(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168097
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】透明油性固形洗浄料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20241128BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20241128BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20241128BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/37
A61K8/86
A61K8/39
A61K8/73
A61Q1/14
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084510
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】500470840
【氏名又は名称】アサヌマ コーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】神谷 浩美
(72)【発明者】
【氏名】高山 朋子
(72)【発明者】
【氏名】工藤 美穂
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC091
4C083AC092
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC661
4C083AC662
4C083AD022
4C083AD241
4C083AD242
4C083BB04
4C083CC22
4C083CC23
4C083DD01
4C083DD21
4C083DD30
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
4C083FF06
(57)【要約】
【課題】透明性、メイク落ち性能、そして使用性などの洗浄料としての性能を併せ持つ、良好な透明油性固形洗浄料組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】(A)ジブチルラウロイルグルタミド、(B)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、(C)エステル油40~95質量%、及び(D)非イオン性界面活性剤0.1~45質量%を含み、水の含有量が、3質量%未満であり、そして、(A)と(B)との合計の含有量が、0.01質量%以上3.0質量%未満である、透明油性固形洗浄料組成物により、前記課題を解決することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ジブチルラウロイルグルタミド、
(B)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、
(C)エステル油40~95質量%、及び
(D)非イオン性界面活性剤0.1~45質量%
を含み、
水の含有量が、3質量%未満であり、そして
(A)と(B)との合計の含有量が、0.01質量%以上3.0質量%未満である、透明油性固形洗浄料組成物。
【請求項2】
(E)脂肪酸デキストリン0.01~10質量%をさらに含む、請求項1に記載の透明油性固形洗浄料組成物。
【請求項3】
水の含有量が、1質量%以下である、請求項1又は2に記載の透明油性固形洗浄料組成物。
【請求項4】
(C)エステル油が、パルミチン酸エチルヘキシル、オクチルドデカノール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、及びイソノナン酸イソノニルからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の透明油性固形洗浄料組成物。
【請求項5】
(D)非イオン性界面活性剤が、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、ポリソルベート85、テトラオレイン酸ソルベス-30、トリイソステアリン酸PEG-10グリセリル、ステアリン酸PEG-15グリセリル、オレイン酸PEG-6ソルビタン、ジイソステアリン酸PEG-12、イソステアリン酸PEG-8グリセリル、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、及びテトラオレイン酸ソルベス-40からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の透明油性固形洗浄料組成物。
【請求項6】
(E)脂肪酸デキストリンが、ミリスチン酸デキストリン及び/又はパルミチン酸デキストリンである、請求項2に記載の透明油性固形洗浄料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明油性固形洗浄料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
固形状の洗浄料が一般に市販されている。固形状の洗浄料では、独特の使用感が人気である。固形状の洗浄料の多くは、白色であるか、又は着色された不透明なものである(特許文献1)。一方で、化粧品では、製品の外観が購買意欲に非常に大きい影響を与える。透明な製品は、涼しげで清潔な印象を与え、手に取りたくなる美しさがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5779377号
【特許文献2】特許第6503107号
【特許文献3】特許第6503008号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透明油性固形状化粧料として、いくつかの技術が報告されている(特許文献2、3)。特許文献2、3の中には、透明油性固形状洗浄料も報告されている。しかしながら、透明性、メイク落ち性能、そして使用性などの洗浄料としての性能を併せ持つ、より良好な透明油性固形洗浄料が望まれていた。
したがって、本発明の目的は、透明性、メイク落ち性能、そして使用性などの洗浄料としての性能を併せ持つ、良好な透明油性固形洗浄料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、透明性、メイク落ち性能、そして使用性などの洗浄料としての性能を併せ持つ、良好な透明油性固形洗浄料について、鋭意研究した。その結果、驚くべきことに、成分(A)~(D)を一定の割合で配合し、水の含有量を3質量%未満とし、そして(A)と(B)の合計の含有量を0.01質量%以上3.0質量%未満とすることで、良好な透明油性固形洗浄料が得られることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、以下に関するものである。
[1](A)ジブチルラウロイルグルタミド、
(B)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、
(C)エステル油40~95質量%、及び
(D)非イオン性界面活性剤0.1~45質量%
を含み、
水の含有量が、3質量%未満であり、そして
(A)と(B)との合計の含有量が、0.01質量%以上3.0質量%未満である、透明油性固形洗浄料組成物。
[2](E)脂肪酸デキストリン0.01~10質量%をさらに含む、[1]に記載の透明油性固形洗浄料組成物。
[3]水の含有量が、1質量%以下である、[1]又は[2]に記載の透明油性固形洗浄料組成物。
[4](C)エステル油が、パルミチン酸エチルヘキシル、オクチルドデカノール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、及びイソノナン酸イソノニルからなる群から選択される少なくとも1つである、[1]~[3]のいずれか1つに記載の透明油性固形洗浄料組成物。
[5](D)非イオン性界面活性剤が、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、ポリソルベート85、テトラオレイン酸ソルベス-30、トリイソステアリン酸PEG-10グリセリル、ステアリン酸PEG-15グリセリル、オレイン酸PEG-6ソルビタン、ジイソステアリン酸PEG-12、イソステアリン酸PEG-8グリセリル、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、及びテトラオレイン酸ソルベス-40からなる群から選択される少なくとも1つである、[1]~[4]のいずれか1つに記載の透明油性固形洗浄料組成物。
[6](E)脂肪酸デキストリンが、ミリスチン酸デキストリン及び/又はパルミチン酸デキストリンである、[2]~[5]のいずれか1つに記載の透明油性固形洗浄料組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、透明性、メイク落ち性能、そして使用性などの洗浄料としての性能を併せ持つ、良好な透明油性固形洗浄料組成物(以下、単に本発明の組成物と称することがある)を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について詳述する。なお本明細書においては、特に断らない限り、数値a及び数値bについて「a~b」という表記は「a以上b以下」と等価であるものとする。すなわち、「a~b」という表記には、両端の数値a及び数値bが含まれる。かかる表記において数値bのみに単位を付した場合には、当該単位が数値Aにも適用されるものとする。
【0008】
《ジブチルラウロイルグルタミド;成分A》
ジブチルラウロイルグルタミド(以下、成分Aと称することがある)は、分子式C25H49N3O3で表される化合物である。ジブチルラウロイルグルタミドのCAS登録番号は、63663-21-8である。
【0009】
本発明の組成物における前記成分Aの含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば、0.001~2.0質量%、より好ましくは0.01~1.8質量%、更に好ましくは0.05~1.5質量%、更に好ましくは0.08~1.2質量%であり、最も好ましくは0.1~1.0質量%である。前記含有量であることによって、本発明の組成物において、透明性及び良好な使用性を得ることができる。
【0010】
《ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド;成分B》
ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(以下、成分Bと称することがある)は、分子式C21H41N3O3で表される化合物である。ジブチルエチルヘキサノイルグルタミドのCAS登録番号は、861390-34-3である。
【0011】
本発明の組成物における前記成分Bの含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば、0.0005~1.8質量%、より好ましくは0.001~1.5質量%、更に好ましくは0.005~1.2質量%、更に好ましくは0.01~1.0質量%であり、最も好ましくは0.05~0.8質量%である。前記含有量であることによって、本発明の組成物において、透明性及び良好な使用性を得ることができる。
成分Aの含有量に対する成分Bの含有量(成分Bの含有量/成分Aの含有量)は、好ましくは0.1以上10以下、より好ましくは0.15以上5以下、さらに好ましくは0.2以上2.5以下、さらに好ましくは0.3以上1.5以下、最も好ましくは0.5以上1以下である。
【0012】
前記成分A及びBは、独自に調製したものを使用してもよく、市販されているものを使用することもできる。前記成分Aとして、例えば、味の素株式会社製のGP-1を使用することができる。前記成分Bとして、例えば、味の素株式会社製のEB-21を使用することができる。
前記成分A及びBとして、予め前記成分A及びBが混合された製剤を使用することもできる。予め前記成分A及びBが混合された製剤としては、例えば、高級アルコール工業株式会社製のAJK-OD2046を使用することができる。高級アルコール工業株式会社製のAJK-OD2046には、成分Aが12質量%含まれ、そして、成分Bが8質量%含まれる。
【0013】
本発明の組成物における前記成分A及びBの合計の含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、0.01質量%以上3.0質量%未満、好ましくは0.01~2.8質量%、更に好ましくは0.01~2.5質量%、更に好ましくは0.05~2.2質量%、最も好ましくは0.1~1.5質量%である。前記成分A及びBの合計の含有量が0.01質量%以上3.0質量%未満であることによって、本発明の組成物において、透明性及び良好な使用性を得ることができる。
【0014】
前記成分A及びBは、洗浄料の分野でゲル化剤として使用されている。本発明の組成物は、ゲル化剤として前記成分A及びBのみを含んでもよく、前記成分A及びB以外のゲル化剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。
【0015】
《エステル油;成分C》
本発明の組成物において使用できるエステル油(以下、成分Cと称することがある)としては、例えば、パルミチン酸エチルヘキシル、オクチルドデカノール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸2-オクチルドデシル、リシノール酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(1)、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸2-ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、イソパルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸2-オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸2-オクチルドデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリ2-エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ2-オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジブチルオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、又は12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル、酢酸ポリオキシエチレン(3)モノオキシプロピレンセチルエーテル、又は酢酸ポリオキシエチレン(3)モノオキシプロピレンイソセチルエーテル等を挙げることができる。
成分Cは、好ましくは、パルミチン酸エチルヘキシル、オクチルドデカノール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、及びイソノナン酸イソノニルからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0016】
成分CのHLBとしては、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば、6.5~13、7~12.5、又は7.5~12である。
【0017】
本発明の組成物における前記成分Cの含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、40~95質量%、好ましくは45~90質量%、更に好ましくは50~85質量%、更に好ましくは55~80質量%、最も好ましくは55~75質量%である。前記成分Cの含有量が40~95質量%であることによって、本発明の組成物において、透明性を得ることができ、保存中の発汗を防止することができる。
【0018】
本発明の組成物は、油分として、前記成分Cのみを含んでもよく、他の油分、例えば、炭化水素油、エーテル油、脂肪族アルコール、シリコーン、シリコーン誘導体、動植物油、又はテルペン油等を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。
【0019】
《非イオン性界面活性剤;成分D》
本発明の組成物に用いる非イオン性界面活性剤(以下、成分Dと称することがある)は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、ポリソルベート85、テトラオレイン酸ソルベス-30、トリイソステアリン酸PEG-10グリセリル、ステアリン酸PEG-15グリセリル、オレイン酸PEG-6ソルビタン、ジイソステアリン酸PEG-12、イソステアリン酸PEG-8グリセリル、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、テトラオレイン酸ソルベス-40、イソステアリン酸PEG-8、イソステアリン酸PEG-10、イソステアリン酸PEG-12、ジイソステアリン酸PEG-8、ジイソステアリン酸PEG-10、トリイソステアリン酸PEG-8、トリイソステアリン酸PEG-10、又はトリイソステアリン酸PEG-12、イソステアリン酸PEG-10グリセリル、イソステアリン酸PEG-12グリセリル、ジイソステアリン酸PEG-8グリセリル、ジイソステアリン酸PEG-10グリセリル、ジイソステアリン酸PEG-12グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-8グリセリル、又はトリイソステアリン酸PEG-12グリセリルを挙げることができる。
成分Dは、好ましくは、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、ポリソルベート85、テトラオレイン酸ソルベス-30、トリイソステアリン酸PEG-10グリセリル、ステアリン酸PEG-15グリセリル、オレイン酸PEG-6ソルビタン、ジイソステアリン酸PEG-12、イソステアリン酸PEG-8グリセリル、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、及びテトラオレイン酸ソルベス-40からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0020】
本発明の組成物における前記成分Dの含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、0.1~45質量%、好ましくは0.5~42質量%、更に好ましくは1~40質量%、更に好ましくは2~38質量%、最も好ましくは3~35質量%である。前記成分Dの含有量が0.1~45質量%であることによって、本発明の組成物において、透明性を得ることができ、保存中の発汗を防止することができる。
【0021】
本発明の組成物は、界面活性剤として、前記成分Dのみを含んでもよく、他の界面活性剤、例えば、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。
【0022】
《水》
本発明の組成物は、水を含むことができる。水の含有量は、組成物全量基準で、3質量%未満であり、好ましくは2.5質量%以下(未満)、より好ましくは2.0質量%以下(未満)、さらに好ましくは1.5質量%以下(未満)、さらに好ましくは1.0質量%以下(未満)、さらに好ましくは0.5質量%以下(未満)、さらに好ましくは0.3質量%以下(未満)、さらに好ましくは0.1質量%以下(未満)、さらに好ましくは0.01質量%以下(未満)である。本発明の組成物は、水を含むことができるが、水を実質的に含まないことが好ましく、水を含まないことが最も好ましい。本明細書において、「水を実質的に含まない」とは、本発明の組成物の効果を損なわない量の水を含まないことを意味する。本明細書において、「水を含まない」とは、原料に含まれている水分以外の水及び製造工程上の不可避物として組成物内に入り込む水を含まないことを意味する。
【0023】
本発明者らは、透明油性固形洗浄料が、成分A~Dを含む場合でも、水が過剰に含まれていると、透明性及び/又はメイク落ち性能が損なわれることを見出した。例えば、特許文献2の実施例で調製されているサンプルでは、全て一定量の水が含まれており、特許文献2の段落0013や段落0014では、一定量の水を含有させるべき理由も記載されている。成分(A)~(D)を一定の割合で配合し、水の含有量を3質量%未満、そして(A)と(B)の合計の含有量を0.01質量%以上3質量%未満とすることで、良好な透明油性固形洗浄料が得られたことは、驚くべき事である。
【0024】
《脂肪酸デキストリン;成分E》
本発明の組成物は、脂肪酸デキストリン(以下、成分Eと称することがある)を含むことが好ましい。脂肪酸デキストリンは、デキストリンと脂肪酸とのエステルである。脂肪酸デキストリンは、化粧料分野において油剤のゲル化剤として一般に用いられているものを使用することができる。前記脂肪酸の炭素数は8~24であることが好ましく、より好ましくは炭素数が14~18であり、前記脂肪酸は直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和脂肪酸であることができる。成分Eを含む事により、保存中の発汗を防止することができる。
本発明の組成物において使用できる成分Eとしては、例えば、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、2-エチルヘキサン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン等が挙げられる。本発明の組成物において使用される成分Eは、好ましくは、ミリスチン酸デキストリン及び/又はパルミチン酸デキストリンである。
【0025】
本発明の組成物における前記成分Eの含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、0.01~10質量%、好ましくは0.05~8質量%、更に好ましくは0.1~6質量%、更に好ましくは0.2~5質量%、最も好ましくは0.3~3質量%である。
【0026】
《その他の成分》
本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、その他の成分を含むことができる。その他の成分としては、保湿剤(例えば、トリメチルグリシン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コムギたん白液、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホホバ油、加水分解ケラチン)、粘度調整剤(例えば、メチルセルロース)、乳化剤、パール光沢付与剤(例えば、ジステアリン酸グリコール、又はジステアリン酸エチレングリコール)、塩類(例えば、塩化ナトリウム)、植物エキス類、防腐剤、ビタミン剤、香料、抗酸化剤、湿潤剤、キレート剤、着色剤、pH調整剤(例えば、クエン酸、又は酒石酸)、粉体(例えば、泥、炭、鉱物)、スクラブ剤(例えば、ポリエチレン、ナイロン-6、マンナン、シリカ)、ピーリング剤、紫外線吸収剤等を含むことができる。
本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、屈折率の高い油剤を更に含む事ができる。屈折率の高い油剤としては、例えば、水添ポリイソブテン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、及びコムギ胚芽油が挙げられる。
【0027】
(透明油性固形洗浄料組成物)
本明細書において、「固形」の洗浄料とは、常温(25℃)において固形状を保持し得る化粧料を意味する。本明細書において、「洗浄料」とは、身体の一部又は全体の汚れやメイクを洗浄するために用いられる化粧料であり、一般にクレンジング剤とも呼ばれる。
【実施例0028】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。特に説明がない限り、%は質量%を示す。
【0029】
本実施例では、表1及び2に示した成分組成で透明油性固形洗浄料組成物を調製した。
・使用原料
(成分A、成分B)
・AJK-OD2046(オクチルドデカノール、ジブチルラウロイルグルタミド、及びジブチルエチルヘキサノイルグルタミドの混合製剤。ジブチルラウロイルグルタミドを12質量%、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミドを8質量%それぞれ含有)
(成分C)
・NIKKOL IOP(パルミチン酸エチルヘキシル)
・リソノール 20SP(オクチルドデカノール)
(成分D)
・NIKKOL TGI-20(トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、HLB8)
・NIKKOL TO-30V(ポリソルベート85、HLB11)
・NIKKOL GO-430NV(テトラオレイン酸ソルベス-30、HLB11.5)
・NIKKOL GO-440V(テトラオレイン酸ソルベス-40、HLB12.5)
(成分E)
・レオパール MKL2(ミリスチン酸デキストリン)
・レオパール KL2(パルミチン酸デキストリン)
・レオパール TL2(パルミチン酸デキストリン)
(その他の成分)
(増粘剤)
・KL-BEPOP10(ビスエチルヘキシルビスオレイルピロメリタミド、パルミチン酸エチルヘキシル)
・Veggie Gel407((C15-19)アルカン、水添(スチレン/イソプレン)コポリマー)
・COVASILIC 15(ジメチルシリル化シリカ)
(油剤)
・パールリーム 24(水添ポリイソブテン、屈折率1.499)
・KAK PTI(テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル)
・CROPURE WHEAT GERM(コムギ胚芽油、屈折率1.475)
(基剤)
・NIKKOL オリーブ油(植物油)
・シルコール P-70(炭化水素油)
・NIKKOL シュガースクワラン(炭化水素油)
・KF-96A-50CS(シリコーン)
【0030】
各評価項目は、以下のように評価した。
・固化
全ての成分を80~85℃で加熱溶解し、サンプル瓶に流し込み、室温で放冷し、固化させた。
翌日、目視で観察を行い、良好だったものから○、△、×とした。○及び△は、製品として使用可能の評価であり、×は、製品として使用不可能の評価である。
・透明性
全ての成分を80~85℃で加熱溶解し、サンプル瓶に流し込み、室温で放冷し、固化させた。
翌日、目視で観察を行い、良好だったものから○、×とした。○は、製品として使用可能の評価であり、×は、製品として使用不可能の評価である。
・発汗
全ての成分を80~85℃で加熱溶解し、サンプル瓶に流し込み、室温で放冷し、固化させた。
翌日、目視で観察を行い、良好だったものから○、△、×とした。○及び△は、製品として使用可能の評価であり、×は、製品として使用不可能の評価である。
・メイク落ち
口紅・マスカラを塗布した前腕内側又は手の甲又は顔に試作品をなじませ洗い流した。
その後、メイクの落ち具合を目視で観察し、良好だったものから○、△、×とした。○及び△は、製品として使用可能の評価であり、×は、製品として使用不可能の評価である。
・使用性
口紅・マスカラを塗布した前腕内側又は手の甲又は顔に試作品をなじませ洗い流した。
その間の使いやすさを観察し、良好だったものから○、×とした。○は、製品として使用可能の評価であり、×は、製品として使用不可能の評価である。
【0031】
結果を表1及び2に示す。
【0032】
【0033】
【0034】
《実施例1、比較例1~6》
成分A~Dを全て含む実施例1は、全ての評価項目が製品として使用可能なレベルであると判断された。
成分A及びBを欠く比較例1~6は、いずれも、少なくとも1つの評価項目が、製品として使用可能なレベルではないと判断された。
【0035】
《実施例2~5、比較例7》
成分A~Dを全て含む実施例2~5は、全ての評価項目が製品として使用可能なレベルであると判断された。成分Eを含むことで、実施例2は、実施例1と比較して発汗を防止することができた。
成分Dを欠く比較例7は、透明性と使用感の評価項目が、いずれも製品として使用可能なレベルではないと判断された。
【0036】
《実施例6~8、比較例8~12》
成分A~Dを全て含む実施例6~8は、全ての評価項目が製品として使用可能なレベルであると判断された。
成分Cの含有量が規定量よりも少ない又は他の基材を用いた比較例8~12は、いずれも、少なくとも1つの評価項目が、製品として使用可能なレベルではないと判断された。
【0037】
《実施例9~11》
成分A~Dを全て含み、成分Dの量を変更した実施例9~11は、全ての評価項目が製品として使用可能なレベルであると判断された。
【0038】
《実施例12~13、比較例13~14》
実施例12~13及び比較例13~14では、成分A及びBの量を変更して、透明油性固形洗浄料組成物を調製している。成分A及びBが配合されているAJK-OD2046を1又は3質量%含む実施例12又は13は、いずれも全ての評価項目が製品として使用可能なレベルであると判断された。
AJK-OD2046を15又は20質量%含む比較例13又は14は、透明性及び/又は使用感の評価項目が、いずれも製品として使用可能なレベルではないと判断された。
【0039】
《実施例14、比較例15~16》
成分A~Dを全て含み、さらに水を1.0質量%含む実施例14は、全ての評価項目が製品として使用可能なレベルであると判断された。
水をそれぞれ3.0又は5.0質量%含む比較例15又は16は、透明性が、製品として使用可能なレベルではないと判断された。また、水を5.0質量%含む比較例16では、透明性の項目に加えて、メイク落ち性能も悪化した。