(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168174
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】インクジェットプリンター
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241128BHJP
B65H 5/12 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B65H5/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084622
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】記村 和芳
【テーマコード(参考)】
2C056
3F101
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB36
2C056EB37
2C056EC12
2C056EC31
2C056EC34
2C056FB01
2C056HA28
2C056HA29
3F101CA10
3F101CA14
3F101CA17
3F101LA06
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】シートの種類に依らず、画像形成位置のずれを抑制することができる。
【解決手段】インクジェットプリンター100は、画像形成部60と、給紙部20と、シートを加熱する加熱胴41と、給紙部20から加熱胴41へ搬送されるシートの端部位置を基準位置に位置決めする位置決め機構30と、シートを画像形成部60へ搬送する印刷胴44と、印刷胴44によって搬送されるシートの端部位置を検出する検出部50と、画像形成部60による画像形成位置を決定する決定部とを備える。決定部は、シートが所定のシートである場合に、検出部50により検出された端部位置に基づいて、シートに対する画像形成位置を決定する。決定部は、シートが所定のシートとは異なるシートである場合に、基準位置に基づいて、シートに対する画像形成位置を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記シートを前記画像形成部に供給する給紙部と、
前記シートを把持する第1の爪を含み、前記第1の爪で前記シートを把持しながら前記シートを加熱する加熱胴と、
前記給紙部から前記加熱胴へ搬送される前記シートの端部位置を基準位置に位置決めする機構と、
前記シートを把持する第2の爪を含み、前記シートを前記加熱胴から受け取って前記第2の爪で前記シートを把持しながら前記シートを前記画像形成部へ搬送する印刷胴と、
前記印刷胴によって搬送される前記シートの前記端部位置を検出する検出部と、
前記画像形成部による画像形成位置を決定する決定部とを備え、
前記決定部は、
前記シートが所定のシートである場合に、前記検出部により検出された前記端部位置に基づいて、前記シートに対する画像形成位置を決定し、
前記シートが前記所定のシートとは異なるシートである場合に、前記基準位置に基づいて、前記シートに対する画像形成位置を決定する、インクジェットプリンター。
【請求項2】
前記所定のシートは、基材が樹脂である、請求項1に記載のインクジェットプリンター。
【請求項3】
前記所定のシートとは異なるシートは、上質紙を含み、
前記インクジェットプリンターは、前記給紙部の給紙動作を制御する給紙制御部をさらに備え、
前記給紙制御部は、前記シートが前記所定のシートである場合には、前記シートが上質紙である場合よりも、前記給紙部と前記加熱胴との間に設けられるフィーダー部におけるシートの重なりが少なくなるように前記給紙部の給紙間隔を広げる、請求項1または2に記載のインクジェットプリンター。
【請求項4】
前記シートは、第1の面と第2の面とを含み、
前記インクジェットプリンターは、
前記第1の面への画像形成が完了し、かつ、前記第2の面への画像形成が開始される前の前記シートの搬送方向の長さを測定する測定部と、
前記長さに基づいて、前記第2の面に形成される画像の縮尺を調整する調整部とをさらに備える、請求項1または2に記載のインクジェットプリンター。
【請求項5】
前記印刷胴は、前記シートが前記加熱胴から受け渡されるときに前記第2の爪で前記シートを把持した後、前記シートを前記第2の爪で把持した把持状態で前記シートを搬送し、
前記把持状態が開始してから第1所定時間が経過した場合に、前記印刷胴は前記把持状態を解除するとともに、前記シートを前記印刷胴に密着させるための吸引を開始し、
前記把持状態が解除されてから第2所定時間が経過した場合に、前記印刷胴は、前記第2の爪で再び前記シートを把持した後、前記シートを前記検出部へ搬送する、請求項1または2に記載のインクジェットプリンター。
【請求項6】
前記所定のシートとは異なるシートは、上質紙を含み、
前記インクジェットプリンターは、前記シートの搬送を制御する搬送制御部をさらに備え、
前記搬送制御部は、前記シートが前記所定のシートである場合には、前記シートが上質紙である場合よりも、前記シートの搬送速度を遅くする、請求項1または2に記載のインクジェットプリンター。
【請求項7】
前記シートが前記所定のシートである場合には、前記印刷胴の温度は前記加熱胴の温度以下である、請求項1または2に記載のインクジェットプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インクジェットプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
給紙トレイから供給されたシートの先端部を把持しながら回転することにより、シートを搬送する回転ドラム(例えば、印刷胴)を備えるインクジェットプリンター(特開2012-20870号公報参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェットプリンターでは、画像が形成される前のシートをインクの仕様に応じて加熱しておく必要がある。シートが熱膨張しやすいシートである場合には、シートが熱膨張することにより、画像形成部による画像形成位置が本来の位置からずれてしまう。
【0005】
本開示は、シートの種類に依らず、画像形成位置のずれを抑制することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従うインクジェットプリンターは、シートに画像を形成する画像形成部と、シートを画像形成部に供給する給紙部と、シートを把持する第1の爪を含み、第1の爪でシートを把持しながらシートを加熱する加熱胴と、給紙部から加熱胴へ搬送されるシートの端部位置を基準位置に位置決めする機構と、シートを把持する第2の爪を含み、シートを加熱胴から受け取って第2の爪でシートを把持しながらシートを画像形成部へ搬送する印刷胴と、印刷胴によって搬送されるシートの端部位置を検出する検出部と、画像形成部による画像形成位置を決定する決定部とを備える。決定部は、シートが所定のシートである場合に、検出部により検出された端部位置に基づいて、シートに対する画像形成位置を決定する。決定部は、シートが所定のシートとは異なるシートである場合に、基準位置に基づいて、シートに対する画像形成位置を決定する。
【0007】
好ましくは、所定のシートは、基材が樹脂である。
【0008】
好ましくは、所定のシートとは異なるシートは、上質紙を含む。インクジェットプリンターは、給紙部の給紙動作を制御する給紙制御部をさらに備える。給紙制御部は、シートが所定のシートである場合には、シートが上質紙である場合よりも、給紙部と加熱胴との間に設けられるフィーダー部におけるシートの重なりが少なくなるように給紙部の給紙間隔を広げる。
【0009】
好ましくは、シートは、第1の面と第2の面とを含む。インクジェットプリンターは、第1の面への画像形成が完了し、かつ、第2の面への画像形成が開始される前のシートの搬送方向の長さを測定する測定部と、長さに基づいて、第2の面に形成される画像の縮尺を調整する調整部とをさらに備える。
【0010】
好ましくは、印刷胴は、シートが加熱胴から受け渡されるときに第2の爪でシートを把持した後、シートを第2の爪で把持した把持状態でシートを搬送する。把持状態が開始してから第1所定時間が経過した場合に、印刷胴は把持状態を解除するとともに、シートを印刷胴に密着させるための吸引を開始する。把持状態が解除されてから第2所定時間が経過した場合に、印刷胴は、第2の爪で再びシートを把持した後、シートを検出部へ搬送する。
【0011】
好ましくは、所定のシートとは異なるシートは、上質紙を含む。インクジェットプリンターは、シートの搬送を制御する搬送制御部をさらに備える。搬送制御部は、シートが所定のシートである場合には、シートが上質紙である場合よりも、シートの搬送速度を遅くする。
【0012】
好ましくは、シートが所定のシートである場合には、印刷胴の温度は加熱胴の温度以下である。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、シートの種類に依らず、画像形成位置のずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施の形態におけるインクジェットプリンターの一例を示す図である。
【
図2】本実施の形態におけるインクジェットプリンターのハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図5】シートの横方向の位置の決め方を説明するための図である。
【
図6】印刷胴44によって搬送されるシートの状態を示す図である。
【
図7】本実施の形態におけるインクジェットプリンターの処理の概要を示す図である。
【
図8】本実施の形態におけるインクジェットプリンターによる画像形成位置の決定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】本実施の形態におけるインクジェットプリンターによる画像の縮尺を調整する調整処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本開示に従う実施の形態および変形例について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される実施の形態および変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0016】
[実施の形態]
図1~
図6を参照して、本実施の形態におけるインクジェットプリンターの概要について説明する。
図1は、本実施の形態におけるインクジェットプリンターの一例を示す図である。
図2は、本実施の形態におけるインクジェットプリンターのハードウエア構成の一例を示す図である。
【0017】
図1および
図2を参照して、インクジェットプリンター100は、ユーザーにより指定された印刷条件に基づいて、インクを用いてシートに画像を形成する。印刷条件は、シートの種類、シートのサイズ(シートの搬送方向の長さ等)、および、片面印刷と両面印刷とのいずれであるかという情報等を含む。
【0018】
インクジェットプリンター100は、制御装置10と、給紙部20と、位置決め機構30と、搬送部40と、検出部50と、画像形成部60と、定着部70と、測定部80と、通信インターフェイス90とを備える。制御装置10と、給紙部20と、位置決め機構30と、搬送部40と、検出部50と、画像形成部60と、定着部70と、測定部80と、通信インターフェイス90とは、バス99で接続されている。
【0019】
制御装置10は、プロセッサー11、メモリー12、およびストレージ13を含む。プロセッサー11は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro-Processing Unit)などで構成される。メモリー12は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性記憶装置で構成される。ストレージ13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはフラッシュメモリーなどの不揮発性記憶装置で構成される。
【0020】
ストレージ13は、プログラム131を記憶する。プログラム131は、インクジェットプリンター100を制御するためのコンピューター読取可能な命令を含む。プロセッサー11はプログラム131を実行することで、インクジェットプリンター100の各部を制御し、本実施の形態に従う各種処理を実現する。
【0021】
プログラム131は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、任意のプログラムと協働して本実施の形態に従う処理が実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従うインクジェットプリンター100の趣旨を逸脱するものではない。また、プログラム131によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウエアによって実現されてもよい。
【0022】
給紙部20は、シートを画像形成部60に供給する。給紙部20は、シートが収容される給紙トレイを含む。給紙トレイに収容されているシートの温度は、室温程度(例えば、20度~25度)である。給紙トレイ内のシートはエアーにより捌かれてフィーダー部22へ送り出される。
【0023】
矢印R1は、給紙トレイからフィーダー部22に送り出されたシートの搬送方向を示す。フィーダー部22は、給紙部20と加熱胴41との間に設けられる装置である。フィーダー部22は、シートを給紙部20から加熱胴41まで搬送するための装置である。シートは、フィーダー部22の搬送面22a上を搬送されて加熱胴41へ搬送される。フィーダー部22の途中には、位置決め機構30が設けられている。位置決め機構30は、本開示における「機構」の一例である。位置決め機構30は、給紙部20から加熱胴41へ搬送されるシートの端部位置を基準位置に位置決めする。基準位置は、シートの進行方向の前方における第1基準位置と、シートの横方向における第2基準位置とを含む。シートの横方向とは、シートの進行方向に対し垂直であり、かつ、シートに平行な方向である。基準位置は、予め定められている。
【0024】
ここで、
図3~
図5を参照して、位置決め機構30についてより詳細に説明する。
図3は、フィーダー部22を上から見た図である。
図4は、フィーダー部22を横から見た図である。
図5は、シートの横方向の位置の決め方を説明するための図である。
図3~
図5に示す矢印xは、シートの進行方向(搬送方向)を示す。
図3~
図5に示す矢印yは、シートの横方向を示す。
図3~
図5に示す矢印zは、鉛直方向を示す。
【0025】
図3および
図4を参照して、シートP1、シートP2、およびシートP3は、フィーダー部22の搬送面22a上を搬送される複数のシートの一例である。シートP2は、シートP1に後続するシートの一例である。シートP3は、シートP2に後続するシートの一例である。シートP1は、その一部がシートP2の一部と重なった状態で搬送面22a上を搬送される。シートP2は、その一部がシートP3の一部と重なった状態で搬送面22a上を搬送される。搬送面22aには、複数の吸引口が設けられている。フィーダー部22は、当該複数の吸引口から吸引しながら、シートを搬送する。
【0026】
位置決め機構30は、前当て(front guide)23と、横針(side guide)26とを含む。前当て23は、シートの進行方向の前方位置を第1基準位置に位置決めするためのL字型のガイドである。シートの横方向に沿って複数の前当て23が設けられている。前当て23は、搬送面22aに対し、起立した状態B1と、倒れた状態B2とが変化するように構成されている。シートが加熱胴41に搬送されるタイミング以外においては、前当て23は起立した状態B1にある。シートが前当て23に当たることにより、シートの進行方向の前方位置が第1基準位置に位置決めされる。シートが加熱胴41に搬送されるタイミングにおいて、前当て23は、倒れた状態B2へと変化する。
【0027】
図3および
図5を参照して、横針26は、シートの横方向の位置を第2基準位置に位置決めするための装置である。横針26は、一対のローラー24と、シートを検知するセンサー25とを含む。一対のローラー24は、ローラー24aと、ローラー24bとを含む。一対のローラー24は、前当て23に当たって停止したシート(
図4および
図5に示す例では、シートP1)を把持し、当該シートがセンサー25によって検知されるまで当該シートを横方向に移動させる。これにより、シートの横方向の位置が第2基準位置に位置決めされる。
【0028】
このように、給紙部20から加熱胴41へ搬送されるシートの端部位置は位置決め機構30により基準位置に位置決めされる。上述の通り、給紙トレイ内のシートはエアーにより捌かれてフィーダー部22へ送り出される。そのため、シートの端部位置は基準位置からずれてしまう。シートの端部位置が基準位置に位置していない場合には、加熱胴41は爪42でシートを把持できず、シートの搬送に失敗する。しかしながら、シートの端部位置は位置決め機構30により基準位置に位置決めされる。そのため、シートは加熱胴41の爪42で把持されて、搬送される。
【0029】
再び
図1および
図2を参照して、位置決め機構30によって端部位置が位置決めされたシートは、搬送部40のうちの加熱胴41へ搬送される。搬送部40は、加熱胴41と、印刷胴44と、排紙胴47と、反転胴48とを含む。
【0030】
加熱胴41は、円筒形状である。加熱胴41は、外周面41aにシートを保持した状態で矢印A1の方向に回転することにより、シートを搬送する。加熱胴41は、シートを把持する爪42と、ヒーター43とを含む。爪42は、本開示における「第1の爪」の一例である。外周面41aには、加熱胴41の回転軸が延びる方向と平行な方向に沿って、1つ以上の爪42が設けられている。加熱胴41の回転軸が延びる方向は、
図1の紙面に対し垂直な方向である。爪42は、シートの先端位置を把持する。シートの先端位置とは、シートの進行方向の前方位置である。
【0031】
ヒーター43は、加熱胴41の外周面41aを温める。制御装置10は、加熱胴41の外周面41aの温度がシート表面の目標温度よりも高くなるようにヒーター43を制御する。シート表面の目標温度は、画像形成に使用されるインクの仕様に応じて予め定められている。一例として、シート表面の目標温度が45度である場合には、制御装置10は、加熱胴41の外周面41aの温度が60度くらいになるようにヒーター43を制御する。
【0032】
加熱胴41は、シートをフィーダー部22から受け取り、爪42でシートを把持する。加熱胴41は、爪42でシートを把持しながら回転することにより、シートを加熱および搬送する。より具体的には、位置F1において、シートがフィーダー部22から加熱胴41に受け渡され、爪42によってシートが把持される。その後、加熱胴41の回転によって、シートが印刷胴44の方へ搬送され、位置F2において、シートが加熱胴41から印刷胴44へ受け渡される。矢印R2は、加熱胴41から印刷胴44に搬送されるシートの搬送方向を示す。シートが位置F1から位置F2まで移動する間に、当該シートの表面温度が目標温度まで上がる。
【0033】
印刷胴44は、円筒形状である。印刷胴44は、外周面44aにシートを保持した状態で矢印A2の方向に回転することにより、シートを搬送する。印刷胴44は、シートを把持する爪45と、ヒーター46とを含む。爪45は、本開示における「第2の爪」の一例である。外周面44aには、印刷胴44の回転軸が延びる方向と平行な方向に沿って、1つ以上の爪45が設けられている。印刷胴44の回転軸が延びる方向は、
図1の紙面に対し垂直な方向である。爪45は、シートの先端位置を把持する。シートの先端位置とは、シートの進行方向の前方位置である。
【0034】
ヒーター46は、印刷胴44の外周面44aを温める。制御装置10は、シートの表面温度が下がらないように、印刷胴44の外周面44aの温度がシート表面の目標温度よりも高くなるようにヒーター46を制御する。一例として、シート表面の目標温度が45度である場合には、制御装置10は、印刷胴44の外周面44aの温度が48度くらいになるようにヒーター46を制御する。
【0035】
印刷胴44は、位置F2において、シートを加熱胴41から受け取り、爪45でシートを把持する。印刷胴44は、爪45でシートを把持しながら回転することにより、シートを保温しながら画像形成部60へ搬送する。
【0036】
より具体的には、印刷胴44は、シートが加熱胴41から受け渡されるときに爪45でシートを把持した後、シートを爪45で把持した把持状態で回転することにより、シートを搬送する。すなわち、位置F2において、爪45による1回目の把持動作が行われる。把持状態が開始してから第1所定時間が経過した場合に、印刷胴44は、把持状態を解除するとともに、シートを印刷胴44に密着させるための吸引を開始する。位置F3は、把持状態が解除され、吸引が開始される位置を示す。外周面44aには、複数の吸引口が設けられている。印刷胴44は、当該複数の吸引口から吸引しながら、シートを搬送する。把持状態が解除されてから第2所定時間が経過した場合に、印刷胴44は、爪45で再びシートを把持する。位置F4は、爪45により再びシートが把持される位置を示す。すなわち、位置F4において、爪45による2回目の把持動作が行われる。その後、印刷胴44は、シートを爪45で把持した把持状態で回転することにより、シートを検出部50へ搬送する。
【0037】
ここで、
図6を参照して、印刷胴44によって搬送されるシートの皺について説明する。
図6は、印刷胴44によって搬送されるシートの状態を示す図である。
図6には、位置F2と位置F3との間を搬送されているシートPの状態が示されている。上述の通り、シートは位置F2から位置F3まで搬送される間、爪45によって把持されている。すなわち、シートが位置F2から位置F3まで搬送される間、シートの先端位置は爪45によって拘束されている。そのため、シートPが熱膨張しやすいシートである場合には、
図6に示すような皺Qが発生する。皺Qが発生している状態のシートPに画像形成部60により画像が形成された場合、画質が低下する。また、皺Qは、ヘッドアタックや紙詰まりの原因となる。
【0038】
しかしながら、インクジェットプリンター100では、位置F3において、爪45によるシートの把持状態が解除される。すなわち、シートPの先端位置の拘束が解かれる。そのため、シートPの皺Qが解消され、画質の低下が抑制される。また、シートPの皺Qが解消されるため、ヘッドアタックや紙詰まりの発生が抑制される。位置F4において、再びシートは爪45によって把持される。しかしながら、印刷胴44の外周面44aはシートの表面温度が下がらない程度にしか加熱されていないため、爪45による2回目の把持動作後においては、シートは膨張しないか、膨張したとしても画質に影響を与えたり、ヘッドアタックや紙詰まりを発生させたりする程には膨張しない。
【0039】
再び
図1および
図2を参照して、印刷胴44によって搬送されるシートが所定のシートである場合に、検出部50は、印刷胴44によって搬送されるシートの端部位置を検出する。一方、印刷胴44によって搬送されるシートが所定のシートとは異なるシートである場合には、検出部50は、印刷胴44によって搬送されるシートの端部位置を検出しない。
【0040】
所定のシートとは、熱膨張しやすいシートである。熱膨張しやすいシートとは、樹脂を主原料として製造されたシート、すなわち、基材が樹脂のシートである。例えば、所定のシートは、樹脂フィルムである。所定のシートは、基材が樹脂の合成紙でもよい。一方、所定のシートとは異なるシートとは、熱膨張しにくいシートである。熱膨張しにくいシートとは、木材パルプを主原料として製造されたシートである。例えば、所定のシートとは異なるシートは、上質紙である。
【0041】
印刷胴44によって搬送されるシートが所定のシートである場合には、検出部50は、シートの端部位置を検出し、当該シートの端部位置をプロセッサー11へ送信する。プロセッサー11は、検出部50からシートの端部位置を受信した場合には、当該端部位置に基づいて、当該シートに対する画像形成位置を決定する。一方、シートが熱膨張しにくいシートである場合には、プロセッサー11は、基準位置に基づいて、シートに対する画像形成位置を決定する。
【0042】
上述の通り、位置F3において、爪45によるシートの把持状態が解除される。そのため、シートが熱膨張しやすいシートである場合には、皺Qが伸びることにより、シートの位置が基準位置からずれる。シートの位置が基準位置からずれた状態で当該シートに画像が形成された場合、シートに対し画像が形成される位置がずれ、画質が低下する。しかしながら、インクジェットプリンター100では、印刷胴44によって搬送されるシートが熱膨張しやすいシートである場合に、検出部50によりシートの端部位置が検出され、検出部50により検出されたシートの端部位置に基づいてシートに対する画像形成位置が決定される。そのため、シートに対する画像形成位置が本来の位置からずれることを抑制することができる。
【0043】
一方、シートが熱膨張しにくいシートである場合には、シートが位置F2から位置F3まで搬送される間に、シートに皺はほとんど発生しない。そのため、位置F3において、爪45によるシートの把持状態が解除された場合に、シートの位置が基準位置からほとんどずれない。インクジェットプリンター100では、シートが熱膨張しにくいシートである場合には、検出部50によるシートの端部位置の検出は行われず、シートに対する画像形成位置は基準位置に基づいて決定される。そのため、シートが熱膨張しにくいシートである場合には、シートが熱膨張しやすいシートである場合よりも、シートの搬送速度を速くすることができる。その結果、生産性が向上する。
【0044】
画像形成部60は、検出部50よりもシートの搬送方向の下流側に位置する。画像形成部60は、インクを用いてシートに画像データに基づく画像を形成する。インクは予め加熱されている。画像形成部60は、ブラックのインクを吐出するインクヘッド61Kと、シアンのインクを吐出するインクヘッド61Cと、マゼンタのインクを吐出するインクヘッド61Mと、イエローのインクを吐出するインクヘッド61Yとを含む。以下の説明において、インクヘッド61K、インクヘッド61C、インクヘッド61M、およびインクヘッド61Yを区別しない場合には、「インクヘッド61」と称する。
【0045】
定着部70は、画像形成部60よりもシートの搬送方向の下流側に位置する。定着部70は、シートに紫外線等のエネルギー線を照射し、シート上のインクを硬化させる。これにより、シートにインクが定着する。
【0046】
測定部80は、定着部70よりもシートの搬送方向の下流側に位置する。シートは、第1の面(例えば、おもて面)と第2の面(例えば、うら面)とを含む。印刷条件として両面印刷が指定されている場合に、測定部80は、第1の面への画像形成が完了し、かつ、第2の面への画像形成が開始される前のシートの搬送方向の長さを測定する。一例として、測定部80は、シートの先端を検知してからシートの後端を検知するまでの時間を測定し、当該時間とシートの搬送速度とに基づいて、シートの搬送方向の長さを算出する。測定部80は、シートの搬送方向の長さをプロセッサー11へ送信する。プロセッサー11は、測定部80からシートの搬送方向の長さを受信した場合には、シートの搬送方向の長さに基づいてシートの第2の面に形成される画像の縮尺を調整する。より具体的には、まず、プロセッサー11は、ユーザーにより指定された印刷条件により示されるシートの搬送方向の長さに対する、測定部80から取得したシートの搬送方向の長さの比率を算出する。次いで、プロセッサー11は、当該比率に基づいて、シートの第2の面に形成される画像の縮尺を調整する。
【0047】
一般的に、加熱胴41によりシートが過熱される工程と、加熱されたインクがシートに噴射される工程(画像形成部60による画像形成の工程)と、インクが固化する工程(定着部70による定着の工程)とにおいて、シートは膨張する。シートの第1の面への画像形成によりシートが膨張したときに、シートの第2の面に形成される画像がシートの第1の面に形成された画像と同様の縮尺でシートの第2の面に形成された場合には、画質が低下する。しかしながら、インクジェットプリンター100は、シートの第1の面への定着処理が完了した後に、シートの搬送方向の長さを測定し、当該長さに基づいてシートの第2の面に形成される画像の縮尺を調整する。そのため、シートの第2の面の画質が低下することを抑制することができる。
【0048】
印刷条件として片面印刷が指定されている場合には、測定部80は、シートの搬送方向の長さを測定しない。これにより、生産性の低下が抑制される。
【0049】
なお、印刷条件として両面印刷が指定されており、かつ、シートが熱膨張しやすいシートである場合にのみ、測定部80は、第1の面への画像形成が完了し、かつ、第2の面への画像形成が開始される前のシートの搬送方向の長さを測定してもよい。
【0050】
排紙胴47は、円筒形状である。排紙胴47は、外周面47aにシートを保持した状態で回転することにより、シートを排紙トレイ5に搬送する。矢印R3は、シートが排紙トレイ5に搬送される場合のシートの搬送方向を示す。
【0051】
反転胴48は、円筒形状である。反転胴48は、外周面48aにシートを保持した状態で回転することにより、シートを位置F2に搬送する。矢印R4および矢印R5は、シートの第2の面に画像を形成するために、シートを再び画像形成部60に搬送する場合のシートの搬送方向を示す。
【0052】
通信インターフェイス90は、外部装置300と情報の送受信を行う。一例として、プロセッサー11は、通信インターフェイス90を介して、外部装置300から画像データを受信する。
【0053】
図7~
図9を参照して、本実施の形態におけるインクジェットプリンターの処理の概要について説明する。
【0054】
図7は、本実施の形態におけるインクジェットプリンターの処理の概要を示す図である。インクジェットプリンター100は、給紙制御部151、ヒーター制御部152、決定部153、ヘッド制御部154、調整部155、搬送制御部156、給紙部20、ヒーター43、ヒーター46、検出部50、インクヘッド61、測定部80、モーター411、加熱胴41、モーター441、印刷胴44、モーター471、排紙胴47、モーター481、および反転胴48を含む。給紙制御部151、ヒーター制御部152、決定部153、ヘッド制御部154、調整部155、および搬送制御部156は、プロセッサー11がプログラム131を実行することにより実現される。
【0055】
給紙制御部151は、給紙部20の給紙動作を制御する。より具体的には、給紙制御部151は、シートの種類に応じて給紙部20の給紙間隔を制御する。給紙部20の給紙間隔が広がるほど、フィーダー部22のうち給紙部20と位置決め機構30との間の箇所におけるシートの重なりが少なくなる。
【0056】
ここで再び
図4を参照して、フィーダー部22のうち給紙部20と位置決め機構30との間の箇所では、複数のシートが重なり合って搬送される。シートP2の一部はシートP3と重なっているため、シートP2が搬送面22aに吸い寄せられる箇所は箇所B3のみである。そのため、横針26によりシートP1が第2基準位置に位置決めされる際に、シートP2が横方向に大きくずれ、紙詰まりが発生する。シートP2が搬送面22aに吸い寄せられる箇所B3が小さい程、シートP2が横方向にずれやすい。また、シートP2が熱膨張しやすいシートである場合には、シートP2が熱膨張しにくいシートである場合よりも、シートP2の横方向のずれが大きくなる。
【0057】
給紙制御部151は、シートが熱膨張しやすいシートである場合には、シートが熱膨張しにくいシート(例えば、上質紙)である場合よりも、フィーダー部22のうち給紙部20と位置決め機構30との間の箇所におけるシートの重なりが少なくなるように給紙部20の給紙間隔を広げる。
【0058】
これにより、フィーダー部22のうち給紙部20と位置決め機構30との間の箇所におけるシートの重なりが少なくなり、シートP2が搬送面22aに吸い寄せられる箇所B3が広がる。そのため、インクジェットプリンター100では、シートが熱膨張しやすいシートでも、シートP2の横方向のずれが抑制され、紙詰まりが抑制される。
【0059】
一方、シートが熱膨張しにくいシートである場合には、シートが熱膨張しやすいシートである場合よりも、フィーダー部22のうち給紙部20と位置決め機構30との間の箇所におけるシートの重なりが多くなるため、単位時間あたりに画像形成部60に供給されるシートの枚数を増やすことができる。そのため、生産性が向上する。
【0060】
再び、
図7を参照して、ヒーター制御部152は、ヒーター43を制御する。より具体的には、ヒーター制御部152は、加熱胴41の外周面41aの温度がシート表面の目標温度よりも高くなるようにヒーター43を制御する。
【0061】
また、ヒーター制御部152は、ヒーター46を制御する。より具体的には、ヒーター制御部152は、シートの表面温度が下がらないように印刷胴44の外周面44aの温度がシート表面の目標温度よりも高くなるようにヒーター46を制御する。
【0062】
また、シートが熱膨張しやすいシートである場合には、ヒーター制御部152は、印刷胴44の外周面44aの温度が加熱胴41の外周面41aの温度以下となるように、ヒーター43およびヒーター46を制御する。シートが熱膨張しやすいシートである場合には、シートが爪45により把持されている間に当該シートが膨張して当該シートに皺が発生する。しかしながら、印刷胴44の外周面44aの温度が加熱胴41の外周面41aの温度以下であるため、シートの膨張が抑えられる。そのため、シートの皺も抑えられる。
【0063】
なお、シートが熱膨張しにくいシートである場合にも、ヒーター制御部152は、印刷胴44の外周面44aの温度が加熱胴41の外周面41aの温度以下となるように、ヒーター43およびヒーター46を制御してもよい。
【0064】
決定部153は、画像形成部60による画像形成位置を決定する。より具体的には、シートが熱膨張しやすいシートである場合には、決定部153は検出部50からシートの端部位置を取得し、当該端部位置に基づいて、当該シートに対する画像形成位置を決定する。一方、シートが熱膨張しにくいシートである場合には、決定部153は、基準位置に基づいて、シートに対する画像形成位置を決定する。
【0065】
ヘッド制御部154は、決定部153により決定された画像形成位置に基づいて、インクヘッド61によるインクの吐出を制御する。
【0066】
印刷条件として両面印刷が指定されている場合に、調整部155は、第1の面(例えば、おもて面)への画像形成が完了し、かつ、第2の面(例えば、うら面)への画像形成が開始される前のシートの搬送方向の長さを測定部80から取得する。調整部155は、当該長さに基づいて、シートの第2の面に形成される画像の縮尺を調整する。より具体的には、まず、調整部155は、ユーザーにより指定された印刷条件により示されるシートの搬送方向の長さに対する、測定部80から取得したシートの搬送方向の長さの比率を算出する。次いで、調整部155は、当該比率に基づいて、シートの第2の面に形成される画像の縮尺を調整する。
【0067】
搬送制御部156は、シートの搬送を制御する。より具体的には、搬送制御部156は、モーター411、モーター441、モーター471、およびモーター481を制御する。モーター411は、加熱胴41を回転させるための駆動源である。モーター441は、印刷胴44を回転させるための駆動源である。モーター471は、排紙胴47を回転させるための駆動源である。モーター481は、反転胴48を回転させるための駆動源である。
【0068】
搬送制御部156は、シートが熱膨張しやすいシートである場合には、シートが熱膨張しにくいシート(例えば、上質紙)である場合よりもシートの搬送速度を遅くする。より具体的には、搬送制御部156は、シートが熱膨張しやすいシートである場合には、シートが熱膨張しにくいシートである場合よりも、印刷胴44の回転速度を遅くする。これにより、シートが検出部50を通過してから画像形成部60に到達するまでの間に、シートの画像形成位置を調整するための調整時間が確保される。調整時間とは、決定部153が画像形成位置を決定し、ヘッド制御部154が決定部153により決定された画像形成位置をインクヘッド61に適用するための時間である。
【0069】
また、シートが熱膨張しやすいシートである場合には、シートが熱膨張しにくいシートである場合よりも、印刷胴44の回転速度が遅いため、シートを緩やかに加温することができる。
【0070】
一方、シートが熱膨張しにくいシートである場合には、基準位置に基づいてシートに対する画像形成位置が決定されるため、シートが検出部50を通過してから画像形成部60に到達するまでの間に調整時間を確保する必要はない。そのため、シートが熱膨張しにくいシートである場合には、搬送制御部156は、シートが熱膨張しやすいシートである場合よりもシートの搬送速度を速くする。これにより、生産性が向上する。
【0071】
図8は、本実施の形態におけるインクジェットプリンターによる画像形成位置の決定処理の手順を示すフローチャートである。
【0072】
ステップS1において、プロセッサー11は、印刷指示を受け付ける。ステップS2において、プロセッサー11は、シートが熱膨張しやすいシートであるか否かを判定する。プロセッサー11は、ユーザーにより指定された印刷条件に基づいて、ステップS2の判定処理を行う。
【0073】
シートが熱膨張しやすいシートである場合には(ステップS2においてYES)、プロセッサー11は、処理をステップS3へ移行する。一方、シートが熱膨張しやすいシートではない場合には(ステップS2においてNO)、処理をステップS5へ移行する。
【0074】
ステップS3において、プロセッサー11は、検出部50にシートの端部位置を検出させる。ステップS4において、プロセッサー11は、検出部50により検出されたシートの端部位置に基づいて、シートに対する画像形成位置を決定する。
【0075】
ステップS5において、プロセッサー11は、基準位置に基づいて、シートに対する画像形成位置を決定する。
【0076】
ステップS4またはステップS5の後、プロセッサー11は、決定処理を終了する。
【0077】
図9は、本実施の形態におけるインクジェットプリンターによる画像の縮尺を調整する調整処理の手順を示すフローチャートである。
【0078】
ステップS11において、プロセッサー11は、印刷指示を受け付ける。ステップS12において、プロセッサー11は、印刷条件として両面印刷が指定されているか否かを判定する。プロセッサー11は、ユーザーにより指定された印刷条件に基づいて、ステップS12の判定処理を行う。
【0079】
印刷条件として両面印刷が指定されている場合には(ステップS12においてYES)、プロセッサー11は、処理をステップS13へ移行する。一方、印刷条件として両面印刷が指定されていない場合には(ステップS12においてNO)、プロセッサー11は、調整処理を終了する。
【0080】
ステップS13において、プロセッサー11は、第1の面(例えば、おもて面)への画像形成が完了し、かつ、第2の面(例えば、うら面)への画像形成が開始される前のシートの搬送方向の長さを測定部80に測定させる。
【0081】
ステップS14において、プロセッサー11は、第1の面への画像形成が完了し、かつ、第2の面への画像形成が開始される前のシートの搬送方向の長さを測定部80から取得し、当該長さに基づいて、シートの第2の面に形成される画像の縮尺を調整する。ステップS14の後、プロセッサー11は、調整処理を終了する。
【0082】
このように本実施の形態におけるインクジェットプリンター100は、シートが熱膨張しやすいシートである場合には、検出部50により検出されたシートの端部位置に基づいて、シートに対する画像形成位置を決定する。また、本実施の形態におけるインクジェットプリンター100は、シートが熱膨張しにくいシートである場合には、基準位置に基づいて、シートに対する画像形成位置を決定する。そのため、シートの種類に依らず、画像形成位置のずれを抑制することができる。
【0083】
[付記]
上述した実施の形態および変形例は、以下のような技術思想を含む。
【0084】
[構成1]
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記シートを前記画像形成部に供給する給紙部と、
前記シートを把持する第1の爪を含み、前記第1の爪で前記シートを把持しながら前記シートを加熱する加熱胴と、
前記給紙部から前記加熱胴へ搬送される前記シートの端部位置を基準位置に位置決めする機構と、
前記シートを把持する第2の爪を含み、前記シートを前記加熱胴から受け取って前記第2の爪で前記シートを把持しながら前記シートを前記画像形成部へ搬送する印刷胴と、
前記印刷胴によって搬送される前記シートの前記端部位置を検出する検出部と、
前記画像形成部による画像形成位置を決定する決定部とを備え、
前記決定部は、
前記シートが所定のシートである場合に、前記検出部により検出された前記端部位置に基づいて、前記シートに対する画像形成位置を決定し、
前記シートが前記所定のシートとは異なるシートである場合に、前記基準位置に基づいて、前記シートに対する画像形成位置を決定する、インクジェットプリンター。
【0085】
[構成2]
前記所定のシートは、基材が樹脂である、構成1に記載のインクジェットプリンター。
【0086】
[構成3]
前記所定のシートとは異なるシートは、上質紙を含み、
前記インクジェットプリンターは、前記給紙部の給紙動作を制御する給紙制御部をさらに備え、
前記給紙制御部は、前記シートが前記所定のシートである場合には、前記シートが上質紙である場合よりも、前記給紙部と前記加熱胴との間に設けられるフィーダー部におけるシートの重なりが少なくなるように前記給紙部の給紙間隔を広げる、構成1または2に記載のインクジェットプリンター。
【0087】
[構成4]
前記シートは、第1の面と第2の面とを含み、
前記インクジェットプリンターは、
前記第1の面への画像形成が完了し、かつ、前記第2の面への画像形成が開始される前の前記シートの搬送方向の長さを測定する測定部と、
前記長さに基づいて、前記第2の面に形成される画像の縮尺を調整する調整部とをさらに備える、構成1~3のいずれか1つに記載のインクジェットプリンター。
【0088】
[構成5]
前記印刷胴は、前記シートが前記加熱胴から受け渡されるときに前記第2の爪で前記シートを把持した後、前記シートを前記第2の爪で把持した把持状態で前記シートを搬送し、
前記把持状態が開始してから第1所定時間が経過した場合に、前記印刷胴は前記把持状態を解除するとともに、前記シートを前記印刷胴に密着させるための吸引を開始し、
前記把持状態が解除されてから第2所定時間が経過した場合に、前記印刷胴は、前記第2の爪で再び前記シートを把持した後、前記シートを前記検出部へ搬送する、構成1~4のいずれか1つに記載のインクジェットプリンター。
【0089】
[構成6]
前記所定のシートとは異なるシートは、上質紙を含み、
前記インクジェットプリンターは、前記シートの搬送を制御する搬送制御部をさらに備え、
前記搬送制御部は、前記シートが前記所定のシートである場合には、前記シートが上質紙である場合よりも、前記シートの搬送速度を遅くする、構成1~5のいずれか1つに記載のインクジェットプリンター。
【0090】
[構成7]
前記シートが前記所定のシートである場合には、前記印刷胴の温度は前記加熱胴の温度以下である、構成1~6のいずれか1つに記載のインクジェットプリンター。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
5 排紙トレイ、10 制御装置、11 プロセッサー、12 メモリー、13 ストレージ、20 給紙部、22 フィーダー部、22a 搬送面、23 前当て、24,24a,24b ローラー、25 センサー、26 横針、30 位置決め機構、40 搬送部、41 加熱胴、41a,44a,47a,48a 外周面、42,45 爪、43,46 ヒーター、44 印刷胴、47 排紙胴、48 反転胴、50 検出部、60 画像形成部、61,61C,61K,61M,61Y インクヘッド、70 定着部、80 測定部、90 通信インターフェイス、100 インクジェットプリンター、131 プログラム、151 給紙制御部、152 ヒーター制御部、153 決定部、154 ヘッド制御部、155 調整部、156 搬送制御部、299 バス、300 外部装置、411,441,471,481 モーター、A1,A2,R1,R2,R3,R4,R5,x,y,z 矢印、B1 起立した状態、B2 倒れた状態、B3 箇所、F1,F2,F3,F4 位置、P,P1,P2,P3 シート、Q 皺。