(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168151
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】動物の頸部に装着されるリードおよびその装着方法
(51)【国際特許分類】
A01K 27/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A01K27/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084588
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】323005348
【氏名又は名称】株式会社エコロジカル・サポート
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】村井 佐千子
(57)【要約】
【課題】犬などの動物に直に手を触れなくても着脱できるリードを提供する。
【解決手段】リード10は、頸部2に首輪状に装着される部分22を含む細長い部材20と、細長い部材の一方の第1の端25に取り付けられた第1のリード部11とを含む。第1のリード部11は、第1の端25を含むベルトが反対側の第2の端26の第2のリング28を通過するように設けられている。このリード10は、第1のリード部11と第2のリード部12とを手で持って離し、ベルト20を広げた状態で頸部2の周りに配置する。第1のリード部11を持ち上げて第2のリード部12と第2の端26とを近づけ、ベルト20の首輪35を作る部分を頸部2に装着できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の頸部に装着されるリードであって、
前記頸部に首輪状に装着される部分を含む細長い部材と、
前記細長い部材の一方の第1の端に取り付けられた第1のリード部であって、前記第1の端を含む前記細長い部材が前記細長い部材の反対側の第2の端のリング状の部材を通過するように設けられた第1のリード部と、
前記細長い部材のほぼ中間に取り付けられた第2のリード部とを有する、リード。
【請求項2】
請求項1において、
前記細長い部材はベルト状である、リード。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1の端が、前記細長い部材の前記第2のリード部が取り付けられた位置に到達するように、前記第2のリード部の他方の端が前記第1のリード部の途中に固定されている、リード。
【請求項4】
リードを動物の頸部に装着する方法であって、
前記リードは、前記頸部に首輪状に装着される部分を含む細長い部材と、
前記細長い部材の一方の第1の端に取り付けられた第1のリード部であって、前記第1の端を含む前記細長い部材が前記細長い部材の反対側の第2の端のリング状の部材を通過するように設けられた第1のリード部と、
前記細長い部材の中間に取り付けられた第2のリード部とを有し、
前記第1のリード部と前記第2のリード部とを離し、前記細長い部材の前記第2のリード部が取り付けられた部分と前記第1の端とを離して前記細長い部材を広げた状態で前記頸部の周りに配置することと、
前記第1のリード部を持ち上げて前記第1の端を含む前記細長い部材の一部を前記リング状の部材に通過させて、前記第2のリード部と前記第2の端とを近づけて前記細長い部材の前記第2の端に繋がる部分を前記頸部に首輪状に取り付けることと、
前記第1のリード部と前記第2のリード部とを離すことにより前記細長い部材を広げて前記頸部から前記細長い部材を取り外すこととを有する、方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1のリード部の途中に前記第2のリード部の他方の端が固定されており、前記第2のリード部の長さが、前記第1のリード部の前記第1の端から前記固定された位置までの長さに、前記細長い部材の前記第1の端から前記第2のリード部が取り付けられた位置までの長さを加えたものであり、
前記第1のリード部を把持することにより、前記リードが装着された動物を操作することを有する、方法。
【請求項6】
動物の頸部に装着される細長い部材を含む首輪用の部材であって、
前記細長い部材は、第1のリード部に繋がる第1の端を含む第1の部分と、
前記第1の部分に繋がる第2の部分であって、前記第1の端と反対側の第2の端に前記第1の端を含む前記第1の部分が通過可能な第1のリング状の部材を含む第2の部分と、
前記第1の部分と前記第2の部分の境界付近に第2のリード部を取り付けるための取り付け部分とを有する、首輪用の部材。
【請求項7】
請求項6において、
前記細長い部材は、少なくとも前記第2の部分がベルト状である、首輪用の部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の頸部に装着されるリードおよびその装着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、引き紐を連結したときには、首や胴に確実に装着され、引き紐を外したときには、緩やかに装着される愛玩動物用の首及び胴の輪を提供することが記載されている。この首輪は、布製の帯び紐、及びゴム紐を有している。帯び紐は、ゴム紐よりも短い枝紐を持つ。この枝紐の一端には、D型連結環を係止している。また、帯び紐の一端には、大丸型連結環を連結している。この首輪のゴム紐を伸ばして、この首輪を大きくしつつ、この首輪を犬の頭部に滑り込ませて首に装着する。この状態では、首輪が犬の首に緩やかに装着され、犬の首が圧迫されることはない。引き紐の一端のフックを首輪のD型連結環と大丸型連結環に通すと、D型連結環と大丸型連結環が相互に引き寄せられる。これにより、首輪が適宜に引き締まり、この首輪が犬の首に確実に装着され、引き紐を引いて、犬を制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、保護された動物、典型的には犬の一部は人に慣れておらず、譲渡先を見つけるためには人馴れ訓練・しつけを行うことが必要となっている。そのような訓練において、対象となる動物に、訓練側の意思を伝達するためにリード(引き綱)を装着することは重要である。一方、人に慣れていない動物に対し、訓練士やボランティアが傷つくことなく首輪やリードを取り付ける作業は困難を伴うことが多い。本発明においては、犬などの動物に直に触れなくても着脱することが容易な首輪を含めたリードを提供することを目的としている。また、人に慣れていない犬や猫などであっても、訓練士、ボランティア、あるいは飼い主が傷つく恐れが少ない状態で着脱できる首輪やリードを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、犬などの動物の頸部に装着される、首輪を含むリードである。このリードは、頸部に首輪状に装着される部分を含む細長い部材と、細長い部材の一方の第1の端に取り付けられた第1のリード部であって、第1の端を含む細長い部材が、その反対側の第2の端のリング状の部材を通過するように設けられた第1のリード部と、細長い部材のほぼ中間に取り付けられた第2のリード部とを有する。このリードは、細長い部材の第1の端を反対側の第2の端のリング状の部材に通すことにより、細長い部材によりリングを形成できる。
【0006】
このリードは、まず、第1のリード部と第2のリード部とを離すことにより、細長い部材の第2のリード部が取り付けられた部分と第1の端とを離して細長い部材を広げた状態で頸部の周りに配置することができる。すなわち、第1のリード部と第2のリード部とを把持することにより、動物に触れずに、離れた状態で、細長い部材を頸部の周りに配置(装着)できる。
【0007】
次に、第1のリード部を持ち上げて第1の端を含む細長い部材の一部をリング状の部材に通過させて、第2のリード部と第2の端とを近づける。これにより、細長い部材の第2の端に繋がる部分を頸部に首輪状に取り付けることができる。すなわち、第1のリード部を操作することにより、動物に触れずに、動物の頸部に第1のリード部に繋がった首輪を装着できる。また、第1のリード部を引っ張ることにより細長い部材によるリングが縮むと、第2の端のリング状の部材が第2のリード部に到達する。このため、第2のリード部がストッパとなってリングは縮まなくなる。したがって、細長い部材による首輪により頸部を過度に締め付けることなく、動物に過度な負荷をかけずにリードを装着できる。したがって、頸部に装着された首輪に繋がったリードを操作することにより、動物を訓練したり、散歩などの運動に連れて行ったり、所定の場所に繋いでおくことができる。
【0008】
リードを外すときは、第1のリード部と第2のリード部とを離すことにより、細長い部材を広げて頸部から細長い部材を取り外すことができる。したがって、動物に触れずに、動物の頸部から首輪を含めてリードを外すことが可能となる。したがって、犬などの動物に、訓練士、ボランティア、あるいは飼い主が直に触れなくても、リードを着脱することが可能な、首輪を含めたリードを提供できる。このため、人に慣れていない犬や猫などの動物であっても、訓練士、ボランティア、あるいは飼い主が傷つく恐れが少ない状態でリードを着脱でき、安全に、動物の訓練や運動などを行うことができる。
【0009】
細長い部材はベルト状(帯状)であってもよく、特に、頸部に触れる部分は幅が広い帯状であってもよい。首輪を装着した後は、第1のリード部と第2のリード部とを同時に引いてもよい。第1のリード部の途中に第2のリード部の他方の端を固定し、第2のリード部の長さを、第1のリード部の第1の端から固定された長さに、細長い部材の第1の端から第2のリード部が取り付けられた位置までの長さを加えた程度にしておいてもよい。第1のリード部を引くだけで、第1の端と第2のリード部の取り付けられた部分とが離れることを防止でき、細長い部材の一部からなる首輪が緩むことを防止できる。したがって、第1のリード部を把持することにより、リードが装着された動物を操作することができる。
【0010】
本発明の他の態様の1つは、動物の頸部に装着される細長い部材を含む首輪用の部材である。細長い部材は、第1のリード部に繋がる第1の端を含む第1の部分と、第1の部分に繋がる第2の部分であって、第1の端と反対側の第2の端に第1の端を含む第1の部分が通過可能な第1のリング状の部材を含む第2の部分と、第1の部分と第2の部分の境界付近に第2のリード部を取り付けるための取り付け部分とを有する。細長い部材は少なくとも第2の部分がベルト状(帯状)であってもよい。第2の部分が頸部に触れることになるためである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】リードのベルトを縮めて首輪にした状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1および
図2に、本発明に係るリードを示している。このリード10は、犬、猫などを含む動物1の頸部2に装着されるリード10である。リード10は、頸部2に首輪状に装着される部分22を含む細長い部材(ストリング、ベルト)20と、細長い部材20の一方の第1の端25に取り付けられた第1のリード部11と、細長い部材20のほぼ中間23に設けられた取り付け部(中間リング)29に取り付けられた第2のリード部12とを含む。第1のリード部11は、第1の端25を含む細長い部材20が細長い部材20の反対側の第2の端26のリング状の部材(第2のリング)28を通過するように設けられている。本例においては、第1のリード部11は、第1の端25に設けられたリング状の部材(第1のリング)27にフック15により着脱可能に取り付けられている。
【0013】
図3に、細長い部材20を抜き出して示している。本例は、全体が帯状のベルト30によりリード10に用いられる細長い部材20を構成しているが、細長い部材20は、全体が紐状の部材であってもよく、頸部2に当たる首輪となる部分(第2の部分)22が帯状(ベルト)であってもよく、全体の幅が異なってもよい。また、細長い部材20は装着される動物1の頸部2に適した長さで形成することが可能であり、細長い部材20の途中に長さを調整するための機構を含んでいてもよい。細長い部材20は、リード10の第1のリード部11および第2のリード部12と一体で提供されてもよく、
図3に示すように、第1のリード部11および第2のリード部12が着脱可能なベルト30として提供されてもよい。なお、以降においては、細長い部材20をベルトとして参照する。
【0014】
ベルト20(30)は、動物1の頸部2に装着される首輪用の部材であって、第1のリード部11に繋がる第1の端25を含む第1の部分21と、第1の部分21に繋がる第2の部分22であって、第1の端25と反対側の第2の端26に第1の端25を含む第1の部分21が通過可能な第1のリング状の部材(第2のリング)28を含む第2の部分22と、第1の部分21と第2の部分22の境界付近23に第2のリード部12を取り付けるための取り付け部分(中間リング)29とを有する。本例では、第1の端25には第1のリード部11を着脱可能に取り付けるための第1のリング27が設けられている。
【0015】
図1に示すように、ベルト20の第1の端25を、第1のリング27を含めて、第2の端26の第2のリング28に通して輪(首輪状)とする。さらに、第1のリング27に取り付けられた第1のリード部11と、中間リング29に取り付けられた第2のリード部12とを、矢印51および52に示すように、第1のリード部11および第2のリード部12を離して持ち上げることにより、ベルト20で大きな輪を作ることができる。すなわち、第1のリード部11に対して第2のリード部12を離し、ベルト20の第2のリード部12が取り付けられた中間リング29を第1の端25から離してベルト20を持ちあげることにより、ベルト20を広げた状態にできる。
【0016】
一方、
図2の矢印53に示すように、第1のリード部11を持ち上げて第1の端25を含むベルト20の第1の部分21を第2の端26の第2のリング28に通過させて、第2のリード部12と第2の端26とを近づける。これにより、ベルト20の第2の端26に繋がる第2の部分22を首輪35となるように縮めることができる。第1のリード部11を引っ張ることによりベルト20による首輪35が縮むと、第2の端26の第2のリング28が第2のリード部12に到達し動かなくなる。このため、第2のリード部12がストッパとなって首輪35は縮まなくなる。この状態で、矢印54に示すように、第2のリード部12を、第1のリード部11とともに引っ張ることにより、首輪35が緩むことを防止できる。一方、第2のリード部12だけを引っ張ることにより、ベルト20を緩めて、首輪35を広げることができる。
【0017】
図4および
図5に、本例のリード10を動物(犬)1に着脱する様子を示している。
図4に示すように、リード10の第1のリード部11と第2のリード部12とを手9で持って持ち上げながら離すと、ベルト20の第2のリード部12が取り付けられた中間リング29と第1の端25とが離れて、輪になったベルト20が広がる。したがって、第1のリード部11および第2のリード部12を手9で持ち、ベルト20が広がった状態で、犬1に手を触れずに、犬1の頭部(頭)3を通して頸部(首)2の周りにベルト20を配置することができる。
【0018】
図5に示すように、次に、ベルト20の第1の端25を含めて反対側の端26の第2のリング28を通した状態で第1のリード部11を持ち上げる(引っ張る)と、ベルト20の第1の部分21が第2のリング28を通過し、第2のリード部12が取り付けられた中間リング29と第2の端26の第2のリング28とが近づく。このため、ベルト20が狭まり、ベルト20による輪が縮み、ベルト20の第2の端26に繋がる第2の部分22を頸部2に首輪35として取り付けることができる。この際、第2のリード部12が取り付けられた中間リング29が、ベルト20の第2の端26の第2のリング28と当たると、第2のリング28と第2のリード部12とが干渉し、第2のリード部12がストッパとなって、それ以上、ベルト20は動かない。したがって、ベルト20により形成される首輪35は、そのサイズから狭まらず、一定の径を備えた首輪35として頸部2に装着できる。このため、第1のリード部11および/または第2のリード部12を引っ張ったときに、犬1の首2に過度の負荷を与えることを防止できる。
【0019】
このように、本例のリード10は、第1のリード部11および第2のリード部12を引っ張ることにより、調教師、ボランティアまたは飼い主が、犬1に手を触れずに首輪35を装着することができ、首輪35を介して犬1に意思を伝達できる。このため、犬1に手を触れずに、リード10を装着して、リード10を介して犬1を訓練や運動などのために操作(制御)することが可能となる。
【0020】
さらに、本例のリード10は、第1のリード部11の途中(途中の位置)13に第2のリード部12の他方の端が固定されており、第2のリード部12の長さが、第1のリード部11の第1の端25から固定された位置13までの長さに、ベルト20の第1の端25から中間リング29(第2のリード部12が取り付けられた位置)までの長さを加えたものとほぼ等しくなるように設定されている。このため、第1のリード部11を引っ張るだけで、その途中13に固定された第2のリード12の緩みがほとんどない状態で引っ張ることができ、ベルト20により構成される首輪35が緩むことを防止できる。したがって、第1のリード部11を把持したり、巻き取り装置16などを介して引っ張るだけで、リード10が装着された犬(動物)1を安全に操作することができる。
【0021】
リード10を犬1から取り外すときは、
図4に示すように、第1のリード部11と第2のリード部12とをそれぞれ手9で持って、それらを離すことにより、ベルト20により形成される輪(首輪)35を広げて、ベルト20を頸部2から頭部3を通して犬1から取り外すことができる。
【0022】
このように、リード10は、人に慣れていない犬や猫などの動物1に対し、訓練士、ボランティア、あるいは飼い主が傷つく恐れが少ない状態でリード10を着脱でき、安全に、動物の訓練や運動などを行うことができる。
【符号の説明】
【0023】
1 動物(犬)、 2 頸部(首)
10 リード、 20 ベルト(細長い部材)