(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168120
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H01L23/36 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084551
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 雅志
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BC05
5F136EA38
5F136FA23
5F136FA82
(57)【要約】
【課題】半導体装置の放熱性を高める。
【解決手段】半導体装置は、第1のはんだボールを有する第1の領域と、第1の領域の周りに設けられた第2の領域と、を含む第1の表面を有する半導体チップと、第2の領域に接して設けられ、グラファイトを有し、使用温度範囲において400W/m・K以上の熱伝導率を有する熱伝導体と、を具備する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のはんだボールを有する第1の領域と、前記第1の領域の周りに設けられた第2の領域と、を含む第1の表面を有する半導体パッケージと、
前記第2の領域に接して設けられ、グラファイトを有し、使用温度範囲において400W/m・K以上の熱伝導率を有する熱伝導体と、
を具備する、半導体装置。
【請求項2】
前記熱伝導体は、前記使用温度範囲において、1×10-6S/m以下の電気抵抗率を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記熱伝導体は、70μm以上100μm以下の厚さを有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記熱伝導体は、前記半導体パッケージの厚さ方向から見て前記第1の領域と重なる第1の開口を有し、
前記第1のはんだボールは、前記第1の開口の内側に配置される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2の領域は、第2のはんだボールを有し、
前記熱伝導体は、前記第2の領域と重なる第2の開口を有し、
前記第2のはんだボールは、前記第2の開口の内側に配置される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2の開口の直径は、前記第2のはんだボールの直径よりも大きい、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2のはんだボールは、前記第2の開口の内壁面から離れている、請求項5または請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
第2の表面を有する基板をさらに具備し、
前記熱伝導体は、前記第2の領域と前記第2の表面との間に設けられ、前記第2の領域および前記第2の表面のそれぞれと接触する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体装置は、車両に搭載された電気制御ユニットに含まれる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の領域は、前記第2の領域よりも発熱性が高い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記熱伝導体の厚さは、前記第1のはんだボールの直径よりも小さい、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項12】
基板と、
第1のはんだボールを有するとともに通信線を含む第1の領域と、前記第1の領域の周りに設けられるとともに第2のはんだボールを有する第2の領域と、を有する半導体パッケージと、
前記基板と前記半導体パッケージの間で、前記第2のはんだボールによって前記第2の領域に接して固定され、前記基板の厚さ方向から見たときに前記第1の領域と重ならない熱伝導体と、
を具備する、半導体装置。
【請求項13】
半導体パッケージと、基板と、を接合する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体パッケージは、第1のはんだボールを有する第1の領域と、前記第1の領域の周りに設けられた第2の領域と、を含む第1の表面を有し、
前記基板は、第2の表面を有し、
前記方法は、
前記半導体パッケージと前記基板とを前記第2の領域と前記第2の表面との間に熱伝導体を挟んで積層することにより積層体を形成し、
前記積層体を加熱して前記第1のはんだボールを加工することにより前記第1のはんだボールにより前記半導体パッケージと前記基板とを接合し、
前記熱伝導体は、グラファイトを有し、使用温度範囲において400W/m・K以上の熱伝導率を有する、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリと、コントローラと、を配線基板上に有するメモリシステムが知られている。このようなメモリシステムでは、メモリやコントローラ等の電子部品は、はんだボール等の接続部材を介して配線板に実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0165302号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2021/0305121号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/0024496号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態において解決しようとする課題の一つは、半導体装置の放熱性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1のはんだボールを有する第1の領域と、第1の領域の周りに設けられた第2の領域と、を含む第1の表面を有する半導体パッケージと、第2の領域に接して設けられ、グラファイトを有し、使用温度範囲において400W/m・K以上の熱伝導率を有する熱伝導体と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】メモリシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】メモリシステムの第1の構造例を示す模式図である。
【
図3】メモリシステムの第1の構造例を示す模式図である。
【
図4】メモリシステムの第1の構造例を示す模式図である。
【
図5】第1の構造例の製造方法例を説明するための模式図である。
【
図6】第1の構造例の製造方法例を説明するための模式図である。
【
図7】メモリシステムの第2の構造例を示す模式図である。
【
図8】メモリシステムの第2の構造例を示す模式図である。
【
図9】メモリシステムの第2の構造例を示す模式図である。
【
図10】メモリシステムの第3の構造例を示す模式図である。
【
図11】メモリシステムの第3の構造例を示す模式図である。
【
図12】メモリシステムの第3の構造例を示す模式図である。
【
図13】メモリシステムを有する半導体モジュールの構成例を示す模式図である。
【
図14】メモリシステムを有する半導体モジュールの構成例を示す模式図である。
【
図15】半導体モジュールを有する車両の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。図面に記載された各構成要素の厚さと平面寸法との関係、各構成要素の厚さの比率等は現物と異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し適宜説明を省略または簡略化する。
【0008】
本実施形態において「接続する」とは、特に記述する場合を除き、物理的に接続することだけでなく、電気的に接続することも含む。
【0009】
(半導体装置の構成例)
図1は、半導体装置の一例である、メモリシステムの構成例を示すブロック図である。メモリシステム1は、ホスト装置2に接続可能に構成される。
【0010】
メモリシステム1は、ソリッドステートドライブ(SSD)等のストレージデバイスを含む。ストレージデバイスは、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の様々な電子機器や自動車等の車両に用いることができる。
【0011】
ホスト装置2は、メモリシステム1を制御する機能を有する。ホスト装置2の例は、サーバー、パーソナルコンピュータ、中央演算ユニット(CPU)等が挙げられる。
【0012】
メモリシステム1は、メモリコントローラ11と、NANDメモリ12と、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)13と、を具備する。メモリシステム1は、メモリコントローラ11、NANDメモリ12、DRAM13等の電子部品を配線板に接続することにより形成可能である。
【0013】
メモリコントローラ11は、例えばホスト装置2からのアクセス要求に基づいて、NANDメモリ12およびDRAM13に対するデータの書き込み、読み出し、および消去等の動作の実行を制御する。メモリコントローラ11は、電子部品の一例である。メモリコントローラ11は、例えばSoCとして構成される半導体デバイスである。
【0014】
NANDメモリ12は、NAND型のフラッシュメモリである。NANDメモリ12は、データを不揮発に記憶する。
図1は、3つのNANDメモリ12を示すが、NANDメモリ12の数は、3つに限定されない。NANDメモリ12は、電子部品の一例である。
【0015】
DRAM13は、例えばホスト装置2から受信してNANDメモリ12に書き込まれる前のデータ、およびNANDメモリ12から読み出されてホスト装置2に送信する前のデータ等を一時的に記憶する。
図1は、3つのDRAM13を示すが、DRAM13の数は、3つに限定されない。DRAM13は、電子部品の一例である。
【0016】
(メモリシステム1の第1の構造例)
図2、
図3、
図4は、メモリシステム1の第1の構造例を示す模式図である。
図2、
図3、
図4は、第1方向に沿うX軸と、X軸に垂直な第2方向に沿うY軸と、X軸およびY軸のそれぞれに垂直な第3方向に沿うZ軸と、を示す。
図2は、メモリシステム1のX-Z断面の一部を示す。
図3は、メモリシステム1のX-Y平面の一部を示す。
図4は、
図2に示すメモリシステム1のX-Z断面の一部を拡大した図である。
【0017】
メモリシステム1の第1の構造例は、半導体パッケージ100と、配線基板200と、熱伝導体300と、を有する。なお、
図3は、メモリシステム1を配線基板200側から見たときのX-Y平面の一部を示し、便宜のため、配線基板200を一点鎖線で示す。Z軸は、半導体パッケージ100の厚さ方向および配線基板200の厚さ方向と同じ方向である。
【0018】
半導体パッケージ100は、例えばボールグリッドアレイ(BGA)パッケージである。半導体パッケージ100は、例えば、
図1に示す、メモリコントローラ11と、NANDメモリ12と、DRAM13と、を有していてもよい。また、メモリシステム1の第1の構造例は、複数の半導体パッケージ100を有し、複数の半導体パッケージ100がそれぞれメモリコントローラ11と、NANDメモリ12と、DRAM13を有してもよい。
【0019】
半導体パッケージ100は、表面100aを有する。表面100aは、半導体パッケージ100の露出面である。
図2および
図3に示すように、表面100aは、領域R11と、領域R12と、を有する。領域R11は、X-Y平面において、領域R12の内側に設けられる。領域R11は、例えば、X-Y平面において、領域R12に囲まれる。領域R12は、領域R11の外側に設けられる。領域R12は、例えば、X-Y平面において、領域R11の周りに設けられ、領域R11を囲む。領域R11には、半導体パッケージ100の外部と通信を行う通信線が多く配置されている。外部とは例えば、ホスト装置2である。領域R11は、領域R12よりも発熱性が高い。すなわち、領域R11の単位時間当たりの発熱量は、領域R12の単位時間当たりの発熱量よりも多い。
【0020】
半導体パッケージ100の第1の構造例について
図4を参照してさらに説明する。半導体パッケージ100は、
図4に示すように、内部層101と、導電性パッド102と、導電性パッド103と、絶縁層104と、を有する。
【0021】
内部層101は、絶縁層および配線層が交互に積層された積層である。絶縁層の例は、例えばガラスクロス、ガラス基板、セラミック基板、ガラスエポキシ基板、プリプレグ等の絶縁体や、ソルダーレジスト層等の絶縁樹脂層を含む。配線層は、例えば銅等の金属材料を用いて形成可能である。内部層101は、複数の絶縁層と複数の配線層とを有していてもよい。
【0022】
導電性パッド102は、領域R11において内部層101の絶縁層の表面に設けられる。導電性パッド102は、例えば、内部層101の配線層の一つに電気的に接続され、当該配線層を介して半導体パッケージ100に設けられるメモリコントローラ11、NANDメモリ12、DRAM13等の電子部品に電気的に接続される。
【0023】
導電性パッド103は、領域R12において内部層101の絶縁層の表面に設けられる。導電性パッド103は、例えば、内部層101の配線層の他の一つに電気的に接続され、当該配線層を介して、接地電圧を供給する配線に接続される。
【0024】
導電性パッド102および導電性パッド103は、絶縁層104から露出する。半導体パッケージ100は、複数の導電性パッド102と複数の導電性パッド103とを有する。導電性パッド102および導電性パッド103は、例えば、導電性パッド102および導電性パッド103を覆うように内部層101の上に絶縁層104を形成し、その後絶縁層104を部分的にエッチングすることにより、絶縁層104から露出可能である。
【0025】
絶縁層104は、内部層101の表面に設けられる。絶縁層104は、導電性パッド102および導電性パッド103の表面の一部に接していてもよい。絶縁層104の例は、ソルダーレジスト層等を含む。
【0026】
配線基板200の例は、プリント配線板(PWB)等を含む。
図2および
図3に示すように、配線基板200は、表面200aを有する。表面200aは、配線基板200の露出面である。表面200aは、領域R21と、領域R22と、を有する。領域R21は、X-Y平面において、領域R22の内側に設けられる。領域R21は、例えば、X-Y平面において、領域R22に囲まれる。領域R22は、X-Y平面において、領域R21の外側に設けられる。領域R22は、例えば、X-Y平面において、領域R21の周りに設けられ、領域R21を囲む。
【0027】
配線基板200の構造例について
図4を参照してさらに説明する。配線基板200は、内部層201と、導電性パッド202と、導電性パッド203と、絶縁層204と、を有する。
【0028】
内部層201は、絶縁層および配線層が交互に積層された積層である。絶縁層の例は、例えばガラスクロス、ガラス基板、セラミック基板、ガラスエポキシ基板、プリプレグ等の絶縁体や、ソルダーレジスト層等の絶縁樹脂層を含む。配線層は、例えば銅等の金属材料を用いて形成可能である。
【0029】
導電性パッド202は、領域R21において内部層201の絶縁層の表面に設けられる。導電性パッド202は、例えば、内部層201の配線層に電気的に接続され、当該配線層を介して電源電圧や電気信号を供給するための端子に接続される。
【0030】
導電性パッド203は、領域R22において内部層201の絶縁層の表面に設けられる。導電性パッド203は、例えば、内部層201の配線層の他の一つに電気的に接続され、当該配線層を介して、接地電圧を供給するための端子に接続される。
【0031】
導電性パッド202および導電性パッド203は、絶縁層204から露出する。配線基板200は、複数の導電性パッド202と複数の導電性パッド203とを有する。導電性パッド202および導電性パッド203は、例えば、導電性パッド202および導電性パッド203を覆うように内部層201の上に絶縁層204を形成し、その後絶縁層204を部分的にエッチングすることにより、絶縁層204から露出可能である。
【0032】
絶縁層204は、内部層201の表面に設けられる。絶縁層204は、導電性パッド202および導電性パッド203の表面の一部に接していてもよい。絶縁層204の例は、ソルダーレジスト層等を含む。
【0033】
メモリシステム1は、導電性パッド102と導電性パッド202とを接続するはんだボール401を有する。
図2および
図3に示すように、はんだボール401は、例えば、領域R11に配置され、導電性パッド102の表面に設けられる。はんだボール401は、例えば、X-Y平面において、円形を有していてもよい。はんだボール401のZ軸方向の最大直径は、例えば、100μm以上300μm以下である。はんだボール401のX軸方向またはY軸方向の最大直径は、300μm以上550μm以下である。メモリシステム1は、複数のはんだボール401を有する。はんだボール401は、例えば、錫-銀系、錫-銀-銅系の鉛フリーはんだを用いて形成可能である。はんだボール401により、半導体パッケージ100と配線基板200は接合される。
【0034】
メモリシステム1が表面100aと表面200aとの間に空間Sを有する場合、空間Sは、アンダーフィル樹脂等の樹脂材料で埋められてもよい。空間Sは、例えば、複数のはんだボール401の間に延在する。
【0035】
熱伝導体300は、領域R12と領域R22との間に設けられ、領域R12および領域R22のそれぞれと接触する。換言すれば、熱伝導体300は、半導体パッケージ100と配線基板200の間に設けられ、半導体パッケージ100と配線基板200のそれぞれと接触する。熱伝導体300は、導電性パッド103と接触する表面300aと、導電性パッド203と接触する表面300bと、を有する。熱伝導体300の形状は、特に限定されないが、例えば、X-Y平面において、開口301を有する矩形状である。開口301は、Z軸方向から見て領域R11と重なり、Z軸方向に熱伝導体300を貫通する。よって、熱伝導体300は、熱伝導体300は、配線基板200の厚さ方向(Z軸方向)から見たときに領域R11と重ならず、領域R11に接していない。はんだボール401は、例えば開口301の内側に配置され、開口301において、導電性パッド102と導電性パッド202とを接続する。
【0036】
熱伝導体300は、グラファイトを有する。熱伝導体300は、メモリシステム1の使用温度範囲において、400W/m・K以上の熱伝導率を有する。使用温度範囲は、例えば、-40℃以上105℃以下である。上記熱伝導率の上限は、例えば、1000W/m・K以下である。熱伝導体300の厚さは、例えば、はんだボール401のZ軸方向の最大直径よりも小さい。熱伝導体300の厚さは、例えば、70μm以上100μm以下である。上記使用温度範囲において、熱伝導体300の電気伝導率は、例えば、1×105S/m以上5×106S/m以下である。
【0037】
熱伝導体300の例は、Graphite Thermal Interface Material(Graphite TIM(登録商標))等を含む。Graphite TIMは、Z軸向に積層された複数のグラフェン層を含む多層グラフェンを有するグラファイト製シートである。各グラフェン層は、X-Y平面に沿って炭素六員環で形成された二次元構造を有する。Graphite TIMは、上記使用温度範囲において、例えば、アンダーフィル樹脂の熱伝導率やシリコーン製のTIMの熱伝導率よりも高い400W/m・K以上1000W/m・K以下の熱伝導率を有する。
【0038】
半導体パッケージ100と配線基板200とを複数のはんだボール401により接続する場合、X-Y平面において、半導体パッケージ100と配線基板200との接触は点接触である。これにより、半導体パッケージ100と配線基板200との間に空気層が存在ため、大きな熱抵抗が形成され、半導体パッケージ100から配線基板200に熱を逃がしにくくなる。
【0039】
本構造例では、X-Y平面において、複数のはんだボール401が表面100aおよび表面200aに接触する領域の総面積よりも、熱伝導体300が表面100aとおよび表面200aに接触する領域の総面積を大きくすることが容易である。換言すれば、半導体パッケージ100と配線基板200との間に熱伝導体300を設けることにより、複数のはんだボール401による半導体パッケージ100と配線基板200との総接触面積よりも、熱伝導体300による半導体パッケージ100と配線基板200との総接触面積を大きくすることが可能である。例えば、X-Y平面において、熱伝導体300の面積を、複数のはんだボール401の総面積の25倍以上にすることができる。
【0040】
熱伝導体300は、空気層の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する。半導体パッケージ100と配線基板200との空気層を熱伝導体300で埋めることにより、半導体パッケージ100から配線基板200に熱を逃がしやすくできる。
【0041】
次に、メモリシステム1の第1の構造例の製造方法例について
図5および
図6を参照して説明する。
図5および
図6は、第1の構造例の製造方法例を説明するための模式図である。
図5および
図6は、メモリシステム1の斜視図を示す。
【0042】
第1の構造例の製造方法例では、
図5に示すように、半導体パッケージ100と、配線基板200と、熱伝導体300と、を準備する。半導体パッケージ100、配線基板200、および熱伝導体300は、Z軸方向に重なるように配置される。
【0043】
次に、半導体パッケージ100と、配線基板200と、を熱伝導体300を挟んで積層することにより、
図6に示すように、積層体1aを形成する。このとき、熱伝導体300は、
図2ないし
図4に示すように、表面100aの導電性パッド103および表面200aの導電性パッド203のそれぞれと接触するように配置され、半導体パッケージ100と配線基板200との間で固定される。また、はんだボール401は、
図4に示すように、表面100aの導電性パッド102および表面200aの導電性パッド202のそれぞれと接触するように配置される。その後、
図6に示す積層体1aを加熱して、はんだボール401をリフロー加工し、はんだボール401を溶かすことにより半導体パッケージ100と配線基板200とを接合する。リフロー後、半導体パッケージ100と配線基板200の間隙は、熱伝導体300を挟んで固定するのに十分な狭さとなる。間隙は、例えば160μmである。以上の工程により、メモリシステム1を製造できる。
【0044】
以上のように、メモリシステム1の第1の構造例は、半導体パッケージ100と配線基板200との間に熱伝導体300を有することにより、X-Y平面において、複数のはんだボール401の総面積よりも放熱面積を大きくすることができる。よって、メモリシステム1の放熱性を向上できる。
【0045】
また、上記構造例は、半導体パッケージ100と配線基板200とを接合するために、はんだボールを使用する例を示す。このとき、熱伝導体300は、半導体パッケージ100と配線基板200に挟まれて固定される。しかし、はんだボールを使用する方法以外の方法で半導体パッケージ100と配線基板200を接合する場合、例えばアンダーフィルやコーナーフィル、コーナーボンド等の接着剤を用いて、半導体パッケージ100および配線基板200の間に熱伝導体300を固定してもよい。
【0046】
(メモリシステム1の第2の構造例)
メモリシステム1の構造例は、第1の構造例に限定されない。
図7、
図8、
図9は、メモリシステム1の第2の構造例を示す模式図である。
図7は、メモリシステム1のX-Z断面の一部を示す。
図8は、メモリシステム1のX-Y平面の一部を示す。
図9は、
図7に示すメモリシステム1のX-Z断面の一部を拡大した図である。
【0047】
第2の構造例は、第1の構造例と比較して、X-Y平面において、熱伝導体300が半導体パッケージ100からはみ出して延在し、熱伝導体300がネジ500により配線基板200に固定される構成が異なる。以下では、第2の構造例の、第1の構造例とは異なる部分について説明する。第1の構造例と同じ部分については、第1の構造例の説明を適宜援用できる。
【0048】
熱伝導体300は、X-Y平面において、半導体パッケージ100の外側にはみ出すように延在する。熱伝導体300は、熱伝導体300のはみ出し部および配線基板200をZ軸方向に貫通するネジ500により配線基板200に固定される。
【0049】
ネジ500は、領域R12および領域R22において、内部層201および絶縁層204をZ軸方向に貫通する。ネジ500は、例えば金属を含む。第2の構造例は、複数のネジ500を有する。複数のネジ500は、例えば、X-Y平面において、熱伝導体300の周縁に沿って半導体パッケージ100とZ軸方向で重ならない部分に設けられる。ネジ500の数は、
図8に示す6個に限定されない。
【0050】
以上により、第2の構造例では、X-Y平面において、熱伝導体300が表面100aおよび表面200aにそれぞれ接触する領域の総面積を、第1の構造例の上記領域の総面積よりも大きくすることが容易である。換言すれば、熱伝導体300による半導体パッケージ100と配線基板200との総接触面積を第1の構造例の上記総接触面積よりも大きくすることが可能である。
【0051】
熱伝導体300は、空気層の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有している。半導体パッケージ100と配線基板200との間の空気層を熱伝導体300で埋めることにより、半導体パッケージ100から配線基板200に熱を逃がしやすくできる。
【0052】
次に、メモリシステム1の第2の構造例の製造方法例について説明する。第2の構造例の製造方法例では、第1の構造例の製造方法例と同様に、半導体パッケージ100と、配線基板200と、熱伝導体300と、を準備する。次に、熱伝導体300を挟むように、半導体パッケージ100と配線基板200とを積層して積層体1aを形成する。次に、積層体1aを加熱してはんだボール401をリフロー加工し、はんだボール401を溶かすことにより半導体パッケージ100と配線基板200とを接合する。その後ネジ500を用いて熱伝導体300を配線基板200に固定する。熱伝導体300および配線基板200にネジ500のための開口を予め形成してもよい。以上の工程により、メモリシステム1を製造できる。
【0053】
以上のように、メモリシステム1の第2の構造例では、第1の構造例と同様に、半導体パッケージ100と配線基板200との間に熱伝導体300を有することにより、X-Y平面において、複数のはんだボール401の総面積よりも放熱面積を大きくすることができる。よって、メモリシステム1の放熱性を向上できる。
【0054】
さらに、第2の構造例では、ネジ500が熱伝導体300および配線基板200を貫通することにより、熱伝導体300から配線基板200に熱を逃がしやすくできる。よって、メモリシステム1の放熱性をさらに向上できる。
【0055】
(メモリシステム1の第3の構造例)
メモリシステム1の構造例は、第1の構造例および第2の構造例に限定されない。
図10、
図11、
図12は、メモリシステム1の第3の構造例を示す模式図である。
図10は、メモリシステム1のX-Z断面の一部を示す。
図11は、メモリシステム1のX-Y平面の一部を示す。
図12は、
図10に示すX-Z断面の一部を拡大した図である。
【0056】
第3の構造例は、第1の構造例と比較して、熱伝導体300が開口302を有し、開口302の内側にはんだボール402が配置される点が異なる。これにより、第3の構造例は導電性パッド103と導電性パッド203とを接続する構成が、第1の構造例とは異なる。以下では、第3の構造例の第1の構造例と異なる部分について説明する。第1の構成例と同じ部分については、第1の構造例の説明を適宜援用できる。
【0057】
熱伝導体300は、開口302をさらに有する。開口302は、X-Y平面において、領域R22と重なり、Z軸方向に熱伝導体300を貫通する。熱伝導体300は、複数の開口302を有する。複数の開口302は、X-Y平面において、熱伝導体300の開口301の外周に沿って半導体パッケージ100とZ軸方向で重ならない部分に設けられる。開口302の数は、
図11に示す数に限定されない。
【0058】
メモリシステム1は、導電性パッド103と導電性パッド203とを接続するはんだボール402をさらに有する。はんだボール402は、例えば、導電性パッド103の表面に設けられる。はんだボール402は、
図12に示すように、開口302の内部に設けられ、導電性パッド103および導電性パッド203のそれぞれと接触する。はんだボール402は、例えば、X-Y平面において、円形を有していてもよい。はんだボール402のZ軸方向の最大厚さは、例えば、100μm以上200μm以下である。はんだボール402のX軸方向またはY軸方向の最大幅は、300μm以上450μm以下である。メモリシステム1は、複数のはんだボール402を有する。はんだボール402は、例えば、錫-銀系、錫-銀-銅系の鉛フリーはんだを用いることができ、はんだボール401と同一工程により形成可能である。
【0059】
X-Y平面において、開口302の直径は、はんだボール402の直径よりも大きいことが好ましい。これにより、はんだボール402を開口302の内壁面から離すことができ、はんだボール402と熱伝導体300との短絡を防止できる。
【0060】
熱伝導体300は、半導体パッケージ100と配線基板200との間で、はんだボール402によって領域R12に接して固定される。熱伝導体300は、配線基板200の厚さ方向(Z軸方向)から見たときに領域R11と重ならない。
【0061】
以上により、第3の構造例ではX-Y平面において、熱伝導体300による半導体パッケージ100および配線基板200との接触面積を増やすことが可能である。よって、半導体パッケージ100と配線基板200との間の空気層を熱伝導体300で埋めることにより、半導体パッケージ100から配線基板200に熱を逃がしやすくできる。また、はんだボール402を設けることにより、第1の構造例よりも熱伝導体300を安定して固定することが可能である。
【0062】
次に、メモリシステム1の第3の構造例の製造方法例について説明する。第3の構造例は、第1の構造例の製造方法例と同様に、半導体パッケージ100と、配線基板200と、熱伝導体300と、を準備する。次に、熱伝導体300を挟むように、半導体パッケージ100と配線基板200とを積層して積層体1aを形成する。次に、積層体1aを加熱してはんだボール401およびはんだボール402をリフロー加工し、はんだボール401およびはんだボール402を溶かすことにより半導体パッケージ100と配線基板200とを接合する。以上の工程により、メモリシステム1を製造できる。
【0063】
以上のように、第3の構造例では、第1の構造例と同様に、半導体パッケージ100と配線基板200との間に熱伝導体300を有することにより、X-Y平面において、複数のはんだボール401の総面積よりも放熱面積を大きくすることができる。よって、メモリシステム1の放熱性を向上できる。
【0064】
さらに、第3の構造例では、はんだボール401に加え、はんだボール402により半導体パッケージ100と配線基板200とを接合する。これにより、熱伝導体300のずれを抑制できる。
【0065】
第3の構造例は、第1の構造例および第2の構造例と適宜組み合わせることができる。例えば、X-Y平面において、熱伝導体300が半導体パッケージ100からはみ出して延在し、熱伝導体300がネジ500により配線基板200に固定されてもよい。ネジ500が熱伝導体300および配線基板200を貫通することにより、熱伝導体300から配線基板200に熱を逃がしやすくできる。よって、メモリシステム1の放熱性をさらに向上できる。
【0066】
(メモリシステムを有する半導体モジュールの構成例)
次に、半導体装置の一例である、メモリシステム1を有する半導体モジュールの構成例について説明する。
図13、
図14は、メモリシステム1を有する半導体モジュール10の構成例を示す模式図である。
図13は、半導体モジュール10の斜視図を示す。
図14は、半導体モジュール10のX-Z断面の一部を拡大した図を示す。
【0067】
半導体モジュール10は、半導体パッケージ100と、配線基板200と、熱伝導体300と、を有するメモリシステム1と、回路基板600と、を有する。
図13は、マルチチップ構造を有する半導体モジュール10の例を示す。
【0068】
半導体モジュール10は、複数の半導体パッケージ100を有する。複数の半導体パッケージ100は、複数の熱伝導体300を挟んで配線基板200の上に設けられる。複数の半導体パッケージ100は、それぞれ
図1に示すメモリコントローラ11と、NANDメモリ12と、DRAM13を有する。
図14は、メモリシステム1の第1の構造例の熱伝導体300を一例として図示するが、これに限定されず、メモリシステム1の第2の構造例、第3の構造例の熱伝導体300のいずれかを半導体モジュール10に適用してもよい。
【0069】
配線基板200は、回路基板600の上に設けられ、回路基板600に設けられた接続部601における接続端子より回路基板600に電気的に接続される。回路基板600の例は、マザーボード等を含む。回路基板600は、中央演算ユニット(CPU)等の演算装置を有してもよい。
【0070】
半導体パッケージ100、配線基板200、熱伝導体300のその他の説明は、メモリシステム1の第1の構造例ないし第3の構造例における半導体パッケージ100、配線基板200、熱伝導体300の説明を適宜援用できる。
【0071】
メモリシステムを有する半導体モジュールでは、メモリシステム1の第1の構造例ないし第3の構造例のいずれかを適用して半導体パッケージ100と配線基板200との間に熱伝導体300を有することにより、X-Y平面において、複数のはんだボール401の総面積よりも放熱面積を大きくすることができる。よって、半導体モジュールの放熱性を向上できる。
【0072】
(車両に搭載される半導体モジュールの構成例)
次に、車両に搭載される半導体モジュールの構成例について説明する。
図15は、半導体モジュール10を有する車両の構成例を示す模式図である。
図15は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車の例を示す。
【0073】
自動車700は、電子制御ユニット(ECU)701を有する。ECU701は、自動車700の各機能を電子制御することができる。ECU701は、例えばPCI Express(PCIe:登録商標)の拡張機能である、Single Root I/O Virtualization(SR-IOV)機能を使用する。ECU701は、半導体モジュール10を有する。
【0074】
自動車700は、複数のECU701を有する。複数のECU701は、例えばエンジンを制御するECU、車体を制御するECU、先進運転支援システムを制御するECU、パワートレインを制御するECU、車載インフォテインメント(IVI)や運転席を制御するECU等を含む。複数のECU701は、例えば自動車700の座席の下部に設けられることが好ましい。
【0075】
自動車700に設けられた半導体モジュール10は、例えば気温の上昇により高温環境下に曝されやすい。このため、ECU701のサーマルスロットリングがなるべく作動しないように、半導体パッケージ100の放熱性を向上させることが好ましい。そこで、第1の構造例ないし第3の構造例のいずれかのメモリシステム1を有する半導体モジュール10をECU701のストレージとして用いることにより、例えばECU701の放熱性を向上できる。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1…メモリシステム、1a…積層体、2…ホスト装置、10…半導体モジュール、11…メモリコントローラ、12…NANDメモリ、13…DRAM、100…半導体パッケージ、100a…表面、101…内部層、102…導電性パッド、103…導電性パッド、104…絶縁層、200…配線基板、200a…表面、201…内部層、202…導電性パッド、203…導電性パッド、204…絶縁層、300…熱伝導体、300a…表面、300b…表面、301…開口、302…開口、401…はんだボール、402…はんだボール、500…ネジ、600…回路基板、601…接続部、700…自動車、701…ECU、R11…領域、R12…領域、R21…領域、R22…領域、S…空間。