ18-1の移動をガイドする。
【0048】
図3及び
図4から理解されるように、第2ロケータ18-2及び第3ロケータ18-3の夫々は、第1ロケータ18-1と同一に構成される。第2ロケータ18-2の許容部193R、193Lは、第2ロケータ18-2に対応する第2ケーブル50-2の電線501A、501Bが接続される第1端子14Aの第2接続部147-2と第2端子14Bの第2接続部147-2とに夫々対応している。また、第3ロケータ18-3の許容部193R、193Lは、第3ロケータ18-3に対応する第3ケーブル50-3の電線501A、501Bが接続される第1端子14Aの第3接続部147-3と第2端子14Bの第3接続部147-3とに夫々対応している。
【0049】
図9を参照すると、シェル16のシェル側壁部161R、161Lの夫々には、ロケータ18に対応する少なくとも一組の第1孔171と第2孔173とが設けられている。本実施の形態において、シェル側壁部161R、161Lの夫々には、三組の第1孔171(171-1、171-2、171-3)と第2孔173(173-1、173-2、173-3)とが設けられている。第1孔171-1及び第2孔173-1は、第1ロケータ18-1に対応している。第1孔171-2及び第2孔173-2は、第2ロケータ18-2に対応している。第1孔171-3及び第2孔173-3は、第3ロケータ18-3に対応している。
【0050】
図9に示されるように、シェル側壁部161R、161Lの夫々には、さらにロケータ18に対応する少なくとも一組の第3孔175と第4孔177とが設けられている。本実施の形態において、シェル側壁部161R、161Lの夫々には、三組の第3孔175(175-1、175-2、175-3)と第4孔177(177-1、177-2、177-3)とが設けられている。第3孔175-1及び第4孔177-1は、第1ロケータ18-1に対応している。第3孔175-2及び第4孔177-2は、第2ロケータ18-2に対応している。第3孔175-3及び第4孔177-3は、第3ロケータ18-3に対応している。
【0051】
図9から理解されるように、シェル側壁部161R、161Lの夫々において、第1孔171(171-1、171-2、171-3)と第2孔173173-1、173-2、173-3)とは、シェル側壁部161R又は161Lを幅方向において貫通している。また、各組の第1孔171と第2孔173とは、第1方向において互いに離れて位置している。同様に、シェル側壁部161R、161Lの夫々において、第3孔175(175-1、175-2、175-3)と第4孔177(177-1、177-2、177-3)とは、シェル側壁部161R又は161Lを幅方向において貫通している。また、各組の第3孔175と第4孔177とは、第1方向において互いに離れて位置している。本実施の形態において、各組の第1孔171と第2孔173とは、対応するロケータ18の突部195R又は195Lに対応している。また、各組の第3孔175と第4孔177とは、対応するロケータ18の補助突部197R又は197Lに対応している。
【0052】
図3及び
図10から理解されるように、シェル16は、端子14を保持したハウジング12と、ロケータ18とをその内部に収容可能である。ハウジング12がシェル16に収容された状態で、ハウジング12の受け面135とシェル側壁部161R、161Lとは、ロケータ18を収容する収容部167を構成する。本実施の形態において、接続器10には、三つの収容部167(一つのみ図示)が構成されており、これらの収容部167は、ロケータ18に夫々対応している。
【0053】
図10を参照すると、ロケータ18の夫々は、シェル16に取り付けられ、対応する収容部167に部分的に収容される。ロケータ18がシェル16に取り付けられた状態において、ロケータ18の第1端面187は、第2方向において、第2端面189よりもハウジング12の受け面135の近くにある。詳しくは、第1ロケータ18-1の第1端面187は、前後方向において後方へ向けられており、第1ロケータ18-1の第2端面189は、前後方向において前方へ向けられている。第2ロケータ18-2及び第3ロケータ18-3の夫々の第1端面187は、前後方向において前方へ向けられており、第2ロケータ18-2及び第3ロケータ18-3の夫々の第2端面189は、前後方向において後方へ向けられている。以下、第1ロケータ18-1の説明は、必要な変更を加えて第2ロケータ18-2及び第3ロケータ18-3にも当てはまり、第2ロケータ18-2の説明は、必要な変更を加えて第1ロケータ18-1及び第3ロケータ18-3にも当てはまる。
【0054】
図11から理解されるように、幅方向において、ロケータ18-1の主部181のサイズは、シェル16の内側のサイズよりかわずかに小さい。また、幅方向において、突部195(195R、195L)を含むロケータ18のサイズは、シェル16の内側のサイズよりも大きい。
【0055】
図3及び
図10から理解されるように、ロケータ18のシェル16への取り付けは、第1方向に沿ってロケータ18を対応する収容部167に向かって押し込むことにより行われる。
図7及び
図8に示されるように、幅方向における突部195(195R、195L)のサイズは、先端に向かって減少している。この形状により、ロケータ18のシェル16への取り付けを容易に行うことができる。突部195は、主として支持部183の弾性変形により、補助突部197は主としてシェル16の弾性変形により、収容部167へ進入することができる。
【0056】
図10から理解されるように、収容部167へ進入した突部195(195R、195L)は、対応する第1孔171に達すると支持部183の復元により第1孔171内へ進入する。また、収容部167へ進入した補助突部197(197R、197L)は、対応する第3孔175に達するとシェル16の復元により第3孔175内に進入する。こうして、ロケータ18がシェル16へ取り付けられたとき、突部195は対応する第1孔171内に位置し、補助突部197は対応する第3孔175内に位置する。以下の説明において、このときのシェル16に対するロケータ18の位置を第1位置と称する。つまり、本実施の形態において、ロケータ18が第1位置にあるとき、突部195の夫々はロケータ18に対応する第1孔171内に位置し、補助突部197の夫々は第3孔175内に位置している。
【0057】
図12を参照すると、第1ロケータ18-1が第1位置にあるとき、その受容孔191(191R、191L)の夫々を通して受け面135を部分的に視認することができる。詳しくは、第1ロケータ18-1が第1位置にあるとき、第1方向において受容孔191の夫々の占める範囲の一部は、対応する受け面135の占める範囲と重複しており、受容孔191の夫々の占める範囲の残りの部分は、対応する受け面135の占める範囲の外にある。このとき受容孔191の夫々内に対応する接続部147(
図13参照)を視認することはできない。この状態において、受容孔191の夫々には、対応する電線501の端部を挿入することが可能であり、電線501の先端を受け面135に突き当てることができる。このように、ロケータ18が第1位置にあるとき、受容孔191に挿入された電線501の先端は受け面135に突き当て可能である。
【0058】
図14及び
図15を参照すると、第2ロケータ18-2は第1位置にあり、第2ロケータ18-2の受容孔191(191R、191L)に第2ケーブル50-2の電線501(501A、501B)がそれぞれ挿入されている。ここで、
図11に示されるように、第2ロケータ18-2がシェル16に取り付けられているとき、第2方向において、第2ロケータ18-2の第1端面187と上側ハウジング121の受け面135との間には、隙間が存在する。したがって、
図17に示されるように、第1方向に沿って見たとき、第2ロケータ18-2の受容孔191に挿入された第2ケーブル50-2の電線501の先端を視認することができる。こうして、第2ロケータ18-2の受容孔191に挿入された第2ケーブル50-2の電線501の先端が、受け面135に突き当たっているか否かを確認することができる。これにより、接続器10への電線501の接続を確実に行うことができる。
【0059】
図7及び
図8を参照して前述したように、幅方向における突部195のサイズは、先端に向かって減少している。この形状により、ロケータ18が収容部167内へ向かう力を受けたとき、第1孔171内に位置する突部195は、第1孔171から容易に出ることができる。逆に、ロケータ18が収容部167外へ向かう力を受けたとき、第1孔171内に位置する突部195は、第1孔171から出ることが規制される。換言すると、突部195は、一旦シェル16に取り付けられたロケータ18がシェル16から脱落することを防止する。また、補助突部197は、ロケータ18に比較的小さな力が加えられたときは、第3孔175から出ることができず、ロケータ18に比較的大きな力が加えられたときは、第3孔175から出ることができるように、その形状およびサイズが設定されている。なお、補助突部197が、第3孔175から出られるか否かは、突部195の形状と位置にも依存する。
【0060】
図12と
図13との比較、又は
図15及び
図16との比較から理解されるように、第1位置にある第2ロケータ18-2をさらに収容部167内へ押し込むと、突部195(195R、195L)は、第1孔171-2から出て第2孔173-2へ向かい、補助突部197(197R、197L)は、第3孔175-2から出て第4孔177-2へ向かう。そして、突部195は、第2孔173-2内に達すると第2孔173-2内に進入し、補助突部197は第4孔177-2に達すると第4孔177-2内へ進入する。本明細書において、突部195が第2孔173内に位置し、補助突部197が第4孔177内に位置するとき、シェル16に対するロケータ18の位置を第2位置と称する。換言すると、本実施の形態において、ロケータ18が第2位置にあるとき、突部195の夫々はロケータ18に対応する第2孔173内に位置し、補助突部197の夫々は第4孔177内に位置している。以上のように、ロケータ18は、第1方向において第1位置から第2位置に移動可能となるようにシェル16に取り付けられている。そして、突部195の夫々が対応するシェル側壁部161R、161Lの第2孔173内に位置するとき、ロケータ18の第2位置から第1位置へ向かう移動は、突部195と第2孔173とによって規制される。
【0061】
図13を参照すると、ロケータ18が第2位置にあるとき、第1方向において受容孔191(191R、191L)の占める範囲は、受け面135の占める範囲と重複している。また、このとき受容孔191内に接続部147を部分的に視認することができる。これは、ロケータ18に対応する接続部147が、受容孔191内に部分的に位置していることを意味する。この構成により、第1位置にあるロケータ18の受容孔191に対応する電線501の端部を挿入し、ロケータ18を第1位置から第2位置へと移動させることによって、
図18に示されるように、接続部147に電線501を接続することができる。
【0062】
図19に示されるように、接続器10にケーブル50-1、50-2、50-3が取り付けられたとき、ロケータ18-1、18-2、18-3は、夫々第2位置に位置する。
【0063】
図20を参照すると、上側カバー部20の連結部203は、上下方向に沿ってみたとき、シェル16を覆う略矩形の形状とサイズを有している。カバー側壁部201は、前後方向に長い略矩形の形状を有し、連結部203の両縁から上下方向において下方へ延びている。カバー側壁部201の夫々は、幅方向において内側に突出したバネ片207を有している。本実施の形態において、カバー側壁部201の夫々は、二つのバネ片207を有している。バネ片207は、第1ロケータ18-1及び第2ロケータ18-2に対応するシェル16の第1孔171-1、171-2に夫々対応している。取付部205は、連結部203の前部及び後部に連続している。取付部205には、上下方向に貫通するネジ孔209が形成されている。
【0064】
図20及び
図21から理解されるように、上側カバー部20は、第1ロケータ18-1及び第2ロケータ18-2がともに第2位置にある状態で、シェル16に取り付けられる。上側カバー部20がシェル16に取り付けられた状態において、カバー側壁部201は幅方向においてシェル側壁部161R、161Lの外側に位置する。バネ片207は、上側カバー部20がシェル16に取り付けられたとき、対応する第1孔171内に夫々位置する。第1ロケータ18-1及び第2ロケータ18-2の少なくとも一方が第1位置にあるとき、バネ片207は、いくつかのバネ片207又は全部のバネ片207が対応する第1孔171に進入できないので、上側カバー部20をシェル16に取り付けることはできない。
【0065】
図22に示されるように、上側カバー部20は、ネジ26で固定ブロック24に固定される。ケーブル50-1、50-2は、取付部205と固定ブロック24との間に夫々挟まれ固定される。これにより、ケーブル50-1、50-2の電線501が接続器10から抜けるのを防止できる。また、ケーブル50のシールド導体503は、上側カバー部20に電気的に接続され、電磁シールド効果を高めることができる。
【0066】
図23を参照すると、下側カバー部22は、二つのカバー側壁部221と、連結部223と、取付部225とを有している。下側カバー部22は、金属板からなる。連結部223は、上下方向に沿ってみたとき、シェル16のほぼ半分を覆う略矩形の形状とサイズを有している。カバー側壁部221は、連結部223の両縁から上下方向において上方へ夫々延びている。カバー側壁部221の夫々は、幅方向において内側に突出したバネ片227を有している。本実施の形態において、カバー側壁部221の夫々は、二つのバネ片227を有している。バネ片227は、第3ロケータ18-3に対応するシェル16の第1孔171-3及び第3孔175-3に夫々対応している。取付部225は、連結部223の後部に連続している。取付部225には、上下方向に貫通するネジ孔229が形成されている。
【0067】
図23及び
図24から理解されるように、下側カバー部22は、第3ロケータ18-3が第2位置にある状態でシェル16に取り付けられる。下側カバー部22がシェル16に取り付けられた状態において、カバー側壁部221は幅方向においてシェル側壁部161R、161Lの外側に位置する。バネ片227は、下側カバー部22がシェル16に取り付けられたとき、対応する第1孔171-3及び第3孔175-3内に夫々位置する。第3ロケータ18-3が第1位置にあるとき、バネ片227は、対応する第1孔171-3及び第3孔175-3に夫々進入できないので、下側カバー部22をシェル16に取り付けることはできない。
【0068】
図24に示されるように、下側カバー部22は、ネジ26で固定ブロック24の一方に固定される。ケーブル50-3は、下側カバー部22と固定ブロック24との間に挟まれる。これにより、ケーブル50-3の電線501が接続器10から抜けるのを防止できる。また、ケーブル50-3のシールド導体503は、下側カバー部22に電気的に接続され電磁シールド効果を高めることができる。
【0069】
以上説明したように、本実施の形態による接続器10を用いれば、簡単な操作でケーブル50同士を接続することができる。また、第2方向において、ロケータ18の第1端面187とハウジング12の受け面135との間に隙間を設け、その隙間を外部から目視できるようにしたことで、ケーブル50の電線501への接続器10の接続を確実に行うことができる。
【0070】
本実施の形態による接続器10は、伝送路、信号伝達経路又は電源供給路を二手に分岐する分岐コネクタとしても利用可能である。ここで、従来の分岐コネクタは、メインラインに分岐ラインをぶら下げる形式なので、予めメインラインの長さをある程度確保しておく必要がある。そのため、メインラインの長さが長すぎたり、逆に短すぎたりするという問題が生じる可能性がある。これに対して、本発明のように、接続部が三つある分岐器の場合、メインラインを都度延長しながら分岐ラインを接続できる。また、長いメインラインを一旦切断して使用することも可能であり、その場合でも、無駄が少ない。
【0071】
(第2の実施の形態)
図25を参照すると、本発明の第2の実施の形態による接続器10Sは、二本のケーブル50(50-1、50-2)同士を接続するものである。
【0072】
図26及び
図27から理解されるように、本実施の形態の接続器10Sは、第1の実施の形態による接続器10から、第3ロケータ18-3とそれに関連する構成を取り除いたものに略等しい。
【0073】
図26及び
図27に示されるように、シェル16Sは、シェル16に比べて第1方向のサイズが小さく、底部を覆う底板部165Sを有している。本実施の形態において、端子(図示せず)は、端子14(
図5参照)から第3接続部147-3を取り除いたものに等しい。
【0074】
本実施の形態による接続器10Sは、二本のケーブル50同士を簡単な操作で容易に接続することができる。例えば、接続器10Sは、伝送路や信号伝達経路、電源供給路を延長する延長コネクタとして利用することができる。
【0075】
(第3の実施の形態)
図28を参照すると、本発明の第3の実施の形態による接続器10Tは、四本のケーブル50(50-1、50-2、50-3、50-4)同士を接続するものである。
【0076】
図29及び
図30から理解されるように、本実施の形態の接続器10Tは、第1の実施の形態による接続器10に、第4ロケータ18-4を追加するようにしたものに略等しい。本実施に形態において、第4ロケータ18-4は、第1ロケータ18-1と同一に構成されている。
【0077】
図29及び
図30から理解されるように、シェル16Tのシェル側壁部161R、161Lの夫々には、第4ロケータ18-4に対応する第1孔171-4、第2孔173-4、第3孔175-4、第4孔177-4が設けられている。また、本実施の形態において、端子(図示せず)は、端子14(
図5参照)に第1接続部147-1と逆方向へ延び、第3接続部147-3と対向する第4接続部を設けたものに等しい。第4接続部と第3接続部147-3は、第2方向において投影面が互いに重なる位置にある。第4接続部と第1接続部147-1とは、第1方向において対称な形状を有している。
【0078】
本実施の形態による接続器10Tは、四本のケーブル50同士を簡単な操作で容易に接続することができる。第1の実施の形態の場合と同様に、接続器10Tは、伝送路、信号伝達経路又は電源供給路を三手に分岐する分岐コネクタとして利用可能である。
【0079】
以上、本発明について、実施の形態を掲げて説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能である。例えば、上記の実施の形態では、すべての電線501が対応する接続部147に圧接されているが、一部の電線501については、端子にはんだ付けされたり、端子台にねじ止めされたりしてもよい。
【0080】
上記実施の形態において、ケーブル50の数と端子14の接続部147の数とが一致しているが、本発明の接続器は、接続部147の数がケーブル50の数より少ない端子を複数備えていてもよい。例えば、本発明の接続器は、四本のケーブルに接続される接続器であって、二本のケーブル同士を接続する端子を二組備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0081】
10、10S、10T 接続器
12 ハウジング
121 上側ハウジング
123 下側ハウジング
125 基部
127 中央壁
131 貫通孔
133 ガイド部
135 受け面
137 溝
14、14A、14B 端子
141 第1部
143 第2部
145 連結部
147、147-1、147-2、147-3 接続部
16、16S、16T シェル
161、161R、161L シェル側壁部
163 連結壁部
165、165S 底板部
167 収容部
171、171-1、171-2、171-3 第1孔
173、173-1、173-2、173-3 第2孔
175、175-1、175-2、175-3 第3孔
177、177-1、177-2、177-3 第4孔
18、18-1、18-2、18-3 ロケータ
181 主部
183、183R、183L 支持部
185、185R、185L 補助部
187 第1端面
189 第2端面
191、191R、191L 受容孔
193、193R、193L 許容部
195、195R、195L 突部
197、197R、197L 補助突部
199 被ガイド部
20 上側カバー部(カバー部)
201 カバー側壁部
203 連結部
205 取付部
207 バネ片
209 ネジ孔
22 下側カバー部
221 カバー側壁部
223 連結部
225 取付部
227 バネ片
229 ネジ孔
24 固定ブロック
26 ネジ
50、50-1、50-2、50-3 ケーブル
501、501A、501B 電線
503 シールド導体