(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168124
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20241128BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G03G15/08 310
G03G15/08 322A
G03G21/00 512
G03G15/08 221
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084555
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】吉根 昭夫
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AA01
2H077AB03
2H077AB12
2H077AB14
2H077AC04
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD17
2H077CA19
2H077DA15
2H077DA16
2H077DA20
2H077DA76
2H077DB08
2H077DB10
2H077DB18
2H077DB25
2H270LA91
2H270MA13
2H270MA40
2H270MA41
2H270MB09
2H270MB25
2H270MB32
2H270MB39
2H270MB41
2H270MB43
2H270MB55
2H270MC29
2H270MC33
2H270MD10
2H270MH06
2H270QB07
2H270QB08
2H270QB09
2H270RA10
2H270RB01
2H270RC01
2H270RC05
2H270RC10
2H270RC13
2H270RC14
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】現像剤収容体の取り外し時の現像剤の飛散を抑制する。
【解決手段】画像形成装置(1)は、像担持体(11)を有する画像形成部(20)と、画像形成部(20)に着脱可能に設けられた現像剤収容体(30)とを有して画像を形成する画像形成ユニット(10)と、画像形成ユニット(10)内のトナー残量を検出する現像剤量検出部(40)と、画像形成ユニット(10)を制御する制御部(101)とを備える。制御部(101)は、現像剤量が規定量未満であることが現像剤量検出部(40)によって検出された場合に、画像形成部(20)内の現像剤を像担持体(11)に移動させて廃棄する現像剤廃棄動作を実行する。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体を有する画像形成部と、前記画像形成部に着脱可能に設けられた現像剤収容体とを有し、画像を形成する画像形成ユニットと、
前記画像形成ユニット内の現像剤量を検出する現像剤量検出部と、
前記画像形成ユニットを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記現像剤量が規定量未満であることが前記現像剤量検出部によって検出された場合に、前記画像形成部内の現像剤を前記像担持体に移動させて廃棄する現像剤廃棄動作を実行する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像剤量が第1の規定量未満であることを前記現像剤量検出部によって検出した場合には、前記制御部は第1の現像剤廃棄動作を実行し、
前記現像剤量が前記第1の規定量よりも小さい第2の規定量未満であることを前記現像剤量検出部によって検出した場合には、前記制御部は第2の現像剤廃棄動作を実行し、
前記第2の現像剤廃棄動作における現像剤の廃棄量は、前記第1の現像剤廃棄動作における現像剤の廃棄量よりも多い
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の現像剤廃棄動作は、前記像担持体に、現像剤による第1の廃棄パターンを形成することによって行われ、
前記第2の現像剤廃棄動作は、前記像担持体に、現像剤による第2の廃棄パターンを形成することによって行われ、
前記第1の廃棄パターンの印刷デューティは、前記第2の廃棄パターンの印刷デューティよりも高い
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部には、回転軸を中心として回転する供給部材が設けられ、
前記供給部材は、前記回転軸の軸方向の中央部の外径が、前記軸方向の端部の外径よりも大きく、
前記現像剤廃棄動作では、前記画像形成部の前記軸方向の中央部の現像剤を、前記軸方向の端部の領域よりも多く廃棄する
ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像剤廃棄動作は、前記像担持体に、現像剤による廃棄パターンを形成することによって行われ、
前記廃棄パターンは、前記軸方向の中央部の印刷デューティが、前記軸方向の端部の印刷よりも高い
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部には、回転軸を中心として回転する供給部材が設けられ、
前記供給部材は、前記回転軸の軸方向の中央部の外径が、前記軸方向の端部の外径よりも大きく、
前記現像剤廃棄動作では、前記画像形成部の前記軸方向の中央部の現像剤を、前記軸方向の端部の領域よりも多く廃棄する
ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像剤廃棄動作は、前記像担持体に、現像剤による廃棄パターンを形成することによって行われ、
前記廃棄パターンは、前記軸方向の端部の印刷デューティが、前記軸方向の中央部の印刷よりも高い
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記現像剤廃棄動作において、前記像担持体を印刷動作における前記像担持体の駆動速度よりも低速で駆動する
ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、印刷ジョブに基づく印刷動作を終了したのち、前記現像剤量検出部による現像剤量の検出および前記現像剤廃棄動作を実行する
ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記現像剤量が規定量未満であることが前記現像剤量検出部によって検出された場合に、表示部に前記現像剤収容体の交換を促すメッセージを表示した後、前記現像剤廃棄動作を実行する
ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記現像剤量が規定量未満であることが前記現像剤量検出部によって検出された場合に、表示部に前記現像剤収容体の交換を促すメッセージを表示する前に、前記現像剤廃棄動作を実行する
ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、画像形成装置の起動後、印刷ジョブに基づく印刷動作を実行する前に、前記現像剤廃棄動作を実行する
ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法を用いた画像形成装置は、像担持体を有する画像形成部と、画像形成部に着脱可能に取り付けられた現像剤収容体とを有する。現像剤収容体は、開口部である供給口と、これを開閉する開閉部材とを有する。画像形成部は、現像剤収容体の供給口から供給された現像剤を受け入れる受入口を有する。
【0003】
例えば特許文献1には、画像形成部の受入口の周囲に、現像剤の漏れを防止するためのスポンジ部材を設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-96422号公報(
図5参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現像剤収容体を画像形成部から取り外す際に、画像形成部内の現像剤が開閉部材に付着して周囲に飛散し、画像形成部あるいは記録媒体を汚す可能性がある。
【0006】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、現像剤収容体の取り外し時の現像剤の飛散を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の画像形成装置は、像担持体を有する画像形成部と、画像形成部に着脱可能に設けられた現像剤収容体とを有し、画像を形成する画像形成ユニットと、画像形成ユニット内の現像剤量を検出する現像剤量検出部と、画像形成ユニットを制御する制御部とを備える。制御部は、現像剤量が規定量未満であることが現像剤量検出部によって検出された場合に、画像形成部内の現像剤を像担持体に移動させて廃棄する現像剤廃棄動作を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本開示では、現像剤量が規定量未満である場合に現像剤廃棄動作が実行され、画像形成部内の現像剤が減少する。そのため、現像剤収容体の取り外し時に、画像形成部内の現像剤が現像剤収容体に付着して周囲に飛散することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1の画像形成装置の基本構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1の画像形成ユニットを示す断面図である。
【
図3】実施の形態1のトナーカートリッジを示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1の画像形成部を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態1のトナーカートリッジの画像形成部に対する着脱動作を示す断面図である。
【
図6】実施の形態1の供給ローラの形状の例を示す図(A),(B)である。
【
図7】実施の形態1の残量検出部の構成を示す模式図(A),(B),(C)である。
【
図8】実施の形態1の残量検出部の動作を示す模式図(A)~(G)である。
【
図9】実施の形態1の画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態1の供給ローラの表面のトナーの移動状態を説明するための模式図(A),(B)である。
【
図11】供給ローラがクラウン形状を有する場合のトナー受入口の近傍のトナーの堆積状況を示す模式図(A),(B)である。
【
図12】供給ローラが逆クラウン形状を有する場合のトナー受入口の近傍のトナーの堆積状況を示す模式図(A),(B)である。
【
図13】比較例のトナーカートリッジ取り外し時のトナー受入口の近傍のトナーの状態を説明するための模式図(A),(B),(C)である。
【
図14】一般的なトナー廃棄動作で用いる廃棄パターンを示す図である。
【
図15】実施の形態1のトナー廃棄動作A,Bで用いるパターンを示す図(A),(B)である。
【
図16】実施の形態1のトナー廃棄動作A,Bで用いるパターンを示す図(A),(B)である。
【
図17】実施の形態1の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図18】
図17のステップS19,S20で表示されるメッセージの例を示す図(A),(B)である。
【
図19】実施の形態1におけるトナーカートリッジ取り外し時のトナー受入口の近傍のトナーの状態を説明するための模式図(A),(B),(C)である。
【
図20】変形例1の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図21】変形例2の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
<画像形成装置1の構成>
まず、実施の形態1の画像形成装置1の全体構成について説明する。
図1は、画像形成装置1を示す図である。
図1に示す画像形成装置1は、電子写真プロセスを利用して画像を形成するものであり、ここでは電子写真プリンタである。
【0011】
画像形成装置1は、印刷用紙等の記録媒体Mを供給する媒体供給部60と、画像を形成する画像形成ユニット10と、記録媒体Mに画像を定着する定着装置70と、記録媒体Mを排出する媒体排出部80と、これらを収容する装置筐体1Aとを備える。
【0012】
媒体供給部60は、媒体カセット61と、ピックアップローラ62と、フィードローラ63と、リタードローラ64と、レジストローラ65と、搬送ローラ66とを有する。
【0013】
媒体カセット61は、印刷用紙等の記録媒体Mを積層状態で収容する。ピックアップローラ62は、媒体カセット61から記録媒体Mを一枚ずつ引き出す。フィードローラ63およびリタードローラ64は、引き出された記録媒体Mを一枚ずつ分離して搬送路P1に送り出す。
【0014】
レジストローラ65は、搬送路P1に送り出された記録媒体Mのスキューを矯正してさらに搬送する。搬送ローラ66は、レジストローラ65から搬送された記録媒体Mを、搬送路P2に沿って画像形成ユニット10まで搬送する。
【0015】
図2は、画像形成ユニット10の内部構成を示す断面図である。
図2に示すように、画像形成ユニット10は、画像形成部20と、現像剤収容体(または現像剤カートリッジ)としてのトナーカートリッジ30とを有する。
【0016】
画像形成部20は、像担持体としての感光体ドラム11と、帯電部材としての帯電ローラ12と、現像剤担持体としての現像ローラ14と、供給部材としての供給ローラ15と、層規制部材としての規制ブレード16と、クリーニング部材17とを有する。
【0017】
感光体ドラム11は、導電性支持体の表面に感光層を有する円筒状の部材である。感光層は、電荷発生層と電荷輸送層との積層体である。感光体ドラム11は、矢印で示す方向に回転する。
【0018】
感光体ドラム11に対向するように、露光装置としての印刷ヘッド13(
図1)が配置されている。印刷ヘッド13は、発光素子としてのLED(発光ダイオード)を一方向に配列したLEDアレイと、レンズ要素を同方向に配列したレンズアレイとを有し、感光体ドラム11の表面に光を照射して静電潜像を形成する。印刷ヘッド13は、装置筐体1Aの上部を覆うトップカバー1Bに懸架されて支持されている。
【0019】
帯電ローラ12は、感光体ドラム11の表面に接触するように配置され、感光体ドラム11に追従して回転する。帯電ローラ12は、金属製のシャフト(芯金)と、シャフトの表面に形成された弾性層と、弾性層の表面に形成された表面層とを有する。帯電ローラ12は帯電電圧を印加され、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる。
【0020】
現像ローラ14は、感光体ドラム11の表面に接触するように配置され、感光体ドラム11とは逆方向(接触部での表面の移動方向が順方向となる方向)に回転する。現像ローラ14は、金属製のシャフト(芯金)14bと、シャフト14bの表面に形成された弾性層14aとを有する。弾性層14aは、例えば、シリコーンゴム、ウレタン等の弾性体で構成されている。現像ローラ14は現像電圧を印加され、感光体ドラム11の表面の静電潜像をトナーにより現像する。
【0021】
供給ローラ15は、現像ローラ14の表面に接触するように配置され、現像ローラ14と同方向(接触部での表面の移動方向が逆方向となる方向)に回転する。供給ローラ15は、金属製のシャフト(芯金)15bと、シャフト15bの表面に形成された弾性層15aとを有する。弾性層15aは、例えば、シリコーンゴム等の発泡性の弾性体で形成されている。
【0022】
規制ブレード16は、金属製の板状部材を屈曲させたブレードであり、その屈曲部を現像ローラ14の表面に押し当てている。規制ブレード16は、現像ローラ14の表面のトナー層(現像剤層)の厚さを規制する。
【0023】
クリーニング部材17は、例えば、感光体ドラム11の表面に当接するように配置された樹脂製のブレードまたはローラである。クリーニング部材17は、後述するトナー像の転写後に、感光体ドラム11の表面に残ったトナーを除去する。
【0024】
クリーニング部材17の下側には、感光体ドラム11の表面から除去されたトナーを画像形成部20の外部に搬送する廃トナー搬送部19が設けられている。廃トナー搬送部19によって画像形成部20の外部に搬送されたトナーは、図示しない廃トナー収容部に搬送される。廃トナー収容部は、画像形成ユニット10内に設けてもよく、トナーカートリッジ30内に設けてもよい。
【0025】
図1に示すように、感光体ドラム11の表面に接触するように、転写部としての転写ローラ18が配置されている。転写ローラ18は、金属製のシャフトと、シャフトの表面に形成された半導電性の弾性体層とを有する。転写ローラ18は転写電圧を印加され、感光体ドラム11の表面のトナー像を、感光体ドラム11と転写ローラ18との間を通過する記録媒体Mに転写する。
【0026】
定着装置70は、記録媒体Mの搬送方向において画像形成ユニット10の下流側に配置されている。感光体ドラム11と転写ローラ18との間を通過した記録媒体Mは、感光体ドラム11の回転によって定着装置70に搬送される。
【0027】
定着装置70は、定着ローラ71と、加圧ローラ72とを有する。定着ローラ71はハロゲンランプ等のヒータを内蔵し、加圧ローラ72は定着ローラ71に圧接される。定着ローラ71および加圧ローラ72は、両者の間を通過する記録媒体Mに熱および圧力を加え、トナー像を記録媒体Mに定着させる。
【0028】
媒体排出部80は、定着装置70を通過した記録媒体Mを搬送路P3に沿って搬送し、排出口83から排出する排出ローラ81および排出ローラ82を有する。トップカバー1Bには、排出口83から排出された記録媒体Mを載置するスタッカ部84が形成されている。
【0029】
また、画像形成装置1には、両面印刷のため、表面にトナー像が定着した記録媒体Mを反転させて搬送ローラ66まで搬送(再搬送)する再搬送部90を備えてもよい。この場合、搬送路P3から分岐する再搬送路P4と、搬送方向を切り替えるセレクタ91とが設けられる。
【0030】
再搬送時には、排出ローラ81,82が正転して記録媒体Mを搬送路P3に一旦引き込み、反転して記録媒体Mを搬送路P3から送り出す。セレクタ91は、搬送路P3から送り出された記録媒体Mを、再搬送路P4に案内する。再搬送路P4に沿って搬送ローラ92,93,94,95が配置され、記録媒体Mを再搬送路P4に沿って搬送する。再搬送路P4は、搬送ローラ66の上流側で搬送路P1と合流する。
【0031】
図1において、感光体ドラム11の軸方向を、X方向(主走査方向)とする。X方向は、画像形成装置1内の各ローラの軸方向であり、印刷ヘッド13の発光素子の配列方向でもある。記録媒体Mが画像形成ユニット10を通過するときの記録媒体Mの移動方向を、Y方向とする。X方向とY方向に直交する方向を、Z方向とする。ここでは、Z方向は上下方向である。
【0032】
画像形成装置1は、画像形成ユニット10により単色画像を形成するように構成されているが、このような構成に限定されるものではない。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の複数の画像形成ユニットを記録媒体Mの搬送方向に配列し、カラー画像を形成するように構成してもよい。
【0033】
<画像形成部20およびトナーカートリッジ30の構成>
図2に示すように、画像形成部20は、その筐体21の内部に、現像剤貯蔵部としてのトナー貯蔵部22を有する。トナー貯蔵部22には、上述した現像ローラ14、供給ローラ15および規制ブレード16が配置される。
【0034】
筐体21の上部には、トナーカートリッジ30が装着されるカートリッジ装着部23が形成されている。カートリッジ装着部23には、トナーカートリッジ30から供給されたトナーを受け入れる受入口としてのトナー受入口24が形成されている。トナー受入口24の周囲には、トナー漏れを防止するためのシール部材26(
図4)が配置されている。シール部材26は、例えばスポンジで形成されている。
【0035】
トナーカートリッジ30は、筐体(アウタカートリッジ)31を有し、筐体31の内側には、トナーが収容される現像剤収容部としてのトナー収容室32が形成される。筐体31の底部31aには、供給口としてのトナー供給口34が形成されている。トナー供給口34は、画像形成部20のトナー受入口24に対向する位置に形成されている。
【0036】
トナー収容室32には、トナー供給口34を開閉する開閉部材としてのシャッタ33が設けられている。シャッタ33は、X方向を軸方向とする略円筒状であり、X方向の中心軸を中心として回転可能に設けられている。
【0037】
トナー収容室32には、また、トナーを撹拌する撹拌バー35,36が配置されている。撹拌バー35はシャッタ33の内側に配置され、撹拌バー36はシャッタ33に隣接して配置されている。撹拌バー35,36はいずれも、X方向の中心軸を中心として回転可能である。
【0038】
トナーカートリッジ30が画像形成部20に取り付けられた状態では、シャッタ33がトナー供給口34を開放している。トナー供給口34が開放されることにより、トナーカートリッジ30のトナー収容室32と、画像形成部20のトナー貯蔵部22とが連通する。
【0039】
図3は、トナーカートリッジ30を示す斜視図である。トナーカートリッジ30の筐体31は、X方向の両端部にサイドカバー37を有する。各サイドカバー37には、画像形成部20の後述するガイドレール28(
図4)に係合するスライド部301が形成されている。トナーカートリッジ30を画像形成部20に対して着脱する際には、スライド部301がガイドレール28に案内される。
【0040】
各サイドカバー37には円形の開口部302が形成されており、開口部302から、シャッタ33(
図2)のX方向両端部に設けられた嵌合部303がX方向に突出している。嵌合部303の溝部には、画像形成部20の後述する支持ポスト202が嵌合する。また、トナーカートリッジ30には、シャッタ33を回転操作するための図示しないレバーが設けられている。
【0041】
図4は、画像形成部20を示す斜視図である。画像形成部20の筐体21は、X方向の両端部にサイドプレート27を有する。各サイドプレート27には、トナーカートリッジ30のスライド部301(
図3)に係合し、トナーカートリッジ30の着脱を案内するガイドレール28が形成されている。ガイドレール28は、Y方向に対して所定角度傾斜して延在している。
【0042】
各サイドプレート27には、また、トナーカートリッジ30の嵌合部303(
図3)に係合する支持ポスト202が形成されている。支持ポスト202は、X方向を軸方向とする軸部材であり、両サイドプレート27からX方向内側に突出している。
【0043】
図5は、トナーカートリッジ30の画像形成部20に対する着脱動作を示す図である。
図5に示すように、トナーカートリッジ30は、スライド部301(
図3)をガイドレール28に摺接させながら、画像形成部20に装着される。
【0044】
これに伴い、トナーカートリッジ30の嵌合部303(
図3)の溝部に、画像形成部20の支持ポスト202(
図4)が侵入する。ユーザがトナーカートリッジ30の操作レバーを操作すると、シャッタ33と共に嵌合部303が回転し、支持ポスト202が嵌合部303から離脱不能となる。これにより、トナーカートリッジ30が画像形成部20にロックされる。
【0045】
また、トナーカートリッジ30のシャッタ33の回転により、シャッタ33がトナー供給口34を開放し、トナー供給口34と画像形成部20のトナー受入口24とが対向する。これにより、トナーカートリッジ30内のトナーが、トナー供給口34およびトナー受入口24を経て、画像形成部20に供給される。
【0046】
<供給ローラ15>
次に、画像形成部20の供給ローラ15の形状について説明する。
図6(A)は、供給ローラ15の形状の一例を示す図である。
図6(A)に示した例では、供給ローラ15の軸方向(X方向)の中央部の外径D1は、供給ローラ15の軸方向端部の外径D2よりも大きい(D1>D2)。このようにD1>D2となる形状を、クラウン形状と称する。
【0047】
図6(B)は、供給ローラ15の形状の別の例を示す図である。
図6(B)に示した例では、供給ローラ15の軸方向の中央部の外径D1は、供給ローラ15の軸方向端部の外径D2よりも小さい(D1<D2)。このようにD1<D2となる形状を、逆クラウン形状と称する。
【0048】
なお、供給ローラ15の外径D1,D2は、クラウン形状、逆クラウン形状のいずれの場合も、供給ローラ15と現像ローラ14との間の接触圧力がX方向に均一になるように決定される。
【0049】
<残量検出部40>
次に、画像形成部20内のトナー残量(現像剤量)を検出する現像剤量検出部としての残量検出部40について説明する。
図7(A)は、残量検出部40の基本構成を示す図である。
図7(A)に示すように、残量検出部40は、クランクバーである検出バー41と、検出バー41の軸方向の一端に取り付けられた駆動部42と、検出バー41の他端に取り付けられたスリットディスク45とを有する。
【0050】
検出バー41は、X方向を軸方向とする金属棒である。検出バー41は、X方向中央の撹拌部41aと、その両側の軸部41bとを有する。検出バー41の2つの軸部41bは同軸上にあり、検出バー41の回転軸Axを規定している。撹拌部41aは、回転軸Axに対して径方向に変位している。
【0051】
図7(B)は、検出バー41および駆動部42を示す斜視図である。
図7(B)に示すように、駆動部42は、回転軸Axを中心とする円筒状の部材であり、その内側に検出バー41の一方の軸部41bが収容される。
【0052】
また、駆動部42の外周には、駆動ギア43が形成されている。駆動ギア43には、例えば、感光体ドラム11(
図2)に設けられたドラムギアからの回転が伝達される。
【0053】
図7(C)は、駆動部42を示す断面図である。
図7(C)に示すように、駆動部42内に位置する検出バー41の軸部41bには、撹拌部41a(
図7(A))と同じ方向に変位した当接部41cが形成されている。
【0054】
駆動部42の内部には、検出バー41の当接部41cに当接する突起部44が形成されている。駆動部42の回転に従って突起部44が検出バー41の当接部43cと接触してこれを押圧することにより、検出バー41が回転する。
【0055】
また、スリットディスク45には、
図7(A)に示すようにスリット46が設けられている。スリット46は、例えば、回転軸Axを中心とする回転位置が、検出バー41の撹拌部41aの回転位置に対して180度となるように形成されている。
【0056】
駆動部42は、ドラムギアから駆動ギア43への回転伝達によって、回転軸Axを中心として一定速度で回転する。これにより、突起部44が検出バー41を回転方向に押圧し、検出バー41が回転する。検出バー41の回転に伴い、スリットディスク45が回転する。
【0057】
スリットディスク45には、残量検知センサである光学センサ48が対向配置されている。検出バー41が下死点に達したときに、スリットディスク45のスリット46が光学センサ48に対向し、光学センサ48がこれを検知する。
【0058】
図8(A)~(G)は、検出バー41の回転によるトナー残量の検出原理を説明するための模式図である。検出バー41は、上述したドラムギアからの回転伝達により、矢印R1で示す方向(以下、R1方向)に回転する。
【0059】
図8(A)~(C)に示すように、駆動ギア43がR1方向に回転すると、駆動部42の突起部44が検出バー41をR1方向に付勢し、検出バー41がR1方向に回転する。
図8(A)に示した状態では検出バー41が下死点にあり、
図8(C)に示した状態では検出バー41が上死点にある。
【0060】
検出バー41は、
図8(C)の上死点を通過すると、重力により突起部44から離れて落下する。言い換えると、検出バー41は、駆動ギア43に先行してR1方向に回転する。
【0061】
このとき、トナー貯蔵部22内のトナーが検出バー41の回転範囲に達していない場合、すなわちトナー貯蔵部22内のトナー残量がトナーロー(すなわち規定量未満)の場合には、
図8(D)に示すように、検出バー41は上死点から下死点まで一気に落下する。
【0062】
図8(E)に示すように検出バー41が下死点で停止している間に、駆動ギア43の回転によって突起部44が検出バー41に接近する。突起部44が検出バー41に到達すると、
図8(A)に示したように検出バー41は駆動ギア43と共にR1方向に回転する。
【0063】
一方、トナー貯蔵部22内のトナーが検出バー41の回転範囲に達している場合、すなわちトナー貯蔵部22内のトナー残量がトナーローでない場合には、
図8(F)に示すように、検出バー41は下死点までは落下せず、トナーに当接して停止する。
【0064】
その後、駆動ギア43の回転によって突起部44が検出バー41に到達すると、
図8(G)に示すように、検出バー41は駆動ギア43と共にR1方向に回転し、
図8(A)に示したように下死点を通過する。
【0065】
検出バー41が下死点にあるときには、上記の通り、
図7(A)に示した光学センサ48がスリットディスク45のスリット46に対向する。トナー貯蔵部22内のトナー残量がトナーローの場合には、検出バー41が下死点にある時間が最も長くなる。そのため、光学センサ48がスリット46を検出する時間に基づいて、トナー貯蔵部22内のトナー残量がトナーローか否かを判定することができる。
【0066】
なお、残量検出部40は、
図7(A)~
図8(G)を参照して説明した例には限定されず、トナー貯蔵部22内のトナー残量を検出できるものであればよい。例えば、検出バー41を用いずに、トナー貯蔵部22内のトナー残量を光学的に検出してもよい。
【0067】
<制御系>
次に、画像形成装置1の制御系について説明する。
図9は、画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。画像形成装置1は、印刷制御部100と、I/F(インタフェース)制御部102と、受信メモリ103と、画像データ編集メモリ104と、操作パネル105と、残量検出部40(光学センサ48)と、その他のセンサ群106と、電源制御部110と、ヘッド制御部115と、駆動制御部116と、定着駆動制御部117と、定着制御部118と、給紙搬送制御部119とを備える。これらの制御部およびメモリは、電源制御部110を除き、同一の制御基板に搭載することができる。
【0068】
印刷制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成されている。印刷制御部100は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成された記憶部101から所定のプログラムを読み出して実行することにより、画像形成装置1の全体を制御する。
【0069】
受信メモリ103は、上位装置からI/F制御部102を介して入力された印刷データを一時的に記憶する。画像データ編集メモリ104は、受信メモリ103に記憶した印刷データを受け取ると共に、その印刷データを編集処理することによって形成された画像データ、すなわちイメージデータを記録する。
【0070】
操作パネル105は、画像形成装置1の状態を表示するための表示部(例えばLED)と、ユーザが指示を入力するための操作部(例えばスイッチ)とを備える。操作パネル105の表示部には、後述するように、トナーカートリッジ30の交換を促すメッセージ等も表示される。
【0071】
残量検出部40は、上述した通り、トナー貯蔵部22内のトナー残量を検知する。残量検出部40の光学センサ48(
図7(A))の検出信号が、印刷制御部100に送信される。センサ群106は、画像形成装置1の動作状態を監視するための各種センサ、例えば、温湿度センサ、濃度センサ等を含む。
【0072】
電源制御部110は、帯電ローラ12に帯電電圧を印加する帯電電圧電源111と、現像ローラ14に現像電圧を印加する現像電圧電源112と、供給ローラ15に供給電圧を印加する供給電圧電源113と、転写ローラ18に転写電圧を印加する転写電圧電源114とを制御する。
【0073】
ヘッド制御部115は、イメージデータに基づき、印刷ヘッド13の各発光素子を発光させる制御を行う。駆動制御部116は、画像形成部20の感光体ドラム11を回転させる駆動モータ120を駆動する制御を行う。
【0074】
定着駆動制御部117は、定着装置70の定着ローラ71を回転させる定着モータ121を駆動する制御を行う。なお、媒体排出部80の排出ローラ81,82も、定着モータ121からの回転伝達によって回転する。定着制御部118は温度調節回路を有し、定着装置70に設置された温度センサの出力信号に基づき、定着ローラ71のヒータ73を制御する。
【0075】
給紙搬送制御部119は、ピックアップローラ62およびフィードローラ63を回転させる給紙モータ122と、レジストローラ65および搬送ローラ66を回転させる搬送モータ123とを駆動する制御を行う。
【0076】
<印刷動作>
次に、実施の形態1の画像形成装置1による印刷動作(画像形成動作)について説明する。印刷制御部100は、パーソナルコンピュータ等の上位装置から、I/F制御部102を介して印刷ジョブを受け取ると、印刷動作を実行する。印刷ジョブは、印刷命令と印刷データとを含む。
【0077】
印刷制御部100は、駆動制御部116、定着駆動制御部117および給紙搬送制御部119に制御信号を送り、駆動モータ120、定着モータ121、給紙モータ122および搬送モータ123をそれぞれ所定のタイミングおよび所定の速度で回転させる。
【0078】
これによりピックアップローラ62およびフィードローラ63が回転し、媒体カセット61から記録媒体Mを1枚ずつ送り出し、搬送路P1に沿って搬送する。また、レジストローラ65および搬送ローラ66がそれぞれ所定のタイミングで回転し、記録媒体Mを画像形成部20に向けて搬送する。
【0079】
画像形成部20では、駆動モータ120によって感光体ドラム11が回転する。定着装置70では、定着モータ121によって定着ローラ71が回転する。また、定着制御部118によってヒータ73に流れる電流が制御され、定着ローラ71が所定の定着温度まで加熱される。
【0080】
また、印刷制御部100の制御信号に基づき、電源制御部110は、帯電電圧電源111、現像電圧電源112および供給電圧電源113から、帯電ローラ12、現像ローラ14および供給ローラ15に、帯電電圧、現像電圧および供給電圧を印加する。
【0081】
印刷制御部100は、上位装置から受け取った印刷データを処理したのち、ヘッド制御部115に送信する。ヘッド制御部115は、受信した印刷データに基づいて印刷ヘッド13を発光制御し、感光体ドラム11の表面を露光する。
【0082】
画像形成部20では、トナー貯蔵部22内のトナーが、供給ローラ15によって現像ローラ14の表面に付着する。現像ローラ14の表面に付着したトナーは、規制ブレード16によって厚さが規制され、均一な厚さのトナー薄層となる。
【0083】
また、画像形成部20では、帯電電圧が印加された帯電ローラ12が、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる。帯電した感光体ドラム11の表面は、印刷ヘッド13によりイメージデータに応じて選択的に露光される。これにより、感光体ドラム11の表面に静電潜像が形成される。
【0084】
感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像は、現像ローラ14のトナーの付着によって現像され、トナー像となる。感光体ドラム11の表面のトナー像は、転写電圧電源114から転写ローラ18に印加される転写電圧により、記録媒体Mに転写される。
【0085】
転写後に感光体ドラム11の表面に残ったトナーは、クリーニング部材17によって除去される。除去されたトナーは、廃トナー搬送部19によって画像形成部20の外部に搬送され、廃トナー収容部に収容される。
【0086】
一方、感光体ドラム11と転写ローラ18との間を通過した記録媒体Mは、感光体ドラム11の回転によって定着装置70に搬送される。定着装置70では、定着ローラ71と加圧ローラ72とによりトナー像に熱と圧力が加えられ、トナー像が記録媒体M上に定着する。
【0087】
トナー像が定着した記録媒体Mは、定着モータ121からの回転伝達によって回転する排出ローラ81,82によって排出口83から排出され、スタッカ部84上に積載される。両面印刷を行う場合には、再搬送部90によって記録媒体Mを搬送ローラ66の上流側まで再搬送し、記録媒体Mの裏面への印刷(トナー像の形成、転写および定着)を行う。
【0088】
<トナー廃棄動作>
上記の印刷処理において、トナーは、現像ローラ14と供給ローラ15との間、および現像ローラ14と規制ブレード16との間での摩擦、並びにトナー同士の摩擦によって帯電する。トナーが繰り返し摩擦を受けると、圧力およびせん断力によりダメージを受け、外添剤の脱離あるいは埋没等が生じて、トナーの特性が変化する。このように摩擦によるダメージによって特性が変化したトナーを、劣化トナーと称する。
【0089】
トナー貯蔵部22の内部に劣化トナーが蓄積すると、画像濃度の変化、ドット表現性の低下等の画質劣化が生じる。劣化トナーの蓄積がさらに進むと、かぶり、汚れ、かすれ等の画像不良が生じる。
【0090】
そこで、画像形成装置1は、印刷処理の終了後、一定の条件下で、劣化トナーを除去するためのトナー廃棄動作を行う。トナー廃棄動作を行う条件は、例えば、印刷デューティが低い画像(文書等)の印刷を繰り返した場合である。これは、印刷デューティが低い画像の場合、現像に使われずに繰り返し摩擦を受けるトナーが増加し、劣化トナーの蓄積が特に進行し易いためである。
【0091】
トナー廃棄動作では、トナー廃棄用の印刷パターン(廃棄パターンと称する)を形成する。廃棄パターン5の具体例(
図14)については、後述する。印刷ヘッド13によって感光体ドラム11の表面に廃棄パターンが形成されると、トナー貯蔵部22内のトナーは、供給ローラ15および現像ローラ14を介して廃棄パターンに付着する。
【0092】
感光体ドラム11の表面に付着したトナーは、クリーニング部材17によって掻き取られ、廃トナー搬送部19(
図2)によって画像形成部20の外部に搬送(すなわち廃棄)される。そのため、トナー廃棄動作を行うことにより、トナー貯蔵部22内のトナーが減少する。
【0093】
ここでは、感光体ドラム11上の廃棄パターンに付着したトナーをクリーニング部材17で掻き取って廃棄する例について説明するが、この例には限定されない。例えば、感光体ドラム11上の廃棄パターンに付着したトナーを転写ベルトに転写し、ベルトクリーニング部材で掻き取って廃棄してもよい。
【0094】
<トナーカートリッジの取り外し時のトナーの飛散対策>
次に、実施の形態1によるトナーカートリッジ30の取り外し時のトナーの飛散対策について説明する。まず、画像形成部20のトナー貯蔵部22内のトナーの分布について説明する。
【0095】
図10(A)は、クラウン形状を有する供給ローラ15(
図6(A))の表面のトナーの移動状態を説明するための模式図である。
図10(B)は、逆クラウン形状を有する供給ローラ15(
図6(B))の表面のトナーの移動状態を説明するための模式図である。
【0096】
トナー貯蔵部22内のトナーは、供給ローラ15の回転によって移動する。
図10(A)に示すクラウン形状の供給ローラ15では、X方向中央部での周速度が速いため、矢印A1で示すようにX方向中央部にトナーが集まり易い。一方、
図10(B)に示す逆クラウン形状の供給ローラ15では、X方向端部での周速度が速いため、矢印A2で示すようにX方向端部にトナーが集まり易い。
【0097】
図11(A)および
図12(A)は、トナー貯蔵部22のトナー受入口24におけるトナー分布を示す図である。
図11(A)は供給ローラ15がクラウン形状(
図6(A))を有する場合のトナー分布を示し、
図11(B)は供給ローラ15が逆クラウン形状(
図6(B))を有する場合のトナー分布を示す。
【0098】
上記の通り、画像形成部20の筐体21(
図4)には、トナー受入口24を囲むようにシール部材26が配置されている。画像形成部20の筐体21においてシール部材26が取り付けられた面を、基準面Sと称する。
図11(A),12(A)には、基準面Sの高さを破線で示している。
【0099】
図11(A)に示すように、供給ローラ15がクラウン形状を有する場合、トナーが供給ローラ15のX方向中央部に集まるため、トナー受入口24のX方向中央部でトナーの高さが高くなる。そのため、トナー受入口24のX方向中央部で、トナーが基準面Sよりも上方に盛り上がる場合がある。
【0100】
一方、
図12(A)に示すように、供給ローラ15が逆クラウン形状を有する場合、トナーが供給ローラ15のX方向端部に集まるため、トナー受入口24のX方向端部でトナーの高さが高くなる。そのため、トナー受入口24のX方向端部で、トナーが基準面Sよりも上方に盛り上がる場合がある。
【0101】
図13(A)~(C)には、比較例の画像形成装置におけるトナーカートリッジ30の取り外し時のトナー受入口24の近傍のトナーの状態を示す模式図である。比較例の画像形成装置は、後述するトナー廃棄動作A,Bを実行しない点を除き、実施の形態1の画像形成装置1と同様に構成されている。
【0102】
図13(A)に示すように、トナーカートリッジ30が取り外される直前の状態では、トナーカートリッジ30のシャッタ33は、トナー供給口34を開放している。上述したように、トナー貯蔵部22内のトナーは、トナー受入口24のX方向中央部または端部において、基準面Sよりも上方に盛り上がる場合がある。
【0103】
トナーカートリッジ30の取り外し時には、ユーザの操作によってシャッタ33が回転し、
図13(B)に示すようにトナーカートリッジ30のトナー供給口34を閉鎖する。このとき、トナー貯蔵部22内のトナーTのうち、トナー供給口34において基準面Sの近傍に位置するトナーPは、シャッタ33の外周面に付着する。
【0104】
その後、
図13(C)に示すように、ユーザがトナーカートリッジ30を画像形成部20から矢印Dで示す方向に取り外すと、シャッタ33の外周面に付着していたトナーPが、矢印Eで示すようにトナー供給口34の周囲に落下する。
【0105】
このように、トナーカートリッジ30の取り外しに伴い、トナー貯蔵部22内のトナーがトナーカートリッジ30のシャッタ33に付着して、トナー受入口24の周囲に飛散する場合がある。このような現象は、「トナー落ち」と称される場合もある。
【0106】
なお、トナーカートリッジ30の取り外しは、トナー残量がトナーローまで低下した状態で行われる。そのため、トナーカートリッジ30の取り外し時には、トナー貯蔵部22内のトナーの高さが基準面Sより低い場合が多い。
【0107】
しかしながら、残量検出部40によるトナーローの検出には誤差があり、また、
図11(A)および
図12(A)に示したようにトナー貯蔵部22内のトナーの高さにはX方向に分布がある。そのため、トナー残量がトナーローであっても、トナー受入口24のX方向の少なくとも1箇所で、トナーの高さが基準面Sを超える場合がある。
【0108】
上記のようにトナーカートリッジ30の取り外しに伴うトナーの飛散(トナー落ち)が発生すると、画像形成装置1内が汚れるだけでなく、飛散したトナーが記録媒体Mに付着して記録媒体Mが汚れる可能性がある。
【0109】
そこで、実施の形態1では、トナーカートリッジ30の取り外し前に、トナー貯蔵部22内のトナー量を減少させるためのトナー廃棄動作(すなわち現像剤廃棄動作)を実行する。
【0110】
上記の通り、ユーザによるトナーカートリッジ30の取り外しは、トナー貯蔵部22内のトナー残量がトナーロー(すなわち第1の規定量未満)となった状態で行われる場合が多い。トナーローとは、トナー貯蔵部22内のトナー残量が少なくなっているが、印刷動作は可能なレベルにある状態を言う。
【0111】
実施の形態1では、トナー貯蔵部22内のトナー残量がトナーローと判定された場合にトナー廃棄動作(トナー廃棄動作Aと称する)を実行して、トナーカートリッジ30の取り外し前にトナー貯蔵部22内のトナー残量を減少させる。トナー廃棄動作Aは、第1の現像剤廃棄動作とも称する。
【0112】
また、トナー貯蔵部22内のトナー残量がトナーローよりも更に減少し、画像形成装置1で保証される精度での印刷ができないレベル(すなわち第2の規定量未満)まで減少した状態を、トナーエンプティという。
【0113】
ユーザは、トナーローの段階ではトナーカートリッジ30を交換せず、トナーエンプティの段階でトナーカートリッジ30を交換する可能性もある。そこで、実施の形態1では、トナーエンプティと判定された場合には、より廃棄量の多いトナー廃棄動作(トナー廃棄動作Bと称する)を実行する。トナー廃棄動作Bは、第2の現像剤廃棄動作とも称する。
【0114】
なお、これらのトナー廃棄動作A,Bと区別するため、通常のトナー廃棄動作、すなわちトナー貯蔵部22内に堆積した劣化トナーを除去するためのトナー廃棄動作を、トナー廃棄動作Cと称する。
【0115】
<廃棄パターン>
次に、これらのトナー廃棄動作A,B,Cにおいて感光体ドラム11の表面に形成する各パターン(すなわち廃棄パターン)について説明する。
図14は、劣化トナーを除去するためのトナー廃棄動作Cに用いる廃棄パターン5を示す図である。
【0116】
廃棄パターン5は、主走査方向(X方向)に幅Wを有し、主走査方向と直交する副走査方向に長さLを有する。廃棄パターン5の幅Wは、感光体ドラム11のドラム部分のX方向の長さと略等しい。廃棄パターン5の長さLは、廃棄するトナーの量に応じて決定される。一例としては、廃棄パターン5の副走査方向の長さLは、感光体ドラム11の周長と同じに設定される。
【0117】
廃棄パターン5の印刷デューティは、例えば、50%である。印刷デューティとは、ある領域に形成可能な全ドットの個数に対する、実際に形成したドットの個数の割合であり、印字率とも称する。
【0118】
感光体ドラム11上に廃棄パターン5を形成することで廃棄されるトナーの量は、廃棄パターン5の面積W×Lに比例する。そのため、廃棄パターン5の面積W×Lは、廃棄単位とも称する。
【0119】
図15(A),(B)は、トナー廃棄動作A,Bに用いる廃棄パターン5A,5Bを示す図である。廃棄パターン5A,5Bは、供給ローラ15がクラウン形状を有している場合に用いられる。
【0120】
図15(A)に示す廃棄パターン5Aは、トナー残量がトナーローと判定された場合に形成される。廃棄パターン5Aの主走査方向の幅Wは、
図14に示した廃棄パターン5の幅Wと等しい。
【0121】
廃棄パターン5Aの副走査方向の長さLaは、
図14に示した廃棄パターン5の副走査方向の長さLよりも長く、例えば約4倍に設定される。
【0122】
廃棄パターン5Aは、主走査方向の中央部に第1領域51を有し、その両側に第2領域52を有する。第1領域51の印刷デューティは、第2領域52の印刷デューティよりも高い。一例としては、第1領域51の印刷デューティは80%であり、第2領域52の印刷デューティは50%である。
【0123】
この廃棄パターン5Aにより、
図11(B)に示すように、トナー受入口24のX方向中央部のトナーをより多く減少させ、盛り上がりを抑えることができる。廃棄パターン5Bは、第1の廃棄パターンとも称する。
【0124】
図15(B)に示す廃棄パターン5Bは、トナー残量がトナーエンプティと判定された場合に形成される。廃棄パターン5Bの主走査方向の幅Wは、
図14に示した廃棄パターン5の幅Wと等しい。
【0125】
廃棄パターン5Bの副走査方向の長さLbは、
図15(A)に示した廃棄パターン5Aの副走査方向の長さLaと等しく、すなわち
図14に示した廃棄パターン5の副走査方向の長さLよりも長く(例えば約4倍に)設定される。
【0126】
廃棄パターン5Bは、X方向の中央部に第1領域51を有し、その両側に第2領域52を有する。第1領域51の印刷デューティは、第2領域52の印刷デューティよりも高い。一例としては、第1領域51の印刷デューティは100%であり、第2領域52の印刷デューティは80%である。
【0127】
この廃棄パターン5Bにより、
図11(B)に示すように、トナー受入口24のX方向中央部のトナーをより多く減少させ、盛り上がりを抑えることができる。廃棄パターン5Bは、第2の廃棄パターンとも称する。
【0128】
また、廃棄パターン5Bの領域51,52は、廃棄パターン5Aの領域51,52よりもそれぞれ高い印刷デューティを有するため、廃棄パターン5Aよりも廃棄量を多くすることができる。
【0129】
図16(A),(B)には、供給ローラ15が逆クラウン形状を有している場合に用いられる廃棄パターン5C,5Dを示す。
【0130】
図16(A)に示す廃棄パターン5Cは、トナー残量がトナーローと判定された場合に使用される。廃棄パターン5Cの主走査方向の幅Wおよび副走査方向の長さLcは、
図15(A)に示した廃棄パターン5Aの幅Wおよび長さLaとそれぞれ等しい。
【0131】
廃棄パターン5Cは、X方向の中央部に第1領域51を有し、その両側に第2領域52を有する。第2領域52の印刷デューティは、第1領域51の印刷デューティよりも高い。一例としては、第1領域51の印刷デューティは50%であり、第2領域52の印刷デューティは80%である。
【0132】
この廃棄パターン5Cにより、
図12(B)に示すように、トナー受入口24のX方向端部のトナーをより多く減少させ、盛り上がりを抑えることができる。廃棄パターン5Cは、第1の廃棄パターンとも称する。
【0133】
図16(B)に示す廃棄パターン5Dは、トナー残量がトナーエンプティと判定された場合に使用される。廃棄パターン5Dの主走査方向の幅Wおよび副走査方向の長さLdは、
図15(B)に示した廃棄パターン5Bの幅Wおよび長さLbとそれぞれ等しい。
【0134】
廃棄パターン5Dは、X方向の中央に第1領域51を有し、その両側に第2領域52を有する。第2領域52の印刷デューティは、第1領域51の印刷デューティよりも高い。一例としては、第1領域51の印刷デューティは80%であり、第2領域52の印刷デューティは100%である。
【0135】
この廃棄パターン5Dにより、
図12(B)に示すように、トナー受入口24のX方向端部のトナーをより多く減少させ、盛り上がりを抑えることができる。廃棄パターン5Dは、第2の廃棄パターンとも称する。
【0136】
また、廃棄パターン5Dの領域51,52は、廃棄パターン5Cの領域51,52よりもそれぞれ高い印刷デューティを有するため、廃棄パターン5Cよりも廃棄量を多くすることができる。
【0137】
<印刷動作およびトナー廃棄動作>
図17は、実施の形態1の画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。ここでは、画像形成装置1の画像形成部20の供給ローラ15がクラウン形状を有しているものとする。
【0138】
ステップS11において、印刷制御部100は、パーソナルコンピュータ等の上位装置からI/F制御部102を介して印刷ジョブを受け取る。印刷ジョブは、印刷命令と印刷データとを含む。
【0139】
ステップS12において、印刷制御部100は、印刷ジョブに基づき、画像形成装置1による印刷動作を実行する。画像形成装置1による印刷動作は、上述した通りである。
【0140】
ステップS13において、印刷制御部100は、印刷ジョブが残っているが否かを判断し、印刷ジョブが残っている場合にはステップS12の印刷動作を継続する。印刷ジョブが残っていない場合には、画像形成装置1は、ステップS14に進む。
【0141】
ステップS14において、印刷制御部100は、残量検出部40により、トナー貯蔵部22内のトナー残量がトナーローか否か(第1の規定量未満か否か)を判定する。この判定は、
図7(A)~
図8(G)を参照して説明したように、光学センサ48(
図7(A))の検出信号に基づいて行う。
【0142】
ステップS14においてトナー残量がトナーローでないと判定された場合には、ステップS15に進む。ステップS14においてトナー残量がトナーローと判定された場合には、ステップS17に進む。
【0143】
ステップS17では、トナー貯蔵部22内のトナー残量がトナーエンプティか否か(第2の規定量未満か否か)の判定を行う。トナーエンプティか否かの判定は、トナー残量がトナーローと判定されてからの累積印刷枚数をカウントすることによって行う。
【0144】
この判定は、印刷制御部100が、記憶部101に記憶したドラムカウンタまたはドットカウンタに基づいて行う。ドラムカウンタは、印刷動作(S12)において感光体ドラム11が1回転する毎に増加するカウント数を記憶する。ドットカウンタは、印刷ヘッド13の発光素子の点灯数(ドット点灯数)に相当するカウント数を記憶する。
【0145】
ステップS17において、トナー残量がトナーエンプティでないと判定された場合には、ステップS18に進み、操作パネル105の表示部に所定のメッセージaを表示する。
【0146】
図18(A)は、ステップS18で表示するメッセージaの一例を示す図である。トナーローの場合には、
図18(A)に示すように、ユーザにトナーカートリッジの交換時期が近いことを知らせ、トナーカートリッジ30の交換を促すメッセージaを表示する。
【0147】
続くステップS19では、トナーローに対応するトナー廃棄動作Aを実行する。トナー廃棄動作Aでは、印刷制御部100は、画像形成部20を印刷動作時と同様に駆動する。すなわち、感光体ドラム11を回転させ、これと連動して現像ローラ14および供給ローラ15を回転させる。感光体ドラム11に追従して、帯電ローラ12および転写ローラ18も回転する。
【0148】
トナー廃棄動作における感光体ドラム11の回転速度(すなわち駆動速度)は、印刷動作における感光体ドラム11の回転速度よりも低速(例えば2/3程度)に設定される。
【0149】
また、トナー廃棄動作Aでは、帯電ローラ12、現像ローラ14および供給ローラ15に、印刷動作時と同様の帯電電圧、現像電圧および供給バイアス電圧を印加する。さらに、印刷ヘッド13により、感光体ドラム11の表面に、廃棄パターン5Aに対応する静電潜像を形成する。
【0150】
トナー貯蔵部22内のトナーは、供給ローラ15および現像ローラ14を介して感光体ドラム11上の廃棄パターン5Aに付着する。廃棄パターン5Aに付着したトナーは、クリーニング部材17で掻き取られ、廃トナー搬送部19によって画像形成部20の外部に搬送(すなわち廃棄)される。これにより、トナー貯蔵部22内のトナーが減少する。
【0151】
また、廃棄パターン5Aは、第1領域51の印刷デューティが第2領域52の印刷デューティよりも高いため、
図11(B)に示したように、トナー受入口24のX方向中央部でのトナーの盛り上がりを抑え、基準面Sよりも低くすることができる。
【0152】
一方、ステップS17においてトナー残量がトナーエンプティであると判定された場合には、ステップS20に進み、操作パネル105の表示部に所定のメッセージbを表示する。
【0153】
図18(B)は、ステップS20で表示するメッセージbの一例を示す図である。トナーエンプティの場合には、
図18(B)に示すように、ユーザにトナーが無くなったことを知らせ、トナーカートリッジ30の交換を強く促すメッセージbを表示する。
【0154】
続くステップS21では、トナーエンプティに対応するトナー廃棄動作Bを実行する。トナー廃棄動作Bでは、印刷ヘッド13により、感光体ドラム11の表面に
図15(B)に示した廃棄パターン5Bを形成する。トナー廃棄動作Bは、廃棄パターン5Aの代わりに廃棄パターン5Bを形成することを除き、トナー廃棄動作Aと同様である。
【0155】
トナー貯蔵部22内のトナーは、供給ローラ15および現像ローラ14を介して感光体ドラム11上の廃棄パターン5Bに付着し、クリーニング部材17で掻き取られて廃棄される。これにより、トナー貯蔵部22内のトナーが減少する。
【0156】
また、廃棄パターン5Bは、第1領域51の印刷デューティが第2領域52の印刷デューティよりも高いため、
図11(B)に示したように、トナー受入口24のX方向中央部でのトナーの盛り上がりを抑え、基準面Sよりも低くすることができる。
【0157】
また、廃棄パターン5Bの領域51,52の印刷デューティが、廃棄パターン5Aの領域51,52の印刷デューティよりもそれぞれ高いため、トナー廃棄動作Bによる廃棄量はトナー廃棄動作A(ステップS19)による廃棄量よりも多い。
【0158】
一方、ステップS14でトナー残量がトナーローでないと判定された場合には、ステップS15に進み、トナー廃棄条件を満足するか否かを判定する。このトナー廃棄条件は、トナー貯蔵部22内に劣化トナーが蓄積されたか否かに基づいて判定する。
【0159】
劣化トナーが蓄積されたか否かは、印刷デューティが規定量以下の印刷が、規定枚数以上行われたかどうかで判定する。この判定は、印刷制御部100が、記憶部101に記憶したドラムカウンタのカウント値等に基づいて行う。
【0160】
ステップS16において、トナー廃棄条件を満足すると判定した場合には、ステップS16に進む。
【0161】
ステップS17では、劣化トナーの除去のためのトナー廃棄動作Cを行う。トナー廃棄動作Cでは、印刷ヘッド13が、感光体ドラム11の表面に
図14に示した廃棄パターン5を形成する。トナー廃棄動作Cは、廃棄パターン5Aの代わりに廃棄パターン5を形成することを除き、トナー廃棄動作Aと同様である。
【0162】
トナー貯蔵部22内のトナーは、供給ローラ15および現像ローラ14を介して感光体ドラム11上の廃棄パターン5に付着し、クリーニング部材17で掻き取られて廃棄される。トナー廃棄動作Cはトナー貯蔵部22内の劣化トナーを減少させる目的で行われるため、トナーの廃棄量はトナー廃棄動作A,Bよりも少ない。
【0163】
ステップS19,S21,S16におけるトナー廃棄動作A,B,Cの実行後、およびステップS15でトナー廃棄条件を満足しないと判定した場合には、印刷制御部100は処理を終了する。
【0164】
ここでは、供給ローラ15がクラウン形状(
図6(A))を有する場合について説明したが、供給ローラ15は逆クラウン形状(
図6(B))を有してもよい。この場合には、ステップS19において
図16(A)に示した廃棄パターン5Cを用い、ステップS21において
図16(D)に示した廃棄パターン5Dを用いる。
【0165】
廃棄パターン5C,5Dはいずれも、第2領域52の印刷デューティが第1領域51の印刷デューティよりも高い。そのため、
図12(B)に示すように、トナー受入口24のX方向端部でトナーの盛り上がりを抑え、基準面Sよりも低くすることができる。
【0166】
図19(A)~(C)は、実施の形態1におけるトナーカートリッジ30の取り外し時のトナー受入口24の近傍のトナーの状態を示す模式図である。
【0167】
実施の形態1では、上記の通り、トナーロー判定(
図19のステップS14)の後にトナー廃棄動作A(ステップS19)を行い、トナーエンプティ判定(
図19のステップS17)の後にトナー廃棄動作B(ステップS21)を行う。
【0168】
そのため、
図19(A)に示すように、トナーカートリッジ30が取り外される直前の状態では、トナー貯蔵部22内のトナーは、トナー受入口24における基準面Sよりも下方に位置する。
【0169】
従って、トナーカートリッジ30の取り外し時に、ユーザの操作によってシャッタ33がトナー供給口34を閉鎖しても、トナー貯蔵部22内のトナーTがシャッタ33の外周面に付着することがない。
【0170】
シャッタ33の外周面にトナーTが付着しないため、
図19(C)に示すように、ユーザがトナーカートリッジ30を矢印Dで示す方向に取り外しても、トナー供給口34の周囲にトナーが落下することがない。これにより、トナーカートリッジ30の取り外し時のトナーの飛散を防止することができる。
【0171】
また、トナー残量がトナーエンプティの場合には、トナーローの場合と比較して、ユーザがトナーカートリッジ30の交換を行うまでの期間が短い。そのため、トナー廃棄動作Bでは、トナー廃棄動作Aよりも廃棄量を多くすることで、トナーの飛散を防止する効果を高めることができる。
【0172】
また、供給ローラ15がクラウン形状を有する場合には、X方向中央部の印刷デューティがX方向端部の印刷デューティよりも高い廃棄パターン5A,5Bを用いることで、トナー受入口24のX方向中央部でのトナーの盛り上がりを減少させ、トナーの飛散防止の効果を高めることができる。
【0173】
また、供給ローラ15が逆クラウン形状を有する場合には、X方向端部の印刷デューティがX方向中央部の印刷デューティよりも高い廃棄パターン5C,5Dを用いることで、トナー受入口24のX方向端部でのトナーの盛り上がりを減少させ、トナーの飛散防止の効果を高めることができる。
【0174】
また、感光体ドラム11の回転時には、これと連動する供給ローラ15の回転により、
図11(A)および
図12(A)に示したトナーのX方向の偏りが生じる可能性がある。トナー廃棄動作A,Bでは、印刷動作中よりも感光体ドラム11の回転速度を低速に設定することにより、供給ローラ15の回転に起因するトナーのX方向の偏りを抑制することができる。
【0175】
ここでは、トナー残量がトナーローと判定された場合にトナー廃棄動作Aを行い、トナーエンプティと判定された場合にトナー廃棄動作Bを行ったが、トナー廃棄動作Aのみを行ってもよい。
【0176】
また、
図15(A)~
図16(B)に示した廃棄パターン5A~5Dは、それぞれ印刷デューティの異なる第1領域51および第2領域52を有していたが、さらに多くの領域を有してもよく、また単一のパターンであってもよい。
【0177】
また、ここでは画像形成部20内のトナー残量を検出してトナーロー判定を行う例について説明したが、トナーカートリッジ30内のトナー残量を検出してもよい。
【0178】
また、画像形成装置1は、感光体ドラム11のトナー像を記録媒体Mに直接転写するように構成されていたが、感光体ドラム11のトナー像を、中間転写ベルト(転写体)を介して記録媒体Mに転写するように構成してもよい。この場合、感光体ドラム11上のトナーを中間転写ベルトに転写し、ベルトクリーニング部で掻き取って廃棄してもよい。
【0179】
<実施の形態の効果>
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1は、像担持体としての感光体ドラム11を有する画像形成部20と、現像剤収容体としてのトナーカートリッジ30とを有して画像を形成する画像形成ユニット10と、画像形成ユニット10内の現像剤量としてのトナー残量を検出する現像剤量検出部としての残量検出部40と、画像形成ユニット10を制御する制御部としての印刷制御部100とを有する。印刷制御部100は、トナー残量がトナーロー(規定量未満)であることが残量検出部40によって検出された場合に、画像形成部20内のトナーを感光体ドラム11に移動させて廃棄する現像剤廃棄動作としてのトナー廃棄動作を実行する。
【0180】
そのため、ユーザがトナーカートリッジ30を画像形成部20から取り外す前に、画像形成部20内のトナー量を減少させることができる。これにより、トナーカートリッジ30の取り外し時に画像形成部20内のトナーがトナーカートリッジ30の例えばシャッタ33に付着して周囲に飛散することを防止することができる。すなわち、トナーカートリッジ30の取り外し時のトナーの飛散を防止することができる。
【0181】
また、残量検出部40が、トナー残量が第1の規定量未満(すなわちトナーロー)かを判定すると共に、第1の規定量よりも少ない第2の規定量未満(すなわちトナーエンプティ)か否かを判定し、第2の規定量未満の場合には第1の規定量未満の場合よりも多くのトナーを廃棄する。そのため、ユーザがトナーカートリッジ30の取り外しを行うまでの時間が短いほど、画像形成部20内のトナーを減少させることができ、これによりトナーの飛散を防止する効果を高めることができる。
【0182】
また、供給ローラ15の軸方向の中央部と端部とで、トナーの排出量を異ならせることにより、供給ローラ15の外形形状(クラウン形状または逆クラウン形状)に起因するトナーの盛り上がりを抑え、トナーの飛散を防止する効果を高めることができる。
【0183】
また、トナー廃棄動作では、感光体ドラム11の回転数を印刷動作中よりも低速とすることにより、供給ローラ15等の回転に起因するトナーの偏りを防止することができる。
【0184】
変形例1.
図20は、実施の形態1の変形例1の画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。上述した実施の形態1では、
図17に示したように、トナーロー判定の場合には、メッセージaを表示した後でトナー廃棄動作Aを実行し(ステップS18,S19)、トナーエンプティ判定の場合には、メッセージbを表示した後でトナー廃棄動作Bを実行した(ステップS20,S21)。
【0185】
これに対し、変形例1では、
図20に示すように、トナーロー判定の場合には、トナー廃棄動作Aを実行してからメッセージaを表示し(ステップS22,S23)、トナーエンプティ判定の場合には、トナー廃棄動作Bを実行してからメッセージbを表示する(ステップS24,S25)。他のステップは、
図17に示した画像形成装置1の動作と同様である。
【0186】
この変形例1では、操作パネル105に表示されたメッセージaまたはメッセージbを見たユーザが、すぐにトナーカートリッジ30を取り外したとしても、既にトナー廃棄動作によってトナー貯蔵部22内のトナーが減少している。従って、トナーカートリッジ30の取り外し時のトナーの飛散を、より効果的に防止することができる。
【0187】
変形例2.
図21は、実施の形態1の変形例2の画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。変形例2では、
図21に示すように、印刷ジョブを受信する前、例えば画像形成装置1の起動時にトナー貯蔵部22内のトナー残量がトナーローか否かの判定を行い(S31)、トナーローであると判断した場合には、トナー廃棄動作Aを実行する(S32)。他のステップは、
図17に示した画像形成装置1の動作と同様である。
【0188】
前回の印刷動作時にトナーカートリッジの交換を促すメッセージaあるいはメッセージb(
図18(A),(B))が表示されていた場合、当該メッセージが表示されていたことを記憶しているユーザは、印刷動作を開始する前にトナーカートリッジ30を交換する可能性がある。
【0189】
変形例2では、印刷動作を行う前にトナー廃棄動作A(ステップS32)を実行し、トナー貯蔵部22内のトナーを減少させる。そのため、ユーザが印刷動作を行う前にトナーカートリッジ30を交換したとしても、トナーカートリッジ30の取り外し時のトナーの飛散を防止することができる。
【0190】
以上、望ましい実施の形態について具体的に説明したが、本開示は上記の実施の形態に限定されるものではなく、各種の改良または変形を行なうことができる。
【0191】
また、本発明は、電子写真方式を利用して画像を形成する画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、複合機等に利用することができる。
【0192】
以下に、本開示の諸態様を、付記としてまとめて記載する。
(付記1)
像担持体を有する画像形成部と、前記画像形成部に着脱可能に設けられた現像剤収容体とを有し、画像を形成する画像形成ユニットと、
前記画像形成ユニット内の現像剤量を検出する現像剤量検出部と、
前記画像形成ユニットを制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、前記現像剤量が規定量未満であることが前記現像剤量検出部によって検出された場合に、前記画像形成部内の現像剤を前記像担持体に移動させて廃棄する現像剤廃棄動作を実行する
ことを特徴とする画像形成装置。
(付記2)
前記現像剤量が第1の規定量未満であることを前記現像剤量検出部によって検出した場合には、前記制御部は第1の現像剤廃棄動作を実行し、
前記現像剤量が前記第1の規定量よりも小さい第2の規定量未満であることを前記現像剤量検出部によって検出した場合には、前記制御部は第2の現像剤廃棄動作を実行し、
前記第2の現像剤廃棄動作における現像剤の廃棄量は、前記第1の現像剤廃棄動作における現像剤の廃棄量よりも多い
ことを特徴とする付記1に記載の画像形成装置。
(付記3)
前記第1の現像剤廃棄動作は、前記像担持体に、現像剤による第1の廃棄パターンを形成することによって行われ、
前記第2の現像剤廃棄動作は、前記像担持体に、現像剤による第2の廃棄パターンを形成することによって行われ、
前記第1の廃棄パターンの印刷デューティは、前記第2の廃棄パターンの印刷デューティよりも高い
ことを特徴とする付記2に記載の画像形成装置。
(付記4)
前記画像形成部には、回転軸を中心として回転する供給部材が設けられ、
前記供給部材は、前記回転軸の軸方向の中央部の外径が、前記軸方向の端部の外径よりも大きく、
前記現像剤廃棄動作では、前記画像形成部の前記軸方向の中央部の現像剤を、前記軸方向の端部の領域よりも多く廃棄する
ことを特徴とする付記1から3までの何れか1項に記載の画像形成装置。
(付記5)
前記現像剤廃棄動作は、前記像担持体に、現像剤による廃棄パターンを形成することによって行われ、
前記廃棄パターンは、前記軸方向の中央部の印刷デューティが、前記軸方向の端部の印刷よりも高い
ことを特徴とする付記4に記載の画像形成装置。
(付記6)
前記画像形成部には、回転軸を中心として回転する供給部材が設けられ、
前記供給部材は、前記回転軸の軸方向の中央部の外径が、前記軸方向の端部の外径よりも大きく、
前記現像剤廃棄動作では、前記画像形成部の前記軸方向の中央部の現像剤を、前記軸方向の端部の領域よりも多く廃棄する
ことを特徴とする付記1から3までの何れか1項に記載の画像形成装置。
(付記7)
前記現像剤廃棄動作は、前記像担持体に、現像剤による廃棄パターンを形成することによって行われ、
前記廃棄パターンは、前記軸方向の端部の印刷デューティが、前記軸方向の中央部の印刷よりも高い
ことを特徴とする付記6に記載の画像形成装置。
(付記8)
前記制御部は、前記現像剤廃棄動作において、前記像担持体を印刷動作における前記像担持体の駆動速度よりも低速で駆動する
ことを特徴とする付記1から7までの何れか1項に記載の画像形成装置。
(付記9)
前記制御部は、印刷ジョブに基づく印刷動作を終了したのち、前記現像剤量検出部による現像剤量の検出および前記現像剤廃棄動作を実行する
ことを特徴とする付記1から8までの何れか1項に記載の画像形成装置。
(付記10)
前記制御部は、前記現像剤量が規定量未満であることが前記現像剤量検出部によって検出された場合に、表示部に前記現像剤収容体の交換を促すメッセージを表示した後、前記現像剤廃棄動作を実行する
ことを特徴とする付記1から9までの何れか1項に記載の画像形成装置。
(付記11)
前記制御部は、前記現像剤量が規定量未満であることが前記現像剤量検出部によって検出された場合に、表示部に前記現像剤収容体の交換を促すメッセージを表示する前に、前記現像剤廃棄動作を実行する
ことを特徴とする付記1から9までの何れか1項に記載の画像形成装置。
(付記12)
前記制御部は、画像形成装置の起動後、印刷ジョブに基づく印刷動作を実行する前に、前記現像剤廃棄動作を実行する
ことを特徴とする付記1から11までの何れか1項に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0193】
1 画像形成装置、 5,5A,5B,5C,5D 廃棄パターン、 10 画像形成ユニット、 11 感光体ドラム(像担持体)、 12 帯電ローラ(帯電部材)、 13 印刷ヘッド(露光装置)、 14 現像ローラ(現像剤担持体)、 15 供給ローラ(供給部材)、 16 規制ブレード(層規制部材)、 17 クリーニング部材、 18 転写ローラ(転写部材)、 20 画像形成部、 22 トナー貯蔵部(現像剤貯蔵部)、 24 トナー受入口(受入口)、 26 シール部材、 30 トナーカートリッジ(現像剤収容体)、 32 トナー収容室(収容室)、 33 シャッタ(開閉部材)、 34 トナー供給口(供給口)、 40 残量検出部(現像剤量検出部)、 41 検出バー、 48 光学センサ、 51 第1領域、 52 第2領域、 60 媒体供給部、 70 定着装置、 80 媒体排出部、 101 印刷制御部、 105 操作パネル(表示部)。