(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168157
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/04 20060101AFI20241128BHJP
H02K 21/24 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H02K3/04 D
H02K21/24 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084596
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】牧志 渉
(72)【発明者】
【氏名】上辻 清
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智則
(72)【発明者】
【氏名】菊池 駿介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 康平
【テーマコード(参考)】
5H603
5H621
【Fターム(参考)】
5H603AA09
5H603BB01
5H603BB07
5H603BB14
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB02
5H603CB03
5H603CC14
5H603CC19
5H603CD02
5H603CD24
5H603CE06
5H621BB01
5H621BB02
5H621BB06
5H621BB10
(57)【要約】
【課題】生産性を向上できるモータを提供する。
【解決手段】ステータは、回転軸の軸方向に積層された第1環状コイル21及び第2環状コイル22を有する。第1環状コイル21は、回転軸の周方向に分割された第1及び第2分割コイル51,52によって構成されている。第2環状コイル22は、回転軸の周方向に分割された第3及び第4分割コイル53,54によって構成されている。第1及び第3分割コイル51,53は、第1端部51a,53a同士が接続されるとともに第2端部同士が接続されることにより第1分割コイル接続体20aを構成している。第2及び第4分割コイル52,54は、第1端部同士が接続されるとともに第2端部52b,54b同士が接続されることにより第2分割コイル接続体20bを構成している。第2環状コイル22の各分割位置P1は、第1環状コイル21の各分割位置P1に対して回転軸の周方向に隣接間隔Dずれるように配置される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に固定されたロータと前記回転軸の軸方向において前記ロータと積層されたステータとを備え、
前記ステータは、前記回転軸の周方向に分割された複数の分割コイルによって構成される円環状の環状コイルを有し、
前記環状コイルは、前記回転軸の周方向に1相ずつずらした状態で分布巻きされるとともに三相交流電流が印加されるU相、V相、及びW相のコイルを有し、
各相の前記コイルは、前記環状コイルの径方向に延びる複数の第1導電部と、前記環状コイルの径方向に延びる複数の第2導電部とを有し、
前記第1導電部と前記第2導電部は、前記環状コイルの軸方向において異なる位置に設けられるとともに前記環状コイルの周方向において交互に配置され、
前記環状コイルの周方向に隣り合う同相の前記第1導電部と前記第2導電部において、前記第1導電部を流れる電流の方向と前記第2導電部を流れる電流の方向とは反対方向であるモータであって、
前記ステータは、前記環状コイルをもう1つ有し、
2つの前記環状コイルのうち、一方を第1環状コイルとし、他方を第2環状コイルとしたとき、前記第2環状コイルは、前記第1環状コイルと前記回転軸の軸方向に積層され、
前記第1環状コイルの前記分割コイルを第1分割コイルとし、前記第2環状コイルの前記分割コイルを第2分割コイルとしたとき、
前記第1分割コイルと前記第2分割コイルは、前記第1分割コイルの周方向の第1端部と前記第2分割コイルの周方向の第1端部とが第1接続部により同相同士で電気的に接続されるとともに、前記第1分割コイルの周方向の第2端部と前記第2分割コイルの周方向の第2端部とが第2接続部により同相同士で電気的に接続されることによって、分割コイル接続体を構成し、
渡線で接続される同相の前記第1導電部と前記第2導電部との周方向の間隔を隣接間隔としたとき、前記第2環状コイルの分割位置は、前記第1環状コイルの分割位置に対して前記回転軸の周方向に前記隣接間隔の奇数倍だけずれるように配置されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記第2環状コイルの分割位置は、前記第1環状コイルの分割位置に対して前記回転軸の周方向に前記隣接間隔の1倍だけずれるように配置されている請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記第1分割コイルと前記第2分割コイルとは、前記第1分割コイルと前記第2分割コイルとの間に介在する接着層によって互いに固定されている請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記分割コイル接続体同士は、前記第1環状コイル及び前記第2環状コイルの外周側において直列接続されている請求項1に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
アキシャル型のモータは、回転軸に固定されたロータと、回転軸の軸方向においてロータと積層されたステータとを備えている。特許文献1では、ステータは、回転軸の周方向に分割された複数の固定子セグメントによって構成されている。各固定子セグメントは、集中巻きされたコイルを有している。回転軸の周方向に隣り合う固定子セグメント同士は、ステータの外周部に設けられたワイヤによって電気的に接続されている。この場合、ステータの外周側において固定子セグメント同士の電気的な接続作業を行うことができる。このため、回転軸に固定されたロータに対して複数の固定子セグメントを組み付けた後でも、固定子セグメント同士の電気的な接続作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コイルが分布巻きされている場合には、コイル自体が回転軸の周方向に分割される。また、分割されたコイル同士の電気的な接続作業は、コイルの外周側だけでなく、コイルの内周側でも行われる。このため、回転軸に固定されたロータに対して分割されたコイルを組み付けた後、コイルの内周側において分割されたコイル同士の電気的な接続作業を行おうとすると、ロータの存在により、作業が困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するためのモータは、回転軸に固定されたロータと前記回転軸の軸方向において前記ロータと積層されたステータとを備え、前記ステータは、前記回転軸の周方向に分割された複数の分割コイルによって構成される円環状の環状コイルを有し、前記環状コイルは、前記回転軸の周方向に1相ずつずらした状態で分布巻きされるとともに三相交流電流が印加されるU相、V相、及びW相のコイルを有し、各相の前記コイルは、前記環状コイルの径方向に延びる複数の第1導電部と、前記環状コイルの径方向に延びる複数の第2導電部とを有し、前記第1導電部と前記第2導電部は、前記環状コイルの軸方向において異なる位置に設けられるとともに前記環状コイルの周方向において交互に配置され、前記環状コイルの周方向に隣り合う同相の前記第1導電部と前記第2導電部において、前記第1導電部を流れる電流の方向と前記第2導電部を流れる電流の方向とは反対方向であるモータであって、前記ステータは、前記環状コイルをもう1つ有し、2つの前記環状コイルのうち、一方を第1環状コイルとし、他方を第2環状コイルとしたとき、前記第2環状コイルは、前記第1環状コイルと前記回転軸の軸方向に積層され、前記第1環状コイルの前記分割コイルを第1分割コイルとし、前記第2環状コイルの前記分割コイルを第2分割コイルとしたとき、前記第1分割コイルと前記第2分割コイルは、前記第1分割コイルの周方向の第1端部と前記第2分割コイルの周方向の第1端部とが第1接続部により同相同士で電気的に接続されるとともに、前記第1分割コイルの周方向の第2端部と前記第2分割コイルの周方向の第2端部とが第2接続部により同相同士で電気的に接続されることによって、分割コイル接続体を構成し、渡線で接続される同相の前記第1導電部と前記第2導電部との周方向の間隔を隣接間隔としたとき、前記第2環状コイルの分割位置は、前記第1環状コイルの分割位置に対して前記回転軸の周方向に前記隣接間隔の奇数倍だけずれるように配置されていることを要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、ステータは、回転軸の軸方向に積層された第1環状コイル及び第2環状コイルを有している。第1環状コイルは、回転軸の周方向に分割された複数の第1分割コイルによって構成されている。第2環状コイルは、回転軸の周方向に分割された複数の第2分割コイルによって構成されている。第1分割コイルの周方向の第1端部と第2分割コイルの周方向の第1端部とは、第1接続部により同相同士で電気的に接続されている。また、第1分割コイルの周方向の第2端部と第2分割コイルの周方向の第2端部とは、第2接続部により同相同士で電気的に接続されている。これにより、第1分割コイル及び第2分割コイルは、分割コイル接続体を構成している。
【0007】
第1分割コイルと第2分割コイルとは回転軸の軸方向に重なっているため、回転軸に固定されたロータに対して各分割コイルを組み付ける前に、第1分割コイルと第2分割コイルとの電気的な接続作業を行うことができる。このため、回転軸の周方向に隣り合う分割コイル同士を電気的に接続する場合に行う必要があった、ロータに対する分割コイルの組み付け後の環状コイルの内周側での電気的な接続作業を行わなくても済む。したがって、モータの生産性を向上できる。
【0008】
第1分割コイルの周方向の第1端部と第2分割コイルの周方向の第1端部とは、第1接続部により同相同士で電気的に接続されている。このため、第1分割コイルの第1端部に位置する各相の導電部を流れる電流の方向と、第2分割コイルの第1端部に位置するとともに第1接続部により第1分割コイルと接続された同相の導電部を流れる電流の方向とは、反対方向になる。また、第1分割コイルの周方向の第2端部と第2分割コイルの周方向の第2端部とは、第2接続部により同相同士で電気的に接続されている。このため、第1分割コイルの第2端部に位置する各相の導電部を流れる電流の方向と、第2分割コイルの第2端部に位置するとともに第2接続部により第1分割コイルと接続された同相の導電部を流れる電流の方向とは、反対方向になる。
【0009】
例えば、第2環状コイルの分割位置が第1環状コイルの分割位置に対して回転軸の周方向にずれていない場合や、第2環状コイルの分割位置が第1環状コイルの分割位置に対して回転軸の周方向に隣接間隔の偶数倍だけずれている場合について考える。この場合、回転軸の軸方向に重なる同相の導電部を流れる電流の方向が反対方向になることにより、相反する方向のローレンツ力が発生してしまう。これに対し、上記構成では、第2環状コイルの分割位置は、第1環状コイルの分割位置に対して回転軸の周方向に隣接間隔の奇数倍だけずれるように配置されている。このため、回転軸の軸方向に重なる同相の導電部を流れる電流の方向が同じ方向になることにより、同じ方向のローレンツ力を発生させることができる。
【0010】
上記モータにおいて、前記第2環状コイルの分割位置は、前記第1環状コイルの分割位置に対して前記回転軸の周方向に前記隣接間隔の1倍だけずれるように配置されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、第2環状コイルの分割位置が第1環状コイルの分割位置に対して回転軸の周方向に隣接間隔の3倍以上の奇数倍だけずれるように配置されている場合と比較して、第1分割コイルと第2分割コイルとを接続する第1接続部及び第2接続部の長さを短くすることができる。したがって、銅損を低減できる。
【0012】
上記モータにおいて、前記第1分割コイルと前記第2分割コイルとは、前記第1分割コイルと前記第2分割コイルとの間に介在する接着層によって互いに固定されていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、接着層により、第1分割コイルと第2分割コイルとが一体化されているため、分割コイル接続体を扱いやすい。
上記モータにおいて、前記分割コイル接続体同士は、前記第1環状コイル及び前記第2環状コイルの外周側において直列接続されていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、各分割コイル接続体に対して同じ電流を流すことができる。したがって、分割コイル接続体同士が並列接続されている場合と比較して、第1環状コイル及び第2環状コイルに流す電流が少なくて済む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、モータの生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態におけるモータを示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態におけるステータの一部を示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態におけるステータ構成体を示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態における1相分のコイルの一部を示す平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態における各相のコイルの位置関係を示す図である。
【
図6】
図6は、第1分割位置におけるステータの断面を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第2分割位置におけるステータの断面を示す模式図である。
【
図8】
図8は、実施形態における第1環状コイル及び第2環状コイルを模式的に示す平面図である。
【
図9】
図9は、第1分割コイル接続体を示す平面図である。
【
図10】
図10は、第2分割コイル接続体を示す平面図である。
【
図11】
図11は、第1分割コイルの電気的な接続態様を模式的に示す
図9におけるA-A線に沿う断面図である。
【
図12】
図12は、第2分割コイルの電気的な接続態様を模式的に示す
図10におけるB-B線に沿う断面図である。
【
図13】変更例における第1分割コイルの電気的な接続態様を示す図である。
【
図14】変更例における第1分割コイル及び第3分割コイルの一部を示す平面図である。
【
図15】変更例における第1分割コイルの電気的な接続態様を示す図である。
【
図16】変更例における第2分割コイルの電気的な接続態様を示す図である。
【
図17】変更例における1相分のコイルの一部を示す平面図である。
【
図18】変更例における1相分のコイルの一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、モータを具体化した一実施形態を
図1~
図12にしたがって説明する。
<モータ>
図1に示すように、モータ10は、ハウジング11と、回転軸12と、一対のヨーク13と、複数のロータ14と、複数のステータ15とを有している。本実施形態のモータ10は、4つのロータ14と3つのステータ15とを有している。
【0018】
ハウジング11は、回転軸12、一対のヨーク13、複数のロータ14、及び複数のステータ15を収容している。ハウジング11は、円筒状の周壁111と、周壁111の軸方向の両端に連結された円板状の一対の端壁112とを有している。各端壁112の中央部には、軸挿通孔113が形成されている。回転軸12は、軸挿通孔113に挿通されている。回転軸12は、回転軸12の外周面と軸挿通孔113を区画する内周面との間に配置された図示しない軸受を介して、ハウジング11に対して回転可能に支持されている。
【0019】
ハウジング11は、周壁111の周方向において分割されている。本実施形態のハウジング11は、周壁111の周方向において均等に2分割されている。ハウジング11は、第1分割ハウジング11a及び第2分割ハウジング11bによって構成されている。
【0020】
第1分割ハウジング11aは、半円筒状の第1分割周壁111aと、第1分割周壁111aの軸方向の両端に連結された半円板状の一対の第1分割端壁112aとを有している。第2分割ハウジング11bは、半円筒状の第2分割周壁111bと、第2分割周壁111bの軸方向の両端に連結された半円板状の一対の第2分割端壁112bとを有している。周壁111は、第1分割周壁111aと第2分割周壁111bとが連結されることによって円筒状に形成されている。各端壁112は、第1分割端壁112aと第2分割端壁112bとが連結されることによって円板状に形成されている。
【0021】
ヨーク13、ロータ14、及びステータ15はそれぞれ、円環平板状である。回転軸12は、ヨーク13、複数のロータ14、及び複数のステータ15を貫通している。一対のヨーク13、複数のロータ14、及び複数のステータ15は、回転軸12の軸方向において積層されている。したがって、モータ10は、ロータ14とステータ15とが回転軸12の軸方向に積層されたアキシャル型のモータである。
【0022】
一対のヨーク13は、ヨーク13、ロータ14、及びステータ15の積層体において両端に位置している。ロータ14とステータ15は、一対のヨーク13の間において1つずつ交互に積層されている。回転軸12の軸方向に隣り合うロータ14とステータ15との間には、隙間が設けられている。
【0023】
各ヨーク13は、図示しないヨーク支持部を介して回転軸12に固定されている。各ロータ14は、図示しないロータ支持部を介して回転軸12に固定されている。したがって、回転軸12は、一対のヨーク13及び複数のロータ14と一体的に回転する。ステータ15は、ハウジング11に固定されている。
【0024】
ロータ14は、複数の永久磁石14aを有している。複数の永久磁石14aは、回転軸12の周方向に並んでいる。各永久磁石14aの磁化方向は、回転軸12の軸方向に沿う方向である。複数の永久磁石14aは、回転軸12の周方向に隣り合う2つの永久磁石14aのうち、一方の永久磁石14aの磁化方向と他方の永久磁石14aの磁化方向とが反対方向になるように配置されている。
【0025】
<ステータ>
図1及び
図2に示すように、ステータ15は、第1ステータ構成体16と、第2ステータ構成体17と、絶縁層18とを有している。第1ステータ構成体16の構成と第2ステータ構成体17の構成は基本的に同じである。第1ステータ構成体16及び第2ステータ構成体17は、回転軸12の軸方向において積層されている。絶縁層18は、第1ステータ構成体16と第2ステータ構成体17との間に設けられている。第1ステータ構成体16と第2ステータ構成体17は、絶縁層18によって絶縁されている。本実施形態の絶縁層18は、接着剤からなる。したがって、本実施形態の絶縁層18は、接着層である。
【0026】
図3に示すように、各ステータ構成体16,17は、円環状のプレート19と、円環状の環状コイル20とを有している。したがって、ステータ15は、2つのプレート19と、2つの環状コイル20を有している。プレート19の軸方向、周方向、及び径方向は、環状コイル20の軸方向、周方向、及び径方向とそれぞれ一致している。また、プレート19及び環状コイル20の軸方向、周方向、及び径方向は、回転軸12の軸方向、周方向、及び径方向とそれぞれ一致している。本実施形態の各ステータ構成体16,17は、プリント基板である。環状コイル20は、プレート19に設けられた導体パターンからなる。
【0027】
以下の説明において、2つの環状コイル20を区別する場合には、第1ステータ構成体16の環状コイル20を第1環状コイル21といい、第2ステータ構成体17の環状コイル20を第2環状コイル22という。上述したように、第2ステータ構成体17は、第1ステータ構成体16と回転軸12の軸方向に積層されている。したがって、第2環状コイル22は、第1環状コイル21と回転軸12の軸方向に積層されている。
【0028】
図2に示すように、プレート19は、第1面191及び第2面192を有している。第1面191及び第2面192は、プレート19の板厚方向と直交する面である。第2面192は、第1面191の反対側の面である。第1ステータ構成体16のプレート19の第2面192と、第2ステータ構成体17のプレート19の第1面191とは、回転軸12の軸方向において対向している。
【0029】
<環状コイルの基本的な構成>
図3に示すように、環状コイル20は、U相のコイル20u、V相のコイル20v、及びW相のコイル20wを有している。U相のコイル20u、V相のコイル20v、及びW相のコイル20wは、同じ構成である。U相のコイル20u、V相のコイル20v、及びW相のコイル20wは、回転軸12の周方向において1相ずつずらした状態で分布巻きされている。回転軸12の周方向に隣り合う各相のコイル20u,20v,20wの間には隙間が設けられている。これにより、回転軸12の周方向に隣り合う各相のコイル20u,20v,20wの絶縁が確保されている。
【0030】
図4に示すように、本実施形態の各相のコイル20u,20v,20wは、第1コイル構成部31及び第2コイル構成部32を有している。第1コイル構成部31と第2コイル構成部32は、同じ構成である。第1コイル構成部31と第2コイル構成部32は、回転軸12の周方向にずらした状態で分布巻きされている。第1コイル構成部31と第2コイル構成部32との間には隙間が設けられている。これにより、第1コイル構成部31と第2コイル構成部32との絶縁が確保されている。
【0031】
以下の説明において、第1コイル構成部31についてU相、V相、W相を区別する必要がある場合には、U相のコイル20uの第1コイル構成部31を「U相第1コイル構成部31u」という。V相のコイル20vの第1コイル構成部31を「V相第1コイル構成部31v」という。W相のコイル20wの第1コイル構成部31を「W相第1コイル構成部31w」という。同様に、第2コイル構成部32についてU相、V相、W相を区別する必要がある場合には、U相のコイル20uの第2コイル構成部32を「U相第1コイル構成部32u」という。V相のコイル20vの第2コイル構成部32を「V相第2コイル構成部32v」という。W相のコイル20wの第2コイル構成部32を「W相第2コイル構成部32w」という。
【0032】
各コイル構成部31,32は、環状コイル20の径方向に延びる複数の第1導電部41と、環状コイル20の径方向に延びる複数の第2導電部42とを有している。各コイル構成部31,32において、第1導電部41と第2導電部42は、環状コイル20の周方向において交互に配置されている。
【0033】
図2に示すように、本実施形態では、第1導電部41は、プレート19の第1面191に設けられている。第2導電部42は、プレート19の第2面192に設けられている。第2導電部42は、プレート19を挟んで第1導電部41とは反対側に位置している。これにより、第1導電部41と第2導電部42は、環状コイル20の軸方向において異なる位置に設けられている。
【0034】
図4に示すように、本実施形態の各コイル構成部31,32は、ラジアル巻きされている。各第1導電部41は、第1ラジアル部41aと、第1内側傾斜部41bと、第1外側傾斜部41cとを有している。第1ラジアル部41aは、環状コイル20の径方向に沿って延びている。第1内側傾斜部41bは、環状コイル20の径方向において第1ラジアル部41aよりも内側に位置している。第1内側傾斜部41bは、第1ラジアル部41aに対して傾斜するように延びている。第1外側傾斜部41cは、環状コイル20の径方向において第1ラジアル部41aよりも外側に位置している。第1外側傾斜部41cは、第1ラジアル部41aに対して傾斜するように延びている。
【0035】
第1内側傾斜部41bは、第1ラジアル部41aに対して環状コイル20の周方向の一方側に傾斜している。一方、第1外側傾斜部41cは、第1ラジアル部41aに対して環状コイル20の周方向の他方側に傾斜している。つまり、第1内側傾斜部41bが第1ラジアル部41aに対して傾斜する方向と、第1外側傾斜部41cが第1ラジアル部41aに対して傾斜する方向とは、反対方向である。
【0036】
各第2導電部42は、第2ラジアル部42aと、第2内側傾斜部42bと、第2外側傾斜部42cとを有している。第2ラジアル部42aは、環状コイル20の径方向に沿って延びている。第2内側傾斜部42bは、環状コイル20の径方向において第2ラジアル部42aよりも内側に位置している。第2内側傾斜部42bは、第2ラジアル部42aに対して傾斜するように延びている。第2外側傾斜部42cは、環状コイル20の径方向において第2ラジアル部42aよりも外側に位置している。第2外側傾斜部42cは、第2ラジアル部42aに対して傾斜するように延びている。
【0037】
第2内側傾斜部42bは、第2ラジアル部42aに対して環状コイル20の周方向の他方側に傾斜している。一方、第2外側傾斜部42cは、第2ラジアル部42aに対して環状コイル20の周方向の一方側に傾斜している。つまり、第2内側傾斜部42bが第2ラジアル部42aに対して傾斜する方向と、第2外側傾斜部42cが第2ラジアル部42aに対して傾斜する方向とは、反対方向である。また、第1内側傾斜部41bが第1ラジアル部41aに対して傾斜する方向と、第2内側傾斜部42bが第2ラジアル部42aに対して傾斜する方向とは、反対方向である。第1外側傾斜部41cが第1ラジアル部41aに対して傾斜する方向と、第2外側傾斜部42cが第2ラジアル部42aに対して傾斜する方向とは、反対方向である。
【0038】
各コイル構成部31,32は、環状コイル20の内周部において第1導電部41と第2導電部42とを電気的に接続する渡線としての内側渡線部43を複数有している。詳しくは、内側渡線部43は、第1導電部41の第1内側傾斜部41bと、当該第1導電部41と環状コイル20の周方向に隣り合う2つの第2導電部42のうちの一方の第2導電部42の第2内側傾斜部42bとを回転軸12の軸方向に接続している。
【0039】
各コイル構成部31,32は、環状コイル20の外周部において第1導電部41と第2導電部42とを電気的に接続する渡線としての外側渡線部44を複数有している。詳しくは、外側渡線部44は、第1導電部41の第1外側傾斜部41cと、当該第1導電部41と環状コイル20の周方向に隣り合う2つの第2導電部42のうちの他方の第2導電部42の第2外側傾斜部42cとを回転軸12の軸方向に接続している。
【0040】
図2に示すように、本実施形態では、内側渡線部43は、プレート19を板厚方向に貫通するスルーホール193内に位置している。同様に、外側渡線部44は、プレート19を貫通するスルーホール193内に位置している。
【0041】
上述したように、U相のコイル20u、V相のコイル20v、及びW相のコイル20wは、回転軸12の周方向において1相ずつずらした状態で分布巻きされている。また、各相のコイル20u,20v,20wにおいて、第1コイル構成部31及び第2コイル構成部32は、回転軸12の周方向にずらした状態で分布巻きされている。したがって、第1導電部41、第2導電部42、内側渡線部43、及び外側渡線部44はそれぞれ、回転軸12の周方向においてU相、U相、V相、V相、W相、W相の順に繰り返し並んでいる。
【0042】
<各相のコイルの位置関係>
図5は、本実施形態における各相のコイル20u,20v,20wの位置関係を示す模式図である。
図5において、紙面上下方向は回転軸12の軸方向に対応する。紙面左右方向は回転軸12の周方向に対応する。また、
図5では、U相のコイル20uの各コイル構成部31,32について、第1ラジアル部41aと第2ラジアル部42aとの電気的な接続を実線の直線で示している。V相のコイル20vの各コイル構成部31,32について、第1ラジアル部41aと第2ラジアル部42aとの電気的な接続を破線の直線で示している。W相のコイル20wの各コイル構成部31,32について、第1ラジアル部41aと第2ラジアル部42aとの電気的な接続を一点鎖線の直線で示している。
【0043】
図5に示すように、U相第1コイル構成部31uの第1ラジアル部41aは、V相第2コイル構成部32vの第2ラジアル部42aと回転軸12の軸方向に重なっている。U相第2コイル構成部32uの第1ラジアル部41aは、W相第1コイル構成部31wの第2ラジアル部42aと回転軸12の軸方向に重なっている。U相第1コイル構成部31uの第2ラジアル部42aは、V相第2コイル構成部32vの第1ラジアル部41aと回転軸12の軸方向に重なっている。U相第2コイル構成部32uの第2ラジアル部42aは、W相第1コイル構成部31wの第1ラジアル部41aと回転軸12の軸方向に重なっている。
【0044】
このように各相のコイル20u,20v,20wの第1コイル構成部31の第1ラジアル部41aは、他の2相のうちの一方の相のコイル20u,20v,20wの第2コイル構成部32の第2ラジアル部42aと回転軸12の軸方向に重なっている。各相のコイル20u,20v,20wの第2コイル構成部32の第1ラジアル部41aは、他の2相のうちの他方の相のコイル20u,20v,20wの第1コイル構成部31の第2ラジアル部42aと回転軸12の軸方向に重なっている。
【0045】
また、各相のコイル20u,20v,20wの第1コイル構成部31の第2ラジアル部42aは、他の2相のうちの一方の相のコイル20u,20v,20wの第2コイル構成部32の第1ラジアル部41aと回転軸12の軸方向に重なっている。各相のコイル20u,20v,20wの第2コイル構成部32の第2ラジアル部42aは、他の2相のうちの他方の相のコイル20u,20v,20wの第1コイル構成部31の第1ラジアル部41aと回転軸12の軸方向に重なっている。
【0046】
<第1環状コイルと第2環状コイルの位置関係>
上述したように、第2環状コイル22は、第1環状コイル21と回転軸12の軸方向に積層されている。
【0047】
図6及び
図7に示すように、本実施形態では、第2環状コイル22の各相の第1ラジアル部41aは、第1環状コイル21の同相の第2ラジアル部42aと回転軸12の軸方向に重なっている。具体的には、第2環状コイル22のU相の各第1ラジアル部41aは、第1環状コイル21のU相の第2ラジアル部42aと回転軸12の軸方向に重なっている。第2環状コイル22のV相の各第1ラジアル部41aは、第1環状コイル21のV相の第2ラジアル部42aと回転軸12の軸方向に重なっている。第2環状コイル22のW相の各第1ラジアル部41aは、第1環状コイル21のW相の第2ラジアル部42aと回転軸12の軸方向に重なっている。
【0048】
また、第2環状コイル22の各相の第2ラジアル部42aは、第1環状コイル21の同相の第1ラジアル部41aと回転軸12の軸方向に重なっている。具体的には、第2環状コイル22のU相の各第2ラジアル部42aは、第1環状コイル21のU相の第1ラジアル部41aと回転軸12の軸方向に重なっている。第2環状コイル22のV相の各第2ラジアル部42aは、第1環状コイル21のV相の第1ラジアル部41aと回転軸12の軸方向に重なっている。第2環状コイル22のW相の各第2ラジアル部42aは、第1環状コイル21のW相の第1ラジアル部41aと回転軸12の軸方向に重なっている。
【0049】
<環状コイルの分割>
図3に示すように、各ステータ構成体16,17は、回転軸12の周方向において分割されている。本実施形態では、各ステータ構成体16,17は、回転軸12の周方向において均等に2分割されている。
【0050】
各プレート19は、回転軸12の周方向において均等に2分割されている。各プレート19は、半円環状の第1分割プレート19a及び第2分割プレート19bによって構成されている。各ステータ構成体16,17の第1分割プレート19aの外周縁は、第1分割周壁111aの内周面に固定されている。各ステータ構成体16,17の第2分割プレート19bの外周縁は、第2分割周壁111bの内周面に固定されている。
【0051】
図3及び
図8に示すように、各環状コイル20は、回転軸12の周方向において均等に2分割されている。詳しくは、U相のコイル20u、V相のコイル20v、及びW相のコイル20wはそれぞれ、回転軸12の周方向において均等に2分割されている。また、各相のコイル20u,20v,20wにおいて、第1コイル構成部31及び第2コイル構成部32はそれぞれ、回転軸12の周方向において均等に2分割されている。各環状コイル20において、一方の分割位置を第1分割位置P1とし、他方の分割位置を第2分割位置P2とする。
【0052】
各環状コイル20は、半円環状の2つの分割コイル50によって構成されている。2つの分割コイル50のうち、一方の分割コイル50は第1分割プレート19aに設けられるとともに、他方の分割コイル50は第2分割プレート19bに設けられている。
【0053】
以下では、第1環状コイル21を構成する2つの分割コイル50のうち、一方の分割コイル50を第1分割コイル51といい、他方の分割コイル50を第2分割コイル52という。すなわち、第1環状コイル21は、回転軸12の周方向に分割された第1分割コイル51及び第2分割コイル52によって構成されている。第1分割コイル51及び第2分割コイル52はそれぞれ、請求項の「第1分割コイル」に対応する。
【0054】
第1分割コイル51は、周方向の端部として第1端部51a及び第2端部51bを有している。第1端部51aは、第1環状コイル21の第1分割位置P1側に位置する端部である。第2端部51bは、第1環状コイル21の第2分割位置P2側に位置する端部である。第2分割コイル52は、周方向の端部として第1端部52a及び第2端部52bを有している。第1端部52aは、第1環状コイル21の第2分割位置P2側に位置する端部である。第2端部52bは、第1環状コイル21の第1分割位置P1側に位置する端部である。
【0055】
また、第2環状コイル22を構成する2つの分割コイル50のうち、一方の分割コイル50を第3分割コイル53といい、他方の分割コイル50を第4分割コイル54という。すなわち、第2環状コイル22は、回転軸12の周方向に分割された第3分割コイル53及び第4分割コイル54によって構成されている。第3分割コイル53及び第4分割コイル54はそれぞれ、請求項の「第2分割コイル」に対応する。第3分割コイル53は、第1分割コイル51と回転軸12の軸方向に重なっている。第4分割コイル54は、第2分割コイル52と回転軸12の軸方向に重なっている。
【0056】
第3分割コイル53は、周方向の端部として第1端部53a及び第2端部53bを有している。第1端部53aは、第2環状コイル22の第1分割位置P1側に位置する端部である。第2端部53bは、第2環状コイル22の第2分割位置P2側に位置する端部である。第4分割コイル54は、周方向の端部として第1端部54a及び第2端部54bを有している。第1端部54aは、第2環状コイル22の第2分割位置P2側に位置する端部である。第2端部54bは、第2環状コイル22の第1分割位置P1側に位置する端部である。
【0057】
図6及び
図7に示すように、本実施形態の各環状コイル20は、U相第1コイル構成部31uの第1ラジアル部41aとU相第2コイル構成部32uの第1ラジアル部41aとの間で分割されている。本実施形態の各環状コイル20は、V相第2コイル構成部32vの第2ラジアル部42aとW相第1コイル構成部31wの第2ラジアル部42aとの間で分割されている。つまり、各分割位置P1,P2は、U相第1コイル構成部31uの第1ラジアル部41aとU相第2コイル構成部32uの第1ラジアル部41aとの間、及びV相第2コイル構成部32vの第2ラジアル部42aとW相第1コイル構成部31wの第2ラジアル部42aとの間に位置している。
【0058】
<接続端子>
図9及び
図10に示すように、各分割コイル51~54は、U相第1コイル構成部31uの接続端子として、U相第1上端子611及びU相第1下端子612を有している。U相第1上端子611は、U相第1コイル構成部31uの複数の第1導電部41のうち、各分割コイル51~54の第1端部51a~54aに位置する第1導電部41から径方向内側に突出している。U相第1下端子612は、U相第1コイル構成部31uの複数の第2導電部42のうち、各分割コイル51~54の第2端部51b~54bに位置する第2導電部42から径方向内側に突出している。
【0059】
各分割コイル51~54は、U相第2コイル構成部32uの接続端子として、U相第2上端子621及びU相第2下端子622を有している。U相第2上端子621は、U相第2コイル構成部32uの複数の第1導電部41のうち、各分割コイル51~54の第2端部51b~54bに位置する第1導電部41から径方向外側に突出している。U相第2下端子622は、U相第2コイル構成部32uの複数の第2導電部42のうち、各分割コイル51~54の第1端部51a~54aに位置する第2導電部42から径方向外側に突出している。
【0060】
各分割コイル51~54は、V相第1コイル構成部31vの接続端子として、V相第1上端子631及びV相第1下端子632を有している。V相第1上端子631は、V相第1コイル構成部31vの複数の第1導電部41のうち、各分割コイル51~54の第2端部51b~54bに位置する第1導電部41から径方向外側に突出している。V相第1下端子632は、V相第1コイル構成部31vの複数の第2導電部42のうち、各分割コイル51~54の周方向の第1端部51a~54aに位置する第2導電部42から径方向外側に突出している。
【0061】
各分割コイル51~54は、V相第2コイル構成部32vの接続端子として、V相第2上端子641及びV相第2下端子642を有している。V相第2上端子641は、V相第2コイル構成部32vの複数の第1導電部41のうち、各分割コイル51~54の第2端部51b~54bに位置する第1導電部41から径方向外側に突出している。V相第2下端子642は、V相第2コイル構成部32vの複数の第2導電部42のうち、各分割コイル51~54の第1端部51a~54aに位置する第2導電部42から径方向外側に突出している。
【0062】
各分割コイル51~54は、W相第1コイル構成部31wの接続端子として、W相第1上端子651及びW相第1下端子652を有している。W相第1上端子651は、W相第1コイル構成部31wの複数の第1導電部41のうち、各分割コイル51~54の第1端部51a~54aに位置する第1導電部41から径方向内側に突出している。W相第1下端子652は、W相第1コイル構成部31wの複数の第2導電部42のうち、各分割コイル51~54の第2端部51b~54bに位置する第2導電部42から径方向内側に突出している。
【0063】
各分割コイル51~54は、W相第2コイル構成部32wの接続端子として、W相第2上端子661及びW相第2下端子662を有している。W相第2上端子661は、W相第2コイル構成部32の複数の第1導電部41のうち、各分割コイル51~54の第1端部51a~54aに位置する第1導電部41から径方向内側に突出している。W相第2下端子662は、W相第2コイル構成部32wの複数の第2導電部42のうち、各分割コイル51~54の第2端部51b~54bに位置するから第2導電部42から径方向内側に突出している。
【0064】
<分割コイル接続体>
図9に示すように、第1分割コイル51の周方向の第1端部51aと、第3分割コイル53の周方向の第1端部53aとは、第1接続部71a,72a,73a,74a,75a,76aによって電気的に接続されている。以下では、第1接続部71a,72a,73a,74a,75a,76aを「第1接続部71a~76a」と記載する。第1接続部71a~76aは、導線でもよいし、プレート19に設けられた導体パターンでもよい。
【0065】
本実施形態では、第1分割コイル51の第1端部51aに位置する各相の第1導電部41は、第3分割コイル53の第1端部53aに位置する同相の第1導電部41と電気的に接続されている。第1分割コイル51の第1端部51aに位置する各相の第2導電部42は、第3分割コイル53の第1端部53aに位置する同相の第2導電部42と電気的に接続されている。
【0066】
また、第1分割コイル51の周方向の第2端部51bと、第3分割コイル53の周方向の第2端部53bとは、第2接続部71b,72b,73b,74b,75b,76bによって電気的に接続されている。以下では、第2接続部71b,72b,73b,74b,75b,76bを「第2接続部71b~76b」と記載する。第2接続部71b~76bは、導線でもよいし、プレート19に設けられた導体パターンでもよい。
【0067】
本実施形態では、第1分割コイル51の第2端部51bに位置する各相の第1導電部41は、第3分割コイル53の第2端部53bに位置する同相の第1導電部41と電気的に接続されている。第1分割コイル51の第2端部51bに位置する各相の第2導電部42は、第3分割コイル53の第2端部53bに位置する同相の第2導電部42と電気的に接続されている。これにより、第1分割コイル51及び第3分割コイル53は、分割コイル接続体としての第1分割コイル接続体20aを構成している。
【0068】
図10に示すように、第2分割コイル52の周方向の第1端部52aと、第4分割コイル54の周方向の第1端部54aとは、電気的に接続されている。本実施形態では、第2分割コイル52の第1端部52aに位置する各相の第1導電部41は、第4分割コイル54の第1端部54aに位置する同相の第1導電部41と電気的に接続されている。第2分割コイル52の第1端部52aに位置する各相の第2導電部42は、第4分割コイル54の第1端部54aに位置する同相の第2導電部42と電気的に接続されている。
【0069】
また、第2分割コイル52の周方向の第2端部52bと、第4分割コイル54の周方向の第2端部54bとは、電気的に接続されている。本実施形態では、第2分割コイル52の第2端部52bに位置する各相の第1導電部41は、第4分割コイル54の第2端部54bに位置する同相の第1導電部41と電気的に接続されている。第2分割コイル52の第2端部52bに位置する各相の第2導電部42は、第4分割コイル54の第2端部54bに位置する同相の第2導電部42と電気的に接続されている。これにより、第2分割コイル52及び第4分割コイル54は、分割コイル接続体としての第2分割コイル接続体20bを構成している。
【0070】
詳しくは、各分割コイル接続体20a,20bにおいて、一方の分割コイル51,52のU相第1上端子611と、他方の分割コイル53,54のU相第1上端子611は、環状コイル20の内周側において第1接続部71aによって接続されている。これにより、一方の分割コイル51,52の第1端部51a,52aに位置するU相の第1導電部41は、他方の分割コイル53,54の第1端部53a,54aに位置するU相の第1導電部41と電気的に接続されている。
【0071】
また、一方の分割コイル51,52のU相第1下端子612と、他方の分割コイル53,54のU相第1下端子612は、環状コイル20の内周側において第2接続部71bによって接続されている。これにより、一方の分割コイル51,52の第2端部51b,52bに位置するU相の第2導電部42は、他方の分割コイル53,54の第2端部53b,54bに位置するU相の第2導電部42と電気的に接続されている。
【0072】
したがって、各分割コイル接続体20a,20bにおいて、一方の分割コイル51,52のU相第1コイル構成部31uと、他方の分割コイル53,54のU相第1コイル構成部31uとは、電気的に接続されている。
【0073】
各分割コイル接続体20a,20bにおいて、一方の分割コイル51,52のU相第2上端子621と、他方の分割コイル53,54のU相第2上端子621は、環状コイル20の外周側において第2接続部72bによって接続されている。これにより、一方の分割コイル51,52の第2端部51b,52bに位置するU相の第1導電部41は、他方の分割コイル53,54の第2端部53b,54bに位置するU相の第1導電部41と電気的に接続されている。
【0074】
また、一方の分割コイル51,52のU相第2下端子622と、他方の分割コイル53,54のU相第2下端子622は、環状コイル20の外周側において第1接続部72aによって接続されている。これにより、一方の分割コイル51,52の第1端部51a,52aに位置するU相の第2導電部42は、他方の分割コイル53,54の第1端部53a,54aに位置するU相の第2導電部42と電気的に接続されている。
【0075】
したがって、各分割コイル接続体20a,20bにおいて、一方の分割コイル51,52のU相第2コイル構成部32uと、他方の分割コイル53,54のU相第2コイル構成部32uとは、電気的に接続されている。
【0076】
各分割コイル接続体20a,20bにおいて、一方の分割コイル51,52のV相第1上端子631と、他方の分割コイル53,54のV相第1上端子631は、環状コイル20の外周側において第2接続部73bによって接続されている。これにより、一方の分割コイル51,52の第2端部51b,52bに位置するV相の第1導電部41は、他方の分割コイル53,54の第2端部53b,54bに位置するV相の第1導電部41と電気的に接続されている。
【0077】
また、一方の分割コイル51,52のV相第1下端子632と、他方の分割コイル53,54のV相第1下端子632は、環状コイル20の外周側において第1接続部73aによって接続されている。これにより、一方の分割コイル51,52の第1端部51a,51aに位置するU相の第2導電部42は、他方の分割コイル53,54の第1端部53a,54aに位置するV相の第2導電部42と電気的に接続されている。
【0078】
したがって、各分割コイル接続体20a,20bにおいて、一方の分割コイル51,52のV相第1コイル構成部31vと、他方の分割コイル53,54のV相第1コイル構成部31vとは、電気的に接続されている。
【0079】
各分割コイル接続体20a,20bにおいて、一方の分割コイル51,52のV相第2上端子641と、他方の分割コイル53,54のV相第2上端子641は、環状コイル20の外周側において第2接続部74bによって接続されている。これにより、一方の分割コイル51,52の第2端部51b,52bに位置するV相の第1導電部41は、他方の分割コイル53,54の第2端部53b,54bに位置するV相の第1導電部41と電気的に接続されている。
【0080】
また、一方の分割コイル51,52のV相第2下端子642と、他方の分割コイル53,54のV相第2下端子642は、環状コイル20の外周側において第1接続部74aによって接続されている。これにより、一方の分割コイル51,52の第1端部51a,52aに位置するV相の第2導電部42は、他方の分割コイル53,54の第1端部53a,54aに位置するV相の第2導電部42と電気的に接続されている。
【0081】
したがって、各分割コイル接続体20a,20bにおいて、一方の分割コイル51,52のV相第2コイル構成部32vと、他方の分割コイル53,54のV相第2コイル構成部32vとは、電気的に接続されている。
【0082】
各分割コイル接続体20a,20bにおいて、一方の分割コイル51,52のW相第1上端子651と、他方の分割コイル53,54のW相第1上端子651は、環状コイル20の内周側において第1接続部75aによって接続されている。これにより、一方の分割コイル51,52の第1端部51a,52aに位置するW相の第1導電部41は、他方の分割コイル53,54の第1端部53a,54aに位置するW相の第1導電部41と電気的に接続されている。
【0083】
また、一方の分割コイル51,52のW相第1下端子652と、他方の分割コイル53,54のW相第1下端子652は、環状コイル20の内周側において第2接続部75bによって接続されている。これにより、一方の分割コイル51,52の第2端部51b,52bに位置するW相の第2導電部42は、他方の分割コイル53,54の第2端部53b,54bに位置するW相の第2導電部42と電気的に接続されている。
【0084】
したがって、各分割コイル接続体20a,20bにおいて、一方の分割コイル51,52のW相第1コイル構成部31wと、他方の分割コイル53,54のW相第1コイル構成部31wとは、電気的に接続されている。
【0085】
各分割コイル接続体20a,20bにおいて、一方の分割コイル51,52のW相第2上端子661と、他方の分割コイル53,54のW相第2上端子661は、環状コイル20の内周側において第1接続部76aによって接続されている。これにより、一方の分割コイル51,52の第1端部51a,52aに位置するW相の第1導電部41は、他方の分割コイル53,54の第1端部53a,54aに位置するW相の第1導電部41と電気的に接続されている。
【0086】
また、一方の分割コイル51,52のW相第2下端子662と、他方の分割コイル53,54のW相第2下端子662は、環状コイル20の内周側において第2接続部76bによって接続されている。これにより、一方の分割コイル51,52の第2端部51b,52bに位置するW相の第2導電部42は、他方の分割コイル53,54の第2端部53b,54bに位置するW相の第2導電部42と電気的に接続されている。
【0087】
したがって、各分割コイル接続体20a,20bにおいて、一方の分割コイル51,52のW相第2コイル構成部32wと、他方の分割コイル53,54のW相第2コイル構成部32wとは、電気的に接続されている。
【0088】
<環状コイルの分割位置のずれ>
図6~
図8に示すように、第2環状コイル22の第1分割位置P1は、第1環状コイル21の第1分割位置P1に対して回転軸12の周方向にずれるように配置されている。第2環状コイル22の第2分割位置P2は、第1環状コイル21の第2分割位置P2に対して回転軸12の周方向にずれるように配置されている。
【0089】
渡線で接続される同相の第1導電部41と第2導電部42との周方向の間隔を隣接間隔Dとする。例えば、U相第1コイル構成部31uの第1導電部41と、U相第1コイル構成部31uの第2導電部42とは、渡線である内側渡線部43又は外側渡線部44によって接続されている。したがって、U相第1コイル構成部31uの第1導電部41とU相第1コイル構成部31uの第2導電部42との周方向の間隔は、隣接間隔Dである。なお、U相第1コイル構成部31uの第1導電部41と、U相第2コイル構成部32uの第2導電部42とは、渡線によって接続されていない。したがって、U相第1コイル構成部31uの第1導電部41とU相第2コイル構成部32uの第2導電部42との周方向の間隔は、隣接間隔Dではない。
【0090】
図6に示すように、本実施形態では、第2環状コイル22の第1分割位置P1は、第1環状コイル21の第1分割位置P1に対して回転軸12の周方向に隣接間隔Dの1倍だけずれるように配置されている。
【0091】
図7に示すように、本実施形態では、第2環状コイル22の第2分割位置P2は、第1環状コイル21の第2分割位置P2に対して回転軸12の周方向に隣接間隔Dの1倍だけずれるように配置されている。
【0092】
図9に示すように、第1分割コイル51の大部分と第3分割コイル53の大部分とは、回転軸12の軸方向に重なっている。第1分割コイル51の第2端部51bは、第3分割コイル53と重なっていない。第3分割コイル53の第1端部53aは、第1分割コイル51と重なっていない。
【0093】
図10に示すように、第2分割コイル52の大部分と第4分割コイル54の大部分とは、回転軸12の軸方向に重なっている。第2分割コイル52の第2端部52bは、第4分割コイル54と重なっていない。第4分割コイル54の第1端部54aは、第2分割コイル52と重なっていない。
【0094】
図7に示すように、第1分割コイル51の第2端部51bと第4分割コイル54の第1端部54aとは、回転軸12の軸方向に重なっている。
図6に示すように、第2分割コイル52の第2端部52bと第3分割コイル53の第1端部53aとは、回転軸12の軸方向に重なっている。
【0095】
上述したように、第1ステータ構成体16と第2ステータ構成体17との間には、接着剤からなる絶縁層18が設けられている。絶縁層18は、第1分割コイル51と第3分割コイル53との間に介在している。第1分割コイル51と第3分割コイル53とは、絶縁層18によって互いに固定されている。絶縁層18は、第2分割コイル52と第4分割コイル54との間に介在している。第2分割コイル52と第4分割コイル54とは、絶縁層18によって互いに固定されている。
【0096】
絶縁層18は、第1分割コイル51の第2端部51bと第4分割コイル54の第1端部54aとの間、及び第2分割コイル52の第2端部52bと第3分割コイル53の第1端部53aとの間には介在していない。このため、第1分割コイル51と第4分割コイル54とは、互いに固定されていない。また、第2分割コイル52と第3分割コイル53とは、互いに固定されていない。
【0097】
<コイル構成部の電気的な接続及び分割コイル接続体の電気的な接続>
本実施形態では、第1分割コイル51及び第2分割コイル52のそれぞれにおいて、各相のコイル20u,20v,20wの第1コイル構成部31と第2コイル構成部32とは、直列接続されている。また、本実施形態では、第1分割コイル51と第2分割コイル52とは、直列接続されている。したがって、第1分割コイル接続体20aと第2分割コイル接続体20bとは、直列接続されている。
【0098】
具体的には、
図11に示すように、第1分割コイル51において、U相第1コイル構成部31uの1つの第1導電部41は、第1環状コイル21の外周側においてU相第1接続線81uによってU相の入力端子Uinに接続されている。U相第1コイル構成部31uの1つの第2導電部42と、U相第2コイル構成部32uの1つの第1導電部41とは、第1環状コイル21の外周側においてU相第2接続線82uによって接続されている。したがって、U相第1コイル構成部31uとU相第2コイル構成部32uとは、直列接続されている。本実施形態では、U相第2接続線82uは、第1分割プレート19aを貫通する図示しないスルーホール内に位置している。
【0099】
図11及び
図12に示すように、第1分割コイル51のU相第2コイル構成部32uの1つの第2導電部42と、第2分割コイル52のU相第1コイル構成部31uの1つの第1導電部41とは、第1環状コイル21の外周側においてU相第3接続線83uによって接続されている。したがって、第1分割コイル51のU相のコイル20uと第2分割コイル52のU相のコイル20uとは、直列接続されている。
【0100】
図12に示すように、第2分割コイル52において、U相第1コイル構成部31uの1つの第2導電部42と、U相第2コイル構成部32uの1つの第1導電部41とは、第1環状コイル21の外周側においてU相第4接続線84uによって接続されている。したがって、U相第1コイル構成部31uとU相第2コイル構成部32uとは、直列接続されている。本実施形態では、U相第4接続線84uは、第2分割プレート19bを貫通する図示しないスルーホール内に位置している。第2分割コイル52において、U相第2コイル構成部32uの1つの第2導電部42は、第1環状コイル21の外周側においてU相第5接続線85uによってU相の出力端子Uoutに接続されている。
【0101】
図11に示すように、第1分割コイル51において、V相第1コイル構成部31vの1つの第1導電部41は、第1環状コイル21の外周側においてV相第1接続線81vによってV相の入力端子Vinに接続されている。V相第1コイル構成部31vの1つの第2導電部42と、V相第2コイル構成部32vの1つの第1導電部41とは、第1環状コイル21の外周側においてV相第2接続線82vによって接続されている。したがって、V相第1コイル構成部31vとV相第2コイル構成部32vとは、直列接続されている。本実施形態では、V相第2接続線82vは、第1分割プレート19aを貫通する図示しないスルーホール内に位置している。
【0102】
図11及び
図12に示すように、第1分割コイル51のV相第1コイル構成部32vの1つの第2導電部42と、第2分割コイル52のV相第1コイル構成部31vの1つの第1導電部41とは、第1環状コイル21の外周側においてV相第3接続線83vによって接続されている。したがって、第1分割コイル51のV相のコイル20vと第2分割コイル52のV相のコイル20vとは、直列接続されている。
【0103】
図12に示すように、第2分割コイル52において、V相第1コイル構成部31vの1つの第2導電部42と、V相第2コイル構成部32vの1つの第1導電部41とは、第1環状コイル21の外周側においてV相第4接続線84vによって接続されている。したがって、V相第1コイル構成部31vとV相第2コイル構成部32vとは、直列接続されている。本実施形態では、V相第4接続線84vは、第2分割プレート19bを貫通する図示しないスルーホール内に位置している。第2分割コイル52において、V相第2コイル構成部32vの1つの第2導電部42は、第1環状コイル21の外周側においてV相第5接続線85vによってV相の出力端子Voutに接続されている。
【0104】
図11に示すように、第1分割コイル51において、W相第1コイル構成部31wの1つの第1導電部41は、第1環状コイル21の外周側においてW相第1接続線81wによってW相の入力端子Winに接続されている。W相第1コイル構成部31wの1つの第2導電部42と、W相第2コイル構成部32wの1つの第1導電部41とは、第1環状コイル21の外周側においてW相第2接続線82wによって接続されている。したがって、W相第1コイル構成部31wとW相第2コイル構成部32wとは、直列接続されている。本実施形態では、W相第2接続線82wは、第1分割プレート19aを貫通する図示しないスルーホール内に位置している。
【0105】
図11及び
図12に示すように、第1分割コイル51のW相第1コイル構成部32wの1つの第2導電部42と、第2分割コイル52のW相第1コイル構成部31wの1つの第1導電部41とは、第1環状コイル21の外周側においてW相第3接続線83wによって接続されている。したがって、第1分割コイル51のW相のコイル20wと第2分割コイル52のW相のコイル20wとは、直列接続されている。
【0106】
図12に示すように、第2分割コイル52において、W相第1コイル構成部31wの1つの第2導電部42と、W相第2コイル構成部32wの1つの第1導電部41とは、第1環状コイル21の外周側においてW相第4接続線84wによって接続されている。したがって、W相第1コイル構成部31wとW相第2コイル構成部32wとは、直列接続されている。本実施形態では、W相第4接続線84wは、第2分割プレート19bを貫通する図示しないスルーホール内に位置している。第2分割コイル52において、W相第2コイル構成部32wの1つの第2導電部42は、第1環状コイル21の外周側においてW相第5接続線85wによってW相の出力端子Woutに接続されている。
【0107】
<各相のコイルにおける電流の流れ>
U相のコイル20uには、U相の電流が印加される。V相のコイル20vには、V相の電流が印加される。W相のコイル20wには、W相の電流が印加される。各相の電流は、交流電流であるため、正方向の電流と負方向の電流とで周期的に切り替わる。本実施形態では、正方向の電流は、各相の入力端子Uin,Vin,Winから、各相の出力端子Uout,Vout,Woutに向かって流れる電流である。負方向の電流は、各相の出力端子Uout,Vout,Woutから各相の入力端子Uin,Vin,Winに向かって流れる電流である。また、U相、V相、及びW相の電流は、位相が120度ずつずれている。すなわち、各相のコイル20u,20v,20wには、三相交流電流が印加される。
【0108】
各環状コイル20の各相のコイル20u,20v,20wにおいて、各第1導電部41を流れる電流の方向と各第2導電部42を流れる電流の方向とは、反対方向である。したがって、環状コイル20の周方向に隣り合う同相の第1導電部41と第2導電部42において、第1導電部41を流れる電流の方向と第2導電部42を流れる電流の方向とは反対方向である。各環状コイル20において、各相のコイル20u,20v,20wを流れる電流は、環状コイル20の径方向に行き来しながら環状コイル20の周方向に流れる。
【0109】
本実施形態では、各環状コイル20の各相のコイル20u,20v,20wに正方向の電流が印加されたとき、各第1導電部41を流れる電流の方向は、U相、V相、及びW相で同じである。また、各環状コイル20の各相のコイル20u,20v,20wに正方向の電流が印加されたとき、各第2導電部42を流れる電流の方向は、U相、V相、及びW相で同じである。各環状コイル20の各相のコイル20u,20v,20wに負方向の電流が印加されたとき、各第1導電部41を流れる電流の方向は、U相、V相、及びW相で同じである。また、各環状コイル20の各相のコイル20u,20v,20wに負方向の電流が印加されたとき、各第2導電部42を流れる電流の方向は、U相、V相、及びW相で同じである。
【0110】
上述したように、分割コイル51,52の第1端部51a,52aと、回転軸12の軸方向に重なる分割コイル53,54の第1端部53a,54aとは、第1接続部71a~76aにより同相同士で電気的に接続されている。このため、分割コイル51,52の第1端部51a,52aに位置する各相の導電部41,42を流れる電流の方向と、分割コイル53,54の第1端部53a,54aに位置するとともに第1接続部71a~76aにより第1分割コイル51と接続された同相の導電部41,42を流れる電流の方向とは、反対方向になる。
【0111】
本実施形態では、分割コイル51,52の第1端部51a,52aに位置する各相の第1導電部41は、回転軸12の軸方向に重なる分割コイル53,54の第1端部53a,54aに位置する同相の第1導電部41と電気的に接続されている。分割コイル51,52の第1端部51a,52aに位置する各相の第2導電部42は、回転軸12の軸方向に重なる分割コイル53,54の第1端部53a,54aに位置する同相の第2導電部42と電気的に接続されている。
【0112】
このため、分割コイル51,52の第1端部51a,52aに位置する各相の第1導電部41を流れる電流の方向と、分割コイル53,54の第1端部53a,54aに位置する同相の第1導電部41を流れる電流の方向とは、反対方向になる。また、分割コイル51,52の第1端部51a,52aに位置する各相の第2導電部42を流れる電流の方向と、分割コイル53,54の第1端部53a,54aに位置する同相の第2導電部42を流れる電流の方向とは、反対方向になる。
【0113】
また、分割コイル51,52の第2端部51b,52bと、回転軸12の軸方向に重なる分割コイル53,54の第2端部53b,54bとは、第2接続部71b~76bにより同相同士で電気的に接続されている。このため、分割コイル51,52の第2端部51b,52bに位置する各相の導電部41,42を流れる電流の方向と、分割コイル53,54の第2端部53b,54bに位置するとともに第2接続部71b~76bにより第1分割コイル51と接続された同相の導電部41,42を流れる電流の方向とは、反対方向になる。
【0114】
本実施形態では、分割コイル51,52の第2端部51b,52bに位置する各相の第1導電部41は、回転軸12の軸方向に重なる分割コイル53,54の第2端部53b,54bに位置する同相の第1導電部41と電気的に接続されている。分割コイル51,52の第2端部51b,52bに位置する各相の第2導電部42は、回転軸12の軸方向に重なる分割コイル53,54の第2端部53b,54bに位置する同相の第2導電部42と電気的に接続されている。
【0115】
このため、分割コイル51,52の第2端部51b,52bに位置する各相の第1導電部41を流れる電流の方向と、分割コイル53,54の第2端部53b,54bに位置する同相の第1導電部41を流れる電流の方向とは、反対方向になる。また、分割コイル51,52の第2端部51b,52bに位置する各相の第2導電部42を流れる電流の方向と、分割コイル53,54の第2端部53b,54bに位置する同相の第2導電部42を流れる電流の方向とは、反対方向になる。
【0116】
したがって、分割コイル53,54の各相のコイル20u,20v,20wを流れる電流の方向は、回転軸12の軸方向に重なる分割コイル51,52の同相のコイル20u,20v,20wを流れる電流の方向と反対方向になる。本実施形態では、分割コイル53,54の各相の第1導電部41を流れる電流の方向は、分割コイル51,52の同相の第1導電部41を流れる電流の方向と反対方向になる。また、分割コイル53,54の各相の第2導電部42を流れる電流の方向は、分割コイル51,52の同相の第2導電部42を流れる電流の方向と反対方向になる。
【0117】
本実施形態では、各相のコイル20u,20v,20wに正方向の電流が印加されたとき、分割コイル51,52の各相の第1導電部41では、環状コイル20の径方向の外側から内側に向かって電流が流れる。分割コイル51,52の各相の第2導電部42では、環状コイル20の径方向の内側から外側に向かって電流が流れる。分割コイル53,54の各相の第1導電部41では、環状コイル20の径方向の内側から外側に向かって電流が流れる。分割コイル53,54の各相の第2導電部42では、環状コイル20の径方向の外側から内側に向かって電流が流れる。
【0118】
各相のコイル20u,20v,20wに負方向の電流が印加されたとき、分割コイル51,52の各相の第1導電部41では、環状コイル20の径方向の内側から外側に向かって電流が流れる。分割コイル51,52の各相の第2導電部42では、環状コイル20の径方向の外側から内側に向かって電流が流れる。分割コイル53,54の各相の第1導電部41では、環状コイル20の径方向の外側から内側に向かって電流が流れる。分割コイル53,54の各相の第2導電部42では、環状コイル20の径方向の内側から外側に向かって電流が流れる。
【0119】
上述したように、第2環状コイル22は、第1環状コイル21と回転軸12の軸方向に積層されている。本実施形態では、第2環状コイル22の各相の第1ラジアル部41aは、第1環状コイル21の同相の第2ラジアル部42aと回転軸12の軸方向に重なっている。第2環状コイル22の各相の第2ラジアル部42aは、第1環状コイル21の同相の第1ラジアル部41aと回転軸12の軸方向に重なっている。また、第2環状コイル22の各分割位置P1,P2は、第1環状コイル21の各分割位置P1,P2に対して回転軸12の周方向に隣接間隔Dだけずれるように配置されている。
【0120】
したがって、分割コイル51,52の各相の第1導電部41を流れる電流の方向は、回転軸12の軸方向に重なる分割コイル53,54の同相の第2導電部42を流れる電流の方向と同じ方向である。また、分割コイル51,52の各相の第2導電部42を流れる電流の方向は、回転軸12の軸方向に重なる分割コイル53,54の同相の第1導電部41を流れる電流の方向と同じ方向である。
【0121】
図6及び
図7における「+」及び「-」は、各相のコイル20u,20v,20wに正方向の電流を印加したときの導電部41,42における電流の方向を示している。各相のコイル20u,20v,20wに正方向の電流を印加したとき、径方向内側から外側に向かって電流が流れる導電部には、「+」を付している。一方、径方向外側から内側に向かって電流が流れる導電部には、「-」を付している。したがって、分割コイル51,52の各相の第1導電部41には「-」が付されるとともに、分割コイル51,52の各相の第2導電部42には「+」が付されている。また、分割コイル53,54の各相の第1導電部41には「+」が付されるとともに、分割コイル53,54の各相の第2導電部42には「-」が付されている。
【0122】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)ステータ15は、回転軸12の軸方向に積層された第1環状コイル21及び第2環状コイル22を有している。第1環状コイル21は、回転軸12の周方向に分割された第1分割コイル51及び第2分割コイル52によって構成されている。第2環状コイル22は、回転軸12の周方向に分割された第3分割コイル53及び第4分割コイル54によって構成されている。
【0123】
第1分割コイル51の周方向の第1端部51aと第3分割コイル53の周方向の第1端部53aとは、同相同士で電気的に接続されている。また、第1分割コイル51の周方向の第2端部51bと第3分割コイル53の周方向の第2端部53bとは、同相同士で電気的に接続されている。これにより、第1分割コイル51及び第3分割コイル53は、第1分割コイル接続体20aを構成している。
【0124】
第1分割コイル51と第3分割コイル53とは回転軸12の軸方向に重なっているため、回転軸12に固定されたロータ14に対して各分割コイル51,53を組み付ける前に、第1分割コイル51と第3分割コイル53との電気的な接続作業を行うことができる。このため、回転軸12の周方向に隣り合う分割コイル50同士を電気的に接続する場合に行う必要があった、ロータ14に対する分割コイル50の組み付け後の環状コイル20の内周側での電気的な接続作業を行わなくても済む。したがって、モータ10の生産性を向上できる。
【0125】
同様に、第2分割コイル52の周方向の第1端部52aと第4分割コイル54の周方向の第1端部54aとは、同相同士で電気的に接続されている。また、第2分割コイル52の周方向の第2端部52bと第4分割コイル54の周方向の第2端部54bとは、同相同士で電気的に接続されている。これにより、第2分割コイル52及び第4分割コイル54は、第2分割コイル接続体20bを構成している。
【0126】
第2分割コイル52と第4分割コイル54とは回転軸12の軸方向に重なっているため、回転軸12に固定されたロータ14に対して各分割コイル52,54を組み付ける前に、第2分割コイル52と第4分割コイル54との電気的な接続作業を行うことができる。このため、回転軸12の周方向に隣り合う分割コイル50同士を電気的に接続する場合に行う必要があった、ロータ14に対する分割コイル50の組み付け後の環状コイル20の内周側での電気的な接続作業を行わなくても済む。したがって、モータ10の生産性を向上できる。
【0127】
(2)第1分割コイル51の周方向の第1端部51aと第3分割コイル53の周方向の第1端部53aとは、第1接続部71a~76aにより同相同士で電気的に接続されている。このため、第1分割コイル51の第1端部51aに位置する各相の導電部41,42を流れる電流の方向と、第3分割コイル53の第1端部53aに位置するとともに第1接続部71a~76aにより第1分割コイル51と接続された同相の導電部41,42を流れる電流の方向とは、反対方向になる。
【0128】
また、第1分割コイル51の周方向の第2端部51bと第3分割コイル53の周方向の第2端部53bとは、第2接続部71b~76bにより同相同士で電気的に接続されている。このため、第1分割コイル51の第2端部51bに位置する各相の導電部41,42を流れる電流の方向と、第3分割コイル53の第2端部53bに位置するとともに第2接続部71b~76bにより第1分割コイル51と接続された同相の導電部41,42を流れる電流の方向とは、反対方向になる。
【0129】
例えば、第2環状コイル22の分割位置P1,P2が第1環状コイル21の分割位置P1,P2に対して、回転軸12の周方向にずれていない場合や回転軸12の周方向に隣接間隔Dの偶数倍だけずれている場合について考える。この場合、回転軸12の軸方向に重なる同相の導電部41,42を流れる電流の方向が反対方向になることにより、相反する方向のローレンツ力が発生してしまう。これに対し、上記構成では、第2環状コイル22の分割位置P1,P2は、第1環状コイル21の分割位置P1,P2に対して回転軸12の周方向に隣接間隔Dの奇数倍だけずれるように配置されている。このため、回転軸12の軸方向に重なる同相の導電部41,42を流れる電流の方向が同じ方向になることにより、同じ方向のローレンツ力を発生させることができる。
【0130】
同様に、第2分割コイル52の周方向の第1端部52aと第4分割コイル54の周方向の第1端部54aとは、第1接続部71a~76aにより同相同士で電気的に接続されている。このため、第2分割コイル52の第1端部52aに位置する各相の導電部41,42を流れる電流の方向と、第4分割コイル54の第1端部54aに位置するとともに第1接続部71a~76aにより第2分割コイル52と接続された同相の導電部41,42を流れる電流の方向とは、反対方向になる。
【0131】
また、第2分割コイル52の周方向の第2端部52bと第4分割コイル54の周方向の第2端部54bとは、第2接続部71b~76bにより同相同士で電気的に接続されている。このため、第2分割コイル52の第2端部52bに位置する各相の導電部41,42を流れる電流の方向と、第4分割コイル54の第2端部54bに位置するとともに第2接続部71b~76bにより第2分割コイル52と接続された同相の導電部41,42を流れる電流の方向とは、反対方向になる。
【0132】
例えば、第2環状コイル22の分割位置P1,P2が第1環状コイル21の分割位置P1,P2に対して、回転軸12の周方向にずれていない場合や回転軸12の周方向に隣接間隔Dの偶数倍だけずれている場合について考える。この場合、回転軸12の軸方向に重なる同相の導電部41,42を流れる電流の方向が反対方向になることにより、相反する方向のローレンツ力が発生してしまう。これに対し、上記構成では、第2環状コイル22の分割位置P1,P2は、第1環状コイル21の分割位置P1,P2に対して回転軸12の周方向に隣接間隔Dの奇数倍だけずれるように配置されている。このため、回転軸12の軸方向に重なる同相の導電部41,42を流れる電流の方向が同じ方向になることにより、同じ方向のローレンツ力を発生させることができる。
【0133】
(3)第2環状コイル22の各分割位置P1,P2は、第1環状コイル21の各分割位置P1,P2に対して回転軸12の周方向に隣接間隔Dの1倍だけずらして配置されている。このため、第2環状コイル22の各分割位置P1,P2が第1環状コイル21の各分割位置P1,P2に対して回転軸12の周方向に隣接間隔Dの3倍以上の奇数倍だけずらして配置されている場合と比較して、第1分割コイル51と第3分割コイル53とを接続する第1接続部71a~76a及び第2接続部71b~76bの長さを短くすることができる。また、第2分割コイル52と第4分割コイル54とを接続する第1接続部71a~76a及び第2接続部71b~76bの長さを短くすることができる。したがって、銅損を低減できる。
【0134】
(4)第1環状コイル21の第1分割コイル51と第2環状コイル22の第3分割コイル53とは、接着剤からなる絶縁層18によって互いに固定されている。第1分割コイル51と第3分割コイル53とが一体化されていることにより、第1分割コイル接続体20aを扱いやすい。また、第1環状コイル21の第2分割コイル52と第2環状コイル22の第4分割コイル54は、接着剤からなる絶縁層18によって互いに固定されている。第2分割コイル52と第4分割コイル54とが一体化されていることにより、第2分割コイル接続体20bを扱いやすくなる。
【0135】
(5)第1分割コイル接続体20aと第2分割コイル接続体20bとは、直列接続されている。このため、第1分割コイル接続体20a及び第2分割コイル接続体20bに対して同じ電流を流すことができる。したがって、第1分割コイル接続体20aと第2分割コイル接続体20bとが並列接続されている場合と比較して、第1環状コイル21及び第2環状コイル22に流す電流が少なくて済む。
【0136】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0137】
○ 上記実施形態では、各相のコイル20u,20v,20wは、第1コイル構成部31及び第2コイル構成部32の2本のコイル構成部によって構成されていたが、これに限定されない。各相のコイル20u,20v,20wの第1ラジアル部41aが、他の2相のコイル20u,20v,20wの第2ラジアル部42aと回転軸12の軸方向に重なる構成の場合、各相のコイル20u,20v,20wを構成するコイル構成部の本数は偶数本であれば適宜変更されてもよい。例えば、各相のコイル20u,20v,20wは、回転軸12の周方向に1本ずつずらして分布巻きされた4本のコイル構成部によって構成されていてもよい。
【0138】
○ 上記実施形態では、各相のコイル20u,20v,20wの第1ラジアル部41aは、他の2相のコイル20u,20v,20wの第2ラジアル部42aと回転軸12の軸方向に重なっていたが、これに限定されない。各相のコイル20u,20v,20wの第1ラジアル部41aは、同相の第2ラジアル部42aと回転軸12の軸方向に重なっていてもよい。この場合、各相のコイル20u,20v,20wを構成するコイル構成部の本数は1本でもよいし、2本以上でもよい。
【0139】
○ 第1環状コイル21と第2環状コイル22とは、同相の第1ラジアル部41aが回転軸12の軸方向に重なるとともに、同相の第2ラジアル部42aが回転軸12の軸方向に重なるように積層されていてもよい。
【0140】
○ 上記実施形態では、各環状コイル20は、回転軸12の周方向において2分割されていたが、環状コイル20の分割数は適宜変更されてもよい。
○ 上記実施形態では、各環状コイル20は、回転軸12の周方向において均等に分割されていたが、不均等に分割されてもよい。
【0141】
○ 上記実施形態では、第1分割コイル51において、第1コイル構成部31と第2コイル構成部32は直列接続されていたが、これに限定されない。第1分割コイル51において、第1コイル構成部31と第2コイル構成部32は並列接続されていてもよい。
【0142】
具体的には、
図13に示すように、U相第1コイル構成部31uの1つの第1導電部41及びU相第2コイル構成部32uの1つの第1導電部41はそれぞれ、第1環状コイル21の外周側においてU相の入力端子Uinと電気的に接続されていてもよい。U相第1コイル構成部31uの1つの第2導電部42及びU相第2コイル構成部32uの1つの第2導電部42はそれぞれ、第1環状コイル21の外周側においてU相の出力端子Uoutと電気的に接続されていてもよい。
【0143】
V相第1コイル構成部31vの1つの第1導電部41及びV相第2コイル構成部32vの1つの第1導電部41はそれぞれ、第1環状コイル21の外周側においてV相の入力端子Vinと電気的に接続されていてもよい。V相第1コイル構成部31vの1つの第2導電部42及びV相第2コイル構成部32vの1つの第2導電部42はそれぞれ、第1環状コイル21の外周側においてV相の出力端子Voutと電気的に接続されていてもよい。
【0144】
W相第1コイル構成部31wの1つの第1導電部41及びW相第2コイル構成部32wの第1導電部41はそれぞれ、第1環状コイル21の外周側においてW相の入力端子Winと電気的に接続されていてもよい。W相第1コイル構成部31wの1つの第2導電部42及びW相第2コイル構成部32wの1つの第2導電部42はそれぞれ、第1環状コイル21の外周側においてW相の出力端子Woutと電気的に接続されていてもよい。
【0145】
同様に、第2分割コイル52において、第1コイル構成部31と第2コイル構成部32は並列接続されていてもよい。
○ 上記実施形態では、第2環状コイル22の分割位置は、第1環状コイル21の分割位置に対して回転軸12の周方向に隣接間隔Dの1倍だけずらして配置されていたが、これに限定されない。第2環状コイル22の分割位置は、第1環状コイル21の分割位置に対して回転軸12の周方向に隣接間隔Dの奇数倍だけずらして配置されていればよい。
【0146】
例えば、
図14に示すように、第2環状コイル22の分割位置は、第1環状コイル21の分割位置に対して回転軸12の周方向に隣接間隔Dの3倍だけずらして配置されていてもよい。
【0147】
○ 上記実施形態では、第1分割コイル接続体20aと第2分割コイル接続体20bは、直列接続されていたが、これに限定されない。第1分割コイル接続体20aと第2分割コイル接続体20bは、並列接続されていてもよい。
【0148】
具体的には、
図15に示すように、第1分割コイル51のU相第2コイル構成部32uの1つの第2導電部42は、U相の出力端子Uoutと電気的に接続されていてもよい。第1分割コイル51のV相第2コイル構成部32vの1つの第2導電部42は、V相の出力端子Voutと電気的に接続されていてもよい。第1分割コイル51のW相第2コイル構成部32uの1つの第2導電部42は、W相の出力端子Woutと電気的に接続されていてもよい。
【0149】
図16に示すように、第2分割コイル52のU相第1コイル構成部32uの1つの第1導電部41は、U相の入力端子Uinと電気的に接続されていてもよい。第2分割コイル52のV相第1コイル構成部32vの1つの第1導電部41は、V相の入力端子Vinと電気的に接続されていてもよい。第2分割コイル52のW相第1コイル構成部32wの1つの第1導電部41は、W相の入力端子Winと電気的に接続されていてもよい。
【0150】
○ 上記実施形態の各相のコイル20u,20v,20wは、ラジアル巻きされていたが、これに限定されない。各相のコイル20u,20v,20wの巻き方は、分布巻きであれば適宜変更されてもよい。
【0151】
例えば、
図17に示すように、各相のコイル20u,20v,20wは、各導電部41,42全体が環状コイル20の径方向に対して傾斜するように直線状に延びるパラレル巻きであってもよい。各導電部41,42の幅は、環状コイル20の径方向において一定であってもよいし、環状コイル20の径方向において変化していてもよい。
【0152】
例えば、
図18に示すように、各相のコイル20u,20v,20wは、各導電部41,42が弧状をなすアーク巻きであってもよい。
○ 各分割コイル50は、接続端子を有していなくてもよい。この場合、回転軸12の軸方向に重なる分割コイル50同士を電気的に接続するための各接続部は、導電部41,42に直接接続される。
【0153】
○ 各ステータ構成体16,17のプレート19は省略されてもよい。つまり、各ステータ構成体16,17は、プリント基板ではなく、環状コイル20単体であってもよい。
○ モータ10が備えるステータ15の数は、1つでもよい。
【0154】
○ 上記実施形態では、回転軸12の軸方向においてロータ14の間には1つのステータ15が配置されていたが、これに限定されない。例えば、回転軸12の軸方向においてロータ14の間には複数のステータ15が配置されていてもよい。
【0155】
○ 絶縁層18は、接着剤でなくてもよい。第1分割コイル51と第3分割コイル53とは、絶縁層18によって互いに固定されていなくてもよい。第2分割コイル52と第4分割コイル54とは、絶縁層18によって互いに固定されていなくてもよい。
【0156】
[付記]
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
[1]回転軸に固定されたロータと前記回転軸の軸方向において前記ロータと積層されたステータとを備え、前記ステータは、前記回転軸の周方向に分割された複数の分割コイルによって構成される円環状の環状コイルを有し、前記環状コイルは、前記回転軸の周方向に1相ずつずらした状態で分布巻きされるとともに三相交流電流が印加されるU相、V相、及びW相のコイルを有し、各相の前記コイルは、前記環状コイルの径方向に延びる複数の第1導電部と、前記環状コイルの径方向に延びる複数の第2導電部とを有し、前記第1導電部と前記第2導電部は、前記環状コイルの軸方向において異なる位置に設けられるとともに前記環状コイルの周方向において交互に配置され、前記環状コイルの周方向に隣り合う同相の前記第1導電部と前記第2導電部において、前記第1導電部を流れる電流の方向と前記第2導電部を流れる電流の方向とは反対方向であるモータであって、前記ステータは、前記環状コイルをもう1つ有し、2つの前記環状コイルのうち、一方を第1環状コイルとし、他方を第2環状コイルとしたとき、前記第2環状コイルは、前記第1環状コイルと前記回転軸の軸方向に積層され、前記第1環状コイルの前記分割コイルを第1分割コイルとし、前記第2環状コイルの前記分割コイルを第2分割コイルとしたとき、前記第1分割コイルと前記第2分割コイルは、前記第1分割コイルの周方向の第1端部と前記第2分割コイルの周方向の第1端部とが第1接続部により同相同士で電気的に接続されるとともに、前記第1分割コイルの周方向の第2端部と前記第2分割コイルの周方向の第2端部とが第2接続部により同相同士で電気的に接続されることによって、分割コイル接続体を構成し、渡線で接続される同相の前記第1導電部と前記第2導電部との周方向の間隔を隣接間隔としたとき、前記第2環状コイルの分割位置は、前記第1環状コイルの分割位置に対して前記回転軸の周方向に前記隣接間隔の奇数倍だけずれるように配置されていることを特徴とするモータ。
【0157】
[2]前記第2環状コイルの分割位置は、前記第1環状コイルの分割位置に対して前記回転軸の周方向に前記隣接間隔の1倍だけずれるように配置されている[1]に記載のモータ。
【0158】
[3]前記第1分割コイルと前記第2分割コイルとは、前記第1分割コイルと前記第2分割コイルとの間に介在する接着層によって互いに固定されている[1]又は[2]に記載のモータ。
【0159】
[4]前記分割コイル接続体同士は、前記第1環状コイル及び前記第2環状コイルの外周側において直列接続されている[1]~[3]の何れか1つに記載のモータ。
【符号の説明】
【0160】
10…モータ、12…回転軸、14…ロータ、15…ステータ、18…接着層としての絶縁層、20a…分割コイル接続体としての第1分割コイル接続体、20b…分割コイル接続体としての第2分割コイル接続体、20…環状コイル、20u…U相のコイル、20v…V相のコイル、20w…W相のコイル、21…第1環状コイル、22…第2環状コイル、41…第1導電部、42…第2導電部、43…渡線としての内側渡線部、44…渡線としての外側渡線部、50…分割コイル、51…第1分割コイル、51a…第1端部、51b…第2端部、52…第1分割コイルとしての第2分割コイル、52a…第1端部、52b…第2端部、53…第2分割コイルとしての第3分割コイル、53a…第1端部、53b…第2端部、54…第2分割コイルとしての第4分割コイル、54a…第1端部、54b…第2端部、71a,72a,73a,74a,75a,76a…第1接続部、71b,72b,73b,74b,75b,76b…第2接続部、D…隣接間隔、P1…分割位置としての第1分割位置、P2…分割位置としての第2分割位置。