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特開2024-168117接続アダプター及び接続アダプターの固定方法
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  • 特開-接続アダプター及び接続アダプターの固定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168117
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】接続アダプター及び接続アダプターの固定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 11/04 20060101AFI20241128BHJP
   G01R 22/06 20060101ALI20241128BHJP
   G01R 11/00 20060101ALI20241128BHJP
   G01R 1/04 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G01R11/04 B
G01R22/06 130D
G01R11/00 H
G01R1/04 A
G01R22/06 130H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084545
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】390025623
【氏名又は名称】共立電気計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】河本 理
(57)【要約】
【課題】汎用性が高く、着脱が容易にできると共に、ブレーカーから簡単に外れない接続アダプター及び接続アダプターの固定方法を提供する。
【解決手段】接続アダプター1は、各ブレーカー端子103が配置された各溝部102を有するブレーカー100に接続され、第一端子11が設けられた第一接続端子体10、第二端子21が設けられ、第一接続端子体10側に移動可能な第二接続端子体20及び第一接続端子体10と第二接続端子体20との間に設けられたバネ12Cを有するアダプター本体2と、第一接続端子体10に電気的に接続された第一測定コード3A及び第二接続端子20に電気的に接続された第二測定コード3Bと備え、第二接続端子体20を第一接続端子体10側に移動させた際、第二接続端子体20に対し、第一接続端子体10側と逆向きにバネ12Cの弾性力が加わる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ブレーカー端子が配置された第一溝部と、第二ブレーカー端子が配置された第二溝部とを有するブレーカーに接続される接続アダプターであって、
第一接続端子が設けられた第一接続端子体、第二接続端子が設けられ、前記第一接続端子体側に移動可能な第二接続端子体及び前記第一接続端子体と前記第二接続端子体との間に設けられた弾性部材を有するアダプター本体と、
前記第一接続端子体と電気的に接続された第一測定コード及び前記第二接続端子と電気的に接続された第二測定コードと、備え、
前記第二接続端子体を前記第一接続端子体側に移動させた際、前記第二接続端子体に対し、前記第一接続端子体側と逆向きに前記弾性部材の弾性力が加わる、
ことを特徴とする接続アダプター。
【請求項2】
前記第一接続端子を前記第一ブレーカー端子側に向けて押圧する第一バネ部材が、前記第一接続端子体の内部に設けられ、
前記第二接続端子を前記第二ブレーカー端子側に向けて押圧する第二バネ部材が、前記第二接続端子体の内部に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の接続アダプター。
【請求項3】
前記第一接続端子と前記第一測定コード、前記第二接続端子と前記第二測定コードが、それぞれ可とう性の線材で接続され、この線材が湾曲した状態で設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接続アダプター。
【請求項4】
前記第一接続端子体の先端部及び前記第二接続端子体の先端部に、平板部を有する導電性キャップ材が、それぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接続アダプター。
【請求項5】
前記第一接続端子体にスライド孔が形成され、前記第二接続端子体に前記スライド孔に挿入されるスライド部材が設けられ、かつ前記アダプター本体に押圧部が形成され、
この押圧部を押圧することで、前記第二接続端子体を前記第一接続端子体側にスライドさせる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接続アダプター。
【請求項6】
少なくとも前記第二接続端子体の側部にゴム部材が設けられ、
前記ブレーカーに固定された際に、前記ゴム部材を介して、前記第二接続端子体が前記第二溝部に当接される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接続アダプター。
【請求項7】
請求項2に記載の接続アダプターを前記ブレーカーに固定する接続アダプターの固定方法であって、
前記弾性部材の弾性力により、前記第一接続端子体が前記第一溝部の壁部を、前記第二接続端子体が前記第二溝部の壁部を、それぞれ押圧することで、前記ブレーカーに固定され、
前記第二接続端子体を前記第一接続端子体側に移動させた状態で、前記第一接続端子体を前記第一溝部に、前記第二接続端子体を前記第二溝部に、それぞれ嵌合させることで、
前記第一バネ部材が前記第一接続端子を前記第一ブレーカー端子側に向けて押圧し、前記第二バネ部材が前記第二接続端子を前記第二ブレーカー端子側に向けて押圧することで、前記第一接続端子が前記第一ブレーカー端子と、前記第二接続端子が前記第二ブレーカー端子とが、それぞれ電気的に接続される、
ことを特徴とする接続アダプターの固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーカーに接続して使用される接続アダプター及び接続アダプターの固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配電盤等に設置されているブレーカーは、絶縁、電源品質等の電気的な状態を確認するために、電気計測器のテストコードをブレーカー端子に接触させ、電気的な保守・点検されている。これまで、ブレーカーの電気計測器による確認は、ワニグチクリップでブレーカー端子を銜え、電気計測器の接続コードをブレーカー端子に接続したり、接続コードの端部を磁石で構成し、この端部をブレーカー端子に吸着させ、接続したりすることで行われている。しかし、ブレーカー端子が配置された領域が狭小である場合、ワニグチクリップで銜えさせることが困難であり、また、磁石を利用した場合、外力が加わった際に容易に外れてしまう。
【0003】
電気計測器とブレーカー端子の接続に関し、様々な手段が開示されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の測定用アダプターは、測定側接続部に電気的に接続されると共に、カバー部材の通電端子部に対応する個所に摺動可能な状態で貫通して配置され、測定対象の通電端子部に先端が接触して電気的に接続される棒状部材と、カバー部材の外側に設けられ、棒状部材及び測定側接続部を覆うと共に、測定側接続部に対応する個所に形成され測定用端子が挿入されて測定側接続部に接続できる開口部を備えた被覆部材と、棒状部材に配置され、棒状部材を通電端子部に向け押圧するスプリング部材とを備えている。この測定アダプターにより、測定用端子は被覆部材の開口部を通して測定側接続部に容易に接続されるため、測定用アダプターの他の部分に接触することが防止され、外部に露出する通電端子部に測定機器の測定用端子を安全に接続して電圧などの測定を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-180680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の測定用アダプターは、カバー部材を取り付けた後、ワニグチクリップである測定用端子が被覆部材の開口部を通して測定側接続部に接続するため、手間が生じる。また、ブレーカーのサイズやブレーカーの端子間距離は様々であり、上記の測定用アダプター等を利用する場合、ブレーカーのサイズやブレーカーの端子間距離に合わせたものを都度作製しなければならず、汎用性に乏しい。
現在、電気計測器とブレーカー端子の接続に関し、汎用性が高く、着脱が容易にできると共に、ブレーカーから簡単に外れないアダプターやアダプターの固定方法が要望されている。
【0006】
そこで、本発明は、汎用性が高く、着脱が容易にできると共に、ブレーカーから簡単に外れない接続アダプター及び接続アダプターの固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る接続アダプターは、第一ブレーカー端子体が配置された第一溝部と、第二ブレーカー端子体が配置された第二溝部とを有するブレーカーに接続され、第一接続端子が設けられた第一接続端子体、第二接続端子が設けられ、第一接続端子体側に移動可能な第二接続端子体及び第一接続端子体と第二接続端子体との間に設けられた弾性部材を有するアダプター本体と、第一接続端子体に電気的に接続された第一測定コード及び第二接続端子に電気的に接続された第二測定コードと備え、第二接続端子体を第一接続端子体側に移動させた際、第二接続端子体に対し、第一接続端子体側と逆向きに弾性部材の弾性力が加わることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る接続アダプターは、第一接続端子を第一ブレーカー端子側に向けて押圧する第一バネ部材が第一接続端子体の内部に設けられ、第二接続端子を第二ブレーカー端子側に向けて押圧する第二バネ部材が第二接続端子体の内部に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る接続アダプターは、第一接続端子と第一測定コード、第二接続端子と第二測定コードが、それぞれ可とう性の線材で接続され、この線材が湾曲した状態で設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る接続アダプターは、第一接続端子の先端部及び第二接続端子の先端部に平板部を有する導電性キャップ材がそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る接続アダプターは、第一接続端子体にスライド部が形成され、第二接続端子体にスライド部に挿入されるスライド部材が設けられ、かつアダプター本体に押圧部が形成され、この押圧部を押圧することで、第二接続端子体を第一接続端子体側にスライドさせることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る接続アダプターは、少なくとも第二接続端子体の側部にゴム部材が設けられ、ブレーカーに固定された際に、ゴム部材を介して、第二接続端子体が第二溝部に当接されることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る接続アダプターの固定方法は、上記の接続アダプターをブレーカーに固定する方法であって、弾性部材の弾性力により、第一接続端子体が第一溝部の壁部を、第二接続端子体が第二溝部の壁部をそれぞれ押圧することで、ブレーカーに固定され、第二接続端子体を第一接続端子体側に移動させた状態で、第一接続端子体を第一溝部に、第二接続端子体を第二溝部に、それぞれ嵌合させることで、第一バネ部材が第一接続端子を第一ブレーカー端子側に向けて押圧し、第二バネ部材が第二接続端子を第二ブレーカー端子側に向けて押圧することで、第一接続端子が第一ブレーカー端子と、第二接続端子が第二ブレーカー端子とがそれぞれ電気的に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る接続アダプターは、第一接続端子が設けられた第一接続端子体、第二接続端子が設けられ、第一接続端子体側に移動可能な第二接続端子体及び第一接続端子体と第二接続端子体との間に設けられた弾性部材を有するアダプター本体を有し、第二接続端子体を第一接続端子体側に移動させた際、第二接続端子体に対し、第一接続端子体側と逆向きに弾性部材の弾性力が加わる。本発明に係る接続アダプターは、片手で操作することができ、同時に複数のブレーカー端子に接続できるため、手間が生じない。この接続アダプターは、上記の弾性部材を利用することで、ブレーカーに確実に固定でき、またブレーカーへの着脱を容易にすることができる。さらに、本発明に係る接続アダプターは、ブレーカーの形状に合わせて、接続端子体の位置を容易に調節できるため、全てのブレーカーサイズに対応でき、汎用性が高い。
【0015】
本発明に係る接続アダプターの固定方法は、接続アダプターの弾性部材の弾性力により、第一接続端子体が第一溝部の壁部を、第二接続端子体が第二溝部の壁部を、それぞれ押圧する。そのため、接続アダプターをブレーカーに確実に固定でき、接続アダプターをブレーカーから外れることを防止できる。さらに、本発明に係る接続アダプターの固定方法は、第二接続端子体を第一接続端子体側に移動させた状態で、第一接続端子体を第一溝部に、第二接続端子体を第二溝部に、それぞれ嵌合させることで、第一バネ部材が第一接続端子を第一ブレーカー端子側に向けて押圧し、第二バネ部材が第二接続端子を第二ブレーカー端子側に向けて押圧する。そのため、第一接続端子が第一ブレーカー端子と、第二接続端子が第二ブレーカー端子と、確実に電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る接続アダプターをブレーカーへ固定接続を説明するための図である。
図2】本発明の実施形態に係る接続アダプターの斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る接続アダプターを説明するための図である。
図4】本発明の実施形態に係る接続アダプターを示す図である。(a)は下側から視た図をし、(b)は上側から視た図を示している。
図5】本発明の実施形態に係る接続アダプターの内部構造を示す図である。(a)はブレーカーに固定される前の状態を示し、(b)はブレーカーに固定された後の状態を示している。
図6】本発明の実施形態に係る接続アダプターがブレーカーに接続された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態に係る接続アダプターは、電気機器や漏電遮断器に固定、接続される。本実施形態では、接続される対象を漏電遮断器であるブレーカーを例に挙げ、図1から図6を参照し説明する。なお、図2の接続アダプターの状態を基準とし、前後方向X、左右方向Y、高さ方向Zを規定する。
【0018】
ブレーカー100は、図1に示すように、ブレーカー本体101と、ブレーカー本体101の端部に形成された3つの溝部102と、これらの溝部102に固定された接続端子(ブレーカー端子)103とを備えている。この接続端子103は、ネジで形成されている。
【0019】
接続アダプター1は、図2及び図3に示すように、アダプター本体2と、アダプター本体2に接続された複数の測定コード3とを備えている。各測定コード3の先端にはプラグ4が取り付けられ(図6)、これらのプラグ4は、計測器(図示しない)に繋がれる。
アダプター本体2は、図4(a)に示すように、第一端子(第一接続端子)11を有する第一接続端子体10と、この第一接続端子体10の一方側に配置され、第二端子(第二接続端子)21を有する第二接続端子体20と、第一接続端子体10の他方側に配置され、第三端子(第三接続端子)31を有する第三接続端子体30と、を備えている。第二接続端子体20と第三接続端子体30は、第一接続端子体10を挟んで、対向して配置されている。各接続端子体10,20,30の幅は、ブレーカー100の対応する各溝部102の幅よりも小さく設計されている。
また、第一接続端子体10には第一測定コード3A、第二接続端子体20には第二測定コード3B、第三接続端子体30には第三測定コード3Cがそれぞれ接続されている。
【0020】
第一接続端子体10は、筐体12と、筐体12の前方に設けられた板材12Aとを有している。板材12Aには、図4(a)に示すように、2つのスライド孔12Bが形成されている。一方のスライド孔12Bに第二接続端子体20のスライド部材(可動片)22A、もう一方のスライド孔12Bに、図4(b)に示す第三接続端子体30のスライド部材(可動片)32Aが挿入され、第二接続端子体20と第三接続端子体30は、第一接続端子体10に接続される。
【0021】
第二接続端子体20は、筐体22と、筐体22の下部に形成されたスライド部材22Aと、筐体22の前方の右側部に形成された押圧部28と、筐体22の前方の左側部に形成された一対の仕切り片22Bとを有している(図4(a))。仕切り片22B間にバネ12Cが設けられる。また、第二接続端子体20の右側部には、ゴム部材29が設けられている。
【0022】
第三接続端子体30は、筐体32と、スライド部材32Aと、筐体32の前方の左側部に形成された押圧部38と、筐体32の前方の右側部に形成された一対の仕切り片32Bとを有している。仕切り片32B間にバネ12Dが設けられる。第三接続端子体30の左側部には、ゴム部材39が設けられている。
【0023】
第二接続端子体20及び第三接続端子体30は、各スライド部材22A,32Aが各スライド孔12Bを移動することで、左右方向Yにスライドすることができる。また、弾性部材としてのバネ12C,12Dは板材12A上に設けられている。バネ12Cは第一接続端子体10と第二接続端子体20との間、バネ12Dは第一接続端子体10と第三接続端子体30との間にそれぞれ設けられ、これらのバネ12C,12Dは、左右方向Yに伸縮する。そのため、第二接続端子体20を第一接続端子体10側にスライドさせた場合、第二接続端子体20には、第一接続端子体10側とは逆向きの右方向にバネ12Cの弾性力が加わり、第三接続端子体30を第一接続端子体10側にスライドさせた場合、第三接続端子体30には、第一接続端子体10側とは逆向きの左方向にバネ12Dの弾性力が加わる。
【0024】
次に、第一接続端子体10の内部構造について説明する。
なお、第二接続端子体20及び第三接続端子体30の内部構造は、内部空間の形状を除いて、第一接続端子体10の内部構造と同一であるため、第二接続端子体20及び第三接続端子体30の内部構造の説明は省略する。
【0025】
第一接続端子体10の内部は、図5(a)に示すように、第一空間10A及び第二空間10Bに仕切られている。第一空間10Aは内部空間の大部分を占め、第二空間10Bは筐体12の後方の下部に形成されている。第一接続端子体10内部には、ストッパー部18を有する棒状の第一端子11と、第一端子11の周囲に設けられたバネ部材13と、第一測定コード3Aと接続された線材14と、線材14と第一端子11と繋ぐ圧着端子15とが設けられている。また、第一端子11の先端には、平板状の円形板16Aを有する導電性キャップ材16が取り付けられている。導電性キャップ材16、第一端子11、圧着端子15、線材14、第一測定コード3Aは電気的に接続されている。
【0026】
第一端子11は、筐体12の外部、第二空間10B及び第一空間10Aに配置される。具体的には、第一端子11の一方側の先端は第一空間10A側に露出し、他方側の先端は筐体12の外部に露出している。筐体12の外部に露出している第一端子11の先端側がブレーカー100の接続端子103と接触する。バネ部材13には、圧縮コイルばねを使用し、バネ部材13の自然長が第二空間10Bの高さと略同じものを使用する。なお、第二端子21及び第三端子31も同様な構造を有している。
【0027】
第一測定コード3Aの先端と線材14は、はんだ付けにより接続されており、接続部の周囲には熱収縮チューブ17が設けられている。線材14は、可撓性を有するものを用いることができ、S字状に湾曲した状態で第一測定コード3A及び圧着端子15に連結されている。
円形板16Aの面積は、第一端子11の断面積よりも大きく、この円形板16Aは接続端子103と面接触する。
【0028】
次に、本実施形態に係る接続アダプター1をブレーカー100に固定する固定方法及び各端子11,21、31を各ブレーカー100の接続端子103に接続する接続方法について、説明する。
【0029】
初めに、第二接続端子体20の押圧部28を左方向、第三接続端子体30の押圧部38を右方向にそれぞれ押圧する(図2)。そして、第二接続端子体20及び第三接続端子体30を第一接続端子体10側にスライドさせながら、ブレーカー100の溝部102の位置に対応するように、各接続端子体10,20,30の位置をブレーカー100の形状に合わせ、調節する。スライドさせた際、第二接続端子体20に対し、バネ12Cから右方向に弾性力が加わり、第三接続端子体30に対し、バネ12Dから左方向に弾性力が加わる。上記の第二接続端子体20及び第三接続端子体30のスライドは、片手で行う。
【0030】
次に、位置が調節された各接続端子体10,20,30を対応する溝部102にそれぞれ嵌め込み、押圧部28,38への押圧を解除する。そうすると、バネ12C,12Dの弾性力により、第二接続端子体20が、ゴム部材29を介して、嵌め込まれた溝部102の壁部を押圧し、同様に第三接続端子体30が、ゴム部材39を介して、嵌め込まれた溝部102の壁部を押圧することで、図6に示すように、接続アダプター1がブレーカー100に固定される。
【0031】
各接続端子体10,20,30が各溝部102に嵌め込まれる際、図5(b)に示すように、外部に露出されている導電性キャップ材16(円形板16A)が接続端子103に当接し、さらに、第一端子11は上方向に押し込まれる。第一端子11が上方向に押し込まれると、第一端子11が第二空間10Bに押し込まれると共に、バネ部材13が縮み、第一端子11のストッパー部18に対し、バネ部材13から下方に向けての弾性力が加わる。そうすると、第一端子11に取り付けられた導電性キャップ材16が接続端子103に当接され、電気的に接続される。また、第二端子21及び第三端子31も同様の機構で、接続端子103に当接される。
【0032】
次に、本実施形態に係る接続アダプター1の作用効果について、説明する。
【0033】
本実施形態に係る接続アダプター1は、第二接続端子体20及び第三接続端子体30を第一接続端子体10側にスライドさせ、各接続端子体10,20,30の位置を調節でき、各接続端子体10,20,30を対応する溝部102にそれぞれ嵌め込む。その際、バネ12C,12Dの弾性力により、第二接続端子体20及び第三接続端子体30が各溝部102の壁部を押圧することで、接続アダプター1がブレーカー100に固定される。そのため、接続アダプター1は、ブレーカー100に確実に固定され、ブレーカー100から簡単に外れない。したがって、接続アダプター1をブレーカー100に接続した状態(容易に外れない嵌合状態)を長時間維持することができ、検査の記録途中で測定をやり直すことを防止できる。
【0034】
接続アダプター1は、片手で操作することができ、ブレーカー100の3つの接続端子103に同時に接続でき、もう一方の手で計測器の操作をすることができるため、手間が生じない。この接続アダプター1は、使用者の熟練度に関係なく、容易にブレーカー100に固定できる。また、接続アダプター1は、取り外す際には、押圧部28,38を再度押圧することで、簡単に取り外すことができ、ブレーカー100への着脱が容易にできる。
【0035】
本実施形態に係る接続アダプター1は、各接続端子体10,20,30の位置を容易に調節できるため、接続端子103の間隔が異なるブレーカーに使用することができ、全てのブレーカーサイズに対応できるため、汎用性が高い。
【0036】
本実施形態に係る接続アダプター1は、各接続端子体10,20,30が各溝部102に嵌め込まれ、第一端子11が上方向に押し込まれると、第一端子11のストッパー部18に対し、バネ部材13から下方への弾性力が加わる。そうすると、導電性キャップ材16が接続端子103と確実に当接され、電気的に接続される。このようにバネ部材13によって、第一端子11が接続端子103に対し、常に圧接されるため、接触不良となることが防止できる。同様に第二端子21及び第三端子31も接続端子103に対し、常に圧接される。
【0037】
本実施形態に係る接続アダプター1の第一端子11には、第一端子11の断面積よりも大きい円形板16Aを有する導電性キャップ材16が取り付けられているため、各接続端子103と面接触し、確実に電気的に接続される。また、この導電性キャップ材16は、取り付けや取り外しができるため、摩耗した際に簡単に交換することができる。
【0038】
接続アダプター1において、線材14は、S字状に湾曲した状態で第一測定コード3A及び圧着端子15に連結され、上方や下方に容易に動く。そのため、第一端子11の上方や下方への移動が円滑になる。
接続アダプター1がブレーカー100に固定される際、第二接続端子体20及び第三接続端子体30の側部のゴム部材29,39は、各溝部102の壁部に密着する。ゴム部材29,39は摩擦係数が大きいため、第二接続端子体20及び第三接続端子体30の側部と各溝部102との密着力を高めることができ、ブレーカー100に接続アダプター1を強固に固定できる。
【0039】
弾性部材であるバネ12C,12Dにより、第二接続端子体20と第三接続端子体30に対し、左右方向Yに広がる力が常に加わる。そうすると、接続アダプター1の固定方法において、第二接続端子体20及び第三接続端子体30が各溝部102の壁部を押圧するため、接続アダプター1をブレーカー100に確実に固定できる。
【0040】
また、各接続端子体10,20,30を各溝部102に嵌め込むこと、各端子11,21,31は、周囲に設けられたバネ部材13からブレーカー100の接続端子103側(下方)に向けて力が加わる。そうすると、各接続端子体10,20,30は、接続端子103に圧接される。したがって、接続アダプター1の接続方法では、各接続端子体10,20,30と接続端子103を確実に電気的に接続することができる。
【0041】
以上、本実施形態について説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態では、両側の接続端子体を移動させる構成を説明したが、片側の接続端子体のみスライドさせる構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0042】
1 接続アダプター
2 アダプター本体
3 測定コード
3A 第一測定コード
3B 第二測定コード
3C 第三測定コード
4 プラグ
10 第一接続端子体
10A 第一空間
10B 第二空間
11 第一端子(第一接続端子)
12,22,32 筐体
12A 板材
12B スライド孔
12C,12D バネ
13 バネ部材
14 線材
15 圧着端子
16 導電性キャップ材
16A 円形板
17 熱収縮チューブ
18 ストッパー部
20 第二接続端子体
21 第二端子(第二接続端子)
22A,32A スライド部材(可動片)
22B,32B 仕切り片
28,38 押圧部
29,39 ゴム部材
30 第三接続端子体
31 第三端子(第三接続端子)
100 ブレーカー
101 ブレーカー本体
102 溝部
103 接続端子(ブレーカー端子)
X 前後方向
Y 左右方向
Z 高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6