(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168138
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】自動搬送車、位置合わせシステム、および自動搬送車の位置合わせ方法
(51)【国際特許分類】
G01V 3/12 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G01V3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084572
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】沖田 欣文
(72)【発明者】
【氏名】関原 弦
(72)【発明者】
【氏名】盛合 湧志
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB11
2G105DD02
2G105EE02
2G105HH04
2G105KK06
(57)【要約】
【課題】特定の進行方向に精度良く位置合わせ可能な自動搬送車を提供すること。
【解決手段】自動搬送車は、第1のビーコン信号を発信する第1のビーコン発信器と、第2のビーコン信号を発信する第2のビーコン発信器と、床面の上における自動搬送車の移動を制御する制御装置と、を含み、制御装置は、第1のビーコン信号および第2のビーコン信号、ならびに床面に設置される第3のビーコン発信器および第4のビーコン発信器のそれぞれから発信される第3のビーコン信号および第4のビーコン信号を受信する通信部と、第1のビーコン信号、第2のビーコン信号、第3のビーコン信号、および第4のビーコン信号に基づき、第1のビーコン発信器および第2のビーコン発信器が、それぞれ、第3のビーコン発信器および第4のビーコン発信器と重畳するように自動搬送車を移動させる位置合わせ処理部と、を含む。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の所定の階層の床面の上を自動走行可能に移動する自動搬送車であって、
第1のビーコン信号を発信する第1のビーコン発信器と、
第2のビーコン信号を発信する第2のビーコン発信器と、
前記床面の上における前記自動搬送車の移動を制御する制御装置と、を含み、
前記制御装置は、
前記第1のビーコン信号および前記第2のビーコン信号、ならびに前記床面に設置される第3のビーコン発信器および第4のビーコン発信器のそれぞれから発信される第3のビーコン信号および第4のビーコン信号を受信する通信部と、
前記第1のビーコン信号、前記第2のビーコン信号、前記第3のビーコン信号、および前記第4のビーコン信号に基づき、前記第1のビーコン発信器および前記第2のビーコン発信器が、それぞれ、前記第3のビーコン発信器および前記第4のビーコン発信器と重畳するように前記自動搬送車を移動させる位置合わせ処理部と、を含む、自動搬送車。
【請求項2】
前記通信部は、さらに、前記所定の階層に停止している工事用エレベータの床面に設置される第5のビーコン発信器から発信される第5のビーコン信号を受信し、
前記位置合わせ処理部は、さらに、前記第1のビーコン信号、前記第2のビーコン信号、および前記第5のビーコン信号に基づき、前記第1のビーコン発信器および前記第2のビーコン発信器の1つが、前記第5のビーコン発信器と重畳するように前記自動搬送車を移動させる、請求項1に記載の自動搬送車。
【請求項3】
建築物の所定の階層の床面の上を自動走行可能に移動する自動搬送車に設置される、第1のビーコン信号を発信する第1のビーコン発信器および第2のビーコン信号を発信する第2のビーコン発信器と、
前記床面に設置される、第3のビーコン信号を発信する第3のビーコン発信器および第4のビーコン信号を発信する第4のビーコン発信器と、
前記床面の上における前記自動搬送車の移動を制御する制御装置と、を含み、
前記制御装置は、
前記第1のビーコン信号、前記第2のビーコン信号、前記第3のビーコン信号、および前記第4のビーコン信号を受信する通信部と、
前記第1のビーコン信号、前記第2のビーコン信号、前記第3のビーコン信号、および前記第4のビーコン信号に基づき、前記第1のビーコン発信器および前記第2のビーコン発信器が、それぞれ、前記第3のビーコン発信器および前記第4のビーコン発信器と重畳するように前記自動搬送車を移動させる位置合わせ処理部と、を含む、位置合わせシステム。
【請求項4】
さらに、前記所定の階層に停止している工事用エレベータの床面に設置される、第5のビーコン信号を発信する第5のビーコン発信器を含み、
前記通信部は、さらに、前記第5のビーコン信号を受信し、
前記位置合わせ処理部は、さらに、前記第1のビーコン発信器および前記第2のビーコン発信器の1つが、前記第5のビーコン発信器と重畳するように前記自動搬送車を移動させる、請求項3に記載の位置合わせシステム。
【請求項5】
前記工事用エレベータが前記所定の階層に停止しているとき、前記第5のビーコン発信器は、前記第3のビーコン発信器と前記第4のビーコン発信器とを結ぶ直線上に設置されている、請求項4に記載の位置合わせシステム。
【請求項6】
建築物の所定の階層の床面の上を自動走行可能に移動する自動搬送車に設置される第1のビーコン発信器および第2のビーコン発信器のそれぞれが発信する第1のビーコン信号および第2のビーコン信号、ならびに前記床面に設置される第3のビーコン発信器および第4のビーコン発信器のそれぞれが発信する第3のビーコン信号及び第4のビーコン信号を受信し、
前記第1のビーコン信号、前記第2のビーコン信号、前記第3のビーコン信号、および前記第4のビーコン信号に基づき、前記第1のビーコン発信器および前記第2のビーコン発信器が、それぞれ、前記第3のビーコン発信器および前記第4のビーコン発信器と重畳するように前記自動搬送車を移動させる、自動搬送車の位置合わせ方法。
【請求項7】
さらに、
前記所定の階層に停止している工事用エレベータの床面に設置される第5のビーコン発信器から発信される第5のビーコン信号を受信し、前記第1のビーコン信号、前記第2のビーコン信号、および前記第5のビーコン信号に基づき、前記第1のビーコン発信器および前記第2のビーコン発信器の1つが、前記第5のビーコン発信器と重畳するように前記自動搬送車を停止させる、請求項6に記載の自動搬送車の位置合わせ方法。
【請求項8】
前記工事用エレベータが前記所定の階層に停止しているとき、前記第5のビーコン発信器は、前記第3のビーコン発信器と前記第4のビーコン発信器とを結ぶ直線上に設置されている、請求項7に記載の自動搬送車の位置合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、自動搬送車に関する。また、本発明の一実施形態は、自動搬送車の進行方向および停車位置を制御する位置合わせシステムに関する。また、本発明の一実施形態は、自動搬送車の位置合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)の技術開発が進み、さまざまな場面で自動搬送車が利用され始めている。例えば、商品が保管された倉庫で自動搬送車を利用すれば、多種多様な商品を自動で搬送することが可能となる。そのため、作業効率が向上し、コストを削減することができる。このような自動搬送車としては、自動搬送車が台車の下に潜り込み、自動搬送車が台車を持ち上げて搬送する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。建築物の工事現場においても、資材の自動搬送などを目的とした自動搬送車の導入が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建築物の工事現場では、建築物の階層を移動するための工事用エレベータ(仮設エレベータまたはロングスパンエレベータともいう。)が設置されている。自動搬送車を用いた資材の自動搬送においても、工事用エレベータを利用して階層を移動する。しかしながら、資材を積載した自動搬送車が工事用エレベータに乗車するとき、自動搬送車が工事用エレベータに乗車する方向によっては、資材が工事用エレベータの昇降かご内に収容されず、昇降かごを昇降させることができない問題があった。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、特定の進行方向に精度良く位置合わせ可能な自動搬送車を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一実施形態は、自動搬送車を特定の進行方向に精度良く位置合わせ可能な位置合わせシステムを提供することを目的の一つとする。また、本発明の一実施形態は、自動搬送車を特定の進行方向に精度良く位置合わせする自動搬送車の位置合わせ方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る自動搬送車は、第1のビーコン信号を発信する第1のビーコン発信器と、第2のビーコン信号を発信する第2のビーコン発信器と、床面の上における自動搬送車の移動を制御する制御装置と、を含み、制御装置は、第1のビーコン信号および第2のビーコン信号、ならびに床面に設置される第3のビーコン発信器および第4のビーコン発信器のそれぞれから発信される第3のビーコン信号および第4のビーコン信号を受信する通信部と、第1のビーコン信号、第2のビーコン信号、第3のビーコン信号、および第4のビーコン信号に基づき、第1のビーコン発信器および第2のビーコン発信器が、それぞれ、第3のビーコン発信器および第4のビーコン発信器と重畳するように自動搬送車を移動させる位置合わせ処理部と、を含む。
【0007】
通信部は、さらに、所定の階層に停止している工事用エレベータの床面に設置される第5のビーコン発信器から発信される第5のビーコン信号を受信し、位置合わせ処理部は、さらに、第1のビーコン信号、第2のビーコン信号、および第5のビーコン信号に基づき、第1のビーコン発信器および第2のビーコン発信器の1つが、第5のビーコン発信器と重畳するように自動搬送車を移動させてもよい。
【0008】
本発明の一実施形態に係る位置合わせシステムは、建築物の所定の階層の床面の上を自動走行可能に移動する自動搬送車に設置される、第1のビーコン信号を発信する第1のビーコン発信器および第2のビーコン信号を発信する第2のビーコン発信器と、床面に設置される、第3のビーコン信号を発信する第3のビーコン発信器および第4のビーコン信号を発信する第4のビーコン発信器と、床面の上における自動搬送車の移動を制御する制御装置と、を含み、制御装置は、第1のビーコン信号、第2のビーコン信号、第3のビーコン信号、および第4のビーコン信号を受信する通信部と、第1のビーコン信号、第2のビーコン信号、第3のビーコン信号、および第4のビーコン信号に基づき、第1のビーコン発信器および第2のビーコン発信器が、それぞれ、第3のビーコン発信器および第4のビーコン発信器と重畳するように自動搬送車を移動させる位置合わせ処理部と、を含む。
【0009】
位置合わせシステムは、さらに、所定の階層に停止している工事用エレベータの床面に設置される、第5のビーコン信号を発信する第5のビーコン発信器を含み、通信部は、さらに、第5のビーコン信号を受信し、位置合わせ処理部は、さらに、第1のビーコン発信器および第2のビーコン発信器の1つが、第5のビーコン発信器と重畳するように自動搬送車を移動させてもよい。
【0010】
工事用エレベータが所定の階層に停止しているとき、第5のビーコン発信器は、第3のビーコン発信器と第4のビーコン発信器とを結ぶ直線上に設置されていてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る自動搬送車の位置合わせ方法は、建築物の所定の階層の床面の上を自動走行可能に移動する自動搬送車に設置される第1のビーコン発信器および第2のビーコン発信器のそれぞれが発信する第1のビーコン信号および第2のビーコン信号、ならびに床面に設置される第3のビーコン発信器および第4のビーコン発信器のそれぞれが発信する第3のビーコン信号及び第4のビーコン信号を受信し、第1のビーコン信号、第2のビーコン信号、第3のビーコン信号、および第4のビーコン信号に基づき、第1のビーコン発信器および第2のビーコン発信器が、それぞれ、第3のビーコン発信器および第4のビーコン発信器と重畳するように自動搬送車を移動させる。
【0012】
自動搬送車の位置合わせ方法は、さらに、所定の階層に停止している工事用エレベータの床面に設置される第5のビーコン発信器から発信される第5のビーコン信号を受信し、第1のビーコン信号、第2のビーコン信号、および第5のビーコン信号に基づき、第1のビーコン発信器および第2のビーコン発信器の1つが、第5のビーコン発信器と重畳するように自動搬送車を停止させてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態によれば、工事用エレベータ前で自動搬送車の位置合わせが行われるため、自動搬送車は、特定の方向から工事用エレベータに乗車することができる。また、乗車かご内において、自動搬送車の停止位置の位置合わせが行われる。したがって、本発明の一実施形態に係る位置合わせシステムを利用した自動搬送車の自動搬送では、工事用エレベータの昇降において自動搬送の停止が低減され、工事現場における自動化を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】建築物の工事現場を説明する模式図である。
【
図1B】本発明の一実施形態に係る位置合わせシステムの利用態様および構成を説明する模式的な平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る位置合わせシステムの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る位置合わせシステムを用いる自動搬送車の位置合わせ方法を示すフローチャートである。
【
図4A】本発明の一実施形態に係る位置合わせシステムを用いる自動搬送車の位置合わせ方法を説明する模式的な平面図である。
【
図4B】本発明の一実施形態に係る位置合わせシステムを用いる自動搬送車の位置合わせ方法を説明する模式的な平面図である。
【
図4C】本発明の一実施形態に係る位置合わせシステムを用いる自動搬送車の位置合わせ方法を説明する模式的な平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る位置合わせシステムを用いる自動搬送車の位置合わせ方法を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係る位置合わせシステムを用いる自動搬送車の位置合わせ方法を説明する模式的な平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る位置合わせシステムの利用態様および構成を説明する模式的な平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る位置合わせシステムの構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る位置合わせシステムの利用態様および構成を説明する模式的な平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る位置合わせシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0016】
本発明細書において、説明の便宜上、「上」、「上方」、もしくは「上方部」または「下」、「下方」、または「下方部」という語句を用いて説明するが、各構成要素の上下関係を説明しているに過ぎない。例えば、構造物の位置関係を説明する場合、構造物の通常使用する態様を基準とし、構造物が設置される面側(例えば、床面側)を「下」、「下方」、または「下方部」とすることがある。
【0017】
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」、または「第3」の文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0018】
本明細書および図面において、同一又は類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用い、これら複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、大文字のアルファベットを添えて表記する場合がある。また、一つの構成のうちの複数の部分を区別して表記する際には、ハイフンと自然数を用いる場合がある。
【0019】
<第1実施形態>
図1A~
図6を参照して、本発明の一実施形態に係る位置合わせシステム10について説明する。
【0020】
[1.位置合わせシステム10の利用態様および構成]
本実施形態に係る位置合わせシステム10は、例えば、建築物の工事現場において使用することができる。
図1は、建築物1000の工事現場を説明する模式図である。
【0021】
建築物1000は、柱1010および梁1020が組み合わされた構成であり、複数の階層を含む。各階層において、床面として床スラブ1030が形成されている。また、建築物1000に隣接して、工事用エレベータ2000が設置されている。工事用エレベータ2000は、昇降かご2010、昇降かご2010の昇降を制御する昇降駆動装置2020、ならびに建築物1000の高さ方向に対応するZ方向に延在し、昇降かご2010および昇降駆動装置2020を支持する支柱2030を含む。昇降かご2010には、床面2011が形成されている。
【0022】
自動搬送車200は、資材3100が積載された台車3000を持ち上げて移動することにより、または台車3000の車輪を利用して台車3000を牽引することにより、資材3100を所定の位置まで運搬することができる。その際、自動搬送車200は、予め作成された建築物1000の各階層の地図に基づき、各階層の床スラブ1030上を自動走行することができる。自動搬送車200が第1の階層から第1の階層と異なる第2の階層に移動するときには、工事用エレベータ2000を利用する。自動搬送車200は、第1の階層に停止している工事用エレベータ2000の昇降かご2010に乗車し、昇降かご2010が第1の階層から第2の階層に昇降した後、第2の階層において昇降かご2010から降車する。ここで、自動搬送車200が前進し、または後退する方向を前後方向とし、前後方向と直交する方向を左右方向とする。資材3100は、例えば、天井または壁の下地材であるプラスターボードなどであるが、プラスターボードは長辺および短辺を有する。自動搬送車200の前後方向に長辺を合わせるように資材3100を積載すると、自動搬送車200の前方がプラスターボードによって隠されてしまう。そのため、自動搬送車200は、資材3100の短辺が前後方向となるようにして、台車3000に積載された資材3100を運搬する。
【0023】
工事用エレベータ2000の昇降かご2010への自動搬送車200の乗車においては、昇降かご2010の前の位置から昇降かご2010内の位置へ自動搬送車200が移動する方向(以下、この方向を「エレベータ乗車方向」として説明するが、便宜上、この方向を「進行方向」として説明する場合もある。)が重要である。一般的に、工事用エレベータ2000の昇降かご2010は奥行距離(
図1中のY方向における距離)が小さい。そのため、自動搬送車200のエレベータ乗車方向によっては、台車3000または台車3000に積載された資材3100が昇降かご2010からはみ出す場合がある。このような場合に昇降かご2010が昇降してしまうと、台車3000または資材3100が階層の床または天井と衝突して資材3100が散乱し、工事用エレベータ2000の使用を停止せざるを得なくなる。
【0024】
そこで、本実施形態では、自動搬送車200が特定の進行方向から昇降かご2010に乗車することができるように、工事用エレベータ2000の前の所定の位置(より具体的には、停止している昇降かご2010の前の所定の位置)で位置合わせシステム10を用いた自動搬送車200の位置合わせを行う。
【0025】
以下では、建築物1000の工事現場における自動搬送車200の自動搬送において、位置合わせシステム10が、工事用エレベータ2000の昇降かご2010に自動搬送車200が乗車するときに利用される態様に基づき、位置合わせシステム10の構成について説明するが、位置合わせシステム10の利用態様はこれに限られるものではない。例えば、位置合わせシステム10は、竣工した建築物1000内に設置されたエレベータを利用した態様についても適用することができる。
【0026】
図1Bは、本発明の一実施形態に係る位置合わせシステム10の利用態様および構成を説明する模式的な平面図である。具体的には、
図1Bには、昇降かご2010が停止している階層の平面図が示されている。また、
図1Bでは、自動搬送車200の大きさと資材3100の大きさとを比較しやすく、また、平面視における自動搬送車200の位置を見やすくするため、資材3100が点線で示されている。
【0027】
位置合わせシステム10は、第1のビーコン発信器101~第5のビーコン発信器105および制御装置210を含む。第1のビーコン発信器101~第5のビーコン発信器105は、それぞれ、固有の識別情報を有する第1のビーコン信号~第5のビーコン信号を発信することができる。第1のビーコン信号~第5のビーコン信号は、例えば、赤外線などの近距離通信が可能な電波である。
【0028】
第1のビーコン発信器101および第2のビーコン発信器102は、自動搬送車200の底面に設置される。但し、第1のビーコン発信器101および第2のビーコン発信器102の設置位置はこれに限られない。第1のビーコン発信器101および第2のビーコン発信器102は、資材3100の運搬および自動走行に支障がない位置に設置されていればよい。また、第1のビーコン発信器101および第2のビーコン発信器102は、自動搬送車200の前後方向に沿って配置されている。第1のビーコン発信器101と第2のビーコン発信器102とは、第1のビーコン発信器101が発信する第1のビーコン信号と第2のビーコン発信器102が発信する第2のビーコン信号とが受信された際に、第1のビーコン発信器101の位置と第2のビーコン発信器102の位置とを区別可能に判定することができる距離を有して離間していることが好ましい。なお、以下では、便宜上、自動搬送車200の前方および後方に、それぞれ、第1のビーコン発信器101および第2のビーコン発信器102が設置されているものとして説明する。
【0029】
第3のビーコン発信器103および第4のビーコン発信器104は、停止している昇降かご2010の前の床スラブ1030上に設置される。平面視において、例えば、第3のビーコン発信器103および第4のビーコン発信器104は、昇降かご2010の床面2011の中心線(
図1Bにおいて、昇降かご2010の床面2011の中心を通り、Y方向に沿った直線)上に配置されている。第3のビーコン発信器103と第4のビーコン発信器104との間の距離は、第1のビーコン発信器101と第2のビーコン発信器102との間の距離と略同一である。なお、以下では、便宜上、第3のビーコン発信器103が、第4のビーコン発信器104よりも工事用エレベータ2000に近い位置に設置されているものとして説明する。
【0030】
第5のビーコン発信器105は、昇降かご2010の床面2011上に設置される。具体的には、第5のビーコン発信器105は、昇降かご2010が停止している階層の床スラブ1030上に設置された第3のビーコン発信器103および第4のビーコン発信器104と概ね直線状に位置するように設置される。また、平面視において、第5のビーコン発信器105は、例えば、昇降かご2010の床面2011の中心線上に配置されている。また、平面視において、第5のビーコン発信器105は、床面2011の中心よりも奥側に位置するように設置される。詳細は後述するが、昇降かご2010内における自動搬送車200の停止位置は、第1のビーコン発信器101と第5のビーコン発信器105とが重畳する位置である。そのため、第5のビーコン発信器105は、昇降かご2010内で停止した自動搬送車200が搬送する台車3000および運搬する資材3100が昇降かご2010からはみ出さないように、床面2011の中心よりも奥側に位置するように設置される。
【0031】
制御装置210は、自動搬送車200に設置される。制御装置210は、いわゆるコンピュータであり、所定のプログラムを実行することにより機能する。制御装置210は、例えば、データまたは情報を用いて演算処理を行う中央演算装置(CPU)、マイクロプロセッサ(MPU)、または画像処理装置(GPU)を含む。また、制御装置210は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、もしくはソリッドステートドライブ(SSD)などの記憶装置、または通信インターフェースを含む。ここで、
図2を参照して、制御装置210の構成について説明する。
【0032】
図2は、本発明の一実施形態に係る位置合わせシステム10の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置210は、通信部211、記憶部212、自動走行処理部213、および位置合わせ処理部214を含む。自動走行処理部213および位置合わせ処理部214は、コンピュータが所定のプログラムを実行することにより機能する。
【0033】
通信部211は、第1のビーコン発信器101~第5のビーコン発信器105のそれぞれが発信する第1のビーコン信号~第5のビーコン信号を受信する。通信部211は、例えば、Bluetooth(登録商標)などのネットワークNWを介して、第1のビーコン信号~第5のビーコン信号を受信することができる。詳細は後述するが、位置合わせ処理部214は、通信部211によって受信された第1のビーコン信号~第5のビーコン信号に基づき、自動搬送車200の位置合わせ処理を実行する。
【0034】
記憶部212は、第1のビーコン信号~第5のビーコン信号の識別情報などを格納する。具体的には、記憶部212には、第1のビーコン信号~第5のビーコン信号の識別情報が、第1のビーコン発信器101~第5のビーコン発信器105と紐付けられて格納される。詳細は後述するが、位置合わせ処理部214は、記憶部212に格納されている識別情報に基づき、受信された第1のビーコン信号~第5のビーコン信号を識別し、第1のビーコン発信器101~第5のビーコン発信器105の位置情報を取得する。
【0035】
自動走行処理部213は、所定のプログラムを実行し、自動搬送車200の自動走行処理を実行する。具体的には、自動走行処理部213は、予め作成された地図に基づき、自動搬送車200が所定の経路で移動するように制御する。また、自動走行処理部213は、インターネットなどのネットワーク(ビーコン信号の送受信も含む。)NWを通じて通信部が受信した指示信号に基づき、自動搬送車200を制御することもできる。
【0036】
位置合わせ処理部214は、所定のプログラムを実行し、自動搬送車200の位置合わせ処理を実行する。位置合わせ処理部214において実行される位置合わせ処理については、
図3~
図6を参照して、詳細に説明する。
【0037】
[2.位置合わせシステム10を用いる自動搬送車200の位置合わせ方法]
[2-1,自動搬送車200が昇降かご2010に乗車する場合]
図3は、本発明の一実施形態に係る位置合わせシステム10を用いる自動搬送車200の位置合わせ方法を示すフローチャートである。また、
図4A~
図4Cは、本発明の一実施形態に係る位置合わせシステム10を用いる自動搬送車200の位置合わせ方法を説明する模式的な平面図である。具体的には、
図3および
図4A~
図4Cは、自動搬送車200が別の階層へ昇降するために、自動搬送車200が工事用エレベータ2000の昇降かご2010に乗車する際の位置合わせ処理を示す。
【0038】
図3のフローチャートには、主に、位置合わせ処理部214において実行される位置合わせ処理のステップが示されている。以下では、
図4A~
図4Cを参照しながら、
図3のフローチャートに示されるステップS100~ステップS180を順に説明する。なお、
図3のフローチャートは一例であり、ステップを入れ換えてもよい。例えば、ステップS110およびステップS140を入れ替えたフローチャートであっても、位置合わせ処理部214は、位置合わせ処理を実行することができる。
【0039】
ステップS100では、自動走行処理部213が、工事用エレベータ2000の前の所定の位置に自動搬送車200を移動させる(
図4A参照)。所定の位置には第3のビーコン発信器103および第4のビーコン発信器104が設置されているため、自動搬送車200が所定の位置に近づくと、通信部211によって第3のビーコン信号および第4のビーコン信号を受信することができる。自動搬送車200には第1のビーコン発信器101および第2のビーコン発信器102が設置されている。第1のビーコン発信器101および第2のビーコン発信器102のそれぞれは、常に、第1のビーコン信号および第2のビーコン信号を発信していてもよいが、通信部211が第3のビーコン信号および第4のビーコン信号を受信したときに、第1のビーコン発信器101および第2のビーコン発信器102が、それぞれ、第1のビーコン信号および第2のビーコン信号の発信を開始してもよい。なお、第1のビーコン信号および第2のビーコン信号も、通信部211によって受信される。
【0040】
第1のビーコン信号~第4のビーコン信号が受信されると、位置合わせ処理部214による自動搬送車200の位置合わせ処理が実行される。位置合わせ処理部214は、受信された第1のビーコン信号~第4のビーコン信号を記憶部212に格納された識別情報と照合することにより、第1のビーコン信号~第4のビーコン信号が発信された第1のビーコン発信器101~第4のビーコン発信器104を識別する。また、位置合わせ処理部214は、第1のビーコン信号~第4のビーコン信号の、例えば、信号強度などに基づき、第1のビーコン発信器101~第4のビーコン発信器104のそれぞれの位置情報を取得する。さらに、位置合わせ処理部214は、第1のビーコン発信器101~第4のビーコン発信器104のそれぞれの位置情報を地図に登録する。
【0041】
ステップS110では、位置合わせ処理部214が、第2のビーコン発信器102の位置情報が第4のビーコン発信器104の位置情報と一致するか否かを判定する。自動搬送車200が工事用エレベータ2000の前の所定の位置まで移動し、自動搬送車200に設置された第2のビーコン発信器102が床スラブ1030上に設置された第4のビーコン発信器104と重畳すると、地図上では、第2のビーコン発信器102の位置情報と第4のビーコン発信器104とが一致しているように示される。ここで、地図上における2つの位置情報の一致とは、2つの位置情報が完全に一致する場合だけでなく、2つの位置情報が予め設定された距離(以下、「設定距離」として説明する。)に近づいた場合をも含む概念である。そのため、第2のビーコン発信器102が第4のビーコン発信器104に設定距離まで近づいたときも、位置合わせ処理部214は、第2のビーコン発信器102の位置情報が第4のビーコン発信器104の位置情報と一致すると判定される。
【0042】
なお、地図上において、第2のビーコン発信器102の位置情報が、設定距離を有して第4のビーコン発信器104の位置情報と一致するとき、実際には、第2のビーコン発信器102と第4のビーコン発信器104とが重畳していない場合がある。しかしながら、この場合であっても、便宜上、第2のビーコン発信器102が第4のビーコン発信器104と重畳するものとして説明する。
【0043】
第2のビーコン発信器102の位置情報が第4のビーコン発信器104の位置情報と一致するとき(ステップS110:YES)、ステップS130が実行される。第2のビーコン発信器102の位置情報が第4のビーコン発信器104の位置情報と一致しないとき(ステップS110:NO)、ステップS120が実行される。
【0044】
ステップS120では、位置合わせ処理部214が、自動搬送車200の位置を調整する。具体的には、位置合わせ処理部214は、地図上の第2のビーコン発信器102および第4のビーコン発信器104の位置情報に基づき、自動搬送車200を移動させ、自動搬送車200の位置を調整する。ステップS120が終了すると、再びステップS110が実行される。
【0045】
ステップS130では、位置合わせ処理部214が、自動搬送車200を旋回させる(
図4B参照)。具体的には、位置合わせ処理部214は、地図に基づき、第1のビーコン発信器101の位置情報が第3のビーコン発信器103の位置情報と一致するように、自動搬送車200を旋回させる。地図において、第1のビーコン発信器101の位置情報と第2のビーコン発信器102の位置情報とを結ぶ第1の直線と、第3のビーコン発信器103と第4のビーコン発信器104の位置情報とを結ぶ第2の直線とが平行になるとき、位置合わせ処理部214は、自動搬送車200の旋回を停止する。
【0046】
ステップS140では、位置合わせ処理部214が、第1のビーコン発信器101の位置情報が第3のビーコン発信器103の位置情報と一致するか否かを判定する。第1の直線と第2の直線が平行であり、かつ、第1のビーコン発信器101の位置情報が第3のビーコン発信器103の位置情報とが一致する場合、平面視において、自動搬送車200に設置された第1のビーコン発信器101および第2のビーコン発信器102、ならびに
乗車かご2010の床面2011に設置された第5のビーコン発信器105は、概ね一直線上に存在することになる。
【0047】
第1のビーコン発信器101の位置情報が第3のビーコン発信器103の位置情報と一致するとき(ステップS140:YES)、ステップS160が実行される。第1のビーコン発信器101の位置情報が第3のビーコン発信器103の位置情報と一致しないとき(ステップS140:NO)、ステップS150が実行される。
【0048】
ステップS150では、位置合わせ処理部214が、自動搬送車200の位置を調整する。具体的には、位置合わせ処理部214は、地図において、第1の直線と第2の直線との平行を維持しながら、自動搬送車200を移動させ、自動搬送車200の位置を調整する。ステップS150が終了すると、再びステップS140が実行される。
【0049】
ステップS160では、位置合わせ処理部214が、自動搬送車200を前進させる(
図4C参照)。これにより、自動搬送車200は、工事用エレベータ2000の乗車かご2010に乗車する。ステップS130およびステップS140により、工事用エレベータ2000前の所定の位置で自動搬送車200の位置合わせが行われているため、自動搬送車200は、特定の方向(エレベータ乗車方向)から乗車用かご2010に乗車することができる。
【0050】
ステップS170では、位置合わせ処理部214が、第1のビーコン発信器101の位置情報が第5のビーコン発信器105の位置情報と一致するか否かを判定する。第5のビーコン発信器105は、自動搬送車200が乗車かご200に乗車したときに、台車3000および資材3100が乗車かご2010からはみ出すことなく乗車かご2010内に収容されるように、第1のビーコン発信器101と重畳する位置に設置されている。そのため、第1のビーコン発信器101の位置情報が第5のビーコン発信器105の位置情報と一致するとき、自動搬送車200は、乗車かご2010に正常に乗車されたと判定することができ、自動搬送車200の移動が停止される。換言すると、ステップS170では、乗車かご2010内における自動搬送車200の停止位置の位置合わせが行われる。
【0051】
第1のビーコン発信器101の位置情報が第5のビーコン発信器105の位置情報と一致するとき(ステップS170:YES)、位置合わせ処理部214が実行する位置合わせ処理を終了する。第1のビーコン発信器101の位置情報が第5のビーコン発信器105の位置情報と一致するとき(ステップS170:NO)、ステップS180が実行される。
【0052】
ステップS180では、自動搬送車200を停止させる。自動搬送車200が、予め設定された所定の距離だけ前進しても、第1のビーコン発信器101の位置情報が第5のビーコン発信器105の位置情報と一致しない場合、自動搬送車200が前進した際にエレベータ乗車方向がずれた可能性がある。その場合、自動搬送車200がそのまま前進してしまうと、自動搬送車200が乗車かご2010の壁に衝突してしまい、資材3100が乗車かご2010内に散乱する可能性がある。そのため、自動搬送車200を停止させ、作業者が自動搬送車200の状態を確認することができるようにする。
【0053】
なお、ステップS180による停止の構成はこれに限られない。例えば、自動搬送車200は、前面にバンパーセンサ、測距センサ、または緊急停止ボタンなどを備え、これらの信号に基づき、自動搬送車200が停止されてもよい。
【0054】
[2-2.自動搬送車200が昇降かご2010から降車する場合]
図5は、本発明の一実施形態に係る位置合わせシステム10を用いる自動搬送車200の位置合わせ方法を示すフローチャートである。また、
図6は、本発明の一実施形態に係る位置合わせシステム10を用いる自動搬送車200の位置合わせ方法を説明する模式的な平面図である。具体的には、
図5および
図6は、自動搬送車200が工事用エレベータ2000の昇降かご2010から降車する際の位置合わせ処理を示す。
【0055】
図5のフローチャートには、主に、位置合わせ処理部214において実行される位置合わせ処理のステップが示されている。以下では、
図6を参照しながら、
図5のフローチャートに示されるステップS200~ステップS250を順に説明する。なお、
図5のフローチャートは一例であり、これに限定されない。
【0056】
ステップS200では、位置合わせ処理部214が、自動搬送車200を後退させる(
図6参照)。これにより、自動搬送車200は、工事用エレベータ2000の乗車かご2010から降車する。昇降かご2010内の自動搬送車200は、昇降かご2010に乗車する際に位置合わせが行われ、特定の方向を向いている。そのため、自動搬送車200は、特定の方向に後退しながら降車することができる。
【0057】
ステップS210では、位置合わせ処理部214が、第2のビーコン発信器102の位置情報が第4のビーコン発信器104の位置情報と一致するか否かを判定する。自動搬送車200は、第3のビーコン発信器103と第4のビーコン発信器104とを結ぶ直線の方向に対応する特定の方向に後退しているため、基本的には、第2のビーコン発信器102は、第4のビーコン発信器104と重畳することとなる。
【0058】
第2のビーコン発信器102の位置情報が第4のビーコン発信器104の位置情報と一致するとき(ステップS210:YES)、ステップS240が実行される。第2のビーコン発信器102の位置情報が第4のビーコン発信器104の位置情報と一致しないとき(ステップS210:NO)、ステップS220が実行される。
【0059】
ステップS220では、位置合わせ処理部214が、第1のビーコン発信器101の位置情報が第3のビーコン発信器103の位置情報と一致するか否かを判定する。上述したように、自動搬送車200は特定の方向に後退しているため、第2のビーコン発信器102が第4のビーコン発信器104と重畳しない場合でも、第1のビーコン発信器101が第3のビーコン発信器103と重畳する場合がある。また、自動搬送車200が後退する距離が短い場合もあり得る。
【0060】
第1のビーコン発信器101の位置情報が第3のビーコン発信器103の位置情報と一するとき(ステップS220:YES)、ステップS230が実行される。第1のビーコン発信器101の位置情報が第3のビーコン発信器103の位置情報と一致しないとき(ステップS220:NO)、再びステップS200が実行される。但し、自動搬送車200が、予め設定された所定の距離だけ後退しても、第1のビーコン発信器101の位置情報が第3のビーコン発信器103の位置情報と一致せず、かつ、第2のビーコン発信器102の位置情報が第4のビーコン発信器104の位置情報と一致しない場合には、自動搬送車200が後退する際に後退する方向がずれた可能性がある。その場合、自動搬送車200を停止させ、作業者が自動搬送車200の状態を確認することができるようにする。
【0061】
ステップS230では、位置合わせ処理部214が、自動搬送車200の位置を調整する。具体的には、位置合わせ処理部214は、地図において、第1の直線と第2の直線との平行を維持しながら、自動搬送車200を移動させ、自動搬送車200の位置を調整する。ステップS230が終了すると、再びステップS210が実行される。
【0062】
ステップS240では、位置合わせ処理部214が、第1のビーコン発信器101の位置情報が第3のビーコン発信器103の位置情報と一致するか否かを判定する。第1のビーコン発信器101の位置情報が第3のビーコン発信器103の位置情報と一致し、かつ、第2のビーコン発信器102の位置情報が第4のビーコン発信器104の位置情報と一致する場合には、自動搬送車200が所定の位置で特定の方向を向いている。すなわち、昇降かご2010から降車した自動搬送車200は、その階層での位置合わせが行われたこととなる。
【0063】
第1のビーコン発信器101の位置情報が第3のビーコン発信器103の位置情報と一するとき(ステップS240:YES)、位置合わせ処理部214が実行する位置合わせ処理を終了する。第1のビーコン発信器101の位置情報が第3のビーコン発信器103の位置情報と一致しないとき(ステップS240:NO)、ステップS250が実行される。
【0064】
ステップS250では、位置合わせ処理部214が、自動搬送車200の位置を調整する。具体的には、位置合わせ処理部214は、地図において、第1の直線と第2の直線との平行を維持しながら、自動搬送車200を移動させ、自動搬送車200の位置を調整する。ステップS230が終了すると、再びステップS240が実行される。
【0065】
位置合わせシステム10は、さまざまな変形が可能である。例えば、自動搬送車200に設置される第1のビーコン発信器101と第2のビーコン発信器102とは、自動搬送車200の左右方向に沿って配置されていてもよい。この場合、床スラブ1030に設置される第3のビーコン発信器103と第4のビーコン発信器104とは、X方向に沿って配置される。また、自動搬送車200が乗車かご2010に乗車したときに、第5のビーコン発信器105は、第2のビーコン発信器102と重畳するように配置されてもよい。
【0066】
以上説明したように、位置合わせシステム10によれば、工事用エレベータ2000の前で自動搬送車200の位置合わせが行われるため、自動搬送車200は、特定の方向(エレベータ乗車方向)から工事用エレベータ2000に乗車することができる。また、乗車かご2010内において、自動搬送車200の停止位置の位置合わせが行われる。さらに、自動搬送車200が昇降した先の階層においても、位置合わせが行われる。したがって、位置合わせシステム13を利用した自動搬送車200の自動搬送では、工事用エレベータ2000の昇降において自動搬送の停止が低減され、工事現場における自動化を促進させることができる。
【0067】
<第2実施形態>
図7および
図8を参照して、本発明の一実施形態に係る位置合わせシステム11について説明する。以下では、位置合わせシステム11の構成に、位置合わせシステム10の構成の構成要素が含まれるとき、その構成要素の説明を省略する場合がある。
【0068】
図7は、本発明の一実施形態に係る位置合わせシステム11の利用態様および構成を説明する模式的な平面図である。また、
図8は、本発明の一実施形態に係る位置合わせシステム11の構成を示すブロック図である。
【0069】
位置合わせシステム11は、第1の送信器111~第3の送信器113、第1の受信器121、第2の受信器122、および制御装置210を含む。第1の送信器111~第3の送信器113は、それぞれが固有のID情報を有するID信号を送信することができる。また、第1の受信器121および第2の受信器122は、それぞれ、ネットワークNWを介して、予め登録されたID信号を受信することができる。
【0070】
第1の送信器111および第2の送信器112は、停止している昇降かご2010の前の床スラブ1030上に設置される。平面視において、第1の送信器111および第2の送信器112は、昇降かご2010の床面2011の中心線(より具体的には、
図7において、昇降かご2010の床面2011の中心を通り、Y方向に沿った直線)上に配置されている。なお、以下では、便宜上、第1の送信器111が、第2の送信器112よりも昇降かご2010に近い位置に設置されているものとして説明する。
【0071】
第3の送信器113は、昇降かご2010の床面2011上に設置される。平面視において、第3の送信器113は、昇降かご2010の中心線上に配置されている。また、平面視において、第3の送信器113は、床面2011の中心よりも奥側に位置するように設置される。
【0072】
第1の受信器121および第2の受信器122は、自動搬送車200の底面に設置される。但し、第1の受信器121および第2の受信器122の設置位置はこれに限られない。第1の受信器121および第2の受信器122は、自動搬送車200の前後方向に沿って配置されている。第1の受信器121と第2の受信器122との間の距離は、第1の送信器111と第2の送信器112との間の距離と略同一である。なお、以下では、便宜上、自動搬送車200の前方および後方に、それぞれ、第1の受信器121および第2の受信器122が設置されているものとして説明する
【0073】
位置合わせシステム11では、第1の受信器121に、第1の送信器111が有する第1のID情報および第3の送信器113が有する第3のID情報が予め登録されている。また、第2の受信器122に、第2の送信器112が有する第2のID情報が登録されている。そのため、第1の受信器121は、第1のID情報を識別し、第1の送信器111が送信する第1のID信号を受信することができる。また、第1の受信器121は、第3のID情報を識別し、第3の送信器113が送信する第3のID信号を受信することができる。第2の受信器122は、第2のID情報を識別し、第2の送信器112が送信する第2のID信号を受信することができる。
【0074】
自動搬送車200が工事用エレベータ2000の前の所定の位置に移動すると、第1の受信器121および第2の受信器122は、それぞれ、第1のID信号および第2のID信号を受信する。位置合わせ処理部214は、第1のID信号および第2のID信号のそれぞれの強度などに基づき、第1の送信器111および第2の送信器112の位置情報を取得する。また、位置合わせ処理部214は、第1の送信器111および第2の送信器112の位置情報に基づき、第1の受信器121および第2の受信器122が、それぞれ、第1の送信器111および第2の送信器112と重畳するように、自動搬送車200の位置合わせを行う。これにより、自動搬送車200のエレベータ乗車方向が決定される。
【0075】
その後、自動搬送車200は、工事用エレベータ2000に乗車する。このとき、第1の受信器121は、第3のID信号を受信する。位置合わせ処理部214は、第3のID信号の強度などに基づき、第3の送信器113の位置情報を取得する。また、位置合わせ処理部214は、第3の位置情報に基づき、第1の受信器121が第3の送信器113と重畳するように、自動搬送車200の位置合わせを行う。これにより、自動搬送車200は、乗車かご2010から台車3000および資材3100がはみ出すことなく、工事用エレベータ2000に乗車し、階層間を昇降することができる。
【0076】
以上説明したように、位置合わせシステム11によれば、工事用エレベータ2000の前で自動搬送車200の位置合わせが行われるため、自動搬送車200は、特定の方向(エレベータ乗車方向)から工事用エレベータ2000に乗車することができる。また、乗車かご2010内において、自動搬送車200の停止位置の位置合わせが行われる。したがって、位置合わせシステム13を利用した自動搬送車200の自動搬送では、工事用エレベータ2000の昇降において自動搬送が停止する頻度が低減され、工事現場における自動化を促進させることができる。
【0077】
<第3実施形態>
図9および
図10を参照して、本発明の一実施形態に係る位置合わせシステム13について説明する。以下では、位置合わせシステム13の構成に、位置合わせシステム10の構成の構成要素が含まれるとき、その構成要素の説明を省略する場合がある。
【0078】
図7は、本発明の一実施形態に係る位置合わせシステム11の利用態様および構成を説明する模式的な平面図である。また、
図8は、本発明の一実施形態に係る位置合わせシステム11の構成を示すブロック図である。
【0079】
位置合わせシステム13は、第1の被検出体131~第3の被検出体133、第1の検出器141、第2の検出器142、および制御装置210を含む。例えば、第1の被検出体131~第3の被検出体133は、磁界を生成する磁石、光を射出する発光素子、または所定の形状を有するマーカ部材である。第1の検出器141および第2の検出器142は、第1の被検出体131~第3の被検出体133を検出することができる。具体的には、第1の被検出体131~第3の被検出体133が磁石であるとき、例えば、第1の検出器141および第2の検出器142は磁気センサである。また、第1の被検出体131~第3の被検出体133が発光素子であるとき、例えば、第1の検出器141および第2の検出器142は光センサである。また、第1の被検出体131~第3の被検出体がマーカ部材であるとき、例えば、第1の検出器141および第2の検出器142はカメラである。
【0080】
第1の検出器141と第2の検出器142とは、同じ検出方式の構成であってもよく、異なる検出方式の構成であってもよい。第1の被検出体131と第2の被検出体132との距離は、比較的小さい。そのため、第1の被検出体131および第2の被検出体132が磁石である場合、第1の検出器141および第2の検出器142は、第1の被検出体131および第2の被検出体132のそれぞれが生成する磁界を区別することが困難である。そのため、第1の被検出体131を磁石とする場合、第2の被検出体132は磁石と異なる構成であることが好ましい。これに対し、第1の被検出体131および第2の被検出体132が発光素子である場合、それぞれの発光素子の色を変えることにより、第1の検出器141および第2の検出器142は、第1の被検出体131および第2の被検出体132のそれぞれが出射する光を識別することが可能である。また、第1の被検出体131および第2の被検出体132がマーカ部材である場合、それぞれの形状を変えることにより、第1の検出器141および第2の検出器142は、第1の被検出体131および第2の被検出体132の形状を識別することが可能である。
【0081】
第1の被検出体131および第2の被検出体132は、停止している昇降かご2010の前の床スラブ1030上に設置される。平面視において、第1の被検出体131および第2の被検出体132は、昇降かご2010の床面2011の中心線(より具体的には、
図7において、昇降かご2010の床面2011の中心を通り、Y方向に沿った直線)上に配置されている。なお、以下では、便宜上、第1の被検出体131が、第2の被検出体132よりも昇降かご2010に近い位置に設置されているものとして説明する。
【0082】
第3の被検出体133は、昇降かご2010の床面2011上に設置される。平面視において、第3の被検出体133は、昇降かご2010の中心線上に配置されている。また、平面視において、第3の被検出体133は、床面2011の中心よりも奥側に位置するように設置される。
【0083】
第1の検出器141および第2の検出器142は、自動搬送車200の底面に設置される。但し、第1の検出器141および第2の検出器142の設置位置はこれに限られない。第1の検出器141および第2の検出器142は、自動搬送車200の前後方向に沿って配置されている。第1の検出器141と第2の検出器142との間の距離は、第1の被検出体131と第2の被検出体132との間の距離と略同一である。なお、以下では、便宜上、自動搬送車200の前方および後方に、それぞれ、第1の検出器141および第2の検出器142が設置されているものとして説明する。
【0084】
位置合わせシステム13では、自動搬送車200が工事用エレベータ2000の前の所定の位置に移動すると、位置合わせ処理部214は、第1の検出器141および第2の検出器142が、それぞれ、第1の被検出体131および第2の被検出体132を検出するように、自動搬送車200の位置合わせを行う。これにより、自動搬送車200のエレベータの乗車方向が決定される。
【0085】
その後、自動搬送車200は、工事用エレベータ2000に乗車する。このとき、位置合わせ処理部214は、第3の被検出体133を検出するように、自動搬送車200の位置合わせを行う。これにより、自動搬送車200は、乗車かご2010から台車3000および資材3100がはみ出すことなく、工事用エレベータ2000に乗車し、階層間を昇降することができる。
【0086】
以上説明したように、位置合わせシステム13によれば、工事用エレベータ2000の前で自動搬送車200の位置合わせが行われるため、自動搬送車200は、特定の方向(エレベータ乗車方向)から工事用エレベータ2000に乗車することができる。また、乗車かご2010内において、自動搬送車200の停止位置の位置合わせが行われる。したがって、位置合わせシステム13を利用した自動搬送車200の自動搬送では、工事用エレベータ2000の昇降において自動搬送が停止する頻度が低減され、工事現場における自動化を促進させることができる。
【0087】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または工程の追加、省略、もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0088】
上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0089】
10、11、13:位置合わせシステム、 101:第1のビーコン発信器、 102:第2のビーコン発信器、 103:第3のビーコン発信器、 104:第4のビーコン発信器、 105:第5のビーコン発信器、 111:第1の送信器、 112:第2の送信器、 113:第3の送信器、 121:第1の受信器、 122:第2の受信器、 131:第1の被検出体、 132:第2の被検出体、 133:第3の被検出体、 141:第1の検出器、 142:第2の検出器、 200:自動搬送車、 210:制御装置、 211:通信部、 212:記憶部、 213:自動走行処理部、 214:位置合わせ処理部、 1000:建築物、 1010:柱、 1020:梁、 1030:床スラブ、 2000:工事用エレベータ、 2011:床面、 2020:昇降駆動装置、 2030:支柱、 3000:台車、 3100:資材