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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168095
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241128BHJP
   B41J 11/04 20060101ALI20241128BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20241128BHJP
   B65H 15/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 103
B41J11/04
B65H7/02
B65H15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084507
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】記村 和芳
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
3F048
3F102
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB13
2C056EB30
2C056EB45
2C056EB49
2C056EB58
2C056EC14
2C056EC29
2C056FA14
2C056HA29
2C056HA40
2C056HA46
2C056HA47
2C058AB08
2C058AB16
2C058AB17
2C058AB22
2C058AC07
2C058AE02
2C058AE08
2C058AE13
2C058AF04
2C058AF15
2C058AF31
2C058DA10
2C058DA35
3F048AA01
3F048AB01
3F048AB06
3F048BA06
3F048BB03
3F048BB04
3F048BB05
3F048CA02
3F048DA01
3F048EB24
3F102AA01
3F102AB01
3F102AB05
3F102BA11
(57)【要約】
【課題】カールの発生を抑制しつつ、紙面温度を安定させることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録媒体を担持しながら搬送する搬送部(印刷胴23)と、搬送部により搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部30と、記録媒体を搬送部に供給する供給部と、を備える。供給部は、記録媒体を画像が形成される第1面側から加熱する第1加熱部(第1加熱胴22)と、記録媒体を第1面と反対側の第2面側から加熱する第2加熱部(第2加熱胴21)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を担持しながら搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体を前記搬送部に供給する供給部と、
を備え、
前記供給部は、
前記記録媒体を前記画像が形成される第1面側から加熱する第1加熱部と、
前記記録媒体を前記第1面と反対側の第2面側から加熱する第2加熱部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2加熱部は、前記第1加熱部よりも前記記録媒体の搬送方向上流側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1加熱部及び前記第2加熱部による加熱を制御する制御部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像形成部により所定の前記記録媒体に画像を形成する場合に、前記第2加熱部による加熱の制御を開始することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、室温又は前記所定の記録媒体の温度情報に基づいて、前記第2加熱部による加熱を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記所定の記録媒体の特性に基づいて、前記第2加熱部による加熱を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部により前記第1面に画像が形成された記録媒体の表裏を反転させて前記搬送部に搬送する反転部と、
前記反転部により表裏が反転された記録媒体を前記第2面側から加熱する第3加熱部と、
を備え、
前記反転部は、前記第3加熱部により加熱された記録媒体を、前記搬送部及び前記第1加熱部により形成されたニップ部に搬送し、
前記第2加熱部を経由して前記第1加熱部に搬送される前記記録媒体は、前記第3加熱部を経由して前記ニップ部に搬送される前記記録媒体よりも、前記第1加熱部との接触距離が長いことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1加熱部、前記第2加熱部及び前記第3加熱部による加熱を制御する制御部を備え、
前記第2加熱部及び前記第3加熱部の外周側には、それぞれを加熱する放射熱源が設けられ、
前記制御部は、通過する前記記録媒体の幅に応じて前記放射熱源の発熱幅を制御することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記記録媒体の特性に基づいて、前記第1加熱部による加熱を制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記記録媒体の前記第1面のインク付着量に基づいて、前記第3加熱部による加熱を制御することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記記録媒体の特性は、前記記録媒体の材質、坪量及び厚み情報のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項6又は9に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙、布帛等の種々の記録媒体に対して高精細な画像を記録する装置として、インクジェット記録装置が広く普及している。インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドのノズルからインクを吐出する方式により、記録媒体に対して画像を記録する装置である。
【0003】
ところで、インクジェット記録装置では、印刷画像の品質を担保するために、さまざまな温度制御が行われている。例えば、インクジェット記録装置は、インク、インクを収容するタンク、ヘッド、記録媒体(用紙)、装置内の種々の部品についての温度制御を行う。記録媒体の温度制御は、ヘッドから記録媒体に吐出、着弾されるインクの拡がり性の確保、均一化を図るために重要となる。特に、記録媒体の表裏両面に画像を形成する場合、当該記録媒体の表裏両面における温度制御を十分に行う必要がある。
【0004】
そこで、表面の温度調整用の胴(搬送ローラー)と裏面の温度調整用の胴とをそれぞれ設ける構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の構成によれば、記録媒体の表裏両面における温度制御を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-94773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の構成は、特殊な記録媒体に対して、課題が解決できるものではなかった。例えば、厚紙は、熱容量が大きいため、加熱面から反対の面側への熱移動が発生する。これにより、印刷開始時点では厚紙の加熱面の温度が低下し、安定しにくい現象が生じる。記録媒体の加熱面の温度の低下分を補填するには、加熱量を増やす必要がある。特に、画像記録の高速化により、短時間で記録媒体の片面側を急激に温度上昇させることが求められている。記録媒体の片面側を短時間で急激に温度上昇させることは、カールやおちょこなどの用紙歪の原因となる。用紙歪が発生すると、紙詰まりが発生したり、印刷胴への記録媒体の吸着が安定しなかったりするという課題が生じる。
【0007】
本発明は、カールの発生を抑制しつつ、紙面温度を安定させることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
画像形成装置において、
記録媒体を担持しながら搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体を前記搬送部に供給する供給部と、
を備え、
前記供給部は、
前記記録媒体を前記画像が形成される第1面側から加熱する第1加熱部と、
前記記録媒体を前記第1面と反対側の第2面側から加熱する第2加熱部と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第2加熱部は、前記第1加熱部よりも前記記録媒体の搬送方向上流側に配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第1加熱部及び前記第2加熱部による加熱を制御する制御部を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記画像形成部により所定の前記記録媒体に画像を形成する場合に、前記第2加熱部による加熱の制御を開始することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、室温又は前記所定の記録媒体の温度情報に基づいて、前記第2加熱部による加熱を制御することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記所定の記録媒体の特性に基づいて、前記第2加熱部による加熱を制御することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、
前記画像形成部により前記第1面に画像が形成された記録媒体の表裏を反転させて前記搬送部に搬送する反転部と、
前記反転部により表裏が反転された記録媒体を前記第2面側から加熱する第3加熱部と、
を備え、
前記反転部は、前記第3加熱部により加熱された記録媒体を、前記搬送部及び前記第1加熱部により形成されたニップ部に搬送し、
前記第2加熱部を経由して前記第1加熱部に搬送される前記記録媒体は、前記第3加熱部を経由して前記ニップ部に搬送される前記記録媒体よりも、前記第1加熱部との接触距離が長いことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、
前記第1加熱部、前記第2加熱部及び前記第3加熱部による加熱を制御する制御部を備え、
前記第2加熱部及び前記第3加熱部の外周側には、それぞれを加熱する放射熱源が設けられ、
前記制御部は、通過する前記記録媒体の幅に応じて前記放射熱源の発熱幅を制御することを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記記録媒体の特性に基づいて、前記第1加熱部による加熱を制御することを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記記録媒体の前記第1面のインク付着量に基づいて、前記第3加熱部による加熱を制御することを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項6又は9に記載の画像形成装置において、
前記記録媒体の特性は、前記記録媒体の材質、坪量及び厚み情報のうちの少なくとも一つであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、カールの発生を抑制しつつ、紙面温度を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を説明する側面図である。
図2】本実施形態に係るインクジェット記録装置の主要な機能を説明するためのブロック図である。
図3】本実施形態に係るインクジェット記録装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】第2加熱胴の温度調整テーブルの一例を示す図である。
図5】第1加熱胴の温度調整テーブルの一例を示す図である。
図6】記録媒体の厚みに対して通常制御で許容される坪量の条件の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
本実施形態に係るインクジェット記録装置(画像形成装置)1は、図1及び図2に示すように、給紙部10と、本体部20と、排紙部60と、用紙温度検知部70と、データ入力部80と、制御部100と、を備える。
【0023】
給紙部10は、記録媒体(用紙)Pを本体部20の第2加熱胴21に給紙する。
給紙部10は、給紙トレイ11と、媒体供給部12と、温度センサー13と、を備える。
【0024】
給紙トレイ11は、一又は複数の記録媒体Pを載置可能に設けられた板状の部材であり、記録媒体Pを格納する。給紙トレイ11は、給紙トレイ11に載置された記録媒体Pの量(枚数)に応じて上下動するように設けられている。給紙トレイ11は、上下動方向について、最上の記録媒体Pが媒体供給部12により搬送される位置で保持される。
【0025】
媒体供給部12は、内側が2本のローラーにより支持された輪状のベルトを備える。媒体供給部12は、このベルト上に記録媒体Pを載置した状態でローラーを回転させる。これにより、媒体供給部12は、給紙トレイ11から本体部20に記録媒体Pを搬送して供給する。
【0026】
温度センサー13は、例えば赤外線検知方式のセンサーであり、給紙動作時における記録媒体Pの温度を測定する。温度センサー13は、最上の記録媒体Pに対向するように位置し、測定した最上の記録媒体Pの温度を検知信号として制御部100に出力する。
【0027】
本体部20は、複数の胴を備える。本実施形態において、胴とは、記録媒体Pを搬送する搬送ローラーのことを示している。
具体的には、本体部20は、第2加熱胴21と、第1加熱胴22と、印刷胴23と、第1排紙胴24と、搬送胴25と、第2排紙胴26と、反転胴27と、第3加熱胴28と、を備える。印刷胴23は、大径(例えば3倍胴)である。
【0028】
第2加熱胴21は、媒体供給部12により搬送された記録媒体Pを搬送面上で保持して第1加熱胴22に引き渡す。すなわち、第2加熱胴21は、第1加熱胴22よりも記録媒体Pの搬送方向上流側に配置される。
本体部20には、第2加熱胴21を加熱するためのヒーターH1が、第2加熱胴21に対向する位置に設けられている。すなわち、第2加熱胴21の外周側には、第2加熱胴21を加熱するヒーターH1(放射熱源)が設けられている。ヒーターH1は、制御部100の制御により稼働し、第2加熱胴21を加温(プレヒート)するための熱を放射する。これにより、第2加熱胴21は加熱され、画像形成プロセスに先立って、搬送される記録媒体Pの第2面を加熱する。記録媒体Pの第2面は、用紙反転部50を経由して印刷胴23に搬送された記録媒体Pに対して画像が形成される面である。第2面は、後述する第1面と反対側の面である。すなわち、第2加熱胴21は、記録媒体Pを第1面と反対側の第2面側から加熱する本発明の第2加熱部として機能する。
【0029】
第1加熱胴22は、第2加熱胴21と印刷胴23との間の位置に設けられる。第1加熱胴22は、第2加熱胴21により搬送された記録媒体Pを搬送面上で保持して印刷胴23に引き渡す。
本体部20には、第1加熱胴22を加熱するためのヒーターH2が、第1加熱胴22に対向する位置に設けられている。ヒーターH2は、制御部100の制御により稼働し、第1加熱胴22を加温するための熱を放射する。これにより、第1加熱胴22は加熱され、画像形成プロセスに先立って、搬送される記録媒体Pの第1面を加熱する。記録媒体Pの第1面は、第2加熱胴21を経由して印刷胴23に搬送された記録媒体Pに対して画像が形成される面である。すなわち、第1加熱胴22は、記録媒体Pを画像が形成される第1面側から加熱する本発明の第1加熱部として機能する。
【0030】
印刷胴(搬送部)23は、円柱面状の外周曲面(搬送面)上に第1加熱胴22により引き渡された記録媒体Pを担持しながら、反時計回りに回転する。これにより、印刷胴23は、記録媒体Pを反時計回りに搬送する。
本体部20には、印刷胴23を加熱するためのヒーターH3が、印刷胴23に対向する位置に設けられている。ヒーターH3は、制御部100の制御により稼働し、印刷胴23を加温するための熱を放射する。これにより、印刷胴23は加熱され、搬送される記録媒体Pを加熱する。
【0031】
印刷胴23は、搬送面上で記録媒体Pを担持するために、複数の爪部23a,23b,23c及び図示しない吸気部を備える。記録媒体Pは、いずれかの爪部23a~23cにより端部が押さえられ、かつ吸気部により搬送面に吸い寄せられる。これにより、記録媒体Pは、印刷胴23の搬送面に担持される。
【0032】
給紙部10、第2加熱胴21及び第1加熱胴22は、記録媒体Pを印刷胴23に供給する本発明の供給部として機能する。
【0033】
また、本体部20は、画像形成部30と、エネルギー線照射部40と、用紙反転部50と、を備える。
【0034】
画像形成部30は、印刷胴23により搬送される記録媒体Pに画像を形成する。
画像形成部30は、複数のインクジェットヘッド(以下、単にヘッドとも称する)31~34と、ヘッド駆動部35と、を備える。
【0035】
複数のヘッド31~34は、互いに異なる色のインクを吐出する。ヘッド31~34は、記録媒体Pが担持された印刷胴23の回転に応じたタイミングで、ノズル開口部から記録媒体Pにインクを吐出して画像を形成する。ノズル開口部は、印刷胴23の搬送面に対向するインク吐出面に設けられている。ヘッド31~34は、そのインク吐出面と印刷胴23の搬送面との間が所定の距離だけ離隔されるように配置される。
図1に示す例では、ヘッド31~34から紫外線(UV)硬化型のインクが吐出されるものとする。なお、画像形成部30で使用されるインクは、これに限定されない。例えば、画像形成部30で使用されるインクは、赤外線や電子線等の他のエネルギー線の照射により乾燥又は硬化する性質のものであってもよい。
【0036】
4つのヘッド31~34は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各インクにそれぞれ対応する。図1に示す例では、4つのヘッド31~34が、記録媒体Pの搬送方向上流側からY,M,C,Kの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。以下、記録媒体Pの搬送方向を、単に搬送方向とも称する。
図示しないが、一具体例では、各々のヘッド31~34には、複数の記録素子が設けられている。複数の記録素子は、インクを貯留する圧力室と、圧力室の壁面に設けられた圧電素子と、圧力室に連通するノズルと、を各々有している。記録素子は、圧電素子を変形動作させる駆動信号が入力されると、圧力室が変形して圧力室内の圧力が変化し、ノズルからインクを吐出する。
【0037】
ヘッド駆動部35は、制御部100の制御の下、適切なタイミングで複数のヘッド31~34を駆動する。具体的には、ヘッド駆動部35は、各々のヘッド31~34に対し、画像データに応じて圧電素子を変形動作させる駆動信号を供給する。これにより、ヘッド駆動部35は、対応するヘッド31~34のノズルから画像データの画素値に応じた量のインクを吐出させる。
【0038】
エネルギー線照射部40は、画像形成部30よりも搬送方向下流側に配置される。エネルギー線照射部40は、印刷胴23の回転軸方向の幅に亘って配置された発光部を有する。発光部は、印刷胴23に載置された記録媒体Pに対して紫外線等のエネルギー線を照射する。エネルギー線照射部40は、記録媒体Pに対して発光部からエネルギー線を照射して、記録媒体P上に吐出されたインクを所定温度に加温する。これにより、エネルギー線照射部40は、記録媒体P上に形成された画像(インク像)を硬化させて記録媒体Pに定着させる。
【0039】
エネルギー線照射部40よりも搬送方向下流側には、第1排紙胴24、搬送胴25、第2排紙胴26、反転胴27、ベルト搬送部29が設けられている。第1排紙胴24は、印刷胴23に対向している。搬送胴25は、第1排紙胴24に対向している。第2排紙胴26及び反転胴27は、搬送胴25に対向している。ベルト搬送部29は、第2排紙胴26に対向している。
【0040】
また、反転胴27よりも搬送方向下流側には、第3加熱胴28が設けられている。第3加熱胴28は、印刷胴23とニップ部を形成し、反転胴27により搬送される記録媒体Pの後端を当該ニップ部で保持して搬送する。
本体部20には、第3加熱胴28を加熱するためのヒーターH4が、第3加熱胴28に対向する位置に設けられている。すなわち、第3加熱胴28の外周側には、第3加熱胴28を加熱するヒーターH4(放射熱源)が設けられている。ヒーターH4は、制御部100の制御により稼働し、第3加熱胴28を加温するための熱を放射する。これにより、第3加熱胴28は加熱され、用紙反転部50により表裏が反転された記録媒体Pの第2面を加熱する。すなわち、第3加熱胴28は、用紙反転部50により表裏が反転された記録媒体Pを第2面側から加熱する本発明の第3加熱部として機能する。
【0041】
上記のうち、反転胴27及び第3加熱胴28は、画像形成部30により第1面に画像が形成された記録媒体Pの表裏を反転させて印刷胴23に搬送する。すなわち、反転胴27及び第3加熱胴28は、本発明の用紙反転部(反転部)50を構成する。
本実施形態では、いわゆるスイッチバック回転動作を行う反転胴27と、第3加熱胴28との協働動作により、用紙反転部50の機能が実現される。
用紙反転部50は、第3加熱胴28により加熱された記録媒体Pを、印刷胴23及び第1加熱胴22により形成されたニップ部N1に搬送する。
【0042】
本実施形態では、第2加熱胴21を経由して第1加熱胴22に搬送される記録媒体Pは、第3加熱胴28を経由して第1加熱胴22(ニップ部N1)に搬送される記録媒体Pよりも、第1加熱胴22との接触距離が長い。これは、第3加熱胴28を経由する場合、印刷胴23やエネルギー線照射部40による加熱等により記録媒体Pがある程度加熱されているからである。すなわち、第3加熱胴28を経由する場合、記録媒体Pを少し加熱するだけでよいので、第1加熱胴22との接触距離が短くなっている。記録媒体Pは、第1加熱胴22との接触距離に応じて第1加熱胴22との接触時間が変動する。すなわち、記録媒体Pは、第2加熱胴21を経由する場合、第1加熱胴22との接触距離が長くなるので、第1加熱胴22との接触時間も長くなる。これにより、第2加熱胴21を経由する記録媒体Pは、時間を掛けて緩やかに加熱されるので、用紙歪の発生が抑制される。
【0043】
上記の第1排紙胴24、搬送胴25、第2排紙胴26及び反転胴27には、爪部24a,25a,26a,27aが設けられている。各爪部24a~27aは、それぞれ制御部100の制御により開閉が切り替えられる。
【0044】
ベルト搬送部29は、内側が3本のローラーにより支持された輪状の搬送ベルトを有する。ベルト搬送部29は、搬送胴25及び第2排紙胴26から受け渡された記録媒体Pを搬送ベルトにより搬送して、排紙部60に送出する。
【0045】
排紙部60は、画像形成部30により画像が形成された記録媒体Pを排紙する。排紙部60は、ベルト搬送部29により本体部20から送り出された記録媒体Pが載置される板状の排紙トレイ61を有する。
【0046】
用紙温度検知部70は、複数の温度センサーを含み、かかる温度センサーの検知結果を制御部100に出力する。具体的には、用紙温度検知部70は、温度センサー13と、温度センサー71と、温度センサー72と、を含む。
【0047】
温度センサー71は、第2加熱胴21よりも搬送方向下流側かつ印刷胴23よりも搬送方向上流側に、第1加熱胴22に対向するように配置されている。温度センサー71は、第2加熱胴21による加熱後の記録媒体Pの第2面側の温度を検知し、検知結果を制御部100に出力する。なお、温度センサー71は、記録媒体Pが通過していないときには、第1加熱胴22の温度を検知することもできる。
【0048】
温度センサー72は、第1加熱胴22よりも搬送方向下流側かつ画像形成部30よりも搬送方向上流側に、印刷胴23に対向するように配置されている。温度センサー72は、第1加熱胴22による加熱後の記録媒体Pの第1面側の温度を検知し、検知結果を制御部100に出力する。なお、温度センサー72は、記録媒体Pが通過していないときには、印刷胴23の温度を検知することもできる。
【0049】
データ入力部80は、図示しないPC等の外部装置に接続される入力インターフェースやメモリー等を備える。メモリーは、例えばHDDが用いられ、DRAMなどが併用されてもよい。
データ入力部80は、制御部100の制御の下、外部装置から印刷ジョブに関するデータを取得(入力及び記憶)する。印刷ジョブに関するデータは、ジョブ命令、印刷される画像の画像データや種々の設定データなどである。データ入力部80は、印刷ジョブの実行時に、画像データをヘッド駆動部35に出力する。
【0050】
制御部100は、CPU、RAM、ROMを有する。
CPUは、ROMに記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAMに記憶させ、当該プログラムを実行して各種の演算処理を行う。CPUは、インクジェット記録装置1の全体動作を統括制御する。
RAMは、CPUに作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。なお、RAMは、不揮発性メモリーを含んでいてもよい。
ROMは、CPUにより実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROMに代えて、EEPROMやフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0051】
例えば、制御部100は、各胴23~27の各爪部24a~27aの開閉を制御することにより、記録媒体Pの搬送方向(搬送路ないし搬送先)を切り替える。
また、制御部100は、第1加熱胴22、第2加熱胴21及び第3加熱胴28による加熱を制御する。
また、制御部100は、印刷ジョブに関するデータや図示しない各種センサーなどにより検知された情報に基づいて、記録媒体Pに係る情報を取得する。記録媒体Pに係る情報は、例えば、記録媒体Pの材質、坪量、厚み情報、用紙幅、インク付着量などである。
【0052】
次に、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。図3の処理は、インクジェット記録装置1において、両面印刷が指示されたときの処理である。なお、図3の処理は、印刷ジョブの実行が指示されたことを契機として開始される。
【0053】
まず、制御部100は、ヒーターH2、ヒーターH3及びヒーターH4を稼働させて、第1加熱胴22、印刷胴23及び第3加熱胴28を加熱する制御を行う(ステップS101)。すなわち、制御部100は、第1加熱胴22、印刷胴23及び第3加熱胴28による加熱を制御する。
【0054】
次に、制御部100は、画像形成部30により画像が形成される記録媒体Pが、所定の記録媒体であるか否かを判定する(ステップS102)。所定の記録媒体は、熱容量の大きいメディアである。所定の記録媒体は、例えば、PETフィルム、塗工紙、アート紙、片面コート紙、キャストコート紙などである。また、一般に、記録媒体は、厚みが厚くなるとパルプ層に蓄熱された熱が逃げにくい。したがって、紙種にかかわらず、厚みが厚い記録媒体を、所定の記録媒体に含めるようにしてもよい。制御部100は、例えば、印刷ジョブに関するデータや各種センサーにより検知された情報を参照して、所定の記録媒体であるか否かを判定する。
制御部100は、所定の記録媒体であると判定した場合(ステップS103:YES)、ステップS103へと移行する。
一方、制御部100は、所定の記録媒体でないと判定した場合(ステップS103:NO)、ステップS104へと移行する。
【0055】
ステップS103において、制御部100は、ヒーターH1を稼働させて、第2加熱胴21を加熱する制御を開始する。すなわち、制御部100は、画像形成部30により所定の記録媒体に画像を形成する場合に、第2加熱胴21による加熱の制御を開始する。その後、制御部100は、ステップS104へと移行する。第2加熱胴21を加熱する制御を開始するのは、熱容量の大きい記録媒体が加熱面(第1面)から反対側の面(第2面)へと熱が逃げやすいからである。すなわち、制御部100は、第1加熱胴22による第1面の加熱を前に、第2面側を第2加熱胴21により加熱させるようにする。これにより、加熱面(第1面)側の熱が反対側の面(第2面)へと逃げないようにする。
【0056】
ステップS104において、制御部100は、給紙部10を制御して、記録媒体Pの給紙動作を開始させる。給紙部10から給紙された記録媒体Pは、第2加熱胴21及び第1加熱胴22を経由して、印刷胴23に搬送される。その際、記録媒体Pは、第2加熱胴21にて第2面を、第1加熱胴22にて第1面を、それぞれ加熱される。
【0057】
次に、制御部100は、画像形成部30を制御して、記録媒体Pの第1面に画像(インク像)を形成させる(ステップS105)。
【0058】
次に、制御部100は、エネルギー線照射部40を制御して、画像が形成された記録媒体Pの第1面にエネルギー線を照射させる(ステップS106)。エネルギー線が照射された記録媒体Pは、第1排紙胴24及び搬送胴25を経由して、反転胴27に搬送される。
【0059】
次に、制御部100は、用紙反転部50を制御して、反転胴27に搬送された記録媒体Pの表裏を反転させる(ステップS107)。
具体的には、制御部100は、反転胴27の爪部27aに保持されている記録媒体Pの搬送方向後端が第3加熱胴28に対向する位置に来たときに、反転胴27の回転方向を逆転させる。このスイッチバック動作により、記録媒体Pの搬送方向後端が、印刷胴23と第3加熱胴28とのニップ部に引き渡されて保持される。このとき、制御部100は、反転胴27の爪部27aを開く制御を行って、反転胴27による記録媒体Pの保持を解除する。かかる制御により、記録媒体Pの表裏が反転する。印刷胴23と第3加熱胴28とのニップ部N2で保持された記録媒体Pは、印刷胴23及び第1加熱胴22により形成されたニップ部N1に搬送される。その際、記録媒体Pは、第3加熱胴28にて第2面を加熱される。その後、記録媒体Pは、表裏及び搬送方向の先端/後端が反転された状態で、印刷胴23により画像形成部30に向けて搬送される。
【0060】
次に、制御部100は、画像形成部30を制御して、記録媒体Pの第2面に画像を形成させる(ステップS108)。
【0061】
次に、制御部100は、エネルギー線照射部40を制御して、画像が形成された記録媒体Pの第2面にエネルギー線を照射させる(ステップS109)。エネルギー線が照射された記録媒体Pは、第1排紙胴24、搬送胴25及び第2排紙胴26を経由して、ベルト搬送部29に搬送される。
【0062】
次に、制御部100は、ベルト搬送部29を制御して、画像が形成された記録媒体Pを排紙部60の排紙トレイ61に排紙させる(ステップS110)。
【0063】
次に、各胴を加熱する制御について、図4図6を用いて説明する。
制御部100は、室温又は所定の記録媒体の温度情報に基づいて、第2加熱胴21による加熱を制御する。例えば、制御部100は、所定の記録媒体の第2面が目標温度(例えば40℃)となるように第2加熱胴21による加熱を制御する。なお、所定の記録媒体の温度情報は、例えば、温度センサー13により測定させることで取得する。室温は、例えば、図示しない温度センサーにより測定させることで取得する。
【0064】
制御部100は、温度調整テーブルT1(図4参照)を参照して、第2加熱胴21による加熱を制御する。温度調整テーブルT1を参照するのは、所定の記録媒体をどのように温度調整すればよいかわからないからである。
次に、制御部100は、上記温度調整テーブルT1を参照した加熱後、温度センサー71により所定の記録媒体の第2面側の温度を検知させる。検知結果は、制御部100にフィードバックされる。制御部100は、目標温度と検知結果との差異に基づいて、所定の記録媒体の第2面側の温度が目標温度となるように、第2加熱胴21の温度を調整する。
例えば、フィルムなどの特殊紙は、1枚の単価が高額(例えば、1000円/1枚)である。特殊紙を温度が安定しない状態で通紙すると、最初の数枚がヤレとなり使えないため、コストが嵩むという課題がある。したがって、特殊紙を通紙する場合に、上記の2段階制御を行うことで、ヤレの発生を抑制して、コストの増大を防ぐことができる。
【0065】
例えば、コート紙を通紙する場合、コート紙の厚みと室温又はコート紙の温度情報とに基づいて、第2加熱胴21の温度を制御する。また、アート紙を通紙する場合、アート紙の厚みと室温又はアート紙の温度情報とに基づいて、第2加熱胴21の温度を制御する。具体的には、所定の記録媒体(コート紙、アート紙)の第2面が目標温度(例えば40℃)となるように、第2加熱胴21の温度を制御する。例えば、図4に示す例では、室温が16℃で厚みが0.15mm以下のコート紙を通紙する場合、第2加熱胴21の表面温度が51℃となるように制御する。第2加熱胴21の表面温度が51℃となるように制御することで、上記条件のコート紙の第2面の温度を40℃に近づけることができる。
一方、上質紙を通紙する場合、上質紙の温度にかかわらず、第2加熱胴21の表面温度が30℃を維持できるように、第2加熱胴21を加熱する。これは、冷えた記録媒体が第2加熱胴21に繰り返し接触通過すると、熱を奪われて第2加熱胴21の表面温度が下がるからである。そのため、制御部100は、ヒーターH1を制御して、第2加熱胴21の表面温度が30℃を維持できるように、第2加熱胴21を加熱させる。これにより、第2加熱胴21の表面温度の低下を防止することができる。
【0066】
制御部100は、温度調整テーブルT2(図5参照)を参照して、第1加熱胴22による加熱を制御する。
例えば、コート紙を通紙する場合、コート紙の厚みと室温又はコート紙の温度情報とに基づいて、第1加熱胴22の温度を制御する。また、アート紙を通紙する場合、アート紙の厚みと室温又はアート紙の温度情報とに基づいて、第1加熱胴22の温度を制御する。具体的には、所定の記録媒体(コート紙、アート紙)の第1面が目標温度(例えば45℃)となるように、第1加熱胴22の温度を制御する。また、上質紙を通紙する場合、上質紙の厚みと室温又は上質紙の温度情報とに基づいて、第1加熱胴22の温度を制御する。具体的には、上質紙の第1面が目標温度(例えば38℃)となるように、第1加熱胴22の温度を制御する。例えば、図5に示す例では、室温が16℃で厚みが0.15mm以下のコート紙を通紙する場合、第1加熱胴22の表面温度が63℃となるように制御する。第1加熱胴22の表面温度が63℃となるように制御することで、上記条件のコート紙の第1面の温度を45℃に近づけることができる。
【0067】
制御部100は、所定の記録媒体の特性に基づいて、第2加熱胴21による加熱を制御する。所定の記録媒体の特性は、例えば、記録媒体の材質、坪量、厚み情報などである。これは、例えば薄くても重いPETフィルムと厚くて軽い紙とでは、加熱時の温度上昇の度合いが異なるからである。
例えば、坪量158gsmで厚みが0.15mmを超えるコート紙は、パルプ密度が低くパルプ層に空気層が多くあるため、熱が逃げにくい。このような条件の場合、制御部100は、ヒーターH1による第2加熱胴21の加熱を弱めるように制御する。図6に、記録媒体の厚みに対して通常制御で許容される坪量の条件の一例を示す。通常制御は、温度調整テーブルT1に基づく温度制御のことである。すなわち、所定の記録媒体の坪量が図6に示す条件の範囲内であれば、所定の記録媒体に対して温度調整テーブルT1どおりの制御が実施される。
一方、制御部100は、所定の記録媒体の坪量が図6に示す条件の範囲を超える場合、第2加熱胴21の表面温度を0.95倍に制御する。例えば、室温16℃で、厚みが0.15mmで坪量が158gsmを超えるコート紙(両面に塗工層が形成されている)の場合、第2加熱胴21の表面温度を51℃(図4参照)×0.95≒48℃に制御する。
【0068】
制御部100は、記録媒体Pの特性に基づいて、第1加熱胴22による加熱を制御する。
例えば、制御部100は、記録媒体Pの坪量が図6に示す条件の範囲を超える場合、第1加熱胴22の表面温度を0.95倍に制御する。例えば、室温16℃で、厚みが0.15mmで坪量が158gsmを超えるコート紙(両面に塗工層が形成されている)の場合、第1加熱胴22の表面温度を63℃(図5参照)×0.95≒60℃に制御する。
【0069】
制御部100は、通過する記録媒体Pの幅に応じてヒーターH1、H4の発熱幅を制御する。これにより、通過する記録媒体Pの全面を加熱することができる。また、記録媒体Pが通過しない位置の加熱を抑制することができるので、記録媒体Pの端部だけ温度が高くなる温度ムラの発生を抑制することができる。よって、温度ムラに起因する画像不良の発生を抑制することができる。
【0070】
制御部100は、記録媒体Pの第1面のインク付着量に基づいて、第3加熱胴28による加熱を制御する。これは、記録媒体Pに吐出されたインクの量が多いと、インク自体が有する熱により記録媒体Pが加熱されるからである。また、記録媒体Pのインク付着量が多いと、エネルギー線照射部40による加熱量が増大するからである。すなわち、記録媒体Pのインク付着量により記録媒体Pの温度に変動が生じるため、第3加熱胴28による加熱を制御するようにしている。具体的には、制御部100は、記録媒体Pのインク付着量が多い場合に、第3加熱胴28による加熱温度を相対的に低下させる。また、制御部100は、記録媒体Pのインク付着量が少ない場合に、第3加熱胴28による加熱温度を相対的に上昇させる。
【0071】
以上のように、本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、記録媒体を担持しながら搬送する搬送部(印刷胴23)と、搬送部により搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部30と、記録媒体を搬送部に供給する供給部と、を備える。供給部は、記録媒体を画像が形成される第1面側から加熱する第1加熱部(第1加熱胴22)と、記録媒体を第1面と反対側の第2面側から加熱する第2加熱部(第2加熱胴21)と、を備える。
したがって、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、記録媒体の画像形成面の裏面を加熱することができる。これにより、画像形成面からの熱移動を減少させることができるので、カールの発生を抑制しつつ、紙面温度を安定させることができる。
【0072】
また、第2加熱部は、第1加熱部よりも記録媒体の搬送方向上流側に配置される。
したがって、記録媒体の画像形成面の裏面を先に加熱することができる。これにより、画像形成面からの熱移動をより減少させることができるので、カールの発生をより抑制しつつ、紙面温度をより安定させることができる。
【0073】
また、第1加熱部及び第2加熱部による加熱を制御する制御部100を備える。
したがって、記録媒体の加熱量を制御することができる。これにより、より確実に紙面温度を安定させることができる。
【0074】
また、制御部100は、画像形成部30により所定の記録媒体に画像を形成する場合に、第2加熱部による加熱の制御を開始する。
したがって、特殊な記録媒体において、画像形成面からの熱移動を減少させることができる。これにより、特殊な記録媒体に画像形成する場合であっても、カールの発生を抑制しつつ、紙面温度を安定させることができる。
【0075】
また、制御部100は、室温又は所定の記録媒体の温度情報に基づいて、第2加熱部による加熱を制御する。
したがって、室温や記録媒体の温度に応じて第2加熱部による加熱量を制御することができる。これにより、より確実に紙面温度を安定させることができる。
【0076】
また、制御部100は、所定の記録媒体の特性に基づいて、第2加熱部による加熱を制御する。記録媒体の特性は、記録媒体の材質、坪量及び厚み情報のうちの少なくとも一つである。
したがって、記録媒体の種類等に応じて第2加熱部による加熱量を制御することができる。これにより、より確実に紙面温度を安定させることができる。
【0077】
また、画像形成部30により第1面に画像が形成された記録媒体の表裏を反転させて搬送部に搬送する反転部(用紙反転部50)と、反転部により表裏が反転された記録媒体を第2面側から加熱する第3加熱部(第3加熱胴28)と、を備える。反転部は、第3加熱部により加熱された記録媒体を、搬送部及び第1加熱部により形成されたニップ部に搬送する。第2加熱部を経由して第1加熱部に搬送される記録媒体は、第3加熱部を経由してニップ部に搬送される記録媒体よりも、第1加熱部との接触距離が長い。
したがって、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、第3加熱胴28を経由する場合、記録媒体を少しだけ加熱することができる。第2加熱胴21を経由する場合、時間を掛けて緩やかに記録媒体を加熱できるので、用紙歪の発生を抑制することができる。
【0078】
また、第1加熱部、第2加熱部及び第3加熱部による加熱を制御する制御部100を備える。第2加熱部及び第3加熱部の外周側には、それぞれを加熱する放射熱源(ヒーターH1、H4)が設けられる。制御部100は、通過する記録媒体の幅に応じて放射熱源の発熱幅を制御する。
したがって、通過する記録媒体の全面を加熱することができる。また、記録媒体が通過しない位置の加熱を抑制できるので、記録媒体の端部だけ温度が高くなる温度ムラの発生を抑制することができる。よって、温度ムラに起因する画像不良の発生を抑制することができる。
【0079】
また、制御部100は、記録媒体の特性に基づいて、第1加熱部による加熱を制御する。
したがって、記録媒体の種類等に応じて第1加熱部による加熱量を制御することができる。これにより、より確実に紙面温度を安定させることができる。
【0080】
また、制御部100は、記録媒体の第1面のインク付着量に基づいて、第3加熱部による加熱を制御する。
したがって、インク付着量に起因する温度変動に対して第3加熱胴28による加熱を制御できる。これにより、より確実に紙面温度を安定させることができる。
【0081】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0082】
例えば、上記実施形態では、第1加熱胴22よりも搬送方向上流側に第2加熱胴21を配置するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、記録媒体Pの第2面を加熱する第2加熱胴21を、第1面を加熱する第1加熱胴22よりも搬送方向下流側に配置するようにしてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、画像形成装置として、インクジェット記録装置を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、電子写真方式やその他の方式の画像形成装置等に本発明を適用するようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、動作例として、両面印刷が指示されたときの処理を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、片面印刷が指示されたときの処理に本発明を適用するようにしてもよい。この場合、画像が形成された記録媒体Pにエネルギー線を照射させた後、そのまま排紙トレイ61に排紙させるようにすればよい。
【0085】
また、上記実施形態では、各ヒーターH1~H4を加熱対象の各胴に対向する位置に設けるようにしているが、これに限定されるものではない。各ヒーターH1~H4を加熱対象の各胴に内蔵する構成としてもよい。
【0086】
その他、インクジェット記録装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 インクジェット記録装置(画像形成装置)
10 給紙部(供給部)
11 給紙トレイ
12 媒体供給部
13 温度センサー
20 本体部
21 第2加熱胴(供給部、第2加熱部)
22 第1加熱胴(供給部、第1加熱部)
23 印刷胴(搬送部)
24 第1排紙胴
25 搬送胴
26 第2排紙胴
27 反転胴
28 第3加熱胴(第3加熱部)
29 ベルト搬送部
30 画像形成部
31~34 ヘッド
35 ヘッド駆動部
40 エネルギー線照射部
50 用紙反転部(反転部)
60 排紙部
61 排紙トレイ
70 用紙温度検知部
71、72 温度センサー
80 データ入力部
100 制御部
H1、H4 ヒーター(放射熱源)
H2、H3 ヒーター
N1、N2 ニップ部
T1、T2 温度調整テーブル
P 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6