IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168102
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H04N1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084518
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 和樹
【テーマコード(参考)】
5C072
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA05
5C072CA05
5C072DA04
5C072EA04
5C072LA02
5C072MA01
5C072NA01
5C072UA13
(57)【要約】
【課題】シートのジャムを抑制することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】シートを搬送しながらシートの画像を読み取る画像読取装置は、シートを搬送する搬送手段と、画像読取装置の所定位置に対して着脱可能に構成され、シートをガイドするガイド手段と、ガイド手段が前記所定位置に取り付いているか否かを検知する検知手段と、を備える。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送しながらシートの画像を読み取る画像読取装置であって、
シートを搬送する搬送手段と、
前記画像読取装置の所定位置に対して着脱可能に構成され、シートをガイドするガイド手段と、
を備え、
前記ガイド手段が前記所定位置に取り付いているか否かを検知する検知手段を更に備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記検知手段の検知結果に基づいてシートの画像の読取動作を実行するか否かについて判定する制御部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記検知手段は、シートの画像を読み取り可能な読取りユニットを含み、
前記読取りユニットは、シートの画像を読み取る読取位置と、前記ガイド手段が前記所定位置に取り付いているか否かについて検知する検知位置との間を移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記読取りユニットの上方に位置し、前記ガイド手段が上面に設置されるガラス台と、
シートを搬送しながらシートの画像を読み取る第1読取動作と、前記読取りユニットを移動させながら前記ガラス台の上面に載置されたシートの画像を読み取る第2読取動作を実行可能な制御部と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記読取りユニットは、前記ガイド手段に向けて投光する投光部と、前記ガイド手段から反射された光を検知するセンサ部とを含み、前記センサ部の検知結果に基づいて前記ガイド手段が前記所定位置に取り付いているか否かについて検知することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記ガイド手段は、光を透過する透光部と、光を透過しない非透光部と、を含み、
前記読取りユニットは、前記読取位置で前記透光部を透過させるように光をシートに向けて投光し、シートの画像を読み取ることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記読取位置は、前記透光部の真下の位置であり、
前記検知位置は、前記非透光部の真下の位置であり、
前記検知手段は、前記センサ部が検知した光に基づいて検出される検出パターンに基づいて前記ガイド手段が前記所定位置に取り付いているか否かについて検知することを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記非透光部は、光を透過しないシート部材であり、
前記シート部材には、シートの搬送方向と交差する方向の異なる位置に複数の切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記切り欠き部は、前記搬送方向と直交するシートの幅方向において、読み取り可能な定形サイズのシートのうち、幅が最大であるシートと重なり、且つ他のシートと重ならない位置に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記検知手段は、投光する投光部と、前記投光部から投光される光を検知するセンサ部とを含み、
前記ガイド手段には、前記画像読取装置に取付けられたときに前記投光部と前記センサ
部との間に位置し、前記投光部から前記センサ部に向かう光を遮断する遮光部が設けられ、
前記検知手段は、前記センサ部が光を検知したか否かに基づいて前記ガイド手段が前記所定位置に取り付いているか否かについて検知することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記ガイド手段には、光を反射する反射部が設けられ、
前記検知手段は、前記反射部に向けて投光する投光部と、前記反射部から反射される光を検知するセンサ部とを含み、前記センサ部が光を検知したか否かに基づいて前記ガイド手段が前記所定位置に取り付いているか否かについて検知することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項12】
シートを搬送しながらシートの画像を読み取る画像読取装置であって、
シートを搬送する搬送手段と、
前記画像読取装置に対して着脱可能に構成され、シートをガイドするガイド手段と、
シートを搬送しながらシートの画像を読み取る読取動作を実行する制御部と、
を備え、
前記ガイド手段に向けて投光する投光部と、前記投光部が投光した光を検知するセンサ部と、を有する光ユニットを更に備え、
前記制御部は、前記センサ部の検知結果に基づいて前記読取動作を実行するか否かについて判定することを特徴とする画像読取装置。
【請求項13】
前記光ユニットは、シートの画像を読み取り可能な読取りユニットであり、シートの画像を読み取る位置と、前記ガイド手段に向けて投光可能な位置との間を移動可能に構成されていることを特徴とする請求項12に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記センサ部は、前記ガイド手段から反射された光を検知するように構成され、
前記制御部は、前記センサ部が検知した光に基づいて検出される検出パターンに基づいて前記読取動作を実行するか否かについて判定することを特徴とする請求項12又は13に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記ガイド手段は、前記画像読取装置に取付けられたときに前記投光部と前記センサ部との間に位置し、前記投光部から前記センサ部に向かう光を遮断する遮光部を含み、
前記制御部は、前記センサ部が光を検知したか否かに基づいて前記読取動作を実行するか否かについて判定することを特徴とする請求項12又は13に記載の画像読取装置。
【請求項16】
前記ガイド手段は、前記投光部から投射される光を反射する反射部を含み、
前記制御部は、前記センサ部が前記反射部から反射される光を検知したか否かに基づいて前記読取動作を実行するか否かについて判定することを特徴とする請求項12又は13に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取るための画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿を読み取るための画像読取装置が搭載された複写機や複合機が知られている。このような画像読取装置としては、原稿上の画像を読み込むためのイメージセンサユニットと、シート状の原稿を自動的に搬送可能な自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)等の搬送装置と、を備える構成が知られている。搬送装置によってシートが読取部を通過すると、イメージセンサユニットによってシート上の画像が読み取られる。
【0003】
特許文献1には、搬送装置を搭載し、シート搬送ガイドが画像読取装置の本体に着脱可能に取り付けられた画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-46722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の構成においては、着脱可能なシート搬送ガイド等のガイド手段が本体から取り外された状態でシートが搬送されると、シートが正常に搬送されずに画像読取装置の内部でジャムするおそれがある。また、シート搬送ガイドが所定位置に取り付けられていない状態でシートが搬送されても、シートがジャムするおそれがある。
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、シートのジャムを抑制することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明の記録装置は、
シートを搬送しながらシートの画像を読み取る画像読取装置であって、
シートを搬送する搬送手段と、
前記画像読取装置の所定位置に対して着脱可能に構成され、シートをガイドするガイド手段と、
を備え、
前記ガイド手段が前記所定位置に取り付いているか否かを検知する検知手段を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートのジャムを抑制することができる画像読取装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施例の複合機の斜視図である。
図2】第1実施例の画像読取装置の断面図である。
図3】第1実施例のスキャナ部の説明図である。
図4】第1実施例のガラスフレームユニットの裏面図である。
図5】第1実施例の読取りユニットの説明図である。
図6】第1実施例のスキャナ部の内部構成を示す上視図である。
図7】第1実施例のイメージセンサの断面図である。
図8】第1実施例の電気回路構成を示すブロック図である。
図9】第1実施例の読取りユニットの動作の説明図である。
図10】第1実施例の読取りユニットの動作位置を示す断面図である。
図11】第1実施例の読取りユニットの動作位置を示す断面図である。
図12】第1実施例の電源投入時の動作シーケンス図である。
図13】第1実施例のフラットベット読取時の動作シーケンス図である。
図14】第1実施例のADF読取時の動作シーケンス図である。
図15】第1実施例の白色シート読取時の画像の明るさレベルの分布図である。
図16】第1実施例のガラスフレームユニットの説明図である。
図17】第1実施例の原稿サイズ指標部材の説明図である。
図18】第1実施例の着脱可能な搬送ガイドの上面図及び分解図である。
図19】第1実施例の読取りユニットと搬送ガイドの位置関係を示す図である。
図20】第1実施例の読取りユニットと搬送ガイドの位置関係を示す図である。
図21】第1実施例の原稿サイズと切り欠き部の位置関係を示す図である。
図22】第1実施例のイメージセンサによる検出パターンの説明図である。
図23】第1実施例の搬送ガイドの異常取り付け状態の例を示す図である。
図24】第1実施例の搬送ガイドの異常取り付け状態の例を示す図である。
図25】第1実施例の搬送ガイドの異常取り付け状態の例を示す図である。
図26】第1実施例の搬送ガイドの異常取り付け状態の例を示す図である。
図27】第1実施例の搬送ガイドの異常取り付け状態の例を示す図である。
図28】その他実施例の搬送ガイドの説明図である。
図29】その他実施例の搬送ガイド検知構成の説明図である。
図30】その他実施例の搬送ガイド検知構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。尚、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0011】
本発明の画像読取装置は例えば、フラットベットスキャナ装置、あるいはフラットベットスキャナ装置とプリント装置等を複合化した複写機、ファクシミリ、複合機等に適用可能である。本発明は特に、原稿の読取方式として原稿搬送読取方式を具備し、着脱可能なシート搬送ガイドを備えた画像読取装置に好適である。以下、本発明を適用した画像読取装置の一例として、コンピュータ等に原稿画像を取り込む画像読取装置について説明する。尚、各図面を通して同一符号は同一又は対応部分を示すものである。図面に適宜示されるX方向は画像読取装置の幅方向であり、Y方向は奥行き方向であり、Z方向は高さ方向である。第1実施例において、X方向、Y方向及びZ方向は互いに直交する。
【0012】
<第1実施例>
[画像読取装置100]
図1は、本発明の第1実施例に係る画像読取装置100をインクジェットプリンタであるプリント装置400と複合化した複合機1の外観斜視図である。画像読取装置100は、大別して、画像読取部としてのスキャナ部200と、原稿等のシートを搬送可能に構成されたADF部300とで構成されている。ADF部300は、原稿をスキャナ部200上に載置可能にするため、スキャナ部200に対して開閉可能に構成されている。図1は、ADF部300が開いた状態の画像読取装置100を示す。
【0013】
次に、図2を参照して画像読取装置100のADF部300の構成について説明する。図2は、画像読取装置100のスキャナ部200及びADF部300の断面図である。図2は、ADF部300が閉じられた状態の画像読取装置100のX-Z平面の断面を示す。図2には、ADF部300は、原稿搬送路311を通る原稿の経路が実線の矢印で示されている。原稿搬送路311の一部は、スキャナ部200の一部により構成されている。
【0014】
ADF部300は、原稿が載置される原稿載置台301と、シート状の原稿を搬送可能に構成された原稿搬送機構部と、原稿排出部303と、を備える。以下、原稿搬送機構部の構成について、原稿の搬送方向上流側から順に説明する。ここで原稿搬送機構部とは、下記に説明するピックアップローラ304から排紙ローラ309までのシート搬送機構を含む搬送手段である。
【0015】
自動搬送される原稿310は、まずADF部300の上部に設けられる原稿載置台301に載置される。原稿載置台301に搭載された原稿310は、原稿搬送機構部のピックアップローラ304で分離ローラ305に向けて搬送される。その後、原稿310は分離ローラ305と分離パッド306によって1枚ずつ搬送方向下流側の搬送ローラ307へ搬送される。次に、原稿310は搬送ローラ307により搬送方向下流側の搬送ガイド203へ搬送される。搬送ガイド203は、画像読取装置100に対して着脱可能に設けられるガイド部である。原稿310が搬送ガイド203を通過する際には、原稿310は白色押圧板308により押圧されて搬送ガイド203へ密着させられる。このとき、原稿310は、イメージセンサ206により読み取られる。白色押圧板308は、イメージセンサ206の主走査方向(Y方向)の全域をカバーするサイズである。
【0016】
搬送ガイド203を通過した原稿310は、搬送ガイド203に対して搬送方向下流側に位置する原稿サイズ指標部材205を通過し、原稿サイズ指標部材205に対して搬送方向下流側に位置する排紙ローラ309により原稿排出部303へ排出される。搬送ガイド203や原稿サイズ指標部材205は、スキャナ部200の構成部材である。原稿搬送機構部には不図示の各種原稿検知センサが配設されており、原稿搬送機構部は原稿の先端及び後端の通過を検知可能に構成されている。各種原稿検知センサの検知結果(出力)は、イメージセンサ206の読取りのタイミング制御に使用される。
【0017】
画像読取装置100の原稿の読取り方式には、原稿固定読取方式(フラットベット読取)と原稿搬送読取方式(ADF読取)の2つの方式がある。原稿固定読取方式は、スキャナ部200のガラス台202上に原稿を固定し、読取りユニット207を副走査方向(X方向)に移動させることで原稿を読取る方式である。原稿搬送読取方式は、読取りユニット207を着脱可能な搬送ガイド203の下の所定の位置(ADFポジション)に固定し、ADF部300により原稿を搬送させながら読取る方式である。
【0018】
図2のスキャナ部200の読取りユニット207は、ADF部300により自動搬送される原稿310を読取るためにADFポジションで待機している状態である。
【0019】
[スキャナ部200]
次に、画像読取装置100のスキャナ部200の構成について説明する。図3(a)は、画像読取装置100からADF部300を外した状態のスキャナ部200の上視図であり、ガラスフレームユニット201全体を示している。図3(b)は、図3(a)のA-A断面図であり、スキャナ部200を主走査方向(Y方向)から見た図である。図3(c)は、図3(a)のB-B断面図であり、スキャナ部200を副走査方向(X方向)から見た図である。図3(d)は、図3(b)のC部の拡大図であり、ガラスフレームユニット201の原稿サイズ指標部材205周辺の構成を示す。
【0020】
ガラスフレームユニット201は、原稿310を載置するためのガラス台202、自動搬送される原稿310をガイドする搬送ガイド203、搬送ガイド203を保持するガラスフレーム204から構成されている。搬送ガイド203は、ガラスフレーム204に着脱可能に保持されている。ガラスフレーム204は、ガラス台202と搬送ガイド203との間に原稿サイズ指標部材205と原稿突き当て基準226を具備している。
【0021】
ガラス台202の原稿載置面側には、白色シート224が配置されている。図3(d)には、白色シート224の白領域224Wと黒領域224Bが簡易的に示されている。白色シート224の白領域224Wと黒領域224Bの詳細は、図4に示される。
【0022】
図4は、図3(a)のガラスフレームユニット201の裏面図であり、ガラスフレームユニット201をプリント装置400側から見た図である。図4には、白色シート224の一部が図示されている。ガラス台202は、ガラスフレーム204の2ヶ所のガラスフレーム突き当て部228に突き当てられることで、X方向の位置が決まる。白色シート224は、本図視方向ではガラス台202の背面側であって、原稿載置面に配置されている。図4に示されるように、白色シート224のX方向位置は、ガラスフレーム突き当て部228と静止原稿読取りエリア237の間である。
【0023】
白色シート224は、読取りユニット207のイメージセンサ206のシェーディング補正を行うための白領域224Wと、イメージセンサ206の図6に記載の副走査方向基準位置となる黒領域224Bとを一体的に具備している。シェーディング処理を行うため、白色シート224はイメージセンサ206の主走査方向(Y方向)の全域をカバーするサイズにされている。白色シート224内の黒領域224Bの副走査方向(X方向)位置は、白領域224Wよりも静止原稿読取りエリア237に近い側である。
【0024】
図5(a)~(c)は、原稿画像を読取る読取りユニット207の説明図である。図5(a)は読取りユニット207を表面側から見た斜視図である。図5(b)は、読取りユニット207を裏面側から見た斜視図である。図5(c)は、読取りユニット207の分解斜視図である。
【0025】
読取りユニット207は、イメージセンサ206、センサホルダ217、スライダ218及び読取りユニット207に駆動力を伝達する駆動伝達部219から構成されている。尚、読取りユニット207としては、上述の構成に限られず、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)等の既知のイメージセンサユニットを採用できる。イメージセンサユニットは、例えば、略直方体形状の筐体を有するイメージセンサが保持部材に搭載されて構成される。
【0026】
イメージセンサ206の主走査方向(Y方向)の一端部にはローラユニット211が配置され、他端部はローラユニット212が配置されている。ローラユニット211とローラユニット212は、原稿との焦点距離を保証するために設けられている。ローラユニット211の副走査方向(X方向)の一端部にはローラ213が回転可能に配置され、他端部にはローラ214が回転可能に配置されている。同様に、ローラユニット212の副走査方向(X方向)の一端部にはローラ215が回転可能に配置され、他端部にはローラ216が回転可能に配置されている。また、イメージセンサ206とセンサホルダ217の間には、押圧バネ232が配置され、押圧バネ232はイメージセンサ206を上方に位置するガラス台202の裏面(下面)に常時押圧している。ローラ213~216は、読取りユニット207が副走査方向(X方向)に移動するとガラス台202の裏面上を転がるよう構成されている。
【0027】
図6は、ガラスフレームユニット201を外した状態のスキャナ部200の上視図である。スキャナ部200は、モータ220、ガイドレール221、ベルト222、ベースフレーム223を含む。図6には、スキャナ部200全体の内部構成が示され、読取りユニット207とベースフレーム223の配置関係が示されている。
【0028】
ベースフレーム223のY方向中央部には、副走査方向を長手方向とするガイドレール221が配置されている。また、読取りユニット207のスライダ218は、ガイドレール221に副走査方向(X方向)へ摺動可能に配置されている。読取りユニット207はベルト222と駆動伝達部219を通じて接続されている。モータ220に駆動の入力が入ると、その入力に応じてベルト222が移動し、読取りユニット207がガイドレール221に沿って往復走査する。このような構成により、読取りユニット207は、副走査方向に移動可能に構成されている。
【0029】
尚、第1実施例は、駆動部がベースフレーム223へ配置されその駆動力をベルト222で伝達するベルト駆動式タイプであるが、駆動部が読取りユニット207に配置された自走式タイプの読取りユニットであってもよい。
【0030】
[読取りユニット207の電気構成]
次に、図7図8を参照して読取りユニット207の電気的な構成について説明する。図7は、イメージセンサ206の断面図である。イメージセンサ206は、その内部に3色の発光素子であるLED102と、ロッドレンズアレイ209と、受光素子101とが組み込まれている。LED102から原稿に照射された光は、ガラス台202を通過し原稿面で反射される。この反射光は、ロッドレンズアレイ209を透過することで受光素子101上に結像される。イメージセンサ206は、3色のLED102を順次切り替えて点灯し、イメージセンサ206が色ごとに原稿からの反射光を読み取ることで、色分解読取を行う。すなわち、イメージセンサ206は、投光部としてLED102を備え、センサ部(受光部)として受光素子101を備える光ユニットである。
【0031】
図8は、本実施例における読取りユニット207の制御回路の構成を示すブロック図である。以下、図8を参照して第1実施例に係る制御回路の回路動作を説明する。図8において、イメージセンサ206は、光源である3色のLED102が一体化されたセンサである。このイメージセンサ206をガラス台202の下でスキャン方向に移動させる。同時にLEDドライブ回路103にて1ライン毎に各色のLED102を切り替えて点灯させることにより、RGB線順次のカラー画像を読み取ることが可能となっている。AMP104はイメージセンサ206より出力された信号を増幅させる増幅器である。A/D変換回路105はその増幅出力のA/D変換を行って例えば8ビットのデジタル出力を得るA/D変換器である。
【0032】
シェーディングRAM106は、上述したシェーディング処理のための白領域224Wを読み取って、そのデータを演算処理することにより得られたシェーディング補正用のデータが記憶されている。シェーディング補正回路107はこのシェーディングRAM106のデータに基づいて、イメージセンサ206により読み取られた画像データのシェーディング補正を行う。
【0033】
ピーク検知回路108は、読み取られた画像データにおけるピーク値をライン毎に検知する回路であり、読取りユニット207の基準位置を検知するために使用される。ガンマ変換回路109は、後述するホストコンピュータより予め設定されたガンマカーブに従って読み取られた画像データのガンマ変換を行う。バッファRAM110は、実際の読み取り動作とホストコンピュータとの通信におけるタイミングを合わせるために、画像データを一時的に記憶するメモリである。
【0034】
パッキング/バッファRAM回路111は、ホストコンピュータより予め設定された画像出力モード(2値、4ビット多値、8ビット多値、24ビット多値等)に従ったパッキング処理を行った後にそのデータをバッファRAM110に書き込む処理を行う。また、パッキング/バッファRAM回路111は、インターフェース回路112にバッファRAM110から画像データを転送して出力させる処理を行う。インターフェース回路(転送手段)112は、第1実施例に係る画像読取装置100のホスト装置となるコンピュータ等の外部装置113との間でコントロール信号の受容や画像信号の出力を行う。
【0035】
CPU115は例えばマイクロコンピュータ形態のCPUであり、処理手順を格納したROM115a及び作業用のRAM115bを有し、ROM115aに格納されたプログラムの手順に従って各部の制御を行う制御部である。CPU115は、モータ220の同軸上に回動可能に固定されたコードホイールのスリット情報をエンコーダで読み取ることによりモータ220の回転方向、回転速度、回転量を制御する。すなわち、CPU115は、読取りユニット207の移動方向、移動速度、距離等を制御する。発振器116は、例えば水晶発振器である。タイミング信号発生回路114は、CPU115の設定に応じて発振器116の出力を分周して動作の基準となる各種タイミング信号を発生する。CPU115は、原稿を搬送しながら原稿の画像を読み取るADF読取動作(第1読取動作)と、読取りユニット207を移動させながらガラス台202上の原稿の画像を読み取るフラットベット読取動作(第2読取動作)を選択的に実行可能である。
【0036】
ここで、第1実施例においては、上述の白色シート224の黒領域224Bと白領域224Wの境界がイメージセンサ206の画像読み取りのための基準マークとなっている。イメージセンサ206で読み取った基準マーク(黒領域224Bと白領域224Wの境界部)はエンコーダにより検出され、CPU115内のRAM115bに基準位置として記憶される。基準マークを検出する検出手段及び検出した基準マークによりイメージセンサ206の基準位置を決定して画像の読み出しを開始させる制御手段は、CPU115により構成されている。
【0037】
画像読取装置100の電源投入時の画像読み出し前のイメージセンサ206の初期化移動は、副走査方向において検出された基準マークにより決定された基準位置に基づいて行われるよう設定されている。また、画像読み出し後のイメージセンサ206の移動は上述の記憶手段から読み出した基準位置に基づいて行われるように設定されている。
【0038】
[読取りユニット207の動作]
次に図9図10(a)~(c)、図11(a)~(d)、図12図13図14を参照して読取りユニット207の動作について説明する。図9は、読取りユニット207の動作の説明図である。図10(a)~(c)及び図11(a)~(d)は、読取りユニット207が所定の動作位置にある状態を示す説明図である。図12は、電源投入時の動作シーケンス図である。図13は、フラットベット読取時の動作シーケンス図である。図14は、ADF読取時の動作シーケンス図である。
【0039】
図9中に一点鎖線で示される位置a、b、c、d、e、f、g、hは、読取りユニット207が所定の位置にある状態のイメージセンサ206のロッドレンズアレイ209の光学中心の位置を示す。所定の位置とは具体的には、電源投入前位置a、初期化位置b、基準位置c、ホームポジションd(シェーディング開始位置)、シェーディング終了位置e、読取開始位置f、ADF読取位置g、搬送ガイド検知位置hである。図9中、断面図の中で簡易的に白領域224Wと黒領域224Bが示されているが、実際は図4で説明した通りの構成となっている。
【0040】
電源投入前の読取りユニット207は、基本的に図9に示される電源投入前位置aにある。この状態の読取りユニット207の副走査位置は、電源投入後、必ず次の初期化動作を行うため電源投入前位置a以外の任意の位置でも構わない。
【0041】
(電源投入時の動作)
図12の動作シーケンス図に沿って、電源投入時の画像読取装置100の動作について説明する。電源投入直後は、装置メモリ上に位置情報がないため読取りユニット207は、初期化動作として、必ずリターン方向へ移動する。初期化動作において、読取りユニット207は、ガラス台202の下部にてスライダ218のスライダ突当部231がベースフレーム223のベースフレーム突当部230に突き当たるまで移動する(S101)。
【0042】
その後、読取りユニット207はそれ以上移動することができないため、読取りユニット207を駆動するモータ220への負荷が上昇し、それに比例してモータ220へ供給される電流も上昇する。このようなモータ220の特性を利用して、電流値には閾値が設けられ、読取りユニット207は電流値が閾値に達するとベースフレーム223の内壁に突き当たったと判定するよう構成されている。このときの読取りユニット207の位置が初期化位置bである。図10(a)は、読取りユニット207が初期化位置bにある状態を示す。
【0043】
次に読取りユニット207は、白色シート224上の白領域224Wと黒領域224Bの境界部である基準位置cを検出するためスキャン方向へ移動を開始する。イメージセンサ206は基準マークを読み取る位置に到達する。図10(b)は、読取りユニット207が基準位置cにある状態を示す。
【0044】
イメージセンサ206が基準マーク(白領域224Wと黒領域224Bの境界部)を検出すると、CPU115がエンコーダ信号に基づき基準マーク検出位置を第1基準位置c-1として設定する(S102)。このようにスキャン方向への移動時に検出された第1基準位置c-1は、フラットベット読取の基準としてRAM115bに記憶される(S103)。
【0045】
次に、読取りユニット207はCPU115の指示により基準位置cからリターン方向へ規定量移動して、ホームポジションdに移動する(S104)。第1実施例においては、このホームポジションdがシェーディング開始位置とされている。図10(c)は、読取りユニット207がホームポジションdにある状態を示す。
【0046】
このように電源投入後は初期化動作が実行され、読取りユニット207は基準位置cを検出し、ホームポジションdへ移動する。
【0047】
(フラットベット読取時の動作)
次に、図13の動作シーケンス図に沿って、フラットベット読取時の画像読取装置100の動作について説明する。画像を読み取る前に読取りユニット207は、CPU115の指示によりイメージセンサ206のシェーディング処理を行う。読取りユニット207は、シェーディング開始位置であるホームポジションdからスキャン方向へ移動しながら、所定の読取り解像度で白領域224Wを所定の長さ分だけ読取り、シェーディング処理を終了する(S201)。このときの読取りユニット207の位置がシェーディング終了位置eである。図11(a)は、読取りユニット207がシェーディング終了位置eにある状態を示す。
【0048】
次に、読取りユニット207は、RAM115bに記憶した第1基準位置c-1から規定距離移動し、副走査方向に加速し、安定した読取り速度に達した状態で読取開始位置f
から画像読取りを開始する(S202~S203)。図11(b)は、読取りユニット207が読取開始位置fにある状態を示す。
【0049】
上述の構成によれば、イメージセンサ206の読取り位置精度が向上し、イメージセンサ稼働領域のバラつきが小さくなる。読取動作終了後は、読取りユニット207は第1基準位置c-1へ向かって副走査方向に移動する。
【0050】
移動動作終了後、再度スキャン方向に基準位置検出が行われる(S204)。そして、RAM115bに第1基準位置c-1を記憶させ(S205)、読取りユニット207はホームポジションdに移動し(S206)、フラットベット読取動作が完了する。
【0051】
(ADF読取時の動作)
次に、図14の動作シーケンス図に沿って、ADF読取時の画像読取装置100の動作について説明する。CPU115によりADF読取が指示されると、読取りユニット207はホームポジションd位置から搬送ガイド検知位置hへ移動する(S401)。図11(d)は、読取りユニット207が搬送ガイド検知位置hにある状態を示す。
【0052】
読取りユニット207は、搬送ガイド検知位置hへ移動後に停止し、この位置でイメージセンサ206により、イメージセンサ206の長手方向全域の読取を行う。この読取によって出力される検出パターンを用いて搬送ガイド203が画像読取装置100の所定位置に取り付いているか否かの検知が行われる。そして、制御部はその検知結果に基づいて、原稿の読取動作を実行するか判定する。イメージセンサ206の出力結果である検出パターンに基づいて搬送ガイド203の取付け状態を検知する方法の詳細は後述する。
【0053】
搬送ガイド203が画像読取装置100に所定位置に取り付いていないと判定された場合(S402でNO)、搬送ガイド検知エラーが表示画面に表示される(S403)。そして、制御部は読取動作を中止することを決定し、読取りユニット207はホームポジションdへ移動し動作を終了する(S306)。
【0054】
搬送ガイド203が画像読取装置100に所定位置に取り付いていると判定された場合(S402でYES)、制御部は読取動作を継続して実行することを決定する。そして、読取りユニット207はCPU115の指示に従ってイメージセンサ206のシェーディング処理を行う(S201)。
【0055】
シェーディング処理後、読取りユニット207は基準位置cを通り過ぎるようにスキャン方向に移動した後、リターン方向へ移動してイメージセンサ206により基準マーク(白領域224Wと黒領域224Bの境界部)を検出する(S301)。そして、CPU115は、エンコーダ信号に基づき基準マーク検出位置を第2基準位置c-2として設定する。リターン方向へ移動時の第2基準位置c-2は、ADF読取の基準としてRAM115bに記憶される(S302)。
【0056】
読取りユニット207は、第2基準位置c-2からリターン方向へ規定量移動しADF読取位置gに停止する(S303)。図11(c)は、読取りユニット207がADF読取位置gにある状態を示す。
【0057】
上述の構成により、リターン方向移動時には第2基準位置c-2が使用されるため、リターン方向移動時の位置精度も向上し、イメージセンサ稼働領域のバラつきが小さくなり、ADF読取時の精度向上が可能となる。
【0058】
ADF読取が終了すると、読取りユニット207はスキャン方向へ移動し、第1基準位
置c-1を検出する(S304)。そして、第1基準位置c-1がRAM115bに記憶され(S305)、読取りユニット207はホームポジションdへ移動する(S306)。
【0059】
本構成のようにフラットベット読取時は第1基準位置c-1を利用し、ADF読取時は第2基準位置c-2を利用することにより、駆動列のバックラッシュの影響を受けることなく正確に所望の位置に読取りユニット207を移動することが可能となる。ひいては、それぞれの読取動作時に精度の良い読取が可能となる。
【0060】
次に、フラットベット読取、ADF読取が複数回行われた時の動作について説明する。フラットベット読取の後にフラットベット読取が行われるときは、図13のシーケンス動作が実施され、その後再度図13のシーケンス動作が実施される。フラットベット読取の後にADF読取が行われるときは、図13のシーケンス動作が実施され、その後図14のシーケンス動作が実施される。ADF読取の後にフラットベット読取が行われるときは、図14のシーケンス動作が実施され、その後図13のシーケンス動作を実施される。ADF読取の後にADF読取が行われるときは、図14のシーケンス動作が実施され、その後再度図14のシーケンス動作が実施される。このとき、RAM115bに記憶される第1基準位置c-1及び第2基準位置c-2はその都度上書き保持される。
【0061】
[白色シート224とイメージセンサ206の照明方向の関係]
次に、白色シート224内の白領域224W及び黒領域224Bと、イメージセンサ206内の照明方向の関係について説明する。
【0062】
図15は、イメージセンサ206が白色シート224を読取った画像の明るさのレベルをグラフ化したものである。図15は、図4のE-E断面に相当する副走査方向の画像の明るさレベルの分布を示している。図15のグラフの縦軸は明るさレベルを示し、横軸は副走査方向の距離を示す。
【0063】
図15において、実線のグラフは図7の実線矢印235方向から照射されたときの明るさレベルを示し、破線のグラフは、図7の破線矢印236方向から照射されたときの明るさレベルを示す。図7において、実線矢印235方向の光を照射する導光体208は、ロッドレンズアレイ209に対して、副走査方向の白領域224W側に配置されている。また、光の照射方向は、白領域224W側から黒領域224B側に向かっている。
【0064】
第1実施例においては、光の照射方向は、図7に示す実線矢印235方向で白領域224W側から黒領域224B側に向かって照射しているため、黒の照り返しの影響を受けない。このような構成によれば、シェーディング精度を低下させずに、白色シート224の副走査方向の幅を最小化することが可能となるため、画質向上と装置の小型化が両立できる。
【0065】
[搬送ガイドの構成と取付け状態検知動作]
次に、搬送ガイド203の詳細構成とADF読取時の搬送ガイド203の取付け状態検知動作について説明する。
【0066】
図16(a)~(c)は、ガラス台202、搬送ガイド203、ガラスフレーム204、原稿サイズ指標部材205を含むガラスフレームユニット201の説明図である。図16(a)は、ガラスフレームユニット201の分解斜視図である。図16(b)は、搬送ガイド203及びガラスフレーム204の一端部に設けられる係合構成の説明図である。図16(c)は、搬送ガイド203及びガラスフレーム204の他端部に設けられる係合構成の説明図である。
【0067】
これらの部材の組み立てにあたっては、まずガラス台202に原稿サイズ指標部材205が貼りつけられる。そして、一体となったガラス台202と原稿サイズ指標部材205がガラスフレーム204に取り付けられる。その後、ガラスフレーム204に対して搬送ガイド203が取り付けられ、搬送ガイド203はガラス台202の上面に設置される。
【0068】
搬送ガイド203は、ガラスフレーム204と係合する係合部203F及び203Rを有し、ガラスフレーム204は係合部203Fに対応する被係合部204Fと、係合部203Rに対応する被係合部204Rとを有する。図16(b)に示されるように、係合部203Rは主走査方向(Y方向)に突出する突出部であり、被係合部204Rは係合部203Rに対応した穴形状である。図16(c)に示されるように、係合部203Fは、係合部203Rと反対側に突出した突出部であり、被係合部204Fは係合部203Fに対応した溝形状である。
【0069】
係合部203Rが被係合部204Rに挿入された後、係合部203Fが被係合部204Fにはめ込まれることで、搬送ガイド203はガラスフレーム204に係合する。このような構成により、搬送ガイド203は画像読取装置100の所定位置に対して装着される。尚、搬送ガイド203とガラスフレーム204の係合構成は上述の構成に限られず、その他の既知の係合構成を適宜採用し得る。
【0070】
図17(a)は原稿サイズ指標部材205の上面図であり、図17(b)は原稿サイズ指標部材205の下面図である。原稿サイズ指標部材205の下面側には、白色シート224が貼り付けられる。フラットベット読取の際、原稿サイズ指標部材205を指標として、ユーザーが原稿のサイズに合わせて原稿をガラス台202上の適切な位置に載置することで、原稿上の画像が適切に読み取られる。
【0071】
図18(a)は搬送ガイド203の上面図であり、図18(b)は搬送ガイド203の分解図である。搬送ガイド203は、マイラシート保持部材203a、黒マイラシート203b、透明マイラシート203cで構成されるガイド手段である。
【0072】
マイラシート保持部材203aは、ガイド面やリブにより搬送原稿をガイドすると共に、黒マイラシート203bと透明マイラシート203cを保持する。黒マイラシート203bは、光をほぼ透過しないシート状の部材である。黒マイラシート203bの主走査方向(Y方向)の異なる位置には2つの切り欠き部BCが形成されており、切り欠き部BCでは光は透過する。黒マイラシート203bは、搬送ガイド203の取付け状態の検知のために設けられている。透明マイラシート203cは光を透過するシート状の部材である。透明マイラシート203cは、マイラシート保持部材203aの搬送方向下流側(原稿読取部)で搬送原稿をガイドする。すなわち、搬送ガイド203は、透明マイラシート203cにより構成される透光部と、黒マイラシート203bにより構成される非透光部とを含む。原稿読取動作時において、イメージセンサ206は透光部である透明マイラシート203cを介して原稿を読み取る。
【0073】
図19(a)、(b)は、ADF読取時における読取りユニット207と搬送ガイド203の位置関係を示す図である。図19(a)は搬送ガイド203をガラスフレーム204に取り付けた状態の上面図である。図19(b)は図19(a)のF-F断面図であり、主走査方向(Y方向)に読取りユニット207と搬送ガイド203を見た図である。ADF読取時は、読取りユニット207はADF読取位置gで読取動作を実行する。ADF読取位置gは、透明マイラシート203cの真下の位置であり、鉛直方向において黒マイラシート203bと重ならない位置である。読取りユニット207は、イメージセンサ206によってガラス台202と透明マイラシート203c越しに原稿を読み取る。
【0074】
図20(a)、(b)は、搬送ガイド検知時における読取りユニット207と搬送ガイド203の位置関係を示す図である。図20(a)は、搬送ガイド203をガラスフレーム204に取り付けた状態の上面図である。図20(b)は、図20(a)のG-G断面図であり、主走査方向(Y方向)に読取りユニット207と搬送ガイド203を見た図である。搬送ガイド検知時は、読取りユニット207は搬送ガイド検知位置hで読取動作を実行する。搬送ガイド検知位置hは、黒マイラシート203bと切り欠き部BCの真下の位置であり、イメージセンサ206から黒マイラシート203bに向けて投光可能な位置である。読取りユニット207は、イメージセンサ206によってガラス台202と透明マイラシート203c越しに黒マイラシート203b及び切り欠き部BCを読み取る。
【0075】
上述の通り、第1実施例では、原稿の画像の読取動作のためのイメージセンサ206が、搬送ガイド203の取付け状態を検知するためのセンサとしても機能するよう構成されている。このような構成によれば、搬送ガイド203を検知するためのセンサを新たに追加する必要がないため、簡易的な構成、且つ装置点数の増加を抑制し、搬送ガイド203の取付け状態の検知動作を実行できる。
【0076】
図21は、原稿310と黒マイラシート203bの切り欠き部BCの位置関係を示す図である。図21には、シートの搬送方向Fとシート幅方向Lが白抜き矢印で示されている。搬送方向Fは副走査方向(X方向)と略平行であり、シート幅方向Lは主走査方向(Y方向)と略平行であり、搬送方向Fとシート幅方向Lは互いに交差する。
【0077】
図21には、サイズの異なる2種類の原稿310A、310Bの外形線が実線で示されている。画像読取装置100で読取可能なシート幅の範囲において、原稿310Aはシート幅が最大の定形サイズの原稿であり、原稿310Bは原稿310Aの次にシート幅が広い定形サイズの原稿である。原稿310Aの端部310AEはシート幅方向Lにおいて2つの切り欠き部BCの外側を通り、原稿310Bの端部310BEはシート幅方向Lにおいて2つの切り欠き部BCの間を通る位置関係となるように、切り欠き部BCは形成されている。言い換えると、切り欠き部BCは、シート幅方向Lにおいて、読み取り可能な定形サイズのシートのうち、幅が最大である原稿310Aと重なり、且つ他のシートと重ならない位置に形成されている。このような構成により、搬送方向Fに搬送される原稿の端部が切り欠き部BCに引っ掛かり原稿が傷つく不具合や原稿が斜行するといった不具合の発生を防止することができる。
【0078】
次に、搬送ガイド203が画像読取装置100に対して正常に所定位置に取りついている場合や、所定位置に取りついていない場合、画像読取装置100から取り外されている場合のイメージセンサ206による検出パターンPについて例示的に説明する。
【0079】
図22(a)は、搬送ガイド203が所定位置に取りついているときのスキャナ部200の上面図と検出パターンPを示す。検出パターンPは、イメージセンサ206が搬送ガイド検知位置hに位置し、搬送ガイド203を検出したときのパターンである。検出パターンPは、シート幅方向LにおいてZoneA、ZoneB、ZoneC、ZoneD、ZoneEの領域に分けられる。
【0080】
搬送ガイド203が図22(a)の状態のとき、検出パターンPのZoneA、ZoneC、ZoneEには黒マイラシート203bを読み取った黒パターンが出力される。一方で、検出パターンPのZoneB、ZoneDには切り欠き部BC越しに白色押圧板308を読み取った白パターンが出力される。図22(a)に示される検出パターンPの様に、ZoneA、ZoneC、ZoneEに黒パターン、ZoneB、ZoneDに白パターンが出力される検出パターンPが正常検出パターンPNとして設定されている。検出
パターンPが正常検出パターンPNと一致すると、搬送ガイド203は所定位置に取り付けられていると判定される。検出パターンPに基づく搬送ガイド203が所定位置に取り付いているか否かについての判定は、CPU115が行うよう構成されてもよいし、その他の制御部が行うよう構成されてもよい。
【0081】
図22(b)は、搬送ガイド203が取り外されているときのスキャナ部200の上面図と検出パターンPを示す。搬送ガイド203が図22(b)の状態のとき、検出パターンPのZoneA、ZoneB、ZoneC、ZoneD、ZoneEには白色押圧板308(図2)を読み取った白パターンが出力される。搬送ガイド検知位置hにおいて、シート幅方向Lの全域で白色押圧板308が露出しているためである。このような検出パターンPは正常検出パターンPNと不一致である異常検出パターンPAであるため、搬送ガイド203は所定位置に取り付けられていないと判定されて搬送ガイド検知エラーが表示される。エラーは画像読取装置100やプリント装置400の表示画面に表示されればよく、複合機1はエラーが起きたことをユーザーに音で報知するよう構成されてもよい。
【0082】
図23(a)は、搬送ガイド203の取付け状態が異常であるときのスキャナ部200の上面図と検出パターンPの一例を示す。図23(a)は、搬送ガイド203の係合部203Rがガラスフレーム204の被係合部204RからX方向に外れた位置にある様子を示す。本例においては、搬送ガイド203の係合部203Fはガラスフレーム204の被係合部204Fに係合した状態にあり、搬送ガイド203は傾いた状態で取り付けられている。
【0083】
搬送ガイド203が図23(a)の状態のとき、検出パターンPのZoneA、ZoneC、ZoneD、ZoneEには黒マイラシート203bを読み取った黒パターンが出力される。係合部203Rに近い側の切り欠き部BCがずれて位置しているためである。一方、検出パターンPのZoneBには白色押圧板308(図2)を読み取った白パターンが出力される。このような検出パターンPは正常検出パターンPNと不一致である異常検出パターンPAであるため、搬送ガイド203は所定位置に取り付けられていないと判定されて搬送ガイド検知エラーが表示される。
【0084】
尚、第1実施例においては、搬送ガイド203の取付け状態の検知にあたって、正常検出パターンPNと不一致の検出パターンPを一括りに異常検出パターンPAとしているが、検出パターンPに応じて異常検出パターンPAを区別して管理してもよい。そして、図21(b)の異常検出パターンPAが検出された場合は搬送ガイド203が取り外されている旨をエラーとして表示し、図22(a)の異常検出パターンPAが検出された場合は搬送ガイド203が異常に取り付いている旨をエラーとして表示してもよい。
【0085】
図23(b)は、搬送ガイド203の取付け状態が異常であるときのスキャナ部200の上面図と検出パターンPの一例を示す。図23(b)は、搬送ガイド203の係合部203Rがガラスフレーム204の被係合部204Rから図23(a)と反対方向に外れた位置にある様子を示す。本例においては、搬送ガイド203の係合部203Fはガラスフレーム204の被係合部204Fに係合した状態にあり、搬送ガイド203は傾いた状態で取り付けられている。
【0086】
搬送ガイド203が図23(b)の状態のとき、検出パターンPのZoneAと、ZoneCの一部には黒マイラシート203bを読み取った黒パターンが出力される。一方、検出パターンPのZoneB、ZoneD、ZoneEと、ZoneCの一部には白色押圧板308(図2)を読み取った白パターンが出力される。搬送ガイド203が傾いたことにより、搬送ガイド検知位置hにおいて黒マイラシート203bに覆われずに白色押圧板308が露出する領域が増加したためである。このような検出パターンPは正常検出パ
ターンPNと不一致である異常検出パターンPAであるため、搬送ガイド203は所定位置に取り付けられていないと判定されて搬送ガイド検知エラーが表示される。
【0087】
図24(a)は、搬送ガイド203の取付け状態が異常であるときのスキャナ部200の上面図と検出パターンPの一例を示す。図24(a)は、搬送ガイド203の係合部203Fがガラスフレーム204の被係合部204FからX方向に外れた位置にある様子を示す。本例においては、搬送ガイド203の係合部203Rはガラスフレーム204の被係合部204Rに係合した状態にあり、搬送ガイド203は傾いた状態で取り付けられている。
【0088】
搬送ガイド203が図24(a)の状態のとき、検出パターンPのZoneA、ZoneB、ZoneC、ZoneEには黒マイラシート203bを読み取った黒パターンが出力される。係合部203Fに近い側の切り欠き部BCがずれて位置しているためである。一方、検出パターンPのZoneDには白色押圧板308(図2)を読み取った白パターンが出力される。このような検出パターンPは正常検出パターンPNと不一致である異常検出パターンPAであるため、搬送ガイド203は所定位置に取り付けられていないと判定されて搬送ガイド検知エラーが表示される。
【0089】
図24(b)は、搬送ガイド203の取付け状態が異常であるときのスキャナ部200の上面図と検出パターンPの一例を示す。図24(b)は、搬送ガイド203の係合部203Fがガラスフレーム204の被係合部204Fから図24(a)と反対方向に外れた位置にある様子を示す。本例においては、搬送ガイド203の係合部203Rはガラスフレーム204の被係合部204Rに係合した状態にあり、搬送ガイド203は傾いた状態で取り付けられている。
【0090】
搬送ガイド203が図24(b)の状態のとき、検出パターンPのZoneEと、ZoneCの一部には黒マイラシート203bを読み取った黒パターンが出力される。一方、検出パターンPのZoneA、ZoneB、ZoneDと、ZoneCの一部には白色押圧板308を読み取った白パターンが出力される。搬送ガイド203が傾いたことにより、搬送ガイド検知位置hにおいて黒マイラシート203bに覆われずに白色押圧板308が露出する領域が増加したためである。このような検出パターンPは正常検出パターンPNと不一致である異常検出パターンPAであるため、搬送ガイド203は所定位置に取り付けられていないと判定されて搬送ガイド検知エラーが表示される。
【0091】
このように第1実施例においては、黒マイラシート203bのシート幅方向Lの異なる位置に複数の切り欠き部BCが形成されているため、搬送ガイド203の傾き方向によらず搬送ガイド203の異常な取付け状態を検知できる。尚、本発明の適用にあたっては、黒マイラシート203bに3以上の切り欠き部BCが形成されていてもよいし、複数のシート部材により黒マイラシート203bが構成されていてもよい。
【0092】
図25(a)は、搬送ガイド203の取付け状態が異常であるときのスキャナ部200の上面図と検出パターンPの一例を示す。本例においては、搬送ガイド203の係合部203F、203Rの両方がガラスフレーム204の被係合部204F、204RからX方向に外れている。
【0093】
搬送ガイド203が図25(a)の状態のとき、検出パターンPのZoneA、ZoneB、ZoneC、ZoneD、ZoneEには黒マイラシート203bを読み取った黒パターンが出力される。一方、検出パターンPのいずれの領域にも白色押圧板308を読み取った白パターンは出力されない。搬送ガイド203が正常な取付け位置から平行にずれて位置し、搬送ガイド検知位置hにおいてシート幅方向Lの全域で白色押圧板308が
黒マイラシート203bに覆われているためである。このような検出パターンPは正常検出パターンPNと不一致である異常検出パターンPAであるため、搬送ガイド203は所定位置に取り付けられていないと判定されて搬送ガイド検知エラーが表示される。
【0094】
図25(b)は、搬送ガイド203の取付け状態が異常であるときのスキャナ部200の上面図と検出パターンPの一例を示す。本例においては、搬送ガイド203の係合部203F、203Rの両方がガラスフレーム204の被係合部204F、204Rから図25(a)と反対方向に外れている。
【0095】
搬送ガイド203が図25(b)の状態のとき、検出パターンPのZoneA、ZoneB、ZoneC、ZoneD、ZoneEには白色押圧板308を読み取った白パターンが出力される。一方、検出パターンPのいずれの領域にも黒マイラシート203bを読み取った黒パターンは出力されない。搬送ガイド203が正常な取付け位置から平行にずれて位置し、搬送ガイド検知位置hにおいてシート幅方向Lの全域で白色押圧板308が露出しているためである。このような検出パターンPは正常検出パターンPNと不一致である異常検出パターンPAであるため、搬送ガイド203は所定位置に取り付けられていないと判定されて搬送ガイド検知エラーが表示される。
【0096】
図26(a)は、搬送ガイド203の取付け状態が異常であるときのスキャナ部200の上面図と検出パターンPの一例を示す。図26(b)は、図26(a)の状態の領域MをMV方向から見た拡大図である。領域Mは搬送ガイド203の係合部203Rとガラスフレーム204の被係合部204Rの周辺の領域であり、MV方向はX方向に略平行である。本例においては、搬送ガイド203の係合部203Rがガラスフレーム204の被係合部204Rの上部に乗り上げている。
【0097】
搬送ガイド203が図26(a)、(b)の状態のとき、検出パターンPのZoneA、ZoneC、ZoneD、ZoneEには黒マイラシート203bを読み取った黒パターンが出力される。一方、ZoneBには白色押圧板308を読み取った白パターンが出力される。このように、搬送ガイド203の係合部203Rがガラスフレーム204の被係合部204RのZ方向上部に乗り上げている場合、白色押圧板308が読取りユニット207から遠ざかることでZoneDにはグレー色が出力される。第1実施例においてグレー色は黒パターンとして扱うよう設定されているため、ZoneDには黒パターンが出力される。このような検出パターンPは正常検出パターンPNと不一致である異常検出パターンPAであるため、搬送ガイド203は所定位置に取り付けられていないと判定されて搬送ガイド検知エラーが表示される。
【0098】
図27(a)は、搬送ガイド203の取付け状態が異常であるときのスキャナ部200の上面図と検出パターンPの一例を示す。図27(b)は、図27(a)の状態の領域NをNV方向から見た拡大図である。領域Nは搬送ガイド203の係合部203Fとガラスフレーム204の被係合部204Fの周辺の領域であり、NV方向はX方向に略平行である。本例においては、搬送ガイド203の係合部203Fがガラスフレーム204の被係合部204Fの上部に乗り上げている。
【0099】
搬送ガイド203が図27(a)、(b)の状態のとき、検出パターンPのZoneA、ZoneB、ZoneC、ZoneEには黒マイラシート203bを読み取った黒パターンが出力される。一方、ZoneDには白色押圧板308を読み取った白パターンが出力される。このように、搬送ガイド203の係合部203Fがガラスフレーム204の被係合部204FのZ方向上部に乗り上げている場合、白色押圧板308が読取りユニット207から遠ざかることでZoneBにはグレー色が出力される。そして、ZoneBには黒パターンが出力される。このような検出パターンPは正常検出パターンPNと不一致
である異常検出パターンPAであるため、搬送ガイド203は所定位置に取り付けられていないと判定されて搬送ガイド検知エラーが表示される。
【0100】
上述の通り、第1実施例では、黒マイラシート203bと読取りユニット207が、搬送ガイド203が所定位置に取り付いているか否かを検知する検知手段として機能する。このような構成によれば、搬送ガイド203が取り外されている場合や搬送ガイド203の取付け状態が異常である場合の検出パターンPと、搬送ガイド203の取付け状態が正常である場合の検出パターンPとが異なって検出される。そして、その検出結果に基づいて、シートの読取動作を実行してよいかについて制御部が判定可能に構成されている。したがって、第1実施例の構成によれば、搬送ガイド203が所定位置に取り付けられているか否か、及び取付け状態が正常であるか否かを検知でき、シートのジャムを抑制できる。
【0101】
<その他実施例>
尚、上述の各装置の構成や再印刷前工程の動作シーケンスはあくまで本発明の一例であり、本発明は上述した実施例のみに限定されるものではない。また、上述の実施例の構成は、必ずしもすべてが本発明の適用にあたって必要とは限られない。そこで、次に本発明に係るその他実施例について説明する。以下、その他実施例の説明において、第1実施例と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、その他実施例の特徴的な構成についてのみ説明する。
【0102】
図28は、その他実施例に係る搬送ガイド503を示す図である。搬送ガイド503は、マイラシート保持部材503a、光を透過する透明マイラシート503cで構成される。透明マイラシート503cは、非搬送面に光をほぼ透過しない印刷部CPを有する。印刷部CPは、白色印刷部CPWと黒色印刷部CPBを有する。印刷部CPは主走査方向(Y方向)に黒色印刷部CPB、白色印刷部CPW、黒色印刷部CPBの順に並んで構成されており、透明マイラシート503cの主走査方向の一端部と他端部にそれぞれ設けられている。
【0103】
搬送ガイド503検知時には、読取りユニット207が搬送ガイド検知位置hにて印刷部CPを読み取ることで、搬送ガイド503の取付け状態検知が行われる。すなわち、本例においては、第1実施例の黒マイラシート203bの役割を印刷部CPが果たすよう構成されている。そして、印刷部CPと読取りユニット207が、搬送ガイド203が所定位置に取り付いているか否かを検知する検知手段として機能する。このように、読取りユニット207が検出する検出パターンPは、必ずしも搬送ガイド203のシート幅方向Lの略全域に亘って検出されるものでなくてもよい。このような構成においても、搬送ガイド203の着脱有無や所定位置に取り付けられているか否かについての取付け状態を検知し、シートのジャムを抑制できる。
【0104】
図29(a)、(b)は、その他実施例に係る搬送ガイド603の検知構成を示す図である。本例においては、ガラスフレーム604に投光部とセンサ部を有する透過型光学センサ651が配設されている。また、搬送ガイド603は光を遮光する遮光部603sを有し、搬送ガイド603が所定位置に取り付けられた状態において、遮光部603sは透過型光学センサ651の投光部とセンサ部の間に位置し、投光部が投射した光がセンサ部に到達する前に遮断する。
【0105】
図29(a)は、搬送ガイド603がガラスフレーム204に取り付けられている状態を示す。このとき、搬送ガイド603の遮光部603sは透過型光学センサ651の光を遮光する。本例では、センサ部で光が検知されない場合、搬送ガイド603が所定位置に取り付いていると判定される。
【0106】
図29(b)は、搬送ガイド603がガラスフレーム604から外れている状態を示す。このとき、搬送ガイド603の遮光部603sが透過型光学センサ651の光を遮光せずに、センサ部は投光部から投射された光を検知する。本例では、センサ部が光を検知した場合、搬送ガイド603が取り外されていると判定される。すなわち、本例においては、遮光部603sと透過型光学センサ651が、搬送ガイド603が所定位置に取り付いているか否かを検知する検知手段として機能する。このように、投光部とセンサ部を有する光ユニットを設け、センサ部が光を検知したか否かに基づいて搬送ガイド603が取り付いているか否かについて検知するように構成しても、搬送ガイド603の取り付け忘れを防止してシートのジャムを抑制できる。
【0107】
図30(a)、(b)は、その他実施例に係る搬送ガイド703の検知構成を示す図である。本例においては、ベースフレーム723に投光部とセンサ部を有する反射型光学センサ752が取り付けられており、搬送ガイド703は光を反射する反射部材703rを有する。搬送ガイド703が所定位置に取り付けられた状態において、反射部材703rは反射型光学センサ752の投光部から投射された光をセンサ部に向けて反射する。
【0108】
図30(a)は、搬送ガイド703がガラスフレーム704に取り付けられている状態を示す。このとき、搬送ガイド703の反射部材703rが反射型光学センサ752から投射された光を反射型光学センサ752のセンサ部に向けて反射する。図30(a)には、光の投射方向及び反射方向が矢印で示されている。本例では、センサ部が光を検知した場合、搬送ガイド603が方向に反射することで搬送ガイド703が所定位置に取り付いていると判定される。
【0109】
図30(b)は、搬送ガイド703がガラスフレーム704から外れている状態を示す。このとき、反射型光学センサ752の投光部から投射された光は反射されず、センサ部は光を検知しない。本例では、センサ部で光が検知されない場合、搬送ガイド603が取り外されていると判定する。すなわち、本例においては、反射部材703rと反射型光学センサ752が、搬送ガイド703が所定位置に取り付いているか否かを検知する検知手段として機能する。このように、投光部とセンサ部を有する光ユニットを設け、センサ部が光を検知したか否かに基づいて搬送ガイド703が取り付いているか否かについて検知するように構成しても、搬送ガイド703の取り付け忘れを防止してシートのジャムを抑制できる。
【0110】
尚、本発明は上述の各実施例の構成に限定されるものではなく、画像記録装置以外のシート給送装置にも適用可能である。また、上述の実施例においては、原稿を読み取る読取手段と、搬送ガイドの取付け有無を検知する検知手段が一つのユニット(読取りユニット207)として構成されていたが、読取手段と検知手段が独立して別々に設けられていてもよい。
【0111】
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
シートを搬送しながらシートの画像を読み取る画像読取装置であって、
シートを搬送する搬送手段と、
前記画像読取装置の所定位置に対して着脱可能に構成され、シートをガイドするガイド手段と、
を備え、
前記ガイド手段が前記所定位置に取り付いているか否かを検知する検知手段を更に備えることを特徴とする画像読取装置。
(構成2)
前記検知手段の検知結果に基づいてシートの画像の読取動作を実行するか否かについて判定する制御部を備えることを特徴とする構成1に記載の画像読取装置。
(構成3)
前記検知手段は、シートの画像を読み取り可能な読取りユニットを含み、
前記読取りユニットは、シートの画像を読み取る読取位置と、前記ガイド手段が前記所定位置に取り付いているか否かについて検知する検知位置との間を移動可能に構成されていることを特徴とする構成1又は2に記載の画像読取装置。
(構成4)
前記読取りユニットの上方に位置し、前記ガイド手段が上面に設置されるガラス台と、
シートを搬送しながらシートの画像を読み取る第1読取動作と、前記読取りユニットを移動させながら前記ガラス台の上面に載置されたシートの画像を読み取る第2読取動作を実行可能な制御部と、
を備えることを特徴とする構成3に記載の画像読取装置。
(構成5)
前記読取りユニットは、前記ガイド手段に向けて投光する投光部と、前記ガイド手段から反射された光を検知するセンサ部とを含み、前記センサ部の検知結果に基づいて前記ガイド手段が前記所定位置に取り付いているか否かについて検知することを特徴とする構成3又は4に記載の画像読取装置。
(構成6)
前記ガイド手段は、光を透過する透光部と、光を透過しない非透光部と、を含み、
前記読取りユニットは、前記読取位置で前記透光部を透過させるように光をシートに向けて投光し、シートの画像を読み取ることを特徴とする構成5に記載の画像読取装置。
(構成7)
前記読取位置は、前記透光部の真下の位置であり、
前記検知位置は、前記非透光部の真下の位置であり、
前記検知手段は、前記センサ部が検知した光に基づいて検出される検出パターンに基づいて前記ガイド手段が前記所定位置に取り付いているか否かについて検知することを特徴とする構成6に記載の画像読取装置。
(構成8)
前記非透光部は、光を透過しないシート部材であり、
前記シート部材には、シートの搬送方向と交差する方向の異なる位置に複数の切り欠き部が形成されていることを特徴とする構成6又は7に記載の画像読取装置。
(構成9)
前記切り欠き部は、前記搬送方向と直交するシートの幅方向において、読み取り可能な定形サイズのシートのうち、幅が最大であるシートと重なり、且つ他のシートと重ならない位置に形成されていることを特徴とする構成8に記載の画像読取装置。
(構成10)
前記検知手段は、投光する投光部と、前記投光部から投光される光を検知するセンサ部とを含み、
前記ガイド手段には、前記画像読取装置に取付けられたときに前記投光部と前記センサ部との間に位置し、前記投光部から前記センサ部に向かう光を遮断する遮光部が設けられ、
前記検知手段は、前記センサ部が光を検知したか否かに基づいて前記ガイド手段が前記所定位置に取り付いているか否かについて検知することを特徴とする構成1~4のいずれか一の構成に記載の画像読取装置。
(構成11)
前記ガイド手段には、光を反射する反射部が設けられ、
前記検知手段は、前記反射部に向けて投光する投光部と、前記反射部から反射される光を検知するセンサ部とを含み、前記センサ部が光を検知したか否かに基づいて前記ガイド手段が前記所定位置に取り付いているか否かについて検知することを特徴とする構成1~
4のいずれか一の構成に記載の画像読取装置。
(構成12)
シートを搬送しながらシートの画像を読み取る画像読取装置であって、
シートを搬送する搬送手段と、
前記画像読取装置に対して着脱可能に構成され、シートをガイドするガイド手段と、
シートを搬送しながらシートの画像を読み取る読取動作を実行する制御部と、
を備え、
前記ガイド手段に向けて投光する投光部と、前記投光部が投光した光を検知するセンサ部と、を有する光ユニットを更に備え、
前記制御部は、前記センサ部の検知結果に基づいて前記読取動作を実行するか否かについて判定することを特徴とする画像読取装置。
(構成13)
前記光ユニットは、シートの画像を読み取り可能な読取りユニットであり、シートの画像を読み取る位置と、前記ガイド手段に向けて投光可能な位置との間を移動可能に構成されていることを特徴とする構成12に記載の画像読取装置。
(構成14)
前記センサ部は、前記ガイド手段から反射された光を検知するように構成され、
前記制御部は、前記センサ部が検知した光に基づいて検出される検出パターンに基づいて前記読取動作を実行するか否かについて判定することを特徴とする構成12又は13に記載の画像読取装置。
(構成15)
前記ガイド手段は、前記画像読取装置に取付けられたときに前記投光部と前記センサ部との間に位置し、前記投光部から前記センサ部に向かう光を遮断する遮光部を含み、
前記制御部は、前記センサ部が光を検知したか否かに基づいて前記読取動作を実行するか否かについて判定することを特徴とする構成12又は13に記載の画像読取装置。
(構成16)
前記ガイド手段は、前記投光部から投射される光を反射する反射部を含み、
前記制御部は、前記センサ部が前記反射部から反射される光を検知したか否かに基づいて前記読取動作を実行するか否かについて判定することを特徴とする構成12又は13に記載の画像読取装置。
【符号の説明】
【0112】
100…画像読取装置、203…搬送ガイド(ガイド手段)、203b…黒マイラシート(ガイド検知手段)、207…読取りユニット(ガイド検知手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30