IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トヨトミの特許一覧

<>
  • 特開-石油燃焼器の点火装置 図1
  • 特開-石油燃焼器の点火装置 図2
  • 特開-石油燃焼器の点火装置 図3
  • 特開-石油燃焼器の点火装置 図4
  • 特開-石油燃焼器の点火装置 図5
  • 特開-石油燃焼器の点火装置 図6
  • 特開-石油燃焼器の点火装置 図7
  • 特開-石油燃焼器の点火装置 図8
  • 特開-石油燃焼器の点火装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168173
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】石油燃焼器の点火装置
(51)【国際特許分類】
   F23Q 3/00 20060101AFI20241128BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20241128BHJP
【FI】
F23Q3/00 102E
H02J50/10
F23Q3/00 101Z
F23Q3/00 C
F23Q3/00 605G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084619
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003229
【氏名又は名称】株式会社トヨトミ
(72)【発明者】
【氏名】岡田 憲作
(57)【要約】
【課題】 外部の給電装置からの給電によって電力を発生し、乾電池を用いることなく点火することのできる石油燃焼器の点火装置を提供する。
【解決手段】 芯1と、芯1に点火する点火装置2と、点火装置2に点火用電力を供給する電源回路3とを備える。電源回路3には、外部の給電装置5からの給電を受けて点火装置2に供給する電力を発生する受電装置4を備えている。受電装置4には、ワイヤレス受電部6を備え、給電装置5からのワイヤレス給電により非接触での給電を受けて電力を発生し、点火装置2に電力を供給して芯1に点火する。また、受電装置4には給電装置5を着脱自在に接続する外部接続端子7を備え、給電装置5から外部接続端子7を介して給電を受けて電力を発生し、点火装置2に電力を供給して芯1に点火する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯と、前記芯に点火する点火装置と、前記点火装置に点火用電力を供給する電源回路とを備えた石油燃焼器であって、
前記電源回路に、外部の給電装置からの給電を受けて前記点火装置に供給する電力を発生する受電装置を備えていることを特徴とする石油燃焼器の点火装置。
【請求項2】
前記受電装置にはワイヤレス受電部を備え、前記給電装置からのワイヤレス給電により非接触での給電を受けて電力を発生することを特徴とする請求項1記載の石油燃焼器の点火装置。
【請求項3】
前記受電装置には前記給電装置を着脱自在に接続する外部接続端子を備え、前記給電装置から前記外部接続端子を介して給電を受けて電力を発生することを特徴とする請求項1記載の石油燃焼器の点火装置。
【請求項4】
前記受電装置は、ワイヤレス受電部を有する第1の受電回路と、前記給電装置を着脱自在に接続する外部接続端子を有する第2の受電回路とを備え、
前記第1の受電回路には前記第2の受電回路からの逆方向電流を阻止する第1の逆流防止回路を備え、前記第2の受電回路には前記第1の受電回路からの逆方向電流を阻止する第2の逆流防止回路を備えることを特徴とする請求項1記載の石油燃焼器の点火装置。
【請求項5】
前記受電装置を収納するケースを備え、
該ケースを前記石油燃焼器の電池収納部に着脱自在に取り付けると共に、
前記ケースには前記電池収納部の接続端子に接続する出力端子を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載した石油燃焼器の点火装置。
【請求項6】
前記受電装置は、タイマ回路を備え、前記給電装置からの給電を受けて前記タイマ回路がカウント開始し、予め定められた設定時間が経過すると前記点火装置への電力の供給を停止する停止指令を出力することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載した石油燃焼器の点火装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石油燃焼器の点火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
初期の従来の芯上下式石油燃焼器の点火装置は、赤熱式の点火ヒータを用いるのが一般的であった。また最近では、電極取り付け構造の改良や高電圧発生回路の改良によって、低電圧の乾電池を電源とする放電式の点火装置が実用化されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-241449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放電式の点火装置は放電電極の消耗がないため、電池交換だけで点火装置を長期にわたって利用できるというメリットがある。しかし、乾電池から取り出せる電力が少ないため、芯と放電電極との位置関係寸法が狂うと、火花放電によって発生した熱が直接灯油の気化に使われて、白い灯油ガスの蒸気が発生するだけで、全く着火できない状態になる。そのため、放電電極と芯との間の位置関係の寸法管理を正確に行なう必要がある。
【0005】
また、使用が進んだ乾電池は電気容量が少なくなり、電圧の低下と共に放電火花が弱くなるため、期待した点火性能を長期間継続して得ることが困難である。そのため、石油燃焼器の使用者は、消耗した電池を新しい電池に交換して石油燃焼器の使用を続けることになる。
【0006】
新しい乾電池をすぐに入手できないときは、マッチもしくは点火用ライターを使用すれば点火することはできるものの、石油燃焼器の取扱いが非常に不便となる上、そのためにマッチや点火用ライターを所有しておく必要がある。
【0007】
また、最近では石油燃焼器をキャンプ場などに持ち込んで、テントやタープといった屋外に近い環境で使用される機会が増えてきている。しかし、気温が低いときは乾電池の出力が低下し、電力が低下して着火しにくくなるという問題が生じる。一方、マッチや点火用ライターは風の影響を受けやすいという問題がある。そのため、屋外に近い環境で使用する場合には使い勝手の良いものではなかった。
【0008】
また、石油燃焼器を屋外に近い環境で使用する場合には、風などの影響を受けて異常燃焼を起こす可能性がある。石油燃焼器が長時間に渡って風を受け続けて異常燃焼が継続するようなことがあると、乾電池が加熱されて発火や有害物質の発生などの恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上記の課題を解決するもので、芯1と、前記芯1に点火する点火装置2と、前記点火装置2に点火用電力を供給する電源回路3とを備えた石油燃焼器であって、前記電源回路3に、外部の給電装置5からの給電を受けて前記点火装置2に供給する電力を発生する受電装置4を備えていることを特徴とする石油燃焼器の点火装置である。
【0010】
また、前記受電装置4にはワイヤレス受電部6を備え、前記給電装置5からのワイヤレス給電により非接触での給電を受けて電力を発生するように構成することにより、安定した点火性能を得ることができるものである。
【0011】
また、前記受電装置4には前記給電装置5を着脱自在に接続する外部接続端子7を備え、前記給電装置5から前記外部接続端子7を介して給電を受けて電力を発生するように構成することにより、安定した点火性能を得ることができるものである。
【0012】
また、前記受電装置4は、ワイヤレス受電部6を有する第1の受電回路60と、前記給電装置5を着脱自在に接続する外部接続端子7を有する第2の受電回路70とを備え、前記第1の受電回路60には前記第2の受電回路70からの逆方向電流を阻止する第1の逆流防止回路64を備え、前記第2の受電回路70には前記第1の受電回路60からの逆方向電流を阻止する第2の逆流防止回路72を備えることにより、給電装置5からのワイヤレス給電もしくは給電装置5を外部接続端子70に接続するという、いずれかの方法により電力を発生させることができるものである。
【0013】
また、前記受電装置4を収納するケース40を備え、該ケース40を前記石油燃焼器の電池収納部21に着脱自在に取り付けると共に、前記ケース40には前記電池収納部21の接続端子21a・21bに接続する出力端子42a・42bを有していることにより、石油燃焼器を分解・改造することなく受電装置4を備えることができるものである。
【0014】
また、前記受電装置4は、タイマ回路46を備え、前記給電装置5からの給電を受けて前記タイマ回路46がカウント開始し、予め定められた設定時間が経過すると前記点火装置2への電力の供給を停止する停止指令を出力することにより、前記点火装置2により前記芯1に点火した後に自動で前記点火装置2への電力の供給を停止することができるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外部の給電装置から点火装置に電力を供給することで、乾電池を用いることなく石油燃焼器の芯に点火することができる。そのため乾電池の消耗による点火性能の低下の心配は全くなく、使用期間の長さに関係なく長期間にわたり安定した点火性能が維持できるものとなった。
【0016】
また、受電装置では発生する電力を所定の出力電圧に昇圧させており、点火装置に常に安定した電力を供給することができ、温度や風など使用環境による影響を受けることなく、安定した点火性能が維持できるものとなった。
【0017】
また、石油燃焼器が異常燃焼を起こした場合でも、従来のように乾電池の加熱による発火や有害物質の発生などの恐れがなくなり、屋外に近い環境でも安全に使用できる石油燃焼器を提供することができるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施の形態の石油燃焼器の正面図である。
図2】本実施の形態の石油燃焼器の要部断面図である。
図3】本実施の形態の石油燃焼器の点火装置の回路図である。
図4】本実施の形態となるワイヤレス受電部を備えた受電装置の構成を示す回路図である。
図5】他の実施形態となる外部接続端子を備えた受電装置の構成を示す回路図である。
図6図5に示す他の実施形態の石油燃焼器の要部断面図である。
図7】他の実施形態となるワイヤレス受電部と外部接続端子を備えた受電装置の構成を示す回路図である。
図8】本実施の形態の受電装置の取り付け構造を示す図である。
図9】他の実施形態となるタイマ回路を備えた受電装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の石油燃焼器と点火装置の実施形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態の石油燃焼器の正面図、図2は、石油燃焼器の要部の断面図である。本実施の形態の石油燃焼器は、芯1と、芯収容筒9と、燃焼筒10と、電源回路3と、受電装置4と、点火装置2と、燃料タンク11と、カートリッジタンク12と、芯上下軸13と、置台14と、枠体15と、前面パネル16と、ガード17とを備えている。
【0021】
燃料タンク11と枠体15は、置台14の上に固定されている。芯収容筒9は燃料タンク11の上に配置され、芯1は芯収容筒9に形成された間隙内に上下動自在に取り付けられている。燃焼筒10は、芯収容筒9の上端に載架されている。
【0022】
芯1の下部は、燃料タンク11内の燃料中に伸びており、芯1の上端は、燃焼筒10の下端にのぞませている。芯上下軸13は、芯収容筒9内で芯1と係合して、芯1を上下動させる。前面パネル16から突出する芯上下軸13の端部には、操作つまみ13aが取り付けられている。点火装置2は、芯1の側面と上端にのぞませて配置された一対の点火電極2a・2bと、高電圧発振回路18を備えている。
【0023】
図3は、本発明の実施の形態の点火装置の基本回路構成を示している。この回路において、高電圧発振回路18は、芯1に点火火花を与える一対の点火電極2a及び2bに周期的に高電圧を印加するように構成されている。
【0024】
電源回路3は、高電圧発振回路18に点火用電力を供給する。高電圧発振回路18は、約800Hzの周波数で作動して点火電極2a及び2bから火花放電を行なう。電源回路3は、外部の給電装置5からの給電を受けて電力を発生する受電装置4を電源として備えている。
【0025】
電源回路3には、点火用スイッチ19を備えている。点火用スイッチ19は、芯上下軸13と連動して芯1が燃焼位置にセットされると閉路となる。すなわち点火用スイッチ19は、操作つまみ13aを燃焼位置まで回転させる前まではオフ状態にあり、操作つまみ13aを燃焼位置まで回転させるとオン状態となる。
【0026】
図4に示すように、受電装置4は、外部の給電装置5から非接触で電力の供給を受けるワイヤレス受電部6を備えている。ワイヤレス受電部6は、外部の給電装置5の送電コイル5aで発生する磁界による電磁誘導により、送電コイル5aから非接触で受電可能な受電コイル6aと、受電コイル6aで発生する電力を整流する整流回路61と、整流回路61で整流された電力の電圧を所定の電圧に昇圧する昇圧回路62とを有する。ワイヤレス受電部6の出力側には、過電流防止回路63を備えている。過電流防止回路63は、ワイヤレス受電部6から点火装置2への過電流を防止する。
【0027】
図2に示すように、受電装置4はワイヤレス受電部6と過電流防止回路63が収納される樹脂製のケース40を備えている。ケース40は石油燃焼器の前面パネル16に取り付けられており、受電装置4と点火装置2の電源回路3とが配線コード20で接続されている。ケース40の取り付け位置は任意であり、枠体15の側面や背面に取り付けてあってもよい。
【0028】
本発明では、給電装置5としてワイヤレスのモバイルバッテリなど市販されている製品をそのまま利用することができる。そのため、ワイヤレス給電部50を備えた給電装置5を石油燃焼器の専用の付属品として用意する必要がない。
【0029】
石油燃焼器の点火動作について説明する。操作つまみ13aを操作して芯上下軸13を回転させ、芯1を燃焼位置まで上昇させると点火用スイッチ19がオン状態となる。給電装置5のワイヤレス給電部50をワイヤレス受電部6に近づけると、送電コイル5aで発生する磁界による電磁誘導により受電コイル6aで受電して電力を発生する。
【0030】
受電コイル6aで発生した電力は整流回路61で整流され、昇圧回路62で所定の電圧に昇圧され、直流5Vの電力が点火装置2の高電圧発振回路18に供給される。高電圧発振回路18は、約800Hzの周波数で作動して点火電極2a及び2bから火花放電を行ない、芯1に着火することができる。芯1に着火したことを確認したら、給電装置5をワイヤレス受電部6から離すと電力の供給が停止し、放電が停止する。
【0031】
第2の実施形態を図5及び図6に示す。受電装置4には外部接続端子7を備えている。本実施の形態では、外部接続端子7をUSB端子で構成しているが、特に限定されるものではなく、他にDCジャックでもよい。
【0032】
図6に示すように外部接続端子7は前面パネル16に設けられており、枠体15内で受電装置4と点火装置2の電源回路3とが配線コード20で接続されている。外部接続端子7の取り付け位置は任意であり、枠体15の側面や背面に設けてあってもよい。外部接続端子7の出力側には過電流防止回路71を備えている。過電流防止回路71は、外部接続端子7から点火装置2への過電流を防止する。
【0033】
第2の実施の形態では、外部出力端子51を備えた給電装置5を使用する。外部出力端子51はUSB端子で構成されている。本発明では、給電装置5として外部出力端子51を備えたモバイルバッテリなど市販されている製品をそのまま利用することができる。そのため、外部接続端子51を備えた給電装置5を石油燃焼器の専用の付属品として用意する必要がない。
【0034】
石油燃焼器の点火動作について説明する。操作つまみ13aを操作して芯上下軸13を回転させ、芯1を燃焼位置まで上昇させると点火用スイッチ19がオン状態となる。給電装置5の外部出力端子51と受電装置4の外部接続端子7とをUSBケーブル52で接続すると、給電装置5から受電装置4を通って点火装置2の高電圧発振回路18に直流5Vの電力が供給される。高電圧発振回路18は、約800Hzの周波数で作動して点火電極2a及び2bから火花放電を行ない、芯1に着火することができる。
【0035】
芯1に着火したことを確認したら、外部接続端子7に接続されたUSBケーブル52を取り外すことで給電装置5から受電装置4への電力の供給が停止し、放電が停止する。
【0036】
本実施の形態では芯1を燃焼位置にセットしたときに点火用スイッチ19がオン状態となるようにしているが、芯1を燃焼位置にセットしたときには点火用スイッチ19がオン状態とはならず、別に設けた操作スイッチを押すと点火用スイッチ19がオン状態となるようにしてもよい。この場合は、給電装置5の外部出力端子51と受電装置4の外部接続端子7とをUSBケーブル52で接続した状態のまま、点火用スイッチ19のオン・オフ操作が可能となる。
【0037】
乾電池を電源として使用するときは、点火装置2への通電開始時に乾電池の電圧が一時的に低下するものであるが、乾電池が新品のときは電圧の低下幅は少なく、すぐに電圧が回復して問題なく着火することができる。しかし、消耗した乾電池では、電圧の低下幅が大きく回復するまでの時間も長くなり正常に着火できなくなることがあった。
【0038】
本発明の受電装置4を用いれば、電源回路3には常に安定した電力を供給することができ、乾電池のように点火装置2への通電開始時の電圧低下は起こらなくなり、給電装置5であるモバイルバッテリを充電して使用することで常に安定した着火性能を得ることができるものとなった。
【0039】
また、スマートフォンなどの充電に使用するモバイルバッテリをそのまま給電装置5として利用することができるので、普段はスマートフォン用の充電器として使用しているものを、石油燃焼器の点火時のみ給電装置5として利用することができる。また、マッチや点火用ライターのように火を扱うことがないので、簡単かつ安全に着火することができるものとなった。
【0040】
また、本発明の第3の実施形態を図7に示す。本実施の形態では、受電装置4が、ワイヤレス受電部6を有する第1の受電回路60と、外部接続端子7を有する第2の受電回路70とを備えている。ワイヤレス受電部6は、受電コイル6a、整流回路61、昇圧回路62を備えている。ワイヤレス受電部6の出力側には過電流防止回路63、第1の逆流防止回路64が接続されている。第1の逆流防止回路64は、スイッチング回路(MOSFET)64a・64bで構成されており、スイッチング回路(MOSFET)64a・64bをオン・オフ制御することで電力を供給・遮断する。
【0041】
一方、外部接続端子7を有する第2の受電回路70は、外部接続端子7がUSB端子で構成され、外部接続端子7の出力側には過電流防止回路71、第2の逆流防止回路72が接続されている。第2の逆流防止回路72は、スイッチング回路(MOSFET)72a・72bで構成されており、スイッチング回路(MOSFET)72a・72bをオン・オフ制御することで電力を供給・遮断する。
【0042】
スイッチング回路はMOSFETの他、トランジスタやダイオードを組み合わせてもよいが、点火装置2を作動するために所定の電力を必要とするため、電力の損失の少ないMOSFETが好適である。
【0043】
ワイヤレス給電部50を有する給電装置5を使用して点火する場合は、芯上下軸13を回転させて芯1を燃焼位置まで上昇させて点火用スイッチ19をオン状態とし、ワイヤレス給電部50をワイヤレス受電部6に近づけると、受電コイル6aに電力が発生し、整流回路61、昇圧回路62により直流5Vの電力が供給される。1つ目のスイッチング回路(MOSFET)64aのソースに所定電圧が発生して3番ピンP3と1番ピンP1との電位差が生じるとオンとなる。2つ目のスイッチング回路(MOSFET)64bではボディダイオードDbを通過して3番ピンP3と1番ピンP1の電位差が生じるとオンとなり、第1の受電回路60から点火装置2に電力が供給される。
【0044】
また、ワイヤレス受電部6に電力が供給されると、第2の受電回路70側のスイッチング回路(MOSFET)72bのゲートにも所定電圧が発生し、3番ピンP3と1番ピンP1の電位差がなくなり、スイッチング回路(MOSFET)72bがオフ状態になる。そのため、第1の受電回路60側から第2の受電回路70側への逆方向電流を阻止することができる。
【0045】
一方、外部出力端子51を有する給電装置5を使用して点火する場合は、芯上下軸13を回転させて芯1を燃焼位置まで上昇させて点火用スイッチ19をオン状態とし、給電装置5の外部出力端子51と第2の受電回路70の外部接続端子7にUSBケーブル52を接続すると、給電装置5から受電装置4に直流5Vの電力が供給される。1つ目のスイッチング回路(MOSFET)72aのソースに所定電圧が発生して3番ピンP3と1番ピンP1との電位差が生じるとオンとなる。2つ目のスイッチング回路(MOSFET)72bではボディダイオードDbを通過して3番ピンP3と1番ピンP1の電位差が生じるとオンとなり、第2の受電回路70から点火装置2に電力が供給される。
【0046】
給電装置5の電力が外部接続端子7から第2の受電回路70に供給されると、第1の受電回路60側のスイッチング回路(MOSFET)64bのゲートにも所定電圧が発生し、3番ピンP3と1番ピンP1の電位差がなくなり、スイッチング回路(MOSFET)64bがオフ状態になる。そのため、第2の受電回路70側から第1の受電回路60側への逆方向電流を阻止することができる。
【0047】
また、ワイヤレス給電部50を有する給電装置5をワイヤレス受電部6にかざして第1の受電回路60で電力が発生している状態のときに、外部出力端子51を有する給電装置5を外部接続端子7に接続した場合や、反対に外部出力端子51を有する給電装置5を外部接続端子7に接続して第2の受電回路部70で電力が発生している状態のときに、ワイヤレス給電部50を有する給電装置5をワイヤレス受電部6にかざした場合は、第1の受電回路60と第2の受電回路70に同時に電力が供給されることになる。
【0048】
この場合は、第1の受電回路60側では、ワイヤレス受電部6で発生した電力によって第1の受電回路60のスイッチング回路(MOSFET)64aがオンとなるが、第2の受電回路70で発生した電力によってスイッチング回路(MOSFET)64bがオフとなる。一方、第2の受電回路70側では、外部接続端子7を介して供給された電力によって第2の受電回路70のスイッチング回路(MOSFET)72aがオンとなるが、第1の受電回路60で発生した電力によってスイッチング回路(MOSFET)72bがオフとなる。
【0049】
このように、第1の受電回路60と第2の受電回路70に同時に電力が供給されたときは、スイッチング回路(MOSFET)64b・72bがいずれもオフ状態となり、点火装置2への電力の供給を停止する。さらに、第1の受電回路60から第2の受電回路70への逆方向電流を阻止すると共に、第2の受電回路70から第1の受電回路60への逆方向電流を阻止するように働き、点火装置2や電源回路3が故障することを防ぐことができる。
【0050】
また、図8に示すように、石油燃焼器の枠体15には乾電池を装着するための電池収納部21を備えており、電池収納部21には乾電池のプラス極端子とマイナス極端子に接続する接続端子21a・21bを備えている。
【0051】
受電装置4は、ワイヤレス受電部6と第1の受電回路60を収納するケース40と、外部接続端子7と第2の受電回路70を収納する第2のケース42を備えており、ケース40と第2のケース42との間には第1・第2の受電回路60・70を接続する配線コード43を備えている。
【0052】
ケース40は表面にワイヤレス受電部6が配置され、裏面にケース40を枠体15に取り付けるための固定手段41を備えている。固定手段41は例えば磁石で構成し、枠体15の側面もしくは前面パネル16に固定手段41を吸着させて取り付けることができる。
【0053】
第2のケース42は、電池収納部21に着脱自在に取り付けることができる。本実施の形態では、第2のケース42の形状を電池収納部21の形状に合わせるように構成して、乾電池の代わりに取り付けることができるようにしている。第2のケース42の両端部には第1・第2の受電回路60・70の出力端子42a・42bを備えており、乾電池に代えて第2のケース42を電池収納部21に取り付けると、出力端子42a・42bが接続端子21a・21bと接続し、受電装置4と点火装置2の電源回路3が電気的に接続する。
【0054】
このように構成すれば、受電装置4で発生する電力が電池収納部21を介して点火装置2の電源回路3に供給される。したがって、石油燃焼器を分解や改造することなく、受電装置4を点火装置2の電源回路3に容易に接続することができるものとなる。
【0055】
なお、外部接続端子7と第2の受電回路70、及び出力端子42a・42bをワイヤレス受電部6と第1の受電回路60と同じケース40に備え、ケース40を電池収納部21に着脱自在に取り付けるようにしてもよい。ケース40の表面にワイヤレス受電部6と外部接続端子7を配置し、両端部に出力端子42a・42bを備える。乾電池の代わりにケース40を電池収納部21に取り付けると、出力端子42a・42bが接続端子21a・21bと接続し、ワイヤレス受電部6と外部接続端子7が枠体15の外側を向くように固定される。この場合は、第2のケース42と配線コード43が不要となる。
【0056】
また、ケース40の側方両端部と下端部には略L字状の係止片44・45を備えている。ワイヤレス給電部50を備えた給電装置5をケース40の上方からケース40と係止片44との間に差し込むと、給電装置5の下部が係止片45で支持され、給電装置5の送電コイル5aとワイヤレス受電部6の受電コイル6aとが最適な位置で対向するように保持される。
【0057】
このようにすれば、給電装置5をセットする際に、送電コイル5aと受電コイル6aの位置が上下左右にずれてしまったり、送電コイル5aと受電コイル6aとの距離が離れすぎてしまったりすることがなく、容易に位置合わせをすることができ、確実に電力を発生させて点火することができるものである。また、給電装置5から手を離して操作を行うことができ、取扱い性が良くなる。
【0058】
また、図9に示すように、受電装置4には、給電装置5からの電力の供給を受けてカウント開始するタイマ回路46を備えている。受電装置4にワイヤレス受電部6を備えている場合は、給電装置5のワイヤレス給電部50をワイヤレス受電部6に近づけて、送電コイル5aで発生する磁界による電磁誘導により受電コイル6aで受電して電力を発生すると、点火装置2に電力が供給されて点火電極2a及び2bから火花放電が行なわれ、タイマ回路46がカウントを開始する。
【0059】
また、受電装置4に外部接続端子7を備えている場合は、給電装置5の外部出力端子51と受電装置4の外部接続端子7とをUSBケーブル52で接続し電力が発生すると、点火装置2に電力が供給されて点火電極2a及び2bから火花放電が行なわれ、タイマ回路46がカウントを開始する。
【0060】
いずれの場合もタイマ回路46が予め設定された設定時間をカウントすると、受電装置4から点火装置2への電力の供給を停止し、放電が停止する。タイマ回路46の設定時間は芯1の着火に必要な時間が設定されており、放電が停止するときには芯1への着火が完了して、燃焼を開始している。
【0061】
さらに、受電装置4がワイヤレス受電部6を有する第1の受電回路60と、外部接続端子7を有する第2の受電回路70とを備えている場合のタイマ回路46を図9に示す。図9に示す本実施の形態では、タイマ回路46からの停止信号をそれぞれのスイッチング回路(MOSFET)64b・72bに出力するように構成している。タイマ回路46は、ワイヤレス受電部6側からの給電か、外部接続端子7側からの給電かを判別する。
【0062】
ワイヤレス受電部6から給電があった場合は、タイマ回路46が設定時間をカウントすると第1の受電回路60のスイッチング回路(MOSFET)64bのゲートに所定電圧を発生し、スイッチング回路64bをオフ状態にして点火装置2への電力の供給を停止する。
【0063】
一方、外部接続端子7から給電があった場合は、タイマ回路46が設定時間をカウントすると第2の受電回路70のスイッチング回路(MOSFET)72bのゲートに所定電圧を発生し、スイッチング回路(MOSFET)72bをオフ状態にして点火装置2への電力の供給を停止する。
【0064】
このようにすれば、点火用スイッチ19をオン・オフ操作するための操作スイッチを別に設ける必要がない。ワイヤレス給電部50を備えた給電装置5をワイヤレス受電部6に近づけたまま、あるいは、給電装置5の外部出力端子51と受電装置4の外部接続端子7に接続したままでも、放電が停止するものとなる。したがって、芯1に着火して燃焼が開始しているのにいつまでも放電を継続することはなく、放電が停止した後で給電装置5をワイヤレス給電部6から離したり外部接続端子7から取り外したりすることができ、取り扱い性が良くなるものである。
【符号の説明】
【0065】
1 芯
2 点火装置
3 電源回路
4 受電装置
5 給電装置
6 ワイヤレス受電部
7 外部接続端子
21 電池収納部
21a 接続端子
21b 接続端子
40 ケース
42a 出力端子
42b 出力端子
46 タイマ回路
60 第1の受電回路
64 第1の逆流防止回路
72 第2の逆流防止回路
70 第2の受電回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9