(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168169
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】液体吐出装置、液体吐出方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20241128BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B41J2/17 203
B41J2/165 207
B41J2/165 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084612
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】矢野 佑幸
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA27
2C056FA13
2C056JC06
2C056JC13
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】液体流路内に残る液体の乾燥を抑制可能な液体吐出装置、及び液体吐出方法を提供すること。
【解決手段】画像形成装置は、記録ヘッド30から吐出されるインクを受けるインクトレイ81と、インクトレイ81に排出されたインクを吸引するポンプ83と、ポンプ83によって吸引されるインクをインクトレイ81からポンプ83へ案内する案内流路84と、を備え、案内流路84は、インクトレイ81からポンプ83側へ斜め下方に延出する第1部分流路84Aと、第1部分流路84Aにおける延出端部からから下方へ屈曲して延出する第2部分流路84Bと、第2部分流路84Bにおける延出端部から上方へ屈曲して延出する第3部分流路84Cと、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部の下側で前記吐出部から吐出される前記液体を受ける液体受け部と、
前記液体受け部から鉛直方向と交差する方向へ離間して配置され、前記液体受け部に排出された前記液体を吸引するポンプと、
前記ポンプによって吸引される前記液体を前記液体受け部から前記ポンプへ案内する液体流路と、
を備え、
前記液体流路は、
前記液体受け部から前記ポンプ側へ斜め下方に延出する第1部分流路と、
前記第1部分流路における延出端部からから下方へ屈曲して延出する第2部分流路と、
前記第2部分流路における延出端部から上方へ屈曲して延出する第3部分流路と、
を含む液体吐出装置。
【請求項2】
前記第2部分流路は、鉛直方向に沿って延出し、
前記第3部分流路は、鉛直方向に沿って延出する、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記液体流路は、前記第3部分流路における延出端部から斜め上方へ屈曲して延出し、延出端部が前記ポンプに接続される第4部分流路を含む、
請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体流路は、可撓性を有する素材で形成されており、
前記液体吐出装置は、
前記液体流路の下側で前記液体流路と接触して前記第1部分流路と前記第2部分流路との間の屈曲部を形成する屈曲部形成部を備える、
請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記吐出部から前記液体受け部へ向けて前記液体を吐出させるパージ処理を実行するパージ処理部と、
前記パージ処理が実行される場合に駆動される前記ポンプを前記パージ処理の終了前に停止させる停止処理部と、
を備える請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の液体吐出装置で実行される液体吐出方法であって、
前記吐出部から前記液体受け部へ向けて前記液体を吐出させるパージ処理を実行するパージステップと、
前記パージ処理が実行される場合に駆動される前記ポンプを前記パージ処理の終了前に停止させる停止ステップと、
を含む液体吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、及び液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の画像形成装置は、シートへ向けてインクを吐出するノズルを含む吐出部を備える。この種の画像形成装置は、前記ノズルにおける目詰まりを抑制するために、前記吐出部から前記インクを吐出させるパージ処理が実行されることがある。例えば、前記パージ処理を実行する前記画像形成装置は、液体受け部と、ポンプと、液体流路とを備える(例えば、特許文献1参照)。前記液体受け部は、前記吐出部の下側で前記吐出部から吐出される前記インクを受ける。前記ポンプは、前記液体受け部から鉛直方向と交差する方向へ離間して配置され、前記液体受け部に排出された前記インクを吸引する。前記液体流路は、前記ポンプによって吸引される前記インクを前記液体受け部から前記ポンプへ案内する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記ポンプの停止後に、前記ポンプによって吸引しきれなかった前記インクが前記液体流路に残ることがある。前記液体流路に前記インクが残ると、当該インクが乾燥して当該インクに含まれる成分が固化し、前記液体流路が詰まる原因になる。
【0005】
本発明の目的は、液体流路内に残る液体の乾燥を抑制可能な液体吐出装置、及び液体吐出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る液体吐出装置は、吐出部と、液体受け部と、ポンプと、液体流路と、を備える。前記吐出部は、液体を吐出する。前記液体受け部は、前記吐出部の下側で前記吐出部から吐出される前記液体を受ける。前記ポンプは、前記液体受け部から鉛直方向と交差する方向へ離間して配置され、前記液体受け部に排出された前記液体を吸引する。前記液体流路は、前記ポンプによって吸引される前記液体を前記液体受け部から前記ポンプへ案内する。また、前記液体流路は、第1部分流路と、第2部分流路と、第3部分流路とを含む。前記第1部分流路は、前記液体受け部から前記ポンプ側へ斜め下方に延出する。前記第2部分流路は、前記第1部分流路における延出端部からから下方へ屈曲して延出する。前記第3部分流路は、前記第2部分流路における延出端部から上方へ屈曲して延出する。
【0007】
本発明の他の局面に係る液体吐出方法は、前記液体吐出装置で実行され、パージステップと、停止ステップとを含む。前記パージステップでは、前記吐出部から前記液体受け部へ向けて前記液体を吐出させるパージ処理が実行される。前記停止ステップでは、前記パージ処理が実行される場合に駆動される前記ポンプが前記パージ処理の終了前に停止される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液体流路内に残る液体の乾燥を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の画像形成部、及び搬送ユニットの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のパージ部の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置で実行される吐出機能回復処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
[画像形成装置100の構成]
まず、
図1~
図3を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。ここで、
図1は、画像形成装置100の構成を示す断面図である。また、
図2は画像形成部3、及び搬送ユニット4の構成を示す平面図である。なお、
図1では、シート搬送経路R11が二点鎖線によって示されている。
【0012】
画像形成装置100は、インクジェット方式でシートに画像を形成可能なプリンターである。画像形成装置100は、本発明の液体吐出装置の一例である。なお、本発明は、インクジェット方式でシートに画像を形成可能なファクス装置、コピー機、及び複合機などの画像形成装置に適用されてもよい。
【0013】
図1、及び
図3に示されるように、画像形成装置100は、筐体1、シート搬送部2、画像形成部3、搬送ユニット4、操作表示部5、記憶部6、制御部7、及びパージ部8を備える。
【0014】
筐体1は、画像形成装置100の各構成要素を収容する。筐体1には、給紙カセット11が着脱可能に設けられる。給紙カセット11には、画像が形成されるシートが収容される。筐体1の外側面には、排紙トレイ12が設けられる。排紙トレイ12には、画像形成部3によって画像が形成されたシートが排出される。筐体1の内部では、給紙カセット11に収容されたシートが、画像形成部3による画像形成位置を経由して排紙トレイ12に至るシート搬送経路R11(
図1参照)に沿って搬送される。
【0015】
シート搬送部2は、給紙カセット11に収容されたシートを、シート搬送経路R11(
図1参照)に沿って搬送する。
図1に示されるように、シート搬送部2は、ピックアップローラー21、及び複数の搬送ローラー22を備える。ピックアップローラー21は、給紙カセット11に収容されたシート束における最上層のシートを取り出して、当該シートをシート搬送経路R11に送り出す。複数の搬送ローラー22は、シート搬送経路R11に沿って並んで設けられる。搬送ローラー22各々は、シートをシート搬送経路R11に沿って搬送する。搬送ローラー22各々は、シートを給紙カセット11から排紙トレイ12へ向かう搬送方向D11(
図1参照)へ搬送する。
【0016】
画像形成部3は,シート搬送部2から供給されるシートに画像データに基づく画像を形成する。
図1に示されるように、画像形成部3は、ラインヘッド31~34、及びヘッドフレーム35を備える。
【0017】
図2に示されるように、ラインヘッド31~34各々は、搬送方向D11に直交する幅方向D12に長尺である。具体的に、ラインヘッド31~34各々は、幅方向D12において、給紙カセット11に収容可能なシートのうち最大サイズのシートの幅に対応する長さを有する。ラインヘッド31~34各々は、搬送方向D11に沿って等間隔で並んで設けられる。
【0018】
図2に示されるように、ラインヘッド31~34各々は、複数の記録ヘッド30を有する。記録ヘッド30は、搬送ユニット4によって搬送されるシートへ向けてインクを吐出する。具体的に、記録ヘッド30におけるシートとの対向面には、前記インクの吐出に用いられる多数のノズル30A(
図2参照)が設けられている。ラインヘッド31に設けられる記録ヘッド30各々は、ブラックの前記インクを吐出する。ラインヘッド32に設けられる記録ヘッド30各々は、シアンの前記インクを吐出する。ラインヘッド33に設けられる記録ヘッド30各々は、マゼンタの前記インクを吐出する。ラインヘッド34に設けられる記録ヘッド30各々は、イエローの前記インクを吐出する。記録ヘッド30は、本発明の吐出部の一例である。また、前記インクは、本発明の液体の一例である。
【0019】
本実施形態では、ラインヘッド31は、幅方向D12に沿って3つの記録ヘッド30が千鳥状に配列されている。また、他のラインヘッド32~34各々も、ラインヘッド31と同様に、幅方向D12に沿って3つの記録ヘッド30が千鳥状に配列されている。なお、
図2には、画像形成部3を
図1の上側から見た状態が示されている。
【0020】
ヘッドフレーム35は、ラインヘッド31~34を支持する。ヘッドフレーム35は、筐体1によって支持されている。なお、画像形成部3の備えるラインヘッドの数は、1を含む任意の数であってよい。また、ラインヘッド31~34各々に設けられる記録ヘッド30の数は、任意の数であってよい。
【0021】
図1に示されるように、搬送ユニット4は、ラインヘッド31~34の下方に配置される。搬送ユニット4は、シートを記録ヘッド30に対向させつつ搬送する。例えば、搬送ユニット4は、記録ヘッド30によって前記インクの吐出が行われるごとに、シートを予め定められた搬送量だけ搬送する。また、搬送ユニット4は、記録ヘッド30による前記インクの吐出が行われている間は、シートの搬送を停止する。
図1に示されるように、搬送ユニット4は、シートが載置される搬送ベルト41と、搬送ベルト41を張架する第1張架ローラー42、第2張架ローラー43、及び第3張架ローラー44と、これらを支持する搬送フレーム45とを備える。なお、搬送ベルト41と記録ヘッド30との間隙は、画像形成時のシートの表面と記録ヘッド30との間隙が所定の距離(例えば1mm)となるように調整される。
【0022】
第1張架ローラー42は、不図示のモーターから供給される回転駆動力により回転駆動される。これにより、搬送ベルト41は、シートを搬送方向D11(
図1参照)へ搬送可能な方向に回動する。なお、搬送ユニット4には、シートを搬送ベルト41に吸着させるべく、搬送ベルト41に形成された多数の貫通孔から吸気を行う吸引ユニット(不図示)なども設けられている。また、第1張架ローラー42の上側には、シートを搬送ベルト41に押しつけて搬送させるための圧ローラー46が設けられている。
【0023】
操作表示部5は、制御部7からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザーの操作に応じて制御部7に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を有する。操作表示部5は、筐体1の上面に設けられる。
【0024】
記憶部6は、不揮発性の記憶装置である。例えば、記憶部6は、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーである。
【0025】
制御部7は、画像形成装置100を統括的に制御する。
図3に示されるように、制御部7は、CPU7A、ROM7B、及びRAM7Cを備える。CPU7Aは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROM7Bは、CPU7Aに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め格納される不揮発性の記憶装置である。RAM7Cは、CPU7Aが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性、又は不揮発性の記憶装置である。CPU7Aは、ROM7Bに予め格納された各種の制御プログラムを実行することにより、画像形成装置100を統括的に制御する。なお、制御部7は、画像形成装置100を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。また、制御部7は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよい。
【0026】
画像形成装置100では、乾燥による前記インクの粘度の増加、及び記録ヘッド30のノズル30Aにおける異物の混入等により、ノズル30Aにおいて目詰まりが生じることがある。そこで、画像形成装置100では、ノズル30A内の前記インクを交換するためにノズル30Aから前記インクを吐出させるパージ処理が実行される。
【0027】
パージ部8は、前記パージ処理に用いられる。
【0028】
[パージ部8の構成]
次に、
図1、
図3、及び
図4を参照しつつ、パージ部8の構成について説明する。ここで、
図4は、パージ部8の構成を示す側面図である。
図4には、パージ位置に配置されたインクトレイ81、及びキャリッジ82が示されている。なお、
図4には、ラインヘッド31~34のうち、搬送方向D11の最下流に位置するラインヘッド34に含まれる3つの記録ヘッド30が示されている。また、
図4では、貯留部87に貯留された前記インクの水面F1が点線により示されている。
【0029】
図1、
図3、及び
図4に示されるように、パージ部8は、インクトレイ81、キャリッジ82、ポンプ83、案内流路84、排出流路85、及び廃インクタンク86を備える。また、パージ部8は、記録ヘッド30各々の前記対向面を清掃するワイパー部材(不図示)を備える。
【0030】
インクトレイ81は、記録ヘッド30各々の下側で、記録ヘッド30各々のノズル30Aから吐出される前記インクを受ける。インクトレイ81は、本発明の液体受け部の一例である。
【0031】
キャリッジ82は、インクトレイ81、及び前記ワイパー部材を支持する。キャリッジ82は、不図示の移動機構により鉛直方向、及び水平方向に沿って移動可能に支持されている。例えば、前記移動機構は、モーターの回転軸に連結されたギアの回転運動を直線運動に変換するラック-ピニオン機構を利用してキャリッジ82を移動させるような従来周知の駆動機構である。
【0032】
また、画像形成装置100において、搬送ユニット4は、不図示の昇降機構によって鉛直方向に移動可能に設けられている。搬送ユニット4は、前記パージ処理が実行される場合に、前記昇降機構によって鉛直下方向に移動される。また、キャリッジ82は、搬送ユニット4が鉛直下方向に移動された後に、前記移動機構によって移動されてラインヘッド31~34の下方へ配置される。そして、キャリッジ82は、前記移動機構によって鉛直上方向に移動されて前記パージ処理を実行可能なパージ位置に配置される。
【0033】
キャリッジ82が前記パージ位置に配置されると、前記パージ処理が実行される。具体的に、前記パージ処理では、制御部7によって不図示のパージ用ポンプが駆動制御されることで、記録ヘッド30各々のノズル30Aからインクトレイ81に向けて前記インクが排出される。前記パージ処理が実行されることで、記録ヘッド30各々のノズル30A内に残留する高粘度のインクが排出され、ノズル30Aの目詰まりが解消される。
【0034】
ポンプ83は、インクトレイ81から鉛直方向と交差する方向へ離間して配置される。つまり、ポンプ83は、インクトレイ81に対して、水平方向において距離を開けて配置される。ポンプ83は、インクトレイ81に排出された前記インクを吸引する。
【0035】
案内流路84は、ポンプ83によって吸引される前記インクをインクトレイ81からポンプ83へ案内する。具体的に、案内流路84は、インクトレイ81の底部に設けられるインク排出口81A(
図4参照)からポンプ83までのインク流路を形成する。案内流路84は、可撓性を有する素材により形成される。例えば、案内流路84は、樹脂製のチューブである。案内流路84では、ポンプ83によって吸引される前記インクが
図4に示される流動方向D21へ流動する。案内流路84は、本発明の液体流路の一例である。
【0036】
排出流路85は、ポンプ83によって吸引された前記インクを廃インクタンク86へ案内する。具体的に、排出流路85は、ポンプ83から廃インクタンク86までのインク流路を形成する。排出流路85は、可撓性を有する素材により形成される。例えば、排出流路85は、樹脂製のチューブである。
【0037】
廃インクタンク86には、前記パージ処理によってインクトレイ81に排出されたインクが収容される。
【0038】
ところで、ポンプ83の停止後に、ポンプ83によって吸引しきれなかった前記インクが案内流路84に残ることがある。案内流路84に前記インクが残ると、当該インクが乾燥して当該インクに含まれる成分が固化し、案内流路84が詰まる原因になる。
【0039】
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置100では、以下に説明するように、案内流路84内に残る前記インクの乾燥を抑制可能である。
【0040】
具体的に、案内流路84は、
図4に示される第1部分流路84A、第2部分流路84B、第3部分流路84C、及び第4部分流路84Dを含む。
【0041】
第1部分流路84Aは、インクトレイ81からポンプ83側へ斜め下方に延出する。
【0042】
第2部分流路84Bは、第1部分流路84Aにおける延出端部からから下方へ屈曲して延出する。
【0043】
具体的に、第2部分流路84Bは、鉛直方向に沿って延出する。
【0044】
例えば、パージ部8は、
図4に示される第1屈曲部形成部91を備える。第1屈曲部形成部91は、案内流路84の下側で案内流路84と接触して第1部分流路84Aと第2部分流路84Bとの間の屈曲部を形成する。例えば、第1屈曲部形成部91は、案内流路84の下側で案内流路84を支持する棒状、又は円柱状の部材である。案内流路84は、第1屈曲部形成部91によって支持されてポンプ83側が鉛直下方へ垂れ下がる。これにより、第1部分流路84Aと第2部分流路84Bとの間の屈曲部が形成される。
【0045】
第3部分流路84Cは、第2部分流路84Bにおける延出端部から上方へ屈曲して延出する。
【0046】
具体的に、第3部分流路84Cは、鉛直方向に沿って延出する。
【0047】
第4部分流路84Dは、第3部分流路84Cにおける延出端部から水平方向に対して斜め上方を向く方向へ屈曲して延出する。第4部分流路84Dにおける延出端部は、ポンプ83に接続される。
【0048】
例えば、パージ部8は、
図4に示される第2屈曲部形成部92を備える。第2屈曲部形成部92は、案内流路84の下側で案内流路84と接触して第3部分流路84Cと第4部分流路84Dとの間の屈曲部を形成する。例えば、第2屈曲部形成部92は、案内流路84の下側で案内流路84を支持する棒状、又は円柱状の部材である。案内流路84は、第2屈曲部形成部92によって支持されてインクトレイ81側が鉛直下方へ垂れ下がる。これにより、第3部分流路84Cと第4部分流路84Dとの間の屈曲部が形成される。
【0049】
案内流路84では、第2部分流路84Bと第3部分流路84Cとの間に側面視でU字状の屈曲部が形成される。前記U字状の屈曲部は、ポンプ83の停止後にポンプ83によって吸引しきれなかった前記インクを集約して貯留する貯留部87として機能する。
【0050】
具体的に、第1部分流路84Aに残留する前記インクは、第1部分流路84Aが斜め下方に延出しているため、自重によって第2部分流路84Bへ流動する。また、第2部分流路84Bに残留する前記インクは、第2部分流路84Bが鉛直下方へ向けて延出しているため、自重によって貯留部87へ流動する。また、第4部分流路84Dに残留する前記インクは、第4部分流路84Dが斜め上方に延出しているため、自重によって第3部分流路84Cへ流動する。また、第3部分流路84Cに残留する前記インクは、第3部分流路84Cが鉛直上方へ向けて延出しているため、自重によって貯留部87へ流動する。
【0051】
案内流路84に残留する前記インクが貯留部87に集約されて貯留されることにより、当該インクが集約されない場合と比較して、当該インクと空気との接触面積を小さくすることが可能である。これにより、案内流路84に残留する前記インクの乾燥を抑制することが可能である。
【0052】
ここで、画像形成装置100では、貯留部87が側面視でU字状に形成されている。これにより、貯留部87が側面視でV字状に形成される構成と比較して、貯留部87に貯留された前記インクと空気との接触面積をより小さくすることが可能である。
【0053】
なお、貯留部87は、側面視でV字状に形成されていてもよい。具体的に、第2部分流路84Bは、第1部分流路84Aよりも急な傾斜角度で、ポンプ83側へ斜め下方に延出するように形成されていてもよい。また、第3部分流路84Cは、第4部分流路84Dよりも急な傾斜角度で、ポンプ83側へ斜め上方に延出するように形成されていてもよい。
【0054】
また、
図3に示されるように、制御部7は、パージ処理部71、及び駆動制御部72を含む。
【0055】
具体的に、制御部7のROM7Bには、制御部7のCPU7Aを上述の各部として機能させるための吐出機能回復プログラムが予め格納されている。そして、制御部7のCPU7Aは、ROM7Bに格納された前記吐出機能回復プログラムを実行することにより、上述の各機能部として機能する。なお、制御部7に含まれる一部、又は全部の機能部は、電子回路で構成されていてもよい。また、前記吐出機能回復プログラムは、複数のプロセッサーを制御部7に含まれる各機能部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0056】
パージ処理部71は、記録ヘッド30からインクトレイ81へ向けて前記インクを吐出させる前記パージ処理を実行する。
【0057】
駆動制御部72は、前記パージ処理が実行される場合に、ポンプ83を駆動させる。
【0058】
例えば、駆動制御部72は、前記パージ処理が実行される場合に、前記パージ処理の開始前にポンプ83を駆動させる。
【0059】
また、駆動制御部72は、前記パージ処理が実行される場合に駆動されるポンプ83を前記パージ処理の終了前に停止させる。駆動制御部72は、本発明の停止処理部の一例である。
【0060】
[吐出機能回復処理]
以下、
図5を参照しつつ、画像形成装置100において制御部7により実行される吐出機能回復処理の手順の一例とともに、本発明の液体吐出方法について説明する。ここで、ステップS11、S12・・・は、制御部7により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。なお、前記吐出機能回復処理は、前記パージ処理の実行タイミングが到来した場合に実行される。例えば、制御部7は、直前の画像形成処理の実行時からの経過時間が予め定められた基準時間を超えた場合に、前記実行タイミングが到来したと判定する。また、制御部7は、操作表示部5において予め定められた操作が受け付けられた場合に、前記実行タイミングが到来したと判定してもよい。
【0061】
<ステップS11>
まず、ステップS11において、制御部7は、ポンプ83の駆動を開始させる。ここで、ステップS11の処理は、制御部7の駆動制御部72により実行される。
【0062】
<ステップS12>
ステップS12において、制御部7は、ポンプ83の駆動開始後に、前記パージ処理を実行する。ここで、ステップS12の処理は、本発明のパージステップの一例であって、制御部7のパージ処理部71により実行される。
【0063】
ここで、前記吐出機能回復処理では、前記パージ処理が開始される前にポンプ83が駆動される。これにより、直前の前記吐出機能回復処理の実行時に貯留部87に貯留された前記インクが前記パージ処理の実行前に廃インクタンク86に回収される。そのため、前記パージ処理の開始時以後にポンプ83が駆動される構成と比較して、ポンプ83の駆動負荷が大きくなることを回避可能である。
【0064】
<ステップS13>
ステップS13において、制御部7は、前記パージ処理の開始時から予め定められた第1時間が経過したか否かを判定する。
【0065】
ここで、制御部7は、前記第1時間が経過したと判定すると(S13のYes側)、処理をステップS14に移行させる。また、前記第1時間が経過していなければ(S13のNo側)、制御部7は、ステップS13で前記第1時間の経過を待ち受ける。
【0066】
<ステップS14>
ステップS14において、制御部7は、前記パージ処理の終了前に、ポンプ83の駆動を停止させる。ここで、ステップS14の処理は、本発明の停止ステップの一例であって、制御部7の駆動制御部72により実行される。
【0067】
これにより、前記パージ処理の終了後に貯留部87に貯留される前記インクの水面F1(
図4参照)を、前記U字状の屈曲部の天面87A(
図4参照)よりも上側にすることが可能である。そのため、前記インクと空気との接触面積をより小さくすることが可能である。
【0068】
ここで、前記パージ処理の終了後に貯留部87に貯留される前記インクの水位は、ポンプ83の駆動の停止時からの前記パージ処理の実行時間が長いほど、上昇する。つまり、ポンプ83の駆動停止タイミングを調整することにより、前記パージ処理の終了後に貯留部87に貯留される前記インクの水位を制御することが可能である。
【0069】
<ステップS15>
ステップS15において、制御部7は、前記パージ処理の開始時から予め定められた第2時間が経過したか否かを判定する。前記第2時間は、予め定められた前記パージ処理の実行時間であって、前記第1時間よりも長い時間である。
【0070】
ここで、制御部7は、前記第2時間が経過したと判定すると(S15のYes側)、処理をステップS16に移行させる。また、前記第2時間が経過していなければ(S15のNo側)、制御部7は、ステップS15で前記第2時間の経過を待ち受ける。
【0071】
<ステップS16>
ステップS16において、制御部7は、前記パージ処理を終了させる。
【0072】
このように、画像形成装置100では、案内流路84に含まれる第1部分流路84A、第2部分流路84B、第3部分流路84C、及び第4部分流路84Dにより、ポンプ83の停止後にポンプ83によって吸引しきれなかった前記インクを集約して貯留する貯留部87が形成される。これにより、案内流路84内に残る前記インクの乾燥を抑制可能である。
【0073】
なお、案内流路84は、第4部分流路84Dを含んでいなくてもよい。具体的に、ポンプ83は、第3部分流路84Cの延出端部に接続されていてもよい。
【0074】
また、案内流路84の一部、又は全部は、可撓性を有しない素材によって形成されていてもよい。例えば、第2部分流路84B、第3部分流路84C、及び第4部分流路84Dは、金属製の配管であってもよい。この場合、パージ部8は、第1屈曲部形成部91、及び第2屈曲部形成部92を含んでいなくてよい。
【0075】
また、本発明の液体は、前記インクに限られず、被吐出対象の表面を覆うコーティング剤などであってもよい。
【0076】
[発明の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0077】
<付記1>
液体を吐出する吐出部と、前記吐出部の下側で前記吐出部から吐出される前記液体を受ける液体受け部と、前記液体受け部から鉛直方向と交差する方向へ離間して配置され、前記液体受け部に排出された前記液体を吸引するポンプと、前記ポンプによって吸引される前記液体を前記液体受け部から前記ポンプへ案内する液体流路と、を備え、前記液体流路は、前記液体受け部から前記ポンプ側へ斜め下方に延出する第1部分流路と、前記第1部分流路における延出端部からから下方へ屈曲して延出する第2部分流路と、前記第2部分流路における延出端部から上方へ屈曲して延出する第3部分流路と、を含む液体吐出装置。
【0078】
<付記2>
前記第2部分流路は、鉛直方向に沿って延出し、前記第3部分流路は、鉛直方向に沿って延出する、付記1に記載の液体吐出装置。
【0079】
<付記3>
前記液体流路は、前記第3部分流路における延出端部から斜め上方へ屈曲して延出し、延出端部が前記ポンプに接続される第4部分流路を含む、付記1又は2に記載の液体吐出装置。
【0080】
<付記4>
前記液体流路は、可撓性を有する素材で形成されており、前記液体吐出装置は、前記液体流路の下側で前記液体流路と接触して前記第1部分流路と前記第2部分流路との間の屈曲部を形成する屈曲部形成部を備える、付記1~3のいずれかに記載の液体吐出装置。
【0081】
<付記5>
前記吐出部から前記液体受け部へ向けて前記液体を吐出させるパージ処理を実行するパージ処理部と、前記パージ処理が実行される場合に駆動される前記ポンプを前記パージ処理の終了前に停止させる停止処理部と、を備える付記1~4のいずれかに記載の液体吐出装置。
【0082】
<付記6>
付記1~4のいずれかに記載の液体吐出装置で実行される液体吐出方法であって、前記吐出部から前記液体受け部へ向けて前記液体を吐出させるパージ処理を実行するパージステップと、前記パージ処理が実行される場合に駆動される前記ポンプを前記パージ処理の終了前に停止させる停止ステップと、を含む液体吐出方法。
【符号の説明】
【0083】
1 筐体
2 シート搬送部
3 画像形成部
4 搬送ユニット
5 操作表示部
6 記憶部
7 制御部
8 パージ部
30 記録ヘッド
71 パージ処理部
72 駆動制御部
81 インクトレイ
82 キャリッジ
83 ポンプ
84 案内流路
84A 第1部分流路
84B 第2部分流路
84C 第3部分流路
84D 第4部分流路
85 排出流路
86 廃インクタンク
87 貯留部
91 第1屈曲部形成部
92 第2屈曲部形成部
100 画像形成装置