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特開2024-16811アンテナシステムおよびアンテナアレイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016811
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】アンテナシステムおよびアンテナアレイ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/26 20060101AFI20240131BHJP
   H01Q 21/22 20060101ALI20240131BHJP
   H01Q 21/08 20060101ALI20240131BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
H01Q3/26 C
H01Q21/22
H01Q21/08
H01Q13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114368
(22)【出願日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】111127883
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】508024599
【氏名又は名称】▲啓▼碁科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 佳尚
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AB06
5J021AB09
5J021CA03
5J021GA05
5J021HA05
5J021JA06
5J045AA26
5J045CA04
5J045DA10
(57)【要約】
【課題】 比較的低いサイドローブ放射の小型アンテナシステムを設計し、サイドローブ放射を抑制するアンテナシステムを提供する。
【解決手段】 アンテナシステムは、複数のアンテナユニットを含むアンテナアレイ、および前記アンテナアレイに隣接して配置されたフローティングメタル要素を含み、前記フローティングメタル要素と前記アンテナアレイとの間に結合距離が形成され、前記フローティングメタル要素は、前記アンテナアレイのサイドローブ放射を抑制するように構成される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナユニットを含むアンテナアレイ、および
前記アンテナアレイに隣接して配置されたフローティングメタル要素を含み、
前記フローティングメタル要素と前記アンテナアレイとの間に結合距離が形成され、
前記フローティングメタル要素は、前記アンテナアレイのサイドローブ放射を抑制するように構成されるアンテナシステム。
【請求項2】
前記アンテナアレイは、5795MHz~5845MHzの動作周波数帯域をカバーし、前記結合距離は、前記動作周波数帯域の0.5倍の波長以下であり、アンテナユニットのうちの任意の隣接する2つの間の距離は、動作周波数帯域の0.2~0.8倍の波長であることができる請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項3】
前記フローティングメタル要素は、実質的に正方形の形状を有し、前記正方形の辺の長さは、前記動作周波数帯域の0.1~0.5倍の波長である請求項2に記載のアンテナシステム。
【請求項4】
前記フローティングメタル要素は、実質的に円形の形状を有し、前記円形の直径は、前記動作周波数帯域の0.1~0.5倍の波長(λ/10~λ/2)である請求項2に記載のアンテナシステム。
【請求項5】
複数の前記アンテナユニットは、中央グループ、エッジグループ、およびコーナーグループに分割され、前記中央グループは、比較的大きな無線周波数(RF)電力に対応し、前記エッジグループは、比較的中央値のRF電力に対応し、前記コーナーグループは、比較的小さいRF電力に対応する請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項6】
複数の前記アンテナユニットは、第1のグループ、第2のグループ、第3のグループ、および第4のグループに分割され、前記第1のグループは、元の給電位相に対応し、前記第2のグループは、第1の遅延給電位相に対応し、前記第3のグループは、第2の遅延給電位相に対応し、前記第4のグループは、第3の遅延給電位相に対応する請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項7】
前記アンテナアレイは、
前記アンテナユニットに隣接して配置されたグランドプレーン層、および
単一の信号源に結合され、前記アンテナユニットが給電ブランチ層によって励起され、前記給電ブランチ層が電力分配および給電位相調整の機能を有する給電ブランチ層をさらに含む請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項8】
複数のアンテナユニットを含み、
前記アンテナユニットは、中央グループ、エッジグループ、およびコーナーグループに分割され、前記中央グループは、比較的大きな無線周波数(RF)電力に対応し、前記エッジグループは、比較的中央値のRF電力に対応し、前記コーナーグループは、比較的小さいRF電力に対応するアンテナアレイ。
【請求項9】
前記アンテナアレイは、5795MHz~5845MHzの動作周波数帯域をカバーし、アンテナユニットのうちの任意の隣接する2つの間の距離は、動作周波数帯域の0.2~0.8倍の波長であることができる請求項8に記載のアンテナアレイ。
【請求項10】
複数の前記アンテナユニットは、第1のグループ、第2のグループ、第3のグループ、および第4のグループに分割され、前記第1のグループは、元の給電位相に対応し、前記第2のグループは、第1の遅延給電位相に対応し、前記第3のグループは、第2の遅延給電位相に対応し、前記第4のグループは、第3の遅延給電位相に対応する請求項8に記載のアンテナアレイ。
【請求項11】
前記アンテナユニットに隣接して配置されたグランドプレーン層、および
単一の信号源に結合される給電ブランチ層をさらに含み、
前記アンテナユニットは、前記給電ブランチ層によって励起され、
前記給電ブランチ層は、電力分配および給電位相調整の機能を有する、請求項8に記載のアンテナアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年7月26日に出願された台湾特許出願番号第111127883号についての優先権を主張するものであり、これらの全ては引用によって本願に援用される。
【0002】
本発明は、アンテナシステムに関するものであり、特に、サイドローブ放射を抑制するアンテナシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
モバイル通信技術の進歩に伴い、ポータブルコンピューター、携帯電話、マルチメディアプレーヤー、およびその他のハイブリッド機能ポータブル電子デバイスなどのモバイルデバイスがより一般的になってきている。消費者の需要を満たすために、モバイルデバイスは通常、無線通信機能を実行することができる。一部のデバイスは広い無線通信エリアをカバーすることができ、これらは2G、3G、およびLTE(Long Term Evolution)システムを用いた携帯電話、および700MHz、850MHz、900MHz、1800MHz、1900MHz、2100MHz、2300MHz、および2500MHzの周波数帯域を用いた携帯電話を含む。一部のデバイスは小さい無線通信エリアをカバーし、これらは、Wi-Fiシステムを用いて、2.4GHz、5.2GHz、および5.8GHzの周波数帯域を用いる携帯電話を含む。
【0004】
アンテナは無線通信に欠かせない要素である。信号の受信および送信用のアンテナが高すぎるサイドローブ放射を有する場合、関連するモバイルデバイスの通信品質を低下させる。従って、アンテナ設計者にとって、比較的低いサイドローブ放射の小型アンテナシステムを設計することが重要な課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、比較的低いサイドローブ放射の小型アンテナシステムを設計し、サイドローブ放射を抑制するアンテナシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な実施形態では、本発明は、アンテナアレイおよびフローティングメタル要素を含むアンテナシステムを含む。アンテナアレイは複数のアンテナユニットを含む。フローティングメタル要素は、アンテナアレイに隣接している。結合距離は、フローティングメタル要素とアンテナアレイとの間に形成される。フローティングメタル要素は、アンテナアレイのサイドローブ放射を抑制するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、複数のアンテナユニットは、中央グループ、エッジグループ、およびコーナーグループに分割される。中央グループは、比較的大きな無線周波数(RF)電力に対応する。エッジグループは、比較的中央値のRF電力に対応する。コーナーグループは、比較的小さいRF電力に対応する。
【0008】
いくつかの実施形態では、複数のアンテナユニットは、第1のグループ、第2のグループ、第3のグループ、および第4のグループに分割される。第1のグループは、元の給電位相に対応する。第2のグループは、第1の遅延給電位相に対応する。第3のグループは、第2の遅延給電位相に対応する。第4のグループは、第3の遅延給電位相に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明から、より完全に理解することができる。
図1図1は、本発明の一実施形態によるアンテナシステムの側面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態によるアンテナシステムの軸比の図である。
図3A図3Aは、本発明の一実施形態によるフローティングメタル要素(floating metal element)の上面図である。
図3B図3Bは、本発明の一実施形態によるフローティングメタル要素を用いたアンテナシステムの放射パターンである。
図4A図4Aは、本発明の一実施形態によるフローティングメタル要素(floating metal element)の上面図である。
図4B図4Bは、本発明の一実施形態によるフローティングメタル要素を用いたアンテナシステムの放射パターンである。
図5A図5Aは、本発明の一実施形態によるアンテナアレイの上面図である。
図5B図5Bは、本発明の一実施形態によるアンテナアレイの上面図である。
図5C図5Cは、本発明の一実施形態によるアンテナアレイの上面図である。
図6A図6Aは、本発明の一実施形態によるアンテナアレイの上面図である。
図6B図6Bは、本発明の一実施形態による給電ブランチ(feeding branch)層の上面図である。
図7A図7Aは、本発明の一実施形態によるブランチチューニングセグメント(branch tuning segment)の上面図である。
図7B図7Bは、本発明の一実施形態によるブランチチューニングセグメントの上面図である。
図8A図8Aは、本発明の一実施形態によるブランチチューニングセグメントの上面図である。
図8B図8Bは、本発明の一実施形態によるブランチチューニングセグメントの上面図である。
図9図9は、本発明の一実施形態によるアンテナシステムの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の目的、特徴、および利点を説明するために、本発明の実施形態および図を以下に詳細に示す。
【0011】
特定のシステム構成要素を指すために、特定の用語が下記の明細書および特許請求の範囲を通して用いられる。当業者であれば理解できるように、製造業者はある構成要素を異なる名前で呼ぶことがある。本願は、機能ではなく名前が異なる構成要素間を区別することを意図していない。下記の説明および特許請求の範囲では、「含む(include)」および「包含する(comprise)」という用語は、オープンエンド様式で用いられるため、「含むが~に限定されない」と意味するものと解釈すべきである。「実質的に」という用語は、値が許容誤差範囲内であることを意味している。当業者は、所定の誤差範囲内で技術的問題を解決し、提案された技術的性能を達成することができる。また、「結合(couple)」という用語は、間接的または直接的な電気的接続を意味することを意図している。従って、ある装置が別の装置に結合されている場合、その接続は、直接的な電気的接続、または他の装置および接続を介した間接的な電気的接続によって行われることができる。
【0012】
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態または例を提供する。本開示を簡潔に説明するために、複数の要素および複数の配列の特定の実施形態が以下に述べられる。これらはもちろん単に例示するためであり、それに限定するという意図はない。例えば、下記の開示において、第1の特徴が第2の特徴の上に形成されるということは、第1と第2の特徴が直接接触して形成される複数の実施形態を含むことができ、且つ第1と第2の特徴が直接接触しないように、付加的な特徴が第1と第2の特徴の間に形成される複数の実施形態を含むこともできる。また、本開示は、以下の実施形態(OR複数の例)において同じ構成要素の符号または文字を繰り返し用いる可能性がある。繰り返し用いる目的は、簡易化した、明確な説明を提供するためのもので、説明される様々な実施形態および/または構成の関係を限定するものではない。
【0013】
さらに、「下の方」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」およびこれらに類する語のような、空間的に相対的な用語は、図において1つの要素または特徴と、別の(複数の)要素と(複数の)特徴との関係を記述するための説明を簡潔にするために用いられる。空間的に相対的な用語は、図に記載された方向に加えて、使用または操作する装置の異なる方向を包含することを意図している。装置は、他に方向づけされてもよく(90度回転、または他の方向に)、ここで用いられる空間的に相対的な記述は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態によるアンテナシステム100の側面図である。例えば、アンテナシステム100は、検出装置、無線アクセスポイント、または高速道路ETC(Electronic Toll Collection)システムに適用されることができるが、これらに限定されるものではない。図1の実施形態では、アンテナシステム100は、アンテナアレイ110およびフローティングメタル要素130を含む。アンテナアレイ110は、複数のアンテナユニット120-1、120-2、…、および120-N(Nは4以上の正の整数)を含む。複数のアンテナユニット120-1、120-2、…、120-Nは、いずれも銅、銀、アルミニウム、鉄、またはそれらの合金などの金属材料で構成されることができる。
【0015】
複数のアンテナユニット120-1、120-2、…、120-Nの形状および種類は、本発明に限定されない。例えば、複数のアンテナユニット120-1、120-2、…、および120-Nのいずれかは、パッチアンテナ、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、ループアンテナ、平面逆Fアンテナ(Planar Inverted F Antenna; PIFA)、またはハイブリッドアンテナであることができる。
【0016】
フローティングメタル要素130は、アンテナアレイ110に隣接して配置される。フローティングメタル要素130は、アンテナアレイ110から完全に分離している。結合距離DGは、フローティングメタル要素130とアンテナアレイ110との間に形成される。本開示における「隣接」または「近接」という用語は、2つの対応する要素間の距離(間隔)が所定の距離(例えば、10mm以下)より小さいことを意味するが、多くの場合、これは 2つの対応する要素が互いに直接接触している(例えば、前述の距離または間隔が0に短縮される)ことを意味しないことに留意されたい。実際の測定によれば、フローティングメタル要素130は、アンテナアレイ110のサイドローブ放射を抑制するように構成される。いくつかの実施形態では、アンテナシステム100は、非導電性ハウジング(図示せず)をさらに含み、フローティングメタル要素130は非導電性ハウジングの内側に配置される。いくつかの実施形態では、フローティングメタル要素130はアンテナアレイ110の中心に隣接する。例えば、アンテナアレイ110が1D(一次元)アンテナアレイである場合、フローティングメタル要素130は、アンテナアレイ110の中心に隣接するアンテナユニット120-4と120-5との間に配置され得るが、その実際の位置は、異なる要件に応じて調整可能である。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態によるアンテナシステム100の軸比の図である。横軸は動作周波数(MHz)、縦軸は軸比(dB)を表している。図2の測定によれば、円偏波をサポートするアンテナアレイ110は、少なくとも5795MHz~5845MHzの動作周波数帯域FB1をカバーすることができる。結合効果を最適化するために、フローティングメタル要素130とアンテナアレイ110との間の結合距離DGは、動作周波数帯域FB1の0.5倍の波長(λ/2)以下であることができる。例えば、結合距離DGは約3mmであることができるが、これに限定されない。従って、アンテナシステム100は、少なくとも車両伝送および無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)5GHzの広帯域動作をカバーすることができる。
【0018】
以下の実施形態では、アンテナシステム100の異なる構成および詳細な構造的特徴を紹介する。これらの図および説明は、本発明を限定するものではなく、単に例示的なものであることを理解されたい。
【0019】
図3Aは、本発明の一実施形態によるフローティングメタル要素(floating metal element)330の上面図である。図3Aの実施形態では、フローティングメタル要素330は、実質的に正方形の形状を有することができ、正方形の辺の長さL1は、アンテナシステム100の動作周波数帯域FB1の0.1~0.5倍の波長(λ/10~λ/2)である。例えば、前述の辺の長さL1は約9mmであることができるが、これに限定されない。
【0020】
図3Bは、本発明の一実施形態によるフローティングメタル要素330を用いたアンテナシステム100の放射パターンである(XZ平面に沿って測定されることができる)。横軸は測定角度(度)を表し、縦軸は正規化放射利得(dB)を表している。図3Bに示されるように、第1の曲線CC1は、フローティングメタル要素330のないアンテナシステム100の動作特性を表しており、第2の曲線CC2は、フローティングメタル330を有するアンテナシステム100の動作特性を表している。図3Bの測定によれば、正方形のフローティングメタル要素330は、アンテナシステム100のサイドローブ放射を約4.4dB低減するのに役立つことができ、それにより、アンテナシステム100の空間効率を大幅に改善することができる。
【0021】
図4Aは、本発明の一実施形態によるフローティングメタル要素430の上面図である。図4Aの実施形態では、フローティングメタル要素430は、実質的に円形の形状を有することができ、円形の直径L2は、アンテナシステム100の動作周波数帯域FB1の0.1~0.5倍の波長(λ/10~λ/2)である。例えば、直径L2は約10mmであることができるが、これに限定されない。
【0022】
図4Bは、本発明の一実施形態によるフローティングメタル要素430を用いたアンテナシステム100の放射パターンである(XZ平面に沿って測定されることができる)。横軸は測定角度(度)を表し、縦軸は正規化放射利得(dB)を表している。図4Bに示されるように、第3の曲線CC3は、フローティングメタル要素430のないアンテナシステム100の動作特性を表しており、第4の曲線CC4は、フローティングメタル430を有するアンテナシステム100の動作特性を表している。図4Bの測定によれば、円形のフローティングメタル要素330は、アンテナシステム100のサイドローブ放射を約3.5dB低減するのに役立つことができ、それにより、アンテナシステム100の空間効率を大幅に改善することができる。
【0023】
図5Aは、本発明の一実施形態によるアンテナアレイ510の上面図である。図5Aの実施形態では、アンテナアレイ510は、複数のアンテナユニットA00、A01、…、およびA15、ならびにグランドプレーン層540を含む4×4パッチアンテナアレイである。グランドプレーン層540は金属材料からなり、アンテナユニットA00、A01、…、およびA15に隣接している。また、アンテナユニットA00、A01、…、およびA15のうちの任意の隣接する2つの間の距離D1は、アンテナアレイ510の動作周波数帯域FB1の0.2~0.8倍の波長(0.2λ~0.8λ)であることができる。いくつかの実施形態では、アンテナユニットA00、A01、…、およびA15は、中央グループ551、エッジグループ552、およびコーナーグループ553に分割される。具体的には、4つのアンテナユニットA05、A06、A09、およびA10を含む中央グループ551は、比較的大きな無線周波数(RF)電力に対応し得る。8つのアンテナユニットA01、A02、A04、A07、A08、A11、A13、およびA14を含むエッジグループ552は、比較的中央値のRF電力に対応し得る。4つのアンテナユニットA00、A03、A12、およびA15を含むコーナーグループ553は、比較的小さいRF電力に対応することができる。実際の測定によれば、アンテナアレイ510が信号の送受信に不均等なRF電力を用いた場合、アンテナアレイ510のサイドローブ放射はさらに抑制され得る。代替実施形態では、アンテナアレイ510は独立して用いられ、前述のフローティングメタル要素と一緒に用いられない。
【0024】
いくつかの実施形態では、アンテナアレイ510の相対的な電力分布は、以下の表、表1(0<X<1および0<Y<1)に記載される。
【0025】
【表1】

表1: アンテナアレイ510の相対的な電力分布
(「X・Y」はXとYの積を意味する)
【0026】
図5Bは、本発明の一実施形態によるアンテナアレイ510の上面図である。図5Bの実施形態では、 アンテナアレイ510は、RHCP(右旋円偏波)をサポートし、複数のアンテナユニットA00、A01、…、およびA15は、第1のグループ561、第2のグループ562、第3のグループ563、および第4のグループ564に分割される。具体的には、4つのアンテナユニットA02、A03、A06、およびA07を含む第1のグループ561は、元の給電位相(例えば、0度)に対応することができる。4つのアンテナユニットA00、A01、A04、およびA05を含む第2のグループ562は、第1の遅延給電位相(例えば、-90度)に対応することができる。4つのアンテナユニットA08、A09、A12、およびA13を含む第3のグループ563は、第2の遅延給電位相(例えば、-180度)に対応することができる。4つのアンテナユニットA10、A11、A14、およびA15を含む第4のグループ564は、第3の遅延給電位相(例えば、-270度)に対応することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、RHCPをサポートするアンテナアレイ510の相対給電位相(relative feeding phases)は、以下の表、表2(0°≦A<360°および0°≦B<360°)に記載される。
【0028】
【表2】

表2: アンテナアレイ510(RHCP)の相対給電位相
【0029】
図5Cは、本発明の一実施形態によるアンテナアレイ510の上面図である。図5Cの実施形態では、 アンテナアレイ510は、RHCP(左旋円偏波)をサポートし、複数のアンテナユニットA00、A01、…、およびA15は、第1のグループ571、第2のグループ572、第3のグループ573、および第4のグループ574に分割される。具体的には、4つのアンテナユニットA02、A03、A06、およびA07を含む第1のグループ571は、元の給電位相(例えば、0度)に対応することができる。4つのアンテナユニットA10、A11、A14、およびA15を含む第2のグループ572は、第1の遅延給電位相(例えば、-90度)に対応することができる。4つのアンテナユニットA08、A09、A12、およびA13を含む第3のグループ573は、第2の遅延給電位相(例えば、-180度)に対応することができる。4つのアンテナユニットA00、A01、A04、およびA05を含む第4のグループ574は、第3の遅延給電位相(例えば、-270度)に対応することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、LHCPをサポートするアンテナアレイ510の相対給電位相は、以下の表、表3(0°≦A<360°および0°≦B<360°)に記載される。
【0031】
【表3】

表3: アンテナアレイ510(RHCP)の相対給電位相
【0032】
図6Aは、本発明の一実施形態によるアンテナアレイ610の上面図である。図6Aの実施形態では、アンテナアレイ610は、複数のアンテナユニット620-1、620-2、…、および620-64、ならびにグランドプレーン層640を含む8×8パッチアンテナアレイである。放射パターンを微調整するために、複数のアンテナユニット620-1、620-2、…、および620-64のうちの任意の隣接する2つは、その間の距離がわずかに異なる距離とすることができる。例えば、アンテナユニット620-12と620-4との間の距離D2は、アンテナアレイ610の動作周波数帯域FB1の0.64倍の波長(0.64λ)に実質的に等しいものとすることができる。アンテナユニット620-20と620-12との間の距離D3は、アンテナアレイ610の動作周波数帯域FB1の0.49倍の波長(0.49λ)に実質的に等しいものとすることができる。アンテナユニット620-28と620-20との間の距離D4は、アンテナアレイ610の動作周波数帯域FB1の0.64倍の波長(0.64λ)に実質的に等しいものとすることができる。アンテナユニット620-36と620-28との間の距離D5は、アンテナアレイ610の動作周波数帯域FB1の0.62倍の波長(0.62λ)に実質的に等しいものとすることができる。アンテナユニット620-29と620-28との間の距離D6は、アンテナアレイ610の動作周波数帯域FB1の0.64倍の波長(0.62λ)に実質的に等しいものとすることができる。アンテナユニット620-30と620-29との間の距離D7は、アンテナアレイ610の動作周波数帯域FB1の0.65倍の波長(0.65λ)に実質的に等しいものとすることができる。アンテナユニット620-31と620-30との間の距離D8は、アンテナアレイ610の動作周波数帯域FB1の0.54倍の波長(0.54λ)に実質的に等しいものとすることができる。アンテナユニット620-32と620-31との間の距離D9は、アンテナアレイ610の動作周波数帯域FB1の0.54倍の波長(0.54λ)に実質的に等しいものとすることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。代替実施形態では、前述の距離は、異なる要件に応じて調整可能である。
【0033】
図6Bは、本発明の一実施形態による給電ブランチ層650の上面図である。図6Bの実施形態では、前述のアンテナアレイ610は、給電ブランチ層650をさらに含む。給電ブランチ層650は、単一の信号源690に結合される。複数のアンテナユニット620-1、620-2、…、および620-64は、給電ブランチ層650によって励起される。例えば、グランドプレーン層640は、アンテナユニット620-1、620-2、…、および620-64と給電ブランチ層650との間に配置されることができる。給電ブランチ層650は、グランドプレーン層640の複数のビアホール(図示せず)を通って延在し、アンテナユニット620-1、620-2、…、620-64にそれぞれ結合されることができる。このような給電ブランチ層650の設計により、アンテナアレイ610は、信号の送受信に単一の信号源690を用いることができ、その全体のサイズを大幅に縮小することができる。いくつかの実施形態では、給電ブランチ層650は、第1のブランチチューニングセグメント651、第2のブランチチューニングセグメント652、および第3のブランチチューニングセグメント653を含み、電力分配および給電位相調整の機能を提供することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1のブランチチューニングセグメント651は、均等な電力分配(Equal Power Split)とその間の180°の給電位相差(Feeding Phase Difference)を提供し、第2のブランチチューニングセグメント652および第3のブランチチューニングセグメント653のそれぞれは、均等な電力分配とその間の90°の給電位相差を提供する。上述の実施形態では、アンテナアレイ610の複数のアンテナユニット620-1、620-2、…、および620-64は、第1のグループ661、第2のグループ662、第3のグループ663、および第4のグループ664に分割される。第1のグループ661は、元の給電位相(例えば、0度)に対応することができる。第2のグループ662は、第1の遅延給電位相(例えば、-90度)に対応することができる。第3のグループ663は、第2の遅延給電位相(例えば、-180度)に対応することができる。第4のグループ664は、第3の遅延給電位相(例えば、-270度)に対応することができる。
【0035】
代替の実施形態では、P×Qアンテナアレイが用いられる場合、P×Q-4個のブランチチューニングセグメントに対応することができ、PおよびQのそれぞれは正の整数である。例えば、8×8のアンテナアレイは、60個のブランチチューニングセグメントに対応することができ、10×8のアンテナアレイは、76個のブランチチューニングセグメントに対応することができるが、これに限定されない。さらに、これらのブランチチューニングセグメントの構造は、以下の実施形態で詳細に説明する。
【0036】
図7Aは、本発明の一実施形態によるブランチチューニングセグメント760の上面図である。図7Aの実施形態では、ブランチチューニングセグメント760は、第1のブランチ761、第2のブランチ762、および共通ブランチ763を含む。第2のブランチ762の幅は、第1のブランチ761の幅と等しい。共通ブランチ763が供給されたとき、第1のブランチ761と第2のブランチ762は同じ出力電力を提供することができる。
【0037】
図7Bは、本発明の一実施形態によるブランチチューニングセグメント770の上面図である。図7Bの実施形態では、ブランチチューニングセグメント770は、第1のブランチ771、第2のブランチ772、および共通ブランチ773を含む。第2のブランチ772の幅は、第1のブランチ771の幅よりも小さい。共通ブランチ773が供給されたとき、第1のブランチ771と第2のブランチ772は異なる出力電力を提供することができる。いくつかの実施形態では、ブランチチューニングセグメント770の第1のブランチ771および第2のブランチ772のそれぞれは、インピーダンス変成器(impedance transformer)を用いて、そのインピーダンス整合を微調整する。
【0038】
図8Aは、本発明の一実施形態によるブランチチューニングセグメントの上面図である。図8Aの実施形態では、ブランチチューニングセグメント860は、第1のブランチ861、第2のブランチ862、および共通ブランチ863を含む。第2のブランチ862の長さは、第1のブランチ861の長さと等しい。共通ブランチ863が供給されたとき、第1のブランチ861と第2のブランチ862は同じ給電位相を提供することができる。
【0039】
図8Bは、本発明の一実施形態によるブランチチューニングセグメントの上面図である。図8Bの実施形態では、ブランチチューニングセグメント870は、第1のブランチ871、第2のブランチ872、および共通ブランチ873を含む。第2のブランチ872の長さは、第1のブランチ871の長さより長い。共通ブランチ873が供給されたとき、第1のブランチ871と第2のブランチ872は異なる給電位相を提供することができる。
【0040】
図9は、本発明の一実施形態によるアンテナシステム900の上面図である。図9の実施形態では、アンテナシステム900は、図3Aのフローティングメタル要素330と図6Aのアンテナアレイ610を含むが、複数のアンテナユニット620-1、620-2、…、および620-64の形状はわずかに調整されている。例えば、複数のアンテナユニット620-1、620-2、…、および620-64のそれぞれは、実質的に六角形の形状を有し、アンテナアレイ610の円偏波特性を強化することができる。フローティングメタル要素330は、アンテナアレイ610の中心に隣接している。具体的には、フローティングメタル要素330は、アンテナアレイ610のアンテナユニット620-28、620-29、620-36、および620-37の間に配置される。例えば、フローティングメタル要素330とアンテナユニット620-28との間の距離DAは、アンテナアレイ610の動作周波数帯域FB1の1倍の波長(1λ)以下であることができる。フローティングメタル要素330とアンテナユニット620-29との間の距離DBは、アンテナアレイ610の動作周波数帯域FB1の1倍の波長(1λ)以下であることができる。フローティングメタル要素330とアンテナユニット620-36との間の距離DCは、アンテナアレイ610の動作周波数帯域FB1の1倍の波長(1λ)以下であることができる。フローティングメタル要素330とアンテナユニット620-37との間の距離DDは、アンテナアレイ610の動作周波数帯域FB1の1倍の波長(1λ)以下であることができる。いくつかの実施形態では、前述の距離DA、DB、DC、およびDDは、互いに実質的に等しい。上述の要素のサイズの範囲は、多くの実験結果に従って計算されて得られたものであり、アンテナシステム900のサイドローブ抑圧比を最適化するのに役立つ。代替の実施形態では、アンテナシステム900は、前述の給電分岐層650をさらに含み、電力分配および給電位相調整の機能を提供することができる。
【0041】
上述の複数のアンテナアレイのサイズは、単に例示的なものであることを理解されたい。実際、これらの複数のアンテナアレイのサイズは、異なる要件に応じて調整可能である。例えば、5×5、6×6、7×7、9×9、または10×10のアンテナアレイに変更されることができるが、これらに限定されない。
【0042】
本発明は、新規なアンテナシステムおよび新規なアンテナアレイを提案する。従来の設計と比較して、本発明は、少なくともサイドローブを抑制し、交差マージンを増加させるという利点を有する。従って、本発明は、様々な通信装置への用途に適している。また、本発明が高速道路ETCシステムに適用される場合、ツーサイドのノイズ(two-side noise)が全体の通信品質を低下させることを防止することができる。
【0043】
上述の要素サイズ、要素形状、および周波数範囲は本発明を限定するものではないことに留意されたい。アンテナ設計者は、異なる要件に応じてこれらの設定または値を微調整することができる。本発明のアンテナシステムおよびアンテナアレイは、図1図9の構成に限定されないことを理解されたい。本発明は、図1図9のいずれか1つ以上の実施形態のいずれか1つ以上の特徴のみを含むことができる。換言すれば、図に示された特徴の全てが本発明のアンテナシステムおよびアンテナアレイに実装されることを必要とするわけではない。
【0044】
クレーム要素を変えるための、請求項における「第1の」、「第2の」、「第3の」等の序数詞の使用は、それ自体が、その方法の行為が行なわれる1つのクレーム要素を他のクレーム要素と比較して優先度、序列、又は順序を示唆するものではなく、むしろ、単にクレーム要素を区別するために、特定の名前を有する1つのクレーム要素を同じ名前を有する他の要素から区別するためのラベルとして(だけ、序数詞を)用いている。
【0045】
本開示は、実施例の方法を用いて、且つ実施形態の観点から記述されてきたが、本開示は開示された実施形態に限定するものではないということを理解されたい。逆に、(当業者には明らかであるように)種々の変更及び同様の配置を含むように意図される。よって、添付の特許請求の範囲は、全てのそのような変更および類似の配置を包含するように、最も広義な解釈が与えられるべきである。
【符号の説明】
【0046】
100、900 アンテナシステム
110、510、610 アンテナアレイ
120-1、120-2、120-4、120-5、120-N、A00、A01、A02、A03、A04、A05、A06、A07、A08、A09、A10、A11、A12、A13、A14、A15、620-1、620-2、620-4、620-12、620-20、620-28、620-29、620-30、620-31、620-32、620-36、620-37、620-64 アンテナユニット
130、330、430 フローティングメタル要素
540、640 グランドプレーン層
551 中央グループ
552 エッジグループ
553 コーナーグループ
561、571、661 第1のグループ
562、572、662 第2のグループ
563、573、663 第3のグループ
564、574、664 第4のグループ
650 給電ブランチ層
651 第1のブランチチューニングセグメント
652 第2のブランチチューニングセグメント
653 第3のブランチチューニングセグメント
760、770、860、870 ブランチチューニングセグメント
690 信号源
761、771、861、871 第1のブランチ、
762、772、862、872 第2のブランチ
763、773、863、873 共通ブランチ
CC1 第1の曲線
CC2 第2の曲線
CC3 第3の曲線
CC4 第4の曲線
D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8、D9、DA、DB、DC、DD 距離
DG 結合距離
FB1 動作周波数帯域
L1 辺の長さ
L2 直径
X X軸
Y Y軸
Z Z軸
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9